(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貫通孔は、前記現在の鍵の種類が前記共通鍵であり、前記内筒本体が前記外筒に対して施錠位置にある場合に、前記回転盤の一部として、前記切り欠き部を露出する、請求項4に記載のシリンダ錠。
前記貫通孔は、前記現在の鍵の種類がキーコードをリセット不可能な個別鍵であり、前記内筒本体が前記外筒に対して施錠位置にある場合に、前記回転盤の一部として、前記切り欠き部以外の前記回転盤の他の一部を露出する、請求項4または請求項5に記載のシリンダ錠。
鍵穴を有する内筒と、軸線を中心に前記内筒を回転可能に収容し、前記内筒の外面の一部を露出する貫通孔を有する外筒と、射出成形により製造され、前記貫通孔内に取り付けられた小片とを備えるシリンダ錠の製造方法であって、
前記小片にゲート部が接続されている状態で、前記貫通孔上に前記小片を配置する工程と、
前記小片を前記貫通孔内に押し込むことにより、前記小片から前記ゲート部を切り取るとともに、前記小片を貫通孔内に取り付ける工程と
を含むシリンダ錠の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外筒の正面に形成された貫通孔に取り付けられたレンズが、貫通孔から取り外された場合、操作可能な鍵の表示を不正に書き換えられる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係るシリンダ錠は、鍵穴を有する内筒と、軸線を中心に内筒を回転可能に収容し、内筒の外面の一部を露出する貫通孔を有する外筒と、貫通孔内に取り付けられる小片と、小片が貫通孔から取り外された場合、内筒が外筒に対して軸線を中心に回転することを抑制する抑制手段とを備える。
【0005】
上記シリンダ錠において、内筒は、鍵穴を含む内筒本体と、外筒内の内筒本体の正面側に配置され、キーコードをリセット可能な共通鍵が鍵穴に挿入された状態で回転された場合に、共通鍵と係合して軸線を中心に回転する回転盤とを有し、貫通孔は、外筒の正面に形成されており、内筒の外面の一部として回転盤の一部を露出し、小片は、貫通孔を介して露出している回転盤の一部を目視可能に透過することにより、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類を表示してもよい。
【0006】
上記シリンダ錠において、抑制手段は、小片が貫通孔に取り付けられている場合、小片により貫通孔内への侵入が抑制されており、小片が貫通孔から取り外された場合、貫通孔内への侵入の抑制が解除されることで、内筒が外筒に対して軸線を中心に回転することを抑制する可動ピンを含んでもよい。
【0007】
上記シリンダ錠において、回転盤は、切り欠き部を含み、可動ピンは、小片が貫通孔から取り外された場合に、切り欠き部を介して貫通孔内まで侵入してもよい。
【0008】
上記シリンダ錠において、貫通孔は、現在の鍵の種類が共通鍵であり、内筒本体が外筒に対して施錠位置にある場合に、回転盤の一部として、切り欠き部を露出してもよい。
【0009】
上記シリンダ錠において、貫通孔は、現在の鍵の種類がキーコードをリセット不可能な個別鍵であり、内筒本体が外筒に対して施錠位置にある場合に、回転盤の一部として、切り欠き部以外の回転盤の他の一部を露出してもよい。
【0010】
上記シリンダ錠において、内筒本体は、内筒本体の正面から背面に向かって軸線に沿って形成された案内部をさらに含み、可動ピンの一部は、可動ピンが軸線に沿って移動可能に案内部内に支持されていてもよい。
【0011】
上記シリンダ錠において、抑制手段は、小片が貫通孔に取り付けられている場合、小片により貫通孔内への侵入が抑制されており、小片が貫通孔から取り外された場合、貫通孔内への侵入の抑制が解除されることで、内筒が外筒に対して軸線を中心に回転することを抑制する可動ピンを含んでもよい。
【0012】
本発明の一態様に係るシリンダ錠の製造方法は、鍵穴を有する内筒と、軸線を中心に内筒を回転可能に収容し、内筒の外面の一部を露出する貫通孔を有する外筒と、射出成形により製造され、貫通孔内に取り付けられた小片とを備えるシリンダ錠の製造方法であって、小片にゲート部が接続されている状態で、貫通孔上に小片を配置する工程と、小片を貫通孔内に押し込むことにより、小片からゲート部を切り取るとともに、小片を貫通孔内に取り付ける工程とを含む。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係るシリンダ錠および鍵の外観斜視図の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るシリンダ錠の分解斜視図の一例を示す図である。
【
図5A】個別鍵が鍵穴に挿入されたシリンダ錠の断面図の一例を示す図である。
【
図5B】
図5A中の囲み線202内の部分拡大図を示す図である。
【
図6A】共通鍵が鍵穴に挿入されたシリンダ錠の断面図の一例を示す図である。
【
図6B】
図6A中の囲み線204内の部分拡大図を示す図である。
【
図7】開錠可能な鍵が共通鍵の場合のシリンダ錠の正面図の一例を示す図である。
【
図8】開錠可能な鍵が個別鍵の場合のシリンダ錠の正面図の一例を示す図である。
【
図9A】貫通孔にレンズが取り付けられた状態で、可動ピンが貫通孔の直下にある場合のシリンダ錠の正面図および断面図の一例を示す図である。
【
図9B】
図9A中の囲み線206内の部分拡大図を示す図である。
【
図10A】可動ピンが貫通孔の直下以外の位置にある場合のシリンダ錠の正面図および断面図の一例を示す図である。
【
図11A】貫通孔からレンズが取り外され、可動ピンが貫通孔内に侵入している場合のシリンダ錠の正面図および断面図の一例を示す図である。
【
図12】レンズとゲート部とが一体的に構成された取付部品の斜視図の一例を示す図である。
【
図13】レンズとゲート部とが一体的に構成された取付部品の側面図の一例を示す図である。
【
図14】レンズを貫通孔に取り付ける手順を説明するための図である。
【
図15】レンズを貫通孔に取り付ける手順を説明するための図である。
【
図16】レンズを貫通孔に取り付ける手順を説明するための図である。
【
図17】レンズおよびゲート部の形状について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るシリンダ錠10および鍵50の外観斜視図の一例を示す図である。シリンダ錠10は、キーコードを変更可能なシリンダ錠でもよい。シリンダ錠10は、例えば、遊技機に設けられる。遊技機は、例えば、枠、遊技機本体、およびカバーを備える。遊技機は、枠を介して遊技場の島設備に固定される。カバーは、遊技機本体に設けられた遊技盤を視認可能に覆う。
【0017】
シリンダ錠10は、例えば、遊技機本体に設けられ、枠に対する遊技機本体の施錠を行う。シリンダ錠10は、遊技機本体に対するカバーの施錠をさらに行う。例えば、鍵50がシリンダ錠10に対して時計回りに回転されることで、シリンダ錠10は、枠に対する遊技機本体の施錠状態を開錠状態にする。また、鍵50がシリンダ錠10に対して反時計回りに回転されることで、シリンダ錠10は、遊技機本体に対するカバーの施錠状態を開錠状態にする。
【0018】
シリンダ錠10は、外筒20および内筒30を備える。鍵50は、把手部52および挿入部54を備える。外筒20は、軸線を中心に内筒30を回転可能に収容する。内筒30は、鍵50の挿入部54が挿入される鍵穴31を有する。内筒30は、鍵穴31に挿入された鍵50が時計回りまたは反時計回りに回転することに対応して、外筒20の軸線を中心に時計回りまたは反時計回りに回転する。
【0019】
図2は、本実施形態に係るシリンダ錠10の分解斜視図の一例を示す図である。シリンダ錠10は、外筒20、内筒30、抑制手段40、リセットボタン46、およびレンズ60を備える。
【0020】
外筒20は、外筒本体22、取り付けフランジ24、および背面カバー26を有する。外筒本体22は、内筒30を収容する。取り付けフランジ24は、外筒本体22と一体的に構成されてもよい。シリンダ錠10は、取り付けフランジ24を介して施錠対象の物体に固定される。シリンダ錠10は、取り付けフランジ24を介して例えば遊技機本体に固定される。
【0021】
内筒30は、内筒本体32、出力軸34、回転盤36、および仕切り板38を有する。内筒本体32は、鍵穴31を含む。出力軸34は、鍵50の回転に応じて内筒本体32とともに外筒20の軸線を中心に回転する。外筒20の背面カバー26は、出力軸34の回転軸を外部に露出した状態で、内筒30の背面を覆う。出力軸34は、背面カバー26から露出している回転軸を介して外部の施錠ユニットと機械的に連結されている。出力軸34が回転することに応じて施錠ユニットが施錠対象の開錠および施錠を行う。
【0022】
ユーザは、開錠可能なキーコードをリセット可能な共通鍵50b、またはキーコードをリセット不可能な個別鍵50aを用いて、シリンダ錠10の開錠または施錠を行うことができる。ユーザは、キーコードをリセットする場合、例えば、リセットボタン46を軸線と垂直な方向下方に押下しながら、共通鍵50bを用いて、キーコードをリセットさせるためのリセット位置に内筒30を回転させる。リセット位置に内筒30を回転させた後、ユーザは、鍵穴31に新たな個別鍵50aを挿入して、内筒30を再び施錠位置まで回転させることで、シリンダ錠10のキーコードを新たな個別鍵50aに固有のキーコードに変更することができる。
【0023】
回転盤36は、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類、例えば共通鍵50bまたは個別鍵50aかを示す目印を有する。回転盤36は、外筒20内の内筒本体32の正面側に配置される。回転盤36は、開錠可能な共通鍵50bが鍵穴31に挿入された状態で回転された場合に、共通鍵50bと係合して軸線を中心に回転する。回転盤36は、開錠可能な個別鍵50aが鍵穴31に挿入された状態で回転された場合には、個別鍵50aと係合しない。つまり、回転盤36は、開錠可能な個別鍵50aが鍵穴31に挿入された状態で回転された場合には、軸線を中心に回転しない。
【0024】
仕切り板38は、内筒本体32と回転盤36との間に配置される。仕切り板38は、外筒本体22に対して固定されており、外筒20の軸線を中心に回転しない。仕切り板38は、開錠可能な個別鍵50aが鍵穴31に挿入された状態で回転された場合に、内筒本体32の回転に伴い、回転盤36が回転することを防止する。
【0025】
外筒本体22は、正面21に形成された外筒開口23を有する。外筒開口23は、鍵穴31を露出する。外筒本体22は、正面21の外筒開口23の周囲に形成された貫通孔25をさらに有する。貫通孔25は、内筒30の外面の一部を露出する貫通孔の一例である。レンズ60は、貫通孔25内に取り付けられる。レンズ60は、小片の一例である。レンズ60は、貫通孔25の内壁に適合する形状であり、貫通孔25内にぴったりと収まっている。
【0026】
貫通孔25は、内筒30の外面の一部として回転盤36の一部を露出してもよい。レンズ60は、貫通孔25を介して露出している回転盤36の一部を目視可能に透過することにより、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類を表示してもよい。
【0027】
抑制手段40は、可動ピン42およびばね44を有する。抑制手段40は、レンズ60が貫通孔25から取り外された場合、内筒30が外筒20に対して軸線を中心に回転することを抑制する。抑制手段40が内筒30の回転を抑制することにより、レンズ60が貫通孔25から取り外され、貫通孔25を介して露出している回転盤36の表面が不正に書き換えられたとしても、シリンダ錠10の開錠を行うことができない。つまり、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が不正に書き換えられたとしても、不正にシリンダ錠10の開錠ができない。よって、シリンダ錠10のセキュリティ性を向上させることができる。
【0028】
図3は、回転盤36の正面側から見た平面図の一例を示す図である。回転盤36は、鍵穴31を露出するための回転盤開口361を有する。回転盤開口361には、回転盤36の内側に向かって突出している2つの係合部364が形成されている。共通鍵50bが鍵穴31に挿入された場合、共通鍵50bの挿入部が2つの係合部364と係合して、共通鍵50bの回転に伴い回転盤36が外筒20の軸線を中心に回転する。個別鍵50aが鍵穴31に挿入された場合、共通鍵50bの挿入部は2つの係合部364と係合せず、個別鍵50aの回転に伴い回転盤36は外筒20の軸線を中心に回転しない。
【0029】
回転盤36は、回転盤開口361の周囲に表示部363を有する。回転盤36は、回転盤36の中心に対して表示部363と点対称の位置に切り欠き部362をさらに有する。表示部363は、シリンダ錠10が個別鍵50aにより開錠可能な状態で、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合に、貫通孔25を介して露出される位置にある。切り欠き部362は、シリンダ錠10が共通鍵50bにより開錠可能な状態で、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合に、貫通孔25を介して露出される位置にある。表示部363は、例えば、回転盤36の表示部363に対応する領域の表面を個別鍵50aの個別鍵把手部52aの色に対応した色で塗装することで、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が個別鍵50aであることを示してもよい。
【0030】
回転盤36は、回転盤開口361の外周側に、円弧上の弾性アーム365aおよび弾性アーム365bをさらに有する。弾性アーム365aは、回転盤36の外側に向かって突出している回転盤凸部366aを有する。弾性アーム365bは、回転盤36の外側に向かって突出している回転盤凸部366bを有する。外筒本体22の内壁には、回転盤凸部366aまたは回転盤凸部366bを係止する回転盤用溝部が形成されている。
【0031】
シリンダ錠10が個別鍵50aにより開錠可能な状態で、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合、弾性アーム365aの回転盤凸部366aが外筒20の内壁の回転盤用溝部に係止され、弾性アーム365bは、外筒20の内壁により回転盤36の中心方向に押下され内側に弾性変形する。シリンダ錠10が共通鍵50bにより開錠可能な状態で、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合に、弾性アーム365bの回転盤凸部366bが外筒20の内壁の回転盤用溝部に係止され、弾性アーム365aは、外筒20の内壁により回転盤36の中心方向に押下され内側に弾性変形する。
【0032】
図4は、仕切り板38の正面側から見た平面図の一例を示す図である。仕切り板38は、鍵穴31を露出するための仕切り板開口381を有する。仕切り板38は、仕切り板開口381の周囲の、回転盤36の切り欠き部362に対向する位置に仕切り板貫通孔382を有する。仕切り板38は、仕切り板38の外周に、仕切り板38の外側に向かって突出している複数の係止部383を有する。外筒本体22の内壁には、複数の係止部383に対向する位置に、複数の係止部383を係止する仕切り板用溝部が形成されている。複数の係止部383が、外筒本体22の内壁の仕切り板用溝部に係止されることで、仕切り板38は、外筒本体22に対して回転不可能に支持される。
【0033】
図5Aは、個別鍵把手部52aおよび個別鍵挿入部54aを備える個別鍵50aの個別鍵挿入部54aが鍵穴31に挿入された状態のシリンダ錠10の断面図を示す図である。
図5Bは、
図5Aに示す囲み線202内の部分拡大図を示す図である。
【0034】
個別鍵挿入部54aは、個別鍵50aが鍵穴31内に完全に挿入された場合に、鍵穴31の挿入口付近に、個別鍵凹部541aを有する。個別鍵凹部541aは、個別鍵50aが鍵穴31内に完全に挿入された状態で、回転盤36の係合部364に係合しないだけの幅Waを有する。個別鍵50aは、幅Waの個別鍵凹部541aを有することで、回転盤36の係合部364と係合しないので、個別鍵50aが回転したことに対応して、回転盤36は、回転しない。
【0035】
図6Aは、共通鍵把手部52bおよび共通鍵挿入部54bを備える共通鍵50bの共通鍵挿入部54bが鍵穴31に挿入された状態のシリンダ錠10の断面図を示す図である。
図6Bは、
図6Aに示す囲み線204内の部分拡大図を示す図である。
【0036】
共通鍵挿入部54bは、共通鍵50bが鍵穴31内に完全に挿入された場合に、鍵穴31の挿入口付近に、共通鍵凹部541bを有する。共通鍵凹部541bは、共通鍵50bが鍵穴31内に完全に挿入された状態で、回転盤36の係合部364に係合可能な幅Wbを有する。幅Wbは、幅Waより短い。共通鍵50bは、幅Wbの共通鍵凹部541bを有することで、回転盤36の係合部364と係合するので、共通鍵50bが回転したことに対応して、回転盤36は、回転する。
【0037】
図7は、開錠可能な鍵が共通鍵50bの場合のシリンダ錠10の正面図の一例を示す図である。
図7の(a)および(b)は、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合のシリンダ錠10の正面を示す。
図7の(b)では、外筒20を二点鎖線で表現することで、回転盤36の正面を示している。開錠可能な現在の鍵の種類が共通鍵50bで、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合、レンズ60に対向する位置に、回転盤36の切り欠き部362および可動ピン42がある。よって、貫通孔25は、開錠可能な現在の鍵の種類が共通鍵50bであり、内筒本体32が外筒20に対して施錠位置にある場合に、回転盤の一部として、切り欠き部362および可動ピン42を露出する。
【0038】
可動ピン42は、例えば、可動ピン42の表面を共通鍵50bの共通鍵把手部52bの色に対応した色で塗装することで、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が共通鍵50bであることを示してもよい。これにより、ユーザは、レンズ60を介して、可動ピン42の色を視認することで、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が可動ピン42の色に対応する共通鍵50bであることを確認できる。
【0039】
図8は、開錠可能な鍵が個別鍵50aの場合のシリンダ錠10の正面図の一例を示す図である。
図8の(a)および(b)は、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合のシリンダ錠10の正面を示す。
図8の(b)では、外筒20を二点鎖線で表現することで、回転盤36の正面を示している。開錠可能な鍵が個別鍵50aで、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合、レンズ60に対向する位置に、回転盤36の表示部363がある。よって、貫通孔25は、開錠可能な現在の鍵の種類がキーコードをリセット不可能な個別鍵50aであり、内筒本体32が外筒20に対して施錠位置にある場合に、切り欠き部362以外の回転盤36の他の一部として表示部363を露出する。表示部363は、個別鍵50aの個別鍵把手部52aに対応する色で塗装されてもよい。これにより、ユーザは、レンズ60を介して表示部363の色を視認することで、開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が表示部363の色に対応する個別鍵50aであることを確認できる。
【0040】
図9Aは、貫通孔25にレンズ60が取り付けられた状態で、可動ピン42が貫通孔25の直下にある場合のシリンダ錠10の正面図(a)および断面図(b)の一例を示す図である。可動ピン42は、例えば、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合に、貫通孔25の直下にある。
【0041】
図9Bは、
図9A中の囲み線206内の部分拡大図を示す図である。内筒本体32は、内筒本体32の正面から背面に向かって軸線に沿って形成された案内部321を有する。案内部321は、内筒本体32の側面上に、内筒本体32の正面から背面に向かって軸線に沿って溝を形成することで構成してもよい。案内部321は、内筒本体32の正面から背面に向かって軸線に沿って穴を形成することで構成してもよい。
【0042】
貫通孔25は、内壁面に貫通孔段差251を有する。レンズ60は、裏面に、貫通孔25の内壁面の貫通孔段差251に対応したレンズ段差62を有する。貫通孔25が貫通孔段差251を有することで、貫通孔25に取り付けられたレンズ60が押し込まれても陥没することを防止できる。
【0043】
可動ピン42の一部は、案内部321内に可動ピン42が軸線に沿って移動可能に、ばね44を介して支持されている。可動ピン42は、可動ピン先端部421、可動ピン本体部422、可動ピン凸部423、および可動ピン支持部424を有する。可動ピン先端部421は、テーパー状に形成されている。開錠可能な鍵が共通鍵50bで、内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合、可動ピン先端部421は、仕切り板38の仕切り板貫通孔382および回転盤36の切り欠き部362を介して、レンズ60の底面に接触している。可動ピン先端部421が、テーパー状に形成されていることで、
図9Bに示す状態から内筒本体32が軸線を中心に回転すると、仕切り板38の仕切り板貫通孔382の内壁によって、可動ピン先端部421が、軸線に沿って内筒本体32の背面側方向に押され、可動ピン42は、軸線に沿って内筒本体32の背面方向に移動する。
【0044】
図10Aは、可動ピン42が貫通孔25の直下以外の位置にある場合のシリンダ錠10の正面図(a)および断面図(b)の一例を示す図である。
図10Bは、
図10A中の囲み線208内の部分拡大図を示す図である。
【0045】
上記の通り、内筒本体32が軸線を中心に回転することにより、仕切り板38の仕切り板貫通孔382の内壁によって、可動ピン先端部421が、軸線に沿って内筒本体32の背面側方向に押され、可動ピン42は、軸線に沿って内筒本体32の背面方向に移動する。よって、可動ピン42が貫通孔25の直下以外の位置にある場合、可動ピン先端部421は、仕切り板38の背面に接触している。
【0046】
図11Aは、貫通孔25からレンズ60が取り外され、可動ピン42が貫通孔25内に侵入している場合のシリンダ錠10の正面図(a)および断面図(b)の一例を示す図である。
図11Bは、
図11A中の囲み線210内の部分拡大図を示す図である。
【0047】
レンズ60が貫通孔25から取り外された場合、可動ピン42は、貫通孔25への侵入の抑制が解除され、貫通孔25内まで侵入する。レンズ60が貫通孔25から取り外された状態で、開錠可能な鍵が共通鍵50bで内筒30が外筒20に対して施錠位置にある場合、可動ピン42は、ばね44の弾性力により、仕切り板38の仕切り板貫通孔382および回転盤36の切り欠き部362を介して、可動ピン凸部423が仕切り板38の裏面に達するまで、貫通孔25内に侵入する。可動ピン本体部422は、仕切り板貫通孔382内に嵌った状態となってもよい。
【0048】
可動ピン42は、貫通孔25内への侵入の抑制が解除されることで、内筒30が外筒20に対して軸線を中心に回転することを抑制する。よって、開錠可能なキーコードを有する鍵、例えば共通鍵50bを用いても、シリンダ錠10の開錠を行うことができない。
【0049】
よって、レンズ60が貫通孔25から取り外され、貫通孔25を介して露出している回転盤36の表面が不正に書き換えられたとしても、シリンダ錠10の開錠を行うことができない。開錠可能なキーコードを有する現在の鍵の種類が不正に書き換えられたとしても、不正にシリンダ錠10の開錠ができない。したがって、シリンダ錠10のセキュリティ性を向上させることができる。
【0050】
続いて、レンズ60を外筒20の正面21に形成された貫通孔25に取り付ける方法について説明する。
【0051】
図12は、レンズ60とゲート部70とが一体的に形成された取付部品80の斜視図の一例を示す。レンズ60は、例えば、射出成形により製造される。レンズ60が射出成形により製造される場合、レンズ60にゲート部70が一体的に形成された取付部品80が得られる。本実施形態では、レンズ60にゲート部70が接続されている状態の取付部品80を用いて、レンズ60を貫通孔25に取り付ける。
【0052】
図13は、取付部品80の平面図を示す。取付部品80は、レンズ60とゲート部70とを有する。ゲート部70は、ゲート72、ランナー74、およびスプルー76を有する。スプルー76は、射出成形機のノズルに接する部分からランナー74に至る樹脂の流入通路の部分である。ランナー74は、樹脂がスプルー76からゲート72に至る中間の通路の部分である。ゲート72は、樹脂がランナー74から、レンズ60の形状を象ったキャビティに流入する入口の部分である。
【0053】
このように構成された取付部品80を、
図14に示すように、外筒本体22の正面21の上方から、貫通孔25上に配置する。つまり、レンズ60にゲート部70が接続されている状態で、貫通孔25上にレンズ60を配置する。そして、
図15に示すように、取付部品80を正面21上に配置した状態で、プレス手段90を用いて、レンズ60を貫通孔25内に押し込む。レンズ60貫通孔25内に押し込むことにより、レンズ60からゲート部70を切り取るとともに、レンズ60を貫通孔25内に取り付ける。これにより、
図16に示すように、レンズ60を貫通孔25内に正しく取り付けることができる。
【0054】
図17に示すように、貫通孔25に取り付けられたレンズ60が押し込まれても陥没しないように、貫通孔25の内壁には、貫通孔段差251が形成されている。レンズ60の裏面には、貫通孔25の内壁の段差に対応したレンズ段差62が形成されている。貫通孔25の内壁の貫通孔段差251に、レンズ60のレンズ段差62を適合させることで、レンズ60を貫通孔25に正しく取り付けることができる。
【0055】
レンズ60を貫通孔25に正しく取り付けるためには、レンズ60の表裏を正しい位置にして、貫通孔25内に押し込む必要がある。しかしながら、レンズ60は、比較的小さいので、レンズ60の表裏を確認することが容易ではない。
【0056】
そこで、上記のように、ゲート部70が一体的に形成された状態のレンズ60をそのまま用いて、レンズ60を貫通孔25に取り付ける。これにより、レンズ60の表裏を間違うことなく、レンズ60を貫通孔25に取り付けることができる。
【0057】
ここで、レンズ60のレンズ段差62の面、ゲート72の下面、ランナー74の下面は、面一に形成されていることが好ましい。このように形成されていることで、取付部品80を外筒本体22の正面21上に配置した場合に、取付部品80を正面21に安定して配置することができる。
【0058】
また、ランナー74の上面は、レンズ60の表面63より上方に突出するように形成されていることが好ましい。これにより、レンズ60の表面63を誤って下側にして、正面21に配置した場合、ランナー74の上面の突出部分が妨げとなり、取付部品80を正面21に安定して配置することができない。よって、レンズ60を誤って表面63を下側にして、正面21上に配置することを防止できる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。