特許第6070668号(P6070668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070668
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20170123BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F28F9/02 301D
   F28F9/02 301Z
   F28D1/047 C
【請求項の数】4
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2014-202310(P2014-202310)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-70622(P2016-70622A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年9月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】筒井 正浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 基史
(72)【発明者】
【氏名】神藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−239592(JP,A)
【文献】 特開2013−155966(JP,A)
【文献】 特開2011−158130(JP,A)
【文献】 特開2000−337788(JP,A)
【文献】 特開2008−224057(JP,A)
【文献】 特開2008−116084(JP,A)
【文献】 特開2004−271143(JP,A)
【文献】 特開平11−351783(JP,A)
【文献】 特開2005−308261(JP,A)
【文献】 特開2006−266521(JP,A)
【文献】 特開平10−132490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02,9/22
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びる筒状のヘッダ(50)と、
前記長手方向に交差する方向に沿って延びる複数の扁平管(31)と、
を備え、
前記扁平管は、端部を前記ヘッダに挿入された状態でロウ付けされることで前記ヘッダと接合され、
前記ヘッダは、
前記扁平管の端部に面する第1面(71a)と、前記第1面から前記扁平管の端部に向かって突出する凸部(711)と、を含み、前記長手方向に沿って延びて冷媒流路を形成する平板状の中央部材(70)と、
前記中央部材の前記第1面側において前記長手方向に沿って延びて前記ヘッダの外郭を構成する表側部材(60)と、
前記中央部材の前記第1面の裏面(71b)側において前記長手方向に沿って延びて前記ヘッダの外郭を構成する裏側部材(65)と、
を有し、
前記表側部材及び前記裏側部材は、断面視において、それぞれの両端部(601、602、651、652)が、前記中央部材と接合され、
前記表側部材には、前記扁平管の端部が挿入される挿入口(50a)が複数形成され、
前記凸部は、前記第1面の中央付近に構成され、ロウ付けの際において前記扁平管の熱膨張が生じた場合に、前記扁平管の端部と前記第1面とが接合することを抑制する、
熱交換器(13)。
【請求項2】
前記凸部は、平面視において三角形状を呈する、
請求項1に記載の熱交換器(13)。
【請求項3】
前記中央部材は、押出成形によって成形され、
前記凸部は、前記長手方向に沿って連続的に構成される、
請求項1又は2に記載の熱交換器(13)。
【請求項4】
前記中央部材は、
前記第1面の裏面である第2面(71b)と、前記第2面から前記凸部とは反対方向に突出する第2凸部(712)と、をさらに含み、
その断面形状が、前記扁平管の幅方向に沿って延びる軸(Z1)に対して線対称である、
請求項1からのいずれか1項に記載の熱交換器(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換部に複数の扁平管を含む熱交換器には、ヘッダ内において冷媒流路を形成する流路形成部材を有するものがある。例えば、特許文献1(特開2014―55736号公報)に開示される熱交換器は、流路形成部材として、ヘッダの長手方向に沿って延びる仕切板を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような熱交換器は、組立てられる際、ヘッダの長手方向に対し交差する方向に沿って延びる各扁平管が、その端部をヘッダに挿入された状態でロウ付けされて、ヘッダと接合されるのが一般的である。
【0004】
しかし、特許文献1では、ロウ付け時の熱膨張により扁平管の端部が流路形成部材と接合して、ヘッダ内の冷媒流路が狭まり或いは閉塞し、結果的に熱交換器の性能が低下するケースが想定される。
【0005】
そこで、本発明の課題は、性能低下を抑制する熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る熱交換器は、ヘッダと、複数の扁平管と、を備える。ヘッダは、筒状である。ヘッダは、長手方向に沿って延びる。扁平管は、長手方向に交差する方向に沿って延びる。扁平管は、ロウ付けされることで、ヘッダと接合される。扁平管は、端部をヘッダに挿入された状態でロウ付けされる。ヘッダは、中央部材を有する。中央部材は、平板状である。中央部材は、長手方向に沿って延びる。中央部材は、冷媒流路を形成する。中央部材は、第1面と、凸部と、を含む。第1面は、扁平管の端部に面する。凸部は、第1面から、扁平管の端部に向かって突出する。凸部は、ロウ付けの際において扁平管の熱膨張が生じた場合に、扁平管の端部と第1面とが接合することを抑制する。
【0007】
本発明の第1観点に係る熱交換器では、中央部材の第1面から扁平管の端部に向かって突出する凸部は、ロウ付けの際において扁平管の熱膨張が生じた場合に、扁平管の端部と第1面とが接合することを抑制する。これにより、ヘッダとロウ付けされる際に扁平管の熱膨張が生じた場合でも、扁平管の端部と第1面との間に凸部が介在することで、扁平管の端部と第1面とが接合することが抑制される。その結果、ヘッダ内の冷媒流路が、熱交換器の性能低下を引き起こす程度に狭まる又は閉塞することが抑制される。よって、熱交換器の性能低下が抑制される。
【0008】
本発明の第2観点に係る熱交換器は、第1観点に係る熱交換器であって、凸部は、第1面の中央付近に構成される。これにより、ロウ付けの際に、他の部分に配置されたロウ材が第1面に流入した場合であっても、ロウ材は凸部先端へ到達しにくい。その結果、ロウ付けの際に、扁平管の熱膨張により扁平管の端部と凸部の先端とが接触しても、扁平管の端部と凸部とが接合することが抑制される。よって、ヘッダ内の冷媒流路が、狭まる又は閉塞することがさらに抑制される。
【0009】
本発明の第3観点に係る熱交換器は、第1観点又は第2観点に係る熱交換器であって、中央部材は、押出成形によって成形される。凸部は、長手方向に沿って、連続的に構成される。
【0010】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、中央部材が押出成形によって成形されることにより、中央部材の製造コストが抑制される。また、凸部が長手方向に沿って連続的に構成されることにより、扁平管の端部と第1面とが接合することがさらに抑制される。
【0011】
本発明の第4観点に係る熱交換器は、第1観点から第3観点のいずれかに係る熱交換器であって、中央部材は、第2面と、第2凸部と、をさらに含む。第2面は、第1面の裏面である。第2凸部は、第2面から、凸部とは反対方向に突出する。中央部材は、その断面形状が、扁平管の幅方向に沿って延びる軸に対して線対称である。
【0012】
本発明の第4観点に係る熱交換器では、中央部材は、第1面の裏面である第2面と、第2面から凸部とは反対方向に突出する第2凸部と、をさらに含み、その断面形状が、扁平管の幅方向に沿って延びる軸に対して線対称である。これにより、ヘッダの組立て時に、中央部材に係る誤組みが抑制される。よって、組立性が向上する。
【0013】
本発明の第5観点に係る熱交換器は、第1観点から第4観点のいずれかに係る熱交換器であって、表側部材と、裏側部材と、をさらに備える。表側部材は、長手方向に沿って延びる。表側部材は、中央部材の第1面側において、ヘッダの外郭を構成する。裏側部材は、長手方向に沿って延びる。裏側部材は、中央部材の第1面の裏面側において、ヘッダの外郭を構成する。表側部材及び裏側部材は、断面視において、それぞれの両端部が中央部材と接合される。表側部材には、複数の挿入口が形成される。挿入口には、扁平管の端部が挿入される。
【0014】
本発明の第5観点に係る熱交換器では、長手方向に沿って延びる流路形成部材である中央部材に、裏側部材と、扁平管の挿入口を複数形成された表側部材と、が接合される。換言すると、流路形成部材である中央部材を中心として、熱交換器のヘッダが組み立てられる。これにより、長手方向に延びる熱交換器のヘッダに、長手方向に交差する方向に沿って延びる複数の扁平管を接合する熱交換器において、長手方向に延びる流路形成部材をヘッダ内に設置することが容易となり、組立性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1観点に係る熱交換器では、ロウ付けの際に、扁平管の端部と第1面とが接合することが抑制され、ヘッダ内の冷媒流路が、熱交換器の性能低下を引き起こす程度に狭まる又は閉塞することが抑制される。よって、熱交換器の性能低下が抑制される。
【0016】
本発明の第2観点に係る熱交換器では、ロウ付けの際に、扁平管の端部と凸部とが接合することが抑制される。よって、ヘッダ内の冷媒流路が、狭まる又は閉塞することがさらに抑制される。
【0017】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、製造コストが抑制される。また、扁平管の端部と第1面とが接合することがさらに抑制される。
【0018】
本発明の第4観点及び第5観点に係る熱交換器では、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る室外熱交換器を含む空気調和装置の概略構成図。
図2】室外ユニットの外観斜視図。
図3】天板を取り外した状態の室外ユニットの平面図。
図4】室外熱交換器の外観斜視図。
図5】室外熱交換器の平面図。
図6図5におけるVI-VI線断面の部分拡大図。
図7】背面視における図5のA部分の断面図。
図8】正面視における図5のA部分の断面図。
図9図7の二点鎖線L11よりも下方の部分を示した拡大図。
図10図8の二点鎖線L5よりも上方の部分を示した拡大図。
図11図8の二点鎖線L5よりも下方の部分であって二点鎖線L11よりも上方の部分を示した拡大図。
図12図8の二点鎖線L11よりも下方の部分であって二点鎖線L24よりも上方の部分を示した拡大図。
図13】第1空間から第11空間の各空間における冷房運転時の冷媒の流れを示した模式図。
図14】第1空間から第11空間の各空間における暖房運転時の冷媒の流れを示した模式図。
図15】第2ヘッダ集合管の分解図。
図16図15のB部分の拡大図。
図17】第2ヘッダ集合管の断面図。
図18】第1バッフルの平面図。
図19】第2バッフルの平面図。
図20】右側外郭部材を中央鉛直部材に仮固定した状態において、第1バッフル及び第2バッフルを中央鉛直部材に差し込んだ状態の断面を示した部分拡大図。
図21図20の状態において左側外郭部材を中央鉛直部材に仮固定した状態を模式的に示した部分拡大図。
図22図21の状態を異なる方向から視た場合の部分拡大図(第1バッフル及び第2バッフルをハイライト表示)。
図23】第2ヘッダ集合管の天面部分の拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る室外熱交換器13について説明する。本実施形態において、室外熱交換器13は、空気調和装置100に適用されている。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、以下の実施形態において、上、下、左、右、正面(前)又は背面(後)といった方向は、図2から図8図13から図15及び図17から図23に示す方向を意味する。
【0021】
(1)空気調和装置100
図1は、本発明の一実施形態に係る室外熱交換器13を含む空気調和装置100の概略構成図である。
【0022】
空気調和装置100は、冷房運転又は暖房運転を行って、対象空間の空気調和を実現する装置である。具体的には、空気調和装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。空気調和装置100は、主として、熱源側ユニットとしての室外ユニット10と、利用側ユニットとしての室内ユニット20と、を有している。空気調和装置100においては、室外ユニット10と室内ユニット20とが、ガス冷媒連絡配管GP及び液冷媒連絡配管LPによって接続されることで、冷媒回路が構成されている。
【0023】
(1−1)室外ユニット10
図2は、室外ユニット10の外観斜視図である。室外ユニット10は、室外に設置される。室外ユニット10は、ユニットケーシング110を有している。ユニットケーシング110は、縦長の略直方体形状を有し、天面に天板111を含んでいる。ユニットケーシング110は、背面及び側面に、ユニットケーシング110内に空気流を取り込むための入口となる吸気口(図示省略)を形成されている。また、ユニットケーシング110は、取り込んだ空気流の出口となる排気口112を形成されている。排気口112は、正面グリル113で覆われている。
【0024】
図3は、天板111を取り外した状態の室外ユニット10の平面図である。ユニットケーシング110内には、ユニットケーシング110の内部空間を左右に仕切るケーシング仕切板114が配置されている。ケーシング仕切板114が配置されることで、ユニットケーシング110内には、機械室10aと、送風機室10bとが形成されている。
【0025】
室外ユニット10は、ユニットケーシング110内に、主として、冷媒回路を構成する冷媒配管RPと、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室外ファン15と、室外制御部16と、を有している。圧縮機11、四路切換弁12、膨張弁14及び室外制御部16は、機械室10a内に配置されている。また、室外熱交換器13及び室外ファン15は、送風機室10b内に配置されている。
【0026】
冷媒配管RPは、内部を冷媒が流れる。具体的に、冷媒配管RPは、第1冷媒配管P1、第2冷媒配管P2、第3冷媒配管P3、第4冷媒配管P4、第5冷媒配管P5及び第6冷媒配管P6を含む。
【0027】
第1冷媒配管P1は、一端がガス冷媒連絡配管GPに接続され、他端が四路切換弁12に接続されている。第2冷媒配管P2は、一端が四路切換弁12に接続され、他端が圧縮機11の吸入ポートに接続されている。第3冷媒配管P3は、一端が圧縮機11の吐出ポートに接続され、他端が四路切換弁12に接続されている。第4冷媒配管P4は、一端が四路切換弁12に接続され、他端が室外熱交換器13に接続されている。第5冷媒配管P5は、一端が室外熱交換器13に接続され、他端が膨張弁14に接続されている。第6冷媒配管P6は、一端が膨張弁14に接続され、他端が液冷媒連絡配管LPに接続されている。
【0028】
圧縮機11は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して吐出する機構である。圧縮機11は、圧縮機モータ11aを内蔵された密閉式の構造を有している。圧縮機11では、ケーシング(図示省略)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の圧縮要素(図示省略)が、圧縮機モータ11aを駆動源として駆動される。圧縮機モータ11aは、運転中、室外制御部16によって、インバータ制御され、状況に応じて回転数を調整される。すなわち、圧縮機11は、容量可変である。
【0029】
四路切換弁12は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れる方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁12は、室外制御部16によって冷媒流路を切り換えられる。四路切換弁12は、冷房運転時には、第1冷媒配管P1と第2冷媒配管P2とを接続するとともに第3冷媒配管P3と第4冷媒配管P4とを接続する(図1の四路切換弁12の実線を参照)。一方、四路切換弁12は、暖房運転時には、第1冷媒配管P1と第3冷媒配管P3とを接続するとともに第2冷媒配管P2と第4冷媒配管P4とを接続する(図1の四路切換弁12の破線を参照)。
【0030】
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器13は、その液側が第5冷媒配管P5を介して膨張弁14と接続されており、ガス側が第4冷媒配管P4を介して四路切換弁12と接続されている。冷房運転時には、室外熱交換器13には、主として、圧縮機11で圧縮された高圧のガス冷媒が流入する。暖房運転時には、室外熱交換器13には、主として、膨張弁14で減圧された低圧の液冷媒が流入する。なお、室外熱交換器13の詳細については、後述の「(3)室外熱交換器13の詳細」において説明する。
【0031】
膨張弁14は、流入する高圧の冷媒を減圧する電動弁である。膨張弁14は、運転状況に応じて、室外制御部16により開度を適宜調整される。
【0032】
室外ファン15は、外部から室外ユニット10内に流入し室外熱交換器13を通過してから室外ユニット10外へ流出する室外空気流(図3図4及び図6における二点鎖線矢印を参照)を生成する送風機である。室外ファン15は、例えばプロペラファンである。室外ファン15は、室外ファンモータ15aを駆動源として駆動される。室外ファンモータ15aは、運転中、室外制御部16によって、駆動を制御され、回転数を適宜調整される。
【0033】
室外制御部16は、室外ユニット10に含まれるアクチュエータの動作を制御する機能部である。室外制御部16は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータを含む。
【0034】
(1−2)室内ユニット20
室内ユニット20は、室内に設置される。室内ユニット20は、例えば壁掛け型や、天井埋込み型、天井吊下げ型である。室内ユニット20は、主として、室内熱交換器21、室内ファン22及び室内制御部23を有している。
【0035】
室内熱交換器21は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能する熱交換器である。室内熱交換器21は、複数の伝熱管(図示省略)及び複数のフィン(図示省略)を有する。室内熱交換器21は、ガス側をガス冷媒連絡配管GPと接続され、液側を液冷媒連絡配管LPに接続されている。
【0036】
室内ファン22は、外部から室内ユニット20内に流入し室内熱交換器21を通過してから室内ユニット20外へ流出する室内空気流を生成する送風機である。室内ファン22は、室内ファンモータ22aを駆動源として駆動される。室内ファンモータ22aは、運転中、室内制御部23によって、駆動を制御され、回転数を適宜調整される。
【0037】
室内制御部23は、室内ユニット20に含まれるアクチュエータの動作を制御する機能部である。室内制御部23は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータを含む。室内制御部23は、ケーブルを介して室外制御部16と接続されており、所定のタイミングで、相互に信号の送受信を行う。
【0038】
(2)空気調和装置100の冷媒の流れ
(2−1)冷房運転時
冷房運転時には、四路切換弁12が図1の実線で示される状態となり、圧縮機11の吐出側が第3冷媒配管P3及び第4冷媒配管P4を介して室外熱交換器13のガス側に接続され、かつ、圧縮機11の吸入側が第1冷媒配管P1及び第2冷媒配管P2を介してガス冷媒連絡配管GPと接続される。
【0039】
圧縮機11が駆動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機11で圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、第3冷媒配管P3、四路切換弁12及び第4冷媒配管P4を経由して室外熱交換器13に送られる。その後、高圧のガス冷媒は、室外熱交換器13において、室外空気流と熱交換を行うことで、凝縮して高圧の液冷媒となる。室外熱交換器13から流出した高圧の液冷媒は、第5冷媒配管P5を経由して膨張弁14に送られる。膨張弁14において減圧された低圧の冷媒は、第6冷媒配管P6及び液冷媒連絡配管LPを経由して室内熱交換器21に送られ、室内空気流と熱交換を行うことで、蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管GP、第1冷媒配管P1及び第2冷媒配管P2を流れて圧縮機11に吸入される。
【0040】
なお、冷房運転時においては、膨張弁14の開度及び圧縮機11の回転数が適宜調整されており、冷媒回路を流れる冷媒が高循環量になる場合と、低循環量になる場合がある。
【0041】
(2−2)暖房運転時
暖房運転時には、四路切換弁12が図1の破線で示される状態となり、圧縮機11の吐出側が第1冷媒配管P1及び第3冷媒配管P3を介して室内熱交換器21のガス側に接続され、かつ、圧縮機11の吸入側が第2冷媒配管P2及び第4冷媒配管P4を介して室外熱交換器13のガス側に接続される。
【0042】
圧縮機11が駆動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機11で圧縮されて高圧のガス冷媒となり、第3冷媒配管P3、四路切換弁12、第1冷媒配管P1及びガス冷媒連絡配管GPを経由して、室内熱交換器21に送られる。室内熱交換器21に送られた高圧のガス冷媒は、室内空気流と熱交換を行うことで凝縮して高圧の液冷媒となった後、液冷媒連絡配管LP及び第6冷媒配管P6を経由して膨張弁14に送られる。膨張弁14に送られた高圧のガス冷媒は、膨張弁14を通過する際に、膨張弁14の弁開度に応じて減圧される。膨張弁14を通過した低圧の冷媒は、第5冷媒配管P5を流れて室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した低圧の冷媒は、室外空気流と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、第4冷媒配管P4、四路切換弁12及び第2冷媒配管P2を経由して、圧縮機11に吸入される。
【0043】
なお、暖房運転時には、膨張弁14の開度及び圧縮機11の回転数が適宜調整されており、冷媒回路を流れる冷媒が高循環量になる場合と、低循環量になる場合がある。
【0044】
(3)室外熱交換器13の詳細
図4は、室外熱交換器13の外観斜視図である。図5は、室外熱交換器13の平面図である。
【0045】
室外熱交換器13は、主として、熱交換部30と、熱交換部30の一端(左端)側に設けられた分流器40、第1ヘッダ集合管45及び第2ヘッダ集合管50(特許請求の範囲記載の「ヘッダ」に相当)と、を含んでいる。
【0046】
(3−1)熱交換部30
図6は、図5におけるVI-VI線断面の部分拡大図である。熱交換部30は、室外空気流と、室外熱交換器13を通過する冷媒と、が熱交換する領域である。具体的に、熱交換部30は、室外熱交換器13の中央部分において室外空気流の進行方向に対して交差する方向に広がる領域であり、室外熱交換器13の大部分を占める。熱交換部30は、平面視において略L字状の形状を有しており、一端から他端の間に湾曲部30aを有している。熱交換部30は、主として、複数の伝熱管31(特許請求の範囲記載の「扁平管」に相当)と、複数の伝熱フィン32と、を含んでいる。
【0047】
伝熱管31は、内部に複数の流路31aを形成された扁平多穴管である。伝熱管31は、アルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。本実施形態では、熱交換部30において、72本の伝熱管31が上下方向(鉛直方向)に並んでいる。但し、熱交換部30に含まれる伝熱管31の数は適宜変更が可能である。伝熱管31は、湾曲部30aにおいて湾曲しながら水平方向に沿って延びている。伝熱管31は、一端が第1ヘッダ集合管45に接続され、他端が第2ヘッダ集合管50に接続されている。伝熱管31は、湾曲部30aよりも左側(第1ヘッダ集合管45及び第2ヘッダ集合管50側)では、幅方向の長さが前後方向に延びている。また、伝熱管31は、湾曲部30aよりも正面側では、幅方向の長さが左右方向に延びている。
【0048】
伝熱管31は、主として、第1部311と、第2部312と、第1部311及び第2部312を連結する折返部313と、を有している。第1部311は、一端が第2ヘッダ集合管50に接続され、左右方向に沿って延びた後、湾曲部30aにおいて湾曲してから前後方向に沿って延びて、他端が折返部313に接続されている。第2部312は、一端が第1ヘッダ集合管45に接続され、左右方向に沿って延びた後、湾曲部30aにおいて湾曲してから前後方向に沿って延びて、他端が折返部313に接続されている。折返部313は、U字状に湾曲している。折返部313は、一端が第1部311に接続され、他端が第2部312に接続されている。折返部313は、上下方向に沿って延びるカバー55で覆われている。
【0049】
伝熱フィン32は、伝熱管31と室外空気流との伝熱面積を増大させる平板状の部材である。伝熱フィン32は、アルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。伝熱フィン32は、熱交換部30において、伝熱管31に交差するように上下方向に延びている。伝熱フィン32には、複数の切欠きが上下方向に並べて形成されており、当該切欠きに伝熱管31が挿入されている。
【0050】
図7は、背面視における図5のA部分の断面図である。図8は、正面視における図5のA部分の断面図である。なお、図7における二点鎖線L1からL24と、図8における二点鎖線L1からL24と、はそれぞれ対応している。
【0051】
熱交換部30は、主として、上側に位置する上側熱交換部Xと、上側熱交換部Xよりも下方に位置する下側熱交換部Yと、に分かれる。
【0052】
上側熱交換部Xは、上から順に、第1上側熱交換部X1、第2上側熱交換部X2、第3上側熱交換部X3、第4上側熱交換部X4、第5上側熱交換部X5、第6上側熱交換部X6、第7上側熱交換部X7、第8上側熱交換部X8、第9上側熱交換部X9、第10上側熱交換部X10、第11上側熱交換部X11及び第12上側熱交換部X12を有している。
【0053】
第1上側熱交換部X1は、二点鎖線L1(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第2上側熱交換部X2は、二点鎖線L1よりも下方であって二点鎖線L2(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第3上側熱交換部X3は、二点鎖線L2よりも下方であって二点鎖線L3(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第4上側熱交換部X4は、二点鎖線L3よりも下方であって二点鎖線L4(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第5上側熱交換部X5は、二点鎖線L4よりも下方であって二点鎖線L5(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第6上側熱交換部X6は、二点鎖線L5よりも下方であって二点鎖線L6(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第7上側熱交換部X7は、二点鎖線L6よりも下方であって二点鎖線L7(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第8上側熱交換部X8は、二点鎖線L7よりも下方であって二点鎖線L8(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第9上側熱交換部X9は、二点鎖線L8よりも下方であって二点鎖線L9(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第10上側熱交換部X10は、二点鎖線L9よりも下方であって二点鎖線L10(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第11上側熱交換部X11は、二点鎖線L10よりも下方であって二点鎖線L11(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第12上側熱交換部X12は、二点鎖線L11よりも下方であって二点鎖線L12(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。
【0054】
第1上側熱交換部X1から第12上側熱交換部X12のそれぞれは、4本の伝熱管31を含んでいる。
【0055】
下側熱交換部Yは、上から順に、第1下側熱交換部Y1、第2下側熱交換部Y2、第3下側熱交換部Y3、第4下側熱交換部Y4、第5下側熱交換部Y5、第6下側熱交換部Y6、第7下側熱交換部Y7、第8下側熱交換部Y8、第9下側熱交換部Y9、第10下側熱交換部Y10、第11下側熱交換部Y11及び第12下側熱交換部Y12を有している。
【0056】
第1下側熱交換部Y1は、二点鎖線L12よりも下方であって二点鎖線L13(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第2下側熱交換部Y2は、二点鎖線L13よりも下方であって二点鎖線L14(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第3下側熱交換部Y3は、二点鎖線L14よりも下方であって二点鎖線L15(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第4下側熱交換部Y4は、二点鎖線L15よりも下方であって二点鎖線L16(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第5下側熱交換部Y5は、二点鎖線L16よりも下方であって二点鎖線L17(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第6下側熱交換部Y6は、二点鎖線L17よりも下方であって二点鎖線L18(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第7下側熱交換部Y7は、二点鎖線L18よりも下方であって二点鎖線L19(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第8下側熱交換部Y8は、二点鎖線L19よりも下方であって二点鎖線L20(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第9下側熱交換部Y9は、二点鎖線L20よりも下方であって二点鎖線L21(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第10下側熱交換部Y10は、二点鎖線L21よりも下方であって二点鎖線L22(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第11下側熱交換部Y11は、二点鎖線L22よりも下方であって二点鎖線L23(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。第12下側熱交換部Y12は、二点鎖線L23よりも下方であって二点鎖線L24(図7及び図8参照)よりも上方に位置する領域である。
【0057】
第1下側熱交換部Y1から第12下側熱交換部Y12のそれぞれは、2本の伝熱管31を含んでいる。
【0058】
(3−2)分流器40
図9は、図7の二点鎖線L11よりも下方の部分を示した拡大図である。
【0059】
分流器40は、鉛直方向に延びる筒状の管である。分流器40は、下端近傍において、第5冷媒配管P5と接続されている。分流器40は、第1ヘッダ集合管45の左側に隣接している。分流器40は、複数(ここでは12本)の連通管CTを介して、第1ヘッダ集合管45と連通している。分流器40は、暖房運転時に、熱交換部30の第1上側熱交換部X1から第12上側熱交換部X12、又は第1下側熱交換部Y1から第12下側熱交換部Y12の各部において、冷媒が適切な流量で流れるように、流入する冷媒を分流して第1ヘッダ集合管45へ送る。
【0060】
図9に示すように、分流器40の内部には、複数(ここでは11個)の仕切板40aが配設されている。これにより、分流器40内には、複数(ここでは12個)の空間が形成されている。以下、説明の便宜上、分流器40内に形成される空間を、上から下に向かって順に、第1分流室401、第2分流室402、第3分流室403、第4分流室404、第5分流室405、第6分流室406、第7分流室407、第8分流室408、第9分流室409、第10分流室410、第11分流室411、第12分流室412と称する。
【0061】
第1分流室401から第12分流室412のそれぞれには、連通管CTが接続されており、各分流室は第1ヘッダ集合管45と連通している。また、第12分流室412には、第5冷媒配管P5が接続されている。また、各仕切板40aには連通口が形成されており、当該連通口を介して、第1分流室401から第12分流室412の各分流室は、上下に隣接する他の分流室と連通している。
【0062】
係る態様で配設される分流器40内においては、冷房運転時には、連通管CTを介して第1ヘッダ集合管45から各分流室に冷媒が流入する。そして、各分流室(第12分流室412を除く)に流入した冷媒は、連通口を介して、下方に位置する分流室に向かって流れる。第12分流室412に流入した冷媒は、第5冷媒配管P5へ流出する。
【0063】
また、暖房運転時には、第5冷媒配管P5から第12分流室412へ冷媒が流入する。各分流室(第1分流室401を除く)へ流入した冷媒は、その一部が連通管CTを介して第1ヘッダ集合管45へ流出するとともに、他の一部が連通口を介して上方に位置する各分流室に向かって流れる。第1分流室401へ流入した冷媒は、連通管CTを介して第1ヘッダ集合管45へ流出する。
【0064】
(3−3)第1ヘッダ集合管45
第1ヘッダ集合管45は、鉛直方向に延びる筒状の管である。第1ヘッダ集合管45は、分流器40の右側に隣接している。なお、図7に示すように、第1ヘッダ集合管45の高さ(上下方向の長さ)は、分流器40よりも大きい。
【0065】
第1ヘッダ集合管45は、第4冷媒配管P4と接続されている。また、第1ヘッダ集合管45は、熱交換部30の各伝熱管31と接続されている。また、第1ヘッダ集合管45は、複数の連通管CTと接続されている。
【0066】
図9に示すように、第1ヘッダ集合管45の内部には、複数(ここでは13個)の空間が形成されている。以下、説明の便宜上、第1ヘッダ集合管45内に形成される空間を、上から下に向かって順に、第1セクション451、第2セクション452、第3セクション453、第4セクション454、第5セクション455、第6セクション456、第7セクション457、第8セクション458、第9セクション459、第10セクション460、第11セクション461、第12セクション462、第13セクション463と称する。
【0067】
第1セクション451を除く各セクションは、それぞれの容積が略同一である。第1セクション451は、他のセクションよりも容積が大きく、第1ヘッダ集合管45内の空間の大部分を占めている。第1セクション451には、第4冷媒配管P4が接続されている(図7参照)。
【0068】
第1セクション451を除く各セクションは、連通管CTを介して、分流器40のいずれかの分流室と連通している。具体的には、第2セクション452は第1分流室401と、第3セクション453は第2分流室402と、第4セクション454は第3分流室403と、第5セクション455は第4分流室404と、第6セクション456は第5分流室405と、第7セクション457は第6分流室406と、第8セクション458は第7分流室407と、第9セクション459は第8分流室408と、第10セクション460は第9分流室409と、第11セクション461は第10分流室410と、第12セクション462は第11分流室411と、第13セクション463は第12分流室412と、それぞれ連通している。
【0069】
各セクションは、熱交換部30に含まれる各熱交換部(X又はY)の伝熱管31(より詳細には第2部312の一端)と接続されている。具体的には、第1セクション451は上側熱交換部X(X1〜X12)の、第2セクション452は第1下側熱交換部Y1の、第3セクション453は第2下側熱交換部Y2の、第4セクション454は第3下側熱交換部Y3の、第5セクション455は第4下側熱交換部Y4の、第6セクション456は第5下側熱交換部Y5の、第7セクション457は第6下側熱交換部Y6の、第8セクション458は第7下側熱交換部Y7の、第9セクション459は第8下側熱交換部Y8の、第10セクション460は第9下側熱交換部Y9の、第11セクション461は第10下側熱交換部Y10の、第12セクション462は第11下側熱交換部Y11の、第13セクション463は第12下側熱交換部Y12の、各伝熱管31とそれぞれ接続されている。
【0070】
係る態様で配設される第1ヘッダ集合管45内においては、冷房運転時に、第4冷媒配管P4から第1セクション451に冷媒が流入する。第1セクション451に流入した冷媒は、上側熱交換部X(X1〜X12)の各伝熱管31(第2部312)へ流出する。また、第2セクション452から第13セクション463の各セクションには、下側熱交換部Yの各伝熱管31(第2部312)から冷媒が流入する。第2セクション452から第13セクション463の各セクションに流入した冷媒は、連通管CTを介して、分流器40の対応する分流室(401〜412のいずれか)へ流出する。
【0071】
また、暖房運転時には、第2セクション452から第13セクション463の各セクションに、分流器40の対応する分流室から冷媒が流入する。第2セクション452から第13セクション463の各セクションに流入した冷媒は、下側熱交換部Yの対応する各伝熱管31(第2部312)へ流出する。また、第1セクション451に、上側熱交換部X(X1〜X12)の各伝熱管31(第2部312)から冷媒が流入する。第1セクション451に流入した冷媒は、第4冷媒配管P4へ流出する。
【0072】
(3−4)第2ヘッダ集合管50
(3−4−1)第2ヘッダ集合管50の内部空間について
図10は、図8の二点鎖線L5よりも上方の部分を示した拡大図である。図11は、図8の二点鎖線L5よりも下方の部分であって二点鎖線L11よりも上方の部分を示した拡大図である。図12は、図8の二点鎖線L11よりも下方の部分であって二点鎖線L24よりも上方の部分を示した拡大図である。
【0073】
第2ヘッダ集合管50は、鉛直方向に延びる筒状の管である。第2ヘッダ集合管50は、第1ヘッダ集合管45の前側に隣接している。第2ヘッダ集合管50は、熱交換部30の各伝熱管31と接続されている。
【0074】
図10から図12に示すように、第2ヘッダ集合管50の内部においては、複数の仕切部が設けられることで複数の空間が形成されている。
【0075】
具体的には、第2ヘッダ集合管50の内部には、水平方向に沿って延びる第1水平仕切部52が複数設けられている。各第1水平仕切部52は、第2ヘッダ集合管50内の空間を上下に仕切る。複数の第1水平仕切部52が設けられていることで、第2ヘッダ集合管50の内部において、上下方向に並ぶ複数(ここでは24個)の空間が形成されている。以下、第2ヘッダ集合管50内の空間に関し、図10から図12に示すように、上から下に向かって順に、第1空間SP1、第2空間SP2、第3空間SP3・・・、第24空間SP24と称する。
【0076】
これらの各空間は、熱交換部30に含まれる各熱交換部(X又はY)の伝熱管31(より詳細には第1部311の一端)と接続されている。具体的には、第1空間SP1は第1上側熱交換部X1の、第2空間SP2は第2上側熱交換部X2の、第3空間SP3は第3上側熱交換部X3の、第4空間SP4は第4上側熱交換部X4の、第5空間SP5は第5上側熱交換部X5の、第6空間SP6は第6上側熱交換部X6の、第7空間SP7は第7上側熱交換部X7の、第8空間SP8は第8上側熱交換部X8の、第9空間SP9は第9上側熱交換部X9の、第10空間SP10は第10上側熱交換部X10の、第11空間SP11は第11上側熱交換部X11の、第12空間SP12は第12上側熱交換部X12の、各伝熱管31とそれぞれ接続されている。また、第13空間SP13は第1下側熱交換部Y1の、第14空間SP14は第2下側熱交換部Y2の、第15空間SP15は第3下側熱交換部Y3の、第16空間SP16は第4下側熱交換部Y4の、第17空間SP17は第5下側熱交換部Y5の、第18空間SP18は第6下側熱交換部Y6の、第19空間SP19は第7下側熱交換部Y7の、第20空間SP20は第8下側熱交換部Y8の、第21空間SP21は第9下側熱交換部Y9の、第22空間SP22は第10下側熱交換部Y10の、第23空間SP23は第11下側熱交換部Y11の、第24空間SP24は第12下側熱交換部Y12の、各伝熱管31とそれぞれ接続されている。
【0077】
なお、本実施形態では、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間においては、接続される伝熱管31の本数が同一である。また、第13空間SP13から第24空間SP24の各空間においては、接続される伝熱管31の本数が同一である。しかし、これらの各空間に接続される伝熱管31の本数は、室外熱交換器13における運転時の冷媒の流速や分流性能の向上に鑑みて、適宜、空間毎に異なる本数に設定することも可能である。
【0078】
また、第2ヘッダ集合管50の内部には、鉛直方向(上下方向)に沿って延びる鉛直仕切部51が設けられている。鉛直仕切部51は、第2ヘッダ集合管50の上端から下端にかけて延びている。このため、第1空間SP1から第24空間SP24の各空間は、左右に仕切られ、左側空間LSと右側空間RSとに分かれている。
【0079】
また、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間には、水平方向に沿って延びる第2水平仕切部53が複数設けられている。各第2水平仕切部53が設けられることで、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間は、上下に仕切られている。すなわち、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間の内部は、鉛直仕切部51及び第2水平仕切部53によって仕切られている。このため、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間の内部では、左側空間LSがさらに上下に仕切られるとともに、右側空間RSがさらに上下に仕切られている。その結果、図10及び図11に示すように、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間の内部では、左側上空間LS1と、左側下空間LS2と、右側上空間RS1と、右側下空間RS2と、が形成されている。左側上空間LS1は、鉛直仕切部51の左側であって、第2水平仕切部53の上方に位置する。左側下空間LS2は、鉛直仕切部51の左側であって、第2水平仕切部53の下方に位置する。右側上空間RS1は、鉛直仕切部51の右側であって、第2水平仕切部53の上方に位置する。右側下空間RS2は、鉛直仕切部51の右側であって、第2水平仕切部53の下方に位置する。
【0080】
第1空間SP1から第11空間SP11の各空間内においては、鉛直仕切部51に第1貫通口H1が形成されている。第1貫通口H1は、左側下空間LS2と右側下空間RS2との境界部分に形成されている。その結果、左側下空間LS2と右側下空間RS2とは、第1貫通口H1を介して連通している。
【0081】
また、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間内においては、鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されている。第2貫通口H2は、左側上空間LS1(又は左側空間LS)と右側上空間RS1(又は右側空間RS)との境界部分の上部に形成されている。その結果、左側上空間LS1(又は左側空間LS)の上端近傍と、右側上空間RS1(又は右側空間RS)の上端近傍と、は第2貫通口H2を介して連通している。第3貫通口H3は、左側上空間LS1(又は左側空間LS)と右側上空間RS1(又は右側空間RS)との境界部分の下部に形成されている。その結果、左側上空間LS1(又は左側空間LS)の下端近傍と、右側上空間RS1(又は右側空間RS)の下端近傍と、は第3貫通口H3を介して連通している。
【0082】
また、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間内においては、第2水平仕切部53に第4貫通口H4が形成されている。第4貫通口H4は、右側上空間RS1と右側下空間RS2との境界部分に形成されている。その結果、右側上空間RS1と右側下空間RS2とは、第4貫通口H4を介して連通している。第4貫通口H4は、平面視において、その一部が伝熱管31と重畳している。
【0083】
また、第12空間SP12においては、第12空間SP12と第13空間SP13とを仕切る第1水平仕切部52に、第5貫通口H5が形成されている。その結果、第12空間SP12と第13空間SP13とは第5貫通口H5を介して連通している。
【0084】
また、第13空間SP13から第24空間SP24の各空間内においては、鉛直仕切部51に第6貫通口H6が形成されている。第6貫通口H6は、左側空間LSと右側空間RSとの境界部分に形成されている。その結果、左側空間LSと右側空間RSとは第6貫通口H6を介して連通している。
【0085】
なお、第6貫通口H6は、以下の理由により形成されている。
【0086】
すなわち、第13空間SP13から第24空間SP24において鉛直仕切部51に第6貫通口H6が形成されておらず、右側空間RS及び左側空間LSが連通していない場合には、流入する冷媒流量の増加に起因して、右側空間RS内と、左側空間LS内と、の圧力差が大きくなった時に、鉛直仕切部51が変形又は破壊される事態が想定される。係る事態が生じると、熱交換器の性能が低下しうる。
【0087】
本実施形態においては、係る事態を回避すべく、鉛直仕切部51に大きな第6貫通口H6が形成されている。これにより、右側空間RS内と、左側空間LS内と、における圧力の均衡が保たれやすいようになっている。その結果、鉛直仕切部51が変形又は破壊されることが抑制されている。つまり、第6貫通口H6は、運転時において、右側空間RS内と、左側空間LS内と、の圧力差が大きくなることを抑制するための開口として機能する。
【0088】
第1空間SP1から第11空間SP11の各空間(より詳細には左側下空間LS2)にはいずれかの連絡配管(CP1〜CP11)の一端が接続され、第14空間SP14から第24空間SP24の各空間(より詳細には左側空間LS)にはいずれかの連絡配管の他端が接続されている。その結果、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間は、連絡配管を介して、第14空間SP14から第24空間SP24のいずれかと連通している。
【0089】
具体的に、第1空間SP1は第1連絡配管CP1を介して第24空間SP24と、第2空間SP2は第2連絡配管CP2を介して第23空間SP23と、第3空間SP3は第3連絡配管CP3を介して第22空間SP22と、第4空間SP4は第4連絡配管CP4を介して第21空間SP21と、第5空間SP5は第5連絡配管CP5を介して第20空間SP20と、第6空間SP6は第6連絡配管CP6を介して第19空間SP19と、第7空間SP7は第7連絡配管CP7を介して第18空間SP18と、第8空間SP8は第8連絡配管CP8を介して第17空間SP17と、第9空間SP9は第9連絡配管CP9を介して第16空間SP16と、第10空間SP10は第10連絡配管CP10を介して第15空間SP15と、第11空間SP11は第11連絡配管CP11を介して第14空間SP14と、それぞれ連通している。
【0090】
なお、以下の説明においては、第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11をまとめて連絡配管CPと総称する。
【0091】
また、上述のように、第12空間SP12と第13空間SP13とは、連絡配管CPを介してではなく、第5貫通口H5を介して連通している。すなわち、第12空間SP12及び第13空間SP13には、連絡配管CPが接続されていない。
【0092】
(3−4−2)第2ヘッダ集合管50内における冷媒の流れ
ここで、第2ヘッダ集合管50内における冷房運転時又は暖房運転時の冷媒の流れについて説明する。図13は、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間における冷房運転時の冷媒の流れを示した模式図である。図14は、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間における暖房運転時の冷媒の流れを示した模式図である。なお、図13及び図14における破線矢印は、冷媒の流れる方向を示している。
【0093】
(3−4−2−1)冷房運転時
冷房運転時には、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間に、対応する上側熱交換部X(X1〜X12)の各伝熱管31(第1部311)から冷媒が流入する。また、第13空間SP13から第24空間SP24の各空間に、対応する連絡配管CP(又は第5貫通口H5)を介して、第1空間SP1から第12空間SP12のいずれかから冷媒が流入する。
【0094】
第1空間SP1から第11空間SP11の各空間においては、図13に示すように、伝熱管31から右側上空間RS1及び右側下空間RS2に冷媒が流入する。右側上空間RS1に流入した冷媒の一部は、第4貫通口H4方向(下方向)へ流れて第4貫通口H4を介して右側下空間RS2へ流出する。右側上空間RS1に流入した冷媒の他の一部は、第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて第2貫通口H2を介して左側上空間LS1へ流出する。左側上空間LS1に流入した冷媒は、第3貫通口H3方向(下方向)へ流れて第3貫通口H3を介して右側上空間RS1に再度流入する。右側上空間RS1に再度流入した冷媒は、第4貫通口H4方向(下方向)へ流れる冷媒に合流して第4貫通口H4を介して右側下空間RS2へ流出する。
【0095】
一方、伝熱管31又は第4貫通口H4から右側下空間RS2に流入した冷媒は、第1貫通口H1方向へ流れて第1貫通口H1を介して左側下空間LS2へ流出する。左側下空間LS2に流入した冷媒は、接続されている連絡配管CPへ流出する。
【0096】
上述のように、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間においては、鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されていることで、冷房運転時に右側上空間RS1に流入した冷媒の一部は、第2貫通口H2及び第3貫通口H3を介して、左側上空間LS1へ流出する。
【0097】
第12空間SP12においては、右側空間RSに、第12上側熱交換部X12の各伝熱管31から冷媒が流入する。右側空間RSに流入した冷媒の一部は、第5貫通口H5方向(下方向)へ流れて、第5貫通口H5を介して第13空間SP13へ流出する。右側空間RSに流入した冷媒の他の一部は、第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて第2貫通口H2を介して左側空間LSへ流出する。左側空間LSに流入した冷媒は、第3貫通口H3方向(下方向)へ流れて第3貫通口H3を介して右側空間RSに再度流入する。右側空間RSに再度流入した冷媒は、一部が第5貫通口H5方向(下方向)へ流れる冷媒に合流して第5貫通口H5を介して第13空間SP13へ流出し、他の一部が第2貫通口H2方向(上方向)へ流れる冷媒に合流して再び第2貫通口H2を介して左側空間LSへ流出する。
【0098】
上述のように、第12空間SP12においては、鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されていることで、冷房運転時に右側空間RSに流入した冷媒の一部が、第2貫通口H2及び第3貫通口H3を介して、左側空間LSへ流出する。
【0099】
第13空間SP13においては、右側空間RSに、第5貫通口H5を介して第12空間SP12から冷媒が流入する。右側空間RSに流入した冷媒は、第1下側熱交換部Y1の各伝熱管31へ流出する。
【0100】
第14空間SP14から第24空間SP24の各空間においては、いずれかの連絡配管CPを介して、左側空間LSに、第1空間SP1から第11空間SP11のいずれかから冷媒が流入する。左側空間LSに流入した冷媒は、第6貫通口H6を介して右側空間RSへ流出する。右側空間RSに流入した冷媒は、対応する下側熱交換部Y(Y2〜Y12)の各伝熱管31へ流出する。
【0101】
なお、上述のように、冷房運転時には、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間において、冷媒が右側上空間RS1(又は右側空間RS)から左側上空間LS1(又は左側空間LS)へ流出しているが、その理由は以下による。
【0102】
すなわち、第1空間SP1から第12空間SP12において鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されておらず、右側上空間RS1(又は右側空間RS)及び左側上空間LS1(又は左側空間LS)が連通していない場合には、流入する冷媒流量の増加に起因して、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、の圧力差が大きくなった時に、鉛直仕切部51が変形又は破壊される事態が想定される。係る事態が生じると、熱交換器の性能が低下しうる。
【0103】
本実施形態においては、係る事態を回避すべく、鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されている。これにより、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内において冷媒圧力が高まり、左側上空間LS1(又は左側空間LS)との圧力差が大きくなった時には、冷媒が右側上空間RS1(又は右側空間RS)から左側上空間LS1(又は左側空間LS)へ流出する。その結果、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、における圧力の均衡が保たれやすいようになっている。よって、鉛直仕切部51が変形又は破壊されることが抑制されている。
【0104】
つまり、第2貫通口H2及び第3貫通口H3は、冷房運転時において、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、の圧力差が大きくなることを抑制するための開口として機能している。
【0105】
(3−4−2−2)暖房運転時
暖房運転時には、第13空間SP13から第24空間SP24の各空間に、対応する下側熱交換部Y(Y1〜Y12)の各伝熱管31(第1部311)から冷媒が流入する。また、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間に、対応する連絡配管CP(又は第5貫通口H5)を介して、第13空間SP13から第24空間SP24のいずれかから冷媒が流入する。
【0106】
第13空間SP13においては、右側空間RSに、第1下側熱交換部Y1の各伝熱管31から冷媒が流入する。右側空間RSに流入した冷媒は、第5貫通口H5を介して第12空間SP12へ流出する。
【0107】
第14空間SP14から第24空間SP24の各空間においては、右側空間RSに、対応する下側熱交換部Y(Y2〜Y12)の各伝熱管31から冷媒が流入する。右側空間RSに流入した冷媒は、第6貫通口H6を介して左側空間LSへ流出する。左側空間LSに流入した冷媒は、接続されている連絡配管CPへ流出する。
【0108】
第1空間SP1から第11空間SP11の各空間においては、図14に示すように、対応する連絡配管CPを介して、左側下空間LS2に、第14空間SP14から第24空間SP24のいずれかから冷媒が流入する。左側下空間LS2へ流出した冷媒の一部は、第1貫通口H1方向へ流れて第1貫通口H1を介して右側下空間RS2へ流出する。右側下空間RS2に流入した冷媒の一部は、右側下空間RS2に接続される伝熱管31(第1部311)へ流出する。右側下空間RS2に流入した冷媒の他の一部は、第4貫通口H4方向(上方向)へ流れて第4貫通口H4を介して右側上空間RS1へ流出する。
【0109】
なお、第4貫通口H4は、平面視において、その一部が伝熱管31と重畳しているため、第4貫通口H4から右側上空間RS1へ流入した冷媒の一部は、伝熱管31に衝突する。これによって、冷媒の流速が大きくなりすぎることが抑制されるとともに冷媒の液相成分と気相成分の偏りが抑制される。
【0110】
右側上空間RS1に流入した冷媒は、一部が右側上空間RS1に接続される各伝熱管31(第1部311)へ流出し、他の一部が第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて第2貫通口H2を介して左側上空間LS1へ流出する。左側上空間LS1に流入した冷媒は、第3貫通口H3方向(下方向)へ流れて第3貫通口H3を介して右側上空間RS1に再度流入する。右側上空間RS1に再度流入した冷媒は、一部が各伝熱管31(第1部311)へ流出し、他の一部が第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて再び第2貫通口H2を介して左側上空間LS1へ流出する。すなわち、暖房運転時に第1空間SP1から第11空間SP11の各空間に流入した冷媒の一部は、第2貫通口H2及び第3貫通口H3を介して、右側上空間RS1及び左側上空間LS1間をループする。
【0111】
第12空間SP12においては、右側空間RSに、第5貫通口H5を介して第13空間SP13から冷媒が流入する。右側空間RSに流入した冷媒の一部は、第12空間SP12に接続される各伝熱管31(第1部311)へ流出する。右側空間RSに流入した冷媒の他の一部は、第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて第2貫通口H2を介して左側空間LSへ流出する。左側空間LSに流入した冷媒は、第3貫通口H3方向(下方向)へ流れて第3貫通口H3を介して右側空間RSに再度流入する。右側空間RSに再度流入した冷媒は、一部が各伝熱管31(第1部311)へ流出し、他の一部が第2貫通口H2方向(上方向)へ流れて再び第2貫通口H2を介して左側空間LSへ流出する。すなわち、暖房運転時に第12空間SP12に流入した冷媒の一部は、第2貫通口H2及び第3貫通口H3を介して、右側空間RS及び左側空間LS間をループする。
【0112】
なお、上述のように、暖房運転時には、第1空間SP1から第12空間SP12の各空間において、冷媒を右側上空間RS1(又は右側空間RS)及び左側上空間LS1(又は左側空間LS)間でループさせているが、その理由は以下による。
【0113】
すなわち、第1空間SP1から第12空間SP12において鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されておらず、右側上空間RS1(又は右側空間RS)及び左側上空間LS1(又は左側空間LS)が連通していない場合には、流入する冷媒流量の増加に起因して、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、の圧力差が大きくなった時に、鉛直仕切部51が変形又は破壊される事態が想定される。係る事態が生じると、熱交換器の性能が低下しうる。
【0114】
本実施形態においては、係る事態を回避すべく、鉛直仕切部51に第2貫通口H2及び第3貫通口H3が形成されている。これにより、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内において冷媒圧力が高まり、左側上空間LS1(又は左側空間LS)との圧力差が大きくなった時には、冷媒が右側上空間RS1(又は右側空間RS)から左側上空間LS1(又は左側空間LS)へ流出し、圧力差が解消されるまで右側上空間RS1(又は右側空間RS)及び左側上空間LS1(又は左側空間LS)間をループする。その結果、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、における圧力の均衡が保たれやすいようになっている。よって、鉛直仕切部51が変形又は破壊されることが抑制されている。
【0115】
つまり、第2貫通口H2及び第3貫通口H3は、暖房運転時において、右側上空間RS1(又は右側空間RS)内と、左側上空間LS1(又は左側空間LS)内と、の圧力差が大きくなることを抑制するための開口として機能している。
【0116】
(4)第2ヘッダ集合管50の詳細
図15は、第2ヘッダ集合管50の分解図である。図16は、図15のB部分の拡大図である。図17は、第2ヘッダ集合管50の断面図である。
【0117】
第2ヘッダ集合管50は、複数の部材が接合されて構成されている。具体的に、第2ヘッダ集合管50は、右側外郭部材60(特許請求の範囲記載の「表側部材」に相当)と、左側外郭部材65(特許請求の範囲記載の「裏側部材」に相当)と、中央鉛直部材70(特許請求の範囲記載の「中央部材」に相当)と、複数(ここでは25個)の第1バッフル80と、複数(ここでは11個)の第2バッフル85と、11本の連絡配管CP(CP1〜CP11)と、を有しており、これらがロウ付け接合されることで、一体に構成されている。
【0118】
(4−1)右側外郭部材60
右側外郭部材60は、第2ヘッダ集合管50の右側(伝熱管31側)の外郭を構成する。右側外郭部材60は、第2ヘッダ集合管50の上端から下端まで延びている。右側外郭部材60は、断面がアーチ状に湾曲している。右側外郭部材60は、上端部分の一部が切り欠かれている。
【0119】
右側外郭部材60は、主として、右側外郭部材後端部601と、右側外郭部材前端部602と、右側外郭部材中間部603と、を含んでいる。
【0120】
右側外郭部材後端部601は、右側外郭部材60の一端を構成しており、背面側に面している。右側外郭部材後端部601は、右側外郭部材60の上端から下端にかけて延びている。右側外郭部材後端部601の外面及び内面は平面状に構成されている。右側外郭部材後端部601の外面は、中央鉛直部材70の第1フランジ72の第1フランジ右側内面72a(後述)に面している。
【0121】
右側外郭部材前端部602は、右側外郭部材60の他端を構成しており、正面側に面している。右側外郭部材前端部602は、右側外郭部材60の上端から下端にかけて延びている。右側外郭部材前端部602の外面及び内面は平面状に構成されている。右側外郭部材前端部602の外面は、中央鉛直部材70の第2フランジ73の第2フランジ右側内面73a(後述)に面している。右側外郭部材前端部602の内面は、右側外郭部材後端部601の内面に対向している。
【0122】
右側外郭部材中間部603は、右側外郭部材後端部601と右側外郭部材前端部602とを繋ぐ部分である。右側外郭部材中間部603は、右側外郭部材60の上端から下端にかけて延びている。右側外郭部材中間部603は、断面が円弧状に構成されており、右方向に膨らむように湾曲している。右側外郭部材中間部603には、伝熱管31を挿入するための伝熱管挿入口50a(特許請求の範囲記載の「挿入口」に相当)が複数形成されている。伝熱管挿入口50aは、伝熱管31の本数と同数(ここでは72個)形成されている。
【0123】
なお、右側外郭部材60は押出成形で成形され、右側外郭部材後端部601、右側外郭部材前端部602及び右側外郭部材中間部603は一体に構成されている。
【0124】
(4−2)左側外郭部材65
左側外郭部材65は、第2ヘッダ集合管50の左側(連絡配管CP側)の外郭を構成している。左側外郭部材65は、第2ヘッダ集合管50の上端から下端まで延びている。左側外郭部材65は、上端部分の一部が切り欠かれている。左側外郭部材65は、断面がアーチ状に湾曲している。
【0125】
左側外郭部材65は、主として、左側外郭部材後端部651と、左側外郭部材前端部652と、左側外郭部材中間部653と、を含んでいる。
【0126】
左側外郭部材後端部651は、左側外郭部材65の一端を構成しており、背面側に面している。左側外郭部材後端部651は、左側外郭部材65の上端から下端にかけて延びている。左側外郭部材後端部651の外面及び内面は平面状に構成されている。左側外郭部材後端部651の外面は、中央鉛直部材70の第1フランジ72の第1フランジ左側内面72b(後述)に面している。
【0127】
左側外郭部材前端部652は、左側外郭部材65の他端を構成しており、正面側に面している。左側外郭部材前端部652は、左側外郭部材65の上端から下端にかけて延びている。左側外郭部材前端部652の外面及び内面は平面状に構成されている。左側外郭部材前端部652の外面は、中央鉛直部材70の第2フランジ73の第2フランジ左側内面73b(後述)に面している。左側外郭部材前端部652の内面は、左側外郭部材後端部651の内面に対向している。
【0128】
左側外郭部材中間部653は、左側外郭部材後端部651と左側外郭部材前端部652とを繋ぐ部分である。左側外郭部材中間部653は、左側外郭部材65の上端から下端にかけて延びている。左側外郭部材中間部653は、断面が円弧状に構成されており、左方向に膨らむように湾曲している。
【0129】
左側外郭部材中間部653には、連絡配管CPの一端又は他端を挿入するための連絡配管挿入口65aが複数形成されている。連絡配管挿入口65aは、連絡配管CPの本数の2倍(ここでは22個)形成されている。
【0130】
なお、連絡配管挿入口65aは、上下に千鳥状に並んでいる。より詳細には、上下に隣接する連絡配管挿入口65aは、鉛直方向に延びる軸に対して左右に外れている。
【0131】
また、左側外郭部材中間部653には、第1バッフル80の第1リブ802(後述)を差し込むための第1リブ差込口65bと、第2バッフルの第2リブ852(後述)を差し込むための第2リブ差込口65cと、が複数形成されている。
【0132】
第1リブ差込口65b及び第2リブ差込口65cは、左側外郭部材中間部653の上端から下端にかけて上下に並ぶように形成されている。第1リブ差込口65bは、第1バッフル80と同数(ここでは25個)形成されている。第2リブ差込口65cは、第2バッフル85と同数(ここでは11個)形成されている。
【0133】
なお、後述するが、第1リブ802及び第2リブ852の前後方向の寸法は互いに相違しており、これに対応して、第1リブ差込口65bと第2リブ差込口65cも前後方向の長さが互いに相違している。より詳細には、第1リブ差込口65bのほうが第2リブ差込口65cよりも前後方向の長さが大きく形成されている。
【0134】
(4−3)中央鉛直部材70
中央鉛直部材70は、鉛直方向に延びる板状の部材である。中央鉛直部材70は、第2ヘッダ集合管50の上端から下端にかけて延びている。中央鉛直部材70は、上端近傍部分の一部が切り欠かれている。
【0135】
中央鉛直部材70は、図17に示すように、断面形状が略I字状又はH字状に構成されている。中央鉛直部材70は、前後方向に延びる軸Z1(図17参照)に対して線対称の形状に構成されている。これにより、第2ヘッダ集合管50の製造工程において、中央鉛直部材70に右側外郭部材60及び左側外郭部材65を仮固定する際、誤組みが抑制されるようになっている。
【0136】
中央鉛直部材70は、主として、鉛直板71と、鉛直板71の後端に配置される第1フランジ72と、鉛直板71の前端に配置される第2フランジ73と、を含んでいる。なお、鉛直板71と、第1フランジ72と、第2フランジ73と、は一体に構成される。
【0137】
(4−3−1)鉛直板71
鉛直板71は、板状に構成されている。鉛直板71は、厚み方向が左右方向に延びるように立設されている。鉛直板71は、第2ヘッダ集合管50の上端から下端にかけて延びている。鉛直板71は、右側(すなわち伝熱管31側)に面する右側面71a(特許請求の範囲記載の「第1面」に相当)と、左側に面する左側面71b(特許請求の範囲記載の「第2面」に相当)と、を有している。
【0138】
鉛直板71は、設置状態においては、上述の鉛直仕切部51(図10から図14参照)として機能する。つまり、鉛直板71は、鉛直仕切部51とも言い換えることができる。鉛直板71には、上端から下端にかけて、複数の第1貫通口H1、複数の第2貫通口H2及び複数の第3貫通口H3が形成されている。なお、当該第1貫通口H1、第2貫通口H2及び第3貫通口H3は、上述の第1貫通口H1、第2貫通口H2及び第3貫通口H3(図10から図14参照)にそれぞれ対応する。
【0139】
また、鉛直板71には、上端から下端にかけて、第1バッフル80を貫通させるための第1バッフル差込口H7と、第2バッフル85を貫通させるための第2バッフル差込口H8と、が複数形成されている。第1バッフル差込口H7は、第1バッフル80と同数(ここでは25個)形成されている。第2バッフル差込口H8は、第2バッフル85と同数(ここでは11個)形成されている。
【0140】
また、鉛直板71は、右側面71aから右方向に突出する右側中央突出部711(特許請求の範囲記載の「凸部」に相当)と、左側面71bから左方向に突出する左側中央突出部712(特許請求の範囲記載の「第2凸部」に相当)と、を有している。右側中央突出部711は、右側面71aの中央部分に設けられている。左側中央突出部712は、左側面71bの中央部分に設けられている。
【0141】
右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、同一形状に構成されている。右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、いずれも略三角形状を呈しており、先端に近くなるほど細い。右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、鉛直板71の上端から下端にかけて連続的に延びている。但し、右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、第1貫通口H1、第2貫通口H2、第3貫通口H3、第1バッフル差込口H7及び第2バッフル差込口H8が形成されている部分においては、設けられておらず途切れている。
【0142】
なお、右側中央突出部711及び左側中央突出部712の機能については、後述の「(6)中央鉛直部材70における右側中央突出部711及び左側中央突出部712の機能」において説明する。
【0143】
また、鉛直板71は、右後突出部713と、右前突出部714と、左後突出部715と、左前突出部716と、を有している。
【0144】
右後突出部713は、右側面71aの後端部近傍(第1フランジ72近傍)から右方向に突出している。右後突出部713は、組立時に右側外郭部材後端部601を差し込まれる第1差込部J1を、第1フランジ72とともに形成する。
【0145】
右前突出部714は、右側面71aの前端部近傍(第2フランジ73近傍)から右方向に突出している。右前突出部714は、組立時に右側外郭部材前端部602を差し込まれる第2差込部J2を、第2フランジ73とともに形成する。
【0146】
左後突出部715は、左側面71bの後端部近傍(第1フランジ72近傍)から左方向に突出している。左後突出部715は、組立時に左側外郭部材後端部651を差し込まれる第3差込部J3を、第1フランジ72とともに形成する。
【0147】
左前突出部716は、左側面71bの前端部近傍(第2フランジ73近傍)から左方向に突出している。左前突出部716は、組立時に左側外郭部材前端部652を差し込まれる第4差込部J4を、第2フランジ73とともに形成する。
【0148】
右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、同一形状に構成されており、いずれも略三角形状を呈している。すなわち、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、いずれも先端に近くなるほど細い。また、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、その先端部分が湾曲しており曲面となっている。
【0149】
右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、鉛直板71の上端から下端にかけて連続的に延びている。但し、第1貫通口H1、第2貫通口H2、第1バッフル差込口H7及び第2バッフル差込口H8が形成されている部分においては、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、形成されておらず途切れている。
【0150】
(4−3−2)第1フランジ72、第2フランジ73
第1フランジ72は、鉛直板71の後端において左右方向に延びている。第2フランジ73は、鉛直板71の前端において左右方向に延びている。また、第1フランジ72及び第2フランジ73は、鉛直板71の上端から下端にかけて鉛直方向に連続的に延びている。第1フランジ72及び第2フランジ73は、断面が矩形に構成されている。
【0151】
第1フランジ72は、正面側に面する、第1フランジ右側内面72aと第1フランジ左側内面72bとを有している。また、第2フランジ73は、背面側に面する、第2フランジ右側内面73aと第2フランジ左側内面73bとを有している。第1フランジ右側内面72a及び第2フランジ右側内面73aは鉛直板71よりも右側に位置し、第1フランジ左側内面72b及び第2フランジ左側内面73bは鉛直板71よりも左側に位置している。第1フランジ右側内面72a、第1フランジ左側内面72b、第2フランジ右側内面73a及び第2フランジ左側内面73bは、いずれも平面である。
【0152】
第1フランジ右側内面72aは、鉛直板71よりも右側において、右後突出部713とともに第1差込部J1を形成している。また、第1フランジ左側内面72bは、鉛直板71よりも左側において、左後突出部715とともに第3差込部J3を形成している。すなわち、第1フランジ右側内面72a及び右後突出部713の間に右側外郭部材後端部601が差し込まれ、第1フランジ左側内面72b及び左後突出部715の間に左側外郭部材後端部651が差し込まれるようになっている。
【0153】
第2フランジ右側内面73aは、鉛直板71よりも右側において、右前突出部714とともに第2差込部J2を形成している。また、第2フランジ左側内面73bは、鉛直板71よりも左側において、左前突出部716とともに第4差込部J4を形成している。すなわち、第2フランジ右側内面73a及び右前突出部714の間に右側外郭部材前端部602が差し込まれ、第2フランジ左側内面73b及び左前突出部716の間に左側外郭部材前端部652が差し込まれるようになっている。
【0154】
第1フランジ72は、その内面(第1フランジ右側内面72a及び第1フランジ左側内面72b)において、右側外郭部材後端部601及び左側外郭部材後端部651の外面に面しており、右側外郭部材後端部601及び左側外郭部材後端部651の外面と接合されている。すなわち、第1フランジ72は、右側外郭部材後端部601及び左側外郭部材後端部651の外面を外側から覆っている。換言すると、第1フランジ72は、第2ヘッダ集合管50の接合部分を外側から覆っている、ともいえる。
【0155】
また、第2フランジ73は、その内面(第2フランジ右側内面73a及び第2フランジ左側内面73b)において、右側外郭部材前端部602及び左側外郭部材前端部652の外面に面しており、右側外郭部材前端部602及び左側外郭部材前端部652の外面と接合されている。すなわち、第2フランジ73は、右側外郭部材後端部601及び左側外郭部材後端部651の外面を外側から覆っている。換言すると、第2フランジ73は、第2ヘッダ集合管50の接合部分を外側から覆っている、ともいえる。
【0156】
このように、第1フランジ72及び第2フランジ73が、第2ヘッダ集合管50の接合部分を外側から覆っていることで、第2ヘッダ集合管50内の冷媒圧力に対する耐圧強度が向上している。
【0157】
すなわち、第2ヘッダ集合管50の接合部分が外側から覆われていない場合、第2ヘッダ集合管50内の冷媒圧力が大きくなった時に、接合部分が、内側からの圧力に耐えられずに破壊されるケースが想定される。
【0158】
本実施形態では、係る事態が生じることを抑制すべく、右側外郭部材後端部601及び左側外郭部材後端部651の外面を外側から覆う第1フランジ72、及び右側外郭部材前端部602及び左側外郭部材前端部652の外面を外側から覆う第2フランジ73が設けられている。これにより、第2ヘッダ集合管50の接合部分における耐圧強度が向上している。その結果、運転時等において、第2ヘッダ集合管50内の冷媒圧力が通常想定される値を超えて大きくなった時でも、第2ヘッダ集合管50が破壊されにくいようになっている。
【0159】
また、第1フランジ72及び第2フランジ73と、右側外郭部材60及び左側外郭部材65と、が互いの平面同士で接合されることにより、ロウ付けの際のロウ付け面が安定的に確保されるようになっている。その結果、中央鉛直部材70と、右側外郭部材60及び左側外郭部材65と、をロウ付け接合する場合のロウ付け性が向上しており、両者が安定的に接合されるようになっている。
【0160】
(4−4)第1バッフル80、第2バッフル85
図18は、第1バッフル80の平面図である。図19は、第2バッフル85の平面図である。
【0161】
第1バッフル80及び第2バッフル85は、第2ヘッダ集合管50内において水平方向に延びる部材である。第1バッフル80は、主として、第1水平部801と、第1リブ802と、を有している。第2バッフル85は、主として、第2水平部851と、第2リブ852と、を有している。
【0162】
第1水平部801及び第2水平部851は、楕円形状に構成されている。第1水平部801及び第2水平部851は、第2ヘッダ集合管50の内部を水平方向に仕切るのに十分な面積を有している。第1水平部801及び第2水平部851は、第2ヘッダ集合管50の内部において、右側外郭部材60の内周から鉛直板71を貫通して、左側外郭部材65の内周まで延びている。第1水平部801及び第2水平部851は、第2ヘッダ集合管50の内部において、右側空間RS及び左側空間LSを上下に仕切る。
【0163】
具体的に、第1水平部801は、第1空間SP1から第24空間SP24における各空間(第13空間SP13を除く)において、天井部を構成する。また、第1水平部801は、第1空間SP1から第24空間SP24における各空間(第12空間SP12を除く)において、底部を構成する。すなわち、第1水平部801は、第2ヘッダ集合管50の天面及び底面を構成し、また、第2ヘッダ集合管50内の複数の空間の天井及び底部を構成する。換言すると、第1水平部801は、第1空間SP1から第24空間SP24(第12空間SP12を除く)における、第1水平仕切部52(図10から図14参照)として機能する。
【0164】
第2水平部851は、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間において、右側空間RSを右側上空間RS1と右側下空間RS2とに仕切り、左側空間LSを左側上空間LS1と左側下空間LS2とに仕切る。すなわち、第2水平部851は、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間における第2水平仕切部53(図10から図14参照)として機能する。
【0165】
また、第2水平部851は、第12空間SP12と第13空間SP13とを仕切る。すなわち、第2水平部851は、第12空間SP12における第1水平仕切部52(図12参照)として機能する。
【0166】
第2水平部851には、2つの開口85aが形成されている。各開口85aは、前後に位置する。
【0167】
各開口85aは、運転時に、上下に隣接する空間の一方に存在する冷媒を、他方の空間へ送るノズルとして機能する。具体的に、各開口85aは、第1空間SP1から第11空間SP11の各空間における第4貫通口H4(図10図11図13及び図14参照)として機能し、第12空間SP12における第5貫通口H5(図12参照)として機能する。
【0168】
なお、各開口85aの前後の直線距離d3は、第3貫通口H3の前後方向の長さよりも大きい。これにより、運転時に、開口85a(すなわち第4貫通口H4又は第5貫通口H5)から流出した冷媒が第3貫通口H3へ流入しにくいようになっている。
【0169】
第1リブ802は、第1水平部801の左側端部から左方向に延びている。第1リブ802は、第2ヘッダ集合管50の組立時に、左側外郭部材65の内面側から第1リブ差込口65bに差し込まれる部分である。第1リブ802は、前後方向の寸法d1が第1リブ差込口65bの前後方向の寸法と略同一である。また、第1リブ802は、上下方向の寸法が第1リブ差込口65bの上下方向の寸法と略同一である。このような第1リブ802が設けられていることにより、ロウ付け前における第2ヘッダ集合管50の組立時に、第1バッフル80を設置しやすいようになっている。
【0170】
第2リブ852は、第2水平部851の左側端部から左方向に延びている。第2リブ852は、第2ヘッダ集合管50の組立時に、左側外郭部材65の内面側から第2リブ差込口65cに差し込まれる部分である。第2リブ852は、前後方向の寸法d2が第2リブ差込口65cの前後方向の寸法と略同一である。また、第2リブ852は、上下方向の寸法が第2リブ差込口65cの上下方向の寸法と略同一である。このような第2リブ852が設けられていることにより、ロウ付け前における第2ヘッダ集合管50の組立時に、第2バッフル85を設置しやすいようになっている。
【0171】
なお、第2リブ852の前後方向の寸法d2は、第1リブ802の前後方向の寸法d1よりも小さい。これに伴い、第1リブ差込口65bと第2リブ差込口65cは、前後方向の長さが相違している。これにより、第2ヘッダ集合管50の組立時に、第1バッフル80と第2バッフル85との誤組みが生じにくいようになっている。
【0172】
(4−5)連絡配管CP
連絡配管CP(CP1〜CP11)は、第2ヘッダ集合管50内の各空間(SP1〜SP24)のいずれかと他の空間とを連通するための配管である。連絡配管CPは、水平方向に沿って延びた後、湾曲して鉛直方向に延び、さらに湾曲して水平方向に沿って延びる。なお、図15に示す第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11は、図8及び図10から図14に示す第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11に、それぞれ対応する。
【0173】
第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11の各配管は、管長(鉛直方向の長さ)が互いに相違している。具体的には、第1連絡配管CP1が最も長く、第2連絡配管CP2、第3連絡配管CP3、第4連絡配管CP4、第5連絡配管CP5、第6連絡配管CP6、第7連絡配管CP7、第8連絡配管CP8、第9連絡配管CP9、第10連絡配管CP10、第11連絡配管CP11の順に、管長が長く構成されている。
【0174】
各連絡配管CPの一端及び他端は、左側外郭部材65に形成されたいずれかの連絡配管挿入口65aにそれぞれ挿入される。
【0175】
具体的には、第1連絡配管CP1の一端は最上の、第2連絡配管CP2の一端は上から2番目の、第3連絡配管CP3の一端は上から3番目の、第4連絡配管CP4の一端は上から4番目の、第5連絡配管CP5の一端は上から5番目の、第6連絡配管CP6の一端は上から6番目の、第7連絡配管CP7の一端は上から7番目の、第8連絡配管CP8の一端は上から8番目の、第9連絡配管CP9の一端は上から9番目の、第10連絡配管CP10の一端は上から10番目の、第11連絡配管CP11の一端は上から11番目の、連絡配管挿入口65aにそれぞれ挿入されている。
【0176】
また、第1連絡配管CP1の他端は最下の、第2連絡配管CP2の他端は下から2番目の、第3連絡配管CP3の他端は下から3番目の、第4連絡配管CP4の他端は下から4番目の、第5連絡配管CP5の他端は下から5番目の、第6連絡配管CP6の他端は下から6番目の、第7連絡配管CP7の他端は下から7番目の、第8連絡配管CP8の他端は下から8番目の、第9連絡配管CP9の他端は下から9番目の、第10連絡配管CP10の他端は下から10番目の、第11連絡配管CP11の他端は下から11番目の、連絡配管挿入口65aにそれぞれ挿入されている。
【0177】
なお、上述のように、連絡配管挿入口65aが千鳥状に上下に並んでいることに伴い、第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11のうち上下に隣接する配管同士は、鉛直方向に延びる軸に対して左右に外れている。これにより、複数の連絡配管CPをコンパクトにまとめて設置することが可能となっており、第2ヘッダ集合管50のコンパクト化が促進されている。
【0178】
(5)第2ヘッダ集合管50の製造方法
図20は、右側外郭部材60を中央鉛直部材70に仮固定した状態において、第1バッフル80及び第2バッフル85を中央鉛直部材70に差し込んだ状態の断面を示した部分拡大図である。図21は、図20の状態において左側外郭部材65を中央鉛直部材70に仮固定した状態を模式的に示した部分拡大図である。図22は、図21の状態を異なる方向から視た場合の部分拡大図である(第1バッフル80及び第2バッフル85をハイライト表示)。
【0179】
第2ヘッダ集合管50を製造する工程は、以下のような流れで行われる。なお、以下の流れは、一例であって、適宜変更が可能である。
【0180】
まず、押出成形により成形された後に機械加工等により所定の開口が形成されたり所定の処理が施された右側外郭部材60、左側外郭部材65、中央鉛直部材70、所定数の第1バッフル80及び第2バッフル85、及び所定数の連絡配管CPを用意する。
【0181】
次に、中央鉛直部材70の第1差込部J1に右側外郭部材後端部601を圧入し、第2差込部J2に右側外郭部材前端部602を圧入して、右側外郭部材60を中央鉛直部材70に仮固定する。
【0182】
次に、複数の第1バッフル80及び複数の第2バッフル85を第1バッフル差込口H7又は第2バッフル差込口H8を介して、中央鉛直部材70に差し込む。
【0183】
ここで、第1バッフル80及び第2バッフル85は、中央鉛直部材70に差し込まれた時に、第1水平部801及び第2水平部851の上面及び下面が右側中央突出部711及び左側中央突出部712に当接することで、その姿勢を安定的に保ちやすい。
【0184】
すなわち、右側中央突出部711及び左側中央突出部712が設けられていない場合には、第1バッフル80及び第2バッフル85を中央鉛直部材70に差し込んだ時に、第1バッフル80及び第2バッフル85はぐらつきやすく、姿勢を安定的に保ちにくい。よって、組立てが難しい。
【0185】
しかし、本実施形態では、中央鉛直部材70に右側中央突出部711及び左側中央突出部712が設けられており、第1バッフル80及び第2バッフル85が中央鉛直部材70に差し込まれた状態(すなわち、図20に示す状態)において、第1水平部801及び第2水平部851の上面及び下面が右側中央突出部711及び左側中央突出部712の上下の縁に当接することで、第1バッフル80及び第2バッフル85はぐらつきにくくなっており、安定的に姿勢を保ちやすいようになっている。
【0186】
次に、中央鉛直部材70の第3差込部J3に左側外郭部材後端部651を圧入し、第4差込部J4に左側外郭部材前端部652を圧入して、左側外郭部材65を中央鉛直部材70に仮固定する。この際、各第1バッフル80の第1リブ802及び各第2バッフル85の第2リブ852を、対応する第1リブ差込口65b及び第2リブ差込口65cにそれぞれ差し込みながら、左側外郭部材65を中央鉛直部材70に仮固定する。
【0187】
なお、上述のように、中央鉛直部材70は、その断面が、前後方向に延びる軸Z1(図17参照)に対して線対称の形状に構成されている。換言すると、第1フランジ72から第2フランジ73にかけて延びる、又は伝熱管31の幅方向に沿って延びる軸Z1に対して、中央鉛直部材70は、線対称の形状に構成されている。これにより、中央鉛直部材70に、右側外郭部材60及び左側外郭部材65を仮固定するここまでの工程において、誤組みが抑制されている。
【0188】
そして、当該仮固定が完了した状態(すなわち図21及び図22に示す状態)において、ロウ付けを行う。なお、ロウ材は、組立てを行う前に、第1バッフル80と、第2バッフル85と、右側外郭部材後端部601及び右側外郭部材前端部602の外面及び内面と、左側外郭部材後端部651及び左側外郭部材前端部652の外面と、に配置する。
【0189】
また、上述のように、中央鉛直部材70において、第1差込部J1、第2差込部J2、第3差込部J3及び第4差込部J4をそれぞれ形成する右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、その先端部分が湾曲しており曲面となっている。これにより、右側外郭部材後端部601を第1差込部J1に、右側外郭部材前端部602を第2差込部J2に、左側外郭部材後端部651を第3差込部J3に、また左側外郭部材前端部652を第4差込部J4に、それぞれ差し込む際、位置決めを行いやすく、差し込みやすくなっている。
【0190】
また、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、いずれも先端に近くなるほど細い。これにより、右側外郭部材後端部601を第1差込部J1に、右側外郭部材前端部602を第2差込部J2に、左側外郭部材後端部651を第3差込部J3に、また左側外郭部材前端部652を第4差込部J4に、それぞれ圧入しやすいようになっている。
【0191】
ここで、中央鉛直部材70と、右側外郭部材60及び左側外郭部材65と、は平面部分である、右側外郭部材後端部601と、右側外郭部材前端部602と、左側外郭部材後端部651と、左側外郭部材前端部652と、第1フランジ72と、第2フランジ73と、においてロウ付けされる。このように互いの平面部分がロウ付けされることで、ロウ付け面積が大きく確保されており、ロウ付け性が向上している。
【0192】
次に、ロウ付けが完了して、仮組状態にあった各部が接合された状態において、第1連絡配管CP1から第11連絡配管CP11の両端を、第11連絡配管CP11から降順に、対応する連絡配管挿入口65aに挿入していく。そして、全ての連絡配管CPの挿入が完了した状態において、ロウ付けを行う。なお、ロウ材は、組立てを行う前に、連絡配管挿入口65aの縁に配置しておく。
【0193】
以上のような流れで製造された第2ヘッダ集合管50は、第1ヘッダ集合管45とともに治具等に固定され、伝熱管挿入口50aを介して複数の伝熱管31の左側端部を挿入された状態でロウ付けされる。係るロウ付けを行う場合には、各伝熱管31の一端と、右側中央突出部711の先端と、は当接していない。すなわち、伝熱管31の一端と右側中央突出部711の先端との間において、ロウ付けの完了後に隙間CL1(図17参照)が形成されるように、適当な大きさの隙間が確保された状態で、ロウ付けが行われる。なお、係るロウ付けを行う前に伝熱管挿入口50aの縁にロウ材を配置しておく。
【0194】
(6)中央鉛直部材70における右側中央突出部711及び左側中央突出部712の機能
(6−1)右側中央突出部711による性能低下抑制機能
右側中央突出部711は、室外熱交換器13の製造工程において、伝熱管31の左側端部が鉛直板71に接合して、室外熱交換器13の性能が低下することを抑制する。
【0195】
すなわち、室外熱交換器13の製造工程においては、伝熱管31の左側端部が第2ヘッダ集合管50内(右側空間RS)に挿入された状態でロウ付けされる。係るロウ付け時には、伝熱管31が熱膨張で左方向へ延びることがある。このため、右側中央突出部711が設けられていないときには、ロウ付けの際における伝熱管31の熱膨張により、伝熱管31の左側端部と、鉛直板71の右側面71aと、が当接する場合がある。係る場合において当該当接部分にロウ材が流れこんだ時には、伝熱管31の左側端部と、右側面71aと、が強く接合され、伝熱管31の熱膨張が収まっても両者が離れなくなる事態が生じる。係る事態が生じると、第2ヘッダ集合管50内のいずれかの右側空間RSにおいて、冷媒流路が閉塞し或いは極端に狭くなり、その結果、室外熱交換器13の性能が低下する。本実施形態では、かかる事態が生じることを抑制するために、鉛直板71に右側中央突出部711が設けられている。
【0196】
右側面71aから右方向(伝熱管31方向)に向かって突出する右側中央突出部711が鉛直板71に設けられていることで、ロウ付けの際における伝熱管31の熱膨張により伝熱管31が左方向へ延びた場合であっても、右側中央突出部711が伝熱管31と右側面71aの間に介在し、右側中央突出部711の先端が伝熱管31の左側端部に当接する。右側中央突出部711の先端は面積が小さいため、右側中央突出部711の先端が伝熱管31の左側端部に当接した場合でも、右側中央突出部711の先端と伝熱管31の左側端部との当接面積は大きくなりにくい。その結果、右側中央突出部711の先端と伝熱管31の左側端部との当接部分にロウ材が流れこんだ時であっても、右側中央突出部711の先端と伝熱管31の左側端部とが強く接合されることは抑制され、伝熱管31の熱膨張が収まり収縮が始まると接合が解除されやすい。
【0197】
また、右側中央突出部711は右側面71aの中央部分に設けられているため、ロウ材が右側面71aに流れ込んだ場合でも、ロウ材は右側中央突出部711へ到達しにくい。このため、ロウ付けの際に、右側中央突出部711の先端と、伝熱管31の左側端部と、が当接した場合であっても、当該当接部分にはロウ材が流れこみにくい。その結果、右側中央突出部711と、伝熱管31の左側端部と、さらに接合されにくくなっている。
【0198】
また、右側中央突出部711と、伝熱管31の左側端部との間には、所定の長さの隙間CL1が形成された状態でロウ付けされる。隙間CL1の寸法は、右側中央突出部711の左右の寸法及び伝熱管31の素材の熱膨張率等に鑑みて、右側中央突出部711と、伝熱管31の左側端部と、が当接しにくい値に設定される。このため、ロウ付けの際に、右側中央突出部711と、伝熱管31の左側端部と、が当接しにくくなっている。
【0199】
(6−2)右側中央突出部711及び左側中央突出部712による組立性向上機能
右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、第2ヘッダ集合管50の組立性を向上させる。
【0200】
すなわち、第2ヘッダ集合管50の組立ての際、右側外郭部材60を中央鉛直部材70に仮固定した状態において、第1バッフル80及び第2バッフル85を中央鉛直部材70に差し込んだ時に、第1水平部801及び第2水平部851の上面及び下面が右側中央突出部711及び左側中央突出部712に当接するため、第1バッフル80及び第2バッフル85は安定的に姿勢を保ちやすいようになっている。
【0201】
すなわち、右側中央突出部711及び左側中央突出部712が設けられていない場合には、第1バッフル80及び第2バッフル85を中央鉛直部材70に差し込んだ時に、第1水平部801及び第2水平部851の上面及び下面が第1バッフル差込口H7又は第2バッフル差込口H8の縁部分にのみ支持されることとなるため、第1バッフル80及び第2バッフル85はぐらつきやすく、姿勢を安定的に保ちにくい。よって、組立てが難しい。
【0202】
しかし、本実施形態においては、中央鉛直部材70に右側中央突出部711及び左側中央突出部712が設けられることで、第1バッフル80及び第2バッフル85が中央鉛直部材70に差し込まれた時に、第1水平部801及び第2水平部851の上面及び下面は右側中央突出部711及び左側中央突出部712の上下の縁に当接することとなり、支持される面積が増大する。その結果、第1バッフル80及び第2バッフル85は、ぐらつきにくく、安定的に姿勢を保ちやすいようになっている。これにより、組立てが容易となる。すなわち、本実施形態では、右側中央突出部711及び左側中央突出部712が設けられることで、組立性が向上している。
【0203】
(7)第2ヘッダ集合管50の機能
(7−1)組立性向上機能
上述のように構成される第2ヘッダ集合管50は、その内部において、上端から下端にかけて延びて鉛直仕切部51として機能する鉛直板71を含んでいる。ここで、鉛直仕切部51は、第2ヘッダ集合管50内において、複数の空間を形成する空間形成部材、又は複数の冷媒流路を形成する流路形成部材である。すなわち、第2ヘッダ集合管50は、その内部において、長手方向(鉛直方向)に沿って延びる空間形成部材若しくは流路形成部材を有している。
【0204】
また、第2ヘッダ集合管50は、その内部において、水平方向に沿って延びて第1水平仕切部52又は第2水平仕切部53として機能する複数の第1バッフル80及び複数の第2バッフル85を含んでいる。ここで、第1水平仕切部52又は第2水平仕切部53は、第2ヘッダ集合管50内において、複数の空間を形成する空間形成部材、又は複数の冷媒流路を形成する流路形成部材である。すなわち、第2ヘッダ集合管50は、その内部において、長手方向(鉛直方向)に交差する方向(水平方向)に沿って延びる空間形成部材若しくは流路形成部材を有している。
【0205】
一般的に、第2ヘッダ集合管50のように長手方向に延びる筒状の熱交換器のヘッダにおいて、長手方向に沿って延びる空間形成部材(若しくは流路形成部材)、及び長手方向に交差する方向に沿って延びる空間形成部材(若しくは流路形成部材)を内部に配置しつつ組み立てることは容易ではない。
【0206】
ここで、第2ヘッダ集合管50は、上述のように、複数の部材が組み合わされて構成されている。特に、第2ヘッダ集合管50では、空間形成部材(若しくは流路形成部材)である中央鉛直部材70を中心として、右側外郭部材60、左側外郭部材65、第1バッフル80及び第2バッフル85が組み合わされている。その結果、第2ヘッダ集合管50では、長手方向に延びる筒状の熱交換器のヘッダにおいて、長手方向に沿って延びる空間形成部材(若しくは流路形成部材)、及び長手方向に交差する方向に沿って延びる空間形成部材(若しくは流路形成部材)を内部に配置しつつ、組み立てることが容易となっている。すなわち、組立性が向上している。
【0207】
また、中央鉛直部材70と、右側外郭部材60及び左側外郭部材65と、は平面部分である右側外郭部材後端部601、右側外郭部材前端部602、左側外郭部材後端部651及び左側外郭部材前端部652、第1フランジ72及び第2フランジ73において、ロウ付けされる。これにより、ロウ付け面積が大きく確保されており、ロウ付け性に優れている。すなわち、組立性がさらに向上している。
【0208】
また、鉛直板71の上端から下端にかけて連続的に延びる、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、第1バッフル差込口H7及び第2バッフル差込口H8が形成される部分においては途切れている。これにより、第1バッフル80及び第2バッフル85を、第1バッフル差込口H7及び第2バッフル差込口H8に挿入しやすくなっており、組立性がさらに向上している。
【0209】
(7−2)信頼性向上機能
上述のように構成される第2ヘッダ集合管50は、複数の部材が組み合わされて接合されることで構成されている。一般的に、複数の部材が接合されて構成される熱交換器のヘッダにおいては、接合部分の耐圧強度の低下が懸念される。具体的には、ヘッダ内の冷媒圧力が大きくなった時に、接合部分が内側からの圧力に耐えきれずに破壊されるケースが想定される。
【0210】
ここで、第2ヘッダ集合管50では、接合部分が中央鉛直部材70の第1フランジ72及び第2フランジ73によって外側から覆われている。その結果、接合部分の耐圧強度が向上している。
【0211】
また、第2ヘッダ集合管50では、右側外郭部材60及び左側外郭部材65の断面形状が、アーチ状に湾曲している。その結果、第2ヘッダ集合管50の耐圧強度が向上している。
【0212】
これにより、運転時等において、第2ヘッダ集合管50内の冷媒圧力が通常想定される値を超えて大きくなった時でも、第2ヘッダ集合管50が破壊されにくいようになっている。すなわち、信頼性が向上している。
【0213】
(7−3)耐食性向上機能
図23は、第2ヘッダ集合管50の天面部分の拡大斜視図である。
【0214】
第2ヘッダ集合管50では、天面を構成する第1バッフル80の上面側において、右側外郭部材60、左側外郭部材65及び中央鉛直部材70がさらに上方に延びている。その結果、この第1バッフル80の上面側では、右側外郭部材60及び左側外郭部材65の内面と、中央鉛直部材70の右側面71a及び左側面71bと、で囲われた天井空間STが形成されている。
【0215】
一方で、右側外郭部材60及び左側外郭部材65は、上端部分の一部が切り欠かれている。これにより、天井空間STは、完全には包囲されておらず、周囲の一部が外部に開放している。当該開放部分は、排水口G1として機能する。具体的に、天井空間STにドレン水等の液体が存在しても、当該液体は排水口G1からが流出する。このため、天井空間STに液体が滞留することが抑制されている。
【0216】
また、天井空間STにおいては、中央鉛直部材70はその中央部分が切り欠かれている。これにより、天井空間STにおいて、右側から左方向に流れる液体及び左側から右方向に流れる液体が、中央鉛直部材70によって流れを遮断されにくく滞留しにくいようになっている。すなわち、天井空間STに存在する液体は、中央鉛直部材70を通過して排水口G1へと導かれやすいようになっている。このため、天井空間STに液体が滞留することがさらに抑制されている。
【0217】
その結果、第2ヘッダ集合管50においては、天井空間STにおいて、液体の滞留を起因として生じる腐食が生じにくくなっている。すなわち、第2ヘッダ集合管50では耐食性が向上している。
【0218】
(8)特徴
(8−1)
上記実施形態では、中央鉛直部材70の右側面71aには、伝熱管31の端部に向かって突出する右側中央突出部711が設けられており、端部を第2ヘッダ集合管50に挿入された状態でロウ付けされる伝熱管31と、右側中央突出部711と、の間には隙間CL1が確保されている。これにより、第2ヘッダ集合管50とロウ付けされる際に伝熱管31の熱膨張が生じた場合でも、伝熱管31の端部と右側面71aとの間に右側中央突出部711が介在するため、伝熱管31の端部と右側面71aとが接合することが抑制されている。その結果、第2ヘッダ集合管50内の冷媒流路が、熱交換器の性能低下を引き起こす程度に極端に狭まる又は閉塞することが抑制されている。
【0219】
(8−2)
上記実施形態では、右側中央突出部711は、ロウ材が流入しにくい右側面71aの中央部分に構成されている。これにより、ロウ付けの際に、他の部分に配置されたロウ材が右側面71aに流入した場合であっても、ロウ材は右側中央突出部711先端へ到達しにくいようになっている。その結果、ロウ付けの際に、伝熱管31の熱膨張により伝熱管31の端部と右側中央突出部711の先端とが接触しても、伝熱管31の端部と右側中央突出部711とが接合することが抑制されている。
【0220】
(8−3)
上記実施形態では、中央鉛直部材70が押出成形によって成形されることにより、製造コストが抑制されている。また、右側中央突出部711が長手方向に沿って連続的に構成されることにより、伝熱管31の端部と右側面71aとが接合することがさらに抑制されている。
【0221】
(8−4)
上記実施形態では、中央鉛直部材70は、右側面71aの裏面である左側面71bと、左側面71bから右側中央突出部711とは反対方向に突出する左側中央突出部712と、を含んでおり、その断面形状が、伝熱管31の幅方向(前後方向)に沿って延びる軸Z1に対して線対称である。これにより、第2ヘッダ集合管50の組立て時に、誤組みが抑制されており、組立性が向上している。
【0222】
(8−5)
上記実施形態では、長手方向(鉛直方向)に延びる流路形成部材である中央鉛直部材70に、複数の伝熱管挿入口50aを形成された右側外郭部材60と、左側外郭部材65と、が接合されている。すなわち、流路形成部材である中央鉛直部材70を中心として、第2ヘッダ集合管50が組み立てられている。これにより、長手方向に延び、且つ長手方向に交差する方向(水平方向)に延びる伝熱管31に接続される第2ヘッダ集合管50において、流路形成部材である中央鉛直部材70を設置することが容易となっており、組立性が向上している。
【0223】
(9)変形例
(9−1)変形例A
上記実施形態では、本発明は、室外熱交換器13に適用されたが、これに限定されず、他の熱交換器に適用されてもよい。例えば、本発明は、室内熱交換器21に適用されてもよい。また、本発明は、ヘッダの長手方向が水平方向に延びる熱交換器に適用されてもよい。
【0224】
(9−2)変形例B
上記実施形態では、第2ヘッダ集合管50は、中央鉛直部材70に、右側外郭部材60及び左側外郭部材65が接合されて、一体に構成されていた。しかし、第2ヘッダ集合管50は、必ずしも、中央鉛直部材70を中心に組み立てられている必要はない。例えば、第2ヘッダ集合管50は、筒状に成形された部材の内部に、平板状の中央部材を差し込んで組み立ててもよい。
【0225】
(9−3)変形例C
上記実施形態では、室外ユニット10は、運転時において吸い込んだ空気を前方向(水平方向)に吹き出すように構成されていた。しかし、室外ユニット10は、これに限定されず、例えば、吸い込んだ空気を上方向に吹き出すように構成されてもよい。
【0226】
(9−4)変形例D
上記実施形態では、右側外郭部材60及び左側外郭部材65は、断面形状がアーチ状に湾曲するように構成されていた。しかし、右側外郭部材60及び左側外郭部材65は、必ずしも断面形状がアーチ状に湾曲していなくてもよい。
【0227】
(9−5)変形例E
上記実施形態では、中央鉛直部材70は、断面形状が軸Z1に対して線対称となるように構成されていた。しかし、中央鉛直部材70は、必ずしも、断面形状が軸Z1に対して線対称である必要はない。
【0228】
(9−6)変形例F
上記実施形態では、第1フランジ右側内面72a、第1フランジ左側内面72b、第2フランジ右側内面73a、第2フランジ左側内面73b、右側外郭部材後端部601の外面、左側外郭部材後端部651の外面、右側外郭部材前端部602の外面、及び左側外郭部材前端部652の外面は、平面状に構成された。しかし、これに限定されず、これらは、必ずしも平面状に構成される必要はなく、湾曲又は屈曲していてもよい。
【0229】
(9−7)変形例G
上記実施形態では、右側中央突出部711及び左側中央突出部712は、中央鉛直部材70の鉛直板71の中央に構成されていた。しかし、これらは、中央鉛直部材70の鉛直板71の中央から外れた位置に構成されてもよい。
【0230】
(9−8)変形例H
上記実施形態では、右側中央突出部711、左側中央突出部712、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716は、断面形状が略三角形状に構成されていた。しかし、これらは、必ずしも断面形状が略三角形状である必要はなく、例えば、断面形状が矩形状や半円状に構成されてもよい。
【0231】
(9−9)変形例I
上記実施形態では、中央鉛直部材70に、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716、が構成されていた。しかし、これらのいずれか又はいずれもは、省略されてもよい。
【0232】
(9−10)変形例J
上記実施形態では、第1バッフル80は第1リブ802を有しており、第2バッフル85は第2リブ852を有していた。しかし、第1リブ802又は第2リブ852については適宜省略が可能である。係る場合、左側外郭部材65における第1リブ差込口65b又は第2リブ差込口65cを省略して、第1水平部801又は第2水平部851の外周縁を左側外郭部材65の内周面に当接させるように、第1バッフル80及び第2バッフル85を設置すればよい。
【0233】
(9−11)変形例K
上記実施形態では、第1バッフル80の第1リブ802は、前後方向の寸法d1が、第2バッフル85の第2リブ852の前後方向の寸法d2よりも大きく構成されていた。しかし、これに限定されず、第1リブ802は、前後方向の寸法d1が、第2バッフル85の第2リブ852の前後方向の寸法d2よりも小さく構成されてもよい。また、第1リブ802は、前後方向の寸法d1が、第2バッフル85の第2リブ852の前後方向の寸法d2と同一に構成されてもよい。
【0234】
(9−12)変形例L
上記実施形態では、製造工程において、ロウ材は、第1バッフル80と、第2バッフル85と、右側外郭部材後端部601及び右側外郭部材前端部602の外面及び内面と、左側外郭部材後端部651及び左側外郭部材前端部652の外面と、に配置されていた。しかし、ロウ材の配置箇所については、これに限定されず、適宜変更が可能である。例えば左側外郭部材前端部652の内面についてはロウ材が配置されていなかったが、当該部分においてもロウ材を配置してもよい。また、中央鉛直部材70には、ロウ材を配置していなかったが、中央鉛直部材70の第1フランジ72及び第2フランジ73の内面や、右後突出部713、右前突出部714、左後突出部715及び左前突出部716のいずれかにロウ材を配置してもよい。
【0235】
(9−13)変形例M
上記実施形態では、第2ヘッダ集合管50の製造工程において、ロウ付けが複数回行われていた。しかし、これに限定されず、全ての構成要素を組み上げた状態でロウ付けを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明は、熱交換器に利用可能である。
【符号の説明】
【0237】
13:室外熱交換器
30:熱交換部
30a:湾曲部
31:伝熱管(扁平管)
31a:流路
32:伝熱フィン
40:分流器
40a:仕切板
45:第1ヘッダ集合管
50:第2ヘッダ集合管(ヘッダ)
50a:伝熱管挿入口(挿入口)
51:鉛直仕切部
52:第1水平仕切部
53:第2水平仕切部
60:右側外郭部材(表側部材)
65:左側外郭部材(裏側部材)
65a:連絡配管挿入口
65b:第1リブ差込口
65c:第2リブ差込口
70:中央鉛直部材(中央部材)
71:鉛直板
71a:右側面(第1面)
71b:左側面(第2面)
72:第1フランジ
72a:第1フランジ右側内面
72b:第1フランジ左側内面
73:第2フランジ
73a:第2フランジ右側内面
73b:第2フランジ左側内面
80:第1バッフル
85:第2バッフル
85a:開口
311:第1部
312:第2部
313:折返部
401〜412:第1分流室〜第12分流室
451〜463:第1セクション〜第13セクション
601:右側外郭部材後端部
602:右側外郭部材前端部
603:右側外郭部材中間部
651:左側外郭部材後端部
652:左側外郭部材前端部
653:左側外郭部材中間部
711:右側中央突出部(凸部)
712:左側中央突出部(第2凸部)
713:右後突出部
714:右前突出部
715:左後突出部
716:左前突出部
801:第1水平部
802:第1リブ
851:第2水平部
852:第2リブ
CL1:隙間
CP:連絡配管
CP1〜CP11:第1連絡配管〜第11連絡配管
CT:連通管
G1:排水口
H1〜H6:第1貫通口〜第6貫通口
H7:第1バッフル差込口
H8:第2バッフル差込口
J1〜J4:第1差込部〜第4差込部
LS:左側空間
LS1:左側上空間
LS2:左側下空間
RS:右側空間
RS1:右側上空間
RS2:右側下空間
SP1〜SP24:第1空間〜第24空間
ST:天井空間
X:上側熱交換部
X1〜X12:第1上側熱交換部〜第12上側熱交換部
Y:下側熱交換部
Y1〜Y12:第1下側熱交換部〜第12下側熱交換部
Z1:軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0238】
【特許文献1】特開2014―55736号公報
図1
図2
図3
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