特許第6070627号(P6070627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070627
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】クランプ装置及びこれを備えた建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20170123BHJP
   E02F 9/18 20060101ALI20170123BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   E02F9/00 F
   E02F9/18
   F16B2/12 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-100099(P2014-100099)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218433(P2015-218433A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】高木 毅
(72)【発明者】
【氏名】三浦 基良
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−240104(JP,A)
【文献】 実開昭63−020504(JP,U)
【文献】 実開昭63−107563(JP,U)
【文献】 特開2002−106517(JP,A)
【文献】 特開2002−098110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/18
F16B 2/00−2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に予め設定された被取付部に取り付けられるクランプ装置であって、
ボルトと、
前記ボルトが螺合された状態で当該ボルトを保持するボルト保持部と、
前記ボルト保持部に連結され、前記ボルトの先端面との間で前記被取付部を挟むために前記ボルトの先端面に対向する挟み面を有する挟み板とを備え、
前記挟み板は、前記被取付部の挟み方向に沿って見る挟み方向視点において前記ボルトを通過する通過線に沿って配置され、かつ、前記挟み板の厚み方向は、前記挟み方向視点において前記通過線と直交する幅方向に沿って配置され、
前記挟み面は、前記挟み方向視点において前記通過線に沿った長手寸法が前記通過線と直交する幅寸法よりも大きく、かつ、前記幅方向において前記挟み面の幅寸法が前記ボルトの先端面の幅寸法よりも小さい形状を有する、クランプ装置。
【請求項2】
前記挟み面の長手方向の少なくとも一方の端部は、前記挟み方向視点において前記ボルトの外側に配置されている、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記ボルト保持部は、前記挟み面に対向するとともに前記ボルトを保持する保持板部と、前記保持板部に連結され、かつ、前記保持板部から当該保持板部の厚み方向で前記挟み面側に延びる連結板部とを有し、
前記挟み板は、前記保持板部及び前記連結板部の内側位置で前記保持板部及び前記連結板部に固定されている、請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記ボルト保持部は、前記連結板部から当該連結板部の厚み方向で前記挟み面側に延びるとともに前記保持板部に対向する対向板部をさらに有し、
前記挟み板は、前記保持板部、前記連結板部、及び前記対向板部の内側位置で、前記保持板部、前記連結板部、及び前記対向板部に固定されている、請求項3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
建設機械であって、
請求項1〜4の何れか1項に記載のクランプ装置と、
前記クランプ装置が取り付けられた被取付部を有する被取付部材とを備え、
前記クランプ装置の挟み面と接触する前記被取付部の接触面は、前記挟み面の幅方向において前記挟み方向に傾斜している、建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に取り付けられるクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば建設機械のカウンタウェイトにリアコンビネーションランプを取り付けるためにカウンタウェイトに取り付けられるクランプ装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載のクランプ装置を示す斜視図である。
【0004】
特許文献1に記載のクランプ装置は、前板50aと、前板50aに対向する部分を有する後板50cと、前板50aと後板50cとを連結する側板50bとを備えている。後板50cには、リアコンビネーションランプ(図示せず)が取り付けられる。
【0005】
また、クランプ装置は、前板50aに形成されたねじ穴50dに螺合されたボルト52を備えている。
【0006】
ボルト52を締め付けてボルト52の先端面と後板50cとの間でカウンタウェイト(図示せず)の一部を挟み込むことにより、クランプ装置は、カウンタウェイトに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−240104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、側板50bの厚み方向は、側板50bから前板50a及び後板50cが延びる方向に沿って配置されている。そのため、ボルト52の締付力に応じた反力をカウンタウェイトから受けることにより、側板50bの曲げ変形を伴いながら前板50aと後板50cとが互いに離れる(クランプ装置が開く)おそれがある。
【0009】
クランプ装置が開くと、ボルト52による締め付け力を、カウンタウェイトにクランプ装置を取り付けるための力として十分に利用することができない。
【0010】
また、前板50aと対向する後板50cの表面でカウンタウェイトを受けている。そのため、カウンタウェイトの後板50cに接触する面が傾斜している場合にカウンタウェイトとクランプ装置とを面接触させるとクランプ装置が大きく傾き、カウンタウェイトに対してクランプ装置を安定した姿勢で取り付けることが難しい。
【0011】
本発明の目的は、クランプ装置の開きの抑制と建設機械に対する安定したクランプ装置の取り付けとを両立することができるクランプ装置及びこれを備えた建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、建設機械に予め設定された被取付部に取り付けられるクランプ装置であって、ボルトと、前記ボルトが螺合された状態で当該ボルトを保持するボルト保持部と、前記ボルト保持部に連結され、前記ボルトの先端面との間で前記被取付部を挟むために前記ボルトの先端面に対向する挟み面を有する挟み板とを備え、前記挟み板は、前記被取付部の挟み方向に沿って見る挟み方向視点において前記ボルトを通過する通過線に沿って配置され、かつ、前記挟み板の厚み方向は、前記挟み方向視点において前記通過線と直交する幅方向に沿って配置され、前記挟み面は、前記挟み方向視点において前記通過線に沿った長手寸法が前記通過線と直交する幅寸法よりも大きく、かつ、前記幅方向において前記挟み面の幅寸法が前記ボルトの先端面の幅寸法よりも小さい形状を有する、クランプ装置を提供する。
【0013】
本発明では、挟み方向視点において挟み板が通過線に沿って配置されている、つまり、挟み方向視点において挟み板の厚み方向が通過線と直交する方向に沿うように挟み板が配置されている。
【0014】
そのため、側板50bの厚み方向が側板50bから前板50a及び後板50cが延びる方向に沿って配置された図8に示す従来技術と比較して、挟み面とボルト保持部とが互いに離間する方向の力を受けるクランプ装置(挟み板)の断面積を大きくすることができる。これにより、挟み面とボルト保持部とが互いに離れる(クランプ装置が開く)のを抑制することができる。
【0015】
また、挟み面は、通過線に沿って線状に延びる形状を有している。これにより、挟み面と接触する被取付部の接触面が挟み面の幅方向において挟み方向に傾斜している場合であっても、当該接触面に対して挟み面が線接触に近い形で接触する。そのため、挟み面が大きな幅寸法を有する場合と比較して被取付部と挟み板とのガタつきを低減することができる。
【0016】
したがって、本発明によれば、クランプ装置の開きの抑制と建設機械に対する安定したクランプ装置の取り付けとを両立することができる。
【0017】
ここで、挟み面は、挟み方向視点においてボルトの内側の範囲内に形成されていてもよいが、この場合、ボルトを中心として被取付部に対してクランプ装置が回転し、カウンタウェイトと挟み面との接触位置が変化する結果、ボルトによる締付力が不十分になるおそれがある。
【0018】
そこで、前記クランプ部材において、前記挟み面の長手方向の少なくとも一方の端部は、前記挟み方向視点において前記ボルトの外側に配置されていることが好ましい。
【0019】
この態様によれば、挟み方向視点において挟み面の長手方向の端部が被取付部の接触面に対してボルトの外側で接触する。
【0020】
被取付部の接触面が上述のように傾斜している場合、接触面と挟み面との間隔が小さくなる方向に向けて挟み面の端部が移動するようにクランプ装置が回転しようとしても、この回転に伴い接触面に対する挟み面の端部の押付力が大きくなる。そのため、当該方向のクランプ装置の回転を規制することができる。
【0021】
したがって、クランプ装置に回転による締付力の低下を抑制することができる。
【0022】
また、挟み面の長手方向の両端部をボルトの外側に配置すれば、クランプ装置の双方向の回転を規制することができる。
【0023】
ボルト保持部の形状を限定する趣旨ではないが、前記ボルト保持部は、前記挟み面に対向するとともに前記ボルトを保持する保持板部と、前記保持板部に連結され、かつ、前記保持板部から当該保持板部の厚み方向で前記挟み面側に延びる連結板部とを有し、前記挟み板は、前記保持板部及び前記連結板部の内側位置で前記保持板部及び前記連結板部に固定されていることが好ましい。
【0024】
この態様では、互いに直交する保持板部及び連結板部の内側位置で当該両板部に対して挟み板が固定されている。
【0025】
これにより、ボルトを保持するためのボルト保持部を利用して、クランプ装置の開き方向に作用する力を受けることができる部材の断面積を挟み板の外側に拡張することができるため、より確実にクランプ装置の開きを抑制することができる。
【0026】
具体的に、ボルトの締付力に応じて保持板部と挟み面とが互いに離れようとする際に当該保持板部と挟み面との間に位置する挟み板の一部には曲げ力が作用するが、前記態様によれば、この曲げ力を挟み板及び連結板部によって受けることができる。そのため、前記曲げ力によるクランプ装置の開きを有効に抑制することができる。
【0027】
また、前記クランプ装置において、前記ボルト保持部は、前記連結板部から当該連結板部の厚み方向で前記挟み面側に延びるとともに前記保持板部に対向する対向板部をさらに有し、前記挟み板は、前記保持板部、前記連結板部、及び前記対向板部の内側位置で、前記保持板部、前記連結板部、及び前記対向板部に固定されていることが好ましい。
【0028】
この態様では、ボルト保持部が連結板部と直交する対向板部をさらに備え、保持板部、連結板部、及び対向板部の内側でこれらの板部に対して挟み板が固定されている。
【0029】
これにより、ボルトの締付力に応じて挟み面が保持板部から離れようとする際に当該挟み面を有する挟み板の一部には曲げ力が作用するが、前記態様によれば、この曲げ力を挟み板及び対向板部によって受けることができる。そのため、前記曲げ力によるクランプ装置に開きをより有効に抑制することができる。
【0030】
また、本発明は、建設機械であって、前記クランプ装置と、前記クランプ装置が取り付けられた被取付部を有する被取付部材とを備え、前記クランプ装置の挟み面と接触する前記被取付部の接触面は、前記挟み面の幅方向において前記挟み方向に傾斜している、建設機械を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、クランプ装置の開きの抑制と建設機械に対する安定したクランプ装置の取り付けとを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの全体構成を示す側面図である。
図2図1に示す油圧ショベルの上部旋回体3の一部を省略して示す平面図である。
図3図2に示す上部旋回体3の一部を拡大し、かつ、フレームを省略して示す平面図である。
図4図2のIV−IV線断面図である。
図5図4のV−V線断面図である。
図6図5のVI−VI線断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る油圧ショベルの図5相当図である。
図8】特許文献1に記載のクランプ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0034】
<第1実施形態(図1図6)>
図1を参照して、本発明の実施形態に係る建設機械の一例としての油圧ショベル1は、一対のクローラ2aを有する下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に対して変位可能に取り付けられた作業機4とを備えている。
【0035】
作業機4は、上部旋回体3に対して上げ下げ可能に取り付けられたブーム5と、ブーム5の先端部に対して回転可能に取り付けられたアーム6と、アーム6の先端部に対して回転可能に取り付けられたバケット7とを備えている。
【0036】
また、作業機4は、上部旋回体3に対してブーム5を上げ下げ駆動するブームシリンダ8と、ブーム5に対してアーム6を回転駆動するアームシリンダ9と、アーム6に対してバケット7を回転駆動するバケットシリンダ10とを備えている。
【0037】
上部旋回体3は、下部走行体2上に設けられたアッパーフレーム11と、アッパーフレーム11上に設けられた、キャブ12、カウンタウェイト(被取付部材)13、フレーム14(図2参照)、クランプ装置15(図2参照)とを備えている。なお、キャブ12内の運転席(図示せず)に着座したオペレータから見る方向(前後、左右、及び上下方向)を用いて以下説明する。
【0038】
図1図3を参照して、アッパーフレーム11は、下部走行体2に対して旋回可能に取り付けられた底板11aと、底板11a上に立設された一対の縦板11b(図2において1つのみ示す)と、底板11a上に設けられ、後述するフレーム14が固定されたブラケット11c、11d(図3参照)とを備えている。作業機4(ブーム5)は、縦板11bの前部に取り付けられている。
【0039】
カウンタウェイト13は、キャブ12の後ろで底板11a上に設けられている。また、カウンタウェイト13は、図2及び図3に示すように、底板11aの円弧状の後縁部に沿って配置された円弧状のウェイト本体16と、後述するクランプ装置15が取り付けられる被取付部17(図3参照)とを備えている。被取付部17は、ウェイト本体16から当該ウェイト本体16の円弧形状の内側(右側)に突出している。
【0040】
フレーム14は、上部旋回体3上に設けられる機器(例えば、制御盤)を支持するためのものである。また、フレーム14は、平面視においてウェイト本体16の円弧形状の内側に収まることができる形状(本実施形態では台形の形状)を有する。具体的に、フレーム14は、アッパーフレーム11のブラケット11cに固定された固定部18aと、ブラケット11dに固定された固定部18bと、後述するクランプ装置15によってカウンタウェイト13に対して締め付けられた被締付部19とを備えている。
【0041】
図4を参照して、被締付部19は、被取付部17の上面17a上に載置された載置板部19aと、載置板部19aに対向する対向板部19bと、載置板部19aと対向板部19bとを連結する連結板部19cとを有する。対向板部19bは、当該対向板部19bを上下方向に貫通する挿通穴19dを有する。
【0042】
図4図6を参照して、クランプ装置15は、フレーム14の被締付部19及びカウンタウェイト13の被取付部17を挟み込むことによって両者を固定するためのものである。具体的に、クランプ装置15は、ボルト20と、ボルト20が螺合された状態で当該ボルト20を保持するボルト保持部21と、ボルト保持部21に連結され、ボルト20の先端面20aと対向する挟み面29a(図6のクロスハッチング部分)を有する挟み板22とを備えている。
【0043】
ボルト保持部21は、挟み面29aと対向するとともにボルト20を保持する保持板部23と、保持板部23に連結され、かつ、保持板部23から当該保持板部23の厚み方向で挟み面29a側に延びる連結板部25と、連結板部25から当該連結板部25の厚み方向で挟み面29a側に延びるとともに保持板部23に対向する対向板部24とを備えている。
【0044】
本実施形態に係る保持板部23、連結板部25、及び対向板部24は、1枚の金属板を曲げ加工することにより構成されたものであるが、板部23〜25を個別の板により形成し、これらを固定してもよい。
【0045】
保持板部23は、当該保持板部23をその厚み方向に貫通する挿通穴23aを有する。ボルト20は、挿通穴23aを通じて保持板部23を貫通している。また、保持板部23内側面(対向板部24に向く面)には、挿通穴23aと同心に配置された状態でナット27が固定され、ナット27に対してボルト20が螺合している。つまり、保持板部23は、ボルト20がナット27に螺合された状態で当該ボルト20を保持する。また、ナット27に対するボルト20の締付程度を調整することにより、ボルト20の先端面20aを挟み面29aに近づける、又は、挟み面29aから遠ざけることができる。なお、ナット26は、保持板部23から分離された状態でボルト20に螺合されたものであり、保持板部23に対するボルト20の締付位置を固定するためのものである。
【0046】
挟み板22は、ボルト20の先端面20aとの間でカウンタウェイト13の被取付部17を挟むためのものである。なお、図4図6では、ボルト20及び挟み面29aによる被取付部17の挟み方向に符号D1を付し、図4において挟み方向D1と直交する方向に符号D2を付している。以下、挟み方向D1及び直交方向D2を用いて挟み板22について説明する。
【0047】
挟み板22は、挟み方向D1に沿って見る挟み方向視点(図6の視点)において、ボルト20を通過する通過線L1に沿って配置されている。つまり、挟み板22の厚み方向は、挟み方向D1及び通過線L1と直交する直交方向D2に沿って配置されている。
【0048】
また、挟み板22は、ボルト保持部21の保持板部23に固定された固定部28と、ボルト20の先端面20aに対向して配置された対向部29と、固定部28と対向部29とを連結する連結部30とを備えている。
【0049】
また、挟み板22は、ボルト保持部21の保持板部23、対向板部24、連結板部25の内側の位置で、これらの板部23〜25に固定されている。具体的に、固定部28は、ボルト保持部21の保持板部23の内側面(対向板部24に向く面)に溶接されている。対向部29は、ボルト保持部21の対向板部24の内側面(保持板部23に向く面)に溶接されている。連結部30は、ボルト保持部21の連結板部25の内側面(ボルト20に向く面)に溶接されている。
【0050】
対向部29のボルト20側を向く側端面のうち平坦な部分(図6においてクロスハッチングの部分)は、挟み面29aとして機能する。つまり、挟み面29aは、対向部29の側端面のうちR面及びC面を除く部分である。
【0051】
挟み面29aは、挟み方向視点(図6の視点)において、通過線L1に沿った長手寸法Lが通過線L1と直交する(直交方向D2における)幅寸法Wよりも大きい形状を有する。また、挟み面29aの長手方向の両端部は、挟み方向視点においてボルト20の外側に配置されている。
【0052】
上述したクランプ装置15を用いてカウンタウェイト13にフレーム14を取り付ける場合、まず、固定用のナット26を緩めてボルト20の頭側の位置に配置するとともにボルト20をナット27に対して緩めて先端面20aを挟み面29aから離す。
【0053】
一方、カウンタウェイト13の被取付部17の上面17a上にフレーム14の被締付部19を載置する。
【0054】
次いで、被締付部19の対向板部19bの挿通穴23aにボルト20の先端部が上から挿入され、かつ、被取付部17の下面17bの下に挟み面29aが配置されるように、被取付部17及び被締付部19に対してクランプ装置15を位置決めする。
【0055】
この状態で、ボルト20をナット27に対して締め付けることにより、当該ボルト20の先端面20aと挟み面29aとの間で被取付部17及び被締付部19の載置板部19aを挟み込む。
【0056】
ボルト20を十分に締め付けた状態で、ボルト20に対してナット26を締め付けて、当該ナット26とナット27との間で保持板部23を挟み込むことにより、ボルト20を保持板部23に対して固定する。
【0057】
ここで、被取付部17の下面17bは、図4に示すように、直交方向D2(挟み面29aの幅方向)において挟み方向D1に角度θで傾斜している。一方、挟み面29aは、図6に示すように長手寸法Lが幅寸法Wよりも大きい形状(線状に延びる形状)を有している。そのため、挟み面29aが大きな幅寸法を有する場合と比較して被取付部17と挟み板22とのガタつきを低減することができる。
【0058】
また、挟み面29aの長手方向の両端部は、挟み方向視点(図6の視点)においてボルト20の外側に配置されている。これにより、上述のように被取付部17の下面17bが傾斜している場合に、クランプ装置15の回転を規制することができる。
【0059】
具体的に、クランプ装置15がボルト20を中心として一方の方向に回転しようとした場合、挟み面29aの長手方向の一方の端部が下面17bと挟み面29aとの間隔が小さくなる方向に向けて移動することになる。この場合、下面17bに対する挟み面29aの一方の端部の押付力が大きくなり、当該一方の方向の回転が規制される。一方、クランプ装置15の逆向きの回転は、挟み面29aの他方の端部によって規制される。
【0060】
したがって、被取付部17と挟み面29aとの接触位置が変化することによってボルト20による締付力が不十分になるのを防止することができる。
【0061】
以上説明したように、挟み方向視点において挟み板22が通過線L1に沿って配置されている、つまり、挟み方向視点において挟み板22の厚み方向が通過線L1と直交する方向に沿うように挟み板22が配置されている。
【0062】
そのため、側板50bの厚み方向が側板50bから前板50a及び後板50cが延びる方向に沿って配置された図8に示す従来技術と比較して、挟み面29aとボルト保持部21とが互いに離間する方向の力を受けるクランプ装置15(挟み板22)の断面積を大きくすることができる。これにより、挟み面29aとボルト保持部21とが互いに離れる(クランプ装置15が開く)のを抑制することができる。
【0063】
また、挟み面29aは、通過線L1に沿って線状に延びる形状を有している。これにより、挟み面29aと接触する被取付部17の下面17bが挟み面29aの幅方向(直交方向D2)において挟み方向D1に傾斜している場合であっても、当該下面17bに対して挟み面29aが線接触に近い形で接触する。そのため、挟み面29aが大きな幅寸法を有する場合と比較して被取付部17と挟み板22とのガタつきを低減することができる。
【0064】
したがって、クランプ装置15の開きの抑制と油圧ショベル1に対する安定したクランプ装置15の取り付けとを両立することができる。
【0065】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0066】
挟み面29aの長手方向の両端部が挟み方向視点においてボルト20の外側に配置されているため、被取付部17の下面17bが傾斜している場合に被取付部17に対してクランプ装置15がボルト20を中心として回転するのを規制することができる。
【0067】
したがって、クランプ装置15の回転による締付力の低下を抑制することができる。
【0068】
ボルト保持部21が保持板部23と対向板部24と連結板部25とを有するため、ボルト保持部21を利用して、クランプ装置15の開き方向に作用する力を受けることができる部材の断面積を挟み板22の外側に拡張することができる。
【0069】
具体的に、ボルト20の締付力に応じて保持板部23と挟み面29aとが互いに離れようとする際に挟み板22の連結部30には曲げ力が作用するが、この曲げ力を挟み板22(連結部30)及び連結板部25によって受けることができる。
【0070】
また、ボルト20の締付力に応じて挟み面29aが保持板部23から離れようとする際に対向部29には曲げ力が作用するが、この曲げ力を挟み板22(対向部29)及び対向板部24によって受けることができる。
【0071】
したがって、前記曲げ力によるクランプ装置に開きをより有効に抑制することができる。
【0072】
<第2実施形態(図7)>
第1実施形態では、図5に示すように、保持板部23と対向板部24と連結板部25とを有するボルト保持部21について説明したが、ボルト保持部21は、少なくともボルト20が螺合された状態でボルト20を保持するものであればよい。
【0073】
例えば、図7に示す第2実施形態のように、対向板部24が省略されたボルト保持部21を採用することもできる。
【0074】
さらに、連結板部25を省略することもできる。
【0075】
これらの場合、クランプ装置15の開きを抑制するために、挟み板22の幅寸法を大きくすることが好ましい。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、例えば、以下の態様を採ることもできる。
【0077】
建設機械は、油圧ショベルに限定されず、クレーン、解体機等であってもよい。
【0078】
挟み方向視点において、挟み面29aの長手方向の一方の端部のみがボルト20の外側に配置されていてもよい。また、挟み方向視点において、挟み面29aは、ボルト20の内側の範囲内に設けられていてもよい。
【0079】
被取付部は、カウンタウェイト13に限定されず、アッパーフレーム11又はアッパーフレーム11上の他の機器に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
D1 挟み方向
L 長手寸法
L1 通過線
W 幅寸法
1 油圧ショベル(建設機械の一例)
15 クランプ装置
17 被取付部
20 ボルト
20a 先端面
21 ボルト保持部
22 挟み板
23 保持板部
24 対向板部
25 連結板部
29a 挟み面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8