(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム、(B)湿式法シリカ、(C)シランカップリング剤、(D)チオウレア系加硫剤、及び(E)酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰から選択される受酸剤を含有することを特徴とする自動車用ホース用組成物。
(C)シランカップリング剤が、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤及びクロロアルキル系シランカップリング剤から選択される少なくとも一種のカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自動車用ホース用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴム材料として期待される引張強度及び耐熱性を維持しつつ、良好な屈曲耐久性を有するためのエピクロルヒドリン系ゴム組成物及び該組成物を加硫してなる加硫物を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム、湿式法シリカ及びシランカップリング剤を含有するエピクロルヒドリン系ゴム組成物を加硫してなるエピクロルヒドリン系ゴム材料が、ゴム材料として期待される引張強度及び耐熱性を維持しつつ、屈曲耐久性をに優れることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム、(B)湿式法シリカ、(C)シランカップリング剤、(D)加硫剤及び(E)受酸剤を含有することを特徴とする屈曲性ゴム組成物である。
【0008】
(B)湿式法シリカのBET比表面積が70〜220m
2/g、DBP吸油量が180〜220ml/100gであることが好ましい。
【0009】
(C)シランカップリング剤は、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤及びクロロアルキル系シランカップリング剤から選択される少なくとも一種のカップリング剤であることが好ましい。
(B)湿式法シリカ100重量部に対して(C)シランカップリング剤を3〜15重量部含有することが好ましい。
【0010】
(D)加硫剤はキノキサリン系加硫剤、チオウレア系加硫剤、トリアジン系加硫剤から選択される少なくとも一種の加硫剤であることが好ましい。
【0011】
(E)受酸剤は金属化合物であることが好ましい。
【0012】
本発明の屈曲性ゴム組成物を加硫してなる屈曲性ゴム材料は、JIS K6260のデマチャ屈曲き裂試験(屈曲回数2万回)における亀裂の成長が15mm以下であることが好ましく、該材料は自動車用ホースに用いられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により得られた屈曲性ゴム材料は優れた屈曲耐久性を有するとともに、引張強度及び耐熱性に優れている。従って、高温、例えば125℃以上に晒されるような自動車用ホースに極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の屈曲性ゴム組成物及び屈曲性ゴム組成物を加硫してなる屈曲性ゴム材料について詳細に説明する。本発明の屈曲性ゴム組成物は(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム、(B)湿式法シリカ、(C)シランカップリング剤、(D)加硫剤、及び(E)受酸剤を含有する。
【0015】
本発明の屈曲性ゴム組成物に用いられる(A)エピクロルヒドリン系ゴムは、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であり、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であることが好ましい。これら単独重合体または共重合体の分子量は特に制限されないが、通常ムーニー粘度表示でML
1+4(100℃)=30〜150程度である重合体であることが好ましい。
【0016】
(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴムとしては、耐熱性の点で、エピクロルヒドリンに基づく重合単位を10mol%以上含有することが好ましく、20mol%以上含有することがより好ましく、25mol%以上含有することが特に好ましい。エピクロルヒドリンに基づく重合単位については、塩素含有量等より算出することができる。塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって求めることができる。
【0017】
エピクロルヒドリンーエチレンオキサイド共重合体の場合、それら共重合割合は、エピクロルヒドリンは10mol%〜95mol%であることが好ましく、20mol%〜75mol%であることがより好ましく、25mol%〜65mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは5mol%〜90mol%であることが好ましく、25mol%〜80mol%であることがより好ましく、35mol%〜75mol%であることが特に好ましい。
【0018】
エピクロルヒドリンーエチレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル三元共重合体の場合、それら共重合割合は、エピクロルヒドリンは10mol%〜95mol%であることが好ましく、20mol%〜75mol%であることがより好ましく、25mol%〜65mol%であることが特に好ましい。エチレンオキサイドは4mol%〜89mol%であることが好ましく、24mol%〜79mol%であることがより好ましく、34mol%〜74mol%であることが特に好ましい。アリルグリシジルエーテルは1mol%〜10mol%であることが好ましく、1mol%〜8mol%であることがより好ましく、1mol%〜7mol%であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の屈曲性ゴム組成物に用いられる(B)湿式法シリカとは、ケイ酸ナトリウム水溶液をまたはアルカリ土類金属ケイ酸塩を、酸分解する等により製造される含水ケイ酸の微粒子で、二酸化ケイ素を主体としたゴム用充填材である。湿式法シリカの市販品を例示すると、カープレックス、トクシール、ニップシール、シルトンなどが挙げられる。(B)湿式法シリカを用いることで、アエロジルなどの乾式法シリカと比較して、屈曲性ゴム組成物の加工性に優れ、屈曲性ゴム組成物を加硫してなる加硫物は圧縮永久歪性に優れる。
【0020】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(B)湿式法シリカのBET比表面積は70〜380m
2/gであることが好ましく、100〜250m
2/gであることがより好ましく、170〜220m
2/gであることが特に好ましい。
【0021】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(B)湿式法シリカのDBP吸油量は160〜280ml/100gであることが好ましく、180〜220ml/100gであることが特に好ましい。
【0022】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(B)湿式法シリカの含有量は(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、20〜60重量部であることがより好ましく、30〜50 重量部であることが特に好ましい。湿式法シリカの含有量が10重量部未満であると架橋が不十分となり、70重量部を超えるとコンパウンド粘度が増大し加工性が困難になる。
【0023】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(C)シランカップリング剤は、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤およびクロロアルキル系シランカップリング剤が挙げられ、クロロアルキル系シランカップリング剤であることが好ましい。(C)シランカップリング剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0024】
ビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン等が例示される。
エポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
メタクリル系シランカップリング剤としては、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アクリル系シランカップリング剤としては、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
メルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
クロロアルキル系シランカップリング剤としては下記一般式(1)で表される化合物を例示することができる。
Cl(CH
2)
3Si(OR)
3 (1)
(但し、上記一般式(1)においてRはメチル基またはエチル基を表す。)
【0025】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(C)シランカップリング剤の含有量は、(B)湿式シリカ100重量部に対して3〜15重量部であることが好ましく、5〜13重量部であることがより好ましく、9〜11重量部であることが特に好ましい。(C)シランカップリング剤の含有量が3重量部未満であると加硫物の強度が少なく、また15重量部を超えると経済的ではない。
【0026】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(D)加硫剤としては、エピクロルヒドリン系ゴムを架橋できるものであれば特に限定されないが、塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤、即ちポリアミン
系加硫剤、チオウレア
系加硫剤、チアジアゾール
系加硫剤、トリアジン
系加硫剤、キノキサリン
系加硫剤、ビスフェノール
系加硫剤等が、また、側鎖二重結合の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド
系加硫剤、チウラムポリスルフィド
系加硫剤等を例示することができ、チオウレア
系加硫剤、キノキサリン
系加硫剤、トリアジン
系加硫剤であることが好ましく、2−メルカプトイミダゾリン( エチレンチオウレア)、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、トリメルカプト−S−トリアジンであることが特に好ましい。(D)加硫剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0027】
ポリアミン
系加硫剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p -フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等が挙げられる。
チオウレア
系加硫剤としては、2−メルカプトイミダゾリン、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が挙げられる。
チアジアゾール類としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン
系加硫剤としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン等が挙げられる。
キノキサリン
系加硫剤としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチカーボネート等が挙げられる。
ビスフェノール
系加硫剤としてはビスフェノールAF、ビスフェノールS等が挙げられる。
有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
モルホリンポリスルフィド
系加硫剤としては、モルホリンジスルフィドが挙げられる。
チウラムポリスルフィド
系加硫剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等が挙げられる。
【0028】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(D)加硫剤の含有量は、(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることが特に好ましい。(D)加硫剤の含有量が0.1重量部未満では架橋が不十分となり、10重量部を超えると加硫物が剛直になりすぎて、エピクロルヒドリン系ゴム組成物を加硫して得られる加硫物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある
【0029】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(E)受酸剤としては、加硫剤に応じて公知の受酸剤を使用できるが、金属化合物及び/又は無機マイクロポーラス・クリスタルが用いられる。
【0030】
金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)の非鉛系金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
【0031】
前記、金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸錫、等を挙げることができる。特に好ましい受酸剤としては酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰が挙げられる。
【0032】
無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミナホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、ハイドロタロサイト類、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい受酸剤としては、ハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0033】
ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM−5などの各種ゼオライト及びこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
【0034】
前記ハイドロタルサイト類は下記一般式(2)
Mg
XZn
YAl
Z(OH)
(2(X+Y)+3Z−2)CO
3・wH
2O (2)
[式中、xとy はそれぞれx+y=1〜10の関係を有する0〜10の実数、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数をそれぞれ示す]で表わされる。
ハイドロタルサイト類の具体例として、Mg
4.5Al
2(OH)
13CO
3・3.5H
2O、Mg
4.5Al
2(OH)
13CO
3、Mg
4Al
2(OH)
12CO
3・3.5H
2O、Mg
5Al
2(OH)
14CO
3・4H
2O、Mg
3Al
2(OH)
10CO
3・1.7H
2O、Mg
3ZnAl
2(OH)
12CO
3・3.5H
2O、Mg
3ZnAl
2(OH)
12CO
3、Mg
4.3Al
2(OH)
12.6CO
3・3.5H
2O等を挙げることができる。
【0035】
本発明の屈曲性ゴム組成物において、(E)受酸剤の含有量は、(A)エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体から選択されるエピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、0.2〜50重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることが特に好ましい。(E)受酸剤の含有量が0.2重量部未満では架橋が不十分となり、50重量部を超えると加硫物が剛直になりすぎて、エピクロルヒドリン系ゴム組成物を加硫して得られる加硫物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある。
【0036】
本発明の屈曲性ゴム組成物には、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の配合剤、例えば、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等を任意に配合できる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、ゴム、樹脂等のブレンドを行うことも可能である。
【0037】
本発明による屈曲性ゴム組成物を製造するには、従来ポリマー加工の分野において用いられている任意の混合手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。
【0038】
本発明の加硫物は、本発明の屈曲性ゴム組成物を通常100〜200℃ に加熱することで得られる。加硫時間は温度により異なるが、通常0.5〜300分の間である。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線或いはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
【0039】
本発明の屈曲性ゴム組成物を加硫してなる屈曲性ゴム材料の耐屈曲性は、JISK6260のデマチャ屈曲き裂試験に準じて評価することができる。デマチャ屈曲き裂試験で使用する試験片の形状及び寸法はJIS K6260で定められた形状及び寸法のものを使用する。本発明の屈曲性ゴム材料はJIS K6260のデマチャ屈曲き裂試験(屈曲回数2万回)における亀裂の成長が18mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが特に好ましい。本願においては、特記しない限り、屈曲性ゴム材料の耐屈曲性は、耐熱性試験等の行っていない、所謂、常態物性として評価したものを指す。
【0040】
本発明の屈曲性ゴム材料は、通常エピクロルヒドリン系ゴムが使用される分野に広く応用することができる。例えば、自動車用途などの各種燃料系積層ホース、エアー系積層ホース、チューブ、ベルト、ダイヤフラム、シール類等ゴム材料や、一般産業用機器・装置等のゴム材料として使用できる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの記載に限定されるものではない。
【0042】
表1に示す配合で各材料をニーダーおよびオープンロールで混練し、厚さ2〜2.5mmの未加硫ゴムシートを作製した。また、引張特性、耐熱性、屈曲耐久性の評価のために得られた未加硫ゴムシートを170℃で15分プレス加硫し、2mm厚の一次加硫物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次加硫物を得た。得られた二次加硫物を用い、JIS K6251に準じて引張試験を、JIS K6257促進老化試験A−2法に準じて耐熱性の試験を、JIS K6260に準じて屈曲き裂試験の評価を行った。
【0043】
各試験方法より得られた試験結果を表2に示す。各表中M
100は引張試験に定める100%伸び時の引張応力、Tbは引張試験に定める引張強さ、Ebは引張試験に定める伸び、HsはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。また屈曲き裂試験における数値の記載がないものは試験片の両端まで亀裂が成長したことを意味する。
【0044】
【表1】
*1 ダイソー株式会社製「エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体:エピクロマーC」
*2 ダイソー株式会社製「エピクロロヒドリン単独重合体:エピクロマーH」
*3 日本シリカ株式会社製「ニップシールVN-3」(BET比表面積170〜220m
2/g、DBP吸油量180〜220ml/100g)
*4 ダイソー株式会社製「シランカップリング剤:カブラスC」化合物名:トリエトキシシリルプロピルクロライド
【0045】
【表2】
【0046】
本発明の屈曲性ゴム組成物を加硫してなる屈曲性ゴム材料である実施例1は耐熱性試験後も高いTb値を有しており、優れた耐熱性を示している。また、実施例1は屈曲き裂成長試験において、常態物性及び耐熱性試験後の両条件において、き裂の成長が少なく、耐熱性と屈曲耐久性の両方において優れていることが表2より示された。一方、比較例1〜2は、実施例1と比較して、試験片の両端まで亀裂が成長しているなど、屈曲耐久性が著しく劣っていた。