(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070159
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車両用計器
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20170123BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20170123BHJP
B60Q 3/16 20170101ALI20170123BHJP
【FI】
B60R16/02 640Z
B60R16/02 645D
B60K35/00 Z
B60Q3/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-276080(P2012-276080)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118082(P2014-118082A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森山 洋志
【審査官】
佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−074340(JP,U)
【文献】
特開2005−263134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
B60Q 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシャスイッチの操作状態をに基づいて点滅するインジケータ用光源を有する車両用計器であって、
前記フラッシャスイッチが通電時に接点電流を流す抵抗体と、
前記抵抗体への通電を間欠制御するとともに、前記フラッシャスイッチの接点電流に基づいて前記インジケータ用光源を点滅制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記インジケータ用光源の点滅周期よりも短い周期にて前記間欠制御を行うことを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記フラッシャスイッチに接続される信号線に分岐して接続するとともに、
前記抵抗体の接地端子側に設けられるスイッチ手段を駆動させて間欠制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記スイッチ手段を駆動させることによって前記抵抗体と前記接地端子とが通電状態の時に、前記接点電流の有無を判定することで前記フラッシャスイッチの状態を検出することを特徴とする請求項2に記載の車両用計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用計器に関し、例えば、フラッシャスイッチの状態を示すインジケータを備えた複合計器として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、2輪車に搭載される車両用計器にあって、フラッシャ(方向指示器や非常点滅灯)のスイッチ操作の状態を検出し、車両用計器内に設けられるインジケータを点滅させたり、動作に応じた効果音を作動させて、方向指示器や非常点滅灯が作動されていることの示すものが知られており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
これら車両用計器は、一般に車両側のバッテリ電源、及びフラッシャスイッチに導通する信号線が接続され、計器側のスイッチ検出回路によって、該フラッシャスイッチの状態を検出する構成であるが、該フラッシャスイッチの被水によるリーク対策などの為、比較的大きなクラスの接点電流(例えば、50mA)を流す抵抗体を計器内に設ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−92227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成の回路では、フラッシャスイッチがオンの時、計器内に流れる電流が多くなり、計器内での消費電流が大幅に増加してしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、上述した問題に着目してなされ、フラッシャスイッチの接点電流を確保するための電流経路を間欠制御することで、消費電力を低減できる車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用計器は、
フラッシャスイッチの操作状態
に基づいて点滅するインジケータ用光源を有する車両用計器であって、
前記フラッシャスイッチが通電時に接点電流を流す抵抗体と、
前記抵抗体への通電を間欠制御する
とともに、前記フラッシャスイッチの接点電流に基づいて前記インジケータ用光源を点滅制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記インジケータ用光源の点滅周期よりも短い周期にて前記間欠制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、前記制御手段は、前記フラッシャスイッチに接続される信号線に分岐して接続するとともに、前記抵抗体の接地端子側に設けられるスイッチ手段を駆動させて間欠制御することを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記スイッチ手段を駆動させることによって前記抵抗体と前記接地端子とが通電状態の時に、前記接点電流の有無を判定することで前記フラッシャスイッチの状態を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、車両用計器に関し、フラッシャスイッチの接点電流を確保するための電流経路を間欠制御することで、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態における電気的な構成を示す回路図。
【
図2】同上実施の形態におけるスイッチ手段の間欠駆動を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0013】
本発明の車両用計器を二輪自動車に搭載し速度計を備える複合計器に適用したものを例に挙げて説明する。
図1に示すように、車両用計器Aは、抵抗体1と、接地端子2と、スイッチ手段3と、制御手段4と、インジケータ用光源5などを実装した回路基板を合成樹脂材からなる筐体に収納している。この筐体は、防水、防塵を考慮して小さな通気孔しかない機密性の高い構造である。
【0014】
車両用計器Aは、車載される方向指示器または非常点滅灯の操作手段となるフラッシャスイッチFに信号線を介して接続され、フラッシャスイッチFがオン状態(通電状態)の場合には、車載バッテリBを電源とする接点電流が入力される。この場合、フラッシャスイッチFは、ハンドルに設けられ、信号線など回路部分が雨水などに晒される虞があるため、信号転送における必要以上に大きな電流(例えば、50〜150mA)が流れる。なお、信号線は、防水構造が施された前記筐体を挿通するケーブルや、ケーブルと接続する回路基板に設けられたコネクタ、回路基板上の配線パターンからなる。
【0015】
また、フラッシャスイッチFは、方向指示器の右折用スイッチR、左折用スイッチL、非常点滅灯用スイッチ(ハザードスイッチ)Hからなる。また、信号線は、それぞれのフラッシャスイッチFに接続されて車両用計器A内の回路に取り込んでいる。
【0016】
抵抗体1は、回路基板に実装される一般的な抵抗素子を適用でき、一方側を車両用計器A外のフラッシャスイッチF側に接続し、他方側をスイッチ手段3を介して、接地端子2に接続するように、各信号線毎に設けられる。
【0017】
接地端子2は、回路基板の接地パターン(グランドパターン)に連続して設けられ、コネクタやケーブル等を介して、車両用計器A外部の接地用部材に接続される。例えば、接地端子2は、車体を介して、車載バッテリに接続される。
【0018】
スイッチ手段3は、抵抗体1と、接地端子2と、制御手段4とに接続されるトランジスタを用いて、制御手段4からの駆動信号に基づいて車載バッテリBから接地端子2までの通電/非通電を切り換えることができる。即ち、スイッチ手段3は、フラッシャスイッチFの接点電流をフラッシャスイッチFの操作状態にかかわらず、抵抗体1へ流れないようにできる。
【0019】
制御手段4は、車両からの各種情報を入力するためのスイッチあるいはセンサなどに接続される電気信号線や、CAN(Controller Area Network)を用いた通信ケーブルなどの配線(図示しない)と、に接続される。制御手段4は、マイクロコンピュータを適用でき、前記各種情報に基づいて、インジケータ用光源5やスイッチ手段3、図示しない速度計、走行距離積算計、を制御するための演算処理などを行う。
【0020】
また、制御手段4は、入力する各種信号に基づいて演算処理するためのCPUと、このCPUにおける演算処理結果等を一時的に格納する読出し及び書換え可能なRAMや、制御プログラムや制御データを格納したROMから構成される記憶部と、前記各種信号や制御信号、クロック信号などをやり取りするためにバス接続された入出力インターフェースと、を備えている。
【0021】
本発明に関し、制御手段4は、
図2に示すように、スイッチ手段3のオン/オフを周期的に切り換えて信号線の通電状態を間欠制御する。詳しくは、フラッシャスイッチFの状態にかかわらず、スイッチ手段3をオンして信号線を通電状態にしてから、フラッシャスイッチFからの接点電流の有無を確認し、この確認が完了してからスイッチ手段3をオフして信号線を非通電状態にするまでを10m秒にて行い、その後、次の、スイッチ手段3の切り換えを行うまで40m秒待機する制御処理を繰り返す。
【0022】
従って、仮に、何れかのフラッシャスイッチFがオン状態となり、接点電流が車両用計器Aの抵抗体1側に流れたとしても、所定のタイミングにて通電がなされない時間を設けることができる。これにより、抵抗体1に流れる電流量を大きく低減できるため、車両用計器Aとしての消費電力や発熱量を低減することができる。
【0023】
また、制御手段4は、スイッチ手段3をオンさせて信号線が通電状態にあるときに、フラッシャスイッチFを介した接点電流の有無を電圧信号としてサンプリングできる。この接点電流の検出に基づいて、制御手段4は、インジケータ用光源5を点滅制御する。なお、制御手段4によるスイッチ手段3の間欠制御の周期は、インジケータ用光源5の点滅周期よりも短く設定しており、例えば、10〜200m秒の周期にて、スイッチ手段3を用いて間欠的に駆動しており、フラッシャスイッチFの操作に対する応答性を確保できる。
【0024】
インジケータ用光源5は、回路基板に設けられ、方向指示器の作動状態をインジケータの点滅によって表現するため、車両用計器Aの図示しない表示板に印刷された矢印形状のマークを透過照明可能に設けられる。インジケータ用光源5は、制御手段4からの制御信号に基づいて点滅制御がなされ、別途設けられる断線検出回路によって、断線等の異常時に通常より速い周期にて点滅させることもできる。
【0025】
かかる車両用計器Aは、フラッシャスイッチFの操作状態を検出する車両用計器Aであって、フラッシャスイッチFが通電時に接点電流を流す抵抗体1と、抵抗体1への通電を間欠制御する制御手段4と、を備える。
【0026】
従って、フラッシャスイッチFがオン操作されていても、車両用計器A側に流れる接点電流の総量を小さくでき、間欠制御しないものと比べて省電力となる。また、消費電力を抑えることができるため、発熱量も低減でき、抵抗体1の放熱対策や、気密性の高い車両用計器Aからの放熱対策用の部品や構造を省いたり簡素化できる。特に、二輪車などに搭載される雨水や太陽光に晒される車両用計器Aへの適用が有効である。
【0027】
また、制御手段4は、フラッシャスイッチFに接続される信号線に分岐して接続するとともに、抵抗体1の接地端子側に設けられるスイッチ手段3を駆動させて間欠制御する。また、制御手段4は、スイッチ手段3を駆動させることによって抵抗体1と接地端子2とが通電状態の時に、前記接点電流の有無を判定することでフラッシャスイッチFの状態を検出する。
【0028】
従って、フラッシャスイッチFからの接点電流の検出タイミングと、間欠制御のタイミングとをプログラムによって合わせることができるため、簡単な構成で、電力消費を低減できる構成となる。
【0029】
なお、本発明の車両用計器を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0030】
例えば、制御手段4は、車載される方向指示灯自体を点滅制御することもでき、その場合、インジケータ用光源5と、方向指示灯とを同一の制御手段で同期制御でき、車両利用者に違和感を与えずに表示できる。
【0031】
また、上述の場合、制御手段4は、稼働中常にスイッチ手段3のオン/オフ切り換えを行うように間欠駆動するが、制御手段4は、フラッシャスイッチFからの接点電流を検出してから、スイッチ手段3の間欠制御を開始するようにも処理でき、この場合、フラッシャスイッチFの操作に対するインジケータの応答性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、車両用計器に関し、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器として好適である。
【符号の説明】
【0033】
1 抵抗体
2 接地端子
3 スイッチ手段
4 制御手段
5 インジケータ用光源
A 車両用計器
B 車載バッテリ
F フラッシャスイッチ