(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070933
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】光学デバイス及び光学デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/04 20060101AFI20170123BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20170123BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20170123BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20170123BHJP
H01L 23/10 20060101ALI20170123BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20170123BHJP
【FI】
H01L23/04 E
H01L31/02 B
H01L27/14 D
H01L23/02 F
H01L23/10 B
H01L33/62
H01L23/02 J
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-277530(P2012-277530)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-123588(P2014-123588A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100123685
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 信行
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140741
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光彌
(72)【発明者】
【氏名】林 恵一郎
【審査官】
麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−103967(JP,A)
【文献】
特開2012−182309(JP,A)
【文献】
特開2005−243778(JP,A)
【文献】
特開2004−296584(JP,A)
【文献】
特開2002−343949(JP,A)
【文献】
特開平07−099214(JP,A)
【文献】
特開平08−306898(JP,A)
【文献】
特開2006−279777(JP,A)
【文献】
特開平06−163732(JP,A)
【文献】
特開平09−069618(JP,A)
【文献】
特開2002−237581(JP,A)
【文献】
特開2003−078121(JP,A)
【文献】
特開2001−345391(JP,A)
【文献】
特開2002−222935(JP,A)
【文献】
特開2007−234780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/339
21/54
23/00−23/04
23/06−23/10
23/16−23/26
23/48
23/50
27/14
27/144−27/148
29/762
33/00
33/48−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
前記リードフレームの一方の表面に接合される光学チップと、
前記リードフレームの他方の表面の側に設置される透光性基板と、
前記光学チップと前記透光性基板との間の外周部を封止する樹脂材と、を備え、
前記光学チップは前記リードフレームの側の表面に光学活性領域と前記光学活性領域よりも外周側に電極パッドとを備え、前記電極パッドが前記リードフレームに接合され、
前記透光性基板は前記リードフレームの側の表面に金属膜が形成され、前記金属膜と前記リードフレームが接合される光学デバイス。
【請求項2】
前記電極パッドと前記光学活性領域との間であり、前記光学活性領域を囲むように設置される土手を備える請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記土手は、前記透光性基板に設けられる突条からなる請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記電極パッドの上に突起電極が形成され、前記リードフレームと前記電極パッドとは前記突起電極を介して接合される請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記樹脂材は、前記透光性基板の側面と、前記光学チップの側面と、前記光学チップの前記光学活性領域が形成される表面とは反対側の裏面を覆って形成される請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記樹脂材は光を透過しない遮光性を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記透光性基板は特定の波長の光を透過するフィルター機能を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記リードフレームの前記樹脂材から外部に突出するアウターリードは、前記光学チップの表面に直交する方向に屈曲する請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記リードフレームの前記樹脂材から外部に突出するアウターリードは、前記光学チップの表面と平行方向に集約的に配置される請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
光学チップの光学活性領域よりも外周側の表面に形成される電極パッドに突起電極を形成する突起電極形成工程と、
リードフレームに前記突起電極を介して前記光学チップを実装する光学チップ実装工程と、
前記リードフレームの前記光学チップとは反対側に透光性基板を設置する透光性基板設置工程と、
前記透光性基板の前記リードフレームに対面する側の表面に金属膜が形成され、前記金属膜と前記リードフレームとを接合する接合工程と、
前記光学チップと前記透光性基板の間であり前記光学活性領域よりも外周側に樹脂材を充填する樹脂材充填工程と、
前記樹脂材を固化する樹脂材固化工程と、を備える光学デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記光学活性領域と前記電極パッドとの間であり、前記光学活性領域を囲む土手を設置する土手設置工程を備える請求項10に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記光学チップ実装工程は、複数の前記光学チップを前記リードフレームに実装する工程であり、
前記樹脂材固化工程の後に、個々の光学デバイスに切断分離する切断分離工程を備える請求項10又は11に記載の光学デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光の光を発光し又は検出する光学デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオードや発光ダイオードを用いた光学デバイスが実用化されている。例えば、照明装置の自動点灯制御、液晶ディスプレイのバックライトの明るさの制御、携帯電話のキーパッドのバックライト制御、監視カメラの暗視野切り替え制御等の分野で光検知の手段とし使用されている。また、発光素子と組み合わせて近接センサを構成し、物体の有無や距離の測定にも使用されている。
【0003】
図11は、この種の光学デバイスのパッケージ構造30を示す断面模式図である(特許文献1の
図3)。ベースとなるセラミック基板31には固体撮像素子32が搭載される。セラミック基板31は3層又はそれ以上の多層構造をなし、層間に所定本数の導電膜33aがパターン形成される。各々の導電膜33aの一端はセラミック基板31上の固体撮像素子32の周辺部に近接配置され、そこに固体撮像素子32の電極部から引き出されたボンディングワイヤ34が接続される。一方、各々の導電膜33aの他端はセラミック基板31の外側面に露出しており、その露出部分に側面導電膜33bが形成される。そして、各々の側面導電膜33bにリード端子35がセラミック基板31の裏側方向に垂直に伸びるようにろう付けされる。さらに、セラミック基板31の上端部にはシールガラス36が接合され、シールガラス36によって固体撮像素子32が気密封止される。
【0004】
図12は、他の光学デバイスのパッケージ構造を示す断面模式図である(特許文献1の
図2)。固体撮像装置41は、主にベース基板42、固体撮像素子43、樹脂枠44及び透明板45から構成される。ベース基板42はセラミック基板からなる平板構造を成す。固体撮像素子43はCCD素子からなりベース基板42の中央部に実装される。ベース基板42の両側は平面視半円状の凹部46が所定の間隔で形成される。ベース基板42の上には各々の凹部46面を経由して断面コの字形の厚膜導電材料からなる導電膜47が形成される。導電膜47の一端部47aは固体撮像素子43の周辺部に近接配置され、導電膜47の他端部47bはベース基板42の素子実装面とは反対側の面に延出し、その延出部分を基板表面に露出させて外部接続用の電極部とする。固体撮像素子43の上面周縁部には複数の電極部が形成され、この電極部と一端部47aはボンディングワイヤ48により接続される。樹脂枠44はベース基板42上の固体撮像素子43を取り囲むように形成される。透明板45はベース基板42の素子実装面との間に所定の空間を確保した状態で、樹脂枠44の上端部に接合される。これにより、従来の中空パッケージ構造に比較して製造工程が大幅に簡略化されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−144898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11に示される光学デバイスのパッケージ構造30では、多層構造のセラミック基板に階段状の凹部を形成し、その凹部の底面に固体撮像素子32を実装して気密封止用の空間を確保している。そのため、セラミック基板31の製造工程が煩雑になり、セラミック基板31の材料費や加工費が高くなる、という課題があった。
【0007】
また、
図12に示される固体撮像装置41のパッケージ構造では、樹脂枠44の上端部を平坦に形成し、透明板45とベース基板42との間に形成される中空部を気密封止するのは難しい。つまり、透明板45をベース基板42側に押圧しながら加熱すると、樹脂枠44は軟化して所定の高さの中空部を形成することが困難となる。また、樹脂枠44として熱硬化型樹脂に代えて紫外線硬化型樹脂を使用すると、紫外線をカットするフィルター機能を有する透明板45を使用することができなくなる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、構成部品を削減し、薄型で軽量の光学デバイスを提供することができると共に、簡単な工程で製造することができる光学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光学デバイスは、リードフレームと、前記リードフレームの一方の表面に接合される光学チップと、前記リードフレームの他方の表面の側に設置される透光性基板と、前記光学チップと前記透光性基板との間の外周部を封止する樹脂材と、を備え、前記光学チップは前記リードフレームの側の表面に光学活性領域と前記光学活性領域よりも外周側に電極パッドとを備え、前記電極パッドが前記リードフレームに接合されることとした。
【0010】
また、前記電極パッドと前記光学活性領域との間であり、前記光学活性領域を囲むように設置される土手を備えることとした。
【0011】
また、前記土手は、前記透光性基板に設けられる突条からなることとした。
【0012】
また、前記透光性基板は前記リードフレーム側の表面に金属膜が形成され、前記金属膜と前記リードフレームが接合されることとした。
【0013】
また、前記電極パッドの上に突起電極が形成され、前記リードフレームと前記電極パッドとは前記突起電極を介して接合されることとした。
【0014】
また、前記樹脂材は、前記透光性基板の側面と、前記光学チップの側面と、前記光学チップの前記光学活性領域が形成される表面とは反対側の裏面を覆って形成されることとした。
【0015】
また、前記樹脂材は光を遮る(透過しない)遮光性を有することとした。
【0016】
また、前記透光性基板は特定の波長の光を透過するフィルター機能を有することとした。
【0017】
また、前記リードフレームの前記樹脂材から外部に突出するアウターリードは、前記光学チップの表面に直交する方向に屈曲することとした。
【0018】
また、前記リードフレーム前記リードフレームの前記樹脂材から外部に突出するアウターリードは、前記光学チップの表面と平行方向に集約的に配置されることとした。
【0019】
本発明の光学デバイスの製造方法は、光学チップの光学活性領域よりも外周側の表面に形成される電極パッドに突起電極を形成する突起電極形成工程と、リードフレームに前記突起電極を介して光学チップを実装する光学チップ実装工程と、前記リードフレームの前記光学チップとは反対側に透光性基板を設置する透光性基板設置工程と、前記光学チップと前記透光性基板の間であり前記光学活性領域よりも外周側に樹脂材を充填する樹脂材充填工程と、前記樹脂材を固化する樹脂材固化工程と、を備えることとした。
【0020】
また、前記透光性基板の前記リードフレームに対面する側の表面に金属膜が形成され、前記金属膜と前記リードフレームとを接合する接合工程を備えることとした。
【0021】
また、前記光学活性領域と前記電極パッドとの間であり、前記光学活性領域を囲む土手を設置する土手設置工程を備えることとした。
【0022】
また、前記光学チップ実装工程は、複数の光学チップを前記リードフレームに実装する工程であり、前記樹脂材硬化工程の後に、個々の光学デバイスに切断分離する切断分離工程を備えることとした。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光学デバイスは、リードフレームと、リードフレームの一方の表面に接合される光学チップと、リードフレームの他方の表面の側に設置される透光性基板と、光学チップと透光性基板との間の外周部を封止する樹脂材と、を備える。更に、光学チップはリードフレームの側の表面に光学活性領域と光学活性領域よりも外周側に電極パッドとを備え、電極パッドがリードフレームに接合される。これにより、光学チップを固定するベース基板を省いたので、光学デバイスの厚さを薄くし、かつ軽量化することができる。また、紫外線カット型の光学フィルター基板を使用することができる。更に、構成部材を削減したので製造工程が簡素化し、低コストで光学デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の本発明の光学デバイスの基本構成を表す断面模式図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【
図5】本発明の第四実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【
図6】本発明の第五実施形態に係る光学デバイスの模式的な斜視図である。
【
図7】本発明の第六実施形態に係る光学デバイスの模式的な斜視図である。
【
図8】本発明の光学デバイスの基本的な製造方法を表す工程図である。
【
図9】本発明の第七実施形態に係る光学デバイスの各製造工程の説明図である。
【
図10】本発明の第七実施形態に係る光学デバイスの各製造工程の説明図である。
【
図11】従来公知の光学デバイスのパッケージ構造を示す断面模式図である。
【
図12】従来公知の光学デバイスのパッケージ構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(光学デバイスの基本構成)
図1は、本発明の光学デバイス1の基本構成を表す断面模式図である。光学デバイス1は、リードフレーム2と、リードフレーム2の一方の表面に接合される光学チップ3と、リードフレーム2の他方の表面の側に設置される透光性基板4と、光学チップ3と透光性基板4との間の外周部を封止する樹脂材5とを備える。光学チップ3は、リードフレーム2側の表面に光学的活性領域6と、この光学的活性領域6よりも外周側に電極パッド7とを備え、この電極パッド7とリードフレーム2とが接合される。なお、透光性基板4は、リードフレーム2の他方の表面に接合されていてもよいし、他方の表面から離間して固定されていてもよい。
【0026】
リードフレーム2は電極パッド7に突起電極9を介してフィリップチップ接合により実装することができる。突起電極9は、Au、Ag、Cu、SnやPb半田等からなるスタッドバンプやメッキバンプにより形成することができる。光学チップ3は、フォトダイオードやイメージセンサ等からなる受光素子や、LEDなどの発光素子が形成されるベアーチップを使用することができる。リードフレーム2は、銅系合金材料や鉄ニッケル系合金材料などの金属板を打ち抜き加工やエッチング加工により形成することができる。透光性基板4は、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂等の透光性のプラスチック材料を使用することができる。透光性基板4に対して、特定の波長の光を透過するフィルター機能を付与することができる。例えば、透光性基板4にリン酸塩ガラスを混入させることにより、視感度特性に近い分光特性を付与することができる。また、透光性基板4の表面に光干渉膜を形成してもよい。
【0027】
樹脂材5は、熱硬化型樹脂或いは紫外線硬化型樹脂を使用することができる。例えば、エポキシ系樹脂やエンジニアリングプラスチック等からなる樹脂材5を、光学チップ3と透光性基板4の間であり、光学的活性領域6を取り囲むように充填することができる。樹脂材5は、光学的活性領域6を気密封止し、かつ、透光性基板4、リードフレーム2及び光学チップ3を接着固定する。樹脂材5に光遮光性材料、例えば黒色顔料を混入させて遮光性とし、横方向や背面方向から入射するノイズ光を遮断することができる。
【0028】
光学デバイス1は、光学チップ3をリードフレーム2に直接接合するのでベース基板を必要とせず、軽量でかつ極めて薄く形成することができる。また、樹脂材5として熱硬化型の樹脂を使用することができるので、紫外線カット型の透光性基板4を使用することができる。以下、具体的に説明する。
【0029】
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態に係る光学デバイス1の断面模式図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図2に示すように、光学デバイス1は、リードフレーム2と、リードフレーム2の一方の表面に接合される光学チップ3と、リードフレーム2の他方の表面の側に設置される透光性基板4とを備える。光学チップ3はリードフレーム2側の表面に光学的活性領域6と、光学的活性領域6よりも外周側の四隅近傍に電極パッド7を備える。更に、電極パッド7と光学的活性領域6との間であり、光学的活性領域6を囲むように設置される土手8を備える。
【0030】
土手8を設置することにより、樹脂材5を充填する際に樹脂材5が光学的活性領域6に流れ込むのを防止することができる。更に、透光性基板4と光学チップ3の間隙が土手8の高さ以上に縮まるのを防ぐことができる。なお、土手8と光学チップ3の間又は土手8と透光性基板4との間に隙間が形成されていてもよく、樹脂材5が土手8を超えて光学的活性領域6に流れ込まなければよい。土手8は、ガラス材料、プラスチック材料、金属材料等を使用することができる。その他、リードフレーム2、光学チップ3、透光性基板4、樹脂材5、突起電極9等の構成は、光学デバイスの基本構成においての説明と同様なので、これらの説明を省略する。
【0031】
(第二実施形態)
図3は、本発明の第二実施形態に係る光学デバイス1の断面模式図である。第一実施形態と異なる点は、土手8を透光性基板4に設けた突条10により構成する点であり、その他は第一実施形態と同様である。以下、第一実施形態と異なる点について説明する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0032】
図3に示すように、透光性基板4は、電極パッド7と光学的活性領域6の間であり、光学的活性領域6を囲むように設けられる突条10を備える。突条10は、透光性基板4の型成形により形成することができる。突条10は第一実施形態における土手8として機能する。樹脂材5を充填する際に樹脂材5が光学的活性領域6に流れ込むのを防止することができる。また、透光性基板4と光学チップ3の間隙が一定以上に狭くなるのを防止することができる。更に、透光性基板4とは別に土手8の設置や位置合わせを行う必要がないので製造工程が簡素となる。その他の構成は、第一実施形態と同様なので説明を省略する。
【0033】
(第三実施形態)
図4は、本発明の第三実施形態に係る光学デバイス1の断面模式図である。第二実施形態と異なる点は、リードフレーム2と透光性基板4とが金属膜11を介して接合される点であり、その他の構成は第二実施形態と同様である。以下、第二実施形態と異なる点について説明する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0034】
図4に示すように、透光性基板4はリードフレーム2側の表面に金属膜11が形成され、金属膜11とリードフレーム2が接合される。金属膜11は、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、Cr等からなる金属材料を使用することができる。例えば、厚さ600ÅのCr、厚さ2000ÅのNi、厚さ1500ÅのAuからなるAu/Ni/Crの3層構造とすることができる。この金属膜11とリードフレーム2とを超音波接合や半田接合により接続することができる。例えば、リードフレーム2の接合面をAuやSnとし、リードフレーム2と金属膜11とを密着させて、加熱しながら加圧するとともに超音波を印加して金属間を接合することができる。また、印刷法やディスペンス法によりナノ銀を塗布して金属膜11を形成することができる。
【0035】
更に、透光性基板4とリードフレーム2の間の接合とリードフレーム2と光学チップ3の間の接合を同時に行うこともできる。この場合でも、透光性基板4に突条10が形成されているので、透光性基板4と光学チップ3との間隙を一定に維持することができる。このように、リードフレーム2と光学チップ3の間と、リードフレーム2と透光性基板4の間を、樹脂材5に加えて金属間接合により固定されるので、光学デバイス1の機械的強度が向上する。その他の構成は第二実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0036】
(第四実施形態)
図5は、本発明の第四実施形態に係る光学デバイス1の断面模式図である。第三実施形態と異なる点は、樹脂材5が光学チップ3の裏面を覆って形成される点であり、その他の構成は第三実施形態と同様である。以下、主に第三実施形態と異なる点について説明する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0037】
図5に示すように、樹脂材5は、透光性基板4の側面と、光学チップ3の側面と、光学チップ3の光学的活性領域6が形成される表面とは反対側の裏面を覆って形成される。これにより、光学チップ3の裏面及び側面が樹脂材5により完全に覆われるので、光学チップ3を汚染物質から保護することができる。また、樹脂材5に黒色顔料等を混入して樹脂材5に光を透過しない遮光性を付与することができる。これにより、外部から光学的活性領域6に入射するノイズ光や、外部に射出されるノイズ光を遮蔽することができる。その他の構成は第三実施形態と同様なので、説明を省略する。なお、第一実施形態から第三実施形態において、光学チップ3の裏面に樹脂材5を設置すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
(第五実施形態)
図6は、本発明の第五実施形態に係る光学デバイス1の模式的な斜視図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0039】
図6に示すように、光学デバイス1は本体部1aと本体部1aから突出するアウターリード2aからなる。アウターリード2aはリードフレーム2の樹脂材5から外部に突出する部分である。本体部1aは光学デバイス1からアウターリード2aを除いた部分である。本体部1aは、既に説明した第一実施形態から第四実施形態のいずれかの構成を有する。
【0040】
本体部1aは、透光性基板4の垂直方向から見る平面視で四角形の立方体形状を有する。立方体形状の側面Saから2本のアウターリード2aが突出し、対向する側面Sbから他の2本のアウターリード2aが突出する。他の2本のアウターリード2aは、側面Sbに直交する側面Sc、Sdに沿って屈曲して延設され、側面Saから突出する2本のアウターリード2aと同じ方向に配列する。つまり、4本のアウターリード2aは光学チップ3の表面と平行な平面内の一方向に集約的に配置される。言いかえると、4本のアウターリード2aは、その外端部が光学チップ3の表面と平行な平面内に一列状に形成される。この構成により、回路基板にアウターリード2aを一列に立設して組み付けることができるので、回路基板に占める光学デバイス1の面積が縮小し、回路基板上の素子の集約度が向上する。
【0041】
(第六実施形態)
図7は、本発明の第六実施形態に係る光学デバイス1の模式的な斜視図である。第五実施形態と異なる点は、アウターリード2aの形状であり、その他の点は第五実施形態と同様である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0042】
図7に示すように、本体部1aは、透光性基板4の垂直方向から見る平面視で四角形の立方体形状を有する。立方体形状の側面Saから2本のアウターリード2aが突出し、対向する側面Sbから他の2本のアウターリード2aが突出する。そして、各アウターリード2aは光学チップ3の表面に直交する方向に屈曲する。この構成により、光学デバイス1を回路基板に組み付けたときに、光学デバイス1の高さを低く抑えることができる。そのためき、携帯機器や薄型化が求められる製品に好適である。
【0043】
なお、以上の第五実施形態及び第六実施形態において、4本のアウターリード2aの例について説明したが、更に多数のアウターリード2a、即ち多数のリードフレーム2を形成するものであってもよい。
【0044】
(光学デバイスの基本的な製造方法)
図8は、本発明の光学デバイスの基本的な製造方法を表す工程図である。本発明の光学デバイスの基本的な製造方法は、リードフレームを準備するリードフレーム準備工程S0、光学チップの電極パッドに突起電極を形成する突起電極形成工程S1、光学チップをリードフレームに実装する光学チップ実装工程S2、光学チップとは反対側のリードフレームの上に透光性基板を設置する透光性基板設置工程S3、光学チップと透光性基板との間に樹脂材を充填する樹脂材充填工程S4、充填した樹脂材を固化する樹脂材固化工程S5を備える。なお、S0〜S4は各工程の工程順を表すものではない。光学チップ実装工程S2の後にリードフレーム準備工程S0を行ってもよいし、透光性基板設置工程S3の後に光学チップ実装工程S2を行ってもよい。
【0045】
具体的に説明する。リードフレーム準備工程S0では、金属板を打ち抜き法やエッチング法により櫛歯状の電極に形成する。突起電極形成工程S1では、光学チップの光学的活性領域よりも外周側の表面に形成される電極パッドに突起電極を形成する。突起電極は、蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、或いはボールボンダによって形成する。光学チップ実装工程S2では、リードフレームに突起電極を介して光学チップを実装する。リードフレームと突起電極とのフリップチップ接合により実装することができる。透光性基板設置工程S3では、リードフレームの光学チップとは反対側に透光性基板を設置する。樹脂材充填工程S4では、光学チップと透光性基板の間であり光学活性領域よりも外周側に樹脂材を充填する。射出成型により樹脂材を充填することができる。樹脂材固化工程S5では、充填された樹脂材を固化して一体化する。
【0046】
光学チップを実装するためのベース基板を必要としないので、光学デバイスを軽量化し、厚さを極めて薄く形成することができる。更に、ベース基板に光学チップを実装する必要がなく、製造工程が簡素化される。以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
【0047】
(第七実施形態)
図9及び
図10は、本発明の第七実施形態に係る光学デバイス1の各製造工程の説明図である。本実施形態では透光性基板に土手として機能する突条が形成される例である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0048】
図9(S0)は、リードフレーム準備工程S0の説明図である。銅系合金材料や鉄ニッケル系合金系材料から成る板体を打ち抜き法やエッチング法により対向する櫛歯状の電極に形成する。
図9(S1)は、突起電極形成工程S1の説明図である。光学チップ3の表面の中央部には光学的活性領域6が形成され、光学的活性領域6の外周側の表面には電極パッド7が形成される。電極パッド7の表面に突起電極9を形成する。光学チップ3は、フォトダイオード等の受光素子やLEDなどの発光素子が形成される半導体基板からなるベアーチップを使用する。光学的活性領域6は光の受光面又は発光面であり、電極パッド7はこの光学的活性領域6と同じ表面に形成される。
【0049】
突起電極9は、蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、或いはボールボンダによって形成することができる。突起電極9としてAu、Ag、Ni、Cu、半田等を使用することができる。例えばボールボンダによってAuスタッドバンプを形成することができる。具体的には、Au線の先端部を溶融してAuボールを形成し、電極パッド7にAuボールを超音波接合してAu線を切断する。例えば、直径が25μmのAu線を用いてスタッドバンプを形成すれば、突起電極9の高さを約60μmとすることができる。
【0050】
図9(S2)は、光学チップ実装工程S2の説明図であり、上図が光学チップ3の表面の垂直方向から見る平面模式図であり、下図が断面模式図である。リードフレーム2と突起電極9とをフリップチップ接合して光学チップ3をリードフレーム2に実装する。具体的には、リードフレーム2と突起電極9とを密着させ、加圧及び加熱して超音波を印加し、リードフレーム2と突起電極9とをフリップチップ接合する。なお、超音波接合に代えて半田接合によりリードフレーム2と光学チップ3とを接続してもよい。
【0051】
図10(S3)は、透光性基板設置工程S3の説明図である。上図が断面模式図であり、下図が平面模式図である。透光性基板4をリードフレーム2の光学チップ3とは反対側に設置する。透光性基板4の表面には突条10が形成され、突条10を光学チップ3側に向けて設置する。突条10は、光学チップ3の光学的活性領域6を取り囲み、突条10の頂部は光学チップ3の表面に当接してもよいし、隙間があってもよい。要するに、この後に充填される樹脂材5が光学的活性領域6に進入するのを防止できればよい。透光性基板4は、ガラス材料、プラスチック材料等を使用することができる。突条10は、基板材料の型成形により形成することができる。また、透光性基板4として特定波長の光を透過するフィルター機能を付与することができる。
【0052】
図10(S4)は、樹脂材充填工程S4の説明図である。樹脂材5を、光学チップ3及び透光性基板4の側面、光学チップ3と透光性基板4の間の突条10までの間隙、及び、光学チップ3の光学的活性領域6が形成される表面とは反対側の裏面に形成する。樹脂材5として熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。樹脂材5として、黒色顔料等を混入して光を遮断する遮光性とするのが好ましい。遮光性の樹脂材5とすることにより、光学的活性領域6にノイズ光が入射する、或いは光学的活性領域6からノイズ光が射出されるのを防止することができる。次に、樹脂材固化工程S5において、加熱する或いは紫外線を照射して樹脂材5を固化する。次に、リードフレーム2の支持部を切断して4本に分離されるアウターリード2aを形成する。
【0053】
このように、リードフレーム2を光学チップ3と透光性基板4の間に挟み込むようにして光学デバイス1を形成するので、光学チップ3を実装するためのベース基板が不要となり、光学デバイス1を軽量化し、かつ、薄く形成することができる。また、製造工程が簡素となり、低コスト化を図ることができる。
【0054】
なお、透光性基板4に突条10を形成することに代えて、透光性基板4とは別体の土手8を形成し、光学的活性領域6と電極パッド7との間であり、光学的活性領域6を囲むように設置する土手設置工程を設けることができる。また、透光性基板設置工程S3の後に、リードフレーム2と透光性基板4とを接合する接合工程を設けることができる。また、透光性基板4のリードフレーム2に対面する側の表面に予め金属膜11(
図4を参照)を形成しておき、透光性基板設置工程S3の後に、この金属膜11とリードフレーム2とを金属間接合することができる。金属膜11は、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、Cr等からなる金属材料を使用する。例えば、Au/Ni/Crからなる3層構造とする。リードフレーム2と金属膜11とを密着させ、透光性基板4を加熱しながら押圧し、超音波を印加して接合する。これにより、光学チップ3とリードフレーム2と透光性基板4を強固に接合することができる。なお、透光性基板4としては、光学チップ3の半導体基板と熱膨張係数の近いガラスを使用することが好ましい。
【0055】
また、透光性基板設置工程S3において、リードフレーム2の一方の表面に光学チップ3の突起電極9を密着させ、他方の表面を透光性基板4の金属膜11に密着させ、光学チップ実装工程S2を行って、リードフレーム2に光学チップ3と透光性基板4とを同時に接合することができる。この場合は、透光性基板4に予め突条10を形成しておく、或いは透光性基板4と光学チップ3の間に土手を挿入しておくことにより、突条10や土手8が戸当たりとなり、光学的活性領域6を囲む空間が潰れるのを防止することができる。
【0056】
また、光学デバイス1を複数同時に形成することができる。即ち、光学チップ実装工程S2においてリードフレーム2に複数の光学チップ3を実装し、透光性基板設置工程S3において複数の光学チップ3に対応する外形の透光性基板4をリードフレーム2の光学チップ3とは反対側に設置する。更に、樹脂材充填工程S4において、複数の光学チップ3と透光性基板4の間であり各光学的活性領域6よりも外周側に樹脂材を充填し、樹脂材固化工程S5の後に、切断分離工程において個々の光学デバイス1に切断分離する。これにより、複数の光学デバイス1を同時に製造することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 光学デバイス、1a 本体部
2 リードフレーム、2a アウターリード
3 光学チップ
4 透光性基板
5 樹脂材
6 光学的活性領域
7 電極パッド
8 土手
9 突起電極
10 突条
11 金属膜
12 本体部
Sa、Sb、Sc、Sd 側面