特許第6069791号(P6069791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069791切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069791
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/12 20060101AFI20170123BHJP
   B23C 5/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B23C3/12 C
   B23C3/12 B
   B23C5/10 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-147091(P2013-147091)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-16541(P2015-16541A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310020806
【氏名又は名称】株式会社 東陽
(74)【代理人】
【識別番号】100093470
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 富士雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119747
【弁理士】
【氏名又は名称】能美 知康
(72)【発明者】
【氏名】吉江 慎太郎
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−074523(JP,A)
【文献】 特開2003−170309(JP,A)
【文献】 特開2000−246528(JP,A)
【文献】 特開2008−238278(JP,A)
【文献】 実公昭51−019268(JP,Y2)
【文献】 特開平06−170629(JP,A)
【文献】 特開2000−288813(JP,A)
【文献】 特開2010−247265(JP,A)
【文献】 米国特許第07278806(US,B1)
【文献】 特開2004−268202(JP,A)
【文献】 米国特許第05944462(US,A)
【文献】 特開2005−14194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/12
B23C 5/10
B23B 51/08
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に形成された貫通孔の一方側から挿入し、前記被加工物の他方側の面における前記貫通孔の周囲を回転しながら加工する刃部と、前記刃部と繋がれた前記刃部の外径より細い外径の首部とを有する切削工具であって、
前記刃部の前記首部側には、前記被加工物の他方側の面における前記貫通孔の周囲を加工する切削部が回転軸に対して所定の角度で傾斜するように形成されており、
前記切削部には、前記回転する方向に対して反対の向きにねじれた少なくとも一条の溝と、前記切削部の外周側の前記溝に沿った切刃とを有していることを特徴とする切削工具。
【請求項2】
前記刃部の直径は、好ましくは0.5mm以上、6.0mm以下の範囲で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記刃部の直径は前記首部の直径の2倍〜3倍の大きさで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記貫通孔にはねじ山が形成されており、
前記ねじ山の高さは、前記刃部の直径と前記首部の直径との差の半分の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
【請求項5】
前記切削部は、回転軸に対して、30°以上、60°以下の傾斜を有するように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
【請求項6】
前記首部には、前記首部の外径より太い外径で形成されたシャンクが繋がれており、
前記シャンクと前記首部との繋ぎ部分には、前記シャンクから前記首部に向かって徐々に縮径されて形成されたテーパー部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の切削工具。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれかに記載の切削工具を備えたことを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の裏面の面取りやバリ取り等の加工をスムーズに且つ正確に行うことができる小型の切削工具、及びこの切削工具を備えた切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の被加工物に孔あけ加工するために、ドリルやエンドミル等の切削工具が用いられている。また、これらの切削工具は、ボール盤やNC(Numerical Control)旋盤、マシニングセンタ等の切削装置に取り付けられて使用されている。これらの切削工具を用いて被加工物に孔あけするときには、被加工物の一方の面、例えば旋盤に載置された状態の表側の面から切削を行い、切削工具が被加工物の他方の面、例えば、裏側の面まで切削工具を貫通させることで行なわれる。
【0003】
このとき、被加工物の裏面の孔から切削工具が突き抜ける際に孔の周囲にバリができることがあるため、このバリを除去する必要がある。また、形成された穴の回りは、角が立っており、作業者や使用者が触れると怪我をしたり、他の部品が損傷したりするおそれがあるため、この角を滑らかにするように面取りが行われる。このように、孔あけ加工を行なう場合、被加工物の裏側の加工を行なうことが必要となるが、被加工物を一つ一つ裏返して再度加工することは手間がかかり、作業性が悪くなる。そのため、被加工物の裏面の加工が行なうことができる切削工具が望まれていた。
【0004】
このような、被加工物の裏側の加工を行うために、下記特許文献1は、一本のドリルで穴開け作業と表面の面取り作業と、裏面の面取り作業を可能にした両面取りドリルの発明が開示されている。下記特許文献1に開示された両面取りドリルの発明では、シャンクと連接するドリルボディと、前記ドリルボディの先端部に切刃とを有し、且つ前記シャンクの一部分とドリルボディと切刃にかけ、且軸線と平行状に切欠する逃げ溝とを有し、前記切刃を構成する傾斜角度が90度前後の前方ドリル刃をドリルの先端から緩やかに傾斜するように形成し、前記前方ドリル刃の上方に外径刃を形成し、前記外径刃より前記ドリルボディにかけやゝ急角度をもって傾斜する前記外径刃に対し45度前後の面取り刃を形成せしめた両面取りドリルにおいて、前記外径刃が、一方の逃げ溝から他方の逃げ溝にかけて、最初の幅員が極端に狭く漸次広くなるように形成したとしている。
【0005】
下記特許文献1に開示された両面取りドリルの発明によれば、前方ドリル刃と外径刃と共に、穴開け作業と被切削物の面取り作業と、裏面の面取り作業と、側面部の面取り作業の4つの作業を、同時に処理できるすぐれた利点を併有しているとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−288813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された両面取りドリルの発明では、孔の裏面の面取りを行なう面取り刃はドリルの軸線に対して略垂直に形成されている。このように、略垂直に形成された面取り刃で面取りを行なうと、被加工物の加工を行なう部分に垂直にあてて切削を行なうため、切削する部分に直角方向から大きな力がかかり、被加工物を損傷するおそれがある。また、バリ取りに用いた場合、バリが取られる際に略真横に引っ張られ、新たなバリが発生するおそれもある。
【0008】
なお、従来のドリルやエンドミルのように切刃にねじれを形成することも考えられる。しかし、一般的に、穴開けに適したねじれは、切削工具の回転方向に対して同じ方向のものが用いられている。すなわち、穴開けの際に切削される屑が切刃と共に形成される溝に沿って排出させ易くなるためである。そのため、穴開け用の切刃の延長として裏面の面取りを行なう面取り刃を形成する場合、切削工具の回転方向と同じ方向のねじれで形成されることとなる。そして、切削工具の回転方向と同じ方向のねじれが形成された面取り刃を用いて裏面の面取りを行なうと、切削された屑は、上方、すなわち被加工物に向かって排出されることになるので、面取りやバリ取りの加工を円滑に行なうことが困難となる。
【0009】
本発明者は、このような従来技術の問題点及び解決すべき課題に鑑みて種々実験を重ねた結果、切削工具の刃部に形成する溝及び切刃を切削工具の回転方向に対して反対の向きとすることで、バリ取りや面取りが円滑に行えるようになることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、被加工物の裏面のバリ取りや面取りがスムーズに行える小型の切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の切削工具は、被加工物に形成された貫通孔の一方側から挿入し、前記被加工物の他方側の面における前記貫通孔の周囲を回転しながら加工する刃部と、前記刃部と繋がれた前記刃部の外径より細い外径の首部とを有する切削工具であって、
前記刃部の前記首部側には、前記被加工物の他方側の面における前記貫通孔の周囲を加工する切削部が回転軸に対して所定の角度で傾斜するように形成されており、
前記切削部には、前記回転する方向に対して反対の向きにねじれた少なくとも一条の溝と、前記切削部の外周側の前記溝に沿った切刃とを有していることを特徴とする。


【0012】
また、第2の態様の切削工具は、第1の態様の切削工具において、前記刃部の直径は、0.5mm以上、6.0mm以下の範囲で形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、第3の態様の切削工具は、第1又は第2の態様の切削工具において、前記刃部の直径は前記首部の直径の2〜3倍の大きさで形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、第4の態様の切削工具は、第1〜第3のいずれかの態様の切削工具において、前記貫通孔にはねじ山が形成されており、
前記ねじ山の高さは、前記刃部の直径と前記首部の直径との差の半分の距離よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
また、第5の態様の切削工具は、第1〜第4のいずれかの態様の切削工具において、前記切削部は、回転軸に対して、30°以上、60°以下の傾斜を有するように形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、第6の態様の切削工具は、第1〜第5のいずれかの態様の切削工具において、前記首部には、前記首部の外径より太い外径で形成されたシャンクが繋がれており、
前記シャンクと前記首部との繋ぎ部分には、前記シャンクから前記首部に向かって徐々に縮径されて形成されたテーパー部を有していることを特徴とする。
【0017】
第7の態様の切削装置は、第1〜第6のいずれかの態様の切削工具を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様の切削工具によれば、切削部の切刃及び溝が切削工具の回転方向と反対の向きにねじれて形成されていることで、被加工物の裏面の切削をスムーズに行うことができるようになる。たとえば、切削工具が右回りに回転する場合、切刃及び溝は左ねじれで形成されるようになり、反対に、左回りに回転する場合、切刃及び溝は右ねじれで形成されるようになる。そして、回転方向に対し溝及び切刃が反対の向きに形成されることで、切削時に切り出される被加工物の切片は回転方向と反対の向きのねじれを有する切刃及び溝によって刃部の先端側にスムーズに排出されるようになる。
【0019】
また、第1の態様の切削工具によれば、切り出された切片が刃部の先端側に排出されるため、被加工物や作業者に切片が付着し飛散したりすることが抑制され、切削作業の作業性を高めることができる。また、第1の態様の切削工具によれば、簡単な構造であるため、切削工具を容易に、且つ、低コストで製造することができるようになる。なお、貫通孔とは、ストレートに形成された孔に限られず、ねじ切りされてねじ山が形成されたタップ穴等のように孔の一部が加工されたもの含まれる。

【0020】
また、第2及び第3の態様の切削工具によれば、小型の刃部及び首部を有する切削工具としても、溝及び切刃に形成されるねじれの方向を回転方向と反対の向きとすることで、切削時にかかる力が軽減されるため、高い耐久性を得ることができ、破損や損傷を抑制することができる。
【0021】
また、第4の態様の切削工具によれば、貫通孔にねじ山が形成されたタップ穴の面取りやバリ取りを行なう場合に、切削工具の刃部及び切削部は、ねじ山の高さに対応した大きさで形成されることになる。その結果、切削工具を小型化しても、貫通孔に形成されたねじ山に最適な大きさで面取りやバリ取りを行うことができるようになる。
【0022】
また、第5の態様の切削工具によれば、切削部の傾斜の角度を選択し、被加工物の設計に応じた切削部とすることで、所望の加工を行うことができるようになる。なお、切削部の角度は30°〜60°が好ましく、特に45°がより好ましい。
【0023】
また、第6の態様の切削工具によれば、シャンクと首部とを繋ぐ部分を縮径して形成することで、切削時に被加工物に押し当てる際に受ける応力に耐えることができるようになり、切削工具の破損や変形等を抑制することができるようになる。なお、テーパーの角度は、軸線に対して10°〜15°であることが好ましく、特に、12°であることがより好ましい。
【0024】
第7の態様の切削装置によれば、第1〜第6のいずれかの態様の効果を奏する切削装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る切削工具の側面図である。
図2】実施形態に係る切削工具の刃部を拡大した側面図である。
図3図3Aは実施形態の切削工具の被加工物の加工を行なう工程を示した側面図であり、図3B図3Aに続く加工の工程を示した側面図であり、図3Cは加工中の状態を示した図3BのIIIC部の拡大図である。
図4図4A図3Bに続く加工の工程を示した側面図であり、図4Bは切削の過程を説明する簡略図であり、図4C図4Aに続く加工の工程を示した側面図である。
図5】切削工具の応用例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための切削工具及びこの切削工具を備えた切削装置を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0027】
[実施形態]
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る切削工具10を説明する。本発明の実施形態に係る切削工具10は、被加工物19にドリルやエンドミル等の工具を用いて形成された貫通孔22の裏面21にできた、バリを取り除いたり、貫通孔の角部の面取りをしたりするものである。なお、被加工物19の裏面21とは、被加工物19の一方の面、すなわち貫通孔22を形成するためにドリル等を入れていく側を表面20とし、この表面20に対して、被加工物19の他方側、すなわち貫通孔22が形成されたとき切削工具10が突出する側を裏面21としている。また、貫通孔22は、単なる孔として説明するが、これに限らず、ねじ山が形成されたタップ穴としてもよい。
【0028】
被加工物の加工は、切削装置に実施形態の切削工具10を取り付け、所定のプログラムにより自動で行なわれる。このような切削装置としては、NC旋盤やマシニングセンタ等があげられる。なお、このような切削装置は公知のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
実施形態の切削工具10は、図1及び図2に示すように、金属製材料により一体に形成されたシャンク11と首部13と刃部14とで構成されている。シャンク11は、所定長さであって所定の外径を有する棒状体で形成されており、一方側が首部13とつながれ、他方側が切削装置に取り付けられる部分となっている。
【0030】
首部13は、所定長さの、シャンク11や刃部14より細い外径を有する棒状体で形成されており、一方側が刃部14と繋がれ、他方側がシャンク11と繋がれている。首部13の長さは、加工を行なう被加工物19の厚さに関係し、刃部14を被加工物19の裏面21に当接可能な長さとなっている。そのため、首部の長さは加工する被加工物に合わせて選択が可能である。
【0031】
また、シャンク11と首部13とが繋がれた部分は、シャンク11側から首部13側に向かって細くなるように縮径されたテーパー部12が形成されている。このテーパー部12の軸線に対する角度θ3は10°〜15°程度に形成され、特に12°に形成されることが好ましい。このようにテーパー部12を設けることで、シャンク11と首部13とが繋がれた部分を強化することができ、切削時にかかる応力により損傷や破損することを抑制することができる。
【0032】
刃部14は、所定長さの、首部13より太い外径を有する棒状体で形成されており、一方側が先端部15となり、他方側が首部13とつながれている。刃部14には、複数の溝16、実施形態では3条の溝16が形成されている。これら溝16は、切削工具10が回転する方向とは反対の向きにねじれて形成されている。すなわち、切削工具10が右回転する場合、ねじれの向きは左ねじれで形成されるようになる。また、切削工具が左回転する場合、ねじれの向きは右ねじれで形成されるようになる。なお、実施形態の切削工具10では、右回転する場合を説明するため、ねじれの向きは左ねじれで形成されている。
【0033】
また、刃部14の外周側には、溝16に沿って切刃17が形成されている。この切刃17は、溝16の数と対応して形成されるため、実施形態では3本の切刃が形成されている。そして、首部13側の刃部14には、被加工物19の加工される部分に押し当てて切削を行なう切削部18が形成されている。この切削部18は、切刃17を所定の角度θ1で傾斜させて形成されている。この角度θ1は、切削工具の軸線に対して45°で形成されている。なお、この角度θ1は、被加工物が加工される角度とすることができ、45°に限られず、任意の角度で形成することができる。
【0034】
また、刃部14の先端部15側は、角度θ2で傾斜して形成されている。このように先端部15を傾斜して形成させることで、被加工物に形成した貫通孔に挿入させやすくなり、また、被加工物の表面に損傷させることを抑制することができる。なお、この傾斜は45°で形成されているが、これに限らず、任意の角度で形成することができる。
【0035】
実施形態の切削工具10において、刃部14の直径D1は非常に小さい径、例えば直径0.5mmで形成されている。このとき、刃部14の直径D1に応じて、首部13の直径もさらに小さい径で形成されている。すなわち、首部13の直径D2は、刃部14の直径D1のほぼ1/3〜1/2の大きさで形成されるようになる。言い換えると、刃部14の直径は、首部13の直径D2の大きさの約2倍から3倍の大きさで形成されることとなる。
【0036】
このように、刃部14及び首部13を非常に小型に形成することができるのは、刃部14に形成した溝16及び切刃17が回転方向と反対の向きにねじれて形成されることで、従来例の場合と比べ、切削時に発生する力が軽減されるようになるためである。そのため、刃部及び首部は破損等をし難くなり、超小型としても、高い耐久性を得ることができるようになる。なお、刃部の直径D1は、0.5mmに限らず、0.5mm以上で形成されてもよいが、6.0mm以下の大きさで形成されることが好ましい。
【0037】
次に、図3及び図4を参照して実施形態の切削工具10の加工の工程について説明する。なお、図3及び図4では、説明のために被加工物19を断面図で示している。
【0038】
まず、実施形態の切削工具10により加工を行なう前提として、図3Aに示すように、あらかじめドリルやエンドミル等により、被加工物19に貫通孔を形成する。この貫通孔22の直径は、実施形態の切削工具10の刃部14の直径より大きいものである。
【0039】
図3Aに示すように、実施形態の切削工具10を被加工物19の表面20の貫通孔22から挿入し、刃部14の切削部18が被加工物19の加工する部分と対応するように配置する。その後、図3Bに示すように、切削工具10が右回転して被加工物19の裏面21の加工する貫通孔22の周囲の部分に切削工具10の切削部18が当接することで、被加工物19の切削を行なう。このとき、図3Cに示すように、被加工物19を切削した屑23は、刃部14に形成した左ねじれの溝16を通り、被加工物19の下側に排出するようになる。
【0040】
そして、図4A及び図4Bに示すように、切削工具10を貫通孔22の外周に沿って少なくとも一周させ、貫通孔22の裏面21側の周囲の加工を行なう。このとき、面取りを深く行なうような場合は、貫通孔の外周を数回に亘って周回させるようにしてもよい。被加工物19の裏面21の貫通孔22の周囲の加工が終了した後、図4Cに示すように、切削工具10を被加工物19の貫通孔22から抜き出すことで、被加工物の加工が終了、若しくは、次の加工が行なわれるようになる。以上の工程が、実施形態の切削工具を使用した被加工物の裏面の加工の工程となる。
【0041】
[応用例]
切削工具の応用例として、貫通孔にねじ切りされてねじ山が形成された、いわゆるタップ穴に用いる切削工具について説明する。なお、実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。応用例の切削工具10Aは、図5に示すように、被加工物19Aに貫通孔22Aとして、周囲にねじ山24Aが形成されたタップ穴に対応するものである。そして、この応用例の切削工具10Aは、構成要素は実施形態の切削工具10と同じであるが、切削面18A部分の大きさが、貫通孔22Aに形成されたねじ山24Aの高さに応じて構成されるようになっている。
【0042】
すなわち、応用例の切削工具10Aの切削部18A部分は、貫通孔22Aに形成されたねじ山24Aの高さをdとし、刃部14Aの直径D1と首部13Aの直径D2との差をH(D1−D2=H)としたとき、Hの半分の距離(H/2)が、ねじ山24Aの高さdよりも大きく(H/2>d)なるように構成されている。このとき、Hは、刃部14Aの切削面18A部分の切削工具10Aの軸方向に対して垂直方向の距離となり、H/2はその片方側を表すものである。
【0043】
以上より、応用例の切削工具10Aを用いて、ねじ切りされた貫通孔22Aの面取りやバリ取りを行なうとき、切削工具10Aには、ねじ山24Aの高さdに対応した大きさの刃部14A及び切削部18Aが形成されている。その結果、切削工具を小型化しても、ねじ山24Aが形成された貫通孔22Aに最適な面取りやバリ取りを行なうことができるようになる。なお、切削の工程は上記実施形態と共通するので、説明は省略する。
【符号の説明】
【0044】
10、10A:切削工具
11:シャンク
12:テーパー部
13、13A:首部
14、14A:刃部
15:先端部
16:溝
17:切刃
18、18A:切削部
19、19A:被加工物
20:表面
21:裏面
22、22A:貫通孔
23:屑
24A:ねじ山
図1
図3
図4
図5
図2