特許第6069905号(P6069905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069905
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】睡眠センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A61B5/10 310A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-143013(P2012-143013)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-4227(P2014-4227A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安本 千晶
(72)【発明者】
【氏名】樋江井 武彦
(72)【発明者】
【氏名】重森 和久
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−034954(JP,A)
【文献】 特開2008−023048(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/082252(WO,A1)
【文献】 特開平02−077259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝者(S)の体動を検知する睡眠センサであって、
上記就寝者(S)の下側に設置され、該就寝者(S)の体動の変化に伴い内圧が変化する感圧チューブ(21)と、
上記感圧チューブ(21)の内圧を受けて圧力信号を出力する受圧部(30)と、
上記感圧チューブ(21)の上側及び下側のうちの両方に配設される平板部材(40)と、
上記平板部材(40)における上記感圧チューブ(21)の長手方向の両端部にそれぞれ設けられ、該感圧チューブ(21)を着脱自在に保持する一対の保持部(55)とを備え、
上側の上記平板部材(42)の側辺部には、切り欠き部(46)が形成され、
上記保持部(55)は、下側の上記平板部材(41)のうち上記切り欠き部(46)の内部に対応する位置に設けられ、上記感圧チューブ(21)を着脱自在に挟み込む一対の突起部(56,56)で構成される
ことを特徴とする睡眠センサ。
【請求項2】
就寝者(S)の体動を検知する睡眠センサであって、
上記就寝者(S)の下側に設置され、該就寝者(S)の体動の変化に伴い内圧が変化する感圧チューブ(21)と、
上記感圧チューブ(21)の内圧を受けて圧力信号を出力する受圧部(30)と、
上記感圧チューブ(21)の上側及び下側のうちのいずれか一方又は両方に配設される平板部材(40)と、
上記平板部材(40)における上記感圧チューブ(21)の長手方向の両端部にそれぞれ設けられ、該感圧チューブ(21)を着脱自在に保持する一対の保持部(50,55)とを備え、
上記一対の保持部(50,55)は、上記感圧チューブ(21)が挿通される挿通孔(53)をそれぞれ有し、上記平板部材(40)に固定されるシート部材(50)で構成されることを特徴とする睡眠センサ。
【請求項3】
請求項2において、
上記シート部材(50)には、該シート部材(50)の側縁部から上記挿通孔(53)に亘ってスリット(54)が形成されることを特徴とする睡眠センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝者の体動を検知する睡眠センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、就寝者の体動を受圧する睡眠センサが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の睡眠センサは、空気管を介して生体情報収集装置に接続される。睡眠センサは、ベッドの寝具台とマットレスの間に介設される中空状の感圧チューブ(空気収容体)と、感圧チューブの内圧が作用する受圧部を有している。就寝者が体動を生起すると、この体動が感圧チューブに作用し、感圧チューブの内圧が変化する。受圧部(例えば圧力センサやマイクロフォン)は、この内圧を受けて生体情報収集装置に圧力信号を出力する。これにより、生体情報収集装置では、就寝者の寝返り、呼吸、心拍等に由来する体動が計測される。
【0004】
ところで、睡眠センサが配設される寝具においては、寝具台の上面に凹凸が形成されることがある。この場合、寝具台の上面に感圧チューブをそのまま接触させて敷設すると、感圧チューブがこれらの凹部に落ち込んでしまい、睡眠センサで出力される圧力信号のレベルが低下してしまう。そこで、同文献に記載の睡眠センサでは、寝具台の上側に平板部材を配置し、この平板部材の上側に感圧チューブを設置している。この結果、感圧チューブが寝具台の凹部に落ち込むことが防止され、体動の検出精度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−82585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の睡眠センサでは、同文献の図4に示すように、平板部材(板体2)の上側の中央部に溝5を形成し、この溝5の内部に感圧チューブ(空気収容体3)を嵌め込むことで、感圧チューブ3を所望の位置に保持している。しかし、この構成では、就寝者の体動が作用する状態の感圧チューブの変形が、溝5によって規制されてしまう。このため、感圧チューブの変化量が小さくなり、体動の検出精度が低下してしまう虞がある。
【0007】
一方、このような問題を解消するために、感圧チューブを接着等によりそのままの状態で平板部材に固定することも考えられる。しかし、この構造では、感圧チューブを平板部材から簡易に取り外すことができず、例えば感圧チューブの洗浄や交換等のメンテナンスが煩雑となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、就寝者の体動を精度よく検出でき、しかもメンテナンスを容易に行うことができる睡眠センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、就寝者(S)の体動を検知する睡眠センサを対象とし、上記就寝者(S)の下側に設置され、該就寝者(S)の体動の変化に伴い内圧が変化する感圧チューブ(21)と、上記感圧チューブ(21)の内圧を受けて圧力信号を出力する受圧部(30)と、該感圧チューブ(21)の上側及び下側のうちの両方に配設される平板部材(40)と、該平板部材(40)における上記感圧チューブ(21)の長手方向の両端部にそれぞれ設けられ、該感圧チューブ(21)を着脱自在に保持する一対の保持部(50,55)とを備え、上側の上記平板部材(42)の側辺部には、切り欠き部(46)が形成され、上記保持部(55)は、下側の上記平板部材(41)のうち上記切り欠き部(46)の内部に対応する位置に設けられ、上記感圧チューブ(21)を着脱自在に挟み込む一対の突起部(56,56)で構成されることを特徴とする。
【0010】
第1の発明では、感圧チューブ(21)が、保持部(50,55)を介して平板部材(40)の両端部に保持される。これにより、感圧チューブ(21)の位置ずれが防止される。また、感圧チューブ(21)では、平板部材(40)の両端部の間の中間部が、保持部(50,55)によって保持されない。このため、就寝者(S)の体動が作用した状態の感圧チューブ(21)では、この中間部が何ら規制されることなく変形する。この結果、感圧チューブ(21)の内圧の変化に伴って受圧部(30)から出力される圧力信号が大きくなる。
【0011】
また、感圧チューブ(21)は、保持部(50,55)に着脱自在に保持されるため、感圧チューブ(21)を平板部材(40)から容易に取り外せる。
【0012】
第2の発明は、就寝者(S)の体動を検知する睡眠センサを対象とし、上記就寝者(S)の下側に設置され、該就寝者(S)の体動の変化に伴い内圧が変化する感圧チューブ(21)と、上記感圧チューブ(21)の内圧を受けて圧力信号を出力する受圧部(30)と、該感圧チューブ(21)の上側及び下側のうちのいずれか一方又は両方に配設される平板部材(40)と、該平板部材(40)における上記感圧チューブ(21)の長手方向の両端部にそれぞれ設けられ、該感圧チューブ(21)を着脱自在に保持する一対の保持部(50,55)とを備え、上記一対の保持部(50,55)は、上記感圧チューブ(21)が挿通される挿通孔(53)をそれぞれ有し、上記平板部材(40)に固定されるシート部材(50)で構成されることを特徴とする。
【0013】
第2の発明の保持部(50,55)は、挿通孔(53)を有するシート部材(50)で構成される。シート部材(50)の挿通孔(53)に感圧チューブ(21)を通すことで、感圧チューブ(21)がシート部材(50)に着脱自在に保持される。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、上記シート部材(50)には、該シート部材(50)の側縁部から上記挿通孔(53)に亘ってスリット(54)が形成されることを特徴とする。
【0015】
第3の発明では、感圧チューブ(21)が、スリット(54)を通じて挿通孔(53)の内外へ出し入れされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、感圧チューブ(21)の中間部の変形量を充分確保でき、受圧部(30)から出力される圧力信号のレベルを増大できる。この結果、睡眠センサでは、就寝者(S)の体動を精度よく検出できる。
【0017】
しかも、感圧チューブ(21)は、保持部(50,55)に着脱自在に構成されるため、感圧チューブ(21)の取り外し、及び取り付けを容易に行うことができる。従って、感圧チューブ(21)のメンテナンス性を向上できる。特に、例えばこの睡眠センサを病棟内の寝具に適用する場合、この感圧チューブ(21)の洗浄や消毒を容易に行うことができ、病棟内の清潔性を保つことができる。
【0018】
更に、感圧チューブ(21)は、平板部材(40)の両端部によって少なくとも2箇所で保持されるため、感圧チューブ(21)が撓んだり、丸まったりすることを防止でき、感圧チューブ(21)の位置ずれを防止できる。この結果、感圧チューブ(21)の位置ずれに起因して、睡眠センサの検出精度が低下してしまうことも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る睡眠情報取得装置の概略の構成図であり、就寝者がベッドに横臥した状態を表したものである。
図2図2は、図1のX1−X1断面図である。
図3図3は、睡眠情報取得装置の装置本体のブロック図である。
図4図4は、実施形態1に係る睡眠センサの概略の斜視図である。
図5図5は、実施形態1に係る保護シートの平面図である。
図6図6は、実施形態2に係る睡眠センサの概略の斜視図である。
図7図7は、図6のY1−Y1断面図である。
図8図8は、図6のX2−X2断面図である。
図9図9は、狭持部材の近傍を拡大した図7相当図であり、図9(A)は就寝者の体動が作用する前の状態を、図9(B)は就寝者の体動が作用した状態をそれぞれ表している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、就寝者(S)の体動を検出し、就寝者(S)の睡眠に関する情報を取得する睡眠情報取得装置(10)である。図1に示すように、睡眠情報取得装置(10)は、装置本体(11)と睡眠センサ(20)とを有している。
【0022】
睡眠センサ(20)は、就寝者(S)の下側に設置される感圧チューブ(21)と、該感圧チューブ(21)の内圧が作用するマイクロフォン(30)と、複数の感圧プレート(40)とで構成される。
【0023】
感圧チューブ(21)は、可撓性及び弾性を有する材料から成る、細長のチューブで構成される。感圧チューブ(21)は、寝具(ベッド(1))に設置される本体部(22)と、本体部(22)と装置本体(11)とを接続する連絡部(23)とを有している。本体部(22)は、寝具(1)上の幅方向(図1における左右方向)に延びている。つまり、本体部(22)は、寝具(1)上において、就寝者(S)に対して直交する方向に延びている。
【0024】
図2に示すように、感圧チューブ(21)の本体部(22)は、床面に設置される寝具台(2)と、及び寝具台(2)の上側に設置されるマットレス(3)の間に配置される。つまり、感圧チューブ(21)の本体部(22)は、寝具台(2)とマットレス(3)の間に挟み込まれる。図1に示すように、本体部(22)の長手方向の一端は、封止部(24)によって閉塞される。一方、本体部(22)の長手方向の他端には、連絡部(23)の一端が接続される。
【0025】
マイクロフォン(30)は、連絡部(23)の他端に取り付けられる。本実施形態では、マイクロフォン(30)が装置本体(11)の内部に搭載される。マイクロフォン(30)は、感圧チューブ(21)の内圧を受けて圧力信号を出力する受圧部を構成する。
【0026】
図3に示すように、装置本体(11)には、信号処理部(12)、記憶部(13)、判定部(14)、及び表示部(15)が設けられる。信号処理部(12)は、マイクロフォン(30)の圧力信号から所定周波数帯域の体動信号を抽出する。具体的に、信号処理部(12)は、就寝者(S)の寝返り、入床、離床等の比較的大きな体動に由来する信号や、就寝者(S)の呼吸、心拍等の比較的小さな体動に由来する信号が抽出される。判定部(14)は、これらの信号と所定の判定閾値とを比較し、就寝者(S)の睡眠情報を計測する。具体的に、判定部(14)では、就寝者(S)の入床時刻、入眠時刻、覚醒時刻、離床時刻、睡眠の質等が計測される。記憶部(13)は、これらの睡眠情報や、各種の信号を適宜記憶する。表示部(15)は、これらのデータのも続き、ユーザの睡眠情報を表示する。これにより、ユーザは自己の睡眠情報を事後的に確認することができる。
【0027】
〈感圧プレートの構成〉
図1図2、及び図4に示すように、実施形態1に係る睡眠センサ(20)は、複数枚の感圧プレート(40)(平板部材)を備えている。これらの感圧プレート(40)は、寝具台(2)とマットレス(3)との間に介設される。具体的に、寝具台(2)とマットレス(3)との間では、感圧プレート(40)の下側に下側プレート(41)が配設され、感圧チューブ(21)の上側に上側プレート(42)が配設される。つまり、下側プレート(41)と上側プレート(42)とは、感圧チューブ(21)を挟んで互いに対向配置される。また、本実施形態では、互いに対向する1対の感圧プレート(40)が、本体部(22)の長手方向に3列に並んで配列される。
【0028】
各感圧プレート(40)は、薄肉の矩形平板状に形成される。感圧プレート(40)は、その短辺側が感圧チューブ(21)の本体部(22)に沿うように配置される。また、本実施形態の各感圧プレート(40)は、可撓性を適度に有する(就寝者の体動が感圧チューブ(21)に適度に作用し、就寝者の体動信号を正しく計測でき、かつ体動によって圧壊しない程度の可撓性を有する)樹脂板、硬化プラスチック板、金属板、木製板等で構成される。上側プレート(42)を樹脂板や金属板で構成する場合、その厚みtは0.5mm以上であることが好ましい(図2を参照)。また、感圧プレート(40)を木製板で構成する場合、その厚みtは3mm以上であることが好ましい。
【0029】
図2に示すように、本実施形態の寝具台(2)は、所謂すのこベッドで構成され、下側プレート(41)との接触面に複数の開口(1a)が形成される。下側プレート(41)は、この開口(1a)に嵌り落ちないように、該開口(1a)よりも大きなサイズに構成される。具体的に、下側プレート(41)は、短辺側の幅Wが50mm以上であり、長辺側の長さLが100mm以上であることが好ましい。また、感圧プレート(40)の幅Wは、ベッド(1)の幅をWbとした場合に、W<Wb×1/2の関係を満たすのが好ましい(図1を参照)。
【0030】
本実施形態のマットレス(3)の下面には、上側プレート(42)との接触部に複数の溝(3a)が形成される。上側プレート(42)は、この溝(3a)に嵌らないように、該溝(3a)の開口端よりも大きなサイズに構成される。具体的に、上側プレート(42)は、短辺側の幅Wが50mm以上であり、長辺側の長さLが100mm以上であることが好ましい。また、上側プレート(42)の幅Wは、ベッド(1)の幅をWbとした場合に、W<Wb×1/2の関係を満たすようにするが好ましい。
【0031】
〈保持シートの構成〉
図4及び図5にも示すように、実施形態1の睡眠センサ(20)は、感圧チューブ(21)の位置ずれを防止するための保持シート(50)(保持部)を有している。保持シート(50)は、各上側プレート(42)の幅方向の側辺部(即ち、感圧チューブ(21)の本体部(22)の長手方向の両端部(43,44))にそれぞれ固定される。つまり、本実施形態の保持シート(50)は、3枚の上側プレート(42)にそれぞれ1対ずつ、計6枚設けられる。
【0032】
保持シート(50)は、可撓性を有する樹脂性の矩形状のシートで構成される。保持シート(50)の一側辺寄りの部位には、縦長の貼付面(51)が形成される。本実施形態では、保持シート(50)の貼付面(51)が上側プレート(42)の上面に貼り付けられることで、保持シート(50)が上側プレート(42)に固定される。
【0033】
また、保持シート(50)では、貼付面(51)以外の部位が、非貼付面(52)を構成している。非貼付面(52)の中央には、正円形の挿通孔(53)が形成される。また、非貼付面(52)には、保持シート(50)の側縁部(側辺部)の中間部から挿通孔(53)に亘って直線状のスリット(54)が形成される。本実施形態のスリット(54)は、感圧プレート(40)の幅方向の側縁部(両端部(43,44))に沿うように、水平方向に延びている。
【0034】
感圧チューブ(21)を保持シート(50)に取り付ける際には、感圧チューブ(21)の本体部(22)が各スリット(54)を介して各挿通孔(53)へ挿入される。感圧チューブ(21)を保持シート(50)に取り付けた状態では、感圧プレート(40)の幅方向の両端部(43,44)において、感圧チューブ(21)が保持される。この状態では、感圧チューブ(21)の下端部が、挿通孔(53)の下側内縁部、及び保持シート(50)の上面と接触する。これにより、保持シート(50)は、感圧チューブ(21)を比較的緩く束縛する。
【0035】
感圧チューブ(21)では、各上側プレート(42)における1対の保持シート(50)の間の中間部(25)が、保持部によって保持されない(図1を参照)。つまり、感圧チューブ(21)の中間部(45)は、何ら束縛されることなく、上側と下側の感圧プレート(40)に狭持される。
【0036】
−就寝者の体動の検知動作−
図1に示す就寝者(S)が寝返り等の体動を生起すると、この体動は、マットレス(3)、上側プレート(42)を介して、感圧チューブ(21)に作用する。本実施形態では、就寝者(S)の体動が3枚の上側プレート(42)に伝わるため、体動の受圧面積が大きくなる。また、感圧チューブ(21)では、各1対の保持シート(50,50)の間の中間部(25)が何ら規制されない。このため、感圧チューブ(21)では、各々の中間部(25)の変化量を十分に確保できる。マイクロフォン(30)は、このようにして変化する感圧チューブ(21)の内圧を受圧し、圧力信号を出力する。そして、睡眠情報取得装置(10)では、上述のようにして、体動信号が処理され、最終的に就寝者(S)の睡眠情報が取得される。
【0037】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態では、感圧チューブ(21)の中間部(25)の変形量を充分確保でき、マイクロフォン(30)から出力される圧力信号を増大できる。この結果、睡眠センサ(20)では、就寝者(S)の体動を精度よく検出できる。
【0038】
しかも、感圧チューブ(21)は、保持シート(50)に着脱自在に構成されるため、感圧チューブ(21)の取り外し、及び取り付けを容易に行うことができる。従って、感圧チューブ(21)のメンテナンス性を向上できる。特に、例えばこの睡眠センサ(20)を病棟内の寝具に適用する場合、この感圧チューブ(21)の洗浄や消毒を容易に行うことができ、病棟内の清潔性を保つことができる。
【0039】
また、本実施形態では、保持シート(50)にスリット(54)を形成しているため、保持シート(50)の挿通孔(53)に対して、感圧チューブ(21)を容易に出し入れできる。従って、感圧チューブ(21)のメンテナンス性を更に向上できる。
【0040】
また、このスリット(54)は、感圧プレート(40)に沿って水平に延びている。このため、保持シート(50)の挿通孔(53)に保持された感圧チューブ(21)が、自重により、スリット(54)を通じて外れてしまうことも防止できる。
【0041】
また、感圧チューブ(21)は、各上側プレート(42)の両端部によって2箇所(合計6箇所)で保持されるため、感圧チューブ(21)が撓んだり、丸まったりすることを防止でき、感圧チューブ(21)の位置ずれを防止できる。この結果、感圧チューブ(21)の位置ずれに起因して、睡眠センサ(20)の検出精度が低下してしまうことも防止できる。
【0042】
また、本実施形態の感圧プレート(40)の幅Wは、感圧チューブ(21)の本体部(22)の幅よりも短く、更にはベッド(1)の幅Wbの1/2以下である。このため、感圧プレート(40)をコンパクトに構成でき、各感圧プレート(40)の取り扱いや持ち運びも容易となる。
【0043】
《発明の実施形態2》
実施形態2の睡眠センサ(20)は、上記実施形態1と感圧プレート(40)、及び保持部の構成が異なるものである。この点について、図6図9を参照しながら説明する。
【0044】
図6に示すように、実施形態2の上側プレート(42)には、幅方向(感圧チューブ(21)の長手方向)の両側の側辺部に、一対の切り欠き部(46,46)が形成される。切り欠き部(46,46)は、上側プレート(42)の長辺部の中間部に配置され、矩形状に形成される。
【0045】
実施形態2に係る保持部は、感圧チューブ(21)を両側から狭持する狭持部材(55)によって構成される。つまり、感圧チューブ(21)は、狭持部材(55)に着脱自在に保持される。狭持部材(55)は、感圧プレート(40)における感圧チューブ(21)の長手方向の両端部にそれぞれ配置される。具体的に、狭持部材(55)は、上側プレート(42)の各切り欠き部(46)の内部に対応するように、下側プレート(41)の上面に固定される。
【0046】
狭持部材(55)は、感圧チューブ(21)の本体部(22)を挟み込むように上側に突出する一対の突起部(56,56)で構成される。各突起部(56,56)は、感圧チューブ(21)の軸直角の断面が、略直角三角形状に形成される。突起部(56)は、その垂直な面(56a,56a)が感圧チューブ(21)を挟んで対向する。また、突起部(56)の上端内縁部には、感圧チューブ(21)側に向かって突出する爪部(57)がそれぞれ形成される。互いに対向する一対の爪部(57)は、感圧チューブ(21)の上部を覆い、感圧チューブ(21)の位置ずれを規制している(図9(A)を参照)。一対の爪部(57)の間のピッチは、感圧チューブ(21)の外径よりも狭くなっている。
【0047】
また、図9(A)に示すように、狭持部材(55)の垂直面(56a,56a)の間の幅方向のピッチwは、体動が作用した際の感圧チューブ(21)の幅方向(水平方向)の変形を許容するように設定される。つまり、感圧チューブ(21)のうち狭持部材(55)に狭持される部位(以下、被狭持部(26)という)は、就寝者(S)の体動が作用しない状態において、突起部(56,56)の内縁(垂直面(56a,56a))と離間している。
【0048】
就寝者(S)の体動に伴い被狭持部(26)に就寝者(S)の体動が変形すると、被狭持部(26)の幅が大きくなる。このため、突起部(56,56,)と被狭持部(26)との間隔は、被狭持部(26)の最大変形時において、被狭持部(26)と突起部(56)の垂直面(56a)とが未だ接触しないか、あるいは被狭持部(26)が垂直面(56a)と線接触するように設定するとよい。このようにすると、就寝者(S)の体動により被狭持部(26)が変化したとしても、被狭持部(26)の幅方向の変形が狭持部材(55)によって規制されてしまうことがない。この結果、睡眠センサ(20)の検知精度を向上できる。
【0049】
また、狭持部材(55)の突起部(56)の高さhは、被狭持部(26)の最大高さ(被狭持部(26)に体動が作用していない状態の高さ)をh1maxとすると、h1max>hとなるように設定される。このようにすると、就寝者(S)の体動を、感圧チューブ(21)の被狭持部(26)にも作用させることができ、睡眠センサ(20)の検知精度を向上できる。また、狭持部材(55)の突起部(56)の高さhは、被狭持部(26)の最小高さ(被狭持部(26)の最大変形時の高さ)をh1minとすると、高さhを高さh1min以上とするのが好ましい。このようにすると、被狭持部(26)の変形量が0から最大となるまでの範囲で、被狭持部(26)に体動を作用させることができ、睡眠センサ(20)の検知精度を向上できる。
【0050】
実施形態2では、感圧チューブ(21)のうち一対の狭持部材(55,55)の間の中間部(25)(図8を参照)が、上側プレート(42)に対する主な感圧部を構成する。つまり、実施形態2の上側プレート(42)は、上述のように一対の切り欠き部(43,43)が形成されているため、上側プレート(42)と狭持部材(55)とが互いに干渉しない。そして、就寝者(S)の体動が上側プレート(42)に作用する状態において、感圧チューブ(21)の中間部(25)の変形が狭持部材(55)によって規制されることもない。このため、実施形態2においても、感圧チューブ(21)の中間部(25)の変化量を確保できる。
【0051】
また、実施形態2では、感圧チューブ(21)の被狭持部(26)を狭持部材(55)の間から引き抜くことで、感圧チューブ(21)のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0052】
実施形態2におけるそれ以外の作用、及び効果は上記実施形態1と同様である。
【0053】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、感圧チューブ(21)の上側と下側とにそれぞれ感圧プレート(40)を設けている。しかしながら、感圧チューブ(21)の上側のみ、又は下側のみに感圧プレート(40)を設け、この感圧プレート(40)の両端部にそれぞれ保持部(50,51)を配置してもよい。
【0054】
また、上記実施形態1及び2では、感圧チューブ(21)の延びる方向に沿って、感圧プレート(40)を3枚配列している。しかしながら、感圧プレート(40)を1枚又は2枚配列してもよいし、4枚以上配列してもよい。
【0055】
また、上記実施形態の睡眠センサ(20)は、睡眠情報取得装置(10)に適用されている。しかし、この睡眠センサ(20)を空調システムに適用してもよい。つまり、この空調システムは、室内を空調する空気調和機と、睡眠センサ(20)と、睡眠センサ(20)の検出信号に応じて空気調和機を制御する空調制御部とを備える。空調制御部は、例えば睡眠センサ(20)で検出された信号(即ち、就寝者の睡眠情報)に応じて、空気調和機の空調能力を調節する。つまり、空調システムでは、就寝者が快適に睡眠できるように、睡眠情報に応じて室内の温度や湿度を調節する。この実施形態においても、本発明の睡眠センサ(20)を適用することで、睡眠センサ(20)の検出精度を向上でき、就寝者の快適性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、就寝者(S)の体動を精度よく検出でき、しかもメンテナンスを容易に行うことができる睡眠センサを提供する。
【符号の説明】
【0057】
20 睡眠センサ
21 感圧チューブ
30 マイクロフォン(受圧部)
40 感圧プレート(平板部材)
50 保持シート(保持部)
53 挿通孔
55 狭持部材(狭持部、保持部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9