特許第6070817号(P6070817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070817
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】電気ケーブル、及び、電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 5/04 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   H02H5/04 170
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-501962(P2015-501962)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(86)【国際出願番号】JP2014004615
(87)【国際公開番号】WO2015059863
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-220797(P2013-220797)
(32)【優先日】2013年10月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-234699(P2013-234699)
(32)【優先日】2013年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-47176(P2014-47176)
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】勝浦 誠
(72)【発明者】
【氏名】住友 正吾
(72)【発明者】
【氏名】三原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】板倉 良和
(72)【発明者】
【氏名】今井 拓也
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0315752(US,A1)
【文献】 実開平04−002480(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス側電力供給線とマイナス側電力供給線で電力を供給する電力供給線を有する電気接続線群と、
前記電気接続線群の少なくとも一端に設けられたプラグとを備え、
前記プラグは、感熱素子と、
外部機器に差し込まれる差込み部と、
前記差込み部のフレームグランドと電気接続され、前記感熱素子を囲む金属シャーシとを備え、
前記差込み部と前記金属シャーシとの接続構造は、部分的に切欠き部を有し、
前記感熱素子と金属シャーシとの間に、熱伝導係数が0.2(W/mK)以下の樹脂部または空気層を有する電気ケーブル。
【請求項2】
前記電気接続線群は、前記電力供給線と並列に配線される温度測定線を有し、
前記感熱素子は、前記電力供給線と前記温度測定線に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル。
【請求項3】
前記感熱素子は、前記プラス側電力供給線に接続されたことを特徴とする請求項2に記載の電気ケーブル。
【請求項4】
前記温度測定線は、網状の線であることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項5】
前記マイナス側電力供給線は、網状の線であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項6】
前記プラグは、USB、ミニUSB、マイクロUSBのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項7】
前記電気接続線群の他端に設けられた第2プラグと、
前記第2プラグ内に、
前記電力供給線に直列に接続されたスイッチング素子と、
前記温度測定線からの入力で前記スイッチング素子をオンオフ制御する制御部を備えることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項8】
前記感熱素子は、前記電力供給線に接続され、
前記感熱素子からの出力が変化することで、オフ状態となる前記電力供給線に直列に接続されたスイッチング素子とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル。
【請求項9】
前記電気接続線群は、前記電力供給線と並列に配線される2本の温度測定線を有し、
前記感熱素子は、前記2本の温度測定線に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の感熱素子とを備える電気ケーブル。
【請求項10】
請求項乃至のいずれかに記載の電気ケーブルに接続され、前記温度測定線から入力した前記感熱素子からの出力の変化に基づいて電力供給を制御する電源装置。
【請求項11】
前記感熱素子と直列に接続された抵抗と、
前記感熱素子と前記抵抗で分圧された電圧と基準電値を比較する比較器と、
前記比較器の出力で電力供給をON/OFFするスイッチング素子を有する請求項10に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置から電子機器に充電電流を供給するときに、電源装置と携帯機器を接続する電気ケーブル、及び、その電気ケーブルを使用した電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気ケーブルついては、以下の特許文献1に開示される。携帯情報端末は、コネクタに電気ケーブルのプラグが挿入された状態において、より効果的に電子部品の熱を筐体外へ放熱することができるように構成されている。つまり、携帯情報端末は、筐体内に回路基板が設置され、金属製の外装ケースを有し、回路基板に取り付けられたコネクタと、回路基板の主面におけるコネクタと異なる場所に設置されて、作動に付随して発熱する電子部品と、電子部品の本体部とコネクタの外装ケースとの両方に接触し、電子部品からコネクタへ熱伝導する熱伝導部材とを備えている。
【0003】
また、特許文献2には、電気自動車に電力供給するための電気ケーブルにおいて、電源プラグや充電カプラに温度センサを備える構成が記載されている。この電気ケーブルは、温度センサが昇温した時、異常発熱が発生したと判断し、充電電流を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012− 94695号公報
【特許文献2】特開2012−196120号公報
【発明の概要】
【0005】
上記の従来の電気ケーブルにおいては、その先端のプラグを、電子機器のコネクタに挿入した状態で、電力を供給するとき、プラグとコネクタの間の導電性の異物等の存在、介在したり、プラグの変形による端子間の短絡で異常発熱が起き、電子機器の熱変形(特に、樹脂外装ケースの変形)が発生することがある。
【0006】
また、電気自動車用の電気ケーブルは、温度センサや温度測定線や温度測定端子を設けることが容易なサイズである。しかしながら、携帯機器を充電するための電気ケーブルは小型のプラグであるため、新たに温度測定線や温度測定端子を設けることは困難である。さらに、規格化されたプラグ及びコネクタ形状を使用する場合、配線や端子の増加を行うことができない。
【0007】
本発明は、これらのような問題点を解決するために成されたものであり、電力を供給する小型、或いは、規格化されたプラグの電力供給時における異常発熱を防止する電気ケーブル等を提供することを目的とする。
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気ケーブルは、プラス側電力供給線とマイナス側電力供給線で電力を供給する電力供給線を有する電気接続線群と、前記電気接続線群の少なくとも一端に設けられたプラグとを備え、前記プラグは、感熱素子と、外部機器に差し込まれる差込み部と、前記差込み部のフレームグランドと電気接続され、前記感熱素子を囲む金属シャーシとを備え、前記差込み部と前記金属シャーシとの接続構造は、部分的に切欠き部を有し、前記感熱素子と金属シャーシとの間に、熱伝導係数が0.2(W/mK)以下の樹脂部または空気層を有する。
【0009】
本構成によって、小型、或いは、規格化されたプラグの温度を測定することができるので、プラグの発熱を感知して充電電流を制御することができる。
【0010】
本発明においては、小型、或いは、規格化されたプラグを用いた電気ケーブルにおいても、プラグが異常に高温となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の電気ケーブルを示す概要図である。
図2】本発明の実施例のプラグの概要図及び分解図である。
図3】本発明の第1実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図4】本発明の第2実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図5】本発明の第3実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図6】本発明の第3実施例の直流電源装置を示す回路図である。
図7】本発明の第4実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図8】本発明の第5実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図9】本発明の第6実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図10】本発明の第7実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図11】本発明の第8実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図12】本発明の第9実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図13】本発明の第10実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図14】本発明の第11実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図15】本発明の第11実施例応用の電気ケーブルを示す回路図である。
図16】本発明の第12実施例の電気ケーブルを示す回路図である。
図17】本発明のその他の実施例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施例)
本発明の実施例を、図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施例を示す概要図であり、スマートフォンや携帯電話等の二次電池(図示せず)を内蔵する電子機器Bと、これに電力を供給する外部補助用のパック電池である直流電源装置Aと、これらの間を接続する電気ケーブルCとを示している。また、直流電源装置Aに代わって、交流商用電源を直流電源に変換するACアダプタである直流電源装置Aを利用することもできる。
【0014】
図1に示すように、直流電源装置Aは、直流電力を出力するコネクタAcを備えている。電子機器Bは、直流電力を入力するコネクタBcを備えている。そして、電気ケーブルCは、両端部に直流電源装置AのコネクタAcに接続されるプラグCaと、電子機器Bの直流電力を入力するコネクタBcに接続されるプラグCbを備えている。
【0015】
コネクタAc、Bc、プラグCa、Cbは、USB、ミニUSB、マイクロUSB、ライトニングコネクタ・プラグなどの規格に準じた構成になっている。
【0016】
次に、図2に電気ケーブルCのプラグCbの構造について説明する。図2は、本発明の実施例のプラグの(a)概要図及び(b)、(c)分解図である。図2(a)に示すように、プラグCbは、外観上、電子機器BのコネクタBcに差し込まれる差込み部Cb1と、樹脂で形成されたアウターモールドCb2から構成されている。
【0017】
図2(b)に示すように、プラグCbのアウターモールドCb2を取り除くと、差込み部Cb1に接続された金属シャーシCb3が差込み部Cb1のフレームグランドと電気接続されている。差込み部Cb1と金属シャーシCb3との接続は、部分的に切欠き部Cb4を有しており、樹脂で形成されたコア部Cb5が金属シャーシCb3から見える形状となっている。
【0018】
さらに、図2(c)に示すように、プラグCbの金属シャーシCb3を取り除くと、感熱素子TH1(例えば、サーミスタ)が回路基板Cb6に配置され、回路基板Cb6がコア部Cb5に保持されている。電気ケーブルC内部の電気接続線群Cb7は、回路基板Cb6経由で差込み部Cb1に電気的に接続されている。電気接続線群Cb7は、プラス側電力供給線C1と、マイナス側電力供給線C2と、電気接続線CD+と、電気接続線CD−の4本である。
【0019】
差込み部Cb1で発生した熱により近い温度を感熱素子TH1で測定するため、差込み部Cb1とコア部Cb5と感熱素子TH1が配置された回路基板Cb6とを物理的に接続している。そして、差込み部Cb1で発生した熱の金属シャーシCb3への熱拡散を極力抑えるため、差込み部Cb1と金属シャーシCb3との間に切欠き部Cb4を形成する。また、感熱素子TH1を配置する回路基板Cb6と金属シャーシCb3との間に、熱伝導係数が0.2(W/mK)以下の樹脂部、例えば、PE(ポリエチレン)樹脂、または空気層を有する構造としている。
【0020】
金属シャーシCb3は、外部から回路基板Cb6や電気接続線群Cb7への信号ノイズが混入しないためのシールドの役目を行うため、全方向を囲むことが望ましい。しかし、上述のように金属シャーシCb3への熱拡散を防ぐため、コア部Cb5がある部分で切欠き部Cb4を形成している。
【0021】
次に、電気接続線群Cb7について説明する。図3は本発明の第1実施例を示す回路図である。図3に示すように、電気ケーブルC内の電気接続線群Cb7は、VBUS端子を接続するプラス側電力供給線C1と、USB GND端子を接続するマイナス側電力供給線C2と、D+端子を接続する電気接続線CD+と、D−端子を接続する電気接続線CD−の4種類からなる。そして、電気接続線群Cb7へのノイズを防止するために、電気接続線群Cb7を取り囲み、FG端子を接続する網状のフレームグランド線CFG(図示せず)が備えられている。
【0022】
本実施例においては、端部のプラグCbは、感熱素子TH1と、抵抗R1、R2、R3と、スイッチング素子(トランジスタ)Q1、Q2が備えられている。スイッチング素子Q2は、マイナス側電力供給線C2に直列に挿入されており、プラグCbが高温となったとき、感熱素子TH1の抵抗値が変化することでオフ状態となり、マイナス側電力供給線C2を開回路にする。
【0023】
図3の第1実施例においては、感熱素子TH1は正の温度特性を持ち、温度が所定値以上になると抵抗値が急激に大きくなる性質を備えている。感熱素子TH1は通常温度領域〔約25(℃)〕では、約10(kΩ)で、約60(℃)より高い高温領域になると約100(kΩ)以上になる。この感熱素子TH1は、プラス側電力供給線C1と、マイナス側電力供給線C2との間に、抵抗R1〔620(kΩ)〕を直列接続して接続される。スイッチング素子Q2のベースと、プラス側電力供給線C1との間に、抵抗R2〔100(kΩ)〕が接続されている。
【0024】
抵抗R1と感熱素子TH1との中点には、スイッチング素子(トランジスタ)Q1のベースが接続され、このスイッチング素子Q1のエミッタは、マイナス側電力供給線C2に接続され、スイッチング素子Q1のコレクタは、スイッチング素子Q2のベースと抵抗R2との中点に接続されている。また、スイッチング素子Q2のベースと抵抗R2との中点と、マイナス側電力供給線C2との間には、抵抗R3〔1(MΩ)〕が接続されている。
【0025】
以上の回路構成においては、感熱素子TH1が通常温度領域においては、感熱素子TH1の抵抗値が低いので、スイッチング素子Q1のベース電位が低く、スイッチング素子Q1はオフ状態である。そのため、スイッチング素子Q2のベースには、抵抗R2と抵抗R3との分圧が印加されることより、ベース電位が高く、スイッチング素子Q2がオン状態である。よって、直流電源装置Aから、電子機器Bに、電気ケーブルCを介して、電力を供給することができる。
【0026】
一方、導電性の異物等の存在、介在により異常発熱が起き、感熱素子TH1が高温領域においては、感熱素子TH1の抵抗値が約100(kΩ)以上に大きくなる。これにより、スイッチング素子Q1のベース電位が高くなり、スイッチング素子Q1はオン状態になる。そのため、スイッチング素子Q2のベース電位は低くなり、スイッチング素子Q2がオフ状態になる。よって、高温の状態、領域においては、直流電源装置Aから、電子機器Bに、電気ケーブルCを介した電力供給は停止される。
【0027】
また、図3の変形例として、感熱素子に負の抵抗変化の特性を備える素子を利用するなら、図3のR1に代えて、この感熱素子を利用し、図3の感熱素子TH1に代えて抵抗を配置するなら、通常温度、高温状態でのスイッチング素子Q1、Q2の動作は、上記と同様になる。
【0028】
(第2実施例)
図4に、本発明の第2実施例の回路構成を示す。第2実施例の第1実施例との違いは、スイッチング素子Q1、Q2、及び抵抗R1〜R3を取り除き、感熱素子TH1の接続先を変更したもので、その他は第1実施例と同じ構成である。第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのD+端子に接続された電気接続線CD+と接続され、電気接続線CD−を介して、プラグCaのD−端子に接続されている。電気接続線CD+及び電気接続線CD−は感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0030】
感熱素子TH1が電気接続線CD−を介して、プラグCaのD−端子に接続されることに代わって、感熱素子TH1がマイナス側電力供給線C2を介して、プラグCaのUSB GNDに接地されるとしても良い。
【0031】
直流電源装置Aにおいて、直流電源装置Aの制御部がD+端子及びD−端子から感熱素子TH1の抵抗値(或いはこれに印加される電圧又は分圧)を検出し、プラグCbの温度を算出する。直流電源装置Aの制御部は、プラグCbが保護設定温度60(℃)以上になったことを検出したとき、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。
【0032】
また、感熱素子TH1に代えて、温度上昇とともに抵抗値が非線形に下降する感熱素子TH2を使用することも可能である。感熱素子TH2は通常温度〔25(℃)〕では、約10(kΩ)であるが、温度に対して抵抗値が数式1のように非線形に変化する。
【0033】
(数1)
R = R0 × exp{D×(1/T − 1/T0)}
R : 感熱素子TH2の抵抗値(kΩ)
R0: 常温(25℃)での感熱素子の抵抗値
D : 定数(4250)
T : 感熱素子TH2の温度(℃)
T0: 常温(25℃)
【0034】
この温度に対する抵抗値が変化する特性を活かし、単位時間当たりの抵抗値の変化を求めることで、感熱素子TH2の温度を一定間隔でサンプリングすることにより、単位時間当たりの温度上昇ΔT/Δtを求めることができる。
【0035】
つまり、感熱素子TH2を使用することにより、直流電源装置Aの制御部は、プラグCbが保護設定温度〔例えば、60(℃)〕以上になったことを検出した時、或いは、単位時間当たりの温度上昇ΔT/Δtが所定値〔例えば、20秒間の温度上昇値が5(deg)〕以上となった時、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。また、検出する温度上昇値を温度によって変化〔例えば、20℃時点では5deg、10℃時点では10deg、0℃時点では検出しない〕させることにより、周囲環境温度の変化で誤検出しないようにすることもできる。
【0036】
(第3実施例)
図5に、本発明の第3実施例の回路構成を示す。第3実施例の第1実施例との違いは、スイッチング素子Q1、Q2、及び抵抗R1〜R3を取り除き、感熱素子TH1の接続先を変更したもので、その他は第1実施例と同じ構成である。第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0037】
図5に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのUSB GND端子に接続されたマイナス側電力供給線C2と接続され、フレームグランド線CFGを介して、プラグCaのFG端子に接続されている。フレームグランド線CFGは感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0038】
マイナス側電力供給線C2はプラグCaのUSB GND、及び、プラグCbのUSB GNDに接続されているので、感熱素子TH1はプラグCb内のマイナス側電力供給線C2、或いは、USB GND端子に接続されていれば良い。
【0039】
次に、図6で直流電源装置Aについて説明する。図6は、本発明の第3実施例の直流電源装置を示す回路図である。図6に示すように、直流電源装置Aは電力をコネクタAin(USBコネクタ)から入力し、コネクタAcから出力するものとしている。直流電源装置Aの電力入力は、USBコネクタに関わらず、ACアダプタや、その他の入力コネクタであっても良い。
【0040】
図6に示すように、直流電源装置AはコネクタAinから電力を入力し、充放電回路部A1を介して二次電池A2に電力を充電する。そして、直流電源装置Aは二次電池A2に充電された電力を充放電回路部A1を介してコネクタAcから電気ケーブルCへ出力する。また、直流電源装置Aは、ON/OFFスイッチA4及びコネクタAcのFG端子からの情報を入力する制御部A3を有しており、制御部A3は入力した情報に基づき充放電回路部を制御することができる。
【0041】
制御部A3は、FG端子から感熱素子TH1の抵抗値(或いはこれに印加される電圧又は分圧)を検出し、プラグCbの温度を算出する。プラグCbが保護設定温度60(℃)以上になったことを検出したとき、制御部A3は充放電回路部A1に二次電池A2からの電力供給を停止する制御を行う。
【0042】
また、感熱素子TH1に代えて、温度上昇とともに抵抗値が非線形に下降する感熱素子TH2を使用することも可能である。感熱素子TH2は通常温度〔25(℃)〕では、約10(kΩ)であるが、温度に対して抵抗値が数式1のように非線形に変化する。
【0043】
この温度に対する抵抗値が変化する特性を活かし、単位時間当たりの抵抗値の変化を求めることで、感熱素子TH2の単位時間当たりの温度上昇ΔT/Δtを求めることができる。
【0044】
つまり、感熱素子TH2を使用することにより、制御部A3は、プラグCbが保護設定温度〔例えば、60(℃)〕以上になったことを検出した時、或いは、単位時間当たりの温度上昇ΔT/Δtが所定値〔例えば、20秒間の温度上昇値が5(deg)〕以上となった時、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。また、検出する温度上昇値を温度によって変化〔例えば、20℃時点では5deg、10℃時点では10deg、0℃時点では検出しない〕させることにより、周囲環境温度の変化で誤検出しないようにすることもできる。
【0045】
(第4実施例)
図7に、本発明の第4実施例の回路構成を示す。第4実施例の第3実施例との違いは、感熱素子TH1、或いは、TH2の接続先を変更したもので、その他は第3実施例と同じ構成である。第3実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのVBUS端子に接続されたプラス側電力供給線C1と接続され、フレームグランド線CFGを介して、プラグCaのFG端子に接続されている。フレームグランド線CFGは感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0047】
プラス側電力供給線C1はプラグCaのVBUS端子、及び、プラグCbのVBUS端子に接続されているので、感熱素子TH1はプラグCb内のプラス側電力供給線C1、或いは、VBUS端子に接続されていれば良い。
【0048】
第4実施例は第3実施例と同様に、温度が高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった異常時に、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。さらに、第4実施例では、感熱素子TH1、或いは、TH2がプラス側電力供給線C1に接続されているため、第3実施例と異なり感熱素子の両端の電位差が大きくなっているため、感熱素子の抵抗値を大きくすることができる。そのため、抵抗値の測定誤差が少なくなり、温度測定を正確に行うことができるようになる。
【0049】
(第5実施例)
図8に、本発明の第5実施例の回路構成を示す。第5実施例の第3実施例との違いは、感熱素子TH1、或いは、TH2の接続を電気接続線C3に変更したもので、その他は第3実施例と同じ構成である。第3実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのUSB GND端子に接続されたマイナス側電力供給線C2と接続され、新たに追加された感熱素子TH1の温度測定線である電気接続線C3を介して、プラグCaのFG端子に接続されている。フレームグランド線CFGは、プラグCaには接続せずにプラグCbのFG端子に接続している。
【0051】
第5実施例は第3実施例と同様に、高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった温度が異常時に、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。
【0052】
(第6実施例)
図9に、本発明の第6実施例の回路構成を示す。第6実施例の第4実施例との違いは、感熱素子TH1、或いは、TH2の接続を電気接続線C3に変更したもので、その他は第4実施例と同じ構成である。第4実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図9に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのVBUS端子に接続されたプラス側電力供給線C1と接続され、新たに追加された感熱素子TH1の温度測定線である電気接続線C3を介して、プラグCaのFG端子に接続されている。フレームグランド線CFGは、プラグCaには接続せずにプラグCbのFG端子に接続している。
【0054】
第6実施例は第4実施例と同様に、温度が高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった異常時に、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。そして、抵抗値の測定誤差が少なくなり、温度測定を正確に行うことができるようになる。
【0055】
(第7実施例)
図10に、本発明の第7実施例の回路構成を示す。第7実施例の第3実施例との違いは、マイナス側電力供給線C2と、フレームグランド線CFGの接続を入れ替えたもので、その他は第3実施例と同じ構成である。第3実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
図10に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのUSB GND端子に接続されたフレームグランド線CFGと接続され、マイナス側電力供給線C2を介して、プラグCaのFG端子に接続されている。また、プラグCa、CbのUSB GND端子がフレームグランド線CFGで接続されている。マイナス側電力供給線C2は感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0057】
第7実施例は第3実施例と同様に、温度が高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった異常時に、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。さらに、第7実施例では、プラグCa、CbのUSB GND端子がマイナス側電力供給線C2〔約100(mΩ/m)、AWG24線の場合〕に比べて、抵抗値の低いフレームグランド線CFG〔約35(mΩ/m)〕で接続されているため、充電電流の電力ロスを少なくすることができるようになる。
【0058】
(第8実施例)
図11に、本発明の第8実施例の回路構成を示す。第8実施例の第4実施例との違いは、マイナス側電力供給線C2と、フレームグランド線CFGの接続を入れ替えたもので、その他は第4実施例と同じ構成である。第4実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
図11に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCaのVBUS端子に接続されたプラス側電力供給線C1と接続され、マイナス側電力供給線C2を介して、プラグCaのFG端子に接続されている。また、プラグCa、CbのUSB GND端子がフレームグランド線CFGで接続されている。マイナス側電力供給線C2は感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0060】
第8実施例は第4実施例と同様に、温度が高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった異常時に、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。そして、抵抗値の測定誤差が少なくなり、温度測定を正確に行うことができるようになる。さらに、第8実施例では、充電電流の電力ロスを少なくすることができるようになる。
【0061】
(第9実施例)
図12に、本発明の第9実施例の回路構成を示す。第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0062】
図12においては、プラグCb内において、VBUS端子を接続するプラス側電力供給線C1と接続された温度ヒューズTF1を備えている。このような電気回路により、プラグCbが高温になると、温度ヒューズTF1が切れるので、直流電源装置Aからの直流電力の供給を停止することができる。
【0063】
(第10実施例)
図13に、本発明の第10実施例の回路構成を示す。第10実施例の第4実施例との違いは、感熱素子TH1、或いは、TH2の接続先を変更したもので、その他は第4実施例と同じ構成である。第4実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
図13に、本発明の第10実施例の回路構成を示す。電気ケーブルC内の電気接続線は、VBUS端子を接続するプラス側電力供給線C1と、USB GND端子を接続するマイナス側電力供給線C2と、D−端子を接続する電気接続線CD−とからなる。そして、プラグCb内に、負の温度特性を有する感熱素子TH1が配置されている。電気接続線CD−は感熱素子TH1の温度測定線としての役割を果たしている。
【0065】
直流電源装置A内において、スイッチング素子Q1のソース側の電力供給ラインL1からの接続線が、抵抗R1と抵抗R5の直列回路を経て、USB GNDである接地ラインLGに接地している。抵抗R1と抵抗R5との中点には、D+端子と、D−端子とが接続され、D+端子、D−端子間がショート状態となっている。抵抗R1とR5により、D+端子、D−端子が特定の電圧(例えば、5V)を出力することなく、通常のUSB用の電気ケーブルを接続したとき、このような特定の電圧で、電子機器Bが意図せぬ動作をすることもない。そして、プラグCb内で電気接続線CD−とプラス側電力供給線C1との間に、感熱素子TH1が接続されている。
【0066】
もし、プラグCb内に感熱素子TH1と共に分圧抵抗を配置して、プラグCbの端子間に導電性異物が介在した場合、プラス側電力供給線C1の出力が低下し分圧抵抗と感熱素子TH1の直列回路に所定電圧(例えば、5V)が供給できなくなる課題が発生する。しかし、本実施例のように感熱素子TH1の分圧抵抗(R5等)を直流電源装置A内に配置することにより、この課題を防止している。
【0067】
直流電源装置A内において、D+端子は比較器COMPの入力端子に抵抗R2を介して接続されて、比較器COMPからの出力はトランジスタTr1のベースに接続されている。
【0068】
直流電源装置Aの直流電力の出力は、電力供給ラインL1から電子機器Bに供給され、接地ラインLGに戻る回路となっている。電力供給ラインL1に、スイッチング素子Q1であるp型FETが、ドレインを出力側として、直列に挿入されている。そして、スイッチング素子Q1のゲートと接地ラインLGが抵抗R3を介して接続され、スイッチング素子Q1のゲートと抵抗R3との中点には、トランジスタTr1のエミッタが接続されている。トランジスタTr1のコレクタは、抵抗R4を介して、電力供給ラインL1に接続されている。また、比較器COMPの電源は、スイッチング素子Q1のソース側の電力供給ラインL1から得ている。
【0069】
次に、第10実施例のフローについて説明する。感熱素子TH1の温度が通常温度領域のときは、プラグCb内の感熱素子TH1の抵抗値は大きく、比較器COMPの入力端子には、低い電圧が入力され、直流電源装置Aに内蔵する基準電圧Vrefより低いため、比較器COMPからはオフ信号である低電圧が出力される。これにより、トランジスタTr1のベースに低電圧が印加されて、トランジスタTr1はオフ状態となる。そして、抵抗R3に電流が流れることより、スイッチング素子Q1は、ゲートの電位がソース電位より低くなるのでオン状態となり、電力を供給することになる。
【0070】
感熱素子TH1の温度が高温領域になったときは、プラグCb内の感熱素子TH1の抵抗値は小さくなり、比較器COMPの入力端子には、高い電圧が入力され、直流電源装置Aに内蔵する基準電圧Vrefより高いため、比較器COMPからはオン信号である高電圧が出力される。これにより、トランジスタTr1のベースに高電圧が印加されて、トランジスタTr1はオン状態となる。そして、スイッチング素子Q1は、抵抗R4と抵抗R3の中点に接続されたゲートの電位が高くなるのでオフ状態となり、電力を遮断することになる。つまり、感熱素子TH1の温度が高温領域になったときは、直流電源装置Aが電気ケーブルCに電力を供給しないので、プラグCbでの異常発熱を防止することができる。
【0071】
(第11実施例)
図14に、本発明の第11実施例の回路構成を示す。第11実施例の第10実施例との違いは、感熱素子TH1検出用の電気接続線C3が抵抗R1と抵抗R5の中点で接続され、直流電源装置AのD−端子及びD+端子と電子機器BのD−端子及びD+端子とが接続状態で、D端子での通信が可能であるもので、その他は第10実施例と同じ構成である。第10実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
電気ケーブルCにおいて、電気接続線CD+と、電気接続線CD−がプラグCb内のD+端子、D−端子に接続され、電子機器Bに接続されている。プラグCb内に、負の温度特性を有する感熱素子TH1が配置されて、プラス側電力供給線C1に接続されている。
【0073】
感熱素子TH1の温度測定線である電気接続線C3は、直流電源装置A内の抵抗R1と抵抗R5との中点に接続される。ここで、電気接続線CD+と、電気接続線CD−は、電気接続線C3と独立しているので、D端子での通信を可能としている。
【0074】
このような構成により、第11実施例は、第10実施例と同様に、プラグCbでの異常発熱を防止することができ、かつ、D端子での通信も可能である。
【0075】
さらに、図15では本発明の第11実施例の応用を示す。図14との違いは直流電源装置A内において電力供給ラインL1と接地ラインLGの間に分圧抵抗である抵抗R6と抵抗R7を接続し、その中点を基準電圧として比較器COMPに入力している。そして、
感熱素子TH1と抵抗R5の中点の測定電圧を比較器COMPに入力している。そして、感熱素子TH1の温度が通常温度領域のときに測定電圧が基準電圧と同等以下で、感熱素子TH1の温度が高温領域のときに測定電圧が基準電圧より高くなるように、抵抗R5、R6、R7の抵抗値が設定されている。また、比較器COMPの出力信号はスイッチング素子Q1のゲートとトランジスタTr2のベースに接続され、さらにトランジスタTr2のコレクタとエミッタは抵抗R7の並列接続されている。
【0076】
このような回路を構成することにより、感熱素子TH1の温度が高温領域になったときは、プラグCb内の感熱素子TH1の抵抗値は小さくなり、比較器COMPの入力端子には、高い電圧が入力され、抵抗R6、R7による基準電圧より高いため、比較器COMPからは高電圧が出力される。これにより、スイッチング素子Q1のゲートに高電圧が印加されてスイッチング素子Q1はOFF状態、トランジスタTr2のベースにも高電圧が印加されて、トランジスタTr2はON状態となる。直流電源装置Aの出力が低下しない間は、スイッチング素子Q1のOFF状態を継続する、いわゆるラッチ動作が可能となる。つまり、感熱素子TH1の温度が高温領域になったときは、直流電源装置Aが電気ケーブルCに電力を供給しないので、プラグCbでの異常発熱を防止することができる。
【0077】
(第12実施例)
図16に、本発明の第12実施例の回路構成を示す。第12実施例の第1実施例との違いは、プラグCb内のスイッチング素子Q1、Q2、及び抵抗R1〜R3を取り除き、感熱素子TH1の接続先を変更し、かつ、プラグCa内にスイッチング素子Q3、及び制御部ICを加えたもので、その他は第1実施例と同じ構成である。第1実施例と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、感熱素子TH1に代えて、温度上昇とともに抵抗値が非線形に下降する感熱素子TH2を使用することも可能である。
【0078】
図16に示すように、プラグCb内において、感熱素子TH1が、プラグCbのVBUS端子に接続されたプラス側電力供給線C1と接続され、感熱素子TH1の温度測定線である電気接続線C3を介して、プラグCaの制御部ICに接続されている。
【0079】
プラグCa内において、スイッチング素子Q3がプラス側電力供給線C1に直列に配置されている。さらに、制御部ICがプラス側電力供給線C1及びマイナス側電力供給線C2と接続されて駆動電力を入力している。そして、制御部ICは電気接続線C3から感熱素子TH1の温度信号を入力し、スイッチング素子Q3に駆動信号を送信する。
【0080】
第12実施例は、温度が高温領域、或いは、単位時間の温度上昇が所定値以上になった異常状態のとき、制御部ICが感熱素子TH1の温度信号を入力して、スイッチング素子Q3をオフ状態にする駆動信号を送信する。この制御部ICの制御により、直流電源装置Aから電子機器Bへの直流電力の供給を停止することができる。
【0081】
なお、感熱素子TH1をプラグCb内のプラス側電力供給線C1に接続するとしたが、プラグCb内のマイナス側電力供給線C2に接続するとしてもよい。また、スイッチング素子Q3をプラグCa内のプラス側電力供給線C1に直列に配置するとしたが、プラグCa内のマイナス側電力供給線C2に直列に配置するとしてもよい。
【0082】
(その他の実施例)
なお、第1乃至第12実施例においては、図17(a)〜(c)のように電気ケーブルCが直流電源装置A側にプラグCaを備えているとしたが、図17(d)のようにプラグCaをなくし、電気ケーブルCを直流電源装置Aに直接接続しても良い。また、電気ケーブルCのケーブル部分をなくして、プラグCbを直流電源装置Aに直接接続しても良い。
【0083】
図17について詳細に説明する。図17は、本発明のその他の実施例を示す外観図であり、(a)は直流電源装置の正面図、(b)はその右側面図、(c)は電気ケーブル、(d)はACアダプタの正面図である。
【0084】
図17(a)、(b)に示すように、直流電源装置Aは、外観は概略箱型であり、内部に二次電池(図示せず)を内蔵し、側面に位置する充電入力用のコネクタAin〔例えば、USB(micro TypeB)〕より、電力を入力して、二次電池を充電する。そして、充電された二次電池の電力を、側面に位置する充電出力用のコネクタAc〔例えば、USB(TypeA)〕より、出力する。
【0085】
図17(c)は、電気ケーブルCを示している。電気ケーブルCにおいて、直流電源装置A側には、USB(TypeA)のプラグCa、電子機器B側には、USB(micro TypeB)のプラグCbを備えている。
【0086】
上述したプラグでの異常発熱は、サイズの小さいUSB(micro TypeB)のプラグCbにて発生することが多い。よって、本実施例においては、プラグCb内に、感熱素子TH1を備えている。
【0087】
図17(d)は、直流電源装置AにプラグCaを有さない電気ケーブルCが直流電源装置Aに直接接続されたものを示している。図示しないが、直流電源装置Aの背面には、商用電源コンセントに差し込むプラグを備えている。商用電源から変換された直流電力を、ACアダプタに固定して取り付けられた電気ケーブルCを介して給電用出力プラグ〔例えば、USB(micro TypeB)〕より、出力する。
【0088】
なお、第1乃至第12実施例においては、感熱素子TH1、TH2の抵抗値の変化で温度上昇を測定するとしたが、電圧を出力する感熱素子TH3としてもよい。例えば、感熱素子TH3は、温度とともに順方向電圧が線形に変化するΔV/ΔT(=C)の温度変化特性をもっており、その順方向電圧は数式2で表される。
【0089】
(数2)
V = V0 + E × (T − T0)
V : 感熱素子TH3の順方向電圧(V)
V0: 常温(25℃)での感熱素子の順方向電圧(V)
E : 定数(−0.002)
T : 感熱素子TH3の温度(℃)
T0: 常温(25℃)
【0090】
例えば、感熱素子TH3はE=−0.002(V/℃)の温度変化特性をもっており、常温(25℃)にて順方向電圧V0=0.6Vである。この感熱素子TH3が60℃まで温度上昇した場合、数式3のように感熱素子TH3の順方向電圧Vが0.53Vとなる。つまり、感熱素子TH3の順方向電圧Vが0.53V以上になった時、直流電源装置Aが保護動作を行う設定値とすることで、絶対温度60℃で保護システムを構築することが可能となる。
【0091】
(数3)
V = 0.6+{−0.002×(60−25)} = 0.53
【0092】
なお、第1乃至第12実施例においては、プラグCbに感熱素子TH1、TH2を備えるとしたが、直流電源装置A側のプラグCaに感熱素子TH1、TH2を備えるとしてもよい。その場合は、直流電源装置A側のプラグCaでの発熱を早期に検出することができる。
【0093】
なお、第1乃至第12実施例においては、プラグCbに感熱素子TH1、TH2を備えるとしたが、プラグCaに感熱素子TH1、TH2を備えても良い。または、プラグCbとプラグCaの両方に感熱素子TH1、TH2を備えるとしてもよい。その場合は、プラグCa及びプラグCbの発熱を早期に検出することができる。
【0094】
また、プラグとして、ミニUSBプラグ、マイクロUSBプラグ等のサイズが小さいプラグが利用されるときは、サイズが小さいことより異常発熱時の放熱が小さく、本実施例を利用することにより、異常発熱を精度よく検出し、早期に異常発熱を防止することができる。
【0095】
なお、第1乃至第12実施例においては、直流電源装置としたが、直流電流に交流成分が重畳した波形や、パルス波形や、のこぎり波形の電流を出力する電源装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明にかかる電気ケーブル、及び、電源装置は、小型の電気ケーブルや規格化されたプラグを用いた電気ケーブルにおいても、プラグが異常に高温となることを防止することが可能になるので、電源装置から電子機器に充電電流を供給するときに、電源装置と携帯機器を接続する電気ケーブル、及び、その電気ケーブルを使用した電源装置等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
A 直流電源装置
A1 充放電回路部
A2 二次電池
A3 制御部
A4 ON/OFFスイッチ
Ac、Ain コネクタ
B 電子機器
Bc コネクタ
C 電気ケーブル
Ca、Cb プラグ
Cb1 差込み部
Cb2 アウターモールド
Cb3 金属シャーシ
Cb4 切欠き部
Cb5 コア部
Cb6 回路基板
Cb7 電気接続線群
C1 プラス側電力供給線
C2 マイナス側電力供給線
C3、CD+、CD− 電気接続線
CFG フレームグランド線
TH1、TH2、TH3 感熱素子
Q1、Q2、Q3 スイッチング素子
IC 制御部
TF1 温度ヒューズ
COMP 比較器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17