(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069797
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】衣類乾燥凝縮用熱交換器、衣類乾燥手段、衣類乾燥機、および衣類乾燥方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
D06F58/02 F
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-540296(P2014-540296)
(86)(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公表番号】特表2014-534035(P2014-534035A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】CN2012080441
(87)【国際公開番号】WO2013067837
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】201110350840.7
(32)【優先日】2011年11月8日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201110349942.7
(32)【優先日】2011年11月8日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201110427039.8
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512127855
【氏名又は名称】海爾集団公司
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】梁海山
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】宋華誠
(72)【発明者】
【氏名】徐永洪
(72)【発明者】
【氏名】宋斌
【審査官】
横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0277690(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101684610(CN,A)
【文献】
特開昭58−195595(JP,A)
【文献】
特開平05−003998(JP,A)
【文献】
実開昭55−110200(JP,U)
【文献】
実開平04−025683(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02−58/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類乾燥凝縮用の空冷式の熱交換器であって、
前記熱交換器の内部に、凝縮空気流路と外部空気流路という方向が異なって連通しない2本の空気流路を有し、前記2本の空気流路の各々が複数の空気室から構成され、前記2本の空気流路の各々の空気室が順次交互に配設され、同一空気流路に属する隣接する2個の空気室の間に他の空気流路に属する1個の空気室を配するようにし、
前記外部空気流路の一端に凝縮用送風機が設けられ、他端が外部に通じ、前記凝縮空気流路の一端が湿熱空気の入口であり、他端が凝縮空気の出口であり、
前記熱交換器の前記凝縮空気流路の前記湿熱空気入口の一端に、熱交換器の前記凝縮空気流路の空気室内部に付着する糸くずを取る糸くず取り装置が設けられ、前記糸くず取り装置が、外部に通じる放水弁の継手、前記放水弁の継手と連通しかつ前記湿熱空気の入口に沿って環状に設けられた放水流路、および前記放水流路の内側の縁に沿って設けられ、前記凝縮空気流路の空気室内部に放水するための放水口を含み、
前記熱交換器はさらに余熱回収装置に接続され、前記余熱回収装置の内部には湿熱空気流路と余熱回収空気流路という2本の空気流路が設けられ、前記2本の空気流路で熱交換構造を構成し、前記湿熱空気は最初に前記余熱回収装置の前記湿熱空気流路を経由してから前記熱交換器に入力され、前記熱交換器の前記凝縮空気の出口を出た余熱回収空気は前記余熱回収装置の前記余熱回収空気流路を経由してから出力されることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器は、プラスチックフィルムから構成され、2個の隣接する空気室がプラスチックフィルム壁によって仕切られ、前記プラスチックフィルムの厚さが0.05〜1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記プラスチックフィルムの厚さが0.08〜0.8mmであることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記2本の空気流路の方向の投影が交わることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記外部空気流路が水平方向で、前記凝縮空気流路が鉛直方向であることを特徴とする請求項4記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換器の各空気室の通気間隙が1〜20mmであることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換器の各空気室の通気間隙が3〜12mmであることを特徴とする請求項6記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱交換器を有する衣類乾燥機であって、
前記衣類乾燥機は、衣類収納槽、排気口、フィルタ、乾燥用送風機、ヒータ、吸気口、および集水ケースを有し、前記排気口が前記熱交換器と連通し、前記熱交換器が前記集水ケースと連通し、前記集水ケースが前記吸気口と連通し、前記フィルタが前記排気口と前記熱交換器との間に設けられ、前記乾燥用送風機と前記ヒータが前記集水ケースと前記吸気口との間に順次設けられることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項9】
前記集水ケースは、排水ポンプを介して外部と連通し、前記集水ケースに前記排水ポンプの動作を制御する水位検出スイッチが設けられることを特徴とする請求項8記載の衣類乾燥機。
【請求項10】
前記フィルタは、少なくとも1枚のろ過網から構成されることを特徴とする請求項9に記載の衣類乾燥機。
【請求項11】
前記フィルタのろ過網のうち、少なくとも1枚のろ過網が取り外し可能であることを特徴とする請求項10に記載の衣類乾燥機。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器、および集水ケースと前記余熱回収装置とを有し、前記湿熱空気流路が通気管を介して、前記熱交換器の前記凝縮空気流路と前記集水ケースと前記余熱回収空気流路とに順次連通することを特徴とする衣類乾燥手段。
【請求項13】
前記集水ケースは、水を入れるケース本体と上蓋を含み、前記上蓋には、前記熱交換器の前記凝縮空気流路に通じる入口と前記余熱回収装置の前記余熱回収空気流路に通じる出口とを設け、前記集水ケースに排水ポンプを取り付け、前記集水ケース内部に前記排水ポンプの動作を制御する水位検出スイッチを設けることを特徴とする請求項12に記載の衣類乾燥手段。
【請求項14】
前記余熱回収装置は、ケースとケース内に設けられた熱交換器とを含み、前記湿熱空気流路と前記余熱回収空気流路とが双方向交差対流的に前記熱交換器内に設けられ、2本の空気流路に対応するケースの上部にそれぞれ前記湿熱空気流路の吸気口と前記余熱回収空気流路の排気口を設け、下部にそれぞれ前記湿熱空気流路の排気口と前記余熱回収空気流路の吸気口を設けたことを特徴とする請求項12または13に記載の衣類乾燥手段。
【請求項15】
前記熱交換器は、2組の熱交換プレートで構成され、前記2組の熱交換プレートはそれぞれ同一方向の複数の空気流路を構成し、更に一組の隣接する2本の空気流路の間に他組の1本の空気流路を設け、前記2組の熱交換プレートのそれぞれの空気流路を交互に設けて、双方向交差対流の熱交換構造を形成したことを特徴とする請求項14に記載の衣類乾燥手段。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載の衣類乾燥手段を有する衣類乾燥機であって、前記衣類乾燥機は、
衣類収納槽とヒータとを有し、前記衣類収納槽に吸気口と排気口を設け、前記排気口が前記余熱回収装置の前記湿熱空気流路と連通し、前記余熱回収装置の前記余熱回収空気流路が前記吸気口と連通し、前記ヒータが前記余熱回収空気流路と前記吸気口の間に設けられたことを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項17】
前記排気口と前記湿熱空気流路の間にフィルタを設け、前記フィルタが少なくとも1枚のろ過網から構成されていることを特徴とする請求項16に記載の衣類乾燥機。
【請求項18】
前記余熱回収空気流路と吸気口の間に更に乾燥用送風機を設けたことを特徴とする請求項16に記載の衣類乾燥機。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の衣類乾燥機を用いた衣類乾燥方法であって、前記衣類乾燥方法は、
衣類乾燥をするとき、前記衣類収納槽において衣類と熱交換を行って生じた湿熱空気を、前記余熱回収装置の前記湿熱空気流路と前記余熱回収流路による熱交換を行い事前に凝縮したのち、前記熱交換器と前記集水ケースを通して完全に凝縮して乾燥空気とし、前記余熱回収装置の前記余熱回収空気流路と前記湿熱空気流路による熱交換を通して事前に予熱し、最後に、予熱した乾燥空気をヒータにより加熱した後、衣類収納槽に導入して衣類と熱交換を行うようにしたことを特徴とする衣類乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥、具体的には衣類乾燥機および衣類乾燥方法、特に改良した衣類乾燥凝縮用熱交換器、当該熱交換器を有する衣類乾燥手段および衣類乾燥機、衣類乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機または洗濯乾燥機に用いられる衣類乾燥装置において、温風を生成する装置は、殆どヒータにより空気を加熱する加熱方法を用いる。既存の電熱式衣類乾燥機では、一般に熱源としてヒータ線またはヒータ管を用いられるが、このような製品はエネルギー使用量が多く、乾燥時間が長く、かつ、安全性が悪い。エネルギー使用量を削減するために、ヒートポンプ式衣類乾燥機が開発された。ヒートポンプを用いることにより、熱量の循環利用を高め、熱量の利用効率を上げ、電気エネルギー使用量を削減することを実現した。
【0003】
ヒートポンプ式衣類乾燥装置において、下記のような空気循環空気流路を設けている。ヒートポンプの循環手段における凝縮器により加熱した温風を、衣類を収納した乾燥室へ送り、衣類から水分を取った吸湿空気が蒸発器へ戻して、除湿を行わせた後、除湿した空気を再び凝縮器により加熱して、乾燥室へ送る。
【0004】
このようなヒートポンプ式衣類乾燥機は、エネルギー使用量の削減を実現したが、衣類乾燥速度が遅く、乾燥工程に要するとき間が長い。通常、7〜8kgの衣類を乾燥するのに、2〜3時間を要する。短時間に衣類から水分を取るために、さまざまな方法が用いられている。衣類乾燥機においては、この目的を達成するために、温度を上げる方法や、表面における空気の流動を大きくする方法、熱交換面積を増大させる方法を用いている。このような方法を使用しても、衣類乾燥工程におけるエネルギー使用量と時間が依然として多い。また、高温下で衣類を乾燥するため、織物自体に損傷を与えると共に、しわや縮みが発生しやすい。
【0005】
出願番号が200610153406.9の中国特許で、乾燥室とヒートポンプとの間を循環する衣類乾燥用空気を発生するヒートポンプが安定動作を実現できる衣類乾燥装置が提案されている。そのうち、ヒートポンプ内のヒータにより加熱した空気を、乾燥室としての水槽へ送り、水槽から排出された空気がフィルタユニットを通った後、ヒートポンプへ戻り、吸熱器により除湿をした後、再びヒータへ至り、空気循環空気流路を形成する。フィルタユニットには、糸くずフィルタを設けると共に、空気排出口および空気導入口と連通した配管を設ける。
【0006】
既存の衣類乾燥機の循環手段において、冷空気を冷却媒体として利用する凝縮式熱交換器を衣類乾燥機または洗濯乾燥機に用いる時、主に二つの方法を採用している。一つは、外部の冷空気を利用して、衣類乾燥により発生した高温高湿の空気を低温低湿の空気にした後、循環させて再利用する方法。もう一つは、衣類乾燥により発生した高温高湿の空気を外部からの冷空気と熱交換を行わせて低温低湿の空気に変えた後排出し、交換後予熱された外部空気を内部循環へ送る。その欠点として、前者では所要の冷却用外部空気量が多く、湿熱空気から取った熱量が多いため、新たに乾燥循環に入る空気を再加熱するのに要するエネルギーが多いことが挙げられる。後者の欠点として、衣類乾燥後の空気を外部に排出する過程において、湿り空気に含んだ水蒸気が完全に凝縮できず、大量の水蒸気が環境に入るので、環境の快適さに影響を与えることが挙げられる。
【0007】
冷空気を冷却媒体として利用する衣類乾燥機または洗濯乾燥機は、乾燥工程において、乾燥用送風機が乾燥用空気を乾燥空気流路に吹き込むと、ヒータ線またはヒータ管は加熱動作を開始し、温風が洗濯(衣類乾燥)機に入り、洗濯(衣類乾燥)機内の衣類および水分の温度が上昇するので、水分が蒸発して水蒸気になり、糸くずフィルタを通過して、凝縮用熱交換器へ至る。凝縮用送風機により吹き込まれた外部空気は、内部空気と熱交換をした後、内部の湿熱空気の温度が低くなって、水蒸気が液体に変わるので、湿熱空気が乾燥した低温空気に変わって、乾燥用送風機によりヒータ線またはヒータ管に吹き込まれ、加熱され、循環的に衣類乾燥をする。
【0008】
上述した凝縮用熱交換器は、金属プレートを用いて、溶接工程により乾燥用空気流路と交錯した凝縮用空気流路を構成している。このような凝縮器は、加工工程が複雑で、洗濯機の構造に基いて容易に加工、製造できないので、コストが高い。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の課題を解決して、構造が簡単で、低コストの衣類乾燥凝縮用熱交換器を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、更に当該熱交換器を有する衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、当該熱交換器を有する衣類乾燥手段を提供して、衣類乾燥工程において衣類と熱交換をした後の湿熱空気の予熱を利用して予熱し、凝縮を経た後の乾燥空気を再加熱することにより、衣類乾燥効率を高め、電気エネルギーと時間を節約することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、当該衣類乾燥手段を有する衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【0014】
最後に、本発明は、当該衣類乾燥手段を有する衣類乾燥機の衣類乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上述した課題を解決するために、衣類乾燥凝縮用熱交換器において、前記熱交換器を空冷式熱交換器とし、その内部に、凝縮空気流路と外部空気流路という方向が異なって連通しない2本の空気流路を有し、各空気流路が複数の空気室から構成され、2本の空気流路における空気室が各々1個ずつ順次配設され、同一空気流路に属する隣接する2個の空気室の間に他空気流路に属する1個の空気室を配したものである。
【0016】
前記外部空気流路の一端に凝縮用送風機を設け、他端が外部に通じ、凝縮空気流路の一端が湿熱空気の入口であり、他端が凝縮空気の出口である。
【0017】
前記熱交換器の凝縮空気流路の湿熱空気入口の一端に糸くず取り装置を設け、この装置は、外部に通じる放水弁の継手と、放水弁の継手と連通しかつ湿熱空気の入口に沿って環状に設けた放水流路と、放水流路の内側の縁に沿って設けた、凝縮空気流路の空気室内部に放水するための放水口とを含む。
【0018】
放水口を複数組とし、各空気室が放水流路に対応する隣接する両側に設ける。ただし、放水口は全ての空気室の両側に限らず、数量を減少して、各空気室の仕切り部に対応して設けることもできる。
【0019】
前記熱交換器は、プラスチックフィルムから構成され、2個の隣接する空気室がプラスチックフィルム壁によって仕切られ、前記プラスチックフィルムの厚さが0.05〜1.5mmである。
【0020】
前記プラスチックフィルムの厚さが0.08〜0.8mmであることが好ましい。前記プラスチックフィルムの厚さが0.1〜0.5mmであることがより好ましい。
【0021】
2本の空気流路の方向の投影が交わる。前記外部空気流路が水平方向で、凝縮空気流路が鉛直方向であることが好ましい。凝縮空気流路内の湿熱空気が上から下へ流れることが好ましい。
【0022】
前記熱交換器の各空気室の通気間隙が1〜20mmである。
【0023】
前記熱交換器の各空気室の通気間隙が3〜12mmであることが望ましい。
【0024】
本発明にかかる衣類乾燥凝縮用熱交換器を有する衣類乾燥機は、衣類収納槽と排気口とフィルタと乾燥用送風機とヒータと吸気口と集水ケースを有し、前記排気口が熱交換器と連通し、更に熱交換器が集水ケースと、集水ケースが吸気口と連通し、フィルタが排気口と熱交換器との間に設けられ、乾燥用送風機とヒータが集水ケースと吸気口との間に順次設けられる。
【0025】
前記集水ケースは、排水ポンプを介して外部と連通し、集水ケースに排水ポンプの動作を制御する水位検出スイッチを設けたものである。
【0026】
前記フィルタは、少なくとも1枚のろ過網から構成される。
【0027】
更に、少なくとも1枚のろ過網が取り外し可能である。
【0028】
本発明にかかる上記衣類乾燥凝縮用熱交換器を有する衣類乾燥手段は、集水ケースと余熱回収装置とを有し、余熱回収装置の内部に湿熱空気流路と余熱回収空気流路という2本の空気流路を設け、2本の空気流路で熱交換構造を構成し、湿熱空気が通気管を介して、熱交換器の凝縮空気流路と集水ケースと余熱回収空気流路とを順次連通したものである。
【0029】
前記集水ケースは、水を入れるケース本体と上蓋を含み、上蓋には、熱交換器の凝縮空気流路に通じる入口と余熱回収装置の余熱回収空気流路に通じる出口とを設け、集水ケースに排水ポンプを取り付け、集水ケース内部に排水ポンプの動作を制御する水位検出スイッチを設けたものである。
【0030】
前記余熱回収装置は、ケースとケース内に設けられた熱交換器とを備え、湿熱空気流路と余熱回収空気流路とが双方向交差対流的に熱交換器内に設け、2本の空気流路に対応するケースの上部にそれぞれ湿熱空気流路の吸気口と余熱回収空気流路の排気口を設け、下部にそれぞれ湿熱空気流路の排気口と余熱回収空気流路の吸気口を設けたものである。
【0031】
前記余熱回収装置は、ケースとケース内に設けられた熱交換器とを備え、湿熱空気流路と余熱回収空気流路とが双方向交差対流的に熱交換器内に設け、2本の空気流路に対応するケースの上部にそれぞれ湿熱空気流路の吸気口と余熱回収空気流路の排気口を設け、下部にそれぞれ湿熱空気流路の排気口と余熱回収空気流路の吸気口を設けたものである。
【0032】
前記熱交換器は、2組の熱交換プレートで構成され、各組の熱交換プレートでそれぞれ同一方向の複数の空気流路を構成し、更に同じ組の隣接する2本の空気流路の間に他組の1本の空気流路を設け、2組の熱交換プレートで構成した空気流路を交互に設けて、双方向交差対流の熱交換構造を形成したものである。
【0033】
本発明にかかる衣類乾燥手段を有する衣類乾燥機は、衣類収納槽とヒータとを有し、衣類収納槽に吸気口と排気口を設けた衣類乾燥機において、前記排気口が余熱回収装置の湿熱空気流路と連通し、余熱回収装置の余熱回収空気流路が吸気口と連通し、ヒータを余熱回収空気流路と吸気口の間に設けたものである。
【0034】
前記排気口と湿熱空気流路の間にフィルタを設け、前期フィルタが少なくとも1枚のろ過網から構成されている。少なくとも1枚のろ過網が取り外し可能である。
【0035】
前記余熱回収空気流路と吸気口の間に更に乾燥用送風機が設けられる。
【0036】
本発明にかかる上述した衣類乾燥手段を有する衣類乾燥機の衣類乾燥方法は、下記の通りである。衣類乾燥をするとき、衣類収納槽において温風と衣類とが熱交換を行って生じた湿熱空気は、余熱回収装置の湿熱空気流路と余熱回収流路による熱交換を行い、一応凝縮した上、熱交換器と集水ケースを通して完全に凝縮して乾燥空気を得てから、余熱回収装置の余熱回収空気流路と湿熱空気流路による熱交換を通して、一応予熱を行い、最後に予熱をした乾燥空気をヒータにより加熱した後、衣類収納槽に導入して衣類と熱交換を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明にかかる熱交換器、衣類乾燥手段は、衣類乾燥機にも洗濯乾燥機にも適用する。前記熱交換器は、非金属材料であるプラスチックフィルムから構成され、厚さが0.05〜1.5mmとし、金属製熱交換器より、コストが低くて、熱交換効率が高い。また、プラスチックフィルムを熱交換器の材料として使用すれば、製造工程がより簡単で、衣類乾燥機または洗濯乾燥機の異なる出力に基いて、組み合わせて製造することもより容易になる。当該熱交換器を有する衣類乾燥機または洗濯乾燥機は、より軽量で、かつより低コストである。
【0038】
本発明にかかる衣類乾燥手段および衣類乾燥機は、余熱回収装置と熱交換器と集水ケースとを有し、余熱回収装置の内部に湿熱空気流路と余熱回収空気流路という2本の空気流路を設け、余熱回収空気流路内の熱交換器により凝縮をした後の空気を利用して、衣類乾燥機の衣類収納槽から出た湿熱空気流路内の湿熱空気を予冷するとともに、それ自体も熱量を吸収して温度が上昇し、予熱を行うため、衣類乾燥機のヒータにより乾燥温度まで再加熱するのに要するエネルギー使用量を削減するので、衣類乾燥効率の向上と省エネを実現することができる。また、余熱回収装置の予冷機能により、凝縮を行うための外部空気の流量を減少するので、凝縮用送風機の騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施例1を説明するための熱交換器の構成図。
【
図3】本発明の実施例2を説明するための糸くず除去装置の構成図。
【
図4】本発明の実施例2を説明するための熱交換器の構成図。
【
図5】本発明の実施例3を説明するための洗濯乾燥機の構成図。
【
図6】本発明の実施例3を説明するための熱交換器の空気流路図。
【
図7】本発明の実施例3を説明するための衣類乾燥機の循環乾燥手段を示す構成図。
【
図8】本発明の実施例4を説明するための余熱回収装置と熱交換器の空気流路図。
【
図9】本発明の実施例4を説明するための余熱回収装置と熱交換器の構成図。
【
図10】本発明の実施例5を説明するための衣類乾燥機循環乾燥手段の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
図1と
図2に示すように、本発明にかかる衣類乾燥凝縮用熱交換器は、衣類乾燥機または衣類乾燥機能を有する洗濯機内に取り付けられる。前記熱交換器1は、プラスチックフィルムから構成され、空冷式熱交換器であり、その内部に、凝縮空気流路11と外部空気流路12という方向が異なって連通しない2本の空気流路を有し、各空気流路が複数の空気室から構成され、2本の空気流路における空気室が各々1個ずつ順次配設され、同一空気流路に属する隣接する2個の空気室の間に他空気流路に属する1個の空気室を配し、互いにプラスチックフィルム壁で仕切られ、構成される。
【0042】
前記外部空気流路12の一端に凝縮用送風機15(
図5と
図6を参照)を設け、他端が外部に通じ、凝縮空気流路11の一端に湿熱空気を取り入れ、他端から凝縮後の空気と凝縮水を排出する。凝縮空気流路11は空気室13、外部空気流路12は空気室14から構成され、凝縮空気流路11の隣接する2個の空気室13の間に外部空気流路12の1個の空気室14が配される。凝縮水が空気室壁に付着して熱抵抗を形成し、凝縮効率を低下させることを防止するために、前記凝縮空気流路11内の湿熱空気が上から下へ流れるようにする。外部空気流路12内の外部空気が横方向に流れるようにするのが好ましい。
【0043】
そのうち、上記プラスチックフィルムの厚さが0.05〜1.5mmである。前記プラスチックフィルムの厚さが0.08〜0.8mmであることが好ましい。前記プラスチックフィルムの厚さが0.1〜0.5mmであることがより好ましい。本実施例1では、0.1mmのプラスチックフィルムを用いる。前記空気室の断面形状は、長方形、円形、楕円形のみでなく、空気室壁に凝縮水が落ちやすい各種の波紋形状を設け、あるいは上述した形状を任意に組み合わせたものとすることもできる。
【0044】
本発明にかかるプラスチックフィルムは、耐高温のプラスチックフィルム、例えば、150℃でも変形しないポリイミドフィルムである。本実施例1では、プラスチックフィルムは熱変形温度が80〜100℃のポリエチレンフィルムを用いる。
【0045】
(実施例2)
図3と
図4に示すように、本発明は、実施例1の基礎の上に、糸くず装置を設ける。この装置は、熱交換器1の凝縮空気流路11の湿熱空気入口16の一端に設け、外部に通じる放水弁の継手82と、放水弁の継手と連通しかつ湿熱空気の入口に沿って環状に設けた放水流路83と、放水流路の内側の縁に沿って設けた、熱交換器内部の湿熱空気流路に放水するための放水口81とを含む。
【0046】
(実施例3)
図5〜
図7に示すように、本発明の上述した実施例に記載の熱交換器は、洗濯乾燥機にも(
図5参照)、衣類乾燥機にも(
図7参照)取り付けることができる。衣類乾燥機は、衣類収納槽2と排気口21とフィルタ3と熱交換器1と集水ケース4と乾燥用送風機5とヒータ6と吸気口22とを有し、前記排気口21が熱交換器1と連通し、更に熱交換器1が集水ケース4と、集水ケース4が吸気口22と連通し、フィルタ3が排気口22と熱交換器1との間に設けられ、乾燥用送風機5とヒータ6が集水ケース4と吸気口22との間に順次設けられる。前記集水ケース4は、排水ポンプ41を介して外部と連通し、集水ケース4に排水ポンプ41の動作を制御する水位検出スイッチ42を設ける。具体的には、前記集水ケース4は、水を入れるケース本体43と上蓋44(
図3と
図4を参照)を含み、上蓋44には、熱交換器の凝縮空気流路の湿熱空気の排気口17に通じる入口45と衣類乾燥機の吸気口22に通じる出口46とを設ける。
【0047】
そのうち、衣類収納槽2、排気口21、フィルタ3、乾燥用送風機5、ヒータ5および吸気口22は、全て既存の設計を採用することができる。排気口と吸気口とは、衣類収納槽の排気口と吸気口を指し、ヒータ6は一般にヒータ管またはヒータ線を用いるが、ヒータプレートを用いてもよい。前期フィルタが少なくとも1枚のろ過網から構成される。少なくとも1枚のろ過網が取り外し可能である。
【0048】
図7に示すように、乾燥を行うとき、衣類収納槽2の排気口から吹き出された湿熱空気は、配管を通って、熱交換器1の凝縮空気流路11内に入る。熱交換器1において、熱交換器1の外部空気流路12から入った外部空気は、凝縮空気流路11内の湿熱空気と熱交換を行うので、凝縮空気流路11内の湿熱空気の温度が下がり、相対湿度が上昇する。空気室壁の周辺に分布した局部の空気が飽和状態に達すると、空気中の水蒸気が析出し、空気室壁に沿って集水ケース4に流れ込む。水位検出スイッチ42により水位が設定した位置に達したことが検出されたとき、排水ポンプ41は動作して、凝縮水を排出する。凝縮を経た低熱低湿空気は、集水ケース4を通って、乾燥用送風機5によりヒータ6へ送られ、加熱した後、新たに吸気口から衣類収納槽2内に入る。
【0049】
(実施例4)
図8と
図9に示すように、本実施例において、衣類乾燥手段は、実施例1または実施例2に記載の熱交換器1と余熱回収装置7から構成される。余熱回収装置7の内部に湿熱空気流路71と余熱回収空気流路72という2本の空気流路を設け、2本の空気流路で熱交換構造を構成し、湿熱空気流路71が通気管を介して、熱交換器の凝縮空気流路11と集水ケース4と余熱回収空気流路72とを順次連通する。
【0050】
具体的には、前記余熱回収装置7は、ケース70とケース内に設けられた熱交換器73とを含み、湿熱空気流路71と余熱回収空気流路72とが双方向交差対流的に熱交換器73内に設け、2本の空気流路に対応するケース70の上部に湿熱空気流路の吸気口74と余熱回収空気流路の排気口75を設け、下部に湿熱空気流路の排気口76と余熱回収空気流路の吸気口77を設ける。湿熱空気流路の吸気口74と排気口76、および余熱回収空気流路の吸気口77と排気口75は、いずれも対角線上に配する。余熱回収装置7の湿熱空気流路の排気口76が熱交換器1の凝縮空気流路11の湿熱空気の吸気口16と連通し、余熱回収空気流路の吸気口77と集水ケース4の出口46と連通する。
【0051】
前記熱交換器73の内部において、2組の熱交換プレートでそれぞれ湿熱空気流路と余熱回収空気流路とを構成し、各組の熱交換プレートで同一方向の複数の空気流路を構成し、更に一組の隣接する2本の空気流路の間に他組の1本の空気流路を設け、2組の熱交換プレートで構成した空気流路を交互に設けて、双方向交差対流の熱交換構造を形成する。
【0052】
あるいは、
図9に示すように、熱交換器73の内部は、複数の平行な仕切り板から構成される。隣接する二枚の仕切板の間に空気流路78、79を設け、空気流路の二つの吸気口の方向を順次仕切って、2本の交差・隔離した空気流路を形成させる。あるいは、一体的構造物の内部を掘って、2本の双方向の交差した空気流路78、79を形成させる。あるいは、熱交換器73は、既存のプレート式熱交換器を用いてもよい。
【0053】
(実施例5)
図10に示すように、本実施例では、衣類乾燥機または洗濯乾燥機は、実施例3に記載の衣類乾燥機または洗濯乾燥機と異なって、実施例4の基礎の上に、余熱回収装置7を増加したものである。前記余熱回収装置7は、フィルタ3と熱交換器1との間に設けられると共に、集水ケース4と乾燥用送風機5との間にも設けられる。湿熱空気流路71がフィルタ3と熱交換器1とを連通し、余熱回収流路72が集水ケース4と乾燥用送風機5とを連通する。湿熱空気は、衣類収納槽2の排気口から出た後、余熱回収装置7の湿熱空気流路71、熱交換器1、集水ケース1を順次通ってから、更に余熱回収装置7の余熱回収空気流路72を通って、余熱回収を完了する。
【0054】
(実施例6)
図10に示すように、乾燥を行うとき、衣類収納槽2の排気口から吹き出された湿熱空気は、余熱回収装置の湿熱空気流路の吸気口74から湿熱空気流路71に入り、湿熱空気流路の排気口76から排出されて、熱交換器1の凝縮空気流路11内に入る。熱交換器1において、熱交換器1の外部空気流路12から入った外部空気は、凝縮空気流路11内の湿熱空気と熱交換を行うので、凝縮空気流路11内の湿熱空気の温度が下がり、相対湿度が上昇する。空気室壁の周辺に分布した局部の空気が飽和状態に達すると、空気中の水蒸気が析出し、空気室壁に沿って集水ケース4に流れ込む。水位検出スイッチ42により水位が設定した位置に達したことが検出されたとき、排水ポンプ41は動作して、凝縮水を排出する。凝縮を経た低熱低湿空気は、集水ケース4を通って、余熱回収装置の余熱回収空気流路の吸気口77へ戻り、余熱回収空気流路72に入る。凝縮した空気は、水分を失うと同時に、温度も下がるので、余熱回収装置へ戻った相対低温空気は、湿熱空気流路71の湿熱空気と冷熱交換を行う。その結果、熱交換器1に入る前に、湿熱空気は温度が下がると同時に、余熱回収装置7を通った乾燥空気は、ヒータ6により再加熱する前に温度が上昇するので、新たに乾燥循環に入る空気を再加熱するのに要するエネルギーも少なくなり、省エネと空気の冷却による騒音の低減を実現することができる。
【0055】
上述した実施例の基礎の上に、熱交換器1または余熱回収装置7に糸くずが詰まることを防止し、より良く糸くずをろ過するために、前記フィルタ3は、少なくとも2枚のろ過網から構成され、排気口に近い1枚のろ過網は、取り外し可能で、洗浄しやすいようにする。
【0056】
本発明にかかる熱交換器は、プラスチックフィルムを用いた空冷式熱交換器であり、熱交換効率が高い。プラスチックフィルムを熱交換器の材料として使用するので、製造工程がより簡単である。また、衣類乾燥機または洗濯乾燥機の異なる出力に基いて、組み合わせて製造することもより容易になる。当該熱交換器を有する衣類乾燥機または洗濯乾燥機は、より軽量で、かつより低コストである。
【0057】
上述した実施例は、本発明の好ましい実施方法を記述したものであり、本発明の構想や範囲を限定するものではない。本発明の設計思想を逸脱しない前提の下、この分野における技術者が本発明の解決手段について変更や改善を行う場合、全て本発明の保護範囲に属するものである。