【実施例】
【0017】
最初に、補助熱源機として潜熱回収型燃焼装置が組み込まれた貯湯給湯装置1の全体構成について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯、給湯、床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給、風呂への給湯及び追い焚き等の機能を有するものであり、貯湯タンク2、補助熱源機3、給水配管、給湯配管、加熱循環配管等の各種配管(図示略)を備え、これら大部分は外装ケース4内に一体的に収納されて構成されている。
【0018】
尚、この貯湯給湯装置1は、例えば、外部熱源機として貯湯タンク2内の湯水を加熱可能な燃料電池発電装置の排熱回収熱交換器と、この燃料電池発電装置と貯湯給湯装置1との間に湯水を循環させる為の加熱循環通路等と組み合わせることで燃料電池コージェネレーションシステムが構成されるが、貯湯給湯装置1以外の構成の詳細な説明は省略する。また、外部熱源機として、その他の熱源機(例えば、ヒートポンプ式熱源機)を採用しても良い。
【0019】
次に、外装ケース4について説明する。
図1に示すように、外装ケース4は、板状の外装プレート(図示略)を柱状のフレーム部材5に固定することで薄鋼板製の箱状に構成されている。このフレーム部材5に湯水の加熱を行う為の補助熱源機3が固定されているが、補助熱源機3の具体的な固定構造については後述する。
【0020】
外装ケース4の一部をなすフレーム部材5は、縦方向に延びる4本の縦ラック5a、4本の縦ラック5aの下端部に固定され且つ前後方向に延びる1対の下端ラック5b、4本の縦ラック5aの中段部上側寄り部分に固定され且つ前後方向に延びる1対の中段ラック5c、4本の縦ラック5aの上端部に固定され且つ左右方向に延びる1対の上端ラック5d等から構成されている。1対の中段ラック5c間に、補助熱源機3の下端部を固定する為の固定金具7が左右方向に延びるように設置されている。
【0021】
次に、補助熱源機3(熱源機に相当する)について説明する。
図1〜
図7に示すように、補助熱源機3は、フレーム部材5の上側部分に固定され、燃料ガスを燃焼して排気に含まれる顕熱と潜熱を利用して貯湯タンク2に貯留された湯水や加熱循環配管を流れる湯水等の加熱を行うガス給湯器(所謂、潜熱回収型燃焼装置)を構成している。
【0022】
補助熱源機3は、燃焼用空気を外部から取り込む送風ファン8、この送風ファン8によって取り込まれた燃焼用空気と燃料ガスとを混合させて燃焼させるバーナ部9、このバーナ部9の上部に配置され且つバーナ部9による燃焼熱と湯水との間で熱交換する熱交換器部11、この熱交換器部11の上部に配置され且つ熱交換器部11による熱交換後の排気を前方に排出する為の排気集合筒12、入水管13aと出湯管13bとドレン管13c等の各種配管等を備えている。
【0023】
バーナ部9は、例えば、燃料を燃焼する複数本のバーナ14、これらバーナ14を収容した箱状のバーナ缶体15等を備えている。バーナ缶体15の後端下部に、固定金具7に固定可能な側面視L字型の下側固定部材16が設けられている(
図5参照)。さらに、バーナ缶体15の下端部に、送風ファン8が設けられている。熱交換器部11は、顕熱回収部18、この顕熱回収部18の上部に配置された潜熱回収部19を備えている。潜熱回収部19の上端部に、排気集合筒12が設けられている。
【0024】
顕熱回収部18は、排気の主として顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器21、この顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22(ケース部材に相当する)等を備えている。下側熱交換器缶体22は、銅製の箱状体に構成されている。下側熱交換器缶体22の上端部に、上部フランジ部22aが形成され、下側熱交換器缶体22の下端部に、下部フランジ部22bが形成されている。この下側熱交換器缶体22の下部フランジ部22bとバーナ缶体15の上端部に形成されたフランジ部15aとは、カシメとビス締結によって接合されている。
【0025】
潜熱回収部19は、顕熱回収後の排気の主として潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器23、この潜熱回収用熱交換器23を収容する上側熱交換器缶体24等を備えている。上側熱交換器缶体24は、ステンレス薄板製の箱状体に構成されている。上側熱交換器缶体24の前板部に、前方に突出し且つ左右方向に延びる膨張部24aが形成され、上側熱交換器缶体24の底板部に、下部フランジ部24bが形成されている。上側熱交換器缶体24の天板部に、潜熱回収用熱交換器23の上方に開口した排気口23が形成され且つ下方に段落ちした段落部24cが形成されている。
【0026】
下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aと上側熱交換器缶体24の下部フランジ部24bとは、カシメとビス締結によって接合されている。さらに、上側熱交換器缶体24の底板部に、下方に延びる前端板部24dが設けられている。この前端板部24dは、複数のビス24eを介して下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aに固定されている。
【0027】
排気集合筒12は、ステンレス薄板製の直方体形状の箱状体に構成されている。排気集合筒12は、潜熱回収用熱交換器23を経由して上昇する排気の排気通路28を形成する本体ケース27、この本体ケース27の排気通路28を流れた排気を外部に排出する為の排気トップ29を主体に構成されている。
【0028】
本体ケース27の内側に、排気通路28に流入する排気を前部へ向かう排気流と後部へ向う排気流とに分割する為の分割部材31、吸音材33を保持する為の吸音材保持部材32等が設けられている。本体ケース27の底部に、潜熱回収用熱交換器23の排気口25と連なる排気導入口34が形成されている。
【0029】
本体ケース27は、潜熱回収部19の前端部よりも前方に突出し且つ潜熱回収部19の後端部よりも後方に突出するように構成されている。本体ケース27の底部に、この底部の一部を形成するベース板35が複数のフランジ部27aと複数のビス27bを介して固定されている(
図5参照)。排気集合筒12は、ベース板35を介して上側熱交換器缶体24の上端部に取り付けられている。
【0030】
ベース板35は、平面視矩形板状に形成されている。ベース板35の中心部に、排気口25に連通する開口部35aが形成され、ベース板35の前端部に、下方に屈曲した屈曲板部35bが形成されている。屈曲板部35bに、1対の長孔35cが左右に隣接状に形成されている。この1対の長孔35cに、補強部材41の上端部が係合される。尚、補強部材41の具体的な構造については後述する。
【0031】
本体ケース27の前端上部に、側面視クランク状の上側固定部材36が設けられている。上側固定部材36の下側縦板部36aが、本体ケース27の前端上部に固定されている。上側固定部材36の上側縦板部36bに、後方に向かって屈曲し且つ上端ラック5dに形成された1対の係合小孔5eに係合可能な1対の切起片36cが形成されている。
【0032】
補助熱源機3において、入水管13aから供給される入水は潜熱回収用熱交換器23において排気の潜熱により加熱された後、顕熱回収用熱交換器21に供給され、その顕熱回収用熱交換器21により加熱された後出湯管13bに供給される。潜熱回収用熱交換器23の直下に、潜熱回収により発生したドレン(凝縮水)を受けるトレイ13dが設けられ、このトレイ13dに回収されたドレンは、ドレン管13cを通って中和器(図示略)に送られて中和された後に、器具外に排出される。
【0033】
次に、補助熱源機3のフレーム部材5に対する固定構造について説明する。
図1〜
図3に示すように、補助熱源機3は、外装ケース4の内側の上側約1/3部分に配置され、排気集合筒12の前端上部をフレーム部材5に直接固定し、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に固定金具7を介して固定している。
【0034】
即ち、上側固定部材36の1対の切起片36cを前側の上端ラック5dの1対の係合小孔5eに係合し、上側縦板部36bを複数のビス36dを介して上端ラック5dに固定することで、排気集合筒12の前端上部をフレーム部材5に固定し、下側固定部材16を複数のビス16aを介して固定金具7に固定することで、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に固定している。
【0035】
次に、補強部材41について説明する。
図1〜
図3,
図5〜10に示すように、補助熱源機3は、缶体接続部(下側熱交換器缶体22と上側熱交換器缶体24との接続部、上側熱交換器缶体24と排気集合筒12との接続部)の剛性を確保する為に、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続する補強部材41を備えている。即ち、補強部材41は、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22の前端の上部フランジ部22aとを接続している。
【0036】
図8〜
図10に示すように、補強部材41は、ステンレス製の薄板部材から構成され、正面視矩形板状の本体板部42、本体板部42の上端部に一体形成され且つ後方に向かって僅かに屈曲した上端板部43、本体板部42の下端部に一体形成され且つ後方に向かって僅かに屈曲した下端板部44を備えている。
【0037】
本体板部42の中央下側寄り部分の大部分に、上側熱交換器缶体24の膨張部24aが挿通可能な横長の大径長孔42aが形成され、本体板部42の左右両端部に、前方に向かって直角状に屈曲した1対の屈曲部42bが形成されている。補強部材41の取り付け状態では、本体板部42は、上端ほど前方に傾斜した傾斜状に配置され、本体板部42の大径長孔42aに上側熱交換器缶体24の膨張部24aが挿通される。
【0038】
上端板部43の上部の左右両端部に、上方に向かって延びる1対のビス取付片43aが形成され、上端板部43の1対のビス取付片43a間に、ビス取付片43aと略直角状に後方に向かって屈曲する1対の係合片43bが形成されている。1対のビス取付片43aに、ビス孔43cが夫々形成されている。補強部材41の取り付け状態では、1対の係合片43bがベース板35の1対の長孔35cに係合し、1対のビス取付片43aがビス43dを介してベース板35の屈曲板部35bに夫々固定される。
【0039】
下端板部44の下部に、下方に向かって延びる3つの下方突出片44aが左右方向等間隔に形成されている。これら下方突出片44aの下端部に、後方に向かって180°湾曲した側面視U字状の係合湾曲部44bが夫々形成されている。補強部材41の取り付け状態では、3つの係合湾曲部44bは、下側熱交換器缶体22の上部フランジ部22aの3つの切欠き状の凹部22cに下方から夫々係合される(
図7参照)。
【0040】
次に、本発明の貯湯給湯装置1の作用及び効果について説明する。
先ずは、補助熱源機3に補強部材41を取り付ける場合、補強部材41の下側の3つの係合湾曲部44bを対応する上部フランジ部22aの3つの凹部22cに下方から夫々係合し、次に、補強部材41の上側の1対の係合片43bをベース板35の1対の長孔35cに夫々係合する。
【0041】
そして、補強部材41の1対のビス取付片43aを、複数のビス43dを介してベース板35に夫々固定する。このようにして、補強部材41は、潜熱回収用熱交換器23を収容する上側熱交換器缶体24を跨ぐようにして、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22の前端の上部フランジ部22aとを接続する。
【0042】
次に、補強部材41が取り付けられた補助熱源機3をフレーム部材5に固定する為に、先ずは、排気集合筒12の上側固定部材36を、1対の切起片36cと複数のビス36dを介してフレーム部材5の前側の上端ラック5dに固定し、バーナ部9の後端下部の下側固定部材16を、複数のビス16aを介して固定金具7に固定することで、補助熱源機3をフレーム部材5に固定する。
【0043】
以上説明したように、排気集合筒12の前端上部と、バーナ部9の後端下部をフレーム部材5に直接又は固定金具7を介して固定すると共に、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続する補強部材41を備えたので、この補強部材41によって排気集合筒12と熱交換器部11とを安定的に接続することができる。
【0044】
即ち、フレーム部材5に排気集合筒12の前端上部とバーナ部9の後端下部を固定した場合においてフレーム部材5が撓むと、排気集合筒12と熱交換器部11との間の缶体接続部に応力が集中し易くなるので、補強部材41によって排気集合筒12と熱交換器部11の缶体接続部の接続強度を向上させることで、排気集合筒12と熱交換器部11との間の缶体接続部(下側熱交換器缶体22と上側熱交換器缶体24との接続部、上側熱交換器缶体24と排気集合筒12との接続部)の破損を防ぎ排気漏れを防止することができる。補強部材41を追加的に設置するだけで、缶体接続部の接続強度が向上するので、補助熱源機3の剛性確保を容易な構造で且つ低コストで実現可能であり、フレーム部材5と補助熱源機3との間の固定箇所を増やす必要がないので、貯湯給湯装置1の組み立て工程数の増加を抑え且つ補助熱源機3のメンテナンス性を損なうことがない。
【0045】
また、熱交換器部11は、顕熱回収用熱交換器21と、この顕熱回収用熱交換器21の上部に配置された潜熱回収用熱交換器23とを備え、補強部材41は、排気集合筒12の前端の下端部と、顕熱回収用熱交換器21を収容する下側熱交換器缶体22(ケース部材)の前端の上部フランジ部とを接続するので、潜熱回収用熱交換器23を挟み込むようにして補強部材41を設置することで、顕熱回収用熱交換器21と潜熱回収用熱交換器23とを接続する缶体接続部及び潜熱回収用熱交換器23と排気集合筒12とを接続する缶体接続部が強固になる。
【0046】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
[1]前記実施例の補助熱源機3の下側固定構造において、バーナ部9の下側固定部材16を固定金具7に固定することでフレーム部材5に間接的に固定しているが、特にこの固定構造に限定する必要はなく、下側固定部材16の形状を適宜変更して、補助熱源機3の下端部をフレーム部材5に直接固定するようにしても良い。
【0047】
また、前記実施例の補助熱源機3の上側固定構造において、排気集合筒12の上側固定部材36をフレーム部材5に直接固定しているが、特にこの固定構造に限定する必要はなく、上側固定部材36を、固定金具を介してフレーム部材5に間接的に固定するようにしても良い。
【0048】
[2]前記実施例の補強部材41の構造は、ほんの一例を示したに過ぎず、排気集合筒12の前端の下端部と熱交換器部11の前端部とを接続可能な構造であれば、適宜変更可能である。
【0049】
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。