【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)オムロンヘルスケア株式会社が、平成27年1月6日〜平成27年1月9日に、2015 International CES(CES国際家電ショー)において、出野徹、江下就介、村田悠及び田邊友香が発明した、健康データ管理装置および健康データ管理システムを公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
1.構成
図1は、健康データ管理システムの構成を示す図である。健康データ管理システム100は、指標データを管理する携帯情報端末1と、指標データを測定する測定機器5とを含む。
【0027】
測定機器5は、体温、血圧、血糖値、脈拍数、体脂肪等のユーザ(被測定者)の生体情報や歩数や歩行距離/走行距離等の活動に関する情報を測定する装置であり、例えば、血圧計、血糖計、歩数計、体重体組成計、体温計、活動量計である。測定機器5は、測定した値(体重、血圧、歩数、BMI、消費カロリ等)を健康に関する指標データとして、無線通信により携帯情報端末1に送信する。
【0028】
携帯情報端末1は、測定機器5から受信した指標データを内部のデータベースに登録する。携帯情報端末1は、他の機器と無線通信可能であり、データを記憶して種々のデータ処理が可能な情報処理装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル端末である。なお、以下の説明では、一例として、携帯情報端末1はスマートフォンであるとして説明する。
【0029】
すなわち、携帯情報端末1は、
図2に示すように、血圧計5a、血糖計5b、歩数計5c、体重体組成計5d、体温計5eのような様々な測定機器5と無線接続可能であり、各測定機器5a〜5eから指標データ(血圧、血糖値、歩数等)を取得し、それを内部で管理する機能を有する。
【0030】
なお、携帯情報端末1は、予め登録された測定機器5からのみ指標データを取得する。このため、携帯情報端末1に指標データを送信する測定機器は、携帯情報端末1が管理するテーブル(詳細は後述)に事前に登録されている必要がある。
【0031】
携帯情報端末1は取得した指標データをデータベースに登録する。データベースに登録された指標データは
図3に示すような表示形式で表示することができる。
図3に示す画面には、最新の指標の値を示すアイコン(以下「指標パネル」という)41が複数表示されている。
図3の例では、体重(Weight)、体脂肪(Body Fat)、内臓脂肪(Visceral Fat)、骨格筋(skeletal muscle)、体年齢(Body Age)等をそれぞれ示す指標パネルが表示されている。各指標パネルは、それぞれが視認し易いように色分けして表示されている。このようなパネル表示により、ユーザは自己の健康状態や活動に関する状況を容易に確認することができる。なお、
図3に示す画面は、携帯情報端末1の表示部13に表示された健康管理アプリケーション(詳細後述)を示すアイコンがユーザにより操作(タップ)されたときに表示される。以下この画面を「ホーム画面」という。
【0032】
携帯情報端末1は、
図4に示すように、ネットワーク(例えば、インターネット)200を介してクラウドサーバ90に接続されてもよい。携帯情報端末1は、自己が管理する指標データを、ネットワーク200を介してクラウドサーバ90に送信し、クラウドサーバ90において指標データを管理するようにしてもよい。または、携帯情報端末1は、クラウドサーバ90において管理される指標データを、ネットワーク200を介して取得して利用するようにしてもよい。
【0033】
1.1 携帯情報端末
図5は、携帯情報端末1の構成を示した図である。携帯情報端末1は、その全体動作を制御するコントローラ11と、種々の情報を表示する表示部13と、ユーザが操作を行う操作部15と、RAM16と、データやプログラムを記憶するデータ記憶部17とを備える。さらに、携帯情報端末1は、外部機器と通信を行うための第1及び第2無線通信部18、19を備える。
【0034】
表示部13は例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。操作部15は、タッチパネルやボタンを含む。タッチパネルはその操作領域が表示部13の表示領域と重畳するように配置される。ボタンは、携帯情報端末1に物理的に設けられたボタンや、表示部13に表示された仮想的なボタンを含む。
【0035】
第1無線通信部18は、3G、4G、LTE、WiMAX(登録商標)といった通信規格にしたがい通信を行うための回路(モジュール)である。第2無線通信部19は、Bluetooth(登録商標)規格にしたがい通信を行うための回路(モジュール)である。
【0036】
RAM16は、例えば、DRAMやSRAM等の半導体デバイスで構成され、データを一時的に記憶するとともに、コントローラ11の作業エリアとしても機能する。
【0037】
データ記憶部17は所定の機能を実現するために必要なパラメータ、データ及び制御プログラム等を記憶する記録媒体である。データ記憶部17は例えばハードディスク(HDD)や半導体記憶装置(SSD)で構成される。
【0038】
コントローラ11は、制御プログラム31(ソフトウェア)を実行することで所定の機能を実現する。なお、本実施形態では、データ記憶部17に制御プログラムとして、健康管理アプリケーションプログラム(以下「健康管理アプリ」という)が予め実装されており、コントローラ11はこの健康管理アプリを実行することにより以下に説明する機能を実現する。
【0039】
1.2 テーブル、データベース
図5に示すように、データ記憶部17は、コントローラ11により実行される制御プログラム31に加えて、制御に必要な情報として、機器情報テーブル32、パネル情報テーブル33及び指標データベース(DB)34を格納している。以下、各テーブル、データベースについて説明する。
【0040】
(1)機器情報テーブル
機器情報テーブル32は携帯情報端末1に登録された測定機器5を管理するためのテーブルである。すなわち、測定機器5の情報(機器型式名、機器カテゴリ等)を機器情報テーブル32に登録することにより、測定機器5を携帯情報端末1に登録する。
図6(A)に、機器情報テーブル32のデータ構造を示す。機器情報テーブル32は、機器型式名、機器カテゴリ、対象国、ペアリング、接続中、指標数、指標1、指標2、指標3、・・・の項目を有する。
【0041】
「機器型式名」には、測定機器5の型式名を示す情報を格納し、「機器カテゴリ」には測定機器5の種類を示す情報を格納する。「対象国」は本健康管理アプリを使用している国を示す情報を格納する。「ペアリング」には、携帯情報端末1と測定機器5との間のペアリングが済みであるか否かを示す情報を格納する。「接続中」は、携帯情報端末1と測定機器5との間で通信が確立されているか否かを示す情報を格納する。
【0042】
ここで、指標1、指標2、指標3・・・は、測定機器5から取得する指標の値を格納し、具体的にどのような指標が割り当てられるかは測定機器毎によって異なる。例えば、測定機器5が血圧計の場合、“最高血圧”、“最低血圧”、“脈拍数”等がそれぞれ指標1、指標2、指標3・・・に割り当てられる。また、測定機器5が体重体組成計の場合、“体重”、“体脂肪”、“体年齢”等がそれぞれ指標1、指標2、指標3・・・に割り当てられる。
【0043】
(2)パネル情報テーブル
パネル情報テーブル33は、携帯情報端末1の表示部13に表示される指標パネル41(
図3参照)に関する情報を管理するテーブルである。すなわち、携帯情報端末1上で健康管理アプリのアイコンが操作されたときに表示される画面において、パネル情報テーブル33に登録されている指標パネルのみが表示される。
図6(B)に、パネル情報テーブル33のデータ構造を示す。
【0044】
パネル情報テーブル33は、タイトル、機器No、データ取得日、サイズ、位置(X)、位置(Y)、個人番号、単位、機器登録フラグ等の項目を含む。タイトルは指標パネルの名称である。例えば、血圧の測定結果を示すパネルには”Blood Pressure”の名称が付けられる。機器Noは、測定機器5を特定するための番号(識別番号)である。機器Noを介して機器情報テーブル32を参照することで、各指標パネルに関連した測定機器5の機器型式名や指標の名称を把握することができる。
【0045】
データ取得日は、その指標パネルに関する指標の最新の取得日を示す。サイズは、指標パネルのサイズを示す。位置(X)、位置(Y)は、表示部13上の指標パネルの表示位置(座標)を示す。個人番号は、ユーザを識別するための番号である。単位は、指標パネルに表示する測定値の単位である。機器登録フラグは、指標パネルに対応する測定機器5が携帯情報端末1に現在登録されているか否かを示すフラグである。機器登録フラグが「ON」の場合、その指標パネルに対応する測定機器が現在登録されていることを示し、「OFF」の場合、その測定機器が登録後に削除されたことを示す。
【0046】
(3)指標データベース
指標データベース34は、各測定機器5から受信した指標データを管理するデータベースである。
図7に指標データベース34のデータ構造を示す。指標データベース34は、測定機器5毎に受信したデータを1レコードとして管理する。具体的には、指標データベース34は、レコードNo、機器No、データ取得日、指標1、指標2、指標3,・・・の項目を管理する。レコードNoは、レコードの番号である。機器Noは測定機器5を特定するための番号(識別番号)である。データ取得日は測定機器5からデータを取得した日付である。指標1、指標2、・・・は、測定機器5から取得する指標の値を格納し、具体的にどのような指標が割り当てられるかは測定機器5によって異なる。
【0047】
1.3 測定機器
図8に測定機器5の構成を示す。測定機器5は、その全体動作を制御するコントローラ51と、種々の情報を表示する表示部53と、ユーザが操作を行う操作部55と、データを一時的に記憶するRAM56と、データやプログラムを記憶するデータ記憶部57と、外部機器(特に、携帯情報端末1)と通信を行うための無線通信部58と、生体情報等を測定する測定部59とを備える。
【0048】
表示部53は例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。操作部55は、ボタンやタッチパネルのようなユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースである。ボタンは、測定機器5に物理的に設けられたボタンや表示部13に表示された仮想的なボタンを含む。
【0049】
無線通信部58は、Bluetooth(登録商標)規格にしたがい通信を行うための回路(モジュール)である。
【0050】
RAM56は、例えば、DRAMやSRAM等の半導体デバイスで構成され、データを一時的に記憶するとともに、コントローラ51の作業エリアとしても機能する。
【0051】
データ記憶部57は所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、指標の測定値及び算出した指標値等を記憶する記録媒体である。データ記憶部57は例えばハードディスク(HDD)や半導体記憶装置(SSD)で構成される。
【0052】
コントローラ51は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。なお、本実施形態では、データ記憶部57に制御プログラムとして、測定機器用の健康管理アプリケーションプログラム(健康管理アプリ)が予め実装されており、コントローラ51はこの健康管理アプリを実行することにより以下に説明する機能を実現する。
【0053】
測定部59は、血圧、血糖、体温、脈拍、歩数等、種々の生体情報を測定するセンサや、GPS(Global Positioning System)等の現在位置を測定するセンサを備える。どのようなセンサを備えるかは、測定機器5の機能すなわち測定対象により異なる。
【0054】
測定機器5は、測定部9により測定した血圧、血糖、体温、脈拍、歩数、歩行距離、BMI、消費カロリ等の情報を、指標データとして無線通信部58を介して携帯情報端末1に転送する。なお、測定機器5が測定結果として測定する情報には、測定部59により測定した値(体温、血圧、血糖値等)と、測定した値と他の要素を考慮して算出した値(BMI、消費カロリ等)とが含まれる。
【0055】
2.機能及び動作
以上のように構成される健康データ管理システム100の動作を説明する。以下に説明する機能及び動作は、携帯情報端末1のコントローラ11が健康管理アプリのプログラムを実行することにより実現される。
【0056】
携帯情報端末1は、
図2に示すように各測定機器5a、5b、・・・から指標データを受信し、携帯情報端末1内の指標データベース34に格納する。携帯情報端末1は自装置内に指標データベース34を格納しているため、外部のネットワークに接続することなく、随時データベース34を参照でき、指標データを取得することができる。
【0057】
2.1 ホーム画面の表示
ユーザにより、携帯情報端末1の表示部13に表示された健康管理アプリのアイコン(図示せず)がクリックされると、
図3に示すような各指標の値を示すパネルを含んだホーム画面が表示される。
図9のフローチャートを参照し、健康管理アプリのホーム画面の表示制御を説明する。
【0058】
ユーザにより表示部13上で健康管理アプリのアイコンがクリックされると(S00でYES)、コントローラ11は、パネル情報テーブル33を参照し、表示部13に表示すべきパネルの種類に関する情報を取得する(S01)。次に、コントローラ11は、パネル情報テーブル33に登録されている機器Noをキーとして機器情報テーブル32を参照し、機器No毎に機器型式名や、指標1、2、・・・の名称を取得する(S02)。さらに、コントローラ11は、パネル情報テーブル33に登録されている各機器Noをキーとして、指標データベース34を検索し、機器毎に最新の各指標の値(すなわち最新のデータ取得日を持つ)を取得する(S03)。その後、コントローラ11は、取得した名称や指標の値に基づきパネルを含むホーム画面を生成し、生成したホーム画面を表示部13に表示する(S04)。このようにして
図3に示すような各指標を示すパネル41を含むホーム画面が表示される。
【0059】
2.2 指標パネルのサイズ
測定機器5毎に表示される複数の指標パネルのサイズに関して、その測定機器5を代表する指標を示す指標パネルを、他の指標パネルよりも大きいサイズで表示する。例えば、測定機器5が血圧計であれば、最高血圧/最低血圧を示す指標パネルのサイズを最も大きくし、他の指標(例えば、脈拍)の指標パネルは小さくする。また、測定機器5が体重計であれば、体重を示す指標パネルを最も大きくして表示する。すなわち、測定機器毎に最も重要な指標を示す指標パネルのサイズを大きくし、その他の指標を示す指標パネルのサイズは小さくする。
【0060】
また、表示部13に表示される指標パネルの数が多くなった場合、画面スクロールによって全ての指標パネルを閲覧できるようにしてもよいし、全指標パネルが一画面内に収まるように各パネルの大きさを調整するようにしてもよい。
【0061】
2.3 指標パネルの追加
測定機器5は、携帯情報端末1に表示された所定の登録画面(図示せず)を介して携帯情報端末1に登録されることができる。測定機器5の登録により、機器情報テーブル32に機器の情報が登録される。携帯情報端末1(すなわち、機器情報テーブル32)に測定機器5が新たに登録されると、その測定機器に対応した指標パネルがホーム画面(すなわち、パネル情報テーブル33)に追加される。
【0062】
このとき、追加される指標パネルは測定機器毎に異なる。例えば、測定機器5が血圧計であるときには、
図10(A)に示すように、血圧と脈拍をそれぞれ示す指標パネルが追加される。また、測定機器5が血糖計であるときは、
図10(B)に示すように、血糖値を示す指標パネルが追加される。測定機器5が歩数計であるときには、
図11(A)に示すように、歩数、歩行距離、消費カロリ等をそれぞれ示す指標パネルが追加される。また、測定機器5が体重体組成計であるときは、
図11(B)に示すように、体重、体脂肪、内臓脂肪等を示す指標パネルが追加される。
【0063】
1つの携帯情報端末1に対して、同一カテゴリ(例えば血圧計カテゴリ)の複数の測定機器を登録することができる。この場合、それぞれの測定機器の指標パネルが追加され、それぞれの測定機器の最新の測定結果が表示される。例えば、自宅用に据置に適した上腕血圧計と、出張用や職場用の持ち運びが容易な手首血圧計とをそれぞれ登録することができる。この場合、それぞれの血圧計の指標パネルが追加され、それぞれの血圧計の最新の測定結果が表示される。
【0064】
2.4 指標パネル背景色の変化
本実施形態の健康管理アプリは、指標パネルが示す指標が長い間更新されない場合に、その旨をユーザに伝えるため、指標データが更新されない期間(以下「無更新期間」という)の長さに応じて指標パネルの背景の色(彩度)を変化させる。具体的には、無更新期間が長くなるほど、指標パネルが色褪せるように指標パネルの背景色の彩度を変化させる。すなわち、
図12に示すように、指標パネル41a、41bの指標データが無更新期間が長くなると、
図12(A)に示す状態から、
図12(B)に示すように指標パネル41a、41bの背景色が薄くなるよう変化させる。指標パネル41cについては、指標データが比較的新しいため、指標パネルの色は変化させていない。これにより、ユーザは、複数の指標パネルのうち指標パネル41a、41bについて、それらの指標が特に長い間更新されていないことを容易に把握することができる。
【0065】
図13は、指標パネルの表示色の変更制御を示すフローチャートである。コントローラ11は、パネル情報テーブル33を参照し、各指標パネルについてデータ取得日を取得する(S1)。コントローラ11は、取得したデータ取得日と現在日時の情報に基づいて、各指標パネルについてデータが更新されていない期間を算出する(S2)。コントローラ11は、各指標パネルについて、算出した無更新期間の長さに応じて指標パネルの背景色の色を変化させる(S3)。このとき、背景色の色は、無更新期間の長さに応じて段階的にまたは連続的に変化させる。これにより、ユーザは指標データが更新されていない期間の長さを直観的に把握することができる。
【0066】
2.5 バックグラウンドでのデータ転送(更新)
携帯情報端末1上において、健康管理アプリが見かけ上起動されていない状態(ホーム画面が表示されていない状態)であっても、バックグラウンドで起動されている場合、定期的に測定機器から最新の指標データを自動的に取得する。これにより、ユーザは、特に更新タイミングを意識する必要がなく、常に最新のデータを閲覧することが可能となる。バックグラウンドでのデータ転送を行うか否かは、ユーザにより設定できるようになっている。以下この設定を「バックグラウンド転送設定」という。
【0067】
図14は、このようなバックグラウンドでのデータ転送に関する制御を示すフローチャートである。この制御は、バックグラウンド転送設定がONの場合に定期的にすなわち所定期間毎に実行される。コントローラ11は、機器情報テーブル32を参照し、機器情報テーブル32に登録された測定機器の中のアドバタイズしている測定機器5を検索する(S11)。
【0068】
ここで、アドバタイズとは、Bluetooth規格により定まる動作であり、自己の存在を他の機器に通知するための動作である。測定機器5は、機器の種類毎に所定のタイミングでアドバタイズを行う。例えば、測定機器5は、所定ボタンが押下されたときに所定期間(例えば3分間)の間アドバタイズしたり、未送信のデータがある場合に常にアドバタイズしたりする。または、測定対象の情報を測定したときに所定期間(例えば60分間)の間アドバタイズしてもよい。
【0069】
コントローラ11は、アドバタイズしている測定機器5と通信を確立する(S12)。コントローラ11は、通信を確立した測定機器5に対して最新の指標データの転送を要求することにより、最新の指標データを受信する(S13)。コントローラ11は、受信した指標データに基づき指標データベース34を更新する(S14)。
【0070】
以上のようにして、バックグラウンド転送設定がONのとき、バックグラウンドでのデータ転送が行われる。
【0071】
2.6 データ一括転送(更新)
ユーザにより操作部(タッチパネル)15上でホーム画面の引き下げ操作が行われた場合、携帯情報端末1は、登録されている測定機器5と通信を行ない、測定機器5から指標データを一括して取得する。具体的には、ユーザが
図15(A)に示すようなホーム画面上である領域を指でタッチし、
図15(B)に示すように、そのまま下方にスライドさせ、その後、ユーザが指を画面から離す(
図15(C))操作を行った場合に、携帯情報端末1は測定機器5と通信し、測定機器5から一括して指標データを取得する。それにより、取得した指標データにより指標データベース34が更新されるとともに、画面上の指標パネルの表示も更新される(
図15(D))。
【0072】
図16のフローチャートを参照して、このような一括データ転送に関する制御を説明する。コントローラ11は、ホーム画面の引き下げ操作が検出されたか否かを判断する(S21)。ホーム画面の引き下げ操作が検出された場合、コントローラ11は、機器情報テーブル32に登録された測定機器5においてアドバタイズ中の機器を検索し(S22)、アドバタイズ中の測定機器5と通信を確立する(S23)。コントローラ11は、通信を確立した測定機器5に対して最新の指標データの転送を要求することにより、測定機器から指標データを受信する(S24)。コントローラ11は、受信した指標データに基づき指標データベース34を更新する(S15)。
【0073】
以上のようにして、ユーザによるホーム画面の引き下げ操作が行われたときに、データ転送が行われる。
【0074】
2.7 個別データ転送
健康管理アプリは、測定機器毎に指標データを更新する機能を有する。このため、
図17に示すように、指標パネルの右上領域に更新ボタン43を表示している。この更新ボタン43がタップされると、その更新ボタン43を含む指標パネルに関連する測定機器から指標データを受信して指標データの更新を行う(
図17(B))。このように更新ボタン43がタップされたときは、測定機器個別にデータ転送が行われてデータが更新される。
【0075】
図18のフローチャートを参照して、このような機器個別のデータ転送(更新)に関する制御を説明する。コントローラ11は、更新ボタン43がタップされたか否かを検出する(S31)。コントローラ11は、更新ボタン43がタップされた場合、パネル情報テーブル33を参照し、更新ボタン43がタップされた指標パネルに関連する測定機器を特定する(S32)。そして、コントローラ11は、第2無線通信部19を介してアドバタイズしている機器を検索し、さらに、アドバタイズ中の機器の中で特定した測定機器が検出されたか否か判断する(S33)。特定した機器が検出されなかった場合(S33でNO)、本処理は終了する。
【0076】
特定した機器が検出された場合(S33でYES)、コントローラ11は、検出した測定機器と第2無線通信部19を介して通信を確立する(S34)。通信確立後、コントローラ11は、その測定機器に対してデータ転送を要求することにより、測定機器から指標データを取得する(S35)。コントローラ11は、取得した指標データに基づき指標データベース34およびパネル情報テーブル(データ取得日)を更新する(S36)。そして、コントローラ11は、最新の情報に基づき指標パネルの表示を変更する(S37)。具体的には、指標パネルにおける指標の値および/または背景色を変更する。
【0077】
以上のようにして、測定機器毎のデータ転送(データ更新)を行うことができる。なお、上記の例では、指標パネルに設けられた更新ボタンのタップ操作によって、測定機器毎のデータ転送を開始したが、指標パネルに対する他の操作(例えば、指標パネルの領域のタップ操作)によって測定機器毎のデータ転送を開始してもよい。
【0078】
2.8 パネル移動
健康管理アプリは、ユーザ操作によりホーム画面上での指標パネルの位置を変更する機能を有する。例えば、
図19(A)〜(C)に示すように、指標パネル41cをドラッグ操作して所望の位置に移動する。これにより、指標パネル41cの位置を変更することができる。
【0079】
図20のフローチャートを参照し、指標パネルの移動制御を説明する。コントローラ11は、指標パネルに対する移動操作(ドラッグ操作)を検出すると(S41でYES)、移動操作に応じて、画面上で指標パネルを移動させる(
図19(B)参照)(S42)。その後、コントローラ11は移動操作の終了を検出すると(S43でYES)、移動操作の終了位置に移動していた指標パネルを配置するように、指標パネルのレイアウトを変更する(S44)。その後、コントローラ11は、パネル情報テーブル33を更新する(S45)。具体的には、パネル情報テーブル33において、位置が変更された指標パネルの位置(X)、位置(Y)の値が更新される。
【0080】
以上のように、指標パネルを移動することができ、ユーザは好みのレイアウトにカスタマイズすることができる。
【0081】
なお、指標パネルを画面(表示部13の表示領域)外に移動させるような操作がなされた場合、その指標パネルを削除するようにしてもよい。すなわち、指標パネルの所定値以上の割合の部分が画面外にはみ出るように、指標パネルが移動された場合、その指標パネルは削除するようにしてもよい。
【0082】
また、使用頻度の高い指標パネルが画面の上部に配置されるように自動的に指標パネルを移動させてもよい。このためには、コントローラ11は各指標パネルのタップ回数をデータ記憶部17にカウントして記憶する。コントローラ11は定期的にカウント値をチェックし、カウント値に基づき、使用頻度の高いパネルがより上側に配置されるように各指標パネルの位置を再配置する。
【0083】
2.9 グラフ表示
健康管理アプリは、ホーム画面上の指標パネルの領域をユーザがタップすると、その指標パネルが示す指標のグラフを表示する機能を有する。
図21は、種々の指標パネルがタップされた場合に表示されるグラフを示した図である。
図21(A)は、血圧を示す指標パネルがタップされた場合に表示される血圧計グラフを示す。
図21(B)は、血糖を示す指標パネルがタップされた場合に表示される血糖計グラフを示す。
図21(C)は、歩数を示す指標パネルがタップされた場合に表示される歩数計グラフを示す。
図21(D)は、体重を示す指標パネルがタップされた場合に表示される体重計グラフを示す。
【0084】
図22のフローチャートを参照し、指標のグラフ表示制御について説明する。コントローラ11は、指標パネルに対するタップ操作を検出すると(S51でYES)、タップされた指標パネルに関連する指標について指標データベース34からグラフに使用するデータを取得し(S52)、取得したデータに基づきグラフを生成し、表示部13に表示する(S53)。
【0085】
以上のようにして、それぞれの指標についてグラフ化が可能である。なお、上記の例では、指標パネルの領域のタップ操作によって、グラフ表示を行ったが、指標パネルに対する他の操作(例えば、指標パネルに設けられたボタンの操作)によってグラフ表示を行ってもよい。
【0086】
また、各グラフの横軸は期間であるが、その期間を、週間(Week)、月間(Month)または年間(Year)に切り替えることができる。期間を任意に設定できるので、ユーザは各指標について、所望の期間における経時的な変動(日内変動、曜日変動、中期的な変動、長期的な変動等)を把握することができる。
【0087】
また、指標において種々の観点からグラフ化することも可能となっている。このため、
図21に示すようにグラフ表示画面においてボタン45b〜45dが用意されている。例えば、血糖値については、
図21(B)に示すグラフにおいてボタン45bをタップすることで、
図23(B)に示すように、食前/食後それぞれにおける血糖値の平均値の変化の様子を示すグラフをさらに表示することができる。また、歩数について、
図21(C)に示すグラフにおいてボタン45cをタップすることで、
図23(C)に示すように、前期間と現在の活動の進捗を比較するグラフを表示することができる。また、体重について、
図21(D)に示すグラフにおいてボタン45dをタップすることで、
図23(D)に示すように、1日における体重の最大値と最小値とを表示するグラフを表示することができる。これにより、ユーザは1日の体重の変動を知ることができる。
【0088】
また、表示部13に表示されたグラフに対して左右(期間の前後)方向にスライド操作があった場合、スライド方向に応じてそのグラフの表示期間が前後の表示期間に切り替えられて表示される。例えば、右方向にスライド操作がなされた場合、前の期間のデータのグラフが表示される。例えば、
図24の例の場合、当初、
図24(A)に示すように、2014年9月のデータがグラフ表示されていた状態で、
図24(B)に示すように、右方向にスライド操作がなされた場合は、
図24(C)に示すように、前の期間である2014年8月のデータがグラフ表示される。
【0089】
また、同一カテゴリの複数の測定機器が携帯情報端末1に登録されている場合に、それぞれの測定機器の指標パネルから表示されるグラフは、同一カテゴリの各測定機器の値をマージした値が表示される。すなわち、コントローラ11は、一の測定機器の指標についてグラフを表示する場合、その測定機器の測定結果と、その測定機器と同一カテゴリの他の測定機器の測定結果とをマージしてグラフを生成する。例えば、自宅用に据置に適した上腕血圧計と、出張用や職場用の持ち運びが容易な手首血圧計とが携帯情報端末1に登録されている場合、いずれかの血圧計の指標パネルから表示されるグラフは、上腕血圧計による測定結果と、手首血圧計による測定結果とをマージして生成したグラフが表示される。これにより、個人の自宅で測定された血圧値(例えば、朝及び夜の時間帯に測定された値)と職場で測定された血圧値(例えば、昼の時間帯に測定された値)とを一括して把握することができる。
【0090】
以上のように、健康管理アプリによれば、指標データを様々な観点からグラフ化してユーザに提示することができる。これにより、ユーザは指標データの傾向を容易に認識することができる。
【0091】
2.10 パネル合成
健康管理アプリは、ユーザ操作にしたがい複数の指標パネルを合成することが可能である。例えば、
図25(A)〜(C)に順に示すように、体重(Weight)の指標パネル41dを移動させて、歩数(Step)の指標パネル41eに重ねることにより、体重(Weight)の指標パネル41dと歩数(Step)の指標パネル41eとを合成し、合成した指標パネル41fを表示することができる。この場合、1つの指標パネル41fにおいて体重と歩数の指標が表示され、ユーザは複数の関連する指標についてデータの相関を認識することができる。
【0092】
図26のフローチャートを参照し、この指標パネルの合成制御について説明する。コントローラ11は、指標パネルの重なりを検出すると(S61でYES)、重ねられた指標パネルについて合成パネルを生成し、生成した合成パネルを表示部13に表示する(S62)。その後、コントローラ11はパネル情報テーブル33を更新する(S63)。具体的には、新たに生成された合成パネルに関する情報をパネル情報テーブル33に追加するとともに、合成前の元の指標パネルに関する情報を更新する。
【0093】
ここで、指標パネルの重なりとは、少なくとも一方の指標パネルのほぼ全体(所定の割合以上)が他方の指標パネル内に含まれるように重なっている状態をいう。換言すれば、いずれの指標パネルにおいても、各指標パネルの全体の領域に対する重なりのない領域の割合が所定値以上ある場合には、指標パネルの重なりがないとする。この場合は、指標パネルの移動処理(
図20の処理参照)として処理される。
【0094】
合成パネル上の領域がユーザによりタップされた場合は、
図27に示すように、2つの指標をそれぞれ示すグラフが合成されて表示される。なお、
図27は、歩数に関するグラフ101と、血圧に関するグラフ103とが合成されて表示されている例を示している。このようなグラフを参照することで、ユーザは2つの指標の相関関係(
図27の例では歩数と血圧の関係)を直感的に把握することができる。
【0095】
2.11 指標パネルの非表示
ユーザはホーム画面上に表示されている指標パネルを非表示にすることができる。これによって、ホーム画面の表示をシンプルにすることができ、興味のある指標を同一視野内で一覧できるようにすることが可能になる。例えば、指標パネルに削除ボタンを設けておき、ユーザによる削除ボタンに対するタップ操作がなされたときに、コントローラ11は、削除ボタンに対応する指標パネルを非表示にする。このとき、コントローラ11は、パネル情報テーブル33から、削除ボタンに対応する指標パネルの情報を削除する。なお、前述のように指標パネルを表示部13の画面領域外に移動させることによっても、指標パネルを非表示にすることが可能である。
【0096】
2.12 測定機器の登録解除に伴う指標パネルの表示
携帯情報端末1(機器情報テーブル32)に登録されている測定機器の登録を解除する場合に、その測定機器と同一カテゴリの他の測定機器が登録されていない場合は、登録を解除する測定機器の指標パネルについては削除しないようにする。すなわち、その指標パネルは、測定機器の登録解除後も、測定機器と連携しない指標パネルとして表示され続けるようにする。これにより、ユーザは、当該カテゴリの過去の測定結果を保管・参照することが可能となる。この場合、対応する測定機器の登録が解除された指標パネルについて、コントローラ11はパネル情報テーブル33における機器登録フラグを「OFF」に設定する。
【0097】
測定機器の登録が解除された指標パネルが表示されている状態で、その指標パネルのカテゴリと同じカテゴリの測定機器が新たに追加された場合、その指標パネルは削除され、新たに追加された測定機器と関連づけられた指標パネルが追加される。このとき、コントローラ11は、パネル情報テーブル33において、測定機器の登録が解除された指標パネルの情報(レコード)を削除するとともに、新たに追加された指標パネルの情報を追加する。なお、指標データベース34における過去の測定結果は、新たに追加された指標パネルに引き継がれる。これにより、ユーザは一貫して、自身の測定結果を保持・参照し続けることができる。
【0098】
3.まとめ
以上説明したように、実施の形態1の健康データ管理システム100では、携帯情報端末1(健康データ管理装置の一例)が、ユーザ(被測定者の一例)の生体情報(体温、血圧等)や活動情報(歩数、歩行距離等)を測定する測定機器5から、測定した結果に基づく指標データを、無線通信を介して受信する第2無線通信部19(通信部の一例)と、受信した指標データを管理する指標データベース34を格納するデータ記憶部17(記憶部の一例)と、指標データベース34で管理する指標データを所定の表示形式で表示する表示部13(表示部の一例)と、表示部13に表示する画像を制御するコントローラ11(制御部の一例)とを備える。コントローラ11は、指標データベース34で管理する少なくとも一部の指標データについて、指標データ毎に、その指標データの値を示すアイコンである指標パネルを表示部13に表示させる。
【0099】
このように、携帯情報端末1内部に指標データベース34を備え、各測定機器5によって測定された指標を管理する。これにより、指標データベース34で管理されるデータを参照する場合にネットワーク上のサーバに接続する必要がなく、ネットワーク接続環境にかかわらず、指標データベース34のデータを利用することができる。また、表示部13において、指標データベース34で管理される指標データは指標データ毎に指標パネルとして表示される。その際、ユーザが視覚的に認識し易い形式(パネルの色の変化、異なるパネルサイズ、グラフ)でデータが表示される。この表示を参照することで、ユーザは各指標の状態を容易に把握することができる。各測定機器5からのデータは、簡易な操作でユーザが望むタイミングで携帯情報端末1に転送され得る。または、ユーザが意識せずとも自動的に携帯情報端末1に転送され得る。これにより、最新の情報が携帯情報端末1に蓄積され、また、ユーザはそれを確認することができる。よって、実施の形態1のユーザの健康データ管理システム100によれば、健康管理におけるユーザの利便性を向上することができる。
【0100】
なお、実施の形態1において、携帯情報端末1及び測定機器5における操作部15、55の例として、タッチパネルやボタンを示した。しかし、操作部はこれらに限定されるものではなく、任意の入力手段や指示手段を含んでもよい。例えば、タッチパッド、スイッチ、キーボード、マウス等を含んでもよい。
【0101】
実施の形態1では、携帯情報端末1と測定機器5間のデータ転送をBluetooth規格にしたがって行った。しかし、携帯情報端末1と測定機器5間の通信の規格はBluetoothに限定されない。比較的近接した位置にある機器どうしが通信を行う通信規格であればよく、例えばNFC(Near Field Communication)やWiFiにしたがった通信を行っても良い。
【0102】
携帯情報端末1と測定機器5のコントローラ11、51が実行する制御プログラム(健康管理アプリ)は、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体によって提供されてもよいし、通信回線を介してネットワーク上のサーバからダウンロードされてもよい。また、実施の形態1では、コントローラ11、51の機能は、ハードウェアとソフトウェア(アプリケーションプログラム)の協働により実現したが、所定の機能を実現するように専用に設計されたハードウェア回路のみで実現してもよい。よって、コントローラ11は、CPU、MPUのみならず、DSP、FPGA、ASIC等で構成することができる。
【0103】
測定機器5の種類及び測定機器5により測定される生体情報や行動情報の種類は上述したものに限定されるものではない。