特許第6071005号(P6071005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6071005-時計の指針位置検出センサの構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071005
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】時計の指針位置検出センサの構造
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   G04C3/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-27350(P2014-27350)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-152470(P2015-152470A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加部 浩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 義典
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−013274(JP,A)
【文献】 特開2006−046924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00
G04C 9/00 − 08
G04C 21/00 − 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、該ケースにより支持された所定位置に透孔が形成された指針車と、前記ケースに取り付けられる回路基板と、を備えた時計における指針位置を検出する指針位置検出センサの構造であって、
前記回路基板に搭載され且つ前記指針車に光を照射する発光素子と、
前記発光素子に並んで前記回路基板に搭載され且つ前記指針車の回転により前記透孔を通過する光を受光する受光素子と、
前記発光素子から照射され前記透孔を透過した光を前記受光素子に導光する導光体と、
前記回路基板における前記発光素子と前記受光素子との間に設けられた貫通孔と、
前記ケースから突出し、前記回路基板を前記ケースに取り付けることにより前記貫通孔に挿通されて前記発光素子と前記受光素子との間を遮蔽する遮蔽部と、
からなることを特徴とする時計の指針位置検出センサの構造。
【請求項2】
前記ケースには前記発光素子と前記受光素子にそれぞれ適合する凹部が設けられ、該凹部の隔壁が前記遮蔽部で形成され、前記凹部の底部に前記発光素子と前記受光素子にそれぞれ対面する光の出射孔と入射孔が設けられている請求項1記載の時計の指針位置検出センサの構造。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記貫通孔の内面に密着することなく、前記貫通孔に挿通されている請求項1及び2記載の時計の指針位置検出センサの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波による時刻信号を得ることで時刻を自動修正する電波時計等において指針位置を検出するために用いられる指針位置センサに関するものであり、特に、指針位置検出センサを構成する発光素子と受光素子との間を遮蔽する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻信号を得ることで時刻を自動修正する時計においては、指針を駆動する指針車の回転から指針位置を検出するために、指針車の所定部分に孔を設け、発光素子から指針車に光を照射し、孔を透過した光を受光素子で受光することにより、指針位置を検出していた(特許文献1参照)。
【0003】
通常、上記従来の時計における発光素子と受光素子は、指針車を挟むように対向配置されていたが、発光素子と受光素子を搭載する回路基板がそれぞれ必要になる。このため、指針車を透過した光を発光素子が搭載された回路基板の方向へ導光することで、発光素子と同一回路基板に受光素子を搭載したものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4781800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、発光素子と受光素子を同一回路基板に搭載すると、発光素子の光が横方向から直に受光素子に当たって受光してしまうことがあった。このため、発光素子と受光素子との間にゴム等の遮蔽部材を取り付けることを試みたが、遮蔽部材と回路基板やケースとの隙間から光が漏れることがあり、正確な位置検出を行うことができない場合があった。また、樹脂等からなる回路基板が導光体となって、その内部に光が導光され、その光を受光素子が受光する場合もあり、単に遮蔽部材を取り付けても確実に遮蔽することは難しかった。更に、別体からなる遮蔽部材を取り付けると、部品点数と工数が増加し、コストアップになるという問題もあった。
【0006】
また、ムーブメントを小型化すると、回路基板も小さくなり、発光素子と受光素子との距離がより近くなって顕著に光の漏れが発生し、光の漏れを防止することがより難しくなるという問題もあった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、別体の遮蔽部材を設けることなく、発光素子と受光素子を確実に遮蔽した時計の指針位置検出センサの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の時計の指針位置検出センサの構造は、ケースと、該ケースにより支持された所定位置に透孔が形成された指針車と、前記ケースに取り付けられる回路基板と、を備えた時計における指針位置を検出する指針位置検出センサの構造であって、前記回路基板に搭載され且つ前記指針車に光を照射する発光素子と、前記発光素子に並んで前記回路基板に搭載され且つ前記指針車の回転により前記透孔を通過する光を受光する受光素子と、前記発光素子から照射され前記透孔を透過した光を前記受光素子に導光する導光体と、前記回路基板における前記発光素子と前記受光素子との間に設けられた貫通孔と、前記ケースから突出し、前記回路基板を前記ケースに取り付けることにより前記貫通孔に挿通されて前記発光素子と前記受光素子との間を遮蔽する遮蔽部と、からなるものである。
【0009】
また、この時計の指針位置検出センサの構造における前記ケースには前記発光素子と前記受光素子にそれぞれ適合する凹部が設けられ、該凹部の隔壁が前記遮蔽部で形成され、前記凹部の底部に前記発光素子と前記受光素子にそれぞれ対面する光の出射孔と入射孔が設けられている。また、前記遮蔽部は、前記貫通孔の内面に密着することなく、前記貫通孔に挿通されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の時計の指針位置検出センサの構造では、回路基板を取り付けるケースに遮蔽部を設け、その遮蔽部を回路基板の貫通孔に挿通することで発光素子と受光素子を遮蔽しているので、別体の遮蔽部材を取り付ける必要がない。特に、遮蔽部はケースに一体に設けられているので、遮蔽部とケースとの間に隙間は発生せず、確実に遮蔽することができる。
【0011】
また、回路基板における発光素子と受光素子との間に貫通孔を設けているので、回路基板が導光体となって発光素子からの光を受光素子の方向へ導光することがなく、確実に遮蔽することができる。
【0012】
また、発光素子と受光素子との間隔は、貫通孔と遮蔽部を設けることができる程度であればよいので、極めて近接配置することができ、ムーブメントの小型化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る時計の指針位置検出センサの構造を示す電波時計用ムーブメントの要部断面図である。
図2図1に示す第3のケースの正面図である。
図3図2に示す第3のケースの断面図である。
図4図1に示す回路基板の背面図である。
図5図4に示す回路基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す電波時計用ムーブメントにおいて、ケース4は、指針駆動機構を時計背面側から覆う第1のケース1と、第1のケース1内にて指針駆動機構を時計背面側から支持する中板等の第2のケース2と、指針駆動機構を時計前面側から支持する下板等の第3のケース3と、により構成されている。
【0015】
本実施形態における指針駆動機構内の指針車は、時針車5、分針車6及び秒針車7からなる。この時針車5、分針車6及び秒針車7には、歯車の重なり合う位置にそれぞれ円弧状あるいは円形の透孔5a、6a、7aがそれぞれ設けられている。この透孔5a、6a、7aは、各歯車の回転により、予め決められたパターンで連通するか遮蔽されるように設定されている。
【0016】
ムーブメントの前面側にある第3のケースの前面には、図2及び図3に示すように、後述する発光素子8と受光素子9が適合すると共に時針車5、分針車6及び秒針車7に対向するように凹部3a、3bが設けられている。また、その凹部3a、3bの間には、凹部3a、3bを隔絶するように前方に突出した略細長矩形状の遮蔽部3cが設けられている。この遮蔽部3cは、後述する回路基板10の位置決めをするボス3d等の端面よりも前方に突出するように形成されている。また、凹部3a、3bの底部には、発光素子8と受光素子9に対面するように出射孔3eと入射孔3fが設けられている。この出射孔3eは時針車5、分針車6及び秒針車7の透孔5a、6a、7aと連通する位置に設けられている。また、入射孔3fは、透孔5a、6a、7aを透過した光を前方に導光するように第1のケース1内に設けられた導光体11に対面する位置に設けられている。
【0017】
この第3のケース3の前面側に取り付けられる回路基板10には、発光ダイオード等の発光素子8とフォトトランジスタ等の受光素子9が、第3のケース3の凹部3a、3bに適合する位置に、搭載されている。また、回路基板10には、発光素子8と受光素子9との間に第3のケース3の遮蔽部3cに対面及び適合する細長矩形状の貫通孔10aが設けられている。
【0018】
本実施形態においては、上記構成からなる第3のケース3の前面に設けられたボス3d等により回路基板10を位置決めしてネジ12等によって固定することで、第3のケース3に回路基板10が取り付けられる。このときに、回路基板10に搭載された発光素子8と受光素子9は、第3のケース3の凹部3a、3b内に収められ、第3のケース3の遮蔽部3cによって遮蔽される。また、遮蔽部3cは、その先端が回路基板10の前面に達するように貫通孔10a全体に挿通されて、発光素子8と受光素子9の間だけでなく回路基板10の前面に至る厚み部分まで遮蔽している。
【0019】
上記のように発光素子8と受光素子9を遮蔽すると、隣り合う発光素子8と受光素子9の横方向は遮蔽部3cによって凹部3a、3bの底部から回路基板10の貫通孔10a内まで遮蔽されることになる。また、発光素子8と受光素子9との間に設けられた貫通孔10aは、回路基板10の内部に導光される光を遮断することになり、これにより回路基板10を通って光が漏れることもなくなる。
【0020】
尚、本実施形態における遮蔽部3cは、貫通孔10aの内面に接することなく貫通孔10aに挿通されている。これにより、回路基板10の取付時に発光素子8及び受光素子9付近に応力が掛かってその位置がずれることを防ぎ、また、貫通孔10aの内面と遮蔽部3cとが密着しないようにすることで、回路基板3内部の光を確実に遮断するものとなっている。
【0021】
尚、本実施形態の指針位置検出センサの構造を用いた指針位置の検出は、次のように行われる。発光素子8から照射された光は、出射孔3eから時針車5、分針車6及び秒針車7の透孔5a、6a、7aを透過し、導光体11により導光されて入射孔3fから受光素子9に照射される。
【0022】
発光素子8から照射された光は、透孔5a、6a、7aを透過して導光体11に達し、導光体11により導光されて受光素子9に達する場合と、時針車5等の回転により遮られる場合がある。このように受光素子9に光が達した場合と遮られた場合におけるオンオフそれぞれの間隔から、時針車5に取り付けられた時針等の位置を検出する。尚、分針車6、秒針車7に関しても同様に位置検出することが可能である。
【0023】
本実施形態においては、前述したように発光素子8からの光を受光素子9が直に受光することがないように遮蔽部3cと貫通孔10aで光を遮蔽及び遮断しているので、上記のような指針位置の検出を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 第1のケース
2 第2のケース
3 第3のケース
3a、3b 凹部
3c 遮蔽部
3d ボス
3e 出射孔
3f 入射孔
4 ケース
5 時針車
5a 透孔
6 分針車
6a 透孔
7 秒針車
7a 透孔
8 発光素子
9 受光素子
10 回路基板
10a 貫通孔
11 導光体
12 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5