特許第6070426号(P6070426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070426
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】荷役用クレーンの安全装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B66C15/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-121683(P2013-121683)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-237528(P2014-237528A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直幹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理博
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−75246(JP,A)
【文献】 特開2006−312521(JP,A)
【文献】 特開平5−71914(JP,A)
【文献】 特開2006−273100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの上部と連結してコンテナを固定可能なロックピンを備えたスプレッダと、
前記ロックピンをロック位置とアンロック位置に制御可能なロックピン制御手段と、
前記スプレッダの側面および前記コンテナの側面を含む外観情報を取得可能な外観情報取得手段と、
前記外観情報取得手段により取得された外観情報に基づいて、前記スプレッダと前記コンテナとが一体状態であるか分離状態であるかを判定する外観判定手段と、
前記ロックピンがアンロック位置に制御されて前記スプレッダを巻上げる巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記外観判定手段が前記スプレッダと前記コンテナとが一体状態であると判定した場合に、異常信号を出力するアンロック異常検出手段と、
前記異常信号に応じて前記巻上げ運転を停止させる巻上げ運転停止手段と、
を備えることを特徴とする荷役用クレーンの安全装置。
【請求項2】
前記ロックピンがロック位置に制御されて前記巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記外観判定手段が前記スプレッダと前記コンテナとが分離状態であると判定した場合に、前記異常信号を出力するロック異常検出手段、
を備えることを特徴とする請求項1記載の荷役用クレーンの安全装置。
【請求項3】
前記外観情報取得手段は、前記スプレッダの側面、前記コンテナの側面、および、前記コンテナが着床するトレーラシャーシの側面を含む外観情報を取得可能であり、
前記外観情報取得手段により取得された外観情報に基づいて、前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であるか分離状態であるかを判定するコンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段と、
前記巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記コンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段が前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であると判定した場合に、前記異常信号を出力するトレーラシャーシ吊り上がり検出手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の荷役用クレーンの安全装置。
【請求項4】
前記荷役用クレーンの脚部に設けられた走査型レーザセンサを備え、
前記外観情報取得手段は、前記走査型レーザセンサにより測定された距離情報に基づき外観情報を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の荷役用クレーンの安全装置。
【請求項5】
前記荷役用クレーンの脚部に設けられたCCDカメラを備え、
前記外観情報取得手段は、前記CCDカメラにより撮影された画像情報に基づき外観情報を取得すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の荷役用クレーンの安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷役用クレーンの安全装置に係り、特に、ガントリークレーンやトランスファークレーンなど港湾においてコンテナを荷役する荷役用クレーンの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾において荷となるコンテナを移動するためにガントリークレーンやトランスファークレーンと呼ばれる荷役用クレーンによって吊り上げ/下げ作業が行われる。実際にコンテナを掴むのはトロリー位置下方に設けられたスプレッダと呼ばれる機構装置である。
【0003】
図8は、スプレッダの構成を説明するための図である。
図8に示すスプレッダ本体1は、下面の四隅にロックピン2を備えている。ロックピン2にはアクチュエータが接続されている。アクチュエータは、オペレータがコントローラを操作することによりロックピン2をロック位置/アンロック位置に回転させる。ロックピン2は、コンテナ3を掴む際にコンテナ3の上面の四隅に設けられたコンテナホール4に挿入され、90度回転することでスプレッダ本体1とコンテナ3間をロックすることができる。ロックピン2の近傍には、ロックピン2の回転位置に応じて、ロック状態(ON)/アンロック状態(OFF)を示す信号を出力するロックLS(Limit Switch)5が設けられている。
【0004】
また、スプレッダ本体1は、下面の中央に着床ピン6を備えている。着床ピン6は、コンテナ3に接しているか(ON)、離れているか(OFF)を示す信号を出力する。なお、着床ピン6に代えて、スプレッダ本体1とコンテナ3とが近接しているか否かを検出可能な近接センサを備えてもよい。
【0005】
その他、スプレッダ本体1は、コンテナ3の長さ(20フィート、40フィート)に合わせて伸縮可能である。また、スプレッダ本体1の四隅には、スプレッダ本体1の四隅をコンテナ3の四隅に合わせるための可動式のフリッパ7が設けられている。
【0006】
トロリー(運転室を有する)に乗車したオペレータはコントローラを操作することで、ロープで吊り下げられたスプレッダ本体1を巻上げ/巻下げする。オペレータは吊り下げたコンテナ3をターゲットとなる所定のトレーラシャーシや蔵置コンテナの上に積み下ろしたり、コンテナ3を掴み吊り上げる作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−273533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ロックピン2をロック状態にしてスプレッダ本体1が確実にコンテナ3を掴んだ状態でスプレッダ本体1を巻上げないと、巻上げ運転中にコンテナ3が落下し、下方にいるトラックや作業員に被害を与える可能性がある。逆に、コンテナ3をトレーラシャーシや蔵置コンテナ上の所定の位置に下ろした後は、ロックピン2をアンロック状態にしてスプレッダ本体1とコンテナ3とが完全にリリースされた状態でスプレッダ本体1を巻上げる必要がある。アンロックが不十分な場合には、コンテナ3がスプレッダ本体1に引っ掛かった状態でスプレッダ本体1と共に持ち上げられ、巻上げ運転中にコンテナ3が落下し、同様にトラックや作業員に被害を与える可能性がある。
【0009】
図8に示す構成においては、安全装置として、スプレッダ本体1がコンテナ3を確実に把持/リリースしていることを検出するため、ロックLS5の信号以外に、着床ピン6の信号が用いられる。スプレッダ本体1がコンテナ3を掴んだ状態では、着床ピン6はコンテナ3に押されることで信号はONとなる。一方、コンテナ3がスプレッダ本体1からリリースされたのであれば巻上げによりスプレッダ本体1とコンテナ3とが離れ、着床ピン6の信号はOFFとなる。このようにロックLS5の信号と着床ピン6の信号とを用いて、スプレッダ本体1がコンテナ3を把持/リリースしていることを二重に検出する事が可能となっている。
【0010】
これにより、ロックピン2をロック位置に回転させてスプレッダ本体1を巻上げる際に、着床ピン6の信号がONでない場合には、ロック異常と判断してスプレッダ本体1の巻上げ運転を開始させないことができる。また、ロックピン2をアンロック位置に回転させて巻上げ開始後所定時間内に着床ピン6の信号がOFFにならない場合には、ロックLS5の信号がOFFであっても、アンロック異常と判断してスプレッダ本体1の巻上げ運転を停止させることができる。
【0011】
図9は、コンテナを掴んでの巻上げ運転と、コンテナリリース後のスプレッダのみの巻上げ運転の処理ルーチンを示す制御フローである。
【0012】
まず、コンテナ3を掴んでの巻上げ運転について説明する。正常にコンテナ3を掴んだ状態ではロックピン2がコンテナホール4に挿入され90度回転したロック位置にあり、コンテナ3がスプレッダ本体1から外れないようになっている。この時、ロックピン2の状態を検出する全てのロックLS5の信号はON(ロック状態)となっている(S10)。オペレータによる巻上げ操作時に、全てのロックLSの信号がON、かつ、着床ピンの信号がON(S11)である場合に、巻上げ運転が開始される(S12)。また、巻上げ開始後に着床ピンの信号がOFFになった場合には、ロック異常と判断し、巻上げ運転を停止する(S13)。
【0013】
次に、コンテナリリース後のスプレッダ本体1のみの巻上げ運転について説明する。荷をトレーラシャーシ上または目的の蔵置コンテナ上に降ろし、吊り荷であったコンテナ3をスプレッダ本体1からリリースする場合には、ロックピン2を逆方向に90度回転させアンロック位置に戻す。この時、ロックLS5の信号はOFF(アンロック状態)となる(S20)。ロックピン2をアンロック位置にすることで、スプレッダ本体1とコンテナ3との連結は解除され、その後、スプレッダ本体1のみを巻き上げることが可能となる。オペレータによる巻上げ操作時に、全てのロックLS5の信号がOFFである場合に、巻上げ運転が開始される(S21)。巻上げ開始から所定時間(例えば数秒)経過後(S22)、着床ピン6の信号がOFFであるか否かを判定する(S23)。OFFである場合には、アンロック正常と判断し(S24)、巻上げ運転を継続する(S25)。一方、S23において着床ピン6の信号がONであると判断された場合には、アンロック異常と判断し(S26)、巻上げ運転を停止する(S27)。
【0014】
このように、ロックLS5の信号、および、着床ピン6の信号に基づいて、スプレッダ本体1がコンテナ3を把持/リリースしているか否かを二重に検出することができる。
【0015】
しかしながら、ロックピン2は磨耗変形してしまう可能性があり、スプレッダ本体1は荷役作業中における衝突等の影響を受けるため、スプレッダ本体1に設けられた着床ピン6についても同様に衝撃を受け故障する可能性がある。
【0016】
ロックピン2自身が磨耗変形した場合には、ロックLS5の信号はONであるが確実に機械的な把持ができていない場合や、ロックLS5の信号はOFFであるが確実に機械的なリリースができていない場合が生じうる。また、着床ピン6が故障した場合には、ロックLS5の信号でしかロック状態/アンロック状態を判断できなくなる。場合によっては、アンロック操作によりロックLS5の信号はOFFになったが、実際にはロックピン2がコンテナ3に引っ掛かったままの状態でスプレッダ本体1を巻上げ、途中でコンテナ3を落下させる可能性がある。
【0017】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、荷役用クレーンによるコンテナ荷役作業の安全性を向上させることができる荷役用クレーンの安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、上記の目的を達成するため、荷役用クレーンの安全装置であって、
コンテナの上部と連結してコンテナを固定可能なロックピンを備えたスプレッダと、
前記ロックピンをロック位置とアンロック位置に制御可能なロックピン制御手段と、
前記スプレッダの側面および前記コンテナの側面を含む外観情報を取得可能な外観情報取得手段と、
前記外観情報取得手段により取得された外観情報に基づいて、前記コンテナと前記スプレッダとが一体状態であるか分離状態であるかを判定する外観判定手段と、
前記ロックピンがアンロック位置に制御されて前記スプレッダを巻上げる巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記外観判定手段が前記スプレッダと前記コンテナとが一体状態であると判定した場合に、異常信号を出力するアンロック異常検出手段と、
前記異常信号に応じて前記巻上げ運転を停止させる巻上げ運転停止手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記ロックピンがロック位置に制御されて前記巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記外観判定手段が前記スプレッダと前記コンテナとが分離状態であると判定した場合に、前記異常信号を出力するロック異常検出手段を備える。
【0020】
好ましくは、前記外観情報取得手段は、前記スプレッダの側面、前記コンテナの側面、および、前記コンテナが着床するトレーラシャーシの側面を含む外観情報を取得可能であり、
前記外観情報取得手段により取得された外観情報に基づいて、前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であるか分離状態であるかを判定するコンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段と、
前記巻上げ運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記コンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段が前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であると判定した場合に、前記異常信号を出力するトレーラシャーシ吊り上がり検出手段と、を更に備える。
【0021】
また、この発明は、荷役用クレーンの安全装置であって、
コンテナの側面および前記コンテナが着床するトレーラシャーシの側面を含む外観情報を取得可能な外観情報取得手段と、
前記外観情報取得手段により取得された外観情報に基づいて、前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であるか分離状態であるかを判定するコンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段と、
前記コンテナを吊り上げる運転が開始された後、前記外観情報取得手段が外観情報を取得し、前記コンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段が前記コンテナと前記トレーラシャーシとが一体状態であると判定した場合に、異常信号を出力するトレーラシャーシ吊り上がり検出手段と、
前記異常信号に応じて前記運転を停止させる運転停止手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、巻上げ運転開始後に取得したスプレッダとコンテナの外観情報に基づいてスプレッダが確実にコンテナを把持しているか、あるいはリリースされたかを判定でき、異常がある場合には巻上げ運転を停止させることができる。そのため、荷役用クレーンによるコンテナの荷役作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1において、港湾のコンテナターミナル内等に形成された荷役用クレーンの構成を説明するための側面図である。
図2】本発明の実施の形態1において、走査型レーザセンサ32により測定された距離情報から得られたスプレッダ28、コンテナ3、地面の外観情報を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1において演算処理装置が実行する処理ルーチンを説明するための制御フローである。
図4】本発明の実施の形態1においてCCDカメラを用いた場合の処理ルーチンを示す制御フローである。
図5】本発明の実施の形態2における荷役用クレーンの一例であるトランスファークレーンの構成を示す図である。
図6】本発明の実施の形態3において、走査型レーザセンサ32により測定された距離情報から得られたスプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面の外観情報を示す図である。
図7】本発明の実施の形態3において演算処理装置が実行する処理ルーチンを説明するための制御フローである。
図8】スプレッダの構成を説明するための図である。
図9】コンテナを掴んでの巻上げ運転と、コンテナリリース後のスプレッダのみの巻上げ運転の処理ルーチンを示す制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
実施の形態1.
[荷役用クレーンの基本構成]
図1は、港湾のコンテナターミナル内等に形成された荷役用クレーンの構成を説明するための側面図である。
図1において、岸壁10は海と陸との境界である。岸壁10の陸側には荷役エリアであるエプロン12が設けられている。エプロン12には、岸壁10に沿って走行用レール14が敷設されている。走行用レール14は、岸壁10に接岸し停泊する船の船体と略平行に敷設されている。走行用レール14上には、船体に積載されたコンテナ3を船体と陸との間で荷役する荷役用クレーン16が配置されている。図1には、荷役用クレーン16としてガントリークレーンが示されている。
【0026】
荷役用クレーン16の構成について説明する。クレーン脚部18(海脚部18a、陸脚部18b)は、それぞれ走行用レール14上を走行するための車輪19と、車輪を駆動するための走行モータ(図示省略)を備えている。
【0027】
荷役用クレーン16は、クレーン脚部18の所定の高さに水平に設けられその一端が船体の上方にまで突き出たブーム20を備えている。ブーム20には、ブーム20に沿って走行するトロリー22が設けられている。トロリー22は、オペレータが乗車する運転室24を有する。トロリー22には、ワイヤロープ等の巻上用ロープ26が設けられている。巻上用ロープ26には、コンテナ3を掴んで支持するスプレッダ28が吊り下げられている。スプレッダ28の各部構成は、上述した図8と同様であるため詳細な説明は省略するが、ロックピン2をロック位置とアンロック位置に制御可能なアクチュエータを備えている。スプレッダ28は、巻上用ロープ26が巻き掛けられた巻上装置(図示省略)によって上下方向に移動(巻上げ、巻下げ)され、所定角度内における長手方向の傾き、短手方向の傾き、水平方向の回転が制御可能に構成されている。
【0028】
また、荷役用クレーン16は、トロリー22、走行モータ、巻上装置、ロックピン2のアクチュエータ等の各種装置を制御するクレーン制御PLCを含む演算処理装置(記憶装置を含む)を有する電機室30を備えている。
【0029】
このような構成において、運転室24からの指令に従って、荷役用クレーン16は大きく分けて4つの動作を行う。4つの動作とは、スプレッダ28を上下方向に移動させる巻上動作、トロリー22をブーム20に沿って横行方向(陸側、海側)に移動させる横行動作、ブーム20を起こしたり倒したりする起伏動作、及び荷役用クレーン16を、走行用レール14上で走行方向(図1の手前側、奥側)に移動させる走行動作である。
【0030】
[実施の形態1における特徴的構成]
(走査型レーザセンサ)
本発明の実施の形態1に係るシステムは、荷役用クレーン16の陸脚部18bに走査型レーザセンサ32を備えている。走査型レーザセンサ32は、照射したレーザの反射波の到達時間に基づいてターゲット(スプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面)までの距離を測定する非接触型の距離計であり、所定の角度範囲内で走査する。
【0031】
レーザセンサ照射範囲34は、走査型レーザセンサ32の照射有効範囲を示している。走査型レーザセンサ32により測定されたターゲット各点の距離情報は、電機室30の演算処理装置に入力される。図1において、レーザセンサ照射範囲34は、スプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面を検出できる範囲に設定されている。なお、距離情報は、レーザセンサ照射範囲34内にスプレッダ28およびコンテナ3が位置する陸側オペレーションにおいて得られる。
【0032】
具体的には、走査型レーザセンサ32は、コンテナ3の陸側の荷役位置(トレーラシャーシ36または地面)において、スプレッダ28と吊られたコンテナ3の連結面が良く見える位置にあることが望ましい。そのため、地面におかれたコンテナ3上面の高さより若干高い位置に取付けられると良い。例えば、巻上げ運転開始後にスプレッダ28と吊られたコンテナ3との連結位置を水平方向からレーザ照射可能な位置に取付けられる。ただし、レーザセンサは走査型であることから、厳密に位置を指定する必要はなく、センサ設置位置とターゲットとの間に障害物がなく、走査型レーザセンサ32の照射有効距離内にあれば問題はない。
【0033】
(外観情報に基づくスプレッダとコンテナの一体状態/分離状態の判断)
図2は、本発明の実施の形態1において、走査型レーザセンサ32により測定された距離情報から得られたスプレッダ28、コンテナ3、地面の外観情報を示す図である。図2においてレーザは右側から照射されているものとする。
【0034】
図2の左図は、コンテナ3を掴んでの巻上げ開始直後またはコンテナ3の着床直前の外観情報を示している。スプレッダ28がコンテナ3を掴んだ状態では、スプレッダ28とコンテナ3とは一体物として認識され、一体物の側面や下面が外観情報として検出される。また、地面が外観情報として検出される。ここで、一体物の側面の高さが「スプレッダ28の高さ+コンテナ3の高さ」と同じであることを判定することで、スプレッダ28とコンテナ3とが一体状態であると判断できる。また、一体物と地面との間の空隙から、コンテナ3が吊り上げられていると判断できる。なお、コンテナ3については規格によりそのサイズが規定されている。当然スプレッダ28やコンテナ3の高さについても決まっているので、得られた外観情報と、ターゲットの高さ情報からコンテナ3単体なのか、スプレッダ28と一体となっているかの判断は容易につけることが可能である。
【0035】
図2の中央図は、コンテナ3が着床した状態の外観情報を示している。コンテナ3が着床し、ロックピン2をアンロックした際にもスプレッダ28とコンテナ3は未だ一体物として認識され、一体物の側面や上面が外観情報として検出される。また、地面が外観情報として検出される。コンテナ3と地面との間に空隙が無いことから、コンテナ3が着床していると判断できる。
【0036】
図2の右図は、スプレッダ28がコンテナ3をリリースした状態で巻上げられた時の外観情報を示している。ロックピン2をアンロック状態で巻上げ動作を開始すれば、ロックピン2の引っ掛かりが生じさえしなければスプレッダ28のみが巻き上げられるため、スプレッダ28とコンテナ3との間に空隙が生じる。右図に示すように、スプレッダ28の側面や下面と、コンテナ3の側面や上面と、スプレッダ28とコンテナ3との間の空隙と、地面とが外観情報として検出される。スプレッダ28とコンテナ3間の空間距離が、スプレッダ28の巻上げ高さに応じた適正な空間距離であることを判定することで、スプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であると判断できる。
【0037】
(外観情報に基づく荷役用クレーンの安全制御)
本実施形態は、ロックLS5の信号や着床ピン6の信号に基づく安全制御に、外観情報に基づく安全制御が加えられている点に主な特徴がある。ロックLS5の信号や着床ピン6の信号に基づく基本的な安全制御については、上述した図9と同様であるため共通する処理については説明を省略する。
【0038】
電機室30の演算処理装置は、走査型レーザセンサ32に接続された外観情報生成部を備える。外観情報生成部は、走査型レーザセンサ32により測定されたターゲット各点の距離情報からターゲットの外観情報を図示化する。また、演算処理装置は、外観情報生成部に接続された外観判定部を備える。外観判定部は、外観情報からスプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36が一体状態であるか分離状態であるかを判定する。外観判定部はクレーン制御PLCに接続されている。そして、実行中の運転モード(コンテナ3を掴んでの巻上げ運転、コンテナリリース後のスプレッダ28のみの巻上げ運転)と、外観判定部により判定された状態との組み合わせが異常である場合には、外観判定部は、クレーン制御PLCに対して運転を停止させる為のインターロック(I/L)信号を出力する。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態1において演算処理装置が実行する処理ルーチンを説明するための制御フローである。
走査型レーザセンサ32は、少なくとも巻上げ運転開始後に繰り返し走査を実行する(S30)。外観情報生成部は、ターゲット(スプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面)の距離情報を取得し(S31)、ターゲット各点の距離情報からターゲットの外観情報を作成する(S32)。外観判定部は、外観情報に基づいて、図2で説明したように、スプレッダ28とコンテナ3とが一体状態であるか分離状態であるかを推定する(S33)。
【0040】
次に、現在の運転モードが、コンテナを掴んでの巻上げ運転中であるか、コンテナリリース後のスプレッダのみの巻上げ運転中であるかを判定する(S34)。
【0041】
オペレータによりロック操作と巻上げ操作がなされている場合に、全てのロックLS5の信号がON(S10)、かつ、着床ピン6の信号がON(S11)であることを条件として、巻上げ運転が開始されている(S12)。この場合には、コンテナを掴んでの巻上げ運転中であると判定される。
【0042】
一方、オペレータによりアンロック操作後と巻上げ操作がなされている場合に、全てのロックLS5の信号がOFF(S20)であり、巻上げ運転開始後(S21)、所定時間内(S22)に着床ピン6の信号がOFF(S23)となっている場合には、コンテナリリース後のスプレッダのみの巻上げ運転中であると判定される。
【0043】
S34においてコンテナ3を掴んでの巻上げ運転中であると判定された場合には、巻上げ運転が開始されてから所定時間(S22)経過後に測定・生成された外観情報(S32)に基づいてスプレッダ28とコンテナ3とが一体状態であるか否かを判定する(S33、S35)。スプレッダ28とコンテナ3とが一体状態であると判定された場合には、確実にスプレッダ28がコンテナ3を確実に掴んだ状態であると判断でき、巻上げ運転を継続する(S36)。
【0044】
一方、S35において、スプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であると判定された場合には、把持が不完全であると判断でき、巻上げ運転を停止させるインターロック信号がクレーン制御PLCに出力される(S13)。
【0045】
また、S34においてコンテナリリース後のスプレッダ28のみの巻上げ運転中であると判定された場合には、巻上げ運転が開始されてから所定時間経過後に測定・生成された外観情報(S32)に基づいてスプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であるか否かを判定する(S33、S37)。スプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であると判定された場合には、スプレッダ28がコンテナ3を完全にリリースした状態であると判定し、S24の処理を条件として、巻上げ運転を継続する(S25)。この時、上述の通りロックLS5の信号は全てOFF(S20)であり、着床ピン6の信号もOFFである(S23)。
【0046】
一方、S37において、コンテナ3とスプレッダ28とが一体状態であると判定された場合には、リリースが不完全であると判断でき、巻上げ運転を停止させるインターロック信号がクレーン制御PLCに出力される(S27)。例えば、アンロック操作によりロックLS5の信号がOFFであるにも関わらず、ロックピン2がコンテナホール4に引っ掛かりコンテナ3も一緒に巻上げてしまった場合には、スプレッダ28とコンテナ3の間に空隙は生じないか、仮に生じても巻上げ高さに応じた適正な空間距離とは異なる空隙となる。そのため、リリース(アンロック)異常を判断することが可能である。また、着床ピン6が故障した場合においてもトロリー22下部の形状を認識することで、リリース(アンロック)異常を判断することが可能となる。
【0047】
以上説明したように、図3に示すルーチンによれば、着床ピン6が故障した場合や、ロックピン2が磨耗変形してロックLS5の信号はONであるが機械的な保持ができていない場合であっても、巻上げ運転開始後の外観情報からスプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であることを検出することで異常を検知し、巻上げ運転を停止させることができる。また、ロックLS5の信号はOFFであるが機械的なリリースができていない場合であっても、巻上げ運転開始後の外観情報からスプレッダ28とコンテナ3とが一体状態であることを検出することで異常を検知し、巻上げ運転を停止させることができる。
すなわち、運転モードに応じたロックLS5と着床ピン6の信号の組み合わせが正常であっても、外観情報から得られるターゲットの状態が異常である場合には、巻上げ運転を停止させることができる。
本実施形態のシステムによれば、ロックLS5の信号、着床ピン6の信号、および、巻上げ運転開始後の外観情報に基づいて、巻上げ運転の際にスプレッダ28がコンテナ3を把持/リリースしていることを三重に検出できるため、コンテナ3の荷役作業において高い安全性を確保することができる。
【0048】
(変形例)
ところで、上述した実施の形態1のシステムにおいては、外観情報を走査型レーザセンサ32により測定された距離情報に基づいて生成することとしているが、これに限定されるものではない。例えば、走査型レーザセンサ32に代えてCCDカメラを備え、外観情報をCCDカメラにより撮影された画像情報に基づいて生成することとしても良い。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態1においてCCDカメラを用いた場合の処理ルーチンを示す制御フローである。図4に示す処理ルーチンは、走査型レーザセンサ32に代えてCCDカメラを備え(S40)、ターゲットの距離情報に代えて画像情報を取得し(S40)、この画像情報から外観情報を作成する点を除き、図3の処理ルーチンと同様である。走査型レーザセンサ32においてはターゲットであるスプレッダ28とコンテナ3の高さデータから一体状態/分離状態を判断するが、CCDカメラにおいては画像情報上でスプレッダ28とコンテナ3の間に巻上げ高さに応じた適正な空間が生じた場合にアンロック正常と判断できる。その他の事項については図3の説明と同様である。
【0050】
また、上述した実施の形態1のシステムにおいては、陸脚部18bに走査型レーザセンサ32を取り付けることとしているが、これに限定されるものではない。陸脚部18bと対向する位置にある海脚部18aに取り付けることとしても良い。
【0051】
尚、上述した実施の形態1においては、ガントリークレーンがこの発明における「荷役用クレーン」に、ロックピン2のアクチュエータおよびクレーン制御PLCがこの発明における「ロックピン制御手段」に、走査型レーザセンサ32および外観情報生成部がこの発明における「外観情報取得手段」に、外観判定部がこの発明における「外観判定手段」に、それぞれ相当している。
また、ここでは、演算処理装置が、上記S30〜S34、S37の処理を実行することによりこの発明における「アンロック異常検出手段」が、上記S27の処理を実行することにより前記第1の発明における「巻上げ運転停止手段」が、上記S30〜S34、S35の処理を実行することによりこの発明における「ロック異常検出手段」が、それぞれ実現されている。
【0052】
実施の形態2.
[実施の形態2のシステム構成]
次に、図5を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは図5に示す構成において、ECU50に上述した図3のルーチンを実施させることで実現することができる。
【0053】
実施の形態1では、荷役用クレーンの例としてガントリークレーンを挙げたが、トランスファークレーンについても同様の手段により目的を達成することが可能である。
【0054】
図5は、荷役用クレーンの一例であるトランスファークレーンの構成を示す図である。
図5に示す各要素の役割は、図1の要素と同様のものを含むため、役割が共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0055】
実施の形態1で述べた通り、走査型レーザセンサ32は、吊り荷であるコンテナ3を地面に着床させた位置やトレーラシャーシに載せた位置において、スプレッダ28と吊られたコンテナ3の連結面が良く見える位置にあることが望ましい。図5に示す例では、走査型レーザセンサ32は、トランスファークレーンのクレーン脚部18に配置された電機室30上に取り付けられている。
【0056】
トランスファークレーンにおいては、蔵置コンテナによって走査型レーザセンサ32の信号が遮断されてしまう位置が多々あるため、好ましくは、トランスファークレーンのクレーン脚部18に最も近い位置にあるトラックレーンでの荷役作業を対象とする。仮に、一方のクレーン脚部18側に常にトラックレーンがあるようにトランスファークレーンが運用される場合には、走査型レーザセンサ32は1つ設置すれば足りることになる。
【0057】
トランスファークレーンに本発明を適用した場合の各装置(走査型レーザセンサ32、電機室30の演算処理装置)の動作については、本発明の実施の形態1で述べたガントリークレーンの事例と同様である。
【0058】
実施の形態3.
[実施の形態3のシステム構成]
次に、図6図7を参照して本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは図1または図5に示す構成において、ECU50に後述する図7のルーチンを実施させることで実現することができる。
【0059】
実施の形態3は、ガントリークレーン(図1)またはトランスファークレーン(図5)によるトレーラシャーシ上のコンテナ吊り上げに関するものである。
【0060】
トレーラシャーシ36(図1)に載せられたコンテナ3を吊り上げる場合、スプレッダ28(図1)をトレーラシャーシ36上のコンテナ3の上部に着床させ、ロックピン2(図8)によりスプレッダ28とコンテナ3間をロックする。そして、コンテナ3をスプレッダ28で吊り上げる前に、コンテナ3とトレーラシャーシ36間のロックピンをアンロックする必要がある。その上でトレーラシャーシ36上のコンテナ3をスプレッダ28で吊り上げる。
【0061】
トレーラシャーシ36上のコンテナ3は、シャーシ上に突き出たロックピンにコンテナ下面四隅のコンテナホール4(図8)に挿入された状態で載せられる。トレーラ走行中にコンテナ3が外れないようスプレッダ28のロック機構のように、ロックされ運行される。しかし、コンテナ蔵置ヤードにコンテナを荷役用クレーンで移設する際には、荷役用クレーンがトレーラシャーシ36上のコンテナ3を吊り上げる前にシャーシ側のロックピンは確実に外れた状態にすることが必要となる。このロックピンのアンロックは、通常トレーラ運転手が行っているが、アンロックしたつもりが開放不十分な状態で荷役用クレーンにコンテナ3を吊り上げられた場合、トレーラシャーシ36ごと吊り上げられ、過大な荷重がクレーン機体およびロープに加わることとなるだけでなく、途中でロックが外れトレーラが落下したときにトレーラの破損やトレーラ運転手に怪我を負わせる可能性もある。
【0062】
[実施の形態3の特徴的構成]
そこで、実施の形態3では、外観情報からコンテナ3、スプレッダ28だけでなく、トレーラシャーシ36も検出し、コンテナ3を掴んでの巻上げ運転開始後、所定時間以内にトレーラシャーシ36とコンテナ3間に空隙が生じない場合には、トレーラシャーシ36のアンロック異常と判断して巻上げ運転を停止させることとした。
【0063】
巻上げ運転の際にスプレッダ28がコンテナ3を把持/リリースしているかは実施の形態1の手法にて判定することが可能であるためその説明は省略する。実施の形態3では、コンテナ3を掴んでの巻上げ運転に際して、トレーラシャーシ36がコンテナ3をリリースしているかを判定する手法について説明する。
【0064】
(外観情報に基づくコンテナとトレーラシャーシの一体状態/分離状態の判断)
図6は、本発明の実施の形態3において、走査型レーザセンサ32により測定された距離情報から得られたスプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面の外観情報を示す図である。図6においてレーザは右側から照射されているものとする。
【0065】
図6の(A)は、スプレッダ28をコンテナ3上に巻下げ時の外観情報を示している。トレーラシャーシ36と、その上に載せられたコンテナ3は一体物として認識され、一体物の側面や上面、地面が外観情報として検出される。また、スプレッダ28の側面や下面が外観情報として検出される。ここで、コンテナ3の高さおよびスプレッダ28の高さについては既知であるからスプレッダ28を検出でき、一体物からコンテナ3の高さを引いた分がトレーラシャーシの高さということになる。
【0066】
図6の(B)は、トレーラシャーシ36上に載せられているコンテナ3をスプレッダ28で掴んだ時の外観情報を示している。スプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36は一体物として認識され、一体物の側面や上面、地面が外観情報として検出される。
【0067】
図6の(C)と(D)は、スプレッダ28がコンテナ3を掴んで巻上げ運転を開始してから所定時間経過後の外観情報を示している。
(C)は、トレーラシャーシ36とコンテナ間のロックが正常に解除されている場合の外観情報である。コンテナ3とスプレッダ28だけが巻き上がり、トレーラシャーシ36は元の位置に残るため、スプレッダ28とコンテナ3とは一体物として認識され、一体物の側面や下面が外観情報として検出される。また、トレーラシャーシ36の側面と上面が外観情報として検出される。コンテナ3の高さおよびスプレッダ28の高さについては既知であるから、一体物がコンテナ3を把持したスプレッダ28であると判断できる。この一体物とトレーラシャーシ36との間の空隙から、コンテナ3とトレーラシャーシ36とが分離状態であると判断できる。
【0068】
一方、(D)は、トレーラシャーシ36とコンテナとの間のロックが正常に解除されていない場合の外観情報である。トレーラシャーシ36とコンテナ3との間のロックが正常に解除されず、トレーラシャーシ36に引っ掛かった状態で巻上げ運転が行われた場合には、スプレッダ28がコンテナ3とトレーラシャーシ36とを合わせて巻き上げてしまう。この場合には、スプレッダ28とコンテナ3とトレーラシャーシ36は一体物として認識され、一体物の側面や下面が外観情報として検出される。また、地面が外観情報として検出される。地面と一体物との間に空隙が生じることにより、コンテナ3とトレーラシャーシ36とが一体状態であると判断できる。
【0069】
図6の(C)、(D)のように検出される外観情報の違いにより、トレーラシャーシ36とコンテナ3の間のロックが正常に解除されたか否かを判定することが可能である。
【0070】
図7は、本発明の実施の形態3において演算処理装置が実行する処理ルーチンを説明するための制御フローである。
走査型レーザセンサ32は、少なくとも巻上げ運転開始後に連続的に走査を実行する(S72)。外観情報生成部は、ターゲット(スプレッダ28、コンテナ3、トレーラシャーシ36、地面)の距離情報を取得し(S73)、ターゲット各点の距離情報からターゲットの外観情報を作成する(S74)。外観判定部は、外観情報に基づいて、図6で説明したように、コンテナ3とトレーラシャーシ36とが一体状態であるか分離状態であるかを推定する(S75)。
【0071】
コンテナ3を掴んでの巻上げ運転が開始されてから所定時間後(S70、S71)に、スプレッダ28とコンテナ3とが分離状態であるか否かを判定する(S76)、巻上げ運転が開始されてから所定時間後に測定・生成された外観情報(S74)に基づいて、コンテナ3とトレーラシャーシ36とが分離状態であるか否かを判定する(S76)。コンテナ3とトレーラシャーシ36とが分離状態であると判定された場合には、トレーラシャーシ36がコンテナ3を完全にリリースした状態であると判断し、巻上げ運転を継続する(S77)。一方、S76において、コンテナ3とトレーラシャーシ36とが一体状態であると判定された場合には、リリースが不完全であると判断でき、巻上げ運転を停止させるインターロック信号がクレーン制御PLCに出力される(S78)。
【0072】
(変形例)
ところで、上述した実施の形態3のシステムにおいては、外観情報を走査型レーザセンサ32により測定された距離情報に基づいて生成することとしているが、これに限定されるものではない。例えば、走査型レーザセンサ32に代えてCCDカメラを備え、外観情報をCCDカメラにより撮影された画像情報に基づいて生成することとしても良い。
【0073】
尚、上述した実施の形態3においては、走査型レーザセンサ32および外観情報生成部がこの発明における「外観情報取得手段」に、外観判定部がこの発明における「コンテナ−トレーラシャーシ外観判定手段」に、それぞれ相当している。
また、ここでは、演算処理装置が、上記S72〜S76の処理を実行することによりこの発明における「トレーラシャーシ吊り上がり検出手段」が、上記S78の処理を実行することによりこの発明における「運転停止手段」が、それぞれ実現されている。
【符号の説明】
【0074】
1 スプレッダ本体、2 ロックピン、3 コンテナ、4 コンテナホール、5 ロックLS、6 着床ピン、7 フリッパ、10 岸壁、12 エプロン、14 走行用レール、16 荷役用クレーン、18 クレーン脚部、18a 海脚部、18b 陸脚部、19 車輪、20 ブーム22 トロリー、24 運転室、26 巻上用ロープ、28 スプレッダ、30 電機室、32 走査型レーザセンサ、34 レーザセンサ照射範囲、36 トレーラシャーシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9