【実施例】
【0028】
本発明のセンサ装置及び通信装置システムに係る実施例を、図面に基づいて説明する。尚、本実施例では、通信装置システム1が、一人暮らしの高齢者を遠隔から見守るためのシステム(以降、適宜“見守りシステム”と称する)に適用された場合を一例として挙げる。
【0029】
見守りシステムでは、一般的に、例えばトイレ等、生活をする上で1日に1回は利用する場所に、赤外線を用いたセンサが設置される。そして、該センサにより検出された温度変化の回数等の情報が、センサと対になる親機を介して、例えば見守り対象の高齢者と離れて暮らす親族等の通信端末に送信される。従って、該通信端末の所有者は、該通信端末に送信された情報を確認することにより、見守り対象者の無事を確認することができる。
【0030】
先ず、実施例に係る通信装置システムの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施例に係る通信装置システムの構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、通信装置システム1は、本発明に係る「電話装置」の一例としての親機10と、本発明に係る「センサ装置」の一例としての無線子機20と、を備えて構成されている。親機10は、例えば見守り対象者の住居の居間等に設置される。他方、無線子機20は、例えば見守り対象者の住居のトイレ等に設置される。
【0032】
親機10は、例えばCPU(Central Processing Unit)等である主制御部11と、例えば不揮発性メモリ等であるメモリ12と、例えばタッチパネル、操作ボタン等である操作部13と、アンテナANTに接続され、無線通信を実行可能な無線部14と、例えば無線通信に使用される回線を制御する回線制御15と、を備えて構成されている。
【0033】
無線子機20は、例えばCPU等である主制御部21と、例えば焦電センサ等である赤外線を用いたセンサ22と、例えばタッチパネル、操作ボタン等である操作部23と、アンテナANTに接続され、無線通信を実行可能な無線部24と、を備えて構成されている。
【0034】
センサ22は、物体からの発せられる赤外線を感知するように構成されている。そして、温度変化が発生した場合に検出信号を出力するように構成されている。言い換えれば、温度変化が生じなければ、センサ22から検出信号が出力されない。
【0035】
主制御部21は、センサ22から出力された検出信号に基づいて、カウンタ(図示せず)の数値を更新する。主制御部21は、また、カウンタの数値を示すカウンタ信号を、無線部24を介して、親機10へ送信する。
【0036】
親機10の主制御部11は、無線部14を介して、今回受信されたカウンタ信号により示される数値と、前回のカウンタ信号の受信時に、メモリ12に記憶された該カウンタ信号により示される数値と、に基づいて、前回カウンタ信号が受信されてから、今回カウンタ信号が受信されるまでの間に、見守り対象者が、無線子機10が設置された場所へ立ち入った回数の累計を求める。
【0037】
その後主制御部11は、上記求められた累計回数を示す情報を、操作部13を介して予め設定された外部通信端末へ通知する。主制御部11は、更に、メモリ12に記憶された数値を、今回受信されたカウンタ信号により示される数値に更新する。
【0038】
尚、外部通信端末は、例えば電話機やパーソナルコンピュータ等である。操作部13では、例えば電話番号、FAX番号、メールアドレス等を設定可能である。外部通信端末が電話機であって、該電話機に係る情報として電話番号が設定されている場合、親機10は、例えば合成音により、カウンタ信号に基づいて求められた回数を通知する。
【0039】
また、操作部13では、外部通信端末への通知時刻等の設定も可能である。この場合、無線子機20は、設定された通知時刻に応じて、カウンタ信号を親機10へ送信する。更に、ユーザが操舵部13を操作することにより、前回の通知内容を確認することができるように、該操作部13が構成されてもよい。
【0040】
無線子機20の主制御部21は特に、センサ22から検出信号が出力されてから、所定時間(例えば1秒)内に、センサ22から検出信号が再度出力された場合には、カウンタの数値を更新しないように構成されている。尚、所定時間の設定は、無線子機20の操作部13を介して設定可能である。
【0041】
ここで、主制御部21の上記特徴の効果について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、実施例に係るセンサ装置の動作を示す概念図である。
図3は、比較例に係るセンサ装置の動作を示す概念図である。
【0042】
見守り対象者が、無線子機20が設置された場所に立ち入った際、見守り対象者が同じ位置に居続けるとは限らない。すると、見守り対象者の動作に起因して温度変化が生じ、センサ22から検出信号が頻繁に出力される。仮にセンサ22から検出信号が出力された回数が、見守り対象者の無線子機20が設置された場所への立ち入り回数であると設定されていると、不自然に多い立ち入り回数が外部通信端末へ通知されるおそれがある。
【0043】
具体的には例えば、
図2に示すように、コンマ数秒(例えば約0.5秒等)間隔で断続的に検出信号が出力された場合、検出信号が出力された回数が立ち入り回数であると設定されていると、見守り対象者が、無線子機20が設置された場所に1回だけ立ち入ったとしても、立ち入り回数が7回となってしまう。
【0044】
しかるに本実施例では、上述の如く、無線子機20の主制御部21は、検出信号が一度出力されてから所定時間内に検出信号が再度出力された場合には、カウンタの数値を更新しないように構成されている。
【0045】
具体的には例えば、
図2において、検出信号1(
図2における“検出1”参照)が出力された際に、主制御部21によりカウンタの数値が“1”増加される。しかしながら、検出信号1が出力された後、所定時間内に検出信号2(
図2における“検出2”参照)が出力されたとしても、主制御部21によりカウンタの数値は更新されない。このため、
図2に示した場合であっても、各検出信号(
図2における“検出1”〜“検出7”参照)間の時間が所定時間内であれば、立ち入り回数は1回となる。
【0046】
尚、上述の特許文献1に記載の技術では、所定時間(例えば1秒)毎に区切って立ち入り回数が計数される。このため、所定時間内に複数回検出信号が出力されたとしても、立ち入り回数は1回となる。しかしながら、例えば
図3に示すように、所定時間を超えて検出信号の出力が続くと、見守り対象者が、無線子機20が設置された場所に1回だけ立ち入ったとしても、立ち入り回数が4回となってしまう。
【0047】
このように、本実施例に係る通信装置システム1によれば、当該通信装置システムが見守りシステムに適用された場合、立ち入り回数の精度を向上することができる。
【0048】
尚、無線子機20の操作部13は、例えば、該無線子機20と親機10とが相互に無線通信可能なように該無線子機20の親機10への登録や、無線子機20からのテスト信号の発信等が可能なように構成されている。
【0049】
本実施例では、上述の如く、無線子機20の主制御部21により立ち入り回数が計数されるので、親機10の処理負荷を低減することができ、実用上非常に有利である。
【0050】
本実施例に係る「主制御部11」、「メモリ12」、「主制御部12」、「センサ22」、「操作部23」及び「無線部24」は、夫々、本発明に係る「制御手段」、「記憶手段」、「カウント手段」、「センサ手段」、「設定手段」及び「通信手段」の一例である。
【0051】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うセンサ装置及び通信装置システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。