特許第6070685号(P6070685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070685
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】熱交換器および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20170123BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20170123BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F28F9/02 301D
   F28D1/053 A
   F25B39/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-266562(P2014-266562)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-125748(P2016-125748A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 智嗣
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−337293(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/094422(WO,A1)
【文献】 特開平11−201685(JP,A)
【文献】 特開2009−041876(JP,A)
【文献】 特開2010−243076(JP,A)
【文献】 特開2014−137177(JP,A)
【文献】 特開2009−270781(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F25B 39/00
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に並んで配置された複数の扁平管(21b)と、
複数の前記扁平管の一端が接続されており、上下方向に沿って延びたヘッダ集合管(24)と、
前記扁平管に接合された複数のフィン(21a)と、
を備える熱交換器(20)であって、
前記ヘッダ集合管(24)は、
内部空間を、前記扁平管が接続された側の空間である第1空間(61b)と、前記第1空間に対して前記扁平管が接続された側とは反対側の空間である第2空間(62b)と、を仕切る仕切部材(70)と、
冷媒の蒸発器として機能する場合に、前記第1空間内において上昇流れが生じるように冷媒を流入させる流入口(82a、82b)と、
前記第1空間の上部領域と前記第2空間の上部領域を連通させ、前記第1空間内を上昇した冷媒を前記第2空間へ導く上部連通路(73)と、
前記第2空間を降下した冷媒を前記第1空間の下部領域に戻す下部連通路(72)と、
を含むループ構造を有しており、
前記上部連通路(73)の内周の下縁部(73d)の平均高さ位置が、前記第1空間に接続されている複数の前記扁平管のうち最上段の前記扁平管と上から2番目の前記扁平管との中間の高さ位置以上の位置に設けられている、
熱交換器(20)。
【請求項2】
上下に並んで配置された複数の扁平管(21b)と、
複数の前記扁平管の一端が接続されており、上下方向に沿って延びたヘッダ集合管(24)と、
前記扁平管に接合された複数のフィン(21a)と、
を備える熱交換器(20)であって、
前記ヘッダ集合管(24)は、
内部空間を、前記扁平管が接続された側の空間である第1空間(61b)と、前記第1空間に対して前記扁平管が接続された側とは反対側の空間である第2空間(62b)と、を仕切る仕切部材(70)と、
冷媒の蒸発器として機能する場合に、前記第1空間内において上昇流れが生じるように冷媒を流入させる流入口(82a、82b)と、
前記第1空間の上部領域と前記第2空間の上部領域を連通させ、前記第1空間内を上昇した冷媒を前記第2空間へ導く上部連通路(73)と、
前記第2空間を降下した冷媒を前記第1空間の下部領域に戻す下部連通路(72)と、
を含むループ構造を有しており、
前記上部連通路(73)の内周の下縁部(73d)の平均高さ位置が、前記第1空間に接続されている複数の前記扁平管のうち最上段の前記扁平管の下端と上から2番目の前記扁平管の上端との間に位置している、
熱交換器(20)。
【請求項3】
前記上部連通路(73)の内周の上縁部(73u)の平均高さ位置が、前記第1空間に接続されている複数の前記扁平管のうち最上段の前記扁平管よりも上方に位置している、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
複数の前記扁平管の各端部は、前記第1空間の内部まで延び出すように設けられており、
前記ヘッダ集合管が延びている方向から見た場合において、前記第1空間のうち前記扁平管を除いた部分に対応する面積が、前記第2空間に対応する面積よりも小さい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器と、容量可変の圧縮機(91)と、が接続されて構成される冷媒回路を備えた空気調和装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器および空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の扁平管と、複数の扁平管に接合されたフィンと、複数の扁平管の一端側と他端側にそれぞれ連結されたヘッダ集合管とを備え、扁平管の内部を流れる冷媒を扁平管の外部を流れる空気と熱交換させる熱交換器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(国際公開第2007/094422号)に記載の熱交換器では、水平方向に延びた複数の流出管の両端が、それぞれ上下方向に延びたヘッダ集合管に接続されて構成されている。このヘッダ集合管の内部空間の下方には、冷媒を上方に吹き出すためのエジェクタが設けられている。さらに、このヘッダ集合管には、ヘッダ集合管の内部空間の上端近傍から外側に延び出し、ヘッダ集合管の内部空間の下方のエジェクタの途中に戻すように接続された復路が設けられている。当該熱交換器では、この構成により、ヘッダ集合管の内部空間から各扁平管に対して冷媒を分流させつつ、ヘッダ集合管の内部空間と復路とエジェクタによって冷媒を循環させることが可能になるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような特許文献1に示された熱交換器は、ヘッダ集合管と復路との上方接続部分の下端が、最も上方に位置している扁平管よりもさらに上方に位置している。このため、ヘッダ集合管内を勢いよく上昇した冷媒は、最も上方に位置している扁平管を通過して復路側に導かれてしまい、最も上方に位置している扁平管に対して十分に冷媒を供給することが困難になる場合がある。
【0005】
他方で、ヘッダ集合管と復路との上方接続部分の下端を、複数の扁平管のうちの上から二番目より下方に位置させてしまうと、最も上方に位置している扁平管に冷媒が到達する前に復路側により多くの冷媒が導かれてしまう。
【0006】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、ヘッダ集合管に接続されている複数の扁平管のうち最も上方に位置している扁平管に対しても十分に冷媒を供給させることで、冷媒の偏流を抑制させることが可能な熱交換器および空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係る熱交換器は、複数の扁平管と、ヘッダ集合管と、複数のフィンと、を備えている。複数の扁平管は、上下に並んで配置されている。ヘッダ集合管は、複数の扁平管の一端が接続されており、上下方向に沿って延びている。複数のフィンは、扁平管に接合されている。ヘッダ集合管は、ループ構造を有している。ループ構造は、仕切部材と、流入口と、上部連通路と、下部連通路と、を含んでいる。仕切部材は、内部空間を、扁平管が接続された側の空間である第1空間と、第1空間に対して扁平管が接続された側とは反対側の空間である第2空間と、を仕切っている。流入口は、冷媒の蒸発器として機能する場合に、第1空間内において上昇流れが生じるように冷媒を流入させる。上部連通路は、第1空間の上部領域と第2空間の上部領域を連通させ、第1空間内を上昇した冷媒を第2空間へ導く。下部連通路は、第2空間を降下した冷媒を第1空間の下部領域に戻す。上部連通路の内周の下縁部の平均高さ位置が、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管と上から2番目の扁平管との中間の高さ位置以上の位置に設けられている。
【0008】
ここで、上部連通路の内周の下縁部は、上部連通路の内周部分のうち法線ベクトルに上方成分が含まれている部分をいうものとする
【0009】
ここで、最上段の扁平管と上から2番目の扁平管との中間の高さ位置としては、最上段の扁平管の下端の高さと2番目の扁平管の上端の高さの平均をいうものとする。
【0010】
この熱交換器では、ヘッダ集合管の内部空間が第1空間と第2空間に仕切部材によって仕切られているため、流入口から第1空間に流入した冷媒が第1空間内を上昇する際に通過する断面積を、第1空間と第2空間とが仕切部材によって仕切られていない場合と比較して、小さくすることができている。このため、冷媒の循環量が低循環量であっても、流入口から第1空間内に流入した冷媒を、第1空間だけの狭い空間において上昇させることができるため、第1空間内での冷媒の上昇速度を大きく落とすこと無くヘッダ集合管の内部空間の上方にまで冷媒を到達させやすくすることができる。このため、冷媒の循環量が低循環量であっても、上方に配置されている扁平管に対しても十分に冷媒を流すことが可能になる。
【0011】
また、この熱交換器は、ヘッダ集合管は、流入口と仕切部材と上部連通路と下部連通路を含んだループ構造を有している。このため、高循環量である場合のように流入口から第1空間に流入する冷媒の流速が早く、下方に位置する扁平管の横を勢いよく通過してしまい第1空間の上方に比重の大きな冷媒が集まりがちになる場合であっても、第1空間の上方部分にまで到達した比重の大きな冷媒を、ループ構造によって再び第1空間の下方に戻すことが可能になる。すなわち、ループ構造は、第1空間の上方部分まで到達した冷媒を、上部連通路を通過させて第2空間側に送り、第2空間において降下させ、下部連通路を通過させて第1空間の下方に流すことで、第1空間の下方に存在する扁平管に導くことが可能になる。このため、高循環量である場合のように流入口から第1空間に流入する冷媒の流速が早く、下方に位置する扁平管の横を勢いよく通過してしまい第1空間の上方に比重の大きな冷媒が集まりがちになる場合であっても、下方の扁平管に対しても十分に冷媒を流すことが可能になる。
【0012】
そして、上部連通路の内周の下縁部の平均高さ位置は、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管と上から2番目の扁平管との中間の高さ位置以上の位置に設けられている。このため、当該最上段の扁平管側に向かうこと無く上部連通路に向かう冷媒流れを抑制し、最上段の扁平管に対しても冷媒を十分に送ることで、冷媒の偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0013】
これにより、低循環量時であっても高循環量時であっても冷媒の偏流を抑制しつつ、第1空間に接続されている扁平管のうちの最上段の扁平管についても十分に冷媒を送って偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0014】
また、この熱交換器では、第1空間において上昇した冷媒は、少なくとも、上から2番目の扁平管を上に向けて通過し、当該2番目の扁平管よりも最上段の扁平管に近くなる高さ位置まで上昇しなければ、上部連通路を介して第1空間側から第2空間側に向かうことができない。このため、上部連通路の内周の下縁部付近まで到達した冷媒は、よりいっそう、最上段の扁平管に導かれやすくなる。
【0015】
第2観点に係る熱交換器は、複数の扁平管と、ヘッダ集合管と、複数のフィンと、を備えている。複数の扁平管は、上下に並んで配置されている。ヘッダ集合管は、複数の扁平管の一端が接続されており、上下方向に沿って延びている。複数のフィンは、扁平管に接合されている。ヘッダ集合管は、ループ構造を有している。ループ構造は、仕切部材と、流入口と、上部連通路と、下部連通路と、を含んでいる。仕切部材は、内部空間を、扁平管が接続された側の空間である第1空間と、第1空間に対して扁平管が接続された側とは反対側の空間である第2空間と、を仕切っている。流入口は、冷媒の蒸発器として機能する場合に、第1空間内において上昇流れが生じるように冷媒を流入させる。上部連通路は、第1空間の上部領域と第2空間の上部領域を連通させ、第1空間内を上昇した冷媒を第2空間へ導く。下部連通路は、第2空間を降下した冷媒を第1空間の下部領域に戻す。上部連通路の内周の下縁部の平均高さ位置が、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管の下端と上から2番目の扁平管の上端との間に位置している。
【0016】
ここで、上部連通路の内周の下縁部は、上部連通路の内周部分のうち法線ベクトルに上方成分が含まれている部分をいうものとする。
【0017】
この熱交換器では、ヘッダ集合管の内部空間が第1空間と第2空間に仕切部材によって仕切られているため、流入口から第1空間に流入した冷媒が第1空間内を上昇する際に通過する断面積を、第1空間と第2空間とが仕切部材によって仕切られていない場合と比較して、小さくすることができている。このため、冷媒の循環量が低循環量であっても、流入口から第1空間内に流入した冷媒を、第1空間だけの狭い空間において上昇させることができるため、第1空間内での冷媒の上昇速度を大きく落とすこと無くヘッダ集合管の内部空間の上方にまで冷媒を到達させやすくすることができる。このため、冷媒の循環量が低循環量であっても、上方に配置されている扁平管に対しても十分に冷媒を流すことが可能になる。
【0018】
また、この熱交換器は、ヘッダ集合管は、流入口と仕切部材と上部連通路と下部連通路を含んだループ構造を有している。このため、高循環量である場合のように流入口から第1空間に流入する冷媒の流速が早く、下方に位置する扁平管の横を勢いよく通過してしまい第1空間の上方に比重の大きな冷媒が集まりがちになる場合であっても、第1空間の上方部分にまで到達した比重の大きな冷媒を、ループ構造によって再び第1空間の下方に戻すことが可能になる。すなわち、ループ構造は、第1空間の上方部分まで到達した冷媒を、上部連通路を通過させて第2空間側に送り、第2空間において降下させ、下部連通路を通過させて第1空間の下方に流すことで、第1空間の下方に存在する扁平管に導くことが可能になる。このため、高循環量である場合のように流入口から第1空間に流入する冷媒の流速が早く、下方に位置する扁平管の横を勢いよく通過してしまい第1空間の上方に比重の大きな冷媒が集まりがちになる場合であっても、下方の扁平管に対しても十分に冷媒を流すことが可能になる。
【0019】
そして、上部連通路の内周の下縁部の平均高さ位置は、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管の下端と上から2番目の扁平管の上端との間に位置している。このため、当該最上段の扁平管側に向かうこと無く上部連通路に向かう冷媒流れを抑制し、最上段の扁平管に対しても冷媒を十分に送ることで、冷媒の偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0020】
これにより、低循環量時であっても高循環量時であっても冷媒の偏流を抑制しつつ、第1空間に接続されている扁平管のうちの最上段の扁平管についても十分に冷媒を送って偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0021】
観点に係る熱交換器は、第1観点または第2観点に係る熱交換器であって、上部連通路の内周の上縁部の平均高さ位置が、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管よりも上方に位置している。
【0022】
ここで、上部連通路の内周の縁部は、上部連通路の内周部分のうち法線ベクトルに下方成分が含まれている部分をいうものとする。
【0023】
なお、上部連通路の内周の上縁部は、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管の下端よりも上方に位置していてもよいし、当該最上段の扁平管の流路の下端よりも上方に位置していてもよいし、当該最上段の扁平管の上端よりも上方に位置していてもよい。
【0024】
この熱交換器では、上部連通路の内周の上縁部の平均高さ位置が、第1空間に接続されている複数の扁平管のうち最上段の扁平管よりも上方に位置しているため、当該最上段の扁平管に対してより冷媒を導きやすくなる。
【0025】
観点に係る熱交換器は、第1観点から観点のいずれかに係る熱交換器であって、複数の扁平管の各端部は、第1空間の内部まで延び出すように設けられている。ヘッダ集合管が延びている方向から見た場合において、第1空間のうち扁平管を除いた部分に対応する面積が、第2空間に対応する面積よりも小さい。
【0026】
この熱交換器では、第1空間のうち扁平管を除いた部分における冷媒上昇時の通過面積を狭めることができるため、第1空間内において冷媒をより上方まで上昇させやすくなる。
【0027】
第5観点に係る空気調和装置は、冷媒回路を備えている。冷媒回路は、第1観点から第4観点のいずれかに係る熱交換器と、容量可変の圧縮機と、が接続されて構成されて構成されている。
【0028】
この空気調和装置では、容量可変の圧縮機が駆動することで、冷媒回路を流れる冷媒の循環量が変動し、熱交換器を通過する冷媒の量が変動する。ここで、熱交換器が蒸発器として機能する場合に、通過する冷媒の量が増大して液相冷媒の混合比率が増大したり、流速が高まることがあっても、上部連通路と第2空間と下部連通路を介して再び第1空間に冷媒を戻すことができるため、熱交換器内における冷媒の偏流を小さく抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
第1観点に係る熱交換器では、低循環量時であっても高循環量時であっても冷媒の偏流を抑制しつつ、第1空間に接続されている扁平管のうちの最上段の扁平管についても十分に冷媒を送って偏流を小さく抑えることが可能になる。また、上部連通路の内周の下縁部付近まで到達した冷媒は、よりいっそう、最上段の扁平管に導かれやすくなる。
【0030】
第2観点に係る熱交換器では、低循環量時であっても高循環量時であっても冷媒の偏流を抑制しつつ、第1空間に接続されている扁平管のうちの最上段の扁平管についても十分に冷媒を送って偏流を小さく抑えることが可能になる。
【0031】
観点に係る熱交換器では、最上段の扁平管に対してより冷媒を導きやすくなる。
【0032】
観点に係る熱交換器では、第1空間内において冷媒をより上方まで上昇させやすくなる。
【0033】
第5観点に係る空気調和装置では、熱交換器が蒸発器として機能する場合に、通過する冷媒の量が増大して液相冷媒の混合比率が増大したり、流速が高まることがあっても、熱交換器内における冷媒の偏流を小さく抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一実施形態に係る空気調和装置の構成の概要を説明するための回路図。
図2】空調室外機の外観を示す斜視図。
図3】空調室外機の各機器の配置を説明する概略上面断面図。
図4】室外熱交換器の示す概略外観斜視図。
図5】室外熱交換器における伝熱フィンの扁平多穴管に対する取付状態を示す概略斜視図。
図6】折返しヘッダおよび連絡部の分解概略斜視図。
図7】折返しヘッダおよび連絡部の拡大分解概略斜視図。
図8】仕切部材を下部連通路で切断した状態の仕切部材とバッフルの組合せ概略斜視図。
図9】整流板と多穴側部材と配管側部材と仕切部材を組合せた上面図。
図10】折返しヘッダの第2下方折返し部分および第1上方折返し部分におけるループ構造を示す概略正面図。
図11】折返しヘッダの第2上方折返し部分におけるループ構造を示す概略正面図。
図12】扁平多穴管の長手方向から見た場合の上部連通路の位置関係を示す図。
図13】他の実施形態Aに係る室外熱交換器の、扁平多穴管の長手方向から見た場合の上部連通路の位置関係を示す図。
図14】他の実施形態Bに係る室外熱交換器の、扁平多穴管の長手方向から見た場合の上部連通路の位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(1)空気調和装置1の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置1の構成の概要を示す回路図である。
【0036】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって空調室内機3が設置されている建物内の冷暖房に使用される装置であり、熱源側ユニットとしての空調室外機2と、利用側ユニットとしての空調室内機3とが冷媒連絡配管6,7で接続されて構成されている。
【0037】
空調室外機2と空調室内機3と冷媒連絡配管6,7とが接続されて構成される冷媒回路は、圧縮機91、四路切換弁92、室外熱交換器20、膨張弁33、室内熱交換器4およびアキュムレータ93などが冷媒配管で接続されることで構成されている。この冷媒回路内には冷媒が封入されており、冷媒が圧縮され、冷却され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。冷媒としては、例えば、R410A、R32、R407C、R22、R134a、二酸化炭素、などから選択されたものが用いられる。
【0038】
(2)空気調和装置1の詳細構成
(2−1)空調室内機3
空調室内機3は、室内の壁面に壁掛け等により、又は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により設置される。空調室内機3は、室内熱交換器4と、室内ファン5とを有している。室内熱交換器4は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
【0039】
(2−2)空調室外機2
空調室外機2は、ビル等の室外に設置されており、冷媒連絡配管6,7を介して空調室内機3に接続される。空調室外機2は、図2および図3に示されているように、略直方体状のユニットケーシング10を有している。
【0040】
図3に示されているように、空調室外機2は、ユニットケーシング10の内部空間を鉛直方向に延びる仕切板18で二つに分割することによって送風機室S1と機械室S2とを形成した構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。空調室外機2は、ユニットケーシング10の送風機室S1内に配置された室外熱交換器20および室外ファン95を有しており、ユニットケーシング10の機械室S2内に配置された圧縮機91、四路切換弁92、アキュムレータ93、膨張弁33、ガス冷媒配管31、および、液冷媒配管32を有している。
【0041】
ユニットケーシング10は、底板12と、天板11と、送風機室側の側板13と、機械室側の側板14と、送風機室側前板15と、機械室側前板16とを備えて、筐体を構成している。
【0042】
空調室外機2は、ユニットケーシング10の背面および側面の一部からユニットケーシング10内の送風機室S1に室外空気を吸い込んで、吸い込んだ室外空気をユニットケーシング10の前面から吹き出すように構成されている。具体的には、ユニットケーシング10内の送風機室S1に対して、吸込口10aと吸込口10bと吹出口10cとが形成されている。吸込口10aおよび吸込口10bの全体は、送風機室側の側板13の背面側の端部から機械室側の側板14の送風機室S1側の端部にわたって広がっている。また、吹出口10cは、送風機室側前板15に設けられており、その前側がファングリル15aによって覆われている。
【0043】
圧縮機91は、例えば圧縮機用モータによって駆動される密閉式圧縮機であり、インバータ制御によって運転容量を変化させることができるよう構成されている。このように運転容量を変化させることで、空調負荷の変動に対応することが可能になっている。
【0044】
四路切換弁92は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続するとともに、アキュムレータ93を介してガス冷媒の冷媒連絡配管7と圧縮機91の吸入側の冷媒配管とを接続する(図1の四路切換弁92の実線を参照)。また、暖房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管とガス冷媒の冷媒連絡配管7とを接続するとともに、アキュムレータ93を介して圧縮機91の吸入側と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続する(図1の四路切換弁92の破線を参照)。
【0045】
室外熱交換器20は、送風機室S1において吸込口10a,10bに対向するようにして、上下方向(鉛直方向)に立てて配置されている。室外熱交換器20は、アルミニウム製の熱交換器であり、本実施形態では設計圧力が3MPa〜4MPa程度のものを用いている。室外熱交換器20は、一端(ガス側端部)から、四路切換弁92と接続されるように、ガス冷媒配管31が延びている。また、室外熱交換器20の他端(液側端部)から、膨張弁33に接続されるように、液冷媒配管32が延びている。
【0046】
アキュムレータ93は、四路切換弁92と圧縮機91との間に接続されている。アキュムレータ93は、冷媒を気相と液相とに分ける気液分離機能を具備している。アキュムレータ93に流入する冷媒は、液相と気相とに分かれ、上部空間に集まる気相の冷媒が圧縮機91へと供給される。
【0047】
膨張弁33は、冷媒回路において冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁33は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、室外熱交換器20と液冷媒の冷媒連絡配管6の間に設けられ、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0048】
室外ファン95は、室外熱交換器20を流れる冷媒との間で熱交換をさせるための室外空気を、室外熱交換器20に対して供給する。室外ファン95は、室外熱交換器20に対向するようにして、送風機室S1に配置されている。室外ファン95は、背面側からユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器20において冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせた後に、熱交換後の空気を前面側からユニット外に排出する。この室外ファン95は、室外熱交換器20に供給する室外空気の風量を変化させることが可能なファンであり、例えば、DCファンモータ等からなるモータによって駆動されるプロペラファン等である。
【0049】
(3)空気調和装置1の動作
(3−1)冷房運転
冷房運転時は、四路切換弁92が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がアキュムレータ93、冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に対して接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口(すなわち、室内熱交換器4のガス側)における冷媒の過熱度が一定になるように開度調節されるようになっている(過熱度制御)。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91で圧縮されることで高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、四路切換弁92を経由して室外熱交換器20に送られる。その後、高圧のガス冷媒は、室外熱交換器20において、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、室外熱交換器20から膨張弁33に送られる。膨張弁33によって圧縮機91の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態となった冷媒は、室内熱交換器4に送られ、室内熱交換器4において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
【0050】
この低圧のガス冷媒は、冷媒連絡配管7を経由して空調室外機2に送られ、再び、圧縮機91に吸入される。このように冷房運転では、空気調和装置1は、室外熱交換器20を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器4を室外熱交換器20において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0051】
なお、冷房運転時の冷媒回路では、膨張弁33の過熱度制御が行われつつ、設定温度となるように(冷房負荷を処理できるように)圧縮機91がインバータ制御されているため、冷媒の循環量が高循環量となる場合と低循環量になる場合がある。
【0052】
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、四路切換弁92が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側が冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている(過冷却度制御)。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁92、および、冷媒連絡配管7を経由して、空調室内機3に送られる。
【0053】
そして、空調室内機3に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、膨張弁33を通過する際に、膨張弁33の弁開度に応じて減圧される。この膨張弁33を通過した冷媒は、室外熱交換器20に流入する。そして、室外熱交換器20に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁92を経由して、再び、圧縮機91に吸入される。このように暖房運転では、空気調和装置1は、室内熱交換器4を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器20を室内熱交換器4において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0054】
なお、暖房運転時の冷媒回路では、膨張弁33の過冷却度制御が行われつつ、設定温度となるように(暖房負荷を処理できるように)圧縮機91がインバータ制御されているため、冷媒の循環量が高循環量となる場合、低循環量になる場合がある。
【0055】
(4)室外熱交換器20の詳細構成
(4−1)室外熱交換器20の全体構成
図4に、室外熱交換器20の概略外観斜視図を示す。また、図5に、伝熱フィン21aの扁平多穴管21bに対する取付状態を示す。
【0056】
室外熱交換器20は、室外空気と冷媒との熱交換を行わせる熱交換部21と、この熱交換部21の一端側に設けられた出入口ヘッダ管26および折返しヘッダ24と、この熱交換部21の他端側に設けられた連結ヘッダ23と、折返しヘッダ24の下部と折返しヘッダ24の上部を連結させる連絡部25と、出入口ヘッダ管26の下方に分流された冷媒を導く分流器22と、を備えている。
【0057】
(4−2)熱交換部21
熱交換部21は、多数の伝熱フィン21aと多数の扁平多穴管21bとで構成されている。伝熱フィン21aおよび扁平多穴管21bは、いずれもアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。
【0058】
伝熱フィン21aは、図5に示すように、平板部材であり、各伝熱フィン21aには水平方向に延びる扁平管挿入用の切り欠き21aaが形成されている。この伝熱フィン21aには、この切り欠き21aaが上下方向に複数並ぶようにして設けられている。なお、伝熱フィン21aは、空気流れの上流側に向けて突出した部分を無数に有するように取り付けられている。
【0059】
扁平多穴管21bは、伝熱管として機能し、伝熱フィン21aと室外空気との間を移動する熱を、内部を流れる冷媒に伝達する。この扁平多穴管21bは、伝熱面となる上下の平面部と、冷媒が流れる複数の流入口21baを有している。扁平多穴管21bの複数の流入口21baは、室外熱交換器20を通過する空気流れ方向に並んでいる。このような形状を有する扁平多穴管21bは、複数設けられており、これら複数が鉛直方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0060】
なお、この熱交換部21は、室外ファン95によって生じる空気流れ方向(筐体の背面および左側面側から筐体の正面のファングリル15aに向かう流れ)において、風上の部分を縁取るように設けられた風上側熱交換部20aと、風下側を縁取るように設けられた風下側熱交換部20bと、を有している。これらの風上側熱交換部20aと風下側熱交換部20bとは、空気流れ方向において2列並ぶように配置されている。
【0061】
風上側熱交換部20aは、風上側を縁取るように延びており上下方向に複数本並んだ扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。また、風下側熱交換部20bも、同様に、風下側を縁取るように延びており上下方向に複数本並んだ扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。
【0062】
(4−3)分流器22
分流器22は、液冷媒配管32と出入口ヘッダ管26の下方部分とを連結させるように接続されている。この分流器22は、例えば、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、液冷媒配管32から流れてきた冷媒を高さ方向に分流させる。このようにして分流器22で分流された各冷媒流れは、出入口ヘッダ管26の下方部分の各高さ位置に導かれる。
【0063】
(4−4)出入口ヘッダ管26
出入口ヘッダ管26は、鉛直方向に延びるアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製の筒状部材であり、内部が上方部分と下方部分とに分割されている。具体的には、出入口ヘッダ管26の内部は、水平方向に広がったバッフルによって上下に仕切られている。
【0064】
この出入口ヘッダ管26の下方部分は、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、冷媒の入口として機能し、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能する際には、冷媒の出口として機能する。また、出入口ヘッダ管26の上方部分は、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、冷媒の出口として機能し、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能する際には、冷媒の入口として機能する。
【0065】
出入口ヘッダ管26の下方部分は、分流器22を介して、液冷媒配管32に接続されている。出入口ヘッダ管26の上方部分は、ガス冷媒配管31に対して接続されている。
【0066】
また、出入口ヘッダ管26の下方部分は、室外熱交換器20が蒸発器として機能する際に分流器22によって分流された冷媒の高さ方向における分布が維持されるように、上下に並んだ複数の空間を有している。これらの空間は、出入口ヘッダ管26の下方部分の内部空間が複数のバッフルによって上下に仕切られることで区画されている。これにより、分流器22によって高さ方向に分けられた各冷媒流れそれぞれを、分けられた状態を維持させたままで出入口ヘッダ管26の下方部分を介して熱交換部21に送ることができるように構成されている。
【0067】
以上の構成により、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、液冷媒配管32と分流器22と出入口ヘッダ管26の下方部分を介して熱交換部21に流入した冷媒は、以下の各部材を通過しながら蒸発し、出入口ヘッダ管26の上方部分に到達する。そして、蒸発した冷媒は、出入口ヘッダ管26の上方部分とガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20の外部に流出していくことになる。なお、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能している場合には、上記とは逆の流れになる。
【0068】
(4−5)連結ヘッダ23
連結ヘッダ23は、室外熱交換器20のうち、熱交換部21の出入口ヘッダ管26や折返しヘッダ24が設けられている側(図3でいう機械室側)の端部とは反対側(図3でいう送風機室側)に設けられている。
【0069】
連結ヘッダ23は、風上側熱交換部20aの扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風下側熱交換部20bの扁平多穴管21bに導くか、風下側熱交換部20bの扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風上側熱交換部20aの扁平多穴管21bに導くように構成されている。ここで、連結ヘッダ23のうちの出入口ヘッダ管26の下方部分に対応した高さ位置の部分を流れる冷媒流れの向きと、連結ヘッダ23のうちの出入口ヘッダ管26上方部分に対応した高さ位置の部分を流れる冷媒流れの向きとは、互いに反対方向となっている。
【0070】
この連結ヘッダ23では、冷媒の上下方向の移動は生じず、室外熱交換器20内における冷媒の流路を同じ高さ位置で単に繋ぐ役割を果たしている。
【0071】
(4−6)折返しヘッダ24
折返しヘッダ24は、熱交換部21の連結ヘッダ23が設けられている側の端部とは反対側の端部であって、出入口ヘッダ管26よりも風下側において上下方向に延びるように設けられている。この折返しヘッダ24は、熱交換部21のうちの風下側熱交換部20bの連結ヘッダ23側とは反対側の端部に接続されている。折返しヘッダ24もアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製の部材である。
【0072】
折返しヘッダ24は、図6の折返しヘッダ24および連絡部25の分解概略斜視図や、図7の折返しヘッダ24および連絡部25の拡大分解概略斜視図に示すように、複数の扁平多穴管21bの一端が接続されている多穴側部材61と、扁平多穴管21bが接続されている側とは反対側を構成する配管側部材62と、多穴側部材61と配管側部材62との間に位置する仕切部材70と、折返しヘッダ24内部の空間を上下に仕切っている複数のバッフル80と、を有している。
【0073】
折返しヘッダ24は、これらの複数の部材を組合せることで構成される鉛直方向に長い構造物である。折返しヘッダ24では、仕切部材70以外の各部材が、主として1つの部品である仕切部材70に対して固定されて構成されているため、互いの位置決めを行いやすく、強度を確保しやすく、鉛直方向に長い構造であっても製造を容易にすることができている。
【0074】
多穴側部材61は、熱交換部21側の折返しヘッダ24の壁面を構成しており、上面視において略半円弧形状に形成されている。この多穴側部材61は、この半円弧形状が上下方向に延びた形状を有しており、扁平多穴管21bを挿入するための板厚方向に貫通した開口が高さ位置毎に複数設けられている。
【0075】
配管側部材62は、折返しヘッダ24の壁面のうち熱交換部21側とは反対側の壁面を構成しており、上面視において略半円弧形状に形成されている。この配管側部材62は、この半円弧形状が上下方向に延びた形状を有している。配管側部材62は、後述する連絡部25の連絡配管を挿入するための板厚方向に貫通した開口が高さ位置毎に複数設けられている。また、この配管側部材62には、バッフル80の一端側を固定するための開口が高さ位置毎にそれぞれ設けられている。
【0076】
仕切部材70は、折返しヘッダ24の内部の空間を、多穴側部材61側の空間(第1空間)と配管側部材62側の空間(第2空間)とに仕切るように前後および上下に延びている。仕切部材70には、バッフル80を挿入固定するための開口が高さ位置毎に設けられている。
【0077】
図8において、下部連通路72付近で水平方向に切断された仕切部材70とバッフル80とが組合わされた状態の概略斜視図を示す。
【0078】
図9において、バッフル80のうちの整流板82と多穴側部材61と配管側部材62と仕切部材70が組合わされた状態の上面図を示す。
【0079】
図8図9に示すように、仕切部材70は、多穴側部材61側の面である多穴側面70aと、配管側部材62側の面である配管側面70bと、を有している。この多穴側面70aの中央近傍には、多穴側部材61側に向けて膨出した多穴側凸部70xが形成されており、開口部分を除いて当該多穴側凸部70xは上下方向に延びている。また、配管側面70bの中央近傍には、配管側部材62側に向けて膨出した配管側凸部70yが形成されており、開口部分を除いて当該配管側凸部70yは上下方向に延びている。このように仕切部材70は上面視において多穴側部材61側と配管側部材62側とが対象的な形状を構成しているため、製造時に部材の配置向きを間違えることが無い。
【0080】
折返しヘッダ24は、図6図7に示すように、内部空間が、下方の下方折返し部分34と、上方の上方折返し部分37とに上下に分割されている。
【0081】
下方折返し部分34の内部空間は、さらに、下方の第1下方折返し部分35と、上方の第2下方折返し部分36とに上下に分割されている。
【0082】
上方折返し部分37の内部空間も、さらに、下方の第1上方折返し部分38と上方の第2上方折返し部分39とに上下方向に分割されている。
【0083】
そして、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、熱交換部21から第1下方折返し部分35に流入した冷媒は後述する連絡部25の連絡配管を介して第2上方折返し部分39に送られ、熱交換部21から第2下方折返し部分36に流入した冷媒は連絡部25を介することなく折返しヘッダ24内の空間を介して第1上方折返し部分38に送られる。ここで、第2上方折返し部分39や第1上方折返し部分38に送られた冷媒は、再び熱交換部21に送られる。
【0084】
ここで、第1下方折返し部分35に接続された扁平多穴管21bの本数よりも、第2上方折返し部分39に接続された扁平多穴管21bの本数の方が多くなるように構成されている。また、第2下方折返し部分36に接続された扁平多穴管21bの本数よりも、第1上方折返し部分38に接続された扁平多穴管21bの本数の方が多くなるように構成されている。
【0085】
第1下方折返し部分35の内部空間は、開口が形成されていない複数のバッフル80によって上下方向に仕切られることで、複数の流路が上下に並んで配置されている。
【0086】
また、下方折返し部分34において、第1下方折返し部分35と第2下方折返し部分36との間も、開口が形成されていないバッフル80によって上下に仕切られている。
【0087】
図10に、折返しヘッダ24の第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38を図9のX−X断面で切断した場合の正面図を示す。
【0088】
下方折返し部分34と上方折返し部分37との間(第2下方折返し部分36と第1上方折返し部分38との間)は、図10に示すように、板厚方向に貫通した上昇用開口82a、82bが形成されているバッフル80(整流板82)によって上下に仕切られている。
【0089】
第2下方折返し部分36の内部空間は、図10に示すように、第1導入空間61aおよび第2導入空間62aを有している。この第1導入空間61aおよび第2導入空間62aは、上昇用開口82a、82bが形成された整流板82と下方仕切板81とによって上下に囲まれている。そして、第1導入空間61aと第2導入空間62aとは、仕切部材70によって、扁平多穴管21b側の第1導入空間61aと、扁平多穴管21b側とは反対側の第2導入空間62aとに仕切られている。この第1導入空間61aと第2導入空間62aとは、仕切部材70に設けられた均圧開口74を介して連通している。この第2導入空間62aは、後述する連絡部25の連絡配管が接続されておらず、均圧開口74を介して第1導入空間61aとのみ連通している。
【0090】
上方折返し部分37のうち、第1上方折返し部分38と第2上方折返し部分39とは、開口が形成されていないバッフル80(上方仕切板83)によって上下に仕切られている。
【0091】
第1上方折返し部分38の内部空間は、図10に示すように、上昇用空間61bおよび下降用空間62bを有している。この上昇用空間61bおよび下降用空間62bは、上昇用開口82a、82bが形成された整流板82と上方仕切板83とによって上下に囲まれている。そして、上昇用空間61bと下降用空間62bとは、仕切部材70によって、扁平多穴管21b側の上昇用空間61bと、扁平多穴管21b側とは反対側の下降用空間62bとに仕切られている。上昇用空間61bと下降用空間62bとは、上方において、仕切部材70に設けられた上部連通路73を介して連通している。また、上昇用空間61bと下降用空間62bとは、下方において、仕切部材70に設けられた下部連通路72を介しても連通している。
【0092】
ここで、第1上方折返し部分38に接続された扁平多穴管21bの本数は、第2下方折返し部分36に接続された扁平多穴管21bの本数よりも多くなるように構成されており、第1上方折返し部分38では冷媒をできるだけ均等に分流させている。
【0093】
図11に、第2上方折返し部分39を図9のX−X断面で切断した場合の正面図を示す。
【0094】
第2上方折返し部分39は、上下に並ぶようにして互いに仕切られた複数の流路を有している。具体的には、第2上方折返し部分39において上下に並ぶ各流路は、それぞれ開口が形成されていない複数のバッフル80(図7の下方仕切板81、上方仕切板83)によって上下方向に仕切られている。これにより、熱交換部21を流れる上下方向の冷媒分布を、第2上方折返し部分39において上下に並ぶ各流路においてそのまま維持させることが可能になっている。
【0095】
第2上方折返し部分39の個々の流路の内部空間は、図11に示すように、第2下方折返し部分36と第1上方折返し部分38の関係と同様に、第1導入空間61a、第2導入空間62a、上昇用空間61bおよび下降用空間62bを有している。この第1導入空間61aと第2導入空間62aと上昇用空間61bと下降用空間62bとは、第2上方折返し部分39の各流路がそれぞれ有する一組の空間である。したがって、第2上方折返し部分39の内部は、この一組の空間が上下方向に複数並んで構成されている。ここで、この第1導入空間61aおよび第2導入空間62aは、上昇用開口82a、82bが形成された整流板82と下方仕切板81とによって上下に囲まれている。そして、第1導入空間61aと第2導入空間62aとは、仕切部材70によって、扁平多穴管21b側の第1導入空間61aと、扁平多穴管21b側とは反対側の第2導入空間62aとに仕切られている。この第1導入空間61aと第2導入空間62aとは、仕切部材70に設けられた導入連通口71を介して連通している。この第2導入空間62aには、後述する連絡部25の連絡配管が接続されている。また、この上昇用空間61bおよび下降用空間62bは、上昇用開口82a、82bが形成された整流板82と上方仕切板83とによって上下に囲まれている。そして、上昇用空間61bと下降用空間62bとは、仕切部材70によって、扁平多穴管21b側の上昇用空間61bと、扁平多穴管21b側とは反対側の下降用空間62bとに仕切られている。上昇用空間61bと下降用空間62bとは、上方において、仕切部材70に設けられた上部連通路73を介して連通している。また、上昇用空間61bと下降用空間62bとは、下方において、仕切部材70に設けられた下部連通路72を介しても連通している。
【0096】
ここで、第2上方折返し部分39の一組の流路に接続された扁平多穴管21bの本数は、後述する連絡部25の連絡配管を介して接続される対応した第1下方折返し部分35の流路の一つに接続された扁平多穴管21bの本数よりも多くなるように構成されており、第2上方折返し部分39の一組の流路では冷媒をできるだけ均等に分流させている。
【0097】
なお、下方仕切板81と上方仕切板83とは、いずれもバッフル80の1つであり、いずれも開口が形成されていない同じ形状・寸法のバッフル80であるが、説明の都合上、説明対象となる一組の空間において下端を構成するバッフル80を下方仕切板81として、上端を構成するバッフル80を上方仕切板83として説明している。なお、ある一組の空間の上方仕切板83は、その一つ上の一組の空間の下方仕切板81としても機能することになる。
【0098】
(4−7)連絡部25
連絡部25は、折返しヘッダ24の第1下方折返し部分35において上下方向に複数に分割された各空間と、折返しヘッダ24の第2上方折返し部分39において上下方向に複数に並んで配置されている一組の空間それぞれと、を一対一に接続する連絡配管をそれぞれ有している。
【0099】
この連絡配管は、第1下方折返し部分35において下方に位置する空間ほど、第2上方折返し部分39において上方に位置する一組の空間に接続されるように設けられている。第1下方折返し部分35の1つの流路から延び出した連絡部25の連絡配管は、第2上方折返し部分39の第2導入空間62aに接続される。
【0100】
ここで、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、図6および図4に矢印で示すように、熱交換部21のうちの風下側熱交換部20bの下方部分を流れてきた各冷媒流れは、分流状態を維持したままで、まず下方折返し部分34の各空間に流入する。第1下方折返し部分35の各空間に流入した各冷媒は、それぞれ一対一に設けられた連絡部25の連絡配管を介して、それぞれが対応する第2上方折返し部分39における一組の空間に送られる。第2上方折返し部分39における一組の空間に送られたそれぞれの冷媒流れは、その分流状態を維持したままで、再び熱交換部21のうちの風下側熱交換部20bの上方部分へと流れていく。
【0101】
ここで、下方折返し部分34のうちの最も上方に位置する第2下方折返し部分36と、上方折返し部分37内の最も下方に位置する第1上方折返し部分38とは、連絡部25の連絡配管によっては接続されておらず、整流板82によって上下に仕切られつつ、整流板82の上昇用開口82a、82bを介して上下に連通している。この整流板82が上昇用開口82a、82bを有していることにより、第2下方折返し部分36の冷媒は、折返しヘッダ24内から外に出ること無く、第1上方折返し部分38に送られる。
【0102】
なお、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能する場合には、概ね上記とは反対の冷媒流れとなる。
【0103】
このように、折返しヘッダ24は、室外熱交換器20における入口から出口に至までの冷媒流れ経路におけるちょうど折返し部分を構成していることになる。
【0104】
なお、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合において、折返しヘッダ24から風下側熱交換部20bの上方部分へと流出した冷媒は、図6および図4に矢印で示すように、風下側熱交換部20bの上方部分を他端の連結ヘッダ23まで分流状態を維持したままで流れ、連結ヘッダ23において風上側熱交換部20a側に移動して風上側熱交換部20aの上方部分を出入口ヘッダ管26の上方部分に向けて分流状態を維持したままで流れる。そして、出入口ヘッダ管26の上方部分に流入したそれぞれの冷媒は、合流した後、ガス冷媒配管31を介して圧縮機91の吸入側に向けて流れていくことになる。
【0105】
(5)折返しヘッダ24の第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38におけるループ構造
ここでは、図10に基づいて、折返しヘッダ24の第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38における、第1導入空間61aと第2導入空間62aと上昇用空間61bと下降用空間62bを一組とする空間(一組の空間)に着目してループ構造を説明する。
【0106】
整流板82は、第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の内部空間としての一組の空間を、下方の第1導入空間61aおよび第2導入空間62aと、上方の上昇用空間61bおよび下降用空間62bと、に上下に仕切っている。
【0107】
仕切部材70は、整流板82の下方の空間を、多穴側部材61側の第1導入空間61aと、配管側部材62側の第2導入空間62aとに仕切っている。また、仕切部材70は、整流板82の上方の空間を、多穴側部材61側の上昇用空間61bと、配管側部材62側の下降用空間62bとに仕切っている。
【0108】
また、仕切部材70には、第2下方折返し部分36において第1導入空間61aと第2導入空間62aとを連通させる均圧開口74と、上昇用空間61bと下降用空間62bとを上方で連通させる上部連通路73と下方で連通させる下部連通路72と、が設けられている。本実施形態では、これらの均圧開口74と上部連通路73と下部連通路72とは、いずれも水平方向に延びている。なお、上部連通路73の開口面積(冷媒通過面積)は、下部連通路72の開口面積(冷媒通過面積)よりも大きく構成されている。
【0109】
本実施形態において、折返しヘッダ24に接続されている複数の扁平多穴管21bは、いずれも同じ形状および同じ寸法で構成されている。そして、これらの複数の扁平多穴管21bは、上下方向に所定の間隔で並ぶように設けられている。例えば、互いに隣り合う扁平多穴管21bの上面の上下方向の間隔はいずれも等しくなっている。また、これらの扁平多穴管21bは、いずれも上昇用空間61b内に大きく入り込んだようにして接続されている。特に限定されないが、例えば、上面視において上昇用空間61bの空間の半分以上を覆うようにして設けられている。
【0110】
なお、本実施形態において、上昇用空間61bに接続されている扁平多穴管21bの本数は、第1導入空間61aに接続されている扁平多穴管21bの本数の2倍以上5倍以下となっている。
【0111】
ここで、整流板82は、整流板82の上方の最も近くに位置する扁平多穴管21b(最下段扁平管)と整流板82との上下方向の距離が、鉛直方向に複数並んで配置されている扁平多穴管21bの所定の間隔よりも短くなるように配置されている。
【0112】
また、この下部連通路72の上昇用空間61b側の出口は、上昇用空間61bに接続されている扁平多穴管21bのうち最も下に位置するもの(最下段扁平管)よりもさらに下方に位置している。
【0113】
整流板82に設けられている上昇用開口82a,82bは、第1導入空間61aと上昇用空間61bとを上下に連通させている。上昇用開口82a,82bは、整流板82において流路を絞るノズルとして機能するように構成されている。上面視における上昇用開口82a,82bの合計面積は、特に限定されないが、例えば、上面視における第1導入空間61aの2割以下となるように構成されている。第1導入空間61aからより上方の上昇用空間61bに向かう冷媒は、整流板82に設けられたノズルとして機能する上昇用開口82a,82bを通過する際に冷媒流れが十分に絞り込まれ、鉛直上方に向かう冷媒流速が増大する。
【0114】
また、整流板82の上方の空間は、仕切部材70によって下降用空間62bと仕切られることで、上昇用空間61b側における冷媒上昇時の通過面積を、上昇用空間61bと下降用空間62bの合計の水平面積よりも狭くすることができている。このため、上昇用開口82a,82bを介して上昇用空間61bに流入した冷媒の上昇速度を維持させやすく、低循環量下においても冷媒を上昇用空間61bの上方部分にまで到達させやすい。
【0115】
ここで、折返しヘッダ24が延びている方向である鉛直方向から見た場合において、上昇用空間61bのうち扁平多穴管21bを除いた部分に対応する面積が、下降用空間62bに対応する面積よりも小さくなるように構成されている。
【0116】
さらに、「上昇用空間61bの扁平多穴管21bが存在しない高さ位置での水平面積」から「扁平多穴管21bのうち上昇用空間61b内に延び出している部分の水平面積」を差し引いた残りの面積(上昇用空間61bにおいて冷媒が扁平多穴管21bを避けて上昇する部分の面積)が、下部連通路72の冷媒通過面積よりも大きくなるように構成されている。
【0117】
そして、整流板82の上昇用開口82a,82bは、後側の上昇用開口82aと後側の上昇用開口82bとに別れて設けられている。これらの上昇用開口82a,82bは、いずれも、下部連通路72を扁平多穴管21bの長手方向に延長させて得られる空間とは上面視において重複しない位置に設けられている。
【0118】
これにより、整流板82の上昇用開口82a,82bを介して上昇用空間61bに流入した冷媒は、より狭く通過しづらい下部連通路72を介して下降用空間62b側に向かって逆流してしまうのではなく、より広く通過しやすい上昇用空間61bにおける扁平多穴管21bを除いた部分を流れることになる。しかも、整流板82の上昇用開口82a,82bは、下部連通路72の扁平多穴管21bの長手方向の延長領域とは上面視において重複しないように配置されているため、下部連通路72を介して下降用空間62b側に向かう逆流を効果的に抑制できる。
【0119】
また、整流板82に設けられた上昇用開口82a,82bと、上昇用開口82a,82bよりも上方に位置しており上昇用開口82a,82bから最も近い直上の扁平多穴管21b(最下段扁平管)は、上面視において重複部分を有するように配置されている。なお、この重複部分の上面視における面積は、上昇用開口82a,82bと直上の扁平多穴管21bとの上面視における非重複部分の面積よりも大きくなるように配置されている。
【0120】
上述の整流板82の上昇用開口82a,82bを介して上昇用空間61bに流入した冷媒は、各高さ位置に配置されている各扁平多穴管21bに流入することで分流されながら、上昇流れを維持して上昇用空間61bを上昇していく。このようにして、少ない本数の扁平多穴管21bを介して第1導入空間61aに流入した冷媒が、上昇用空間61bに接続されたより多い本数の扁平多穴管21bに分流されていく。
【0121】
また、上昇用空間61bと下降用空間62bとは、上方において仕切部材70を貫通するように設けられた略矩形の上部連通路73と、下方において仕切部材70を貫通するように設けられた略矩形の下部連通路72と、を介して連通している。このため、上昇用空間61bにおいて扁平多穴管21bに流入することなく上方まで到達した冷媒は、図10の矢印に示すように、上部連通路73を介して下降用空間62bに導かれ、下降用空間62bにおいて重力に従って降下し、下部連通路72を介して上昇用空間61bの下方に戻される。このようにして、整流板82の上昇用開口82a,82bを通過して上昇用空間61bの上方に到達した冷媒を再び上昇用空間61bの下方に戻してループさせることが可能になっている。
【0122】
これにより、上部連通路73を設けることなく上昇用空間61bの上部を閉塞空間としてしまう場合と比べて、上部連通路73を設けることで、上昇用空間61bの上部領域においても冷媒流れを確保しやすくすることが可能になっている。
【0123】
さらに、下降用空間62bにおいて下降した冷媒は、下部連通路72を介して再び上昇用空間61bの下方の領域に冷媒を戻すことができる。このため、整流板82の上昇用開口82a,82bを通過する際に上昇速度が付き過ぎることで、上昇用空間61bの下方であって整流板82の近くに接続されている扁平多穴管21bに対して流入しにくく通過してしまいやすい状況があっても、下部連通路72を通過した冷媒をこれらの扁平多穴管21bに対して導くことが可能になっている。
【0124】
なお、下部連通路72は、本実施形態においては、整流板82の上方であって上昇用空間61bに接続されている扁平多穴管21bのうち最も下方に位置している扁平多穴管21bよりも下方の位置に設けられている。したがって、流速が早い状況下においても、整流板82の上方であって上昇用空間61bに接続されている扁平多穴管21bのうち最も下方に位置している扁平多穴管21bに対しても、冷媒を供給しやすくすることができている。
【0125】
また、上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置(下縁の平均高さ位置)は、図10および図12(扁平多穴管21bの長手方向から見た場合の位置関係を示す図)に示すように、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより下方であって、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bよりも上方に位置している。より具体的には、本実施形態では、上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置は、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bの下端を構成している下面より下方であって、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bの上端を構成している上面よりも上方に位置している。
【0126】
このように、仕切部材70に設けられた上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置を十分に高くすることで、上昇用空間61bを上昇してきた冷媒が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bに到達する前に上部連通路73を上昇用空間61b側から下降用空間62b側へと流れてしまうことを抑制することができている。
【0127】
なお、本実施形態においては、上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置は、図12に示すように、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bの下端を構成している下面と、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bの上端を構成している上面と、の間の真ん中の高さ位置(これらの平均の高さ位置)よりも上方に位置している。
【0128】
また、本実施形態においては、上部連通路73の内周の上縁部73uの高さ位置(平均高さ位置)は、図12に示すように、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより上方に位置している。より具体的には、本実施形態では、上部連通路73の内周の上縁部73uの高さ位置は、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bの上端を構成している上面より上方に位置している。
【0129】
(6)折返しヘッダ24の第2上方折返し部分39におけるループ構造
ここでは、図11に基づいて、折返しヘッダ24の第2上方折返し部分39において、上下方向に複数並んでいる一組の空間(第1導入空間61aと第2導入空間62aと上昇用空間61bと下降用空間62bを一組とする空間)のうちの1つに着目してループ構造を説明する。なお、第2上方折返し部分39において上下方向に並んでいる複数の一組の空間は、接続対象となる連絡部25の連絡配管が異なるだけであり、内部構造は同様である。
【0130】
ここで、図10に示す第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の一組の空間と、図11に示す第2上方折返し部分39のうちの一組の空間とは、第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の一組の空間については連絡部25の連絡配管の接続が無いのに対して、第2上方折返し部分39のうちの一組の空間には連絡部25の連絡配管が第2導入空間62aに接続されている点で異なり、第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の一組の空間については第1導入空間61aと第2導入空間62aとが均圧開口74を介して連通されているのに対して、第2上方折返し部分39のうちの一組の空間では第1導入空間61aと第2導入空間62aとが導入連通口71を介して連通されている点で異なるが、他の点については実質的に同様であるため、説明を省略する。
【0131】
第2上方折返し部分39の第2導入空間62aには、第1下方折返し部分35において上下に複数並んでいる流路のうちの1つの流路から延び出した連絡部25の連絡配管が接続されている。ここで、第2導入空間62aにおける連絡部25の連絡配管の端部の開口と、当該第2導入空間62aの隣の第1導入空間61aに接続されている扁平多穴管21bの流入口21baと、仕切部材70に設けられている導入連通口71とは、互いに直線状には配置されないようにして設けられている。これにより、連絡部25の連絡配管を介して第2導入空間62aに流れ込んだ冷媒が、隣の第1導入空間61aに接続されている扁平多穴管21bに集中的に流れてしまうことを抑制することができている。
【0132】
なお、連絡部25の連絡配管、第2導入空間62a、導入連通口71を介して第1導入空間61aに流れ込んだ冷媒は、上述の第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の一組の空間と同様にして、整流板82の上昇用開口82a,82bにおいて絞り込まれ、第1導入空間61aを上昇していく。その後の冷媒のループ流れについても上述の第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38の一組の空間と同様である。
【0133】
(7)暖房運転時の低循環量の場合の室外熱交換器20における冷媒の流れ方
暖房運転時の低循環量の場合の室外熱交換器20における冷媒の流れ方を説明する。ここでは、第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38におけるループ構造と、第2上方折返し部分39におけるループ構造を併せて説明する。
【0134】
第1導入空間61aから上昇用空間61bに流入する冷媒は、比重の異なる気相成分と液相成分が混在した状態になっている。
【0135】
低循環量の場合には、上昇用空間61b内に流入する単位時間当たりの冷媒量が少なく、冷媒の流速は相対的に遅めになる。このため、この流速のままであれば、冷媒のうち比重の大きな液相成分については上昇させにくいため、上昇用空間61bにおける複数の扁平多穴管21bのうち上方に位置しているものに対して到達させにくい。したがって、上昇用空間61bにおける複数の扁平多穴管21bにおいて高さ位置に応じて通過量が不均一になり、偏流が生じてしまうおそれがある。このように比較的上方に配置された扁平多穴管21bの一端側に対して、冷媒のうち比重の小さい気相成分が主に流入すると、扁平多穴管21bの他端側から流出する冷媒は過熱度が大きくなりすぎて、扁平多穴管21bを通過している途中で相変化を生じなくなり、熱交換の能力を十分に発揮させることができない部分が生じることになる。他方で、比較的下方に配置された扁平多穴管21bの一端側に対して、冷媒のうち比重の大きな液相成分が主に流入すると、扁平多穴管21bの他端側から流出する冷媒は過熱度が付きにくく、蒸発することなく扁平多穴管21bの他端側に到達してしまうことがあり、やはり、熱交換の能力を十分に発揮させることができない部分が生じることになる。
【0136】
これに対して、本実施形態の室外熱交換器20を低循環量の状態で用いた場合には、上昇用空間61bに供給された冷媒のうち比重の大きな液相成分を従来のものよりも上方に導き、低循環量の時であっても偏流を改善できる。
【0137】
これにより、本実施形態の室外熱交換器20では、低循環量時であっても、上昇用空間61bにおいて高さ位置の異なる部分に配置された複数の扁平多穴管21bに流入する冷媒の状態をできるだけ均一化させることが可能になる。
【0138】
特に、仕切部材70に設けられた上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置を十分に高くしているため、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうちの最上段の扁平多穴管21bに対しても冷媒を導きやすくなり、より下方に接続されている扁平多穴管21bとの流入量の違いを小さくすることができる。
【0139】
(8)暖房運転時の高循環量の場合の室外熱交換器20における冷媒の流れ方
暖房運転時の高循環量の場合の室外熱交換器20における冷媒の流れ方を説明する。ここでは、第2下方折返し部分36および第1上方折返し部分38におけるループ構造と、第2上方折返し部分39におけるループ構造を併せて説明する。
【0140】
第1導入空間61aから上昇用空間61bに流入する冷媒は、比重の異なる気相成分と液相成分が混在した状態になっていることは、低循環量の場合と同様である。
【0141】
高循環量の場合には、上昇用空間61b内に流入する単位時間当たりの冷媒量が多く、冷媒の流速は相対的に早めになる。しかも、上述した低循環量対策として上昇用開口82a,82bの絞り機能を採用していることにより、さらに流速が高められる。さらに、上述した低循環量対策として仕切部材70によって上昇用空間61bの冷媒通過断面積が狭められているため、冷媒の上昇速度は衰えにくくなっている。これにより、高循環量の場合には、上昇用開口82a,82bを勢いよく通過した冷媒のうち比重の大きな液相成分は、上昇用空間61b内において扁平多穴管21bに流入することなく通過して、上方に集まりがちになってしまう。この場合には、比重の大きな液相成分が上方に集まりやすく、比重の小さな気相成分が下方に集まりやすくなり、低循環量の場合とは分布が異なるが、やはり偏流が生じてしまう。
【0142】
これに対して、本実施形態の室外熱交換器20では、上昇用空間61bの上端にまで冷媒の液相成分が多く到達したとしても、その冷媒を、上部連通路73を介して下降用空間62bに導き、下降用空間62bにおいて重力によって降下させた後、下部連通路72を介して、再び、上昇用空間61bの下方に戻すことができる。
【0143】
下部連通路72を介して上昇用空間61bの下方に戻された冷媒は、当該下方の位置に接続されている扁平多穴管21bに流入するか、上昇用開口82a,82bを通過した冷媒の上昇流れに引きずられるようにして、再度、上昇用空間61b内を上昇していき、各扁平多穴管21bに流入することができる(冷媒は複数回ループしてもよい。)。
【0144】
これにより、本実施形態の室外熱交換器20では、高循環量時であっても、上昇用空間61bにおける高さ位置の異なる部分に配置された複数の扁平多穴管21bに流入する冷媒の状態をできるだけ均一化させることが可能になる。
【0145】
特に、仕切部材70に設けられた上部連通路73の内周の上縁部73uの高さ位置を十分に高くすることで、上昇用空間61bの上方に集まりがちになっている冷媒を効率的に下降用空間62b側に導くことが可能になり、上述の冷媒のループを生じさせやすくすることが可能になっている。
【0146】
(9)空気調和装置1の室外熱交換器20の特徴
(9−1)
本実施形態の室外熱交換器20では、仕切部材70に設けられた上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより下方であって、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bよりも上方に位置するように構成されている。
【0147】
このため、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際において、上昇用空間61bを上昇してきた冷媒が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bに到達する前に上部連通路73を上昇用空間61b側から下降用空間62b側へと流れてしまうことを抑制し、当該最上段の扁平多穴管21bに対しても十分に冷媒を導くことが可能になっている。
【0148】
これにより、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち2番目以降の扁平多穴管21bを流れる冷媒の量や気液の割合と、当該最上段の扁平多穴管21bを流れる冷媒の量や気液の割合と、の差を小さくすることで、偏流を抑制させることが可能になっている。
【0149】
特に、上記実施形態では、上部連通路73の内周の下縁部73dの高さ位置が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bの下端を構成している下面と、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bの上端を構成している上面と、の間の真ん中の高さ位置(これらの平均の高さ位置)よりも上方に位置するように構成されている。このため、当該最上段の扁平多穴管21bに対して十分に冷媒を導く効果をより高めることが可能になっている。
【0150】
(9−2)
本実施形態の室外熱交換器20は、上部連通路73の内周の上縁部73uの高さ位置が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより上方に位置するように構成されている。
【0151】
このため、当該最上段の扁平多穴管21bに対して十分に冷媒を導く効果をさらに高めることが可能になっている。
【0152】
また、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際に、冷媒循環量が高い場合であっても、上昇用空間61bの上方に冷媒が集まり気味になることを抑制し、上部連通路73を介して下降用空間62b側に冷媒を導きやすくすることが可能になっている。
【0153】
なお、本実施形態の室外熱交換器20では、仕切部材70以外の部材を主として仕切部材70に対して固定することが可能な構造を採用することで、折返しヘッダ24の構造強度を高めつつ製造を容易にすることができている。ここで、仕切部材70に対して整流板82が貫通するように取り付けられることで構造強度を高めつつ製造を容易化させた構成を採用した場合であっても、上部連通路73の内周の上縁部73uの高さ位置を上述のように高く位置させることで、当該最上段の扁平多穴管21bに対して十分に冷媒を導く効果をも同時に実現させることが可能になっている。
【0154】
(9−3)
本実施形態の室外熱交換器20では、折返しヘッダ24が延びている方向である鉛直方向から見た場合において、上昇用空間61bのうち扁平多穴管21bを除いた部分に対応する面積が、下降用空間62bに対応する面積よりも小さくなるように構成されている。
【0155】
このため、上昇用空間61bにおいて冷媒が上昇する際に通過する面積が十分に小さく構成されているため、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bにまで冷媒をさらに到達させやすくすることが可能になっている。
【0156】
(9−4)
本実施形態の室外熱交換器20では、室外熱交換器20内の冷媒流れにおける冷媒の入口から冷媒の出口に至るまでの折返し地点近傍においてループ構造を採用することができている。この室外熱交換器20の折返し地点近傍では、特に、気液二相状態の冷媒が状態変化しながら流れることになる。
【0157】
このため、本実施形態の室外熱交換器20では、このように気液の割合が変化しやすい箇所において、上下に並ぶ複数の扁平多穴管21bにおける冷媒の偏流を抑制させることが可能になるため、偏流抑制効果を顕著に得ることが可能になっている。
【0158】
(9−5)
本実施形態の室外熱交換器20では、容量可変の圧縮機91を採用し、空調負荷に応じた容量制御を行うことで、空調負荷の変化に対応することが可能になっている。
【0159】
そして、空調負荷に対応するために圧縮機91の容量を変えることで冷媒循環量が高めになる場合であっても、上昇用空間61b内の上方に冷媒が集まることを抑制し、上部連通路73と下降用空間62bと下部連通路72とを介して冷媒をループさせることが可能になっている。
【0160】
また、空調負荷に対応するために圧縮機91の容量を変えることで冷媒循環量が低めになる場合であっても、整流板82に形成された上昇用開口82a,82bを通過する際に冷媒流速が上げられること、仕切部材70によって仕切られることで上昇用空間61bが狭められていること、扁平多穴管21bが上昇用空間61b内に大きく入り込んでいるため冷媒上昇面積を小さくできていることから、冷媒の上昇速度の減衰を抑えて、上昇用空間61bの上方にまで冷媒を到達させやすくすることが可能になっている。
【0161】
以上により、本実施形態の室外熱交換器20は、低循環量の場合であっても高循環量の場合であっても、いずれの場合であっても、上昇用空間61bにおいて鉛直方向に複数並んで配置された扁平多穴管21bに対する冷媒の偏流を小さく抑えることができる。
【0162】
(10)他の実施形態
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
【0163】
(10−1)他の実施形態A
上記実施形態では、扁平多穴管21bの長手方向から見た場合に仕切部材70に設けられた上部連通路73が略矩形であり、上部連通路73の下縁部73dが水平方向に延びている場合を例に挙げて説明した。
【0164】
しかし、例えば、図13に示すように、上部連通路73の下縁部73dは、水平方向に延びておらず、中央近傍が下方に位置するような形状であってもよい。
【0165】
この場合においても、上部連通路73の下縁部73dの平均高さ位置73d’は、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより下方であって、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち上から2番目の扁平多穴管21bよりも上方に位置しており、特に、当該最上段の扁平多穴管21bの下端を構成している下面と、当該2番目の扁平多穴管21bの上端を構成している上面と、の間の真ん中の高さ位置よりも上方に位置していることが好ましい。
【0166】
ここで、上部連通路73の下縁部73dとは、上部連通路73の縁のうち法線ベクトルに鉛直上方成分が含まれている部分をいう。
【0167】
なお、上部連通路73の下縁部73dの平均高さ位置73d’が上記条件を満たせばよいため、図13に示すように、上部連通路73の下縁部73dの一部のみが最上段の扁平多穴管21bよりも上方に位置していてもよい。また、上部連通路73の下縁部73dの一部のみが上から2番目の扁平多穴管21bよりも下方に位置していてもよい。
【0168】
(10−2)他の実施形態B
上記実施形態では、扁平多穴管21bの長手方向から見た場合に仕切部材70に設けられた上部連通路73が略矩形であり、上部連通路73の上縁部73uが水平方向に延びている場合を例に挙げて説明した。
【0169】
しかし、例えば、図14に示すように、上部連通路73の上縁部73uは、水平方向に延びておらず、中央近傍が上方に位置するような形状であってもよい。
【0170】
この場合においても、上部連通路73の上縁部73uの平均高さ位置73u’が、上昇用空間61bに接続されている複数の扁平多穴管21bのうち最上段の扁平多穴管21bより上方に位置していていることが好ましい。
【0171】
ここで、上部連通路73の上縁部73uとは、上部連通路73の縁のうち法線ベクトルに鉛直下方成分が含まれている部分をいう。
【0172】
なお、上部連通路73の上縁部73uの平均高さ位置73u’が上記条件を満たせばよいため、図14に示すように、上部連通路73の上縁部73uの一部のみが最上段の扁平多穴管21bよりも下方に位置していてもよい。
【0173】
(10−3)他の実施形態C
上記実施形態では、折返しヘッダ24は、仕切部材70が多穴側部材61と配管側部材62とによって挟まれるように構成されている場合を例に挙げて説明した。
【0174】
これに対して、例えば、折返しヘッダ24は、1つの円筒形状の部材の内側に1つの仕切部材が設けられるようにして構成されていてもよい。
【0175】
(10−4)他の実施形態D
上記実施形態では、折返しヘッダ24の長手方向が鉛直方向となるように設けられた室外熱交換器20を例に挙げて説明した。
【0176】
これに対して、例えば、折返しヘッダ24の長手方向が鉛直方向に対して傾斜した方向となるような室外熱交換器20であってもよい。
【符号の説明】
【0177】
1 空気調和装置
2 空調室外機
3 空調室内機
20 室外熱交換器(熱交換器)
21 熱交換部
21a 伝熱フィン(フィン)
21b 扁平多穴管(扁平管)
21ba 複数の流入口
22 分流器
23 連結ヘッダ
24 折返しヘッダ(ヘッダ集合管)
25 連絡部
26 出入口ヘッダ管
31 ガス冷媒配管
32 液冷媒配管
61 多穴側部材
61a 第1導入空間
61b 上昇用空間(第1空間)
62 配管側部材
62a 第2導入空間
62b 下降用空間(第2空間)
70 仕切部材
71 導入連通口
72 下部連通路
73 上部連通路
73d 下縁部
73u 上縁部
80 バッフル
81 下方仕切板
82 整流板
82a 上昇用開口(流入口)
82b 上昇用開口(流入口)
83 上方仕切板
91 圧縮機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0178】
国際公開第2007/094422号
図1
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