(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場を走行する走行車体(2)と、走行車体(2)の後部に昇降リンク機構(3)と、昇降リンク機構(3)の後部に圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を有する予備苗枠(38)と、走行車体(2)に予備苗枠(38)を回動自在に支持する支柱(49)を備えた苗移植機において、
前記支柱(49)に作業資材を載置する資材載置台(64)を設け、該支柱(49)を回動させると該資材載置台(64)が機体前側または側方に突出する構成とし、
前記支柱(49)は、機体前後方向に回動自在な支持フレーム(49c)と、該支持フレーム(49c)に機体内外側方向に回動自在に設ける苗枠フレーム(49d)で構成し、
前記苗枠フレーム(49d)を機体外側に回動させると前記予備苗枠(38)が作業資材の積載形態となることを特徴とする苗移植機。
前記支柱(49)は、前記走行車体(2)の前側左右両側に各々設ける第1支柱(49a)と第2支柱(49b)とし、該第1支柱(49a)と第2支柱(49b)に前記予備苗枠(38)を各々設け、
前記第1支柱(49a)の上端に補助苗載せ台(38d)を載置した後方移動アーム(49e)を回動自在に配置し、前記第2支柱(49b)の上端に補助苗載せ台(38e)を載置した前方移動アーム(49f)を回動自在に配置し、
前記後方移動アーム(49e)を機体前方に回動させると前方移動アーム(49f)が連動して機体前方に回動する構成とすると共に、該前方移動アーム(49f)を機体後方に回動させると後方移動アーム(49e)が連動して機体後方に回動する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
前記支柱(49)は、前記走行車体(2)の前側左右両側に各々設ける第1支柱(49a)と第2支柱(49b)とし、該第1支柱(49a)と第2支柱(49b)に前記予備苗枠(38)を各々設け、該第1支柱(49a)と第2支柱(49b)を連結アーム(49g)で連結し、
該連結アーム(49g)の左右方向中央部に回動ピン(49h)を設け、該回動ピン(49h)を支点として水平方向に回動する補助載置アーム(49i)を設け、該補助載置アーム(49i)の両端部に補助苗載せ台(38f,38g)を各々設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
前記複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)のうち、作業資材の下部を支持する予備苗載せ台(38c)よりも上方の予備苗載せ台(38a,38b)を切り欠いて、作業部材が入り込む資材載置部(S)を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。
前記複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を上下回動自在に設け、該複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)のうち、作業資材の下部を支持する予備苗載せ台(38c)よりも上方の予備苗載せ台(38a,38b)に、機体外側が開放されたコの字型の資材載置部材(63a,63b)を設け、
該資材載置部材(63a,63b)の基部側が予備苗載せ台(38a,38b)の基部に固定支持され、予備苗載せ台(38a,38b,38c)を苗を積載する位置に回動させると、この回動に連動して資材載置部材(63a,63b)のコの字型の開放端部が支柱(49)の長手方向に沿う方向に回動し、
前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を支柱(49)側への回動に連動して資材載置部材(63a,63b)が支柱(49)の長手方向に直交する方向の資材載置位置に回動し、作業部材が入り込む資材載置部(S)が形成される構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び
図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが乗用型田植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0026】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11(走行装置)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0027】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0028】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられており、この領域を操縦部33とする。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0029】
昇降リンク装置3は平行リンク機構であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
【0030】
メインフレーム15に固着した支持部材(図示せず)と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧式シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0031】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a,…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト51b,…により苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51a,…に供給された苗を圃場に植え付ける苗植付装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ75(
図1)等を備えている。
【0032】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52,…により苗が植え付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧式シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示せず)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0033】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61,…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62,…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず),…まで導き、施肥ガイド,…の前側に設けた作溝体76(
図1),…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62,…に吹き込まれ、施肥ホース62,…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0034】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)が取り付けられている。また、苗載せ台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0035】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗枠38,38が走行車体2のフロアステップ35の両側面下部に基部側を配置した支柱49(49a,49b)に支持されている。走行車体2に回動自在に支持された支柱49は分岐支柱49a,49bを有し、該分岐支柱49a,49bにそれぞれ予備苗枠38を取り付け、分岐支柱49a,49bの基部側の支柱49を回動支点として各予備苗枠38が支柱49に支持されており、予備苗枠38はそれぞれ一対の第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cを備えている。
一方の機体側面にある第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを上下三段に配置した場合の斜視簡略図を
図3に示し、簡略平面図と簡略側面図と簡略正面図を
図4(a),
図4(b)及び
図4(c)にそれぞれ示す。
【0036】
本実施例の苗移植機は
図3,
図4に示すように分岐支柱49a,49bに固定支持された予備苗載せ台38a,38b,38cの中で作業資材の下部を支持する最下段の予備苗載せ台38cよりも上方の予備苗載せ台38a,38bの前後及び機体内側の一部以外を切り欠いて作業部材等が入り込む資材載置部Sを形成したことを特徴とする。
【0037】
予備苗載せ台38a,38b,38cに苗以外の肥料袋等の作業資材を載置する資材載置部Sを形成したことにより、苗以外の作業資材を予備苗枠38に載置することができるので、作業資材を走行車体2のステップ35などの上に載置する必要が無く、作業者が走行車体2に設けられたステップ35などの上を動きやすくなり、作業能率が従来技術より向上する。
【0038】
また、予備苗枠38を機体前側もしくは側方に支柱49を支点として回動させて機体外部から苗や作業資材を載せることができると共に、予備苗枠38を機体後側に回動させて載せていた苗や資材を取ることができるので、作業者が走行車体2のステップ35上を移動する距離を抑えることができ、作業能率が従来技術より向上する。
【0039】
また、予備苗載せ台38a,38bに切欠部を設けて、この切欠部を資材載置部Sとすることにより、肥料等の作業資材を予備苗枠38の前後及び左右幅内に載置することができるので、載置した作業資材が作業者の移動を妨げることが無く、作業能率が従来技術より向上する。
【0040】
また、予備苗載せ台38b,38cの前後及び機体内側の一部を残して切り欠いて資材載置部Sを形成したことにより、作業資材を三方から支持することができるので、作業資材が倒れて予備苗枠38から落下しにくくなり、落下した作業資材を拾う作業が不要となり、作業能率が従来技術より向上する。
さらに、機体外側が開放されていることにより、資材載置部Sから作業資材を取り出しやすいので、作業能率が従来技術よりいっそう向上する。
【0041】
資材載置部材63a,63bを予備苗載せ台38a,38bの回動軸とする方式(予備苗載せ台38a,38bの回動により、資材載置部材63a,63bが回動する方式)と、ギヤ方式(予備苗載せ台38a,38bの回動軸と資材載置部材63a,63bにそれぞれギヤ45,45を設け、噛み合いにより連動する方式)とする。
【0042】
本実施例を
図5(a)と
図5(b)の側面図に示す。
図5(a)は資材載置部材63a,63bが支柱49a,49b側に回動して苗を積載する位置(=通常の作業位置)にある状態を示し、また
図5(b)は資材載置部材63a,63bが予備苗載せ台38c上に載置された資材を挟み込んで支持した状態を示す。
【0043】
本実施例では、予備苗載せ台38a,38bは、その基部側を上下方向に回動自在に支柱49a,49bに装着し、作業資材を載置する予備苗載せ台38cよりも上方の予備苗載せ台38a,38bの基部側に、機体外側が開放されたコの字型の資材載置部材63a,63bの基部側をそれぞれ予備苗載せ台38a,38bと一体的に取り付け、予備苗載せ台38a,38bの支柱49a,49b側が回動するとこれと、これと一体の資材載置部材63a,63bも基部側を中心にギヤ45,45を用いて回動する構成とする。そして
図5(a)に示すように資材載置部材63a,63bの開放端がそれぞれ支柱49a,49bに沿った方向に向くように回動させて、予備苗載せ台38a,38b,38cを苗積載位置(=通常の作業位置)とする状態となり、
図5(b)に示すように予備苗載せ台38a,38bの平面を支柱49a,49bの長手方向(上下方向)に沿った状態になるように回動させると、予備苗載せ台38cに載置された作業資材が資材載置部材63a,63bの開放端内に挟み込まれる資材載置部Sを形成するように構成されている。
【0044】
こうして、予備苗載せ台38a,38b,38cを苗の積載位置に回動させる動作に連動して資材載置部材63a,63bが支柱49a,49b側に回動し、予備苗載せ台38a,38b,38cを支柱49a,49b側に回動させると資材載置部材63a,63bが資材載置部Sの位置に回動して資材等を載置できる領域を形成する構成としたことにより、作業に合わせて資材載置部Sに載置した資材等を確実に保持することができるので、苗や作業資材等が落下することが防止され、落ちたものを拾う作業が不要となり、作業能率が従来以上に向上する。また、コの字型の資材載置部材63a,63bは、機体外側を放したことにより、資材載置部Sから作業資材を取り出しやすいので、作業能率が従来技術よりいっそう向上する。
なお、線引きサイドマーカ47を予備苗枠支持フレーム48に支持させて機体両側に設ける。
【0045】
図6〜
図9には本発明の一実施例の苗枠38とそれに関連する構成を示す。
図6は一方の苗枠38部分に肥料積み込み状態にした場合の正面図であり、
図7は一方の苗枠38部分に苗積み込み状態にした場合の正面図である。また
図8は一方の苗枠38部分に積み込んだ肥料を搬送している場合の平面図である。
【0046】
図6に示すように走行車体2の前部の左右方向にU字状の予備苗枠支持フレーム48を設け、該予備苗枠支持フレーム48の上方に向いたU字状の両端部に基部が接続される支持フレーム49cと該支持フレーム49cの外側端部に苗枠フレーム49dを備えた支柱49を備えている。予備苗枠支持フレーム48のU字状の両端部に設けられた鉛直方向に向いた回動軸49caに支持フレーム49cの基部が水平方向に回動自在に接続されている。また該支持フレーム49cの外側端部に設けられた水平方向に向いた回動軸49daに基部が機体内外方向に回動自在に苗枠フレーム49dが接続されている。
【0047】
また、苗枠フレーム49dの機体内側に作業資材を載置する資材載置台64を配置し、苗枠フレーム49dの機体外側に予備苗載せ台38a,38b,38cを配置し、
図7に示すように機体内側に苗枠フレーム49dを回動させて直立させると、予備苗載せ台38a,38b,38cに苗を積載可能となり、機体外側に苗枠フレーム49dを回動させると、資材載置台64が資材載置部Sとなり作業資材が積載可能になる。
こうして、苗枠フレーム49dの回動により、予備苗載せ台38a,38b,38cに苗を載置する形態と資材載置台64に作業資材を載置する形態を使い分けることができるので、苗及び作業資材を確実に積載することが可能となり、載置物の落下が防止される。
【0048】
また、
図8に示すように、支持フレーム49cが鉛直回動軸49caを中心として前後方向に回動する構成としたことにより、予備苗枠38を機体前側及び側方に突出させることができるので、機外から予備苗枠38に苗や作業資材を積み込みやすくなり、作業能率が従来より向上する。
さらに、苗枠フレーム49dを
、水平回動軸49daを中心に回動させて、予備苗載せ台38a,38b,38cを機体後方に回動させると、苗や作業資材を走行車体2上に位置さ
せることができる。
【0049】
図6〜
図8に示す他方のU字状の支柱48の先端には予備苗枠38(予備苗載せ台38a,38b,38c)を回動可能に支持する回動支持フレーム80が回動自在に支持されている。回動支持フレーム80を中心に平面視で180度、ボンネット32側に予備苗枠38を回動させると、走行車体2の外側にあったステップ35上に予備苗枠38が位置するので、倉庫などへの苗移植機の収納時に邪魔にならない。また回動支持フレーム80の機体内側には苗箱、苗
取板を一時的に載置できるケース81を配置している。
また、予備苗載せ台38a,38b,38cは、詳細な説明は省略するが予備苗載せ台38a,38b,38cがそれぞれ3本の移動リンク部材39a,39b,39cにより駆動装置(電動モータ内蔵)70の駆動力により上下に配置される積載状態と圃場同一平面に配置される展開状態(
図8)に配置位置を変えることができる。
【0050】
図9の正面図と
図10の平面図に本発明の一実施例の苗移植機前方部の構成を示し、以下、本実施例について説明する。
本実施例では走行車体2の前側左右両側にそれぞれ配置された予備苗枠38は、左右の第1,第2支柱49a,49bにそれぞれ支持される。該支柱49a,49bは
図9に示すように、走行車体2に対して左右幅方向に取り付けられている支持基材48の両端に支持されている。左右一側の予備苗枠38を支持する第1支柱49aの上側に、左右他側端部に第1補助苗載せ台38dを載置した後方移動アーム49eを回動自在に配置し、左右他側の予備苗枠38を支持する第2支柱49bの上側に、左右一側端部に第2補助苗載せ台38eを載置した前方移動アーム49fを回動自在に配置している。
【0051】
後方移動アーム49eを機体前方に回動させると、後方移動アーム49eに当接する前方移動アーム49fが連動して機体前方に回動する。また、前方移動アーム49fを機体後方に回動させると、前方移動アーム49fが当接する後方移動アーム49eが連動して機体後方に回動する。
【0052】
上述のように前方移動アーム49fと後方移動アーム49eが機体の前後に回動すると、互いに連動するので、後方移動アーム49e及び前方移動アーム49fを機体前後方向に回動させて第1,第2補助苗載せ台38
d,38
eに苗や作業資材を載置することができる。こうして、走行車体2上を移動することなく、作業者が苗や作業資材を受け取ることができるので、作業能率が従来以上に向上するとともに、作業者の労力の軽減が図られる。
【0053】
図11の正面図と
図12の平面図に苗移植機前方部を示す実施例について、以下説明する。
本実施例では予備苗枠38を走行車体の前側左右両側にそれぞれ配置し、左右の予備苗枠38の第1,第2支柱49a,49bの上側を連結するコの字型の連結アーム49gを設け、該連結アーム49gの上部で且つ左右方向中央部に回動ピン49hを設け、該回動ピン49hを支点として水平方向に回動する補助載置アーム49iを設け、該補助載置アーム49iの両端部に、それぞれ第
3,第
4補助苗載せ台38
f,38
gを設けた。
【0054】
上記した
図11と
図12に示す構成を採用することにより、左右の予備苗枠38が連結アーム49gで連結され、予備苗枠38及び走行車体2の強度を高めることができる。このため、耐久性が従来以上に向上すると共に、重い作業資材を予備苗枠38上に積載しておくことができ、作業能率が従来以上に向上する。
【0055】
また、補助載置アーム49iが回動ピン49hを中心として水平方向に自在に回動するので、作業者が走行車体2上を移動することなく機体外部から苗や作業資材を積み込めると共に、走行車体2上で苗や作業資材を受け取ることができるため、作業能率が向上し、作業者の労力の軽減を図ることができる。
さらに、連結アーム49gの左右中心部に設けた回動ピン49hを支点とすると共に、補助載置アーム49iの両端部に補助苗載せ台38f,38gを設けたことにより、補助載置アーム49iを回転させてもバランスが崩れにくく、走行姿勢や植付姿勢が安定する。
【0056】
本実施例の苗移植機の前側部分の側面図を
図13(a)に、平面図を
図13(b)に、そして正面図を
図13(c)に示す。
本実施例ではステップ35を合成樹脂製とし、機体前端から後方の肥料ホッパ60の手前まで斜面を含めて連続した溝35aを左右に2本ずつ、合計4本設ける。さらに前記左右の各2本の溝35aの幅を肥料袋等を載せる台車85の左右の車輪85aなどの幅と同じにする。なお、台車85の前輪相当部位には一対のスタンド85bを取り付け、後輪相当部に左右一対の車輪85aを設ける。
【0057】
図13に示すような溝35a付きステップ35を合成樹脂で成型すると、地上で台車85に肥料袋などを載せた上で、苗移植機の前方からステップ35上に台車85の後方の車輪85aを溝35aに嵌めて、台車85のスタンド85bを浮かせながら苗移植機の後方に台車85を容易に移動させることができる。そして、台車85からホッパ60の隣接位置で肥料をホッパ60内に投入することができる。
【0058】
図14には
図13の溝35aの代わりに凸部35bを形成したステップ35を用いる実施例を示す。すなわち、苗移植機の前側部分の平面図(
図14(a))と正面図(
図14(b))に示すように、機体前端から後方の肥料
ホッパ60の手前まで斜面を含めて合成樹脂製のステップ35
に不連続な凸部35bを左右に2列ずつ、合計4列設ける。2列の不連続な凸部35bは左右でピッチをずらせて配置している。
図14(c)に台車85の斜視図を示し、
図14(d)には、台車85に設けた車輪85aが前記ステップ35の凸部35bに嵌った状態の車輪85a部分の断面図を示す。車輪85aの外周部に設けたリング状の溝85a1がステップ35の凸部35bに嵌ることで台車85がステップ35上を走行中に左右方向にずれることがない。
【0059】
こうして、地上で台車85に肥料袋などを載せた上で、苗移植機の前方からステップ35上に台車85の後方の車輪85aの溝85a1をステップ35の凸部35bに嵌めて、台車85を苗移植機の後方に台車を容易に移動させることができる。そして、台車85からホッパ60の隣接位置で肥料をホッパ60内に投入することができる。
【0060】
苗移植機に設ける苗枠38(予備苗載せ台38a,38b,38c)の一実施例として
図15(a)に走行車体の側面から見た図、
図15(a)の矢印A方向から見た図を
図15(b)に、そして一番上側に載置する第1予備苗載せ台38aの平面図を
図15(c)に示す。
第1予備苗載せ台38aの中央には矩形の開口部38a1を設ける。該開口部38a1の長辺は矩形の苗箱87の短辺より少し大きめとし、前記開口部38a1の短辺は矩形の苗箱87の高さの整数倍(
図15(b)には4倍)より少し大きめとしているので、
図15(a),
図15(b)に示すように、使用後の複数個の苗箱87を第1予備苗載せ台38aの中央には開口部38a1に挿入して一時的に収納できる。
【0061】
図16にリードカム軸92とその周りに設けられる左右のブーツ90,90の透視図を示す。
図1等に示す苗植付装置52を左右方向へ移動させて苗載せ台51の苗を順次掻き取りながら圃場に苗を植え付けるが、苗植付装置52の左右方向への前記移動は、伝動ケース50(
図1)内の図示しない伝動軸の回転(エンジン20側からの動力により回転する)により苗植付装置52と一体の苗載せ台51が左右に往復移動することで行われる。
【0062】
前記図示しない伝動軸と平行した位置にリードカム軸92が配置されており、該リードカム軸92は伝動軸からの動力がチェーンなどを介して伝達される。リードカム軸92には周面に往復螺旋状のカム溝92aが設けられており、該カム溝92aに苗載せ台51の底部下面に突出するリードカム51cが係合しているのでリードカム軸92の回転により苗載せ台51が左右に往復移動する構成になっている。
【0063】
前記リードカム軸92はカム溝92aが泥などで埋まることがないようにブーツ90,90で覆われている。しかし左右のブーツ90,90の内部には、粘性の強いグリスが封入されている。該ブーツ90に封入されたグリスの重みでブーツ90が下がりリードカム軸92に接触するおそれがある。
そこで、
図16に示すようにブーツ90の内側表面にリードカム軸92の径より大径のスプリング93を配置しておくとブーツ90がリードカム軸92に接触しないので、ブーツ90の破損が防止できる。
【0064】
なお、
図16に示す左右のブーツ90,90にそれぞれ形成されるパイプ94には次のような機能がある。すなわち、苗の植付作業中、リードカム51cが回転するリードカム軸92に接触し、このリードカム51cが移動することにより苗植付部4は左右に摺動する。このときリードカム51cは移動方向のブーツ90を押し縮めながら移動するため、ブーツ90内に封入されたグリスの逃げ場がなくなり、内圧が高くなってくる。このときグリスの逃げ場がないと、ブーツ90の隙間からグリスが漏れ出したり、ブーツ90が圧に耐え切れず破裂したりするおそれがある。
これを防止するために左右のブーツ90,90の上部に形成した連結口をパイプ94で連結し、内圧が高くなると一方のブーツ90内のグリスや空気が他方のブーツ90内に移動できる構成としている。
【0065】
また、左右のブーツ90,90の連結口をパイプ94で連結することにより、僅かながらパイプ94が左右のブーツ90,90の外れを防止するストッパになる。
なお、リードカム51cに押し縮められる際に変形しにくいよう、ブーツ90は図の通り蛇腹としている。
【0066】
また、
図16のスプリング93に代えて
図17のリードカム軸92とその周りに設けられるブーツ90の透視図を示すように、ブーツ90の外側の上方にブーツ90をリング97を介して吊るすロッド99を掛け渡してブーツ90がリードカム軸92に接触しないようにしても良い。