(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
陸屋根上に太陽光発電パネルを敷設する方法としては、屋根上にパネル支持用の架台を備え付け、該架台の桟上に太陽光発電パネルを取り付ける方法が一般的である。しかしながら上記の方法では、パネル支持のための架台が必要であるため、取付のための部材が多くなる。また、上記架台に取り付けられる太陽光発電パネルは、屋根との間に空間を有して配置されるため風の影響を受けやすく、このため、架台に対するパネルの取り付けには十分な強度が要求される。このことは、太陽光発電パネルの施工手順を多くさせ、施工を煩雑にする。
【0003】
一方、上記のような架台を用いずに陸屋根に太陽光発電パネルを敷設する工法が開発されている。例えば、非特許文献1には、以下に示す施工手順で、太陽光発電パネルとシート防水とが一体になった太陽光発電パネルを敷設するシステム工法が開示されている。
(1) 陸屋根上に断熱材を敷設・固定する。
(2) 断熱材にケーブル用の溝を作成し、該溝にケーブルを敷設する。
(3) ベルトシートを敷設・固定する。
(4) 太陽光発電パネルが一体化された防水シートを敷設し、太陽光発電パネルをケーブルと接続する。その後、上記防水シートをベルトシートに固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1に開示されたシステム工法においても、以下のような問題がある。
・施工手順が多い。
・防水シートの可撓性を確保するため、フィルムタイプのアモルファス型太陽電池に限定される。(アモルファス型太陽電池は、通常使用される硬質な結晶型太陽電池に比べると変換効率が低い。)
・防水シートが寿命を迎えると、太陽光発電パネルも一緒に除去する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、架台を用いずに陸屋根上に施工可能な太陽光発電ユニットであって、施工が容易で、かつ、結晶型太陽電池も使用可能な太陽光発電ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の太陽光発電ユニットは、矩形形状の断熱層と少なくとも前記断熱層の上面を覆う防水層と、前記防水層の上面に配置される太陽光発電パネルとが、一体化されており、前記断熱層の周囲の4面のうち、1組の対向する2面には凹部が形成され、該凹部には前記太陽光発電パネルの接続用のケーブル電極が配置されていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、太陽光発電ユニットを陸屋根上に直接敷き詰めて敷設する工法を用いることで、架台を設置することなく、太陽光発電システムを構築することが可能である。これにより、施工手順を大幅に少なくすることができる。
【0009】
さらに、太陽光発電ユニットは、陸屋根面に直接載置されるため、ユニットの裏面に風が入って浮き上がることはない。このため、陸屋根面に対して接着固定するといった簡素な工法を用いることができ、施工手順を簡略化することができる。
【0010】
また、隣接する太陽光発電ユニット間では、ケーブル電極同士を接続することで太陽光発電パネル同士が電気的に接続される。このとき、ケーブル電極は凹部内部の空間に格納される。このため、ケーブル電極が邪魔になることなく、隣接する太陽光発電ユニットを接触させて隙間なく配列させることが可能となる。
【0011】
また、前記太陽光発電パネルでは、結晶型太陽電池を用いることも可能であり、結晶型太陽電池を用いることで、エネルギ変換効率が良好な太陽光発電システムを得ることができる。
【0012】
また、前記太陽光発電ユニットでは、太陽光発電ユニットの上面に勾配がつけられている構成としてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、太陽光発電ユニットの上面に雨水等が滞留することを防止できる。
【0014】
また、前記太陽光発電ユニットでは、前記断熱層の周囲の面に配線用の溝部が形成されている構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、太陽光発電ユニットの周囲に配線が延設される箇所でも、該配線が邪魔にならず、太陽光発電ユニットを隙間なく並べることができる。
【0016】
また、前記太陽光発電ユニットでは、前記太陽光発電パネルは、前記防水層に対して、取り外し自在に装着される構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、太陽光発電パネルに故障が生じた場合等に、該パネルのみを交換することが可能となる。あるいは、断熱層及び防水層を交換する場合に、太陽光発電パネルを再利用することも可能となる。
【0018】
本発明の太陽光発電システムは、本発明の太陽光発電ユニットを複数枚配列して構成される太陽光発電システムであって、隣接する太陽光発電ユニットは、前記凹部が形成された面同士および前記凹部が形成されていない面同士を対向および接触させて配置されており、前記凹部が形成された面では、前記ケーブル電極同士を接続した状態で、前記ケーブル電極を前記凹部内部の空間に格納していることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、施工が容易で、かつ、硬質な結晶型太陽電池も使用可能な太陽光発電ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の太陽光発電ユニットおよび太陽光発電システムは、太陽光発電ユニットを陸屋根上に直接敷き詰めて敷設する工法を用いることで、架台を設置することなく、太陽光発電システムを構築することが可能である。これにより、太陽光発電システムの施工手順を大幅に少なくすることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る太陽光発電ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す太陽光発電ユニットの断面図である。
【
図3】
図1に示す太陽光発電ユニットを配列してなる太陽光発電システムの上面図である。
【
図4】
図3に示す太陽光発電システムの断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に太陽光発電システムにおける配線状態の一例を示す図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態に係る太陽光発電ユニットの斜視図である。
【
図7】
図6に示す太陽光発電ユニットを配列してなる太陽光発電システムの側面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態に係る太陽光発電ユニットの断面図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態に係る太陽光発電ユニットの断面図である。
【
図10】
図9に示す太陽光発電ユニットにおいて、ソーラパネルを取り外した状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係る太陽光発電ユニットの断面図である。
【
図12】
図11に示す太陽光発電ユニットを配列してなる太陽光発電システムの断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態にかかる太陽光発電ユニットを配列してなる太陽光発電システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
まずは、本実施の形態に係る太陽光発電ユニットの構成を、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る太陽光発電ユニット10の斜視図である。
図2は、太陽光発電ユニット10の断面図である。太陽光発電ユニット10は、陸屋根等の上に隙間なく敷き詰めることによって、該陸屋根に防水および断熱構造を与えると同時に、太陽光発電システムを設置することができるものである。太陽光発電ユニット10は、断熱層11、防水層12、およびソーラパネル13を備えて構成されている。
【0024】
断熱層11は、スチレンフォームやウレタンフォーム等の断熱材からなる矩形形状のパネルであり、その上面にソーラパネル13が搭載される。また、断熱層11の周囲の4辺は、断熱層11の底面に対して垂直な側面を有している。防水層12は、少なくとも断熱層11の上面全体を覆うように形成されている。防水層12は、防水シートのようなフレキシブルな層であってもよく、あるいは、塩化ビニル鋼板のような剛性を有する層であっても良い。ソーラパネル13は、防水層12の上面に配置される。
【0025】
ソーラパネル13に用いられる太陽電池の種類は特に限定されるものでなく、結晶型太陽電池およびアモルファス型太陽電池の何れを用いることもできる。但し、本発明の太陽光発電ユニットにおいては、ソーラパネルに可撓性は特に要求されないため、エネルギ変換効率の高い結晶型太陽電池を用いてもよい。
【0026】
断熱層11と防水層12、および防水層12とソーラパネル13とは、例えば接着剤によって接着されている。こうして、太陽光発電ユニット10は、断熱層11、防水層12、およびソーラパネル13を一体化して構成される。
【0027】
また、断熱層11の4辺の側面のうち、1組の対向する2面には、座繰り等によって凹部11Aが形成されている。この凹部11Aには、隣接する太陽光発電ユニット10間でソーラパネル13同士を電気的に接続するためのケーブル電極14が配置されている。すなわち、ソーラパネル13の接続用ケーブルは、防水層12および断熱層11に設けられた孔部や溝部(図示せず)を通して、凹部11Aより外部に引き出されている。そして、凹部11Aより引き出された接続用ケーブルの先端において、コネクタであるケーブル電極14が接続されている。
【0028】
続いて、太陽光発電ユニット10を陸屋根上に敷設する場合の施工手順について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0029】
隣接する太陽光発電ユニット10は、
図3に示すように、凹部11Aが形成された面同士を対向させて配置され、最初にケーブル電極14同士を接続する。ケーブル電極14の接続後、凹部11Aが形成された面同士を接触させて太陽光発電ユニット10を配置する。同様に、凹部11Aが形成されていない面同士を接触させて太陽光発電ユニット10を配置する。
【0030】
このとき、凹部11Aが形成された面では、凹部11A同士が対向するため、ケーブル電極14を凹部11A内の空間に格納することができる。したがって、
図4に示すように、ケーブル電極14が邪魔になることなく、隣接する太陽光発電ユニット10を接触させて隙間なく配列させることが可能となる。また、各太陽光発電ユニット10は、陸屋根の屋根下地に対しては、接着剤または両面テープ等の接着層により接着固定される。
【0031】
本実施の形態に係る太陽光発電システムは、上記のように接続される複数枚の太陽光発電ユニット10を陸屋根上に直接敷き詰めて構成される。
図5は、太陽光発電システム全体における配線状態の一例を示すものであり、全ての太陽光発電ユニット10を直列に接続する場合の配線状態を示す図である。但し、本発明の太陽光発電システムにおいて、太陽光発電ユニット10の接続方式は特に限定されるものではない。
【0032】
また、本実施の形態に係る太陽光発電システムでは、各太陽光発電ユニット10は、発電起電力が等しいことが好ましい。このため、用いられる各太陽光発電ユニット10は基本的には全て同じ面積を有する。これに対し、太陽光発電システムが敷設される陸屋根の形状および面積は様々であるため、太陽光発電ユニット10のみを敷き詰めて陸屋根全体を覆うことは難しい。このため、通常は、太陽光発電ユニット10の周囲に、補助ユニット30を敷き詰める。補助ユニット30は、断熱層と防水層のみで構成されており、太陽光発電ユニット10を配置できない周囲領域を埋めるために、任意の形状及び面積のものが使用される。
【0033】
太陽光発電ユニット10同士が隣接する箇所では、上述したように、接続したケーブル電極14を凹部11A内の空間に格納する。しかしながら、太陽光発電システム全体では、太陽光発電ユニット10の周囲にも配線を延設する必要がある。太陽光発電ユニット10の周囲に延設される配線の格納場所として、
図6及び
図7に示すように、太陽光発電ユニット10の周囲の面に接続ケーブル配線用の溝部11Bを形成しても良い。このように、太陽光発電ユニット10の周囲に溝部11Bを形成し、該溝部11Bに配線を格納すれば、太陽光発電ユニット10の周囲に配線が延設される箇所でも、該配線が邪魔にならず、太陽光発電ユニット10と補助ユニット30とを隙間なく並べることができる。
尚、接続ケーブル配線用の溝部は、太陽光発電ユニット10側でなく、補助ユニット30側に形成されていても良い。
【0034】
太陽光発電ユニット10の周囲に延設される配線には、任意の長さの接続ケーブル31を用いればよい。また、太陽光発電システム全体を接続するケーブルは、適切な箇所から引き出して、屋内または屋外に配置されるシステム制御装置に接続することができる。
【0035】
太陽光発電ユニット10および補助ユニット30が配列されると、ユニットの繋ぎ目にベルト状の防水テープ20が貼られ、防水テープ20が防水層12に対して溶着される。これにより、隣接する太陽光発電ユニット10間で防水層12が一体化される。これにより、ユニット間に雨水等がしみこむこともなく、陸屋根に対して完全な防水構造を得ることができる。また、上記太陽光発電システムでは、防水層12または防水テープ20に破れ等が生じた場合には、新たな防水テープを上から貼って補修することも容易である。
【0036】
このように、本実施の形態に係る太陽光発電ユニット10は、矩形形状の断熱層11と、少なくとも断熱層11の上面を覆う防水層12と、防水層12の上面に配置されるソーラパネル13とが、一体化された構成を有している。そして、断熱層11の周囲の4辺は、断熱層11の上面に対して垂直な側面を有しており、これら4辺の側面のうち、1組の対向する2面には凹部11Aが形成されている。凹部11Aには、ソーラパネル13接続用のケーブル電極14が配置されている。
【0037】
本実施の形態に係る太陽光発電システムでは、太陽光発電ユニット10を陸屋根上に直接敷き詰めて敷設する工法を用いる。このため、架台を設置して、該架台に太陽光発電パネルを取り付ける従来の工法に比べ、施工手順を大幅に少なくすることができる。また、架台を用いないことにより、部品点数の減少による材料費削減の効果もある。さらには、太陽光発電システムの重量も軽減するため、陸屋根を有する構造躯体への負担も減少する。
【0038】
また、太陽光発電ユニット10は、隣接するユニット間で側面同士を接触させることで位置決めされる。
【0039】
さらに、太陽光発電ユニット10は、陸屋根面に直接載置されるため、ユニットの裏面に風が入って浮き上がることはない。このため、ボルト等を用いた強固な取り付け構造は必要なく、陸屋根面に対して接着固定するといった簡素な工法を用いることができ、施工手順を簡略化することができる。
【0040】
また、隣接する太陽光発電ユニット10間では、ケーブル電極14同士を接続することでソーラパネル13同士が電気的に接続される。このとき、ケーブル電極14は凹部11A内部の空間に格納される。このため、ケーブル電極14が邪魔になることなく、隣接する太陽光発電ユニット10を接触させて隙間なく配列させることが可能となる。
【0041】
次に、本発明の太陽光発電ユニットの変形例について説明する。
【0042】
図1,
図2に示す太陽光発電ユニット10では、断熱層11および防水層12が平面に形成されている。また、ユニットの繋ぎ目に防水テープ20を貼るスペースを確保するため、ソーラパネル13の面積は太陽光発電ユニット10の面積よりも僅かに小さく設定されている。このため、
図1,
図2に示す太陽光発電ユニット10の上面では、防水層12とソーラパネル13との間に段差が生じている。これに対し、
図8に示す変形例では、ソーラパネル13の配置領域において、断熱層11および防水層12に窪みが設けられる。ソーラパネル13は、この窪みに埋め込むように配置される。この構成によって、太陽光発電ユニット10の上面を、段差のないフラットな面とすることができる。
【0043】
次に、
図9,
図10に示す変形例は、ソーラパネル13を防水層12に対して取り外し自在とした構成例を示すものである。
図9,
図10に示す太陽光発電ユニット10では、防水層12に複数の雄ネジ部12Aを立設して設けている。この場合、防水層12は、塩化ビニル鋼板のような剛性を有する層として形成される。また、ソーラパネル13は、雄ネジ部12Aに対応した複数の貫通孔を有する支持板15上に搭載される。
【0044】
ソーラパネル13の取り付けは、支持板15のそれぞれの貫通孔を対応する雄ネジ部12Aに通し、雄ネジ部12Aに対して上からナット16を締付けることによってなされる。また、ソーラパネル13は、ケーブル電極17を用いて、断熱層11及び防水層12側のケーブルと電気的接続を取るようにすることが好ましい。
【0045】
上記構成では、
図10に示すように、ナット16を外せばソーラパネル13を防水層12に対して容易に取り外すことができる。これにより、ソーラパネル13に故障が生じた場合等に、ソーラパネル13のみを交換することが可能となる。あるいは、断熱層11及び防水層12を交換する場合に、ソーラパネル13を再使用することも可能となる。
【0046】
また、ソーラパネル13を防水層12に対して取り外し自在とする構成としては、上記のように雄ネジ部12Aとナット16とを用いる構成に限定されるものではない。例えば、防水層12に雌ネジ部を有する台部を設け、支持板15の上からボルトを締付けることによって、ソーラパネル13を取り付ける構成であってもよい。
【0047】
次に、
図11に示す変形例は、太陽光発電ユニット10の上面に勾配(例えば1/100程度)を設けた構成例を示すものである。このように、太陽光発電ユニット10の上面に勾配を設けることで、ユニットの上面に雨水等が滞留することを防止できる。
【0048】
また、このような勾配を設けた太陽光発電ユニット10を配列して太陽光発電システムを構成する場合、
図12に示すように、各ユニットの高さを調節するスペーサ21を適宜使用して、太陽光発電システムにおける各ユニット間の段差を無くして配列することが好ましい。これにより、各ユニット間の段差に雨水等が滞留することを防止できる。同様の理由により、上面に勾配を有する太陽光発電システムでは、ソーラパネル13を埋め込み型(
図8参照)として、ソーラパネル13による段差がないフラットな面とすることが好ましい。
【0049】
また、このような勾配を設けた太陽光発電ユニット10に接続ケーブル配線用の溝部11Bを形成する場合には、溝部11Bは太陽光発電ユニット10と平行に形成される。こうすることで、
図13に示すように、隣接する太陽光発電ユニット10間で溝部11Bが連続的に形成される。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。