(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記原料粉体導入管の中心軸と前記第2の原料粉体供給経路区画用環状部材の外面との成す角度が10度以上で、かつ45度未満であることを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナ。
前記原料粉体導入管の内径dと前記第2の原料粉体供給経路区画用環状部材の外径φとの関係が下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の燃焼バーナ。
φ>2d・・・(1)
前記複数の噴出口のうち、最も内側に配置された噴出口以外の噴出口の形状が、リング状であることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の燃焼バーナ。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のバーナ装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るバーナ装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
図1を参照するに、第1の実施の形態のバーナ装置10は、燃焼バーナ11と、第1の支燃性流体供給源12と、燃料流体供給源14と、第2の支燃性流体供給源16と、原料粉体供給源18と、キャリアガス供給源19と、を有する。
【0038】
燃焼バーナ11は、バーナ本体21と、燃料流体導入口23と、支燃性流体導入口25と、原料粉体導入管27と、原料粉体導入口28と、を有する。
バーナ本体21は、第1ないし第4の環状部材31〜34(複数の環状部材)と、第1の支燃性流体供給経路41と、燃料流体供給経路42と、原料粉体供給経路43と、第2の支燃性流体供給経路44と、第1の支燃性流体噴出口51と、燃料流体噴出口52と、原料粉体噴出口53と、第2の支燃性流体噴出口54と、を有する。
【0039】
第1の環状部材31は、第1ないし第4の環状部材31〜34のうち、最も外径の小さい環状部材である。第1の環状部材31は、第1ないし第4の環状部材31〜34のうち、最も内側に配置されている。
【0040】
第2の環状部材32は、第1の環状部材31の外側に、第1の環状部材31との間に筒状の空間が形成されるように配置されている。第2の環状部材32は、原料粉体供給経路43の内側を区画する第2の原料粉体供給経路区画用環状部材である。
第2の環状部材32は、第1の環状部材31よりも長さが短くなるように構成されている。第2の環状部材32の後端は、L字形状に折り曲げられており、第1の環状部材31の外壁と接続されている。
【0041】
第2の環状部材32の外壁32Aには、原料粉体導入管27から導入された原料粉体が衝突する。
そこで、第2の環状部材32のうち、原料粉体が衝突する部分の外径を、原料粉体が衝突しない部分の外径よりも大きくしてもよい。これにより、原料粉体をさらに分散させやすくすることができる。
【0042】
また、第2の環状部材32の外壁32Aうち、原料粉体が衝突する部分の面に、図示していない別の部材(例えば、摩耗しにくいSUS(ステンレス鋼)等の金属環状管や、衝突する原料粉体と同材の環状管等)を設けてもよい。これにより、原料粉体を該別の部材に衝突させることで、原料粉体を分散させやすくすることができる。また、衝突部分の部材のみ交換可能な設計をすることで、摩耗による損傷の影響を最小限に防ぐことができる。
【0043】
第3の環状部材33は、第2の環状部材32の外側に、第2の環状部材32との間に筒状の空間が形成されるように配置されている。第3の環状部材33は、原料粉体供給経路43の外側を区画する第1の原料粉体供給経路区画用環状部材である。
第3の環状部材33は、第2の環状部材32よりも長さが短くなるように構成されている。第3の環状部材33の後端は、L字形状に折り曲げられており、第2の環状部材32の外壁と接続されている。
【0044】
第4の環状部材34は、第3の環状部材33の外側に、第2の環状部材33との間に筒状の空間が形成されるように配置されている。第4の環状部材34は、第3の環状部材33よりも長さが短くなるように構成されている。第4の環状部材34の後端は、L字形状に折り曲げられており、第3の環状部材33の外壁と接続されている。
【0045】
第1ないし第4の環状部材31〜34(複数の環状部材)は、バーナ本体21の中心軸Aに対して同心円状に配置されている。また、第1ないし第4の環状部材31〜34の先端面は、面一とされている。第1ないし第4の環状部材31〜34の先端により、バーナ本体21の先端21Aが構成されている。バーナ本体21の先端21Aには、火炎(図示せず)が形成される。
【0046】
第1の支燃性流体供給経路41は、第1の環状部材31内に形成された円柱状の経路である。第1の支燃性流体供給経路41は、支燃性流体を供給する支燃性流体供給源12と接続されている。
燃料流体供給経路42は、第1の環状部材31と第2の環状部材32との間に形成された筒状の空間である。燃料流体供給経路42は、燃料流体導入口23を介して、燃料流体を供給する燃料流体供給源14と接続されている。
【0047】
原料粉体供給経路43は、第2の環状部材32と第3の環状部材33との間に形成された筒状の空間である。原料粉体供給経路43は、燃焼流体供給経路42と第2の支燃性流体供給経路44との間に配置されている。
原料粉体供給経路43には、原料粉体導入管27を介して、原料粉体が導入される。原料粉体供給経路43は、原料粉体噴出口53に原料粉体を供給する経路である。
【0048】
第2の支燃性流体供給経路44は、第3の環状部材33と第4の環状部材34との間に形成された筒状の空間である。第2の支燃性流体供給経路44は、支燃性流体導入口25を介して、第2の支燃性流体を供給する第2の支燃性流体供給源16と接続されている。
【0049】
上記説明した第1の支燃性流体供給経路41、燃料流体供給経路42、原料粉体供給経路43、及び第2の支燃性流体供給経路44(複数の経路)は、バーナ本体21の中心軸Aに対して同心円上に配置されている。
【0050】
図2は、
図1に示す第1の実施の形態の燃焼バーナをC視した図である。
図2において、
図1に示す燃焼バーナ11と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0051】
図1及び
図2を参照するに、第1の支燃性流体噴出口51は、第1の環状部材31の先端で構成されている。第1の支燃性流体噴出口51は、第1の支燃性流体供給経路41の先端に配置されている。これにより、第1の支燃性流体噴出口51は、第1の支燃性流体供給経路41と一体とされている。
第1の支燃性流体噴出口51の形状は、例えば、円柱とすることができる。第1の支燃性流体噴出口51は、第1の支燃性流体供給経路41により供給された第1の支燃性流体を噴出させる。
【0052】
燃料流体噴出口52は、第1及び第2の環状部材31,32の先端で構成されている。燃料流体噴出口52は、燃料流体供給経路42の先端に配置されている。これにより、燃料流体噴出口52は、燃料流体供給経路42と一体とされている。燃料流体噴出口52は、燃料流体供給経路42から供給された燃料流体を噴出させる。
【0053】
原料粉体噴出口53は、第2及び第3の環状部材32,33の先端で構成されている。原料粉体噴出口53は、原料粉体供給経路43の先端に配置されている。これにより、原料粉体噴出口53は、原料粉体供給経路43と一体とされている。原料粉体噴出口53は、原料粉体供給経路53から供給された原料粉体を噴出させる。
【0054】
第2の支燃性流体噴出口54は、第3及び第4の環状部材33,34の先端で構成されている。第2の支燃性流体噴出口54は、第2の支燃性流体供給経路44の先端に配置されている。これにより、第2の支燃性流体噴出口54は、第2の支燃性流体供給経路44と一体とされている。第2の支燃性流体噴出口54は、第2の支燃性流体供給経路44から供給された第2の支燃性流体を噴出させる。
【0055】
上記説明した燃料流体噴出口52、原料粉体噴出口53、及び第2の支燃性流体噴出口54の形状は、リング状とされている(
図2参照。)。
特に、原料粉体噴出口53を単純なリング状にすることにより、原料粉体噴出口53の面積が最大となるため、原料粉体の分散性を向上させることができる。
【0056】
なお、
図2では、燃料流体噴出口52、原料粉体噴出口53、及び第2の支燃性流体噴出口54の形状の一例として、リング状を例に挙げて図示したが、燃料流体噴出口52、原料粉体噴出口53、及び第2の支燃性流体噴出口54の形状は、これに限定されない。
例えば、リング状の形状ではなく、円形、楕円形、多角形等の孔が同心円状に複数配置されたものを燃料流体噴出口52、原料粉体噴出口53、及び第2の支燃性流体噴出口54として用いてもよい。
【0057】
燃料流体導入口23は、第2の環状部材32の外壁に設けられており、第2の環状部材32から第2の環状部材32の外側に離間する方向に突出している。燃料流体導入口23は、燃料流体を供給する燃料流体供給源14と接続されている。
【0058】
支燃性流体導入口25は、第4の環状部材34の外壁に設けられており、第4の環状部材34から第4の環状部材34外側に離間する方向に突出している。支燃性流体導入口25は、第2の支燃性流体を供給する第2の支燃性流体供給源16と接続されている。
【0059】
原料粉体導入管27は、原料粉体供給経路43に原料粉体を導入可能な状態で、第3の環状部材33の外壁に設けられている。原料粉体導入管27は、第3の環状部材33から第3の環状部材33の外側に突出している。
原料粉体導入管27は、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θが0度よりも大きくかつ90度よりも小さい角度で傾斜するように配置されている。
また、原料粉体導入管27は、原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1がバーナ本体21の中心軸Aと交わらないように配置されている。
【0060】
このように、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θを0度よりも大きくかつ90度よりも小さくし、さらに原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1がバーナ本体21の中心軸Aと交わらないように、原料粉体導入管27を配置することにより、第2の環状部材32の外壁32Aに原料粉体を衝突させて、原料粉体供給経路43内において原料粉体供給経路43の周方向(左右方向)に原料粉体を均一に分散させることが可能となる。
【0061】
これにより、原料粉体噴出口53から分散された原料粉体を噴出させることが可能となるので、火炎及び/または火炎付近の高温領域(以下、「火炎領域」という)により原料粉体を効率良く加熱することができる。
【0062】
また、原料粉体の分散に大量な気流(原料粉体搬送用の気体)を使用する必要がないため、燃焼バーナ11の構成が複雑になることがない。
つまり、簡便な構成により、原料粉体噴出口53から噴出させる原料粉体の分散性を向上させることで、原料粉体の加熱を効率良く行うことができる。
【0063】
好ましくは、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θは、10度以上で、かつ60度未満にするとよい。
角度θが10度よりも小さいと、第2の環状部材32の外壁32Aに衝突する原料粉体の割合が少なくなってしまう。また、燃焼バーナ11を先端21Aが下向きとなるようにして、原料粉体を加熱する場合、角度θが10度よりも小さいと、燃焼バーナ11が長尺化してしまう。
また、燃焼バーナ11を先端21Aが下向きとなるようにして、原料粉体を加熱する場合、角度θが60度以上になると、原料粉体導入管27内が原料粉体により目詰まりする恐れがある。
【0064】
また、より好ましくは、原料粉体導入管27の中心軸Bと第3の環状部材33の外面との成す角度θは、10度以上で、かつ45度未満にするとよい。
角度θが45度以上になると、原料粉体導入管27が脈動する恐れがあるため、原料粉体の分散性が低下する恐れがある。
【0065】
なお、燃焼バーナ11の設計、及び燃焼バーナ11の製造を容易に行う観点や、原料粉体導入管27の目詰まりの観点から、角度θは、30度が最も好ましい。
原料粉体導入管27の形状は、円筒形状でもよいし、四角の筒形状でもよい。
【0066】
図3は、原料粉体導入管とバーナ本体の中心軸との位置関係を説明するための燃焼バーナの模式的な断面図である。
図4は、
図3に示す原料粉体導入管とバーナ本体の中心軸との位置関係のときに、原料粉体の分散性が均一化することを説明するための燃焼バーナの模式的な断面図である。
図5は、原料粉体導入管の中心軸を延在させた軸とバーナ本体の中心軸とが交わる構造とされた燃焼バーナを用いた際に原料粉体の分散性が悪化することを説明するための燃焼バーナの模式的な断面図である。
つまり、
図3及び
図4は、本発明の構造が適用された燃焼バーナであり、
図5は、本発明の構造が適用されていない燃焼バーナである。
図3〜
図5では、説明に必要な構成要素のみ図示する。また、
図3〜
図5において、
図1及び
図2に示す燃焼バーナ11と同一構成部分には同一符号を付す。
図3及び
図4に示すxは、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離(以下、「距離x」という)を示している。
【0067】
本発明者らが検討したところ、原料粉体導入管27の内径d(原料粉体導入管27の形状が円筒形状の場合は内径、原料粉体導入管27の形状が四角の筒形状の場合は対向する内壁間の幅)と第2の環状部材32の外径φとの関係が下記(2)式を満たすように、原料粉体導入管27及び第2の環状部材32を構成するとよい。
φ>2d・・・(2)
【0068】
原料粉体導入管27の内径dと第2の環状部材32の外径φとの関係が上記(2)式を満たすことにより、第2の環状部材32の外壁32Aに確実に原料粉体を衝突させることができる。
【0069】
また、発明者らがさらに検討したところ、原料粉体導入管27の内径dと、第2の環状部材32の外径φの関係が、下記(3)式を満たし、かつ
図3に示すように、バーナ本体21の中心軸Aからφの2√2分の1の距離の範囲内を、原料粉体導入管27の内壁面27aの延長がすべて通るように、原料粉体導入管27を配置するとよい。
φ>2√2×d・・・(3)
【0070】
バーナ本体21の中心軸Aからφの2√2分の1の距離の範囲内を、原料粉体導入管27の内壁面27aの延長がすべて通るように、原料粉体導入管27を配置することにより、原料粉体が第2の環状部材32の外壁32Aに沿って流れてしまうことを抑制可能となるので、原料粉体を十分に分散させることが可能となる。これにより、火炎領域において、原料粉体を十分に加熱することができる。
【0071】
原料粉体導入管27は、バーナ本体21の中心軸Aに対して回転対称となるように、第3の環状部材33に複数(具体的には、2つ以上で、かつ偶数個)設けるとよい(
図2参照)。
このように、回転対称となるように、第3の環状部材33に2つ以上の原料粉体導入管27を設けることにより、残存する原料粉体の偏りを小さくして、回転対称に平均化することが可能となる。
これにより、原料粉体をより分散させた状態で火炎領域へ投入することが可能となるので、さらに効率良く粉体を加熱できる。
【0072】
また、複数の原料粉体導入管27は、原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1がバーナ本体21の中心軸Aと交わらないように配置されているため、
図4に示すように、第2の環状部材32の外壁32Aでの原料粉体の衝突位置が、右回転方向、或いは左回転方向に固定化されるため、原料粉体の衝突後に残存する原料粉体の偏りを回転対称で解消することが可能となり、原料粉体噴出口53(
図1及び
図2参照)から十分に分散された原料粉体を噴出させることができる。
【0073】
図5に示すように、バーナ本体21の中心軸Aと原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1とが交わるように原料粉体導入管27を配置した場合、原料粉体の衝突位置の微小の変化の影響を受けて、原料粉体が右回転方向、左回転方向のどちらの方向に分散されるかが不定となる。
このため、複数の原料粉体導入管27を回転対称に配置したとしても、隣接する原料粉体導入管27の偏りが重なり合って、原料粉体の分散性が低下することがある。
【0074】
原料粉体導入口28は、原料粉体導入管27の外壁に設けられている。原料粉体導入口28は、原料粉体供給源18と接続されている。原料粉体導入口28は、原料粉体供給源18から供給される原料粉体を原料粉体導入管27に導入させる。
【0075】
第1の支燃性流体供給源12は、第1の環状部材31内に第1の支燃性流体を供給可能な状態で、第1の環状部材31と接続されている。第1の支燃性流体としては、例えば、支燃性ガスを用いることができる。該支燃性ガスとしては、例えば、酸素、空気、或いはこれらを混合したガスを用いることができる。
【0076】
燃料流体供給源14は、燃料流体導入口23に燃料流体を供給可能な状態で、燃料流体導入口23と接続されている。燃料流体としては、例えば、メタンガス、プロパンガス、都市ガス、LPG(Liquefied petroleum gas)といった気体燃料、灯油や原油等の液体燃料、或いは気体搬送させた微粉炭等の固体燃料、さらに、これらを複数組み合わせたものを用いることができる。
【0077】
第2の支燃性流体供給源16は、支燃性流体導入口25内に第2の支燃性流体を供給可能な状態で、支燃性流体導入口25と接続されている。第2の支燃性流体としては、例えば、支燃性ガスを用いることができる。該支燃性ガスとしては、例えば、酸素、空気、或いはこれらを混合したガスを用いることができる。
【0078】
原料粉体供給源18は、原料粉体導入口28に原料粉体を供給可能な状態で、原料粉体導入口28と接続されている。
【0079】
ここで、本発明における「原料粉体」について説明する。本発明における原料粉体とは、加熱を必要とする粉体であり、粒径が10mm以下の固体、或いはブラウン運動の無い10nm以上の固体のことをいう。
【0080】
また、本発明における原料粉体には、ゲル状のもの、液体や気体が固化したもの、或いはこれらが組み合わさったもの、粉塵、粉粒体、微粉、超微粉と呼ばれるもの、これらが2以上接合したもの、さらにこれらが塊状になったものも含まれる。
【0081】
さらに、本発明における原料粉体には、例えば、金属や金属化合物、セラミック、ゴミ、ガラス、微粉炭、固体燃料、小麦粉等の食料粉、水、水溶液、有機溶媒、液体燃料といったものが固化したもの、これらの原料粉或いは原料液滴が固化したもの、これらの生成物、或いはこれらを複数組み合わせたものも含まれる。
また、燃焼バーナ11が形成する火炎の加熱により、燃焼、酸化、還元、化学反応、溶融、蒸発、昇華のいずれかの現象により様態が変化するものも含まれる。
【0082】
キャリアガス供給源19は、原料粉体導入管27に設けられた図示していない導入口を介して、原料粉体導入管27内に必要に応じて、原料粉体を輸送するキャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、例えば、酸素や空気等の支燃性ガス、都市ガス、メタン、及びLPG等の燃性ガス、窒素等の不活性ガス、或いは、これらを組合わせたガス等を用いることができる。
【0083】
燃焼バーナ11を鉛直下向きで使用する場合(バーナ本体21の中心軸Aの方向と鉛直方向とを一致させて使用する場合)には、自由落下で原料粉体を噴出させることが可能なため、キャリアガス供給源19は不要であるが、この場合でも、必要に応じて、キャリアガス供給源19を設け、キャリアガスにより原料粉体を噴出させてもよい。
【0084】
なお、原料粉体の供給にキャリアガスを用いる場合、キャリアガスの供給量(流量)は、燃焼バーナ11から噴射されるキャリアガスの噴出速度が5m/sec以下となるように設定することが好ましく、より好ましくは2m/sec以下にするとよい。
【0085】
このように、従来、高速で原料粉体を噴出させる場合のキャリアガスの噴出速度(10m/sec以上)よりも遅い5m/sec以下、或いは、さらに遅い2m/sec以下の噴出速度でキャリアガスと共に原料粉体を原料粉体噴出口53から噴出させることで、原料粉体の噴出速度を抑制することが可能となるため、原料粉体噴出口53から噴出された原料粉体を十分に加熱できる。
【0086】
第1の実施の形態のバーナ装置によれば、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θを0度よりも大きくかつ90度よりも小さくし、さらに原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1がバーナ本体21の中心軸Aと交わらないように、原料粉体導入管27を配置することにより、第2の環状部材32の外壁32Aに原料粉体を衝突させて、原料粉体供給経路43内において原料粉体供給経路43の周方向(左右方向)に原料粉体を均一に分散させることが可能となる。
【0087】
これにより、原料粉体噴出口53から分散された原料粉体を噴出させることが可能となるので、火炎領域により原料粉体を効率良く加熱することができる。
【0088】
また、原料粉体の分散に高速な気流(搬送用の気体)を使用する必要がないため、燃焼バーナ11の構成が複雑になることがない。
つまり、簡便な構成により、原料粉体噴出口53から噴出させる原料粉体の分散性を向上させることで、原料粉体の加熱を効率良く行うことができる。
【0089】
次に、
図1及び
図2を参照して。第1の実施の形態の原料粉体加熱方法について説明する。
始めに、第1及び第2の支燃性流体噴出口51,54から第1及び第2の支燃性ガスを噴出させると共に、燃料流体噴出口52から燃料流体を噴出させることで、バーナ本体21の先端21Aに火炎を形成する。
【0090】
次いで、原料粉体導入口28を介して、原料粉体導入管27内に原料粉体を導入する。次いで、0度よりも大きくかつ90度よりも小さい角度θで傾斜した方向で、かつバーナ本体21の中心軸Aと交わらない方向から、原料粉体供給経路43に対して、原料粉体導入管27に導入された原料粉体を導入する(原料粉体導入工程)。
【0091】
その後、原料粉体供給経路43に導入された原料粉体は、第2の環状部材32の外壁32Aに衝突する。これにより、原料粉体供給経路43内に均一に原料粉体を分散させることができる。
次いで、原料粉体供給経路43により供給された原料粉体を原料粉体噴出口53から噴出させて、火炎(火炎領域)により原料粉体を加熱する(加熱工程)。
【0092】
第1の実施の形態の原料粉体加熱方法によれば、円筒状とされた原料粉体供給経路43に対して、0度よりも大きくかつ90度よりも小さい角度で傾斜した方向で、かつバーナ本体21の中心軸Aと交わらない方向から、原料粉体供給経路43に原料粉体を導入する原料粉体導入工程と、原料粉体供給経路43により供給された原料粉体を原料粉体噴出口53から噴出させて、火炎(火炎領域)により原料粉体を加熱する加熱工程と、を有することにより、第2の環状部材32の外壁32Aに原料粉体を衝突させて、原料粉体供給経路43内において原料粉体供給経路43の周方向(左右方向)に原料粉体を均一に分散させることが可能となる。
【0093】
これにより、原料粉体噴出口53から分散された原料粉体を噴出させることが可能となるので、火炎領域により原料粉体を効率良く加熱できる。
【0094】
また、原料粉体の分散に高速な気流(搬送用の気体)を使用する必要がないため、燃焼バーナ11の構成が複雑になることがない。
つまり、簡便な構成により、原料粉体噴出口53から噴出させる原料粉体の分散性を向上させることで、原料粉体の加熱を効率良く行うことができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るバーナ装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
図6において、
図1に示す第1の実施の形態のバーナ装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0095】
図6を参照するに、第2の実施の形態のバーナ装置60は、第1の実施の形態のバーナ装置10を構成する燃焼バーナ11に替えて、燃焼バーナ61を有すると共に、原料粉体分配器62を有すること以外は、バーナ装置10と同様に構成される。
【0096】
燃焼バーナ61は、原料粉体導入口28に替えて、原料粉体導入口28−1,28−2を有すること以外は、第1の実施の形態の燃焼バーナ11と同様に構成される。
【0097】
原料粉体導入口28−1,28−2は、第1の実施の形態で説明した原料粉体導入口28と同様な構成とされている。原料粉体導入口28−1,28−2は、1つの原料粉体導入管27に対して設けられている。つまり、1つの原料粉体導入管27に対して2つの原料粉体導入口(原料粉体導入口28−1,28−2)が設けられている。
【0098】
図6では、一例として、1つの原料粉体導入管27に対して2つの原料粉体導入口(
図6の場合、原料粉体導入口28−1,28−2)を設けた場合を図示したが、原料粉体導入口28−1,28−2は、1つの原料粉体導入管27に対して偶数個配置されていればよい。
【0099】
図7は、原料粉体分配器の平面図(原料粉体分配器の上端側から平面視した図)である。
図8は、
図7に示す原料粉体分配器のD−D線方向の断面図である。
【0100】
図7及び
図8を参照するに、原料粉体分配器62は、原料粉体導入部63と、原料粉体分配部64と、原料粉体導出部71〜78(複数の原料粉体導出部)と、を有する。
原料粉体導入部63は、筒状とされている。原料粉体導入部63の形状は、例えば、円筒とすることができるが、これに限定されない。例えば、原料粉体導入部63の形状は、四角状の筒でもよい。
原料粉体導入部63は、
図6に示す原料粉体供給源18と接続されている。原料粉体導入部63には、原料粉体供給源18から原料粉体が供給される。
【0101】
原料粉体分配部64は、原料粉体導入部63と原料粉体導出部71〜78との間に配置されている。原料粉体分配部64は、原料粉体導入部63から原料粉体導出部71〜78に向かうにつれて幅広形状とされている。
原料粉体分配部64は、原料粉体導出部71〜78に原料粉体を分配する空間64A(原料粉体導入部63から原料粉体導出部71〜78に向かうにつれて幅広形状とされた空間)を有する。また、原料粉体分配部64は、底板64Bを有する。
【0102】
原料粉体導出部71〜78は、原料粉体分配部64の底板64Bに設けられている。原料粉体導出部71〜78は、原料粉体導入部63の中心Eに対して、点対称となるように配置されている(
図7参照)。
原料粉体導出部71〜78は、原料粉体分配部64との接続位置から外側に広がるように配置されている。
【0103】
また、同一の原料粉体導入管27に配置された原料粉体投入口28−1,28−2(偶数個の原料粉体投入口)は、原料粉体導入部63の中心Eに対して点対称で配置された原料粉体導出部71,72と接続されている。
具体的には、原料粉体投入口28−1は、原料粉体導出部71と接続され、原料粉体投入口28−2は、原料粉体導出部72と接続されている。
【0104】
なお、図示していないが、原料粉体導出部73〜78は、
図6には、図示していない他の原料粉体導入管27に設けられた原料粉体投入口(図示せず)と接続されている。
【0105】
上記構成とされた原料粉体分配器62を用いることで、放射状に導出された原料粉体を、原料粉体投入口28−1,28−2を介して、複数の原料粉体導入管27に導入させることが可能となる。
また、原料粉体分配器62の原料粉体導出部71〜78の対面同士(例えば、原料粉体導出部71と原料粉体導出部72の組合せ)、あるいは周期N毎(Nは2以上の整数であり、例えば、N=2のときは、原料粉体導出部71,78,72,77の組合せ)に、分配した原料粉体を同一の原料粉体導入管27の投入口に接続して搬送することにより、原料粉体分配器62による点対称の偏りを解消することが可能となるため、原料粉体供給源18が1つの場合でも、各原料粉体導入管27に原料粉体を均等に供給することができる。
【0106】
第2の実施の形態のバーナ装置によれば、1つの原料粉体導入管27に対して複数(
図3の場合は、2つ)の原料粉体投入口28−1,28−2を設けることにより、複数の原料粉体供給源18を用いたときに起因する原料粉体の供給量の多寡の偏りを容易に低減できる。
【0107】
例えば、原料粉体投入口28−1,28−2を有するn本の原料粉体導入管27に対し、2×n個の原料粉体供給源18を用意し、その中でk番目に原料粉体の供給量の多い原料粉体供給源18からの経路と、k番目に原料粉体の供給量の少ない原料粉体供給源18からの経路と、を同一の原料粉体導入管27の原料粉体投入口28−1,28−2に接続して原料粉体を搬送する(例えば、一番多くの量の原料粉体を供給する原料粉体供給源18と、一番少ない量の原料粉体を供給する原料粉体供給源18と、を、同一の原料粉体導入管27に搬送するように原料粉体投入口28−1,28−2に接続し、二番目に多くの量の原料粉体を供給する原料粉体供給源18と二番目に少ない量の原料粉体を供給する原料粉体供給源18とを同一の原料粉体導入管27に搬送するように原料粉体投入口28−1,28−2に接続する)ことで、原料粉体の供給量の偏りを大きく解消することができる。
【0108】
このように、複数の原料粉体供給源18を使用することで発生する原料粉体の供給量の偏りを解消することにより、火炎領域において原料粉体をより分散させて噴出させることが可能となるため、原料粉体を効率良く加熱することができる。
また、上記構成とされたバーナ装置60は、第1の実施の形態のバーナ装置10と同様な効果も得ることができる。
【0109】
次に、
図6に示すバーナ装置60を用いた第2の実施の形態の原料粉体加熱方法について説明する。
第2の実施の形態の原料粉体加熱方法は、第1の実施の形態で説明した原料粉体導入工程の前に、原料粉体分配器62により、原料粉体供給源18から供給された原料粉体を複数に分配する工程を有すること以外は、第1の実施の形態の原料粉体加熱方法と同様な手法により行うことができる。
【0110】
また、第2の実施の形態の原料粉体加熱方法によれば、第1の実施の形態の原料粉体加熱方法よりもさらに効率良く原料粉体を分散させることが可能となるため、原料粉体をさらに効率良く加熱できる。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0112】
(実験例1)
実験例1では、下記燃焼バーナM1〜M7を用いて実験を行った。
ここで、
図1を参照して、各燃焼バーナM1〜M7の構成について説明する。
燃焼バーナM1では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aが交わるように設計した。
燃焼バーナM2では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離x(
図3参照)が、第2の環状部材32の外径φの8分の1の距離離れているように設計した。
【0113】
燃焼バーナM3では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの4分の1の距離離れているように設計した。
燃焼バーナM4では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの8分の3の距離離れているように設計した。
【0114】
燃焼バーナM5では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの2分の1の距離離れているように設計した。
燃焼バーナM6では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xと第2の環状部材32の外径φとを等しくした。
燃焼バーナM7では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが第2の環状部材32の外径φの1.5倍とした。
【0115】
燃焼バーナM1〜M7では、原料粉体導入管27の数を1つとし、原料粉体導入管27の外径を第2の環状部材32の外径φの4分の1とした。
また、燃焼バーナM1〜M7では、原料粉体導入管27の肉厚を原料粉体導入管27の外径に対してほとんど無視できる厚さとした。
また、燃焼バーナM1〜M7では、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θは、30度とした。
また、燃焼バーナM1〜M7では、原料粉体導入管27に2つの原料粉体導入口28−1を設けた。
【0116】
また、燃焼バーナM1〜M7では、原料粉体噴出口53として、リング状に開いた噴出口を用いた。
燃焼バーナM1〜M7は、バーナ本体21の先端21Aが下向きとなるように(言い換えれば、バーナ本体21の中心軸Aが鉛直方向となるように)配置した。
原料粉体の供給方法としては、自由落下方式と気流搬送方式との両方で実験を行った。キャリアガスとして、気流搬送方式ではバーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が4m/secとなるように酸素を供給し、自由落下方式では、目詰まり防止として、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が1.5m/secとなるように酸素を供給した。
原料粉体としては、1μm〜5mmの粒径(D50〜300μm)とされたガラスカレットを用いた。
上記説明したこと以外は、
図1に示すバーナ装置10と同様な構成を用いた。
【0117】
図9は、原料粉体受け器の平面図である。
図10は、
図9に示す原料粉体受け器を使用して燃焼バーナから噴出される原料粉体の噴出量を測定した際の燃焼バーナと原料粉体受け器との位置関係を模式的に示す図である。
図10では、燃焼バーナの一例として、燃焼バーナM1を図示したが、燃焼バーナM1の原料粉体の噴出量の測定が終了後は、燃焼バーナM1に替えて、順次、燃焼バーナM2〜M7の原料粉体の噴出量の測定を行った。
【0118】
実験例1では、
図9に示す原料粉体受け器81を用いて、
図10に示すように、原料粉体受け器81の上方に燃焼バーナM1〜M7のうち、いずれか1つの燃焼バーナを配置して、各燃焼バーナM1〜M7の原料粉体の分散性を評価した。
図9に示すように、原料粉体受け器81は、円周に等分に分割されたエリア(
図9の場合、12のエリア)を有し、各エリアに投下された原料粉体の量をそれぞれ測定可能な構成とされている。
【0119】
実験例1では、各燃焼バーナM1〜M7を使用後において、原料粉体受け器81の各エリアに噴出された原料粉体の噴出量を測定し、各燃焼バーナM1〜M7を使用した際の原料粉体の噴出量の最小値と、原料粉体の噴出量の最大値と、を求めた。
また、上記燃焼バーナM1〜M7の各原料粉体噴出口53から噴出された原料粉体の噴出量の最大値に対する最小値の割合((原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値))を原料粉体の分散性の指標とした。
なお、(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)が1に近づくほど、原料粉体の分散性が良好なことを意味する。
【0120】
図11は、実験例1のバーナ装置(燃焼バーナM1〜M7のうち、いずれか1つの燃焼バーナを有するバーナ装置)を用いて、自由落下方式及び気流搬送方式で原料粉体を供給した際の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)と(距離x)/(第2の環状部材の外径φ)との関係を示す図(グラフ)である。
【0121】
(実験例1の結果のまとめ)
図11を参照するに、燃焼バーナM1〜M3の分散性は、ほとんど等しい結果となった。燃焼バーナM4は、燃焼バーナM1〜M3の分散性と比較して、分散性が急激に低下することが確認できた。
【0122】
燃焼バーナM5〜M7の分散性は、他の燃焼バーナM1〜M4の分散性と比較して、極端に低いことが分かった。
また、燃焼バーナM6,M7では、原料粉体が偏在化した筋状の流れが噴出口から噴出される様子が目視にて確認できた。燃焼バーナM5では、弱い筋状の原料粉体の流れが確認された。燃焼バーナM1〜M4において、このような原料粉体の流れは確認できなかった。
【0123】
上記結果から、原料粉体導入管27の内径dを考慮すると、先に述べたように、原料粉体導入管27の内径dと、第2の環状部材32の外径φの関係が、下記(4)式を満たし、かつバーナ本体21の中心軸Aからφの2√2分の1の距離の範囲内を、原料粉体導入管27の内壁面27aの延長がすべて通る(
図3参照)ように、原料粉体導入管27を配置することが重要であることが確認できた。
φ>2√2×d・・・(4)
【0124】
また、燃焼バーナM2〜M7では、原料粉体の噴出量の最大値を示すエリアの位置は固定されていた。しかし、燃焼バーナM1では、原料粉体の噴出量の最大値を示すエリアが試行回数毎に不定であり、バーナ本体21の中心軸Aを中心として、略対称に原料粉体の噴出量の最大値を示すエリアの位置が変動していた。
【0125】
(実験例2)
実験例2では、下記燃焼バーナN1〜N7を用いて実験を行った。
ここで、
図3及び
図6を参照して、各燃焼バーナN1〜N7の構成について説明する。
燃焼バーナN1では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延在させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aが交わるように設計した。
燃焼バーナN2では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離x(
図3参照)が、第2の環状部材32の外径φの8分の1の距離離れているように設計した。
【0126】
燃焼バーナN3では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの4分の1の距離離れているように設計した。
燃焼バーナN4では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの8分の3の距離離れているように設計した。
【0127】
燃焼バーナN5では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが、第2の環状部材32の外径φの2分の1の距離離れているように設計した。
燃焼バーナN6では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xと第2の環状部材32の外径φとを等しくした。
燃焼バーナN7では、原料粉体導入管27の中心軸Bを延長させた軸B1とバーナ本体21の中心軸Aとの距離xが第2の環状部材32の外径φの1.5倍とした。
【0128】
燃焼バーナN1〜N7では、原料粉体導入管27の数を8つとし、8つの原料粉体導入管27をバーナ本体21の中心軸Aに対して回転対称となるように配置させた。
燃焼バーナN1〜N7では、8つの原料粉体導入管27をバーナ本体21の中心軸Aに対して回転対称となるように配置させたことが、実験例1で説明した燃焼バーナM1〜M7(1つの原料粉体導入管27のみを有する燃焼バーナ)と異なる。
燃焼バーナN1〜N7において、原料粉体導入管27の外径や原料粉体導入管27の肉厚に関しては、燃焼バーナM1〜M7と同じ条件を用いた。
【0129】
燃焼バーナN1〜N7において、原料粉体導入管27の中心軸Bと第2の環状部材32の外面32aとの成す角度θは、燃焼バーナM1〜M7と同じ30度とした。
実験例1で使用した燃焼バーナM1〜M7では、1つの原料粉体導入管27に対して2つの原料粉体導入口28を設けたが、燃焼バーナN1〜N7では、1つの原料粉体導入管27に対して1つの原料粉体導入口28−1のみを設けた。
【0130】
また、燃焼バーナN1〜N7では、燃焼バーナM1〜M7と同じように、原料粉体噴出口53として、リング状に開いた噴出口を用いた。
燃焼バーナN1〜N7は、バーナ本体21の先端21Aが下向きとなるように(言い換えれば、バーナ本体21の中心軸Aが鉛直方向と一致するように)配置した。
【0131】
原料粉体の供給方法としては、自由落下方式と気流搬送方式との両方で実験を行った。原料粉体としては、1μm〜5mmの粒径(D50〜300μm)とされたガラスカレットを用いた。
上記説明したこと以外は、
図6に示すバーナ装置10と同様な構成を用いた。つまり、実験例2では、原料粉体供給源18から供給された原料粉体を
図7及び
図8に示す原料粉体分配器62により分配した後、8つの原料粉体導入口28−1に原料粉体を導入した。
8つの原料粉体導入口28−1と原料粉体分配器62の原料粉体導出部71〜78とは、円周方向の配列順で接続させた。
【0132】
実験例2では、燃焼バーナN1〜N7の各噴出口から噴出された噴出量の最大値及び最小値を実験例1で使用した装置を用いて測定した。
その後、燃焼バーナN1〜N7の各噴出口から噴出された噴出量の最大値に対する最小値の割合によって、各燃焼バーナN1〜N7の分散性を評価した。
【0133】
図12は、実験例2のバーナ装置(燃焼バーナN1〜N7のうち、いずれか1つの燃焼バーナを有するバーナ装置)を用いて、自由落下方式及び気流搬送方式で原料粉体を供給した際の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)と(距離x)/(第2の環状部材の外径φ)との関係を示す図(グラフ)である。
【0134】
図12を参照するに、x/φの値が8分の3以上とされた燃焼バーナN4〜N6を使用した場合、分散性が極端に低下することが分かった。また、燃焼バーナN4〜N6を用いた場合、原料粉体噴出口53から噴出された原料粉体による筋状の流れが確認できた。
【0135】
また、x/φの値が0とされた燃焼バーナN1では、燃焼バーナN2,N3と比較すると分散性が低下していることが分かった。
これは、バーナ本体21の中心軸Aを中心として対称に、残存する原料粉体の偏りが流れる位置が変動するため、隣り合う位置に配置された原料粉体導入管28−1の原料粉体の偏りが重複する状況が発生したためと考えられる。
各実験での設定条件や、バーナ装置の違いによる粉体分散性の比較のため、
図13に各実験例における原料粉体の噴出量の最小値と最大値の比((原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値))を示す。前述の通り、この値が1に近づくほど、分散性が良好であることを示す。なお、
図13には、自由落下方式と気流搬送方式の実験結果を併記した。
実験例2と示したのは燃焼バーナN2を用いた結果である。
【0136】
(実験例3)
実験例2で最も分散性の高かった燃焼バーナN2を有するバーナ装置(
図6参照)を用いて、実験例2と同様の条件で燃焼試験を行い、火炎領域での原料粉体の加熱試験を行った。このとき、原料粉体は、自由落下方式と気流搬送方式とで供給した。
原料粉体としては、1μm〜5mmの粒径(D50〜300μm)とされたガラスカレットを用いた。
【0137】
また、第1の支燃性流体供給経路41には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように酸素を供給し、燃料流体供給経路42には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように都市ガスを供給した。
原料粉体供給経路43には、流搬送方式ではバーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が4m/secとなるように、自由落下方式ではバーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が1.5m/secとなるように酸素を供給した。また、第2の支燃性流体供給経路44には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように都市ガスを供給した。
【0138】
自由落下方式と気流搬送方式とのそれぞれについて、都市ガスの燃焼量Iに対する原料粉体への着熱エネルギーQの割合を示す着熱効率ηを、下記(5)式を用いて求めた。
η=Q/I×100(%)・・・(5)
その結果、実験例3において、自由落下方式の着熱効率は、54%であり、気流搬送方式の着熱効率は、51%であった。
【0139】
また、実験例1において、最も分散性の高かった燃焼バーナM1を使い、燃焼試験を実施したところ、着熱効率ηは、自由落下方式で46%であり、気流搬送方式で42%であった。実験例3での燃焼バーナN2は、燃焼バーナM1に比して高い着熱効率ηであった。
【0140】
(実験例4)
実験例2で最も分散性の高かった燃焼バーナN2を有するバーナ装置(
図6参照)を用いて、8つの原料粉体導入管27のうち、バーナ本体21の中心軸Aに対して回転対象に配置された4つの原料粉体導入管27から原料粉体を導入した。
また、1つの原料粉体導入管27に対して、2つの原料粉体導入口(原料粉体導入口28−1,28−2)を設けた。
【0141】
原料粉体分配器62については、原料粉体導入部63の中心E(
図7参照)に対して点対象に配置された2つの原料粉体導出部(原料粉体導出部71〜78のうちの2つ)を同一の原料粉体導入管27に配置された原料粉体導入口28−1,28−2に接続した。
使用しない4つの原料粉体導入管27については、閉止させた。
【0142】
実験例3では、上記構成とされたバーナ装置を用いて、実験例2と同様の条件で燃焼試験を行い、火炎領域での原料粉体の加熱試験を行った。このとき、原料粉体は、自由落下方式と気流搬送方式とで供給した。
原料粉体としては、1μm〜5mmの粒径(D50〜300μm)とされたガラスカレットを用いた。
【0143】
また、第1の支燃性流体供給経路41には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように酸素を供給し、燃料流体供給経路42には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように都市ガスを供給した。
原料粉体供給経路43には、流搬送方式ではバーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が4m/secとなるように、自由落下方式ではバーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が1.5m/secとなるように、酸素を供給した。また、第2の支燃性流体供給経路44には、バーナ本体21の先端面21Aからの噴出速度が10m/secとなるように酸素を供給した。
【0144】
自由落下方式と気流搬送方式とのそれぞれについて、都市ガスの燃焼量に対する原料粉体への着熱のエネルギーの割合を示す着熱効率を求めた。
その結果、実験例4では、自由落下方式の着熱効率が65%であり、気流搬送方式の着熱効率が62%であった。
【0145】
また、実験例4の条件を用いた際の原料粉体の分散性を確認した。この結果を
図13で示す。
【0146】
この結果から、実施例4のバーナ装置は、分散性、着熱効率ともに実験例3と比較しても大幅に向上していることが分かった。
【0147】
(実験例5)
燃焼バーナN2を有するバーナ装置(
図6参照)を用い、原料粉体導出部71〜78のうち、対面する原料粉体導出部が隣接するように、原料粉体導入口28−1,28−2と接続させた。この点が、実験例4とは異なる。
【0148】
実験例5では、実験例4と同じ実験条件を用いて、同様な実験を行った。
その結果、実験例5では、自由落下方式の着熱効率が63%であり、気流搬送方式の着熱効率が60%であった。
【0149】
また、実験例5の条件を用いた際の原料粉体の分散性を確認した。この結果を
図13で示す。
【0150】
図13を参照するに、実験例5では、実験例2の結果と比較して、原料粉体の分散性が向上したが、実験例4の結果と比較すると、有意な差は確認できなかった。また、実験例5では、実験例4と比較して若干の着熱効率の低下が確認できた。
【0151】
また、原料粉体導入管27の数が増加すると、燃焼バーナの設計や作成の困難さ、利用の煩雑さが増大するため、複数の原料粉体導入口28−1,28−2を原料粉体導入管27に配した燃焼バーナの方が、単純に原料粉体導入管27の本数を、同数増大させた燃焼バーナよりも、望ましいことが分かった。
【0152】
(実験例6)
実験例6では、実験例4で使用した燃焼バーナN2の4つの原料粉体導入管27に対して、それぞれ3つの原料粉体導入口(原料粉体導入口28−1,28−2と同様な構成とされた3つの原料粉体導入口)を設けた燃焼バーナを用いた。
【0153】
このとき、原料粉体分配器62としては、12個の原料粉体導出部(原料粉体導出部71〜78と同様な構成とされた原料粉体導出部)を用いた。また、原料粉体分配部64の周方向において、4つ飛びで配置された原料粉体導出部を同一の原料粉体導入管27に配置された3つの原料粉体導入口と接続させた。
【0154】
実験例6では、実験例4と同じ実験条件を用いて、同様な実験を行った。
その結果、実験例6では、自由落下方式の着熱効率が65%、気流搬送方式の着熱効率が62%であった。
【0155】
また、実験例6の条件を用いた際の原料粉体の分散性を確認した。この結果を
図13で示す。
【0156】
その結果、実験例6では、実験例4と比較して、原料粉体の分散性に対する差はほとんど確認できなかった。これにより原料粉体導入口28の数は、2つで十分効果を発揮することが分かった。
【0157】
(実験例7)
実験例2〜5で使用した原料粉体分配器62の原料粉体の分散性について確認した。
その結果、8つの原料粉体導出部71〜78を有する原料粉体分配器62において、(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、0.6であった。
実験例2,3では、原料粉体の低い分散性が影響したと思われる。
しかし、実験例4で説明した接続方法で原料粉体分配器62を使用したところ、(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、0.94であり、原料粉体の噴出量の最小値と原料粉体の噴出量の最大値との差がかなり小さくなることが確認できた。
【0158】
また、実験例4と同じ接続方法で原料粉体分配器62を使用した実験例5の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、自由落下方式で0.88、気流搬送方式で0.8であり、実験例2の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、自由落下方式で0.60、気流搬送方式で0.54であった。
このことから、実験例4と同じ接続方法で使用することで、実験例2の接続方法で原料粉体分配器62を使用した場合と比較して、原料粉体の分散性が向上することが確認できた。
【0159】
(実験例8)
実験例6の接続方法で使用した原料粉体分配器62(12個の原料粉体導出部を有する原料粉体分配器)の原料粉体の分散性について確認した。
実験例6の原料粉体分配器62において、12個の原料粉体導出部から噴出される原料粉体を合算した際の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、0.55であった。
【0160】
一方、実験例6の原料粉体分配器62の構成において、実験例6のように、原料粉体分配部64の周方向に4つ飛びで配置された3つの原料粉体導出部から噴出される原料粉体の噴出量を合算した際の(原料粉体の噴出量の最小値)/(原料粉体の噴出量の最大値)の値は、0.98であった。
【0161】
上記結果から、実験例6の接続方法で使用した原料粉体分配器62の原料粉体の分散性は、実験例7で説明した原料粉体分配器62の分散性よりも向上しないことが確認できた。
この結果が、実験例4と実験例6とにおいて、原料粉体の分散性及び着熱効率に大きな差が生じなかった原因と思われる。
【0162】
(実験例9)
実験例9では、実験例4で説明した燃焼バーナN2において、原料粉体導入管27の傾斜角度(
図6に示す角度θ)を変更した燃焼バーナP1〜P10と、燃焼バーナN2(角度θが30度)と、を用いて、実験例4と同様な実験を行った。
【0163】
燃焼バーナP1では、角度θを90度とし、燃焼バーナP2では、角度θを80度とした。燃焼バーナP3では、角度θを70度とし、燃焼バーナP4では、角度θを60度とした。
燃焼バーナP5では、角度θを50度とし、燃焼バーナP6では、角度θを40度とした。燃焼バーナP7では、角度θを20度とし、燃焼バーナP8では、角度θを10度とした。燃焼バーナP9では、角度θを5度とした。
さらに、角度θを0度、つまりバーナ本体21の中心軸Aに平行に、バーナ上部に原料粉体導入管27を設置した燃焼バーナP10を用意した。
【0164】
上記燃焼バーナP1〜P10を有するバーナ装置を用いて、気流搬送方式及び自由落下方式のそれぞれについて、原料粉体の分散性、及び着熱効率を測定した。結果を表1に示す。
【0166】
上記結果から、気流搬送方式では、燃焼バーナP1〜P8、ならびにN2において、原料粉体の分散性は同等であり、着熱効率も61±1%の範囲内であることから、有意差は見られなかった。しかし、燃焼バーナP9、P10においては、分散性、着熱効率共に低下している。また、燃焼バーナP9、P10の燃焼試験中、原料粉体噴出口から、4本の筋状の粉体流が確認できた。
【0167】
しかし、自由落下方式では、燃焼バーナP1では、原料粉体導入管27内で目詰まりが試験開始後直ちに発生し、燃焼バーナP2、P3においても、長時間の連続で利用したり、供給量を増大させたりした場合に目詰まりを起こした。
【0168】
燃焼バーナP4において、原料粉体噴出口53から噴出される原料粉体に時間的な密度の偏り(以下、「脈動」という)が確認され、着熱効率が52%と低下した。
これは、原料粉体導入管内での粉体の搬送が、一時的な詰まりを繰り返しているためではないかと思われる。
【0169】
燃焼バーナP5〜P8、ならびにN2では、目詰まりも脈動もなく、原料粉体の分散性に有意な差は確認できなかった。また、着熱効率についても64±1%の範囲で差異を確認できなかった。しかし、燃焼バーナP9、P10においては、分散性、着熱効率共に低下している。また、燃焼バーナP9、P10の燃焼試験中、原料粉体噴出口から、4本の筋状の粉体流が確認できた。