(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内套内に前記内針の針先が収容されると前記内針ハブが前記引抜方向と反対方向に相対変位しないように前記内針ハブの前記反対方向の相対変位を阻止するストッパ部を備える、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の安全針組立体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の安全針組立体1,1Aについて上述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する安全針組立体1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0012】
[第1実施形態]
安全針組立体1は、例えば皮下に埋め込まれたポート(図示せず)に薬液等を注入したり、皮下に直接インスリンを注射したりする際に用いられる。
図1及び
図2に示すように、安全針組立体1は、予め定められた軸線L1を有しており、留置部材2と穿刺部材3とによって構成されている。
【0013】
[留置部材]
留置部材2は、外針11と外針ハブ12とを備えている。外針11は、金属材料又は合成樹脂から成る細長い円筒状の部材であり、軸線L1に沿って延在している。外針11の先端部分は、テーパ状に形成されており、基端部分が外針ハブ12に固定されている。外針ハブ12は、ポリプロピレン又はポリエチレン等の合成樹脂から成り、
図3にも示すように中空の大略ドーム状になっている。外針ハブ12の下面は、その外周縁部が平坦になっており、載置台13の上に載せられて固定されている。載置台13は、大略円板状になっており、その下面を投与者の皮膚に当てて載置できるようになっている。載置台13には、その軸線L1に沿って貫通する貫通孔13aが形成されており、貫通孔13aには、基端部分が外針ハブ12に固定されている外針11が挿通されている。
【0014】
外針ハブ12は、本体部12aと、チューブ取付部12bと、外針固定部12cとを有している。本体部12aは、中空の大略ドーム状になっており、その外周面にチューブ取付部12bが一体的に設けられ、天井面に外針固定部12cが一体的に設けられている。チューブ取付部12bは、その断面が大略蒲鉾形状になっており、
図2に示すように本体部12aの外周面から半径方向外方に向かって突出している。チューブ取付部12bには、チューブ取付孔14eが形成されており、ポンプ等に接続されたチューブ(図示せず)がチューブ取付孔14eに嵌合されて固定されている。また、外針固定部12cは、
図3に示すように本体部12aの天井面から貫通孔13aまで軸線L1に沿って延在しており、そこには外針嵌合孔14a、連通孔14b、及び通路形成孔14cが下から順に軸線L1に沿って形成されている。
【0015】
外針嵌合孔14aは、その内径が外針11の外径と略一致しており、下方に開口している。外針嵌合孔14aには外針11が嵌合されて固定されており、外針嵌合孔14aは外針11内に繋がっている。また、外針嵌合孔14aは、連通孔14bに繋がっており、この連通孔14bを介して通路形成孔14cに繋がっている。連通孔14bの内径は外針嵌合孔14aの内径より小径で且つ後述する内針21より大径になっている。通路形成孔14cは、その内径が外針嵌合孔14a及び連通孔14bより大径に形成されており、接続孔14dに繋がっている。接続孔14dは、本体部12a及び外針固定部12cを貫通するように半径方向外方に向かって延在しており、通路形成孔14cとチューブ取付孔14eとを繋いでいる。このように形成されている外針嵌合孔14a、連通孔14b、通路形成孔14c、接続孔14d、及びチューブ取付孔14eは、チューブと外針11とを繋ぐ連通路14を構成しており、チューブを流れる薬液等がこの連通路14を介して外針11内に導かれるようになっている。
【0016】
また、外針ハブ12の本体部12aには、その上面に突出部12dが形成されている。突出部12dは、大略円筒状に形成されており、本体部12aの上面から軸線L1に沿って上方に突出している。この突出部12dの内孔である挿通孔15は、軸線L1に沿って延在しており、通路形成孔14cに繋がっている。また、挿通孔15内には、止血ゴム16が嵌まり込んでおり、この止血ゴム16によって挿通孔15が塞がれている。また、突出部12dの開口端には、リング17が設けられており、このリング17によって止血ゴム16が挿通孔15から出ないように係止されている。このリング17は、円環状になっており、その内孔を後述する穿刺部材3の内針21が貫通している。このように構成される留置部材2には、穿刺部材3が着脱可能に取り付けられている。
【0017】
[穿刺部材]
穿刺部材3は、内針21と、内針ハブ22と、プロテクタ20とを備えている。内針21は、先端部に鋭利な針先21aを有する針であり、その外径が外針11の内径と略一致している。この内針21は、リング17及び止血ゴム16を貫通している。更に、内針21は、通路形成孔14c及び連通孔14bを通って外針11に挿通され、内針21の針先21aが外針11の先端から突き出ている。他方、内針21の基端部は、リング17より上方に突出しており、内針21の基端部に大略円筒状の内針ハブ22が設けられている。内針21の基端部は、内針ハブ22の内孔に嵌合されて固定されており、内針ハブ22は、プロテクタ20内に収容されている。
【0018】
プロテクタ20は、外針ハブ12に着脱可能に取付られており、内套23と、外套24と、一対の係合片27,27と、操作具25とを有している。内套23は、ポリプロピレン又はポリエチレン等の合成樹脂から成る大略有底筒状の部材であり、軸線L1に沿って延在している。内套23は、その開口端部23aを留置部材2に対向させて配置されており、内套23内には、その開口から内針ハブ22が挿入されている。内針ハブ22は、内套23内を軸線L1に沿って上下方向に相対移動するようになっており、内套23の天井部23cまで移動させることができるようになっている。そして、内針ハブ22を天井部23cまで移動させると、内針21全体が内套23内に収まるようになっている。なお、本実施形態では、内針21全体が内套23内に収まるようになっているが、必ずしも内針21全体が収まる必要はなく少なくとも内針21の針先21aが内套23内に収まればよい。
【0019】
また、内套23には、一対の内套スリット23b,23bが形成されている。各内套スリット23bは、内套23の周方向において約180度ずれた位置に互いに対向するように配置されており、内套23の開口端部23aから天井部23cまで延在している。内套23は、この一対の内套スリット23b,23bにより開口端部23aを半径方向外方に拡幅できるようになっている(後述する
図4(b)参照)。このように拡幅可能な開口端部23aには、一対の係合片27,27が一体的に設けられている。
【0020】
係合部であって可変連結部である一対の係合片27,27は、内套23の開口端部23aの形状に合せて円弧状に湾曲する板状の部位であり、各係合片27は、互いに対向するように各内套スリット23bに対して周方向に約90度ずらして配置されている。係合片27の一端部分は開口端部23aと繋がっており、その一端部分が第1屈曲部分27aを形成している。係合片27は、この第1屈曲部分27aにより半径方向外方に広がるように屈曲し、開口端部23aから斜め下方に延在している。この第1屈曲部分27aは、内套23の残余の部分に比べて薄肉になっており、伸ばす(まっすぐにする)ことができるようになっている。
【0021】
このように構成されている一対の係合片27,27の間には、外針ハブ12の突出部12dが介在しており、突出部12dは一対の係合片27,27によって挟持されている。突出部12dの外周部には、突起部18が周方向全周にわたって形成されている。突起部18は、突出部12dから半径方向外方に突出しており、断面視で大略半円状になっている。一対の係合片27,27には、この突起部18に対応する位置に係合溝28が形成されている。係合溝28は、突起部18の形状に合せて湾曲している、即ち上方から平面視で円弧状に形成されている。また、係合溝28は、半径方向外方に凹んでおり、断面視で三角形状になっている。この係合溝28には、突起部18の一部分が弱嵌合しており、嵌ることで突出部12dが一対の係合片27,27に係止されてプロテクタ20が外針ハブ12から外れないようになっている。また。係合片27の中間部分には、第2屈曲部分27bが形成されている。
【0022】
第2屈曲部分27bは、そこより下端側の部分が半径方向外方に延在するように屈曲している。第2屈曲部分27bは、第1屈曲部分27aと同様に薄肉になっており、係合片27は、この第2屈曲部分27bを基点にして折り曲げることができるようになっている。このような形状を有する係合片27では、内套23に一対の内套スリット23b,23bが形成されているので、第2屈曲部分27bを折り曲げると、第2屈曲部分27bより上端側の部分が立ち上がり、係合片27の係合溝28付近の部分が半径方向外方に拡幅するようになっている。拡幅することによって、突出部12dの突起部18が係合溝28から外れる、即ち外針ハブ12とプロテクタ20との係合が解除される。このようにプロテクタ20は、外針ハブ12に着脱可能に設けられている。また、係合片27の他端部分は、外套24に連結されている。
【0023】
外套24は、ポリプロピレン又はポリエチレン等の合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、内套23及び一対の係合片27,27と共に一体成型されている。外套24の内径は、内套23の外径より大きく、外套24の上下方向の長さが内套23の上下方向の長さより大きくなっている。内套23は、半径方向に間隔をあけて外套24内に収容されている。即ち、外套24は、内套23全体を覆うように内套23に被せられている。また、外套24は、一対の係合片27,27によって内套23と連結されており、一対の係合片27,27は、内套23が外套24内で相対変位できるように内套23と外套24とを連結している。具体的には、各係合片27,27の他端部分は、外套24の内周部の下端部24bより上側に繋がっており、一対の係合片27,27が立ち上がることによって内套23が外套24内で上方に持ち上がるように移動するようになっている。
【0024】
また、外套24の下端部24bは、内套23の下端より下方に突き出ており、外針ハブ12の上部には、前記下端部24bに対応する位置に環状溝12eが形成されている。環状溝12eは平面視で大略円環状に形成されており、環状溝12eには外套24の下端部24bが挿入されている。これにより、プロテクタ20の半径方向の動きが規制されるようになっている。
【0025】
また、外套24には、一対の外套スリット24a,24aが形成されており、外套スリット24aは、外套24の周方向において係合片27から約90度ずれた位置に互いに対向するように配置されている。一対の外套スリット24a,24aは、一対の内套スリット23b,23bと半径方向に略一直線上に並んでおり、互いに対向する外套スリット24a及び内套スリット23bには、連結板31が夫々挿通されている。
【0026】
連結板31は、各スリット23b,24aの形状に合せて断面視で縦長に形成されている板状の部材であり、半径方向外方に向かって延在している。連結板31は、各スリット23b,24a内を上下方向に相対移動可能に形成されており、その半径方向内側にある一端部が内針ハブ22に一体的に繋がっている。それ故、連結板31を移動させることで、内針ハブ22を内套23に対して上下方向に相対変位させることができるようになっている。また、連結板31の半径方向外側にある他端部は、外套スリット24aを貫通しており、そこには操作具25が一体的に設けられている。
【0027】
操作部材である操作具25は、大略円筒状になっており、内針ハブ22及び連結板31と共に一体成型されている。操作具25は、その外周面の中間部分にフランジ部25aを有しており、フランジ部25aは、周方向全周にわたって延在し且つ半径方向外方に突出している。また、操作具25の下端部分25bは、周方向全周にわたって半径方向外方に膨らむように拡幅しており、下端部分25b内に外針ハブ12を収容している。更に、下端部分25bには、チューブ取付部12bの位置に対応する位置に切欠き25cが形成されており、この切欠き25cにチューブ取付部12bが嵌るようになっている。また、操作具25では、フランジ部25aと下端部分25bとによってそれらの間に窪み25dが形成され、この窪み25dを投与者が指で挟んだり摘まんだりできるようになっている。
【0028】
このように構成されている操作具25は、外套24に外装されており、外套24に対して上下方向に相対変位できるようになっている。操作具25を上下方向に相対変位させると、連結板31を介して操作具25に繋がっている内針ハブ22が内套23内を上下方向に移動する。また、外套24の上端部の外周面は、残余の部分の外周面に対して若干拡径するように形成されており、操作具25を外套24の上端部付近まで持ち上げるとその上端部に操作具25が引っ掛かって外れないようになっている。また、外套24には、一対の外套スリット24a,24aに突き出るよう2つのストッパ片32,33が夫々形成されている。
【0029】
各ストッパ片32,33は、外套スリット24aの幅を狭めるように突出しており、上下に離して夫々配置されている。下側ストッパ片32は、穿刺位置にある操作具25が上方に上がらないように規制しており、投与者が操作具25を持ち上げることで規制が解除されるように形成されている。ここで、穿刺位置とは、内針21の針先21aが外針11から突出ている穿刺可能な位置であり、本実施形態では操作具25が最も下に降ろされた位置である。この穿刺位置では、一対の係合片27,27の係合溝28に突出部12dの突起部18が係合しており、外針ハブ12が操作具25の下端部分25b中に収容されている。
【0030】
他方、ストッパ部である上側ストッパ片33は、操作具25を上方に移動させて内針ハブ22を内套23の天井部23cに当接させたとき(即ち、操作具25を収納位置まで移動させたとき)に、連結板31が当たるように配置されている。上側ストッパ片33は、収納位置から操作具25を更に持ち上げることで上側ストッパ片33の間を連結板31が通過できるようになっており、通過した後に連結板31が下側に落ちないようになっている。これにより、一度収容された内針21の針先21aが再度露出することを防ぐことができる。
【0031】
[穿刺部材の取外し動作]
以下では、安全針組立体1をポート又は皮膚に穿刺した後に留置部材2から穿刺部材3を取り外す動作について、
図1乃至
図3に加えて
図4(a)及び(b)も参照しながら説明する。まず、投与者は、安全針組立体1をポート又は皮膚に穿刺し、載置台13を皮膚に載せる。その後、投与者は、親指を外套24の上端部に載せ、更に親指を除く2つの指で操作具25の窪み25dを挟む。そして、親指で外套24を外針ハブ12に押さえつけながら前記2つの指で窪み25dを上方(引抜方向)持ち上げると、連結板31を下側ストッパ片32の間を通して上方に移動させることができる。これにより、内針ハブ22が持ち上がって内針21の針先21aが外針11に収納される。
【0032】
収納された後も操作具25を更に持ち上げて内針ハブ22を上方に移動させると、やがて内針21が外針11及び止血ゴム16から引き抜かれる。操作具25を持ち上げて上側ストッパ片33に当たる収納位置まで連結板31を移動させると、内針21全体が内套23内に収納され、内針ハブ22が内套23の天井部23cに当接する。この状態から更に操作具25を持ち上げると、連結板31が上側ストッパ片33の間を通って上方に移動し、それに伴って内針ハブ22が上方に持ち上げられる。そうすると、内針ハブ22が天井部23cに当接しているので、内套23も持ち上げられる(即ち、内套23が外套24に対して相対変位する)。内套23が持ち上げられることで、第1屈曲部分27aが伸びて第2屈曲部分27bが折れ曲がる。これにより、各係合片27の上端側の部分が立ち上がり、各係合片27の係合溝28付近が徐々に拡幅する。そして、連結板31が上側ストッパ片33の間を完全に通り抜けた取外し位置まで操作具25を持ち上げると、突起部18が係合溝28から外れて内套23と外針ハブ12との係合状態が解除される(
図4(a)参照)。係合状態が解除された後、そのまま操作具25を外針ハブ12に対して持ち上げることで外套24を外針ハブ12から外すことができる。このように操作具25を持ち上げて内針ハブ22を上方に持ち上げることで、内套23に収容された針先21aを内套23の外側から外套24が覆っている状態のままでプロテクタ20を外針ハブ12から外すことができ、留置部材2から穿刺部材3を片手で取り外すことができる(
図4(b)参照)。
【0033】
なお、穿刺部材3では、操作具25を取外し位置まで持ち上げることで上側ストッパ片33により操作具25が降りないようになっている。それ故、収納された内針21の針先21aが内套23及び外套24の下端から突出ることを防ぐことができ、留置部材2から穿刺部材3を取り外した後に針先21aが投与者等に刺さることを防ぐことができる。
【0034】
[安全針組立体の効果]
このように構成されている安全針組立体1では、内針21の針先21aが内套23に覆われ、更に内套23の外側から外套24によって覆われている状態でプロテクタ20を外針ハブ12から取り外すことができる。それ故、取り外した後も、内套23の針先21aを覆っている部分が外套24によって覆われているので、その部分が損傷したり破損したりすることを防ぐことができる。また、仮に内套23が損傷したり破損したりしても内針21は外套24に覆われているので、針先21aが露出することがなく、収納された針先21aが指先に刺さったり露出したりすることを抑制することができる。
【0035】
また、内套23と外套24とが一対の係合片27,27によって連結されているので、内套23の開口端部23aが大きく開くことを防ぐことができる。これにより、指先が内套23内に入ることを防ぐことができ、指先に針先21aが刺さることを抑制することができる。更に、一対の係合片27,27が外套24内に配置されているので、一対の係合片27,27に外力が作用することを抑制でき、係合片27が破損することを防ぐことができる。これにより、一対の係合片27,27が破損して内套23が外套24から露出することを防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態の安全針組立体1では、操作具25を上方に移動させる一連の動作によって内針21の針先21aの収納及び係合片27の係合解除を行うことができる。それ故、穿刺部材3の取外しの操作が簡単である。
【0037】
[第2実施形態]
第2実施形態の安全針組立体1Aは、第1実施形態の安全針組立体1と構成が類似している。以下では、第2実施形態の安全針組立体1Aの構成については、第1実施形態の安全針組立体1と異なる点について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付して図示及び説明を省略する場合がある。
【0038】
図5に示すように、第2実施形態の安全針組立体1Aは、留置部材2Aと穿刺部材3Aとを有しており、留置部材2Aは、外針ハブ12Aと載置台13とを有している。外針ハブ12Aは、本体部41と、突出部42と、チューブ取付部12bと、カバー43とを有している。本体部41は、大略円板状に形成されており、載置台13の上に載せて固定されている。本体部41には、大略円筒状の突出部42が設けられており、突出部42は、軸線L1に沿って形成されている。突出部42は、上方に(即ち、載置台13の反対側に向かって)突出しており、軸線L1に沿って延在している。突出部42には、外針嵌合孔14a、連通孔14b、通路形成孔14c及び接続孔14dが形成されており、外針嵌合孔14aには、外針11が嵌入されている。また、突出部42には、チューブ取付部12bが設けられており、接続孔14dは、チューブ取付部12bのチューブ取付孔14eに繋がっている。更に、突出部42には、挿通孔15が形成されており、挿通孔15には止血ゴム16が嵌まり込んでいる。
【0039】
カバー43は、大略ドーム状になっており、外套24の下端部24bに対応する位置に環状溝12eが形成されている。また、カバー43は、挿通孔43aを有しており、挿通孔43aは、軸線L1に沿ってカバー43を貫通している。カバー43は、その平坦な下面が本体部41の上に載せられ、且つ挿通孔43aに突出部42が収まるように本体部41に被せられている。突出部42は下端側に比べて上端側部分42aが小径になっており、上端側部分42aとカバー43の内周部との間には円筒状の環状空間44が形成されている。この環状空間44には、穿刺部材3Aのプロテクタ20Aが装着されている。
【0040】
プロテクタ20Aは、内套23Aと外套24とを有しており、内套23Aは、大略有底円筒状に形成されている。内套23Aの下端部23dには、周方向に延在し且つ半径方向外方に突出する係合突起部29が形成されている。係合部である係合突起部29は、内套23Aに一体的に形成されており、その外周面は大略円弧状になっている。内套23Aの下端部23dは、外針ハブ12の環状空間44に挿入されている。また、カバー43には、係合突起部29に対応させて環状突起部45が形成されている。環状突起部45は、内周縁に周方向全周にわたって延在し、且つ環状空間44へと突出している。環状突起部45は、係合突起部29と弱嵌合しており、これによってプロテクタ20Aが外針ハブ12Aから外れないようになっている。また、内套23Aの上端部23eには、一対の可撓連結部30,30が一体的に設けられている。
【0041】
可変連結部である一対の可撓連結部30,30は、互いに対向するように内套スリット23bに対して周方向に約90度ずらして夫々配置されている。可撓連結部30は、内套23Aの上端部23eから上方に延在しており、その中間部分に屈曲部分30aを有している。可撓連結部30は、屈曲部分30aで屈曲して半径方向外方に向かって延在しており、可撓連結部30の上端部が内套23Aより半径方向外方に位置している。可撓連結部30の上端部は外套24の内周面に一体的に繋がっており、内套23Aと外套24とは一対の可撓連結部30,30によって連結されている。
【0042】
一対の可撓連結部30,30は、薄肉の板状になっており、可撓性を有している。それ故、天井部23cに当接している状態で内針ハブ22を持ち上げると、一対の可撓連結部30,30が撓んで、内套23Aが上方に移動する(即ち、内套23Aが外套24に対して上方に相対変位する)ようになっている。また、内套23Aを上方に移動させると、係合突起部29が断面円弧状に形成され且つ一対の内套スリット23b,23bが形成されているので、環状突起部45の形状に合せて内套23Aの下端部23dが縮径し、やがて係合突起部29と環状突起部45との係合が解除されて内套23Aを外針ハブ12Aから外すことができるようになる(
図6参照)。
【0043】
このように構成される安全針組立体1Aは、第1実施形態の安全針組立体1と同様の手順により片手で外針ハブ12Aから内套23Aを外すことができる。即ち、穿刺後に載置台13を皮膚に載せて親指を外套24の上端部に載せて親指を除く2つの指で操作具25の窪み25dを挟み、前記2つの指で操作具25を持ち上げることで内套23Aを外針ハブ12Aから外すことができる。このように取り外すことができる安全針組立体1Aは、第1実施形態の安全針組立体1と同様の作用効果を奏する。
【0044】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態の安全針組立体1では、内套23が大略有底円筒状になっているが、内套は針先を収容できる形状であれば良い。例えば、中空の大略円錐台状であってもよく、第1実施形態の安全針組立体1を基に説明すると、内套23は、その開口端部23aから天井部23cに向けて先細りに形成され、内針ハブ22を開口端部23aに嵌まり込ませる。このように構成することによって、内針ハブ22を持ち上げると開口端部23a及び一対の係合片27,27が拡幅し、内套23と外套24との係合が解除される。それ故、内套23が大略円錐台状に形成されている実施形態もまた、第1実施形態の安全針組立体1と同様に片手で穿刺部材3を留置部材2から取り外すことができ、第1実施形態の安全針組立体1と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
また、第1及び第2実施形態の安全針組立体1,1Aでは、一対の係合片27,27及び一対の可撓連結部30,30が内套23,23A及び外套24に夫々一体的に設けられているが、必ずしも一体に設けられている必要はない。例えば、一対の係合片27,27及び一対の可撓連結部30,30を板ばねのような可撓部材によって構成してもよい。この実施形態では、可撓部材を撓ませることによって、内套23が外套24に対して相対変位させて内套23を外針ハブ12から外すことができる。また、第2実施形態の安全針組立体1Aでは、外針ハブ12Aとプロテクタ20Aとを係合する係合突起部29が内套23Aに一体的に形成されているが、外套24に一体的に形成されていてもよい。
【0046】
また、第1及び第2実施形態の安全針組立体1,1Aでは、上側ストッパ片33が外套24に形成されているが、内套23,23Aに形成されていてもよい。操作具25の形状もまた、上述するような形状に限定されず、単なる円筒形状であってもよく、またレバーのような形状であってもよい。また、内套23、23Aが大略有底円筒状になっているが、大略円筒形状になっていてもよい。この場合は、その内周部に内針ハブ22と係合する内側フランジ部を形成することによって、内針ハブ22の移動と共に内套23,23Aが持ち上がるように構成することができる。また、外針ハブ12,12Aは、大略ドーム状に形成されているが、このような形状に限定されるものではない。また、第1及び第2実施形態の安全針組立体1,1Aにおいて、外針11及び外針ハブ12からなる留置部材2は、チューブ取付部12bを備えているが、インスリン持続皮下注入法に用いられるようなチューブ取付部12bがない構成であってもよい。
【0047】
更に、第1及び第2実施形態の安全針組立体1,1Aにおいて、内套23,23Aと外套24との相対変位は、内針ハブ22が天井部23cに当接している状態から内針ハブ22を持ち上げることで生じさせているが、他の方法で相対変位させるような構造であってもよい。例えば、上側ストッパ片を内套スリット23bに突出するように内套23,23Aに形成し、且つ連結板31が上側ストッパ片に当接するように上側ストッパ片の間隔を狭くする。このように構成することで、当接した状態から操作具25を更に持ち上げると、連結板31によって内套23,23Aが上方に持ち上げられる、即ち内套23,23Aが外套24に対して相対変位する。このような方法で、内套23,23Aを外套24に対して相対変位させるようにしてもよい。なお、内套23,23Aが持ち上げられた後、更に操作具25に大きな力を加えると連結板31が上側ストッパ片の間を通過して取外し位置まで移動する。