(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集電板は、陽極側と陰極側とで形状または面積を異ならせ、該形状または該面積により陽極側または陰極側が特定されて前記外部端子と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
前記中心線を中心に前記中心線を包含する一定幅の基準範囲を設定し、該基準範囲に前記電極張出し部または前記電極部が突出しているか否かの判別をし、この判別情報を生成する、
ことを特徴とする、請求項8または9に記載のコンデンサの製造プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンデンサ素子と外部端子との間に集電部材を備え、この集電部材をコンデンサ素子側の電極箔に接続する構成は、集電部材で電極箔を並列化するので、コンデンサ素子の内部抵抗の低減化が図られる。
【0006】
コンデンサ素子は陽極側および陰極側の電極を有する有極性素子であり、このコンデンサ素子の各電極に接続される外部端子は陽極側と陰極側に区別されている。このようなコンデンサ素子の電極部に既述の集電部材を接続する構成では、集電部材を陽極側および陰極側で共通化つまり同一形状にすることは、陽極側と陰極側で異ならせることに比較し、製造上有益である。
【0007】
このような集電部材の接続や、集電部材への外部端子の接続では、極性判別が不可欠であり、製造上、その作業に手数を要する。極性判別を目視で行うことは可能であるが、判別ミスを皆無にすることはできないし、需要に見合った生産量を実現することが困難である。仮に、極性判別を誤って接続すれば、不良品となる。このような課題は、集電部材を陽極側と陰極側で形態を異ならせても同様である。
【0008】
斯かる要求や課題について、特許文献1〜4にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、集電部材と素子端面との接続の自動化を図ることにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、上記課題に鑑み、集電部材と素子端面との極性判別を自動化することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、上記課題に鑑み、コンデンサ素子の不良品判別を自動化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法は、
コンデンサ素子の素子端面より導出された電極張出し部の端面形状または端面面積、または前記素子端面より導出された電極引き出し部により成形形成された電極部の端面形状または端面面積を、陽極側と陰極側とで異ならせ、陽極側または陰極側の集電板を前記電極張出し部または前記電極部の端面で接続し、前記電極張出し部または前記電極部の前記端面形状または前記端面面積により陽極側または陰極側を特定し、前記集電板と陽極側または陰極側の外部端子とを接続する。
【0013】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサ
の製造方法において、より好ましくは、前記集電板は、陽極側と陰極側とで形状または面積を異ならせ、該形状または該面積により陽極側または陰極側が特定されて前記外部端子と接続されてもよい。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法は、端面形状または端面面積が異なる陽極側または陰極側の電極張出し部を
コンデンサ素子の素子端面に形成し、または前記素子端面に形成した電極張出し部を成形して端面形状または端面面積が異なる陽極側または陰極側の電極部を形成し、前記電極張出し部または前記電極部の端面形状または端面面積を識別情報として陽極側であるか陰極側であるかの判別を行い、前記電極張出し部または前記電極部に接続され、かつ前記識別情報により陽極側か陰極側かを特定した集電板に陽極側または陰極側の外部端子を接続する。
【0015】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造方法において、より好ましくは、さらに、前記電極張出し部または前記電極部を認識して前記素子端面に基準線を設定し、前記基準線と平行でかつ
前記コンデンサ素子の中心を通過する中心線を設定し、
前記コンデンサ素子の中心および前記中心線を基準に前記素子端面の変位角度を検出し、前記変位角度によって生成された補正情報により前記コンデンサ素子の角度位置を補正してもよい。
【0016】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造方法において、より好ましくは、前記電極張出し部または前記電極部のエッジに基づき前記基準線を設定してもよい。
【0017】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造方法において、より好ましくは、前記中心線を中心に前記中心線を包含する一定幅の基準範囲を設定し、該基準範囲に前記電極張出し部または前記電極部が突出しているか否かを判別してもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造プログラムは、コンピュータによって実行するコンデンサの製造プログラムであって、コンデンサ素子の素子端面の画像データを取得し、電極張出し部または該電極張出し部で形成された電極部の端面形状または端面面積を識別情報として陽極側であるか陰極側であるかの判別を行い、前記電極張出し部または前記電極部に接続された集電板と接続される陽極側または陰極側の外部端子を特定する情報を生成する。
【0019】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造プログラムにおいて、より好ましくは、前記画像データ上の前記電極張出し部または前記電極部の位置に基づき基準線を生成し、前記基準線と平行でかつ
前記コンデンサ素子の中心を通過する中心線を生成し、
前記コンデンサ素子の中心および前記中心線を基準に前記素子端面の変位角度を検出し、前記変位角度によって前記コンデンサ素子の角度位置の補正情報を生成してもよい。
【0020】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造プログラムにおいて、より好ましくは、前記電極張出し部のエッジの認識に基づき前記基準線を生成してもよい。
【0021】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造プログラムにおいて、より好ましくは、前記中心線を中心に前記中心線を包含する一定幅の基準範囲を設定し、該基準範囲に前記電極張出し部または前記電極部が突出しているか否かの判別をし、この判別情報を生成してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコンデン
サの製造プログラムまたは製造方法によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0023】
(1) コンデンサ素子の素子端面にある電極張出し部または該電極張出し部で形成された電極部の端面の形状または面積を陽極側と陰極側とで異ならせたので、その端面の形状または面積を識別情報として極性判別を行うことができ、極性に関する接続を迅速かつ高精度に行うことができる。
【0024】
(2) この極性判別に基づいて集電板接続、外部端子接続を行うので、これらの極性の誤接続を防止でき、接続の自動化を図ることができる。
【0025】
(3) 極性判別の精度を高めることができるとともに、極性判別と同時に特定される基準線、中心線および素子中心に基づき、コンデンサ素子および集電板の位置合わせを高精度にしかも自動化することができる。
【0026】
(4) 中心線を基準に素子端面に設定された基準範囲に電極張出し部が突出しているか否かを判別でき、製造段階でコンデンサ素子の不良品を排除およびその自動化を図ることができ、製造の高速化および低コスト化を図ることができる。
【0027】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の実施の形態はコンデンサ素子の電極張出し部の極性判別を含む処理を示している。
【0031】
この処理手順について、
図1を参照する。
図1は画像データおよびその処理を示している。
図1に示す構成は一例であって、係る構成に本発明が限定されるものではない。
【0032】
この処理手順は本発明のコンデン
サの製造方法または製造プログラムの一例である。
図1に示す画像2は、コンデンサ素子4の素子端面6を撮影して得られた画像データである。説明を容易にするため、画像データ、画像データから生成される表示画像(以下単に「画像」と称する。)、その実像には共通の符号を付している。
【0033】
この画像2に表示された素子端面6には絶縁間隔10を挟んで一対の電極張出し部8A、8Bが表示されている。実際のコンデンサ素子4では、素子端面6にコンデンサ素子4の陽極側および陰極側の電極箔の一部が巻回径に応じて異なる幅で張り出されており、円弧状の面積および形状の異なった電極張出し部8A、8Bが形成されている。各電極張出し部8A、8Bは各電極箔の縁部の集合体であって、電極箔つまり金属体である。そして、素子端面6は、電極箔の間を絶縁するため、電極箔の中心方向の幅より広く設定されたセパレータの縁部で覆われ、電極張出し部8A、8Bより明度の高い部分たとえば、白色である。このため、素子端面6には電極張出し部8A、8Bは明度が低く、これ以外の部分は明度が高く、素子端面6を表す画像2には素子端面6の形状、電極張出し部8A、8Bの面積および形状がコントラストの相違により、明確に表示される。また、着色表示とすれば、画像2には明度の異なるカラー画像が得られる。
【0034】
この画像2には、端面の形状および面積が異なった電極張出し部8A、8Bが表示されている。電極張出し部8A、8Bの形状は電極張出し部8A、8Bとそれ以外の部分とを明度差で仕切る輪郭線によって特定することができる。また、電極張出し部8A、8Bの面積は電極張出し部8A、8Bとそれ以外の部分とを明度差で仕切る輪郭線内の明度の低い部分であって、この部分は画像2を構成するたとえば、画素(ドットマップ)の分布数を用いて算出することができる。
【0035】
このように画像2から電極張出し部8A、8Bの面積または形状の何れか一方または双方から電極張出し部8A、8Bを判別することができる。つまり、電極張出し部8A、8Bに設定されている極性が、面積または形状の何れか一方または双方から電極張出し部8A、8Bを判別することで、いずれの極性かを判別できる。この実施形態では、この極性判別に電極張出し部8A、8Bの識別情報として端面の面積を利用し、この識別情報を画像2から取得している。
【0036】
この電極張出し部8Aの識別に続いて、画像上のデータ処理で基準線Lfの位置を算出し、算出された位置に基準線Lfを生成させ、この基準線Lfを基準にして中心線Loの位置を算出し、算出された位置に中心線Loを生成させている。この実施の形態では電極張出し部8Aの素子中心12側のエッジが認識され、この認識に基づき、
図1に示すように、画像2上に基準線Lfを生成させる。この基準線Lfの位置は、電極張出し部8Aと絶縁間隔10との境界の近傍に生成させているが、絶縁間隔10内でもよい。
【0037】
この基準線Lfを基準に、基準線Lfと平行に、素子中心12を通過する中心線Loを生成させる。つまり、中心線Loは素子中心12を通過しかつ絶縁間隔10内に形成されている。また、これら基準線Lfおよび中心線Loと直交し、素子中心12を通過する直交線Lhを算出し、生成させて表示してもよい。
【0038】
これら基準線Lfおよび中心線Loの生成に続き、中心線Loと実際のコンデンサ素子4の位置合わせ角度とのずれ角度つまり変位角度θを算出し、この角度θがコンデンサ素子4の角度位置の補正情報である。この補正情報に基づき、つまりコンデンサ素子4から取得される画像処理を媒体としてコンデンサ素子4の角度位置を調整することができる。これにより、角度位置の調整を自動化できる。
【0040】
第2の実施の形態は、素子端面を表す画像およびその処理(第1の実施の形態)を含むコンデンサの製造工程を示している。
【0041】
このコンデンサの製造工程について、
図2を参照する。
図2はコンデンサの製造工程の一例を示している。
【0042】
図2に示す製造工程は、本発明のコンデン
サの製造プログラムまたはその製造方法の一例である。この製造工程では、コンデンサ素子4を形成し(ステップS11)、この形成工程において、素子端面6に陽極側および陰極側の電極箔を素子端面6側に突出させ、各電極箔によって電極張出し部8A、8Bが形成される(
図4および
図5)。
【0043】
コンデンサ素子4の素子端面6を撮影する(ステップS12)。素子端面6の画像2がコンデンサ製造システム14(
図3)の制御部16に取得される。
【0044】
制御部16では、画像2から電極張出し部8A、8Bの端面の面積を識別情報として極性を判別する(ステップS13)。この極性判別では、コンデンサ素子4の素子端面6の画像2(
図1)上のコントラストから電極張出し部8A、8Bおよびその形状(輪郭線)を認識し、輪郭線で包囲されている端面の面積を算出する。各電極張出し部8Aと電極張出し部8Bの面積が比較され、面積の比較結果から極性が判別される(ステップS13)。この場合、端面面積が大きい場合をたとえば、陽極側とする。
【0045】
この極性判別の後、画像2上に基準線Lfおよび中心線Loを生成する(ステップS14)。基準線Lfの生成に先立ち、電極張出し部8Aのエッジ(電極張出し部8Bとの対向エッジ)を認識する。このエッジを基準に基準線Lfの位置を算出し、その位置に基準線Lfを生成する。この基準線Lfと平行で素子中心12を通過する中心線Loを生成させる。
【0046】
この中心線Loの生成により、コンデンサ素子4の位置合わせ角度とのずれ角度θを算出する(ステップS15)。検出されたコンデンサ素子4の素子端面6の中心線Loが確定すると、集電板18A、18Bに接続するコンデンサ素子4の位置合わせ角度とのずれ角度θが算出できる。この角度θを補正情報として出力する。
【0047】
この補正情報を用いることにより、コンデンサ素子4の位置補正を経て位置決めを行い(ステップS16)、電極張出し部8A、8Bの成形を行う(ステップS17)。この電極張出し部8A、8Bの成形により、集電板18A、18Bに接続すべき陽極側および陰極側の電極部20A、20Bが形成される。
【0048】
これら電極部20A、20Bの良否判定を行う(ステップS18)。この良否判定は、電極部20A、20B間の短絡などの不良品を排除するための処理である。
【0049】
各電極部20A、20Bは集電板18A、18Bに位置決めされ、溶接により両者の接続が行われる(ステップS19)。そして、集電板18A、18Bには既述の識別情報により識別された極性に応じて封口板22にある外部端子が接続される(ステップS20)。この場合、陽極側の集電板18Aに陽極端子24A、陰極側の集電板18Bに陰極端子24Bが接続される。
【0050】
このようにして、コンデンサ素子4と封口板22が一体化された後、コンデンサ26(
図9)が組み立てられる(ステップS20)。
【0051】
斯かる構成によれば、成形前のコンデンサ素子4の素子端面6の画像から電極張出し部8A、8Bの端面の面積を特定し、端面の面積を識別情報に用いて極性判別を行うので、極性判別を自動化できる。また、素子端面6の画像上に生成した基準線Lfおよび中心線Loに基づき、コンデンサ素子4のずれ角度θの検出により、これを補正情報として位置補正の自動化を図ることができる。
【0052】
このような製造工程によれば、画像2の取得、基準線Lfおよび中心線Lo、素子角度と位置合わせ角度とのずれ角度θの算出、このずれ角度に基づくコンデンサ素子4の位置調整を含む製造の自動化を図ることができ、製造の迅速化、極性精度など、製品精度の高いコンデンサ26(
図9)の製造に寄与することができる。
【0053】
つぎに、このコンデンサ製造システムについて、
図3を参照する。
図3はコンデンサ製造システムの一例を示している。
【0054】
コンデンサ製造システム14は、コンデンサの製造方法および製造プログラムの一例であって、既述の素子端面6の画像2の取得およびその処理(第1の実施の形態)を含む制御を実行する。このコンデンサ製造システム14には
図3に示すように、既述の制御部16、撮影部28、入力部30、表示部32、各種駆動機構34が含まれている。
【0055】
制御部16はコンピュータで構成されており、この実施の形態では、プロセッサ36と、プログラム記憶部38と、データ記憶部39と、RAM(Random-Access Memory)40とを備えている。
【0056】
プロセッサ36はたとえば、CPU(Central Processing Unit )で構成され、プログラム記憶部38に格納されているOS(Operating System)やコンデンサ製造プログラムなどの各種のプログラムを実行する。このプログラムの実行には、画像の取り込み、画像上の情報生成、ずれ角度の算出、コンデンサ素子4の位置補正、制御情報の出力、各種駆動機構34に対する駆動出力を生成する。プログラム記憶部38およびデータ記憶部39はハードディスクなどの記録媒体で構成され、プログラム記憶部38にはOSや既述のプログラムを格納する。またデータ記憶部39には画像データや基準データを格納し、たとえば、撮影部28から取り込まれた画像データ、制御によって生成された画像上の基準線や中心線、角度θなどの各種データを格納する。RAM40は演算途上のデータの保存や、既述のプログラムを実行するワークエリアとして用いられる。
【0057】
撮影部28は撮像手段の一例であってたとえば、ディジタルスチールカメラで構成し、プロセッサ36の制御によりコンデンサ素子4の素子端面6の撮影、画像データを制御部16に出力する。
【0058】
入力部30はたとえば、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置で構成される。
【0059】
表示部32はたとえば、液晶表示器(Liquid Crystal Display:LCD)で構成され、既述の画像2(
図1)などの表示手段を構成する。
【0060】
既述の各種駆動機構34には、巻回機(DLW)42、電極張出し部形成部44、素子保持部46、電極成形部48、集電板保持部50およびレーザ照射装置52などが含まれる。
【0061】
DLW42は、セパレータを挟み込んで陽極側の電極箔と陰極側の電極箔とを巻回し、コンデンサ素子4を形成する。電極張出し部形成部44はDLW42に付随し、巻回される陽極側および陰極側の電極箔の縁部側を所定間隔で成形し、電極張出し部8A、8Bを形成する。
【0062】
素子保持部46は巻回されたコンデンサ素子4を保持し、電極成形部48はコンデンサ素子4の素子端面6にある電極張出し部8A、8Bを素子端面6に折り曲げて電極部20A、20Bに成形する。
【0063】
集電板保持部50は素子端面6の電極部20A、20Bに接続する集電板18A、18Bを所定位置に保持する。コンデンサ素子4を保持している素子保持部46は、既述の補正情報により角度位置を修正する。
【0064】
レーザ照射装置52は、集電板保持部50によって保持された集電板18A、18Bと、コンデンサ素子4の電極部20A、20Bとをレーザ照射により溶接し、電気的な接続を行う。
【0065】
つぎに、コンデンサ素子4および電極張出し部8A、8Bの形成について、
図4を参照する。
図4は電極箔を示している。
図4において、
図1と共通部分は同一符号を付してある。
【0066】
コンデンサ素子4には
図4のAに示す陽極側および陰極側の電極体である電極箔54A、54Bが用いられる。各電極箔54A、54Bにはベース材としてたとえば、アルミニウム箔が用いられる。各電極箔54A、54Bは同一幅の帯状体であり、その両面部に活性炭などの活物質および結着剤を含む分極性電極が形成されている。各電極箔54A、54B一方の縁部には、電極張出し部8A、8Bを形成するための未塗工部56が一定幅で形成されている。この未塗工部56は分極性電極の非形成部分である。
【0067】
各電極箔54A、54Bの未塗工部56には縁部から一定幅の折り目58を形成する。この折り目58はたとえば、ケガキ線であって、この折り目58により折り曲げ時の座屈が防止される。この折り目58は溝で構成し、断面形状は三角、四角又は湾曲(R)であってもよい。この折り目58の形成には例えば、プレス、レーザ、切削等の方法を用いればよい。折り目58は
図4のAに示すように1本であってもよいが、未途工部56の幅に応じて複数本としてもよい。折り目58の形成面部は、未塗工部56の片面でもよいが、両面であってもよい。一例としての折り目58は、素子端面6の素子中心12(巻回素子であれば巻回中心、
図1)に対向する面が谷折りになるように形成する。
【0068】
電極箔54Aの未塗工部56には
図4のBに示すように、電極箔54Aの長手方向に異なる幅Waを持つ複数の電極張出し部8Aを形成する。同様に、電極箔54Bの未塗工部56には
図4のCに示すように、電極箔54Bの長手方向に異なる幅Wbを持つ複数の電極張出し部8Bを形成する。
【0069】
コンデンサ素子4のように巻回素子にあっては、各電極張出し部8A、8Bが絶縁間隔10を挟んで直径方向に素子中心12に対向するように、形成位置が設定され、幅Wa、幅Wbは、周回半径の増加に応じて直線的に増加する幅に設定されている。また、電極張出し部8A、8Bは端面を異ならせ、極性判別が可能な面積に設定されている。各面積の設定は、電極張出し部8B側の電極張出し部の幅Wbを電極張出し部8Aの幅Waより小さく設定している。したがって、
図4のB、C間に示すように、間隔幅WdとWcとを異ならせている。
【0070】
斯かる構成とすれば、
図5に示すように、コンデンサ素子4の素子端面6には半周毎に電極張出し部8A、8Bが形成され、その端面の面積を異ならせた電極張出し部8A、8Bが形成され、絶縁間隔10が一方の縁面間で同一、他方で連続的にコンデンサ素子4の外周方向に拡開させることができる。また、各電極張出し部8A、8Bは、折り目58によって素子中心12側に向かって屈曲させることができる。
【0071】
つぎに、電極張出し部およびその成形について、
図6を参照する。
図6は、
図5に示す素子端面および各電極張出し部を模式的に示している。
【0072】
電極張出し部8A、8Bの図中垂直方向の中心軸(Y軸)方向にコンデンサ素子4の周縁から素子中心12に向かって成形圧力F1を作用させることにより、電極張出し部8A、8Bを折り曲げ、平坦に成形する。この成形範囲を区画部8Aa、8Baとし、各区画部8Aa、8Baの角度をθ
1 とする。θ
1 はたとえば、40〔°〕である。
【0073】
この成形の後、電極張出し部8Aの全角度をたとえば、180〔°〕とすると、残りの区画部8Ab、8Acの角度θ2 はθ2 ={(180−θ1 )÷2}となる。このθ2 はたとえば、70〔°〕である。これら区画部8Ab、8Acに対し、コンデンサ素子4の周縁から素子中心12に向かって成形圧力F2を作用させることにより、区画部8Ab、8Acを折り曲げ、平坦に成形する。
【0074】
また、電極張出し部8Bの全角度を一例として180〔°〕−θx=170〔°〕とすれば、残りの区画部8Bbの角度θ2 を電極張出し部8A側の区画部8Abと同様に、θ
2 ={(180−θ
1 )÷2}とする。つまり、θ
2 は、70〔°〕である。区画部8Bcの角度θ
3 ={170−θ
2 −40}とすれば、電極張出し部8Bの面積を小さくした分だけ狭くなっている。この場合、一例としての角度θ
3 は60〔°〕である。
【0075】
このような区画部8Bb、8Bcに対し、コンデンサ素子4の周縁から素子中心12に向かって成形圧力F2、F3を作用させることにより、区画部8Bb、8Bcを折り曲げ、平坦に成形する。
【0076】
区画部8Aa、8Baには同一直線上の対向方向に成形圧力F1、区画部8Ab、8Bbには同一直線上の対向方向に成形圧力F2、区画部8Acには成形圧力F2、区画部8Bcには成形圧力F3を作用させるので、
図7に示すように、コンデンサ素子4の素子端面6にはバランスの取れた平坦な成形面を成す電極部20A、20Bを形成することができる。
【0077】
つぎに、電極部、集電板の位置決めおよび接続について、
図7を参照する。
図7は集電板の保持、集電板の位置決めを示している。
【0078】
集電板18A、18Bは、
図7に示すように、同一形状であって、素子端面6を絶縁間隔10を挟んで二分するほぼ半円形状に形成されている。各集電板18A、18Bには図中上方に突出させた端子接続部60が中央に形成され、この端子接続部60の両側の背面には素子接続部62が形成されている。各集電板18A、18Bの対向部間に既述の絶縁間隔10と同様に絶縁間隔64を設定することにより、各集電板18A、18Bが集電板保持部50のチャッキング部66A、66Bで所定位置に位置決めされている。
【0079】
これに対し、コンデンサ素子4は素子保持部46の保持テーブル68に保持されている。コンデンサ素子4の素子中心12と、各集電板18A、18Bの保持中心軸を一致させ、コンデンサ素子4の角度位置を調整する構成である。
【0080】
そこで、第1の実施の形態で述べたように、コンデンサ素子4の素子端面6の撮影により得た画像2から基準線Lf、中心線Loが制御部16によって求められ、予め設定された集電板18A、18Bの位置合わせ角度との間にずれ角度θが求められている。このずれ角度θを補正情報に用いて素子保持部46の保持テーブル68を回転させることにより、コンデンサ素子4の中心線を位置合わせ角度位置Lθ(
図1)に合致させ、つまり、角度差を補正し、位置設定を完了する。
【0081】
このように位置設定された集電板18Aと電極部20Aとをレーザ溶接により接続するとともに、集電板18Bと電極部20Bとをレーザ溶接により接続する。レーザ溶接は集電板18A、18Bの素子接続部62の上面からレーザ照射を行い、素子中心12側からコンデンサ素子4の周辺方向に放射状に延びる溶接ライン70(
図8)で溶接されている。
【0082】
つぎに、集電板18A、18Bと外部端子との接続について、
図8を参照する。
図8は封口板およびコンデンサ素子を示している。
【0083】
コンデンサ素子4の素子端面6には
図8に示すように、既述の処理によって集電板18A、18Bが溶接によって接続されている。接続には既述のレーザ溶接や電子ビーム溶接が用いられ、集電板18Aの素子接続部62にはコンデンサ素子4の陽極側の電極部20Aが接続され、集電板18Bの素子接続部62にはコンデンサ素子4の陰極側の電極部20Bが接続されている。このように集電板18A、18Bが接続されたコンデンサ素子4では、集電板18A、18Bの形状が共通化されているので、この状態で集電板18A、18B上から極性を視認することは困難である。このため、コンデンサ素子4の電極張出し部8A、8Bの画像認識により、端面の面積により電極張出し部8A、8Bがいずれの極性であるかを表す識別情報が外部端子との接続に用いられる。つまり、素子保持部46の保持テーブル68に設置されているコンデンサ素子4における集電板18A、18Bの極性はコンデンサ素子4との接続段階で認識されている識別情報を用いればよい。
【0084】
これに対し、封口板22にある外部端子は陽極端子24Aと陰極端子24Bに区別され、個性化されている。このため、陽極端子24Aは陽極側の電極箔54Aつまり、電極張出し部8A側に接続し、陰極端子24Bは陰極側の電極箔54Bつまり、電極張出し部8B側に接続することが必要である。
【0085】
位置決めされたコンデンサ素子4にある集電板18Aは陽極側であり、集電板18Bは陰極側であるから、これら集電板18A、18Bに封口板22にある陽極端子24A、陰極端子24Bが位置決めされる。そして、集電板18A、18Bの端子接続部60の側面に形成された溶接面74と、陽極端子24Aまたは陰極端子24Bの側壁に形成された溶接面76との間をレーザ照射装置52のレーザ照射により溶接する。これにより、陽極端子24Aまたは陰極端子24Bとコンデンサ素子4とが一体化されて単一の部品化が行われ、しかもコンデンサ素子4側の極性と封口板70側の極性が合致した構成が実現される。
【0086】
このように、素子端面6の画像2を用いて得られた極性判別のための識別情報を用いることにより、封口板22にある陽極端子24A、陰極端子24Bとの接続に至るまで、目視による極性判別を必要とすることなく、既述の識別情報を用いて自動化される。これにより、誤認の無い信頼性の高い極性設定が実現される。
【0087】
この実施の形態の封口板22にあっては、硬質樹脂板からなる本体部78のインサート成形により、陽極端子24Aおよび陰極端子24Bを固定されている。この封口板22の上部縁部にはゴムなどの気密性のある弾性材料で形成された封止部80が設置されている。図示しないが陽極端子24Aおよび陰極端子24Bは、形状や標識により陽極側と陰極側とが区別されている。
【0088】
つぎに、コンデンサの組立ておよびコンデンサについて、
図9を参照する。
図9はコンデンサの一例を示している。
【0089】
図9に示すコンデンサ26では、アルミニウムなどの金属材料で形成された有底筒状の外装ケース82が用いられている。この外装ケース82にはコンデンサ素子4とともに、封口板22が挿入され、この封口板22は絞り加工された外装ケース82の段部84に固定されている。外装ケース82の開口端部86をカーリング処理によって封止部80内に食い込ませ、外装ケース82が封止されている。コンデンサ素子4の周囲部には既述のコンデンサ素子4の巻回終了時に処理された保持テープ88が巻き付けられている。
【0091】
第3の実施の形態は、コンデンサ素子の巻きずれ検出処理である。
【0092】
この巻きずれ検出について、
図10を参照する。
図10はコンデンサ素子の巻きずれ検出処理の一例を示している。
【0093】
この実施の形態では、第1の実施の形態で取得した画像2を用いる。この画像2に表示された素子端面6にある電極張出し部8A、8Bの端面の形状領域(検出領域)に対応し、基準領域90A、90Bを生成する。基準領域90A、90Bは予めデータ記憶部39に記憶しておき、このデータ記憶部39から読み出して用いればよい。基準領域90A、90Bは、形状を表す輪郭データでもよいし、面積データであってもよい。
【0094】
取得した画像2上の電極張出し部8A、8Bの端面から検出された検出領域と、基準領域90A、90Bとを対比し、電極張出し部8A、8Bの端面の検出領域が基準領域90A、90B内にあるか否かを判定する。基準領域90A、90B内から逸脱していれば、コンデンサ素子4に巻きずれが生じており、不良品であることが分かる。
【0095】
斯かる構成とすれば、成形処理前の電極張出し部8A、8Bの段階で不良品の摘出が可能となり、製品の信頼性を高めることができる。
【0097】
第4の実施の形態は、コンデンサ素子の電極部の不良検出処理である。
【0098】
この電極部20A、20Bの不良検出について、
図11を参照する。
図11は電極部の不良検出の一例を示している。
【0099】
この実施の形態では、電極張出し部8A、8Bの成形処理後の不良検出を行う。電極張出し部8A、8Bが成形された際、その成形によっては電極張出し部8A、8B間が接触する場合がある。
【0100】
そこで、電極部20A、20Bに成形されたコンデンサ素子4の素子端面6を撮影し、この素子端面6にある絶縁間隔10に
図11に示すように、一定幅Wfの基準線92A、92Bを生成する。この基準線92A、92Bは、第1の実施の形態で算出した中心線Loを基準にして生成させてもよいし、素子中心12を基準に素子中心12を中心に含む一定幅Wfの平行線を生成させてもよい。
【0101】
これら基準線92A、92Bの幅Wf内に電極張出し部8A、8Bがはみ出しているか否かを判定する。つまり、セパレータからなる明度の高い部分と、金属色からなる電極張出し部8A、8Bの明度の低い部分とのコントラストにより、基準線92A、92Bの幅Wf内に電極張出し部8A、8Bがはみ出しているか否かを検出することができる。このような検出による判定により、幅Wf内に電極張出し部8A、8Bのいずれか一方または双方が存在すれば、電極張出し部8A、8Bの折込み不良として、コンデンサ素子4を不良品として製造ラインから排除すればよい。これにより製品の信頼性を高めることができる。
【0103】
(1) 上記実施の形態では、コンデンサ素子4に巻回素子を用いているが、これに限定されない。積層素子であってもよい。
【0104】
(2) 上記実施の形態では、コンデンサ素子4より導出された電極張り出し部8A、8Bの端面形状または端面面積に基づき、極性判別を行っているが、これに限定されない。コンデンサ素子4より導出された電極張り出し部8A、8Bを成形圧力を作用させて形成した成形面である電極部20A、20Bの端面形状または端面面積に基づき、極性判別を行ってもよい。また、コンデンサ素子4より導出された電極張り出し部8A、8Bを成形圧力を作用させて形成した成形面である電極部20A、20Bを形成せずに、電極張り出し部8A、8Bに直接集電板18A、18Bを接続してもよい。
【0105】
(3) 上記実施の形態では、陽極側および陰極側に同一形状の集電板18A、18Bを用いているが、陽極側と陰極側とで形状または面積を異ならせ、該形状または該面積により陽極側または陰極側が特定されて外部端子と接続される構成であってもよい。
【0106】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。