特許第6070941号(P6070941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070941
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20170123BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20170123BHJP
   F02D 41/38 20060101ALI20170123BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20170123BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20170123BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20170123BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F01N3/20 EZAB
   F01N3/20 B
   F02D41/04 385G
   F02D41/38 B
   F02D41/04 360G
   F02D9/02 R
   F02D9/02 F
   F02D9/02 C
   B01J23/44 A
   B01D53/86 222
   B01D53/94 222
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-49014(P2013-49014)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-173558(P2014-173558A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】阿野田 洋
(72)【発明者】
【氏名】田代 圭介
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−127297(JP,A)
【文献】 特開平07−189653(JP,A)
【文献】 特開2013−029038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/18−3/20
B01D 53/86
B01D 53/94
F02D 9/02
F02D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配設される酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側の前記排気通路に配設される排気浄化手段と、
前記排気通路内の排ガス流れ方向における前記酸化触媒内の複数の部位の温度を検出可能な温度検出手段と、
前記酸化触媒に吸着した排ガス成分を脱離する、前記排気浄化手段の前記再生処理の開始前にパージ処理を実施する第1パージ処理と、前記排気浄化手段の前記再生処理を中断してパージ処理を実施する第2パージ処理とからなる複数のパージ処理方法を有し、前記排気浄化手段の再生処理時に、前記複数の部位のそれぞれの温度に応じて、前記第1パージ処理、前記第2パージ処理を切り換えるパージ処理制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記酸化触媒に流入する排ガスを昇温させる昇温手段と、
前記内燃機関の前記酸化触媒の上流に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、
前記第1パージ処理は、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させ、
前記第2パージ処理は、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させた後に、前記排気浄化手段の前記再生処理時の燃料の供給量に対して、少ない量の前記燃料を供給するものであることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記パージ処理制御手段は、前記第2パージ処理を実施した後に、前記排気浄化手段の前記再生処理を再開させることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記温度検出手段は、前記酸化触媒の内部温度を検出する第1温度センサと、前記酸化触媒の出口温度を検出する第2温度センサと、で構成され、
前記パージ処理制御手段は、前記酸化触媒の前記内部温度が第1所定値以下であると、前記第1パージ処理を実施し、前記酸化触媒の前記出口温度が第2所定値以下であると、前記第2パージ処理を実施することを特徴とする、請求項2或いは3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記酸化触媒に流入する排ガスを昇温させる昇温手段と、
前記内燃機関の前記酸化触媒の上流に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、
前記パージ処理制御手段は、前記第1パージ処理時には、前記酸化触媒の前記内部温度が第3所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温を終了し、前記第2パージ処理時には、前記酸化触媒の前記内部温度が第3所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温を終了させた後に、前記排気浄化手段の前記再生処理時の燃料の供給量に対して少ない量の前記燃料の供給を開始し、前記酸化触媒の前記出口温度が第4所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温及び前記燃料の供給を終了することを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】
前記昇温手段は、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、前記内燃機関の燃焼室に流入する吸入空気量を調整する吸入空気量調整手段であって、
前記パージ処理制御手段は、前記第1パージ処理或いは前記第2パージ処理において、前記排気浄化手段の前記再生処理時に対して、前記内燃機関の前記燃焼室に流入する前記吸入空気量が少なくなるように前記吸入空気量調整手段の開度を制御して、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させることを特徴とする、請求項2或いはに記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項7】
内燃機関の排気通路に配設される酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側の前記排気通路に配設される排気浄化手段と、
前記酸化触媒の下流の排ガス温度を検出する温度検出手段と、
前記酸化触媒に吸着した排ガス成分を脱離する、前記排気浄化手段の前記再生処理の開始前にパージ処理を実施する第1パージ処理と、前記排気浄化手段の前記再生処理を中断してパージ処理を実施する第2パージ処理とからなる複数のパージ処理方法を有し、前記排気浄化手段の再生処理時に、前記酸化触媒の下流の前記排ガス温度に応じて、前記第1パージ処理、前記第2パージ処理を切り換えるパージ処理制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、特に、触媒のパージ処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディーゼルエンジンでは、排気通路にエンジンからの排ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)を捕集或いは酸化する触媒や、微粒子状物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ等の排ガス浄化装置が備えられている。
そして、このような排ガス浄化装置では、エンジンの運転中にディーゼルパティキュレートフィルタにPMが堆積していくと、やがてディーゼルパティキュレートフィルタが目詰まりを起こし、そして排圧が上昇して悪影響を与えることから、ディーゼルパティキュレートフィルタ内に堆積したPM量が一定量を超えると酸化触媒に燃料を供給して、酸化触媒内で酸化反応させてディーゼルパティキュレートフィルタに流入する排ガス温度を上昇させ、ディーゼルパティキュレートフィルタ内に堆積したPMを燃焼除去させる再生処理を実施している。
【0003】
しかしながら、酸化触媒は、パラジウム(Pd)を含んで構成されており、当該パラジウムが燃料に含まれる硫黄分(S)によって劣化、所謂硫黄被毒しやすい特性を有しており、酸化触媒が硫黄被毒すると、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理時に酸化触媒へ燃料を供給しても、酸化触媒にて十分に酸化反応が行われず、再生処理に最適な温度まで排ガス温度を上昇させることができなくなり、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生不良となることがある。
【0004】
そこで、特許文献1では、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理時に、燃料の噴射量と排ガス量とに基づいて酸化触媒の適正な温度上昇値である適正酸化触媒温度上昇値を算出している。また、酸化触媒より排出される排ガス温度より酸化触媒の実際の温度上昇値である実測酸化触媒温度上昇値を算出している。そして、適正酸化触媒温度上昇値と実測酸化触媒温度上昇値より、酸化触媒に流入する排ガス温度を上昇させて、酸化触媒内に吸着している硫黄分の除去を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−101200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の排ガス後処理装置では、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理時に、燃料の噴射量と排ガス量とから算出される適正酸化触媒温度上昇値と排ガス温度より求められる実測酸化触媒温度上昇値に基づき、実測酸化触媒温度上昇値が適正酸化触媒温度上昇値より低いと判断されると、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理を完了させ、酸化触媒に流入する排ガス温度を上昇させて、酸化触媒の硫黄被毒の回復処理、所謂Sパージ処理を実施している。
【0007】
しかしながら、実測酸化触媒温度上昇値が適正酸化触媒温度上昇値より低いと判断されると、硫黄被毒が少なく早期に硫黄被毒から回復させる必要がないような場合であっても、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理を完了させた後に酸化触媒のSパージ処理を行うので、Sパージ処理の実施頻度が増大することとなる。また、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生処理後には、炭化水素(HC)成分が酸化触媒にて燃焼されずに溜まっている場合があり、このような場合に酸化触媒のSパージ処理を実施すると高温の排ガスが酸化触媒に導入され、炭化水素が未燃ガスとして排出され白煙が発生する要因となり好ましいことではない。
【0008】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、酸化触媒のSパージ処理を適切に行うことのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に配設される酸化触媒と、前記酸化触媒の下流側の前記排気通路に配設される排気浄化手段と、前記排気通路内の排ガス流れ方向における前記酸化触媒内の複数の部位の温度を検出可能な温度検出手段と、前記酸化触媒に吸着した排ガス成分を脱離する、前記排気浄化手段の前記再生処理の開始前にパージ処理を実施する第1パージ処理と、前記排気浄化手段の前記再生処理を中断してパージ処理を実施する第2パージ処理とからなる複数のパージ処理方法を有し、前記排気浄化手段の再生処理時に、前記複数の部位のそれぞれの温度に応じて、前記第1パージ処理、前記第2パージ処理を切り換えるパージ処理制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1において、前記酸化触媒に流入する排ガスを昇温させる昇温手段と、前記内燃機関の前記酸化触媒の上流に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、前記第1パージ処理は、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させ、前記第2パージ処理は、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させた後に、前記排気浄化手段の前記再生処理時の燃料の供給量に対して、少ない量の前記燃料を供給するものであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1において、前記パージ処理制御手段は、前記第2パージ処理を実施した後に、前記排気浄化手段の前記再生処理を再開させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の内燃機関の排気浄化装置では、請求項2或いは3において、前記温度検出手段は、前記酸化触媒の内部温度を検出する第1温度センサと、前記酸化触媒の出口温度を検出する第2温度センサと、で構成され、前記パージ処理制御手段は、前記酸化触媒の前記内部温度が第1所定値以下であると、前記第1パージ処理を実施し、前記酸化触媒の前記出口温度が第2所定値以下であると、前記第2パージ処理を実施することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の内燃機関の排気浄化装置では、請求項4において、前記酸化触媒に流入する排ガスを昇温させる昇温手段と、前記内燃機関の前記酸化触媒の上流に燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、前記パージ処理制御手段は、前記第1パージ処理時には、前記酸化触媒の前記内部温度が第3所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温を終了し、前記第2パージ処理時には、前記酸化触媒の前記内部温度が第3所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温を終了させた後に、前記排気浄化手段の前記再生処理時の燃料の供給量に対して少ない量の前記燃料の供給を開始し、前記酸化触媒の前記出口温度が第4所定値より高くなると前記酸化触媒に流入する前記排ガスの昇温及び前記燃料の供給を終了することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の内燃機関の排気浄化装置では、請求項2或いはにおいて、前記昇温手段は、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、前記内燃機関の燃焼室に流入する吸入空気量を調整する吸入空気量調整手段であって、前記パージ処理制御手段は、前記第1パージ処理或いは前記第2パージ処理において、前記排気浄化手段の前記再生処理時に対して、前記内燃機関の前記燃焼室に流入する前記吸入空気量が少なくなるように前記吸入空気量調整手段の開度を制御して、前記酸化触媒に流入する前記排ガスを昇温させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に配設される酸化触媒と、前記酸化触媒の下流側の前記排気通路に配設される排気浄化手段と、前記酸化触媒の下流の排ガス温度を検出する温度検出手段と、前記酸化触媒に吸着した排ガス成分を脱離する、前記排気浄化手段の前記再生処理の開始前にパージ処理を実施する第1パージ処理と、前記排気浄化手段の前記再生処理を中断してパージ処理を実施する第2パージ処理とからなる複数のパージ処理方法を有し、前記排気浄化手段の再生処理時に、前記酸化触媒の下流の前記排ガス温度に応じて、前記第1パージ処理、前記第2パージ処理を切り換えるパージ処理制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
酸化触媒は、燃料に含まれる硫黄分(S)が吸着して劣化、所謂硫黄被毒する。そして、吸着した硫黄分は、例えば、酸化触媒内に吸着した硫黄分は、酸化触媒に燃料を供給して、酸化触媒での酸化反応により排ガスの温度を上昇させ、高温の排ガスを酸化触媒の下流の排気浄化手段に供給して、排気浄化手段に堆積したPMや、硫黄分或いはNOx等を燃焼或いは還元除去する再生処理を行うと、酸化触媒内で酸化反応が行われ、酸化触媒の出口に向かうにつれ酸化触媒が高温となることから脱離され、酸化触媒の出口に向かうにつれ少なくなる。そして、酸化触媒の温度は、吸着した硫黄分が多くなるにつれ、酸化触媒での酸化反応が減少することから低下する。
【0017】
したがって、請求項1の発明によれば、例えば、排気浄化手段の再生処理時に、酸化触媒の内部と出口等の複数の部位のそれぞれの温度に応じて、それぞれの部位に吸着した硫黄分の脱離に最適なパージ処理方法に切り換えることで、酸化触媒の内部のみ硫黄分の吸着が多いような場合には、早期にパージ処理を行う必要がないので、次回の排気浄化触媒の再生処理実施前に行うことでパージ処理の頻度を減らすことができる。また、例えば、排気浄化手段の再生処理実施前或いは実施直後に排気浄化手段の再生処理を一旦中断してパージ処理を行うことで、排気浄化触媒の再生処理による炭化水素(HC)成分の酸化触媒への滞留を抑制することができるので、パージ処理時に高温の排ガスを酸化触媒に導入しても白煙の発生を抑制することができる。
【0018】
よって、酸化触媒の過度のパージ処理を抑制しつつ、適切に酸化触媒のパージ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置が適用されたエンジンの概略構成図である。
図2】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置のエンジンコントロールユニットが実行するSパージ制御のフローチャートである。
図3】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の通常Sパージ処理のフローチャートである。
図4】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の強制Sパージ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、内燃機関の排気浄化装置が適用されたエンジン1の概略構成図である。
図1に示すように、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、動力源として図示しない車両に搭載されるエンジン(内燃機関)1に設けられる燃料噴射ノズル(燃料供給手段)2と、電子制御スロットルバルブ(吸入空気量調整手段)9と、温度センサ(第1温度センサ)16と、温度センサ(第2温度センサ)17と、エンジンコントロールユニット(パージ処理制御手段)30とから構成される。
【0021】
エンジン1は、多気筒の筒内直接噴射式内燃機関(例えばコモンレール式ディーゼルエンジン)である。詳しくは、コモンレールに蓄圧された高圧燃料を各気筒の燃料噴射ノズル2に供給し、任意の噴射時期及び噴射量で当該燃料噴射ノズル2から各気筒の燃焼室3内に噴射可能な構成を成している。そして、また、エンジン1の各気筒の燃焼室3の上流には、燃焼室3内に新気を導入するインテークポート4が燃焼室3と連通するように形成されている。また、エンジン1の各気筒の燃焼室3の下流には、燃焼室3内の排ガスを排出するエキゾーストポート5が燃焼室3と連通するように形成されている。
【0022】
インテークポート5の上流には、最上流から吸入された吸入空気中のゴミを取り除くエアークリーナ6と、排ガスのエネルギを利用し吸入空気を圧縮するターボチャージャ7の図示しないコンプレッサハウジングと、圧縮され高温となった吸入空気を冷却するインタークーラ8と、吸入空気の流量を調整する電子制御スロットルバルブ9と、吸入空気を各気筒に分配するインテークマニフォールド10とがそれぞれ連通するように設けられている。また、電子制御スロットルバルブ9には、スロットルバルブの開き度合を検出するスロットルポジションセンサ11が備えられている。
【0023】
エキゾーストポート5の下流には、各気筒から排出される排ガスをまとめるエキゾーストマニフォールド12と、ターボチャージャ7に排ガスを導入する図示しないタービンハウジングと、排気管(排気通路)13とが連通するように設けられている。
排気管13には、上流から順番に酸化触媒14と、ディーゼルパティキュレートフィルタ(排気浄化手段)15とが連通するように設けられている。
【0024】
酸化触媒14は、パラジウム(Pd)を含んで構成されており、排ガス中の炭化水素(THC)或いは一酸化炭素(CO)等の被酸化成分を酸化するものである。そして、酸化触媒14は、パラジウム(Pd)に燃料中の硫黄分が吸着されると酸化触媒14での酸化反応が減少し、酸化触媒14の温度及び酸化触媒14から排出される排ガスの温度が上昇しない特性を有している。
【0025】
ディーゼルパティキュレートフィルタ15は、排ガス中の黒鉛を主成分とする微粒子状物資(PM)(本発明の排ガス成分に相当)を捕集し燃焼させるものである。そして、ディーゼルパティキュレートフィルタ15に堆積したPMは、燃料が燃料噴射ノズル2より燃焼ポスト噴射或いはHC添加ポスト噴射で噴射され、リッチ空燃比とされた排ガスが酸化触媒14で酸化されて高温の排ガスとなり、当該高温の排ガスをディーゼルパティキュレートフィルタ15に流入させて燃焼除去される。
【0026】
酸化触媒14には、酸化触媒14の内部温度を検出する温度センサ16が酸化触媒14内に突出するように設けられている。
また、排気管13の酸化触媒14の下流には、酸化触媒14の出口温度を検出する温度センサ17が排気管13内に突出するように設けられている。
インテークマニフォールド10とエキゾーストマニフォールド12には、それぞれが連通するように排ガスの一部を吸気へ戻す排ガス再循環路18が設けられている。また、排ガス再循環路18には、排ガスが吸気に戻る量、即ち排ガス再循環量を調整する排ガス再循環量制御バルブ19と、吸気へ戻す排ガスを冷やす再循環ガスクーラ20とが設けられている。
【0027】
燃料噴射ノズル2、電子制御スロットルバルブ9、スロットルポジションセンサ11、及び温度センサ16,17、等の各種装置や各種センサ類は、エンジン1の総合的な制御を行うための制御装置であって入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置等を含んで構成されるエンジンコントロールユニット30と電気的に接続されている。そして、エンジンコントロールユニット30は、各種センサ類からの各情報に基づきエンジン1に備わる図示しない各種装置の作動を制御する。
【0028】
エンジンコントロールユニット30の入力側には、スロットルポジションセンサ11、及び温度センサ16,17やエンジン1及び車両に備わる図示しないセンサ等のセンサ類が電気的に接続されており、これら各種センサ類からの検出情報が入力される。
一方、エンジンコントロールユニット30の出力側には、燃料噴射ノズル2及び電子制御スロットルバルブ9が電気的に接続されている。
【0029】
これらにより、エンジンコントロールユニット30は、各センサの検出値に基づき、エンジン1の通常運転時に、燃料噴射ノズル2に駆動信号を供給し、燃料噴射ノズル2からのプレ噴射とメイン噴射とアフタ噴射とで構成され、エンジン1の出力トルクに寄与する主噴射グループの燃料噴射量及び噴射時期を最適に制御する。また、エンジンコントロールユニット30は、各センサの検出値に基づき、車両の運転状況を判別しディーゼルパティキュレートフィルタ15に堆積したPMの堆積量を判定して、PMの堆積量が多いと判定すると酸化触媒14に流入する排ガスをリッチ空燃比とするための燃料添加を行うために、上記主噴射グループの後に燃料噴射ノズル2から燃料を噴射する燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行って、燃料を酸化触媒14に供給して、酸化触媒14にて酸化反応させて、高温の排ガスとしてディーゼルパティキュレートフィルタ15に堆積したPMを燃焼させるディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理(本発明の排気浄化手段の再生処理に相当)を行う。なお、燃焼ポスト噴射は、エンジン1の出力トルクに寄与せず、エンジン1の筒内(シリンダ内)で燃料の燃焼が完了するように膨張行程前期に燃料を燃焼室3に噴射するものである。また、HC添加ポスト噴射は、エンジン1の出力トルクに寄与せず、酸化触媒14で燃料が燃焼するように膨張行程後期に燃料を燃焼室3に噴射するものである。また、エンジンコントロールユニット30は、酸化触媒14に吸着した燃料の硫黄分の脱離を行うSパージ制御を行う。なお、Sパージ制御は、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時に行われる。そして、Sパージ制御では、温度センサ16にて検出される酸化触媒14の内部温度、或いは温度センサ17にて検出される酸化触媒14の出口温度に基づいて、通常Sパージ処理(本発明の第1パージ処理に相当)と強制Sパージ処理(本発明の第2パージ処理に相当)の複数のSパージ処理方法(本発明の複数のパージ処理方法に相当)を切り換えて酸化触媒14に吸着した硫黄分の脱離を行う。
【0030】
次に本発明に係るエンジンコントロールユニット30での酸化触媒14のSパージ制御について説明する。
図2は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置のエンジンコントロールユニット30が実行するSパージ制御のフローチャートである。図3は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の通常Sパージ処理のフローチャートである。図4は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の強制Sパージ処理のフローチャートである。
【0031】
図2に示すように、ステップS10では、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生要求があるか、否かを判別する。詳しくは、車両やエンジン1に備えられるセンサの検出結果に基づいて、ディーゼルパティキュレートフィルタ15にPMが堆積したと判定され、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理の実施要求があるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でディーゼルパティキュレートフィルタ再生要求があれば、ステップS12に進む。判別結果が否(No)でディーゼルパティキュレートフィルタ再生要求がなければ、本ルーチンをリターンする。
【0032】
ステップS12では、通常Sパージ要求を読み込む。詳しくは、前回のSパージ制御時に記憶された通常Sパージ要求を読み込む。そして、ステップS14に進む。
ステップS14では、通常Sパージ要求があるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で通常Sパージ要求があれば、ステップS16に進む。判別結果が否(No)で通常Sパージ要求がなければ、ステップS18に進む。
【0033】
ステップS16では、通常Sパージ処理を実施する。詳しくは、図3に示す通常Sパージ処理のフローチャートに基づいて、通常Sパージ処理を実施する。そして、ステップS18に進む。
ステップS18では、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を開始する。詳しくは、主噴射グループの後に燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行って、酸化触媒14に燃料を供給して、当該燃料を酸化触媒14にて燃焼させて、ディーゼルパティキュレートフィルタ15に高温の排ガスを導入するディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を開始する。そして、ステップS20に進む。
【0034】
ステップS20では、酸化触媒内部温度が第1所定値より高いか、否かを判別する。詳しくは、温度センサ16にて検出される酸化触媒14の内部温度が第1所定値より高いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で酸化触媒内部温度が第1所定値より高ければ、ステップS28に進む。判別結果が否(No)で酸化触媒内部温度が第1所定値より高くなければ、ステップS22に進む。なお、第1所定値は、酸化触媒14の内部への硫黄分の吸着量が多くなり所定量以上とったことを判定するための閾値である。故に、第1所定値は、酸化触媒14の内部への硫黄分の吸着量が多くなったことを判定することのできる値に予め実験や解析等によって設定される。また、第1所定値は、エンジン1の運転状況毎にマップ化されて記憶されている。
【0035】
ステップS22では、酸化触媒出口温度が第2所定値より高いか、否かを判別する。詳しくは、温度センサ17にて検出される酸化触媒14の出口温度が第2所定値より高いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で酸化触媒出口温度が第2所定値より高ければ、ステップS24に進む。判別結果が否(No)で酸化触媒出口温度が第2所定値より高くなければ、ステップS26に進む。なお、第2所定値は、酸化触媒14の出口側への硫黄分の吸着量が多くなり所定量以上とったことを判定するための閾値である。故に、第2所定値は、酸化触媒14の出口への硫黄分の吸着量が多くなったことを判定することのできる値に予め実験や解析等によって設定される。また、第2所定値は、酸化触媒14の温度が酸化触媒14の内部から出口に向かうにつれ温度が上昇することから第1所定値よりも高い値に設定される。そして、第2所定値は、第1所定値と同様にエンジン1の運転状況毎にマップ化されて記憶されている。
【0036】
ステップS24では、通常Sパージ処理要求を出力する。詳しくは、次回のディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時に、図3に示す通常Sパージ処理の実施するように、通常Sパージ処理要求を記憶する。そして、ステップS28に進む。
一方、ステップS26では、強制Sパージ処理を実施する。詳しくは、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を一旦中断し、図4に示す強制Sパージ処理のフローチャートに基づいて、強制Sパージ処理を実施する。そして、ステップS28に進む。
【0037】
ステップS28では、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を継続する。詳しくは、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理が実施されていれば、継続して実施し、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理が実施されていなければ、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を再開する。そして、ステップS30に進む。
ステップS30では、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を終了する。詳しくは、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理が実施されてから、所定の条件が満たされるとディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を終了する。そして、本ルーチンをリターンする。
【0038】
次に通常Sパージ処理について説明する。
図3に示すように、ステップS110では、排温昇温制御を実行する。詳しくは、エンジン1の燃焼室3内の空燃比が濃くなるように電子制御スロットルバルブ9の開度を減少させ、エンジン1の燃焼室3に導入される吸入空気量を減少させて、エンジン1の燃焼室3より排出される排ガスの温度を昇温させる排温昇温制御を実行する。そして、ステップS112に進む。
【0039】
ステップS112では、酸化触媒内部温度が第3所定値より高いか、否かを判別する。詳しくは、温度センサ16にて検出される酸化触媒14の内部温度が第3所定値より高いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で酸化触媒内部温度が第3所定値より高ければ、ステップS114に進む。判別結果が否(No)で酸化触媒内部温度が第3所定値より高くなければ、ステップS110へ戻る。なお、第3所定値は、酸化触媒14の内部への硫黄分の吸着量が少なくなるにつれ酸化触媒14の温度が高くなることから、第1所定値以上の値に予め実験や解析等によって設定される。また、第3所定値は、第1所定値と同様にエンジン1の運転状況毎にマップ化されて記憶されている。
【0040】
ステップS114では、排温昇温制御を終了する。そして、本ルーチンをリターンする。
次に強制Sパージ処理について説明する。
図4に示すように、ステップS210では、通常Sパージ処理のステップS110と同様に、排温昇温制御を実行する。そして、ステップS212に進む。
【0041】
ステップS212では、通常SパージのステップS112と同様に、酸化触媒内部温度が第3所定値より高いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で酸化触媒内部温度が第3所定値より高ければ、ステップS214に進む。判別結果が否(No)で酸化触媒内部温度が第3所定値より高くなければ、ステップS210へ戻る。
ステップS214では、ポスト噴射制御を追加実施する。詳しくは、電子制御スロットルバルブ9の開度を減少させて、エンジン1の燃焼室3より排出される排ガスの温度を昇温させる排温昇温制御に加え、主噴射グループの後に燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行うポスト噴射制御を実施する。そして、ステップS216に進む。なお、ここでの燃焼ポスト噴射及びHC添加ポスト噴射の噴射量は、電子制御スロットルバルブの開度を減少させていることから、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時の燃焼ポスト噴射及びHC添加ポスト噴射の噴射量に対して、少なく設定されている。
【0042】
ステップS216では、酸化触媒出口温度が第4所定値より高いか、否かを判別する。詳しくは、温度センサ17にて検出される酸化触媒14の出口温度が第4所定値より高いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で酸化触媒出口温度が第4所定値より高ければ、ステップS218に進む。判別結果が否(No)で酸化触媒出口温度が第4所定値より高くなければ、ステップS214へ戻る。なお、第4所定値は、酸化触媒14の内部への硫黄分の吸着量が少なくなるにつれ酸化触媒14の温度が高くなることから、第2所定値以上の値に予め実験や解析等によって設定される。また、第4所定値は、第1所定値と同様にエンジン1の運転状況毎にマップ化されて記憶されている。
【0043】
ステップS218では、排温昇温制御及びポスト噴射制御を終了する。そして、本ルーチンをリターンする。
このように本発明に係る内燃機関の排気浄化装置では、車両やエンジン1に備えられるセンサの検出結果に基づいて、ディーゼルパティキュレートフィルタ15にPMが堆積したと判定され、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理の実施要求があると、前回のSパージ制御時に記憶された通常Sパージ要求を読み込む。そして、通常Sパージ要求があると、温度センサ16にて検出される酸化触媒14の内部温度が第3所定値より高くなるまで、エンジン1の燃焼室3内の空燃比が濃くなるように電子制御スロットルバルブ9の開度を減少させ、エンジン1の燃焼室3に導入される吸入空気量を減少させて、エンジン1の燃焼室3より排出される排ガスの温度を昇温させる排温昇温制御を行う通常Sパージ制御を実施する。その後、主噴射グループの後に燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行って、酸化触媒14に燃料を供給し、当該燃料を酸化触媒14にて燃焼させて、ディーゼルパティキュレートフィルタ15に高温の排ガスを導入するディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を開始する。そして、温度センサ16にて検出される酸化触媒14の内部温度が第1所定値より高ければ、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理が実施されてから、所定の条件が満たされるまでディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を継続する。一方、酸化触媒内部温度が第1所定値より高くなければ、温度センサ17にて検出される酸化触媒14の出口温度が第2所定値より高いか、否かを判別する。そして、酸化触媒出口温度が第2所定値より高ければ、次回のディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時に、通常Sパージ処理の実施をするように、通常Sパージ処理要求を記憶した後に、所定の条件が満たされるまでディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を継続する。一方、酸化触媒出口温度が第2所定値より高くなければ、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を一旦中断し、酸化触媒内部温度が第3所定値より高くなるまで、通常Sパージと同様に排温昇温制御を行い、その後に、温度センサ17にて検出される酸化触媒14の出口温度が第4所定値より高くなるまで、排温昇温制御に加え主噴射グループの後に燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行うポスト噴射制御を行う強制Sパージ制御を実施する。その後、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を再開して、所定の条件が満たされるまでディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理を継続している。
【0044】
したがって、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時の酸化触媒14の内部温度が第1所定値以下であると、酸化触媒14の内部温度が上昇しておらず酸化触媒14の内部に吸着されている硫黄分が多いと判定するが、酸化触媒14の内部にのみ硫黄分の吸着が多く早期に通常Sパージ処理を行う必要がないため、次回のディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理の開始前に、酸化触媒14の内部温度が第3所定値より高くなるまで、電子制御スロットルバルブ9の開度を減少させ、エンジン1の燃焼室3に導入される吸入空気量を減少させて、エンジン1の燃焼室3より排出される排ガスの温度を昇温させる排温昇温制御を行う通常Sパージ処理を実施することで、酸化触媒14の内部に吸着した硫黄分を脱離させることができるので、Sパージ処理の頻度を減らすことができる。
【0045】
また、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理の実施前に通常Sパージ処理を実施、或いはディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理の実施直後に当該再制処理を中断して強制Sパージ処理を行うことで、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理による炭化水素(HC)成分の酸化触媒14への滞留を抑制することができるので、通常Sパージ処理及び強制Sパージ処理時に高温の排ガスを酸化触媒14に導入しても白煙の発生を抑制することができる。
【0046】
また、強制Sパージ処理では、電子制御スロットルバルブ9の開度を減少させ、エンジン1の燃焼室3に導入される吸入空気量を減少させて、酸化触媒14に流入する排ガスを昇温させた後に、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理での燃焼ポスト噴射及びHC添加ポスト噴射の噴射量に対して、少ない噴射量の燃焼ポスト噴射及びHC添加ポスト噴射とすることで、酸化触媒14の内部に硫黄分が再度吸着することを抑制することができる。
【0047】
また、酸化触媒14の内部温度が第3所定値より高いと通常Sパージ処理を終了し、酸化触媒14の出口温度が第4所定値より高いと強制Sパージ処理を終了しており、酸化触媒14の各部位の硫黄分の吸着状況に応じて、通常Sパージ処理或いは強制Sパージ処理を終了する酸化触媒14の各部位の温度を変えることで、酸化触媒14の各部位に吸着した硫黄分を確実に脱離することができる。
【0048】
また、通常Sパージ処理或いは強制Sパージ処理において、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時に対して、エンジン1の燃焼室3に流入する吸入空気量が少なくなるように電子制御スロットルバルブ25の開度を少なくして、酸化触媒14に流入する排ガスを昇温させており、酸化触媒14に流入する排ガスの昇温を例えば排気管13内への燃料の噴射やHC添加ポスト噴射の追加或いは増加で行っていないので、酸化触媒14に供給する燃料を少なくすることで、酸化触媒14の内部に硫黄分が再度吸着することを抑制することができる。
【0049】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、発明の形態は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施例では、酸化触媒14の内部温度と出口温度とを温度センサ16と温度センサ17とでそれぞれ検出するようにして、酸化触媒14の部位毎での硫黄分の堆積量を推定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、酸化触媒14の部位毎の硫黄分の吸着量と酸化触媒14の下流の排ガス温度との関係を予め解析や実験等で求めておき、そして酸化触媒14の下流に備えられる温度センサ17にて検出される排ガス温度と、酸化触媒14の部位毎の硫黄分の吸着量と酸化触媒14の下流の排ガス温度との関係とに基づいて、硫黄分の吸着量の多い部位を判定するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施例では、酸化触媒14の排ガス流れ方向の下流にディーゼルパティキュレートフィルタ15を設け、ディーゼルパティキュレートフィルタ再生処理時に酸化触媒14に吸着した硫黄分を脱離させるSパージ制御を実施するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、酸化触媒14の排ガス流れ方向の下流に排ガス中の窒素酸化物を還元して無害化するNOxトラップ触媒を設け、燃料を酸化触媒14に供給して当該NOxトラップ触媒に吸着したNOxを脱離させるNOxパージ処理や当該NOxトラップ触媒に吸着した硫黄分を脱離させるSパージ処理時に酸化触媒14に吸着した硫黄分を脱離させるSパージ制御を実施してもよい。
【0051】
また、本実施例のステップS214では、主噴射グループの後に燃焼ポスト噴射とHC添加ポスト噴射とを行って、酸化触媒14に燃料を供給しているが、これに限定されるものではなく、例えば、酸化触媒14の上流の排気管13に排気管13内に燃料を直接噴射する排気管内燃料噴射装置を設け、酸化触媒14に燃料を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 エンジン(内燃機関)
2 燃料噴射ノズル(燃料供給手段)
3 燃焼室
9 電子制御スロットルバルブ(吸入空気量調整手段)
13 排気管(排気通路)
14 酸化触媒
15 ディーゼルパティキュレートフィルタ(排気浄化手段)
16 温度センサ(第1温度センサ)
17 温度センサ(第2温度センサ)
30 エンジンコントロールユニット(パージ処理制御手段)
図1
図2
図3
図4