(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の照明制御システムでは、一般的に、オフィス等に設置された複数の照明器具を所定のエリア単位に分割してそれぞれをグループ化し、グループ単位に照明器具のON/OFFを制御している。この際、グループ単位にスイッチが設けられ、オフィス等の利用者は、壁面等に設置されたスイッチを操作することによって、グループ単位で照明をON/OFFする。
【0003】
このように、従来の照明制御システムにおいては、スイッチを操作可能な全ての人が、照明をON/OFFすることが可能である。
【0004】
一方で、利用者が限定されたエリアや、長時間に渡って継続的な作業を行うエリア等、他の人に照明をON/OFFされたくない、すなわち、そのエリアの照明を独占的に制御できるようにしたいというニーズがある。
【0005】
しかしながら、従来の照明制御システムにおいては、使用中の照明が他の人にOFFにされてしまう可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で説明する実施形態において、照明制御システムは、照明エリアが重複しない複数のエリア#1,#2,#3,#4…に分割され、エリア毎に照明器具3の制御を行う。また、照明制御システムは、エリア毎の照明器具3のグループである複数の照明器具群を有する。たとえば、照明制御システム内の無線端末5−1は、複数の照明器具群のうちのエリア#1内の照明器具3を制御できるよう希望する旨のエリア指示情報を送信し、その応答としてエリア#1内の照明器具3への制御を許可された場合に、エリア#1内の照明器具3の制御を行う。また、照明制御システム内のコントローラ1は、エリア指示情報により示されたエリア#1が割り当て済みかどうかを判断し、割り当てられていない場合に、エリア#1内の照明器具3へのスイッチ制御を無効化し、無線端末5−1からエリア#1内の照明器具3への制御を許可する。
【0014】
また、実施形態において、コントローラ1は、無線端末5−1から照明エリアのエリア情報の取得要求を受け取った場合に、照明エリアのエリア情報を返信する。そして、無線端末5−1は、受け取ったエリア情報に基づいて照明エリアのレイアウト図を作成して表示し、たとえば、レイアウト図を用いて指示されたエリア#1に基づいてエリア指示情報を生成する。
【0015】
また、実施形態において、無線端末5−1,5−2,5−3…からエリア#1内の照明器具3を制御できるよう希望する旨のエリア指示情報を受け取った場合、コントローラ1は、最も早く受け取ったエリア指示情報を送信した無線端末に、エリア#1内の照明器具3への制御を許可する。
【0016】
また、実施形態において、コントローラ1は、無線端末毎の優先順位を予め記憶しておき、たとえば、無線端末5−1,5−2からエリア#1内の照明器具3を制御できるよう希望する旨のエリア指示情報を受け取った場合、または、既に端末装置5−2にエリア#1内の照明器具3への制御を許可している状態で無線端末5−1からさらにエリア#1内の照明器具3を制御できるよう希望する旨のエリア指示情報を受け取った場合には、最も優先順位の高い無線端末に、エリア#1内の照明器具3への制御を許可する。
【0017】
また、実施形態において、たとえば、エリア#1内の照明器具3を制御できる状態を解除する場合、無線端末5−1は、解除通知をコントローラ1に送信する。そして、解除通知を受け取ったコントローラ1は、無線端末5−1からエリア#1内の照明器具3への制御を不可とする処理を行い、その後、エリア#1内の照明器具3へのスイッチ制御を有効化する。
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる照明制御システムを説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0019】
[実施形態] [照明制御システムの構成例]
図1は、実施形態にかかる照明制御システムの構成例を示す図である。
図1において、この照明制御システムは、コントローラ1と無線通信装置2と複数の照明器具3が、それぞれ伝送線4により接続されている。また、コントローラ1と無線端末5−1,5−2,5−3…(以下、これらの無線端末を単に無線端末5と呼ぶ場合もある。)が、無線通信装置2を介して通信可能である。
【0020】
図1において、コントローラ1は、照明制御システム内の照明器具3を制御する機能を有する。また、無線通信装置2は、コントローラ1と無線端末5との間の通信を中継する。なお、無線通信装置2は、通信専用の装置である必要はなく、たとえば、照明器具3に含まれる構成であってもよい。また、無線通信装置2は、照明制御システム内に1つである必要はなく、照明エリアの広さに応じて複数配置されることとしてもよい。
【0021】
また、本実施形態の無線端末5は、スマートフォンやタブレット型の多機能携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)端末、パソコン等であり、近距離無線通信技術(Bluetooth(登録商標),UWB(Uitra Wide Band),ZigBee(登録商標),NFC(Near Field Communication)等)を用いて無線通信装置2と接続する。
【0022】
また、
図1において、本実施形態の照明制御システムでは、オフィス等の照明エリアが重複することなくエリア#1,エリア#2,エリア#3,エリア#4,…に分割され、各エリアに含まれる照明器具3をエリア毎にグループ化する。そして、オフィス等に在籍する照明の利用者が、エリア毎(グループ単位)に設けられたスイッチ部6を操作することにより、エリア毎に照明器具3の制御が可能である。
図2は、照明エリアの一例を示す図であり、オフィス等の照明エリア11を表している。ここでは、一例として、エリア#1,エリア#2,エリア#3,エリア#4…単位に、それぞれスイッチ6a,6b,6c,6d…が設けられ、スイッチ6a,6b,6c,6d…を操作することによって、エリア毎に照明器具3の制御が可能である。
【0023】
[照明制御システムの動作] つづいて、本実施形態の照明制御システムの特徴的な動作について説明する。なお、本実施形態においては、無線端末5−1,5−2,5−3…に、それぞれ照明制御用のアプリケーションソフトがインストールされていることを前提とする。また、
図2に示す照明エリア11のエリア情報、すなわち、照明エリア11内の各エリアの範囲を示すエリア位置情報、および各エリア内に設置された照明器具3の位置を示す照明位置情報は、コントローラ1により管理されているものとする。
【0024】
図3は、本実施形態にかかる照明制御システムにおける照明制御の一例を示すシーケンス図である。本実施形態においては、一例として、上記アプリケーションソフトがインストールされた無線端末5−1を利用して、無線端末5−1からエリア#1内の照明器具3のON/OFF制御を独占的に行えるように、コントローラ1の設定を行う場合について説明する。なお、以下の処理は、上記アプリケーションソフトがインストールされたすべての無線端末において実行可能である。
【0025】
まず、無線端末5−1は、自装置の利用者による操作に従い、照明エリア11のエリア情報の取得要求(自装置の端末ID(電話番号,機器ID,MACアドレス,IPアドレス等の無線端末固有のID)を含む)をコントローラ1宛に送信する(S1)。
【0026】
無線通信装置2を介してエリア情報の取得要求を受け取ったコントローラ1は、受け取った取得要求から端末IDを抽出し、記憶する(S2)。そして、無線端末5−1宛に照明エリア11のエリア情報を送信する(S3)。
【0027】
無線通信装置2を介してエリア情報を受け取った無線端末5−1は、そのエリア情報に含まれるエリア位置情報および照明位置情報に基づいて照明エリアのレイアウト図を作成し、たとえば、
図4に示す表示画面を表示する(S4)。
図4は、無線端末5−1の画面に表示された照明エリアのレイアウト図の一例を示す図である。ここでは、点線で囲まれた部分が、エリア#1,エリア#2…を表し、黒丸が照明器具3の位置を表す。また、エリア#2については、既に他の無線端末に割り当てられている状態が示されている。
【0028】
そして、無線端末5−1の利用者がエリア#1の点線で囲われた部分に触れることにより、無線端末5−1は、エリア#1内の照明器具3を独占的に制御できるよう希望する旨のエリア指示情報(端末IDを含む)を生成し、コントローラ1宛に送信する(S5)。なお、本実施形態では、既に他の無線端末に割り当てられているエリア#2(点線で囲われた部分)に触れても、何も処理が行われないものとする。
【0029】
無線通信装置2を介してエリア指示情報を受け取ったコントローラ1は、エリア指示情報により示されたエリア#1が他の利用者に割り当てられているかどうかを、
図5に示す割り当てテーブルを確認することにより判断する(S6)。
図5は、割り当てテーブルの一例を示す図であり、照明エリア11内のエリアNoと、割り当てられている無線端末が関連付けられた状態で記憶されている。ここでは、一例として、エリア#2が端末ID:「bbbb」を持つ無線端末5−2に割り当てられ、エリア#3が端末ID:「cccc」を持つ無線端末5−3に割り当てられている状態が示されている。また、エリア#1およびエリア#4については、どの無線端末にも割り当てられていない状態が示されている。
【0030】
そして、コントローラ1は、エリア#1がどの無線端末にも割り当てられていないことを確認した後、
図5に示す割り当てテーブルのエリア#1の「割り当て端末ID」欄に、無線端末5−1の端末ID:「aaaa」を書き込む(S7)。さらに、エリア#1の照明器具3へのスイッチ6aによるON/OFF制御を無効化する(S8)。すなわち、スイッチ6aを操作しても照明器具3をON/OFFできない状態にする。
【0031】
その後、コントローラ1は、無線端末5−1からエリア#1内の照明器具3のON/OFF制御を独占的に行えるようにコントローラ1の設定を行ったことを示す情報として、照明制御許可情報を無線端末5−1宛に送信する(S9)。なお、コントローラ1は、端末IDの異なる複数のエリア指示情報を受け取った場合、最も早く受け取ったエリア指示情報を送信した無線端末にエリア#1を割り当てることとする。この場合、コントローラ1は、エリア#1を割り当てることができなかった無線端末宛に、照明制御不可情報を送信する。
【0032】
無線通信装置2を介して照明制御許可情報を受け取った無線端末5−1は、以降、自装置の利用者の操作に従いエリア#1内の照明器具3のON/OFF制御を独占的に行うことが可能となる(S10)。S10において、エリア#1の照明器具3のON/OFF制御を行う場合、無線端末5−1は、たとえば、ONまたはOFFを示す情報である制御情報(端末IDを含む)をコントローラ1宛に送信する。一方、無線通信装置2を介して制御情報を受け取ったコントローラ1では、
図5に示す割り当てテーブルを参照して制御情報に含まれる端末IDがエリア#1と関連付けて記憶されているかどうかを確認する。そして、コントローラ1は、制御情報に含まれる端末IDとエリア#1が関連付けて記憶されている場合に、制御情報の指示に従い、エリア#1の照明器具3のON/OFF制御を行う。
【0033】
その後、エリア#1内の照明器具3の独占制御を解除する場合、無線端末5−1は、利用者の操作に従い、解除通知(端末IDを含む)をコントローラ1宛に送信する(S11)。
【0034】
無線通信装置2を介して解除通知を受け取ったコントローラ1は、
図5に示す割り当てテーブルのエリア#1の「割り当て端末ID」欄に記載された無線端末5−1の端末ID:「aaaa」を削除する(S12)。そして、エリア#1の照明器具3へのスイッチ6aによるON/OFF制御を有効にする(S13)。すなわち、スイッチ6aの操作により照明器具3をON/OFFできる状態にする。その後、コントローラ1は、解除の完了を示す解除完了通知を、無線端末5−1宛に送信する(S14)。以降、エリア#1内の照明器具3のON/OFF制御は、スイッチ6aの操作によって行われる。
【0035】
[コントローラ1の動作] つづいて、本実施形態におけるコントローラ1の動作を具体的に説明する。
図6は、コントローラ1の動作の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、エリア#1に対する制御について説明する。なお、他のエリアに対する制御も同様である。
【0036】
初期状態において、コントローラ1は、エリア#1に対するスイッチ6aの操作を待ち(S21,No、S22,No)、スイッチ6aの操作があった場合(S22,Yes)、エリア#1の照明器具3のON/OFF制御を行い(S23)、再度、エリア#1に対するスイッチ6aの操作を待つ(S21,No、S22,No)。そして、コントローラ1は、所定の無線端末からエリア指示情報を受信することによって、スイッチ6aによるエリア#1内の照明器具3への制御を無効化(S21,Yes)するまで、ステップS21〜ステップS23の処理を繰り返し実行する。ここでは、一例として、無線端末5−1がエリア指示情報を送信したものとして以降の動作を説明する。
【0037】
スイッチ6aによるエリア#1内の照明器具3への制御を無効化した場合(S21,Yes)、コントローラ1は、無線端末5−1からのON/OFF制御を待つ(S24,No、S25,No)。そして、無線端末5−1からのON/OFF制御があった場合(S24,Yes)、コントローラ1は、エリア#1の照明器具3のON/OFF制御を行い(S26)、再度、無線端末5−1からのON/OFF制御を待つ(S24,No、S25,No)。その後、コントローラ1は、無線端末5−1からON/OFF制御を待つ処理(S24,No、S25,No)、およびエリア#1の照明器具3のON/OFF制御(S26)を、無線端末5−1から解除通知を受け取るまで繰り返し実行する。そして、無線端末5−1から解除通知を受け取った場合(S25,Yes)、コントローラ1は、スイッチ6aによるエリア#1内の照明器具3への制御を有効化し、エリア#1に対するスイッチ6aの操作を待つ処理に移行する(S21,No、S22,No)。
【0038】
[実施形態の効果] 以上説明したように、本実施形態の照明制御システムにおいては、たとえば、無線端末5−1が、エリア#1内の照明器具3を独占的に制御できるよう希望する旨のエリア指示情報を送信し、その応答としてエリア#1内の照明器具3への制御を許可された場合に、エリア#1内の照明器具3の制御を行う。また、コントローラ1は、エリア指示情報により示されたエリア#1が割り当て済みかどうかを判断し、割り当てられていない場合に、エリア#1内の照明器具3へのスイッチ制御を無効化し、無線端末5−1からエリア#1内の照明器具3への制御を許可することとした。これにより、複数の利用者が共有する照明エリア内の所定のエリアの照明を、特定の個人が独占的にON/OFF制御することが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態においては、コントローラ1が、端末IDの異なる複数のエリア指示情報を受け取った場合に、最も早く受け取ったエリア指示情報を送信した無線端末に対し所望のエリアを割り当てることとしたが、これに限るものではない。たとえば、コントローラ1が、上記アプリケーションソフトをインストールした無線端末の端末IDとその端末IDを持つ無線端末の優先順位とを、予め関連付けて記憶しておき、端末IDの異なる複数のエリア指示情報を受け取った場合に、最も優先順位の高い無線端末に所望のエリアを割り当てることとしてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、ステップS5の処理において、既に他の無線端末に割り当てられているエリア#2(点線で囲われた部分)に触れても何も処理が行われないこととしたが、これに限るものではない。たとえば、上記のように優先順位が設定されているような場合には、無線端末5−1の利用者がエリア#2の点線で囲われた部分に触れることにより、無線端末5−1が、エリア#2内の照明器具3を独占的に制御できるよう希望する旨のエリア指示情報(端末IDを含む)を生成し、コントローラ1宛に送信することとしてもよい。これにより、コントローラ1は、優先順位による判断を行い、優先順位の高い方の無線端末(無線端末5−1または無線端末5−2)にエリア#2を割り当てることができる。すなわち、無線端末5−2の方が優先順位が高い場合は、
図5の割り当てテーブルを更新せず維持し、無線端末5−1の方が優先順位が高い場合には、
図5の割り当てテーブルの割り当て端末ID欄を現在の「bbbb」から無線端末5−1の端末ID:「aaaa」に更新する。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。