(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る警告装置を搭載した自動車を、
図1〜5を用いて説明する。
【0014】
なお、本実施形態においてはプラグインハイブリッドタイプの自動車を例示するが、電動モータを動力源として走行するための電気システム(以下、EVシステムと称する)を搭載する他の様々なタイプの自動車(ハイブリッド自動車や電気自動車など)においても本発明を同様に実施が可能である。
【0015】
図1は自動車100の構成を示す図である。なお、自動車100は既存のプラグインハイブリッドタイプの別の自動車が備えるのと同様な多数の要素を備えるが、
図1においてはそれらの要素のうちの一部の要素のみを示している。
【0016】
自動車100は、本体1、前輪2a,2b、後輪3a,3b、車軸4a,4b,5a,5b、伝達機構6,7、内燃機関8、フロントモータ9、リアモータ10、発電機11、バッテリ12、インバータ13,14,15、コンタクタ16a,16b,16c,17a,17b,17c、外部給電プラグ18、充電器19、パワースイッチ20、EV警告灯21、マルチインフォメーションディスプレイ(以下、MIDと称する)22、車輪速センサ23、エンジン−ECU(electric control unit)24、フロントモータコントロールユニット(以下、FMCUと称する)25、リアモータコントロールユニット(以下、RMCUと称する)26、ジェネレータコントロールユニット(以下、GCUと称する)27、バッテリマネジメントユニット(以下、BMUと称する)28、OSS(one-touch start system)−ECU29、ETACS(electric time and alarm control system)−ECU30およびPHEV(plug-in hybrid electric vehicle)−ECU31を含む。
【0017】
本体1は、車台および車体などを含み、他の各要素を支持するとともに、乗員が搭乗するための空間(車室)を形成する。
【0018】
前輪2a,2bは、車軸4a,4bの端部にそれぞれ固定されている。後輪3a,3bは、車軸5a,5bの端部にそれぞれ固定されている。前輪2a,2bおよび後輪3a,3bは、それぞれ接地して本体1を支持するとともに、回転して本体1を移動させる。
【0019】
車軸4a,4bは、本体1と前輪2a,2bとの相対的な位置関係を所定の状態に維持するとともに、伝達機構6から伝達される回転力を前輪2a,2bへと伝達する。
【0020】
車軸5a,5bは、本体1と後輪3a,3bとの相対的な位置関係を所定の状態に維持するとともに、伝達機構7から伝達される回転力を後輪3a,3bへと伝達する。
【0021】
伝達機構6は、車軸4a,4bを個別に回転可能に支持する。伝達機構6には、内燃機関8、フロントモータ9および発電機11のそれぞれの回転軸8a,9a,11aが個別に接続されている。伝達機構6は、ディファレンシャルギアを含む各種のギア、シャフトおよびクラッチなどを周知のように組み合わせて構成され、回転軸8aと車軸4a、4bとを接続する状態、回転軸8aと回転軸11aとを接続する状態、回転軸8aの回転力を車軸4a,4bおよび回転軸11aに分配して伝達する状態、回転軸9aと車軸4a,4bとを接続する状態、あるいは車軸4a,4bを自由に回転させる状態を選択的に形成する。
【0022】
伝達機構7は、車軸5a,5bを個別に回転可能に支持する。伝達機構7には、リアモータ10の回転軸10aが接続されている。伝達機構7は、ディファレンシャルギアを含む各種のギア、シャフトおよびクラッチなどを周知のように組み合わせて構成され、回転軸10aと車軸5a,5bとを接続する状態および車軸5a,5bを自由に回転させる状態を選択的に形成する。
【0023】
内燃機関8は、燃料を利用して回転力を発生し、回転軸8aを回転する。内燃機関8は、典型的には燃料としてガソリンを使用するものであるが、軽油などの別の燃料油やLPG(liquefied petroleum gas)などのガスのようなガソリン以外の燃料を利用するものでも良い。伝達機構6が回転軸8aと車軸4a,4bとを接続するとき、内燃機関8は前輪2a,2bを回転させる。
【0024】
フロントモータ9およびリアモータ10は、電気エネルギを利用して回転力を発生し、回転軸9a,10aを回転する。伝達機構6が回転軸9aと車軸4a,4bとを接続するとき、フロントモータ9は前輪2a,2bを回転させる。伝達機構7が回転軸10aと車軸5a,5bとを接続するとき、リアモータ10は後輪3a,3bを回転させる。フロントモータ9およびリアモータ10には回転角センサ9b,10bがそれぞれ取り付けられている。回転角センサ9b,10bは、フロントモータ9およびリアモータ10の回転数をそれぞれ検出する。
【0025】
発電機(ジェネレータ)11は、回転軸11aの回転を利用して電磁誘導により発電する。伝達機構6が回転軸8aと回転軸11aとを接続するとき、発電機11は内燃機関8が発生した回転力を利用して発電する。伝達機構6が車軸4a,4bと発電機11とを接続するとき、発電機11は車軸4a,4bの回転力を利用して発電する。
【0026】
バッテリ(電池)12は、複数のバッテリセルを直列に接続してバッテリモジュールを形成してなり、これらバッテリセルのそれぞれが発生する直流電流を加算してフロントモータ9やリアモータ10を駆動するのに必要な大きさの直流電力を発生する。
【0027】
インバータ13,14は、バッテリ12が出力する直流電流を交流電流に変換する。インバータ13,14は、IGBTなどのスイッチング素子を有した周知の構成のものであって良い。インバータ13は、交流電流をフロントモータ9に供給することにより、フロントモータ9を動作させる。インバータ14は、交流電流をリアモータ10に供給することにより、リアモータ10を動作させる。インバータ13,14は、FMCU25およびRMCU26の制御の下に、スイッチング素子のスイッチング周波数や、出力する電流の電流値(出力電流値)および周波数(出力周波数)を変更する。
【0028】
インバータ15は、発電機11が発生する交流電流を直流電流に変換する。インバータ15が得た直流電流は、バッテリ12へと供給される。
【0029】
コンタクタ16a,16b,16cは、バッテリ12の正極とインバータ13,14,15との間に介挿されている。コンタクタ16a,16b,16cは、PHEV−ECU31の制御の下にバッテリ12の正極とインバータ13,14,15との電気的接続をオン/オフする。
【0030】
コンタクタ17a,17b,17cは、バッテリ12の負極とインバータ14,15,16との間に介挿されている。コンタクタ17a,17b,17cは、PHEV−ECU31の制御の下にバッテリ12の負極とインバータ14,15,16との電気的接続をオン/オフする。
【0031】
外部給電プラグ18は、外部電源からの電力供給を受けるためのケーブルが必要に応じて接続できる。外部給電プラグ18は、ケーブルが接続されているときには、当該ケーブルと充電器19とを電気的に接続する。
【0032】
充電器19は、外部給電プラグ18に接続されたケーブルを介して外部電源から供給される電力によりバッテリ12を充電する。
【0033】
パワースイッチ20は、自動車100の起動および停止を指示するためにユーザにより操作されるスイッチである。
【0034】
EV警告灯21は、例えば本体1に備えられたメーターパネルに装着され、EVシステムの異常の有無を表示する。EV警告灯21は、例えばLED(light emitting diode)ランプが使用できる。
【0035】
MID22は、例えば上記のメーターパネルに装着され、文字メッセージを含む各種の情報を表示する。MID22は、例えばLCD(liquid crystal display)が使用できる。
【0036】
車輪速センサ23は、車軸5bの回転速度を検出する。
【0037】
エンジン−ECU24は、内燃機関8の動作を制御する。
【0038】
FMCU25は、PHEV−ECU31の制御の下に、所要の走行状態を得るべくフロントモータ9を駆動するようにインバータ13を制御する。
【0039】
RMCU26は、PHEV−ECU31の制御の下に、所要の走行状態を得るべくリアモータ10を駆動するようにインバータ14を制御する。
【0040】
GCU27は、発電機11での発電量の変化に拘わらずにバッテリ12へと供給するのに適する直流電流が得られるようにインバータ15を制御する。
【0041】
BMU28は、電圧や残量などバッテリ12の状態を管理する。
【0042】
OSS−ECU29は、ユーザがパワースイッチ20を操作した際に、認証通信を行った後に、各部の電源制御などを実施する。
【0043】
ETACS−ECU30は、自動車100に搭載されている各種の電装品を制御する。ETACS−ECU30の制御対象となる電装品は、例えばEV警告灯21およびMID22や、
図1では図示を省略しているヘッドライト、ドアミラー、ワイパー、ドアロック機構、室内照明器具およびセキュリティアラームなどである。ETACS−ECU30は、PHEV−ECU31と適宜に通信して必要な情報を取得しながら、予め定められた動作を実現するべく各種の電装品を制御する。一例としてETACS−ECU30は、車速が規定値以上になった際にドアミラーが格納状態であるならば、ドアミラーを自動的に展開する。またETACS−ECU30は、EVシステムの異常を運転者に報知するために、後述するようにPHEV−ECU31からの情報に基づきEV警告灯21およびMID22を制御する。
【0044】
PHEV−ECU31は、自動車100の走行に係わる各種の制御処理を行う。例えばPHEV−ECU31は、自動車100の走行状況に応じて、伝達機構6,7の状態を制御する。またPHEV−ECU31は、コンタクタ16a,16b,16c,17a,17b,17cの状態を制御する。一例としてPHEV−ECU31は、EV(electric vehicle)モードの駆動状態においては、伝達機構6をフロントモータ9の回転軸9aと車軸4a,4bとを接続する状態に、また伝達機構7をリアモータ10の回転軸10aと車軸5a,5bとを接続する状態にするとともに、コンタクタ16a,16b,16c,17a,17b,17cをいずれもオンとしておく。そして当該状態においてPHEV−ECU31は、図示しないアクセル開度センサが検出したアクセル開度に応じて、要求される走行出力を算出し、この走行出力を得るべくフロントモータ9、リアモータ10を動作させるようにFMCU25およびRMCU26に指示する。PHEV−ECU31はこのほか、既存の別のプラグインハイブリッド自動車で実現されているような各種の動作状態を必要に応じて形成するように各部を制御する。
【0045】
なお、エンジン−ECU24、FMCU25、RMCU26、GCU27、BMU28、OSS−ECU29およびPHEV−ECU31は、いずれも共通の通信ラインに接続されていて、適宜に通信して各種の制御に必要な情報を授受する。
【0046】
以上の各要素のうち、フロントモータ9、リアモータ10、発電機11、バッテリ12、インバータ13,14,15、コンタクタ16a,16b,16c,17a,17b,17c、充電器19、FMCU25、RMCU26、GCU27、BMU28およびPHEV(plug-in hybrid electric vehicle)−ECU31は、EVシステムの構成要素である。
【0047】
図2はETACS−ECU30のブロック図である。なお、
図2において
図1に示されるのと同一の部分には同一の符号を付している。
【0048】
ETACS−ECU30は、CPU(central processing unit)30a、ROM(read-only memory)30b、RAM(random-access memory)30c、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)30d、インタフェースユニット(I/Fユニット)30eおよび通信ユニット30fを含む。そしてこれらの各要素は、バスライン30gにそれぞれ接続されている。
【0049】
CPU30aは、ROM30bおよびRAM30cに記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムに基づいて、制御対象となる電装品を制御するための情報処理を行う。
【0050】
ROM30bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM30bは、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0051】
RAM30cは、CPU30aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0052】
EEPROM30dは、CPU30aが各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU30aでの処理によって生成されたデータを保存する。
【0053】
ROM30bまたはEEPROM30dに記憶されるアプリケーションプログラムの中には、後述する警告処理に関して記述した警告プログラムを含む。この警告プログラムがEEPROM30dに記憶される場合、ETACS−ECU30、ETACS−ECU30を含んだユニット、あるいは自動車100の譲渡は、一般的に上記の警告プログラムがEEPROM30dに記憶された状態にて行われる。しかし、ETACS−ECU30、ETACS−ECU30を含んだユニット、あるいは自動車100が上記の警告プログラムがEEPROM30dに記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、別途に譲渡された警告プログラムが、EEPROM30dに書き込まれても良い。この場合の警告プログラムの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して行うことができる。なお、上記の譲渡は、有償、無償を問わない。
【0054】
インタフェースユニット30eは、制御対象となる電装品を物理的および電気的に接続する。EV警告灯21およびMID22も、インタフェースユニット30eに接続される。インタフェースユニット30eは、CPU30aの制御の下に、接続された電装品を制御するための制御情報を出力する。またインタフェースユニット30eは、接続された電装品が出力した情報を取り込んで、RAM30cに書き込む。
【0055】
通信ユニット30fは、CPU30aの指示の下にPHEV−ECU31と通信する。
【0056】
PHEV−ECU31は、図示しない周知の各種のセンサなどを利用してEVシステムの動作状態を監視する。そして、予め定めた異常がEVシステムで発生した場合にPHEV−ECU31は、リンプホームモードを設定する。リンプホームモードは、車両を安全な場所に移動させるために応急的に自動車100の走行を許容するモードである。PHEV−ECU31は、発生した異常の内容に応じて、複数のリンプホームモードのいずれかを設定する。例えばPHEV−ECU31は、
図3に示すような設定テーブルに従って「リンプホームモード1」〜「リンプホームモード6」のいずれかを設定する。設定テーブルにおいて異常項目のそれぞれをどのリンプホームモードに関連付けるかは、異常項目の重大性を考慮して自動車100またはPHEV−ECU31の設計者によって任意に定められる。ここでは、「リンプホームモード1」が関連付けられた異常項目の重大性が最大級であり、「リンプホームモード2」〜「リンプホームモード6」にそれぞれ関連付けられた異常項目の重大性は順に低下し、「リンプホームモード6」が関連付けられた異常項目の重大性が最低級である。
【0057】
リンプホームモードを設定した場合にPHEV−ECU31は、各リンプホームモードに関連付けられたルールに従って走行出力を抑制する。例えば、「リンプホームモード1」では、最高速度を他のリンプホームモードよりも低くする。
【0058】
ROM30bまたはEEPROM30dは、EVシステムの異常レベルと待機時間(所定時間)との関連付けを表した待機時間テーブルを記憶する。
【0059】
図4は待機時間テーブルの一例を示す図である。
【0060】
図4に示す待機時間テーブルでは、「1」〜「6」の6段階の異常レベルに対して、それぞれ異なる待機時間T1〜T6を関連付けている。待機時間は、T1が最短であり、T2〜T6の順に長くなる。待機時間T1〜T6の具体的な値は、自動車100またはPHEV−ECU31の設計者によって任意に定められて良い。
【0061】
次に以上のように構成された自動車100の動作について説明する。なお、自動車100は既存の別の自動車が備えるのと同様な様々な機能を備えるが、それらの機能に関する動作は既存の別の自動車と同様であるので、その詳細な説明は省略する。そして以下においては、EVシステムの異常に関する警告動作について詳細に説明する。
【0062】
図5はCPU30aによる警告処理のフローチャートである。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0063】
PHEV−ECU31がリンプホームモードを設定したことをトリガとして、CPU30aはROM30bまたはEEPROM30dが記憶する警告プログラムの実行を開始することによって
図5に示す警告処理を開始する。
【0064】
ステップSa1においてCPU30aは、EV警告灯21を点灯させる。リンプホームモードはEVシステムに異常が発生した場合に設定されるので、EVシステムに異常が発生した後に速やかにEV警告灯21が点灯することになる。これにより、EVシステムに異常が発生したことが、運転者に対して速やかに警告される。このEV警告灯21の点灯が第1の警告動作の一例であり、EV警告灯21とCPU30a(ETACS−ECU30)とによって第1の警告手段が実現される。
【0065】
ステップSa2においてCPU30aは、EVシステムに発生した異常の重大性に応じた異常レベルを判定する。本実施形態においては、CPU30aは、PHEV−ECU31が設定したリンプホームモードに基づいて異常レベルを判定することとする。つまり、PHEV−ECU31が「リンプホームモード1」を設定したのであれば、CPU30aは異常レベルを「1」と判定する。同様に、PHEV−ECU31が「リンプホームモード2」〜「リンプホームモード6」を設定したのであれば、CPU30aは異常レベルを「2」〜「6」とそれぞれ判定する。つまり本実施形態では、リンプホームモードをそのまま異常レベルとして使用する。かくしてCPU30a(ETACS−ECU30)は、判定手段として機能する。
【0066】
ステップSa3においてCPU30aは、ステップSa2で判定した異常レベルに待機時間テーブルで関連付けられた待機時間を読み出す。つまりCPU30aは、時間決定手段として機能する。
【0067】
ステップSa4においてCPU30aは、リンプホームモードが解除されているか否かを確認する。そしてリンプホームモードが設定されているためにNOと判定したならばCPU30aは、ステップSa5へと進む。
【0068】
ステップSa5においてCPU30aは、EVシステムに異常が発生してからの経過時間がステップSa3で読み出した待機時間以上となっているか否かを確認する。なお、EVシステムに異常が発生したタイミングと、PHEV−ECU31がリンプホームモードを設定したタイミング、あるいはCPU30aが警告処理を開始したタイミングとの間には、さほど大きな時間差は生じない。そこで、上記の経過時間は、PHEV−ECU31がリンプホームモードを設定したタイミングからの経過時間、あるいはCPU30aが警告処理を開始したタイミングからの経過時間として求めても良い。そして、経過時間が待機時間未満であるためにNOと判定したならばCPU30aは、ステップSa4に戻る。
【0069】
かくしてステップSa4およびSa5においてCPU30aは、リンプホームモードが解除されるか、あるいは経過時間が待機時間以上となるのを待ち受ける。
【0070】
経過時間が待機時間以上となったためにステップSa5にてYESと判定したならばCPU30aは、ステップSa6へ進む。
【0071】
ステップSa6においてCPU30aは、警告メッセージの表示を開始させるようにMID22を制御する。警告メッセージは、例えば自動車100を安全な場所に停止させることを運転者に要求する内容の文字メッセージとする。このMID22での警告メッセージの表示が第2の警告動作の一例であり、MID22とCPU30a(ETACS−ECU30)とによって第2の警告手段が実現されている。
【0072】
ステップSa7においてCPU30aは、リンプホームモードがPHEV−CU31によって解除されたか否かを確認する。そしてリンプホームモードが設定されたままであるためにNOと判定したならばCPU30aは、ステップSa7に戻る。すなわちCPU30aはステップSa7において、リンプホームモードが解除されるのを待ち受ける。そして、リンプホームモードがPHEV−CU31によって解除されたことによってステップSa7にてYESと判定したならばCPU30aは、ステップSa8へ進む。
【0073】
ステップSa8においてCPU30aは、警告メッセージの表示を停止するようにMID22を制御する。
【0074】
そしてこののちにCPU30aは、ステップSa9へ進む。ステップSa4およびSa5の待ち受け状態にあるときにリンプホームモードが解除されたためにステップSa4にてYESと判定した場合にもCPU30aは、ステップSa6〜Sa8をパスしてステップSa9へ進む。
【0075】
ステップSa9においてCPU30aは、EV警告灯21を消灯させる。
【0076】
そしてこれをもってCPU30aは、警告処理を終了する。
【0077】
以上のように自動車100によれば、EVシステムに異常が生じた場合には、まずはEV警告灯21の点灯によってその旨を運転者に警告する。その後、EVシステムの異常の重大性が大きいほどに短く定められた待機時間が経過したことに応じて、MID22における警告メッセージの表示によって、EVシステムに異常が生じていることを改めて運転者に警告する。このため、EVシステムの異常が発生していることを運転者に確実に認識させることが可能であり、そのような状態のまま放置されることを防止できる。
【0078】
ところで、EVシステムの異常の重大性が大きいほど、その異常に起因して別の異常が生じるなどのリスクが大きくなることが多い。そこで上記のように待機時間をEVシステムの異常の重大性に応じて異ならせることにより、リスクの大きさに適応したタイミングで警告メッセージを表示できる。これにより、例えば次のような運用が可能となる。
【0079】
つまり、EVシステムの異常の重大性が比較的大きい場合には、短期間のうちに警告メッセージを表示することによって二次的な異常が生じることを確実に防止する。一方で、EVシステムの異常の重大性が比較的小さい場合には、警告メッセージを表示するまでの期間を長めとし、例えば修理工場などへの自走することを許容する。
【0080】
EVシステムの構成要素の主たるものは、フロントモータ9、リアモータ10、あるいは発電機11などの回転電機に関わる要素や、バッテリに関わる要素である。
【0081】
フロントモータ9に関わる異常項目としては、
図3に示す設定テーブルにおいては、「フロントモータ過電流」および「FMCU内部故障」を含む。そして「フロントモータ過電流」は「リンプホームモード2」が、また「FMCU内部故障」は「リンプホームモード6」がそれぞれ関連付けられる。かくしてCPU30aは、「フロントモータ過電流」が発生した場合に異常レベルを「2」と判定し、待機時間としてT2を設定する。一方でCPU30aは、「FMCU内部故障」が発生した場合に異常レベルを「6」と判定し、待機時間としてT6を設定する。T2<T6であるから、「フロントモータ過電流」が発生した場合には「FMCU内部故障」が発生した場合よりも早く警告メッセージの表示が開始される。「フロントモータ過電流」が発生している状況においては、例えばフロントモータ9、インバータ13との間の給電線、あるいはインバータ13の損傷などを引き起こす恐れがある。一方で「FMCU内部故障」が発生している状況では、例えばPHEV−ECU31による保護処理などによって他の要素の異常を引き起こす恐れが比較的小さい。このような事情から、「フロントモータ過電流」が発生した場合には「FMCU内部故障」が発生した場合よりもリスクが大きいと言えるが、本実施形態ではこのような事情に適応した合理的な警告動作が行える。
【0082】
バッテリ12に関わる異常項目としては、
図3に示す設定テーブルにおいては、「バッテリモジュール高温」および「セル電圧高圧」を含む。そして「バッテリモジュール高温」は「リンプホームモード2」が、また「セル電圧高圧」は「リンプホームモード3」がそれぞれ関連付けられる。かくしてCPU30aは、「バッテリモジュール高温」が発生した場合に異常レベルを「2」と判定し、待機時間としてT2を設定する。一方でCPU30aは、「セル電圧高圧」が発生した場合に異常レベルを「3」と判定し、待機時間としてT3を設定する。T2<T3であるから、「バッテリモジュール高温」が発生した場合には「セル電圧高圧」が発生した場合よりも早く警告メッセージの表示が開始される。「バッテリモジュール高温」が発生している状況においては、バッテリ12が加熱し、バッテリ12自体や周囲に配置された物体に影響を及ぼす恐れがある。一方で「セル電圧高圧」が発生している状況では、異常が生じているのは多数のバッテリセルのうちの一部だけであり、「バッテリモジュール高温」が発生した場合には「セル電圧高圧」が発生した場合よりもリスクが大きいと言えるが、本実施形態ではこのような事情に適応した合理的な警告動作が行える。
【0083】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0084】
警告処理は、PHEV−ECU31などのETACS―ECU30以外のコントロールユニットで実行しても良い。また、警告処理を行うための専用のコントロールユニットを設けても良い。
【0085】
リンプホームモードとは無関係に異常レベルを判定しても良い。
【0086】
経過時間が待機時間以上となったことに応じて行う警告動作は、ランプの点灯等による別の方法での可視表示、警告音や音声メッセージの出力などによる可聴報知、あるいはハンドルなどを振動させるなどの種々の方法での触覚報知などに置き換えても良い。またそれらの複数の方法による動作を組み合わせて実施しても良い。
【0087】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
車両を駆動する回転電機と、前記回転電機を含む電気システムを搭載した電動車両の警告装置であって、前記電気システムに異常が発生したことに応じて第1の警告動作を開始する第1の警告手段と、前記第1の警告動作を開始した所定時間後に第2の警告動作を開始する第2の警告手段と、前記異常の重度に基づいて異常レベルの高低を判定する判定手段と、前記判定手段が判定した前記異常レベルが高いほど前記所定時間が短くなるように決定する時間決定手段と、を具備したことを特徴とする警告装置。