(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抽出ステップは、前記二次元コードの周囲に配置されるマージン領域を明色セルの配列領域として、前記補正基準セルを抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の二次元コードの表示方法。
前記抽出ステップは、前記補正基準セルを、記録する情報に応じて配列が変化する領域に配置されるセルから抽出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次元コードの表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の二次元コードの表示方法および表示媒体を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る二次元コード10が印刷されて表示された印刷媒体Rを示す説明図である。なお、
図1では、便宜上、補正対象セルCrは、補正前の表示状態にて図示している。
【0015】
本実施形態に係る二次元コード10は、例えば、QRコード(登録商標)であって、色彩又は濃度又は輝度の異なる明色セルおよび暗色セルの2種類のセルを有するように構成されている。なお、以下の説明では、明色セルおよび暗色セルの一例として、
図1に示すように白色セルおよび黒色セルが用いられて二次元コード10が構成される例について説明する。
【0016】
また、二次元コード10は、外形が方形状に構成されたセルが集合してマトリックス状に配置されたセル集合体として構成されており、
図1の例では、セル数が縦横同数(21セル×21セル)となる配列で構成されている。また、二次元コード10を構成する各セルが配置される領域(以下、コード領域11ともいう)は、方形状の各セルが配置されることから外形が方形状の方形領域とされており、
図1に示す二次元コード10のコード領域11は、外形が正方形状の正方形領域とされている。このコード領域11の周囲には、コード領域11を区画するための白色無地のマージン領域12が配置される。
【0017】
そして、コード領域11は、記録する解読対象データ等の情報に応じて配列が変化するデータ領域13、3つの位置検出パターン(ファインダパターン)14a〜14cなどから構成されている。各位置検出パターン14a〜14cは、撮像された画像データにおいてコード領域11の位置を特定するためのパターンであって、コード領域11の4つの頂点のうち、3つに配置されている。各位置検出パターン14a〜14cは、所定位置を横切るラインにおいて黒色領域と白色領域との比率が、1:1:3:1:1となるように白色セルおよび黒色セルが配列されて構成されている。
【0018】
そして、データ領域13を構成する各セルは、外形が正方形状に形成され、後述する補正対象セルCrを除き、そのセル領域の表示状態が白色または黒色に設定されている。そして、補正対象セルCrは、後述する異色の補正基準セルCsに対して隣接する縁部Eの表示状態が、設定される色と異なる色(補正基準セルと同じ色)に補正される。
【0019】
ここで、補正対象セルCrが占めるセル領域のうち補正基準セルCsに隣接する縁部Eの表示状態を設定される色と異なる色に補正する理由について、
図2および
図3を用いて以下に説明する。なお、
図2(A)は、補正基準セルCsが白色セルCw0である場合に補正前の各黒色Cb1〜Cb8の表示状態を示す説明図であり、
図2(B)は、補正後の各黒色セルCb1〜Cb8の表示状態を示す説明図である。
図3(A)は、補正基準セルCsが黒色セルCb0である場合に補正前の各白色セルCw1〜Cw8の表示状態を示す説明図であり、
図3(B)は、補正後の各白色セルCw1〜Cw8の表示状態を示す説明図である。
【0020】
周囲に異なる色のセル(単に異色セルともいう)が多く配置されるセル、例えば、
図2(A)に例示するように周囲を黒色セルCb1〜Cb8で囲まれる白色セルCw0や、
図3(A)に例示するように周囲を白色セルCw1〜Cw8で囲まれる黒色セルCb0は、撮像条件によっては、ぼけて撮像される場合がある。このようにぼけて撮像されると、
図2(A)では白色セルCw0が黒色セルとして判定され、
図3(A)では黒色セルCb0が白色セルとして判定される場合があり、この誤判定される個所が多くなるとデコードが失敗する場合がある。
【0021】
そこで、本実施形態では、位置検出パターン14a〜14cを構成するセルのように基準となるセルを除き、データ領域13を構成する各セルについて、周囲に配置される異色セルの数が所定値以上のセルを補正基準セルCsとし、この補正基準セルCsに対して縁部Eにて隣接する異色セルを補正対象セルCrとして、この補正対象セルCrの表示状態を補正する。これにより、補正基準セルCsが周囲のセルよりも大きく表示されて、ぼけて撮像されることを防止することができる。
【0022】
具体的には、例えば、
図2(A)に例示するセルの配列では白色セルCw0が補正基準セルCsとなり、この白色セルCw0に対して縁部Eにて隣接する異色セル、すなわち、黒色セルCb1〜Cb8が補正対象セルCrとなる。そして、補正対象セルCrである各黒色セルCb1〜Cb8は、
図2(B)に示すように、白色セルCw0に隣接する一定幅の縁部E1〜E8が白色セルCw0と同じ色に補正される。例えば、白色セルCw0の左側に右側縁部E4にて隣接する黒色セルCb4は、その右側縁部E4が白色に補正され、白色セルCw0の左下側に角部(縁部の端部)E6にて隣接する黒色セルCb6は、その角部E6が白色に補正される。
【0023】
また、例えば、
図3(A)に例示するセルの配列では黒色セルCb0が補正基準セルCsとなり、この黒色セルCb0に対して縁部Eにて隣接する異色セル、すなわち、白色セルCw1〜Cw8が補正対象セルCrとなる。そして、補正対象セルCrである各白色セルCw1〜Cw8は、
図3(B)に示すように、黒色セルCb0に隣接する一定幅の縁部Eが黒色セルCb0と同じ色に補正される。例えば、黒色セルCb0の左側に右側縁部E4にて隣接する白色セルCw4は、その右側縁部E4が黒色に補正され、黒色セルCb0の左下側に角部(縁部の端部E6)にて隣接する白色セルCwb6は、その角部E6が黒色に補正される。
【0024】
次に、本実施形態に係る二次元コード10の生成方法について、
図4〜
図8を用いて説明する。なお、
図4は、本実施形態に係るコード生成処理の流れを例示するフローチャートである。
図5は、
図4のコード構造解析処理を説明する説明図である。
図6は、コード領域11の下縁部11aに配置される黒色セルCb0が補正基準セルCsとして抽出される過程を説明する説明図であり、
図6(A)は、コード領域11全体を示し、
図6(B)は、
図6(A)の黒色セルCb0近傍を拡大して示す。
図7は、周囲に5つの異色セルが存在する補正基準セルCsの補正方法を示す説明図であり、
図7(A)は、補正前の表示状態を示し、
図7(B)は、補正後の表示状態を示す。
図8は、周囲に6つの異色セルが存在する補正基準セルCsの補正方法を示す説明図であり、
図8(A)は、補正前の表示状態を示し、
図8(B)は、補正後の表示状態を示す。
【0025】
本実施形態に係る二次元コード10は、CPUやメモリ等を備えた情報処理装置(コンピュータ等)にて実行されるコード生成処理により生成しうるものである。このコード生成処理が開始されると、まず、
図4のステップS101に示す配列設定処理がなされる。この処理は、コード化すべき解読対象データに基づいて各セルの白黒(明暗)の配列を設定する処理であって、この処理には、データの符号化処理、誤り訂正符号の付加処理、位置検出パターン等の付加処理、白色セルと黒色セルとのバランスを最適にするマスク処理等が含まれる。詳しくは、QRコードの基本仕様(JIS X 0510:2004)を参照されたい。なお、上記配列設定処理は、「配列設定ステップ」の一例に相当し得る。
【0026】
次に、ステップS103に示すコード構造解析処理がなされる。この処理では、上述のように設定された各セルの配列に基づいて、コード領域11が
図5に例示するように生成され、セルごとにそのセルの周囲に配置される異色セルの配置状態が解析される。
【0027】
続いて、ステップS105に示す補正基準セル抽出処理がなされる。この処理では、上述した解析結果から所定の抽出条件に基づいて、周囲に異色セルが多く配置されると判定されるセルが補正基準セルCsとして抽出される。ここで、上記所定の抽出条件は、本実施形態では、例えば、周囲に配置される8つのセルC1〜C8のうち5つ以上が異色セルとなるセルが補正基準セルCsとして抽出されるように設定されている。このため、
図2(A)に例示する白色セルCw0や
図3(A)に例示する黒色セルCb0等が、補正基準セルCsとして抽出されることとなる。
【0028】
特に、上記所定の抽出条件は、マージン領域12が白色セルの配列領域となるように設定されている。すなわち、マージン領域12に隣接するコード領域11の外縁部11aに配置されるセルについては、マージン領域12に白色セルが存在していると仮定として、異色セルの数がカウントされる。なお、上記補正基準セル抽出処理は、「抽出ステップ」の一例に相当し得る。
【0029】
例えば、
図6(A)に例示するように、コード領域11の下縁部11aに配置される黒色セルCb0については、
図6(B)に例示するように、マージン領域12に3つの白色セルC6〜C8が存在していると仮定として、異色セルの数がカウントされる。この場合、黒色セルCb0の周囲に8つの異色セルC1〜C8が配置されているため、この黒色セルCb0が補正基準セルCsとして抽出されることとなる。
【0030】
上述のように補正基準セルCsが1または2以上抽出されると、ステップS107に示す補正情報生成処理がなされる。この処理では、抽出された補正基準セルCsに隣接する各セルのうち異色セルが補正対象セルCrとして設定され、この補正対象セルCrのうち補正基準セルCsに隣接する一定幅の縁部Eの色を補正基準セルCsと同じ色に補正するための補正情報が生成される。すなわち、補正基準セルCsに隣接する異色セルが補正対象セルCrとして印字補正される。
【0031】
特に、上記補正情報により、補正基準セルCsに対して角部(縁部の端部)にて隣接する補正対象セルCrは、その角部が上記一定幅に応じて補正基準セルCsと同じ色に補正される。ここで、上記一定幅は、
図2(B)や
図3(B)に例示するように、例えば、セルの一辺の長さの20%に設定されている。なお、上記補正情報生成処理は、「補正ステップ」の一例に相当し得る。
【0032】
そして、ステップS109に示す印刷処理がなされ、上記配列設定処理により設定された各セルの配列と上記補正情報生成処理により生成された補正情報とに基づいて、二次元コード10が用紙等の所定の表示媒体Rに印刷されて表示される。なお、上記印刷処理は、「表示ステップ」の一例に相当し得る。
【0033】
この処理により、
図2(A)に示すように白色セルCw0に隣接する各黒色セルCb1〜Cb8は、その縁部(角部)E1〜E8が
図2(B)に示すように白色に補正されて印刷される。このため、上記白色セルCw0は、
図2(B)に示すように、見かけ上、一辺が通常のセルと比較して40%長くなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。一方、各黒色セルCb1〜Cb8は、見かけ上、補正された縁部(角部)E1〜E8の分だけ小さくなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。
【0034】
また、
図3(A)に示すように黒色セルCb0に隣接する各白色セルCw1〜Cw8は、その縁部(角部)E1〜E8が
図3(B)に示すように黒色に補正されて印刷される。このため、上記黒色セルCb0は、
図3(B)に示すように、見かけ上、一辺が通常のセルと比較して40%長くなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。一方、各白色セルCw1〜Cw8は、見かけ上、補正された縁部(角部)E1〜E8の分だけ小さくなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。
【0035】
また、例えば、上記配列設定処理にて、
図7(A)に示すようなセルの配列が設定される場合には、黒色セルCb0の周囲に5つの異色セルが配置されるため、この黒色セルCb0が補正基準セルCsとして抽出される。そして、
図7(B)に示すように、この黒色セルCb0の周囲の白色セルC4〜C8の縁部(角部)E4〜E8が黒色に補正されて表示媒体Rに印刷される。このため、補正基準セルCsとして抽出された黒色セルCb0は、
図7(B)に示すように、見かけ上、周囲のセルと比較して大きくなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。
【0036】
また、例えば、上記配列設定処理にて、
図8(A)に示すようなセルの配列が設定される場合には、黒色セルCb0の周囲に6つの異色セルが配置されるため、この黒色セルCb0が補正基準セルCsとして抽出される。そして、
図8(B)に示すように、この黒色セルCb0の周囲の白色セルC1,C4〜C8の縁部(角部)E1,E4〜E8が黒色に補正されて表示媒体Rに印刷される。このため、補正基準セルCsとして抽出された黒色セルCb0は、
図8(B)に示すように、見かけ上、周囲のセルと比較して大きくなるように表示媒体Rに印刷されることとなる。
【0037】
次に、本実施形態に係る二次元コード10の読取例について、
図9を用いて説明する。
図9は、光学的情報読取装置20の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
本実施形態に係る二次元コード10は、例えば
図9に示すような光学的情報読取装置20で読み取ることができる。
図9に示す光学的情報読取装置20は、二次元コード10やバーコードなどの情報コードを光学的に読み取る読取装置である。この光学的情報読取装置20は、図示しないケースの内部に回路部20aが収容されてなるものであり、回路部20aは、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系とを備えている。
【0038】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、
図9では、二次元コード10が印刷された表示媒体Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0039】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、受光した情報コードの各セル(パターン)ごとに反射光Lrの強度に応じた電気信号を出力するように構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0040】
結像レンズ27は、外部から読取口(図示略)を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0041】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作部42、液晶表示器43、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像された情報コードの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学的情報読取装置20の全体システムに関する制御も行っている。
【0042】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0043】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理を実行可能な読取用プログラムや、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0044】
制御回路40は、光学的情報読取装置20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、操作部42、液晶表示器43、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0045】
操作部42は、複数のキーによって構成され、使用者のキー操作に応じて制御回路40に対して操作信号を与える構成をなしており、制御回路40は、操作部42から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。液晶表示器43は、公知の液晶表示パネルによって構成されており、制御回路40によって表示内容が制御されるようになっている。ブザー44は、公知のブザーによって構成されており、制御回路40からの動作信号に応じて所定の音を発生させるように構成されている。バイブレータ45は、携帯機器に搭載される公知のバイブレータによって構成されており、制御回路40からの駆動信号に応じて振動を発生させるように構成されている。発光部46は、例えばLEDであって、制御回路40からの信号に応じて点灯するように構成されている。通信インタフェース48は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御回路40と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0046】
このように構成される光学的情報読取装置20では、二次元コード10などの情報コードを読み取る場合には、以下のように読取処理が行われる。
まず、照明光源21から照明光Lfが読取口を介して照射されて、情報コードにて反射された反射光Lrが受光センサ28にて受光されると、受光センサ28から出力される信号に基づいて、当該情報コードを含む画像データが生成される。そして、この画像データのうち情報コードに相当するコード画像に対して公知のデコード処理が実施される。この処理により、情報コードとしてコード化された文字データ等がデコードされる。
【0047】
その際、二次元コード10は、上述したように、周囲の異色セルの数が所定値以上となる補正基準セルCsに対して異色セルとして隣接する補正対象セルCrについて、その縁部Eの色が補正基準セルCsと同じ色に補正されて表示媒体Rに印刷されている。すなわち、ぼけやすいセルが予め太らせて表示されるため、コード領域11全体がぼけて撮像されたとしても、セルの色認識が容易になる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る二次元コード10の表示方法では、配列設定処理により、二次元コード10を構成する各セルの配列が設定されると、補正基準セル抽出処理により、配列が設定されたセルのうち周囲の異色セルの数が所定値以上のセルが補正基準セルCsとして抽出され、補正情報生成処理により、補正基準セルCsに対して縁部Eにて隣接する異色セルである補正対象セルCrについて、その縁部Eの色を当該補正基準セルCsと同じ色に補正するための補正情報が生成される。そして、印刷処理により、縁部Eの色が補正された二次元コード10が表示媒体Rに印刷されて表示される。
【0049】
このため、補正基準セルCsに隣接する補正対象セルCrの縁部Eの色が補正基準セルCsと同じ色に補正されることで、補正基準セルCsが周囲の異色セルと比較して大きくなる。これにより、撮像された補正基準セルCsの色認識が容易になることから補正基準セルCsをぼけにくくすることができ、撮像条件に影響されることなく二次元コード10の読取精度の低下を抑制することができる。すなわち、撮像条件に影響されることなく二次元コード10の読取精度の低下を抑制することができる等の作用・効果を享受した表示媒体Rを提供することができる。
【0050】
また、上記補正基準セル抽出処理にて、マージン領域12が白色セルの配列領域として、補正基準セルCsが抽出される。これにより、二次元コード10の外縁の一部を構成する黒色セルであっても、その周囲のセルやマージン領域12の明暗を考慮して周囲の白色セルよりも大きくすることができ、撮像された二次元コード10の外縁の黒色セルをぼけにくくすることができる。
【0051】
さらに、上記補正基準セル抽出処理にて、補正基準セルCsは記録する情報に応じて配列が変化するデータ領域13に配置されるセルから抽出される。位置検出パターン14a〜14cを構成するセルなど、記録する情報に応じて配列が変化せずに読み取りの際の基準となるセルを補正すると、デコード結果に悪影響を与える場合があるからである。上述のようにデータ領域13から補正基準セルCsを抽出することで、上記基準となるセルが、本来の大きさと異なるように撮像されることを防止することができる。なお、位置検出パターン14a〜14cに限らず、フォーマットコードやアライメントパターン、タイミングパターン等の読み取りの際の基準を有する二次元コードであれば、その基準となるセルを上記補正基準セル抽出処理から除外することで上記効果を奏する。
【0052】
図10は、本実施形態の第1変形例に係る二次元コード10の要部を示す説明図である。
図11は、本実施形態の第2変形例に係る二次元コード10の要部を示す説明図である。
上述した本実施形態の変形例として、上記補正情報生成処理では、補正対象セルCrにおいて補正基準セルCsと同じ色に補正される縁部Eは、一定幅に限らず、周囲のセルの明暗に応じてその縁部Eの幅が変更されてもよい。
【0053】
これにより、例えば、上記補正対象セルCrの周囲に補正基準セルCsと異なる色のセルの数が多くなるほど、すなわち、補正基準セルCsの外縁のうち撮像時にぼけやすい外縁に隣接する補正対象セルCrほど、その縁部Eの幅を太くすることで、撮像された補正基準セルCsをよりぼけにくくすることができる。
【0054】
具体的には、本実施形態の第1変形例として、例えば、
図10に示す白色セルC5のように、補正基準セルCsとなる黒色セルCb0に隣接する辺に直交する2つの辺にて隣接するセル(以下、直交隣接セルともいう)同士が互いに異なる色であれば、縁部Eの幅を同色側ほど長くなるように補正する。すなわち、黒色セルCb0に隣接する辺(
図10での左側の辺)に直交する2つの辺(
図10での上側の辺と下側の辺)にて隣接する直交隣接セル同士(C3,C8)が互いに異なる色であるため、白色セルC5では、同色側(下側)の幅hbが異色側(上側)の幅haよりも長くなるように補正される。
【0055】
これにより、周囲に異色セルが多く配置される個所ほど補正基準セルCsが太るように印刷されるので、撮像された補正基準セルCsをよりぼけにくくすることができる。なお、白色セルが補正基準セルCsとなる場合でも同様の補正を実施することで上記効果を奏する。
【0056】
また、本実施形態の第2変形例として、補正基準セルCsに隣接する異色セルのうち、直交隣接セル同士が共に異色となるセルの縁部Eの幅をh1、直交隣接セル同士が異なる色となるセルの縁部Eの幅をh2、直交隣接セル同士が共に同色となるセルの縁部Eの幅をh3とするとき、h1<h2<h3となるように、縁部Eの幅を補正する。具体的には、
図11に例示するように、補正基準セルCsとなる黒色セルCb0に隣接する白色セルのうち、直交隣接セル同士(C3,C8)が共に異色となる白色セルC5の縁部E5の幅をh1、直交隣接セル同士(C6,C8)が異なる色となる白色セルC7の縁部E7の幅をh2、直交隣接セル同士(C1,C6)が共に同色となる白色セルC4の縁部E4の幅をh3とするように、縁部Eの幅を補正する。
【0057】
これにより、補正基準セルCsの外縁のうち撮像時にぼけやすい外縁に隣接する補正対象セルCrほどその縁部Eの幅が太くなるように印刷されるので、撮像された補正基準セルCsをよりぼけにくくすることができる。なお、白色セルが補正基準セルCsとなる場合でも同様の補正を実施することで上記効果を奏する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記補正情報生成処理では、補正基準セルCsに隣接する全ての異色セルを補正対象セルCrとして補正する補正情報が生成されることに限らず、補正基準セルCsに隣接する異色セルのうちの一部を補正対象セルCrとして補正する補正情報が生成されてもよい。
【0059】
(2)上記所定の抽出条件は、周囲に配置される8つのセルのうち5つ以上が異色セルとなるセルが補正基準セルCsとして抽出されるように設定されることに限らず、例えば、周囲に配置される8つのセルのうち4つまたは6つ以上が異色セルとなるセルが補正基準セルCsとして抽出されるように設定されてもよい。
【0060】
(3)また、上記所定の抽出条件は、周囲に配置される8つのセルを考慮するように設定されることに限らず、8つのセルのさらに外側に配置されるセルをも考慮するように設定されてもよい。また、上記所定の抽出条件は、周囲に配置される8つのセルのうちの一部、例えば、上下左右に配置される4つのセルのみを考慮するように設定されてもよい。
【0061】
(4)上記補正基準セル抽出処理にて抽出された補正基準セルCsは、他の補正基準セルCsにとって補正対象セルCrとなる場合であっても、その縁部Eの色を補正しないようにすることができる。
【0062】
(5)本実施形態に係る二次元コード10は、QRコードとして構成されることに限らず、他の二次元コード、例えば、データマトリックスコードやマキシコードとして構成されてもよい。
【0063】
(6)表示媒体Rは、二次元コード10が印刷される用紙等に限らず、例えば、二次元コード10が画面表示される表示機器であってもよい。