特許第6070364号(P6070364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070364
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20170123BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F24H9/02 301B
   F24H9/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-71384(P2013-71384)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-194324(P2014-194324A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中野 晶夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】森本 量
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 向生
(72)【発明者】
【氏名】濱近 由香利
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−294324(JP,A)
【文献】 特開2005−024201(JP,A)
【文献】 特開2010−276279(JP,A)
【文献】 特開2013−002754(JP,A)
【文献】 特開2000−018727(JP,A)
【文献】 特開2010−038506(JP,A)
【文献】 特開2010−078295(JP,A)
【文献】 特開2006−177623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00− 9/20
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースの一部をなすフレーム部材を備えた貯湯給湯装置であって、湯水の加熱を行う為の熱源機を前記フレーム部材に固定した貯湯給湯装置において、
前記熱源機は、燃料を燃焼させるバーナ部と、このバーナ部の上部に配置され且つ前記バーナ部による燃焼熱と湯水との間で熱交換する熱交換器部と、この熱交換器部の上部に配置され且つ前記熱交換器部による熱交換後の排気を前方に排出する為の排気集合筒とを備え、
前記排気集合筒の前端上部と、前記バーナ部の後端下部を前記フレーム部材に直接又は固定金具を介して固定すると共に、前記排気集合筒の前端の下端部と前記熱交換器部の前端部とを接続する補強部材を備えたことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記熱交換器部は、顕熱回収用熱交換器と、この顕熱回収用熱交換器の上部に配置された潜熱回収用熱交換器とを備え、
前記補強部材は、前記排気集合筒の前端の下端部と、前記顕熱回収用熱交換器を収容するケース部材の前端の上部フランジ部とを接続することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯給湯装置に関し、特に外装ケースに固定された補助熱源機の剛性を確保可能な構造を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温の湯水を生成して貯湯し、所望の給湯先に供給可能な貯湯給湯装置が実用に供されている。この種の貯湯給湯装置は、湯水を貯留する大容量の貯湯タンク、この貯湯タンクの下部に接続された給水配管及び上部に接続された給湯配管、前記貯湯タンクの下部から熱源機を経由して貯湯タンクの上部へ水を循環させて加熱する循環加熱配管、貯湯タンクに貯留されている湯水の温度が不足する場合等に湯水を加熱する補助熱源機等を備えている。
【0003】
上記の補助熱源機としては、一般的に、燃料ガスを燃焼する燃焼装置が組み込まれている。この種の燃焼装置は、燃焼用空気を外部から取り込む送風ファン、燃焼用空気と燃料ガスとを混合して燃焼する複数本のバーナ、燃焼熱と水との間で熱交換して水を加熱する熱交換器、熱交換後の排気を外部に排出する為の排気集合筒等を備えている。
【0004】
上記の補助熱源機において、排気の顕熱を利用する顕熱回収用熱交換器を備えた燃焼装置だけでなく、熱効率の向上を図る為に、顕熱回収用熱交換器による熱交換後の排気の潜熱を利用する潜熱回収用熱交換器を備えた潜熱回収型の燃焼装置も実用化されている。
【0005】
ところで、上記の燃焼装置は、一般的に複数本のバーナが収容されたバーナ缶体や熱交換器が収容された熱交換器缶体等の複数の缶体から構成されている。これら缶体同士を接続する缶体接続構造に関して、例えば、特許文献1のような構造が開示されている。即ち、特許文献1には、バーナ缶体と熱交換器缶体とが重なり合う部分にフランジ部を夫々形成し、このフランジ部同士を合わせた状態でカシメ結合することで、バーナ缶体と熱交換器缶体とを接続した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−11192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の貯湯給湯装置において、上記の補助熱源機(燃焼装置)は、各種の機器を収納する為の外装ケースを構成する柱状のフレーム部材に固定されている。一般的に、貯湯給湯装置に組み込まれた補助熱源機は、必ずしも専用の箱状のケース部材には収納されず、補助熱源機を構成するバーナ缶体や熱交換器缶体等の各種の缶体の外表面が露出した状態で、柱状のフレーム部材に直接固定される場合がある。しかし、柱状のフレーム部材は、箱状のケース部材と比較すると、剛性が低いという問題がある。
【0008】
従って、地震や輸送等を起因とする振動で上記の柱状のフレーム部材が撓むと、補助熱源機の缶体接続部(バーナ缶体と熱交換器缶体との接続部、熱交換器缶体と排気集合筒との接続部等)に応力が集中し易いので、缶体接続部に破損が発生する虞がある。特に補助熱源機が潜熱回収型の場合、補助熱源機の高さが高くなると共に缶体接続部が増加するので、缶体接続部が破損する可能性が著しく高まってしまう。そこで、補助熱源機の剛性確保の為に、補助熱源機とフレーム部材との間の固定箇所を増加させると、貯湯給湯装置の組み立て工程数の増加や、メンテナンス時に補助熱源機を取り外し難くなるという問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、貯湯給湯装置において、フレーム部材と補助熱源機との間の固定箇所を増やさずに、補助熱源機の剛性を容易な構造で且つ低コストで確保可能なもの、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の貯湯給湯装置は、外装ケースの一部をなすフレーム部材を備えた貯湯給湯装置であって、湯水の加熱を行う為の熱源機を前記フレーム部材に固定した貯湯給湯装置において、前記熱源機は、燃料を燃焼させるバーナ部と、このバーナ部の上部に配置され且つ前記バーナ部による燃焼熱と湯水との間で熱交換する熱交換器部と、この熱交換器部の上部に配置され且つ前記熱交換器部による熱交換後の排気を前方に排出する為の排気集合筒とを備え、前記排気集合筒の前端上部と、前記バーナ部の後端下部を前記フレーム部材に直接又は固定金具を介して固定すると共に、前記排気集合筒の前端の下端部と前記熱交換器部の前端部とを接続する補強部材を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記熱交換器部は、顕熱回収用熱交換器と、この顕熱回収用熱交換器の上部に配置された潜熱回収用熱交換器とを備え、前記補強部材は、前記排気集合筒の前端の下端部と、前記顕熱回収用熱交換器を収容するケース部材の前端の上部フランジ部とを接続することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、排気集合筒の前端上部と、バーナ部の後端下部をフレーム部材に直接又は固定金具を介して固定すると共に、排気集合筒の前端の下端部と熱交換器部の前端部とを接続する補強部材を備えたので、この補強部材によって排気集合筒と熱交換器部とを安定的に接続することができる。
【0013】
即ち、フレーム部材に排気集合筒の前端上部とバーナ部の後端下部を固定した場合においてフレーム部材が撓むと、排気集合筒と熱交換器部との間の缶体接続部に応力が集中し易くなるので、補強部材によって排気集合筒と熱交換器部の缶体接続部の接続強度を向上させることで、排気集合筒と熱交換器部との間の缶体接続部の破損を防ぎ排気漏れを防止することができる。補強部材を追加的に設置するだけで、缶体接続部の接続強度が向上するので、補助熱源機の剛性確保を容易な構造で且つ低コストで実現可能であり、フレーム部材と補助熱源機との間の固定箇所を増やす必要がないので、貯湯給湯装置の組み立て工程数の増加を抑え且つ補助熱源機のメンテナンス性を損なうことがない。
【0014】
請求項2の発明によれば、熱交換器部は、顕熱回収用熱交換器と、この顕熱回収用熱交換器の上部に配置された潜熱回収用熱交換器とを備え、補強部材は、排気集合筒の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器を収容するケース部材の前端の上部フランジ部とを接続するので、潜熱回収用熱交換器を挟み込むようにして補強部材を設置することで、顕熱回収用熱交換器と潜熱回収用熱交換器とを接続する缶体接続部及び潜熱回収用熱交換器と排気集合筒とを接続する缶体接続部が強固になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係る貯湯給湯装置のフレーム部材と補助熱源機の斜視図である。
図2】フレーム部材と補助熱源機の部分斜視図である。
図3】フレーム部材と補助熱源機の部分正面図である。
図4】補助熱源機の概略構成図である。
図5】補助熱源機の縦断面図である。
図6】排気集合筒を取り外した状態の補助熱源機の上方からの部分斜視図である。
図7】排気集合筒を取り外した状態の補助熱源機の下方からの部分斜視図である。
図8】補強部材の斜視図である。
図9】補強部材の正面図である。
図10】補強部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0017】
最初に、補助熱源機として潜熱回収型燃焼装置が組み込まれた貯湯給湯装置1の全体構成について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯、給湯、床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給、風呂への給湯及び追い焚き等の機能を有するものであり、貯湯タンク2、補助熱源機3、給水配管、給湯配管、加熱循環配管等の各種配管(図示略)を備え、これら大部分は外装ケース4内に一体的に収納されて構成されている。
【0018】
尚、この貯湯給湯装置1は、例えば、外部熱源機として貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な燃料電池発電装置の排熱回収熱交換器と、この燃料電池発電装置と貯湯給湯装置1との間に湯水を循環させる為の加熱循環通路等と組み合わせることで燃料電池コージェネレーションシステムが構成されるが、貯湯給湯装置1以外の構成の詳細な説明は省略する。また、外部熱源機として、その他の熱源機(例えば、ヒートポンプ式熱源機)を採用しても良い。
【0019】
次に、外装ケース4について説明する。
図1に示すように、外装ケース4は、板状の外装プレート(図示略)を柱状のフレーム部材5に固定することで薄鋼板製の箱状に構成されている。このフレーム部材5に湯水の加熱を行う為の補助熱源機3が固定されているが、補助熱源機3の具体的な固定構造については後述する。
【0020】
外装ケース4の一部をなすフレーム部材5は、縦方向に延びる4本の縦ラック5a、4本の縦ラック5aの下端部に固定され且つ前後方向に延びる1対の下端ラック5b、4本の縦ラック5aの中段部上側寄り部分に固定され且つ前後方向に延びる1対の中段ラック5c、4本の縦ラック5aの上端部に固定され且つ左右方向に延びる1対の上端ラック5d等から構成されている。1対の中段ラック5c間に、補助熱源機3の下端部を固定する為の固定金具7が左右方向に延びるように設置されている。
【0021】
次に、補助熱源機3(熱源機に相当する)について説明する。
図1図7に示すように、補助熱源機3は、フレーム部材5の上側部分に固定され、燃料ガスを燃焼して排気に含まれる顕熱と潜熱を利用して貯湯タンク2に貯留された湯水や加熱循環配管を流れる湯水等の加熱を行うガス給湯器(所謂、潜熱回収型燃焼装置)を構成している。
【0022】
補助熱源機3は、燃焼用空気を外部から取り込む送風ファン8、この送風ファン8によって取り込まれた燃焼用空気と燃料ガスとを混合させて燃焼させるバーナ部9、このバーナ部9の上部に配置され且つバーナ部9による燃焼熱と湯水との間で熱交換する熱交換器部11、この熱交換器部11の上部に配置され且つ熱交換器部11による熱交換後の排気を前方に排出する為の排気集合筒12、入水管13aと出湯管13bとドレン管13c等の各種配管等を備えている。
【0023】
バーナ部9は、例えば、燃料を燃焼する複数本のバーナ14、これらバーナ14を収容した箱状のバーナ缶体15等を備えている。バーナ缶体15の後端下部に、固定金具7に固定可能な側面視L字型の下側固定部材16が設けられている(図5参照)。さらに、バーナ缶体15の下端部に、送風ファン8が設けられている。熱交換器部11は、顕熱回収部18、この顕熱回収部18の上部に配置された潜熱回収部19を備えている。潜熱回収部19の上端部に、排気集合筒12が設けられている。
【0024】
顕熱回収部18は、排気の主として顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器21、この顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22(ケース部材に相当する)等を備えている。下側熱交換器缶体22は、銅製の箱状体に構成されている。下側熱交換器缶体22の上端部に、上部フランジ部22aが形成され、下側熱交換器缶体22の下端部に、下部フランジ部22bが形成されている。この下側熱交換器缶体22の下部フランジ部22bとバーナ缶体15の上端部に形成されたフランジ部15aとは、カシメとビス締結によって接合されている。
【0025】
潜熱回収部19は、顕熱回収後の排気の主として潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器23、この潜熱回収用熱交換器23を収容する上側熱交換器缶体24等を備えている。上側熱交換器缶体24は、ステンレス薄板製の箱状体に構成されている。上側熱交換器缶体24の前板部に、前方に突出し且つ左右方向に延びる膨張部24aが形成され、上側熱交換器缶体24の底板部に、下部フランジ部24bが形成されている。上側熱交換器缶体24の天板部に、潜熱回収用熱交換器23の上方に開口した排気口23が形成され且つ下方に段落ちした段落部24cが形成されている。
【0026】
下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aと上側熱交換器缶体24の下部フランジ部24bとは、カシメとビス締結によって接合されている。さらに、上側熱交換器缶体24の底板部に、下方に延びる前端板部24dが設けられている。この前端板部24dは、複数のビス24eを介して下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aに固定されている。
【0027】
排気集合筒12は、ステンレス薄板製の直方体形状の箱状体に構成されている。排気集合筒12は、潜熱回収用熱交換器23を経由して上昇する排気の排気通路28を形成する本体ケース27、この本体ケース27の排気通路28を流れた排気を外部に排出する為の排気トップ29を主体に構成されている。
【0028】
本体ケース27の内側に、排気通路28に流入する排気を前部へ向かう排気流と後部へ向う排気流とに分割する為の分割部材31、吸音材33を保持する為の吸音材保持部材32等が設けられている。本体ケース27の底部に、潜熱回収用熱交換器23の排気口25と連なる排気導入口34が形成されている。
【0029】
本体ケース27は、潜熱回収部19の前端部よりも前方に突出し且つ潜熱回収部19の後端部よりも後方に突出するように構成されている。本体ケース27の底部に、この底部の一部を形成するベース板35が複数のフランジ部27aと複数のビス27bを介して固定されている(図5参照)。排気集合筒12は、ベース板35を介して上側熱交換器缶体24の上端部に取り付けられている。
【0030】
ベース板35は、平面視矩形板状に形成されている。ベース板35の中心部に、排気口25に連通する開口部35aが形成され、ベース板35の前端部に、下方に屈曲した屈曲板部35bが形成されている。屈曲板部35bに、1対の長孔35cが左右に隣接状に形成されている。この1対の長孔35cに、補強部材41の上端部が係合される。尚、補強部材41の具体的な構造については後述する。
【0031】
本体ケース27の前端上部に、側面視クランク状の上側固定部材36が設けられている。上側固定部材36の下側縦板部36aが、本体ケース27の前端上部に固定されている。上側固定部材36の上側縦板部36bに、後方に向かって屈曲し且つ上端ラック5dに形成された1対の係合小孔5eに係合可能な1対の切起片36cが形成されている。
【0032】
補助熱源機3において、入水管13aから供給される入水は潜熱回収用熱交換器23において排気の潜熱により加熱された後、顕熱回収用熱交換器21に供給され、その顕熱回収用熱交換器21により加熱された後出湯管13bに供給される。潜熱回収用熱交換器23の直下に、潜熱回収により発生したドレン(凝縮水)を受けるトレイ13dが設けられ、このトレイ13dに回収されたドレンは、ドレン管13cを通って中和器(図示略)に送られて中和された後に、器具外に排出される。
【0033】
次に、補助熱源機3のフレーム部材5に対する固定構造について説明する。
図1図3に示すように、補助熱源機3は、外装ケース4の内側の上側約1/3部分に配置され、排気集合筒12の前端上部をフレーム部材5に直接固定し、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に固定金具7を介して固定している。
【0034】
即ち、上側固定部材36の1対の切起片36cを前側の上端ラック5dの1対の係合小孔5eに係合し、上側縦板部36bを複数のビス36dを介して上端ラック5dに固定することで、排気集合筒12の前端上部をフレーム部材5に固定し、下側固定部材16を複数のビス16aを介して固定金具7に固定することで、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に固定している。
【0035】
次に、補強部材41について説明する。
図1図3図5〜10に示すように、補助熱源機3は、缶体接続部(下側熱交換器缶体22と上側熱交換器缶体24との接続部、上側熱交換器缶体24と排気集合筒12との接続部)の剛性を確保する為に、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続する補強部材41を備えている。即ち、補強部材41は、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22の前端の上部フランジ部22aとを接続している。
【0036】
図8図10に示すように、補強部材41は、ステンレス製の薄板部材から構成され、正面視矩形板状の本体板部42、本体板部42の上端部に一体形成され且つ後方に向かって僅かに屈曲した上端板部43、本体板部42の下端部に一体形成され且つ後方に向かって僅かに屈曲した下端板部44を備えている。
【0037】
本体板部42の中央下側寄り部分の大部分に、上側熱交換器缶体24の膨張部24aが挿通可能な横長の大径長孔42aが形成され、本体板部42の左右両端部に、前方に向かって直角状に屈曲した1対の屈曲部42bが形成されている。補強部材41の取り付け状態では、本体板部42は、上端ほど前方に傾斜した傾斜状に配置され、本体板部42の大径長孔42aに上側熱交換器缶体24の膨張部24aが挿通される。
【0038】
上端板部43の上部の左右両端部に、上方に向かって延びる1対のビス取付片43aが形成され、上端板部43の1対のビス取付片43a間に、ビス取付片43aと略直角状に後方に向かって屈曲する1対の係合片43bが形成されている。1対のビス取付片43aに、ビス孔43cが夫々形成されている。補強部材41の取り付け状態では、1対の係合片43bがベース板35の1対の長孔35cに係合し、1対のビス取付片43aがビス43dを介してベース板35の屈曲板部35bに夫々固定される。
【0039】
下端板部44の下部に、下方に向かって延びる3つの下方突出片44aが左右方向等間隔に形成されている。これら下方突出片44aの下端部に、後方に向かって180°湾曲した側面視U字状の係合湾曲部44bが夫々形成されている。補強部材41の取り付け状態では、3つの係合湾曲部44bは、下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aの3つの切欠き状の凹部22cに下方から夫々係合される(図7参照)。
【0040】
次に、本発明の貯湯給湯装置1の作用及び効果について説明する。
先ずは、補助熱源機3に補強部材41を取り付ける場合、補強部材41の下側の3つの係合湾曲部44bを対応する上部フランジ部22aの3つの凹部22cに下方から夫々係合し、次に、補強部材41の上側の1対の係合片43bをベース板35の1対の長孔35cに夫々係合する。
【0041】
そして、補強部材41の1対のビス取付片43aを、複数のビス43dを介してベース板35に夫々固定する。このようにして、補強部材41は、潜熱回収用熱交換器23を収容する上側熱交換器缶体24を跨ぐようにして、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22の前端の上部フランジ部22aとを接続する。
【0042】
次に、補強部材41が取り付けられた補助熱源機3をフレーム部材5に固定する為に、先ずは、排気集合筒12の上側固定部材36を、1対の切起片36cと複数のビス36dを介してフレーム部材5の前側の上端ラック5dに固定し、バーナ部9の後端下部の下側固定部材16を、複数のビス16aを介して固定金具7に固定することで、補助熱源機3をフレーム部材5に固定する。
【0043】
以上説明したように、排気集合筒12の前端上部と、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に直接又は固定金具7を介して固定すると共に、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続する補強部材41を備えたので、この補強部材41によって排気集合筒12と熱交換器部11とを安定的に接続することができる。
【0044】
即ち、フレーム部材5に排気集合筒12の前端上部とバーナ部9の後端下部を固定した場合においてフレーム部材5が撓むと、排気集合筒12と熱交換器部11との間の缶体接続部に応力が集中し易くなるので、補強部材41によって排気集合筒12と熱交換器部11の缶体接続部の接続強度を向上させることで、排気集合筒12と熱交換器部11との間の缶体接続部(下側熱交換器缶体22と上側熱交換器缶体24との接続部、上側熱交換器缶体24と排気集合筒12との接続部)の破損を防ぎ排気漏れを防止することができる。補強部材41を追加的に設置するだけで、缶体接続部の接続強度が向上するので、補助熱源機3の剛性確保を容易な構造で且つ低コストで実現可能であり、フレーム部材5と補助熱源機3との間の固定箇所を増やす必要がないので、貯湯給湯装置1の組み立て工程数の増加を抑え且つ補助熱源機3のメンテナンス性を損なうことがない。
【0045】
また、熱交換器部11は、顕熱回収用熱交換器21と、この顕熱回収用熱交換器21の上部に配置された潜熱回収用熱交換器23とを備え、補強部材41は、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22(ケース部材)の前端の上部フランジ部とを接続するので、潜熱回収用熱交換器23を挟み込むようにして補強部材41を設置することで、顕熱回収用熱交換器21と潜熱回収用熱交換器23とを接続する缶体接続部及び潜熱回収用熱交換器23と排気集合筒12とを接続する缶体接続部が強固になる。
【0046】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
[1]前記実施例の補助熱源機3の下側固定構造において、バーナ部9の下側固定部材16を固定金具7に固定することでフレーム部材5に間接的に固定しているが、特にこの固定構造に限定する必要はなく、下側固定部材16の形状を適宜変更して、補助熱源機3の下端部をフレーム部材5に直接固定するようにしても良い。
【0047】
また、前記実施例の補助熱源機3の上側固定構造において、排気集合筒12の上側固定部材36をフレーム部材5に直接固定しているが、特にこの固定構造に限定する必要はなく、上側固定部材36を、固定金具を介してフレーム部材5に間接的に固定するようにしても良い。
【0048】
[2]前記実施例の補強部材41の構造は、ほんの一例を示したに過ぎず、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続可能な構造であれば、適宜変更可能である。
【0049】
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0050】
1 貯湯給湯装置
3 補助熱源機
4 外装ケース
5 フレーム部材
7 固定金具
9 バーナ部
11 熱交換器部
12 排気集合筒
21 顕熱回収用熱交換器
22 下側熱交換缶体
22a 上部フランジ部
23 潜熱回収用熱交換器
24 上側熱交換缶体
24b 下部フランジ部
41 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10