特許第6071024号(P6071024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071024
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】薄いガラス板を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/04 20060101AFI20170123BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20170123BHJP
   C03B 33/037 20060101ALI20170123BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   C03B33/04
   C03B33/033
   C03B33/037
   B28D5/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-558918(P2015-558918)
(86)(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公表番号】特表2016-515085(P2016-515085A)
(43)【公表日】2016年5月26日
(86)【国際出願番号】US2014017085
(87)【国際公開番号】WO2014130522
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】61/768,887
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】クリアリー,トーマス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ラリー ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,チャド エム
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,チュンハァ
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−225713(JP,A)
【文献】 特開2009−190905(JP,A)
【文献】 特開2012−254927(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/060691(WO,A1)
【文献】 特開2010−083015(JP,A)
【文献】 特開2006−117518(JP,A)
【文献】 特開昭56−125229(JP,A)
【文献】 特開2013−014107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
B28D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラス板を製造する方法であって、
(I)ガラスシートの第1の主要面と第2の主要面の間が1.6mm未満の厚さを有する該ガラスシートを提供するステップと、
(II)該ガラスシートの該第1の主要面にスコアリングして境界スコア深さを伴う境界スコアラインを提供するステップであって、該境界スコアラインは、該ガラスシートの中央の目標領域を少なくとも部分的に囲み、該ガラスシートの該中央の目標領域と外周領域の間の分離線を設定し、該外周領域は少なくとも部分的に該ガラスシートの該中央の目標領域を囲む、ステップと、
(III)該ガラスシートの該第1の主要面にスコアリングしてレリーフスコア深さを伴う少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供するステップであって、該レリーフスコアラインは前記外周領域に設定され、前記境界スコアラインの方へ伸び、該レリーフスコア深さが前記境界スコア深さより深い、ステップと、
(IV)該ガラスシートの前記中央の目標領域から該ガラスシートの該外周領域を前記分離線に沿って分離するステップと、
を含む方法
【請求項2】
ステップ(II)が、前記境界スコア深さが前記ガラスシートの厚さの10%から20%であるように、該ガラスシートの前記第1の主要面にスコアリングする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(III)が、前記レリーフスコア深さが前記ガラスシートの厚さの20%から50%であるように、該ガラスシートの前記第1の主要面にスコアリングする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(III)が、前記中央の目標領域に対して放射状に間隔が置かれ、各々が該中央の目標領域の方向に向かって伸びる、複数のレリーフスコアラインとして、少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(IV)が、前記外周領域内に配置された、前記中央の目標領域を囲む加力経路に沿って破断力を加えるステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2013年2月25日に出願された米国仮特許出願第61/768887号明細書の優先権を主張するものであり、上記特許出願の内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に薄いガラス板を製造する方法に関し、特に、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングして、境界スコアラインおよびレリーフスコアラインを提供するステップを含む、薄いガラス板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
比較的厚みのあるソーダ石灰ガラスから形成されたガラス板で自動車の窓を製作することが知られている。自動車用窓ガラスは、全厚4mmのガラスおよび/または合せガラスから成り得る。そのような窓ガラス構造は十分な強度を提供し得る。しかしながら、この比較的厚みのある窓ガラスは、自動車の燃費効率を低下させ、CO排出を増加し得る余分な重量を自動車に追加し得る。
【発明の概要】
【0004】
発明を実施するための形態に記載されるいくつかの例示の態様を基本的に理解するために、本開示の単純化された要約を以下に提示する。
【0005】
本開示の第1の態様例によれば、(I)ガラスシートの第1の主要面と第2の主要面の間が約1.6mm未満の厚さを有するガラスシートを提供するステップを含むガラス板を製造する方法である。本方法は、(II)ガラスシートの第1の主要面にスコアリングして境界スコア深さを伴う境界スコアラインを提供するステップをさらに含む。境界スコアラインは、ガラスシートの中央の目標領域を少なくとも部分的に囲み、ガラスシートの中央の目標領域と外周領域の間の分離線を設定する。外周領域は、少なくとも部分的にガラスシートの中央の目標領域を囲む。本方法は、(III)ガラスシートの第1の主要面にスコアリングしてレリーフスコア深さを伴う少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供するステップをさらに含む。レリーフスコアラインは外周領域に設定され、境界スコアラインの方へ伸びる。レリーフスコア深さは境界スコア深さより深い。本方法は、(IV)ガラスシートの中央の目標領域からガラスシートの外周領域を分離線に沿って分離するステップをさらに含む。
【0006】
第1の態様の一例によれば、ステップ(II)は、境界スコア深さがガラスシートの厚さの約10%から約20%であるように、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングする。
【0007】
第1の態様の別の例によれば、ステップ(III)は、レリーフスコア深さがガラスシートの厚さの約20%から約50%であるように、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングする。
【0008】
さらに第1の態様の別の例によれば、ステップ(III)は、中央の目標領域に対して放射状に間隔が置かれ、各々が中央の目標領域の方向に向かって伸びる、複数のレリーフスコアラインとして、少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供する。
【0009】
さらに第1の態様の別の例によれば、ステップ(IV)は、外周領域内に配置された、中央の目標領域を囲む加力経路に沿って破断力を加えるステップを含む。たとえば、ステップ(IV)は、加力経路に沿って移動する加力装置で破断力を加えるステップを含むことができる。さらにまたはあるいは、ステップ(IV)は、分離線から約6mmから約18mmの距離を置いた、加力経路を提供することができる。
【0010】
第1の態様の別の例によれば、ステップ(III)は、少なくとも1つのレリーフスコアラインが境界スコアラインに向かい、境界スコアラインからギャップにより隔てられた、外周領域内に位置する終了点まで伸びるように、第1の主要面にスコアリングする。
【0011】
第1の態様は、単独でまたは上記第1の態様例の1つまたは任意の組合せと併用して実行されてもよい。
【0012】
本開示の第2の態様によれば、ガラス板を製造する方法は、(I)ガラスシートの第1の主要面と第2の主要面の間が約1.6mm未満の厚さを有するガラスシートを提供するステップを含む。本方法は、(II)70以上のショアA硬度を有するコンベアベルトにガラスシートを配置するステップをさらに含む。本方法は、(III)コンベアベルトに支持されたガラスシートの第1の主要面にスコアリングして、ガラスシートの中央の目標領域を少なくとも部分的に囲む境界スコアラインを提供し、ガラスシートの中央の目標領域と外周領域の間の分離線を設定するステップをさらに含む。外周領域は、少なくとも部分的にガラスシートの中央の目標領域を囲む。本方法は、(IV)コンベアベルトに支持されたガラスシートの第1の主要面にスコアリングし、外周領域において設定された、境界スコアラインに向かって伸びる、少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供するステップをさらに含む。本方法は、(V)ガラスシートの中央の目標領域からガラスシートの外周領域を分離線に沿って分離するステップをさらに含む。
【0013】
第2の態様の一例によれば、本方法は、中央の目標領域の設置面積より大きい設置面積を有する実質的に固いテンプレートを備えたコンベアベルトを支持するステップを含み、テンプレートは分離線と幾何学的に同様の外周を含む。一例において、テンプレートは任意選択的に約1.5mmから約3mmの厚さを有する。さらにまたはあるいは、別の例において、テンプレートは、テンプレートの外周と分離線の間の余剰寸法が約1.5mmから約3mmとなるように、中央の目標領域と配列される。
【0014】
第2の態様の別の例によれば、ステップ(II)は、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングし、境界スコアラインに境界スコア深さを提供するステップを含む。さらに、ステップ(III)は、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングし、少なくとも1つのレリーフスコアラインにレリーフスコア深さを提供するステップを含み、レリーフスコア深さは境界スコア深さより深い。
【0015】
さらに第2の態様の別の例において、ステップ(II)は、境界スコアラインの境界スコア深さがガラスシート厚さの約10%から約20%であるように、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングする。
【0016】
さらに第2の態様の別の例において、ステップ(III)は、レリーフスコアラインのレリーフスコア深さがガラスシート厚さの約20%から約50%であるように、ガラスシートの第1の主要面にスコアリングする。
【0017】
第2の態様の別の例において、ステップ(V)は、外周領域内に配置された、中央の目標領域を囲む加力経路に沿って移動する加力装置で破断力を加えるステップを含む。一つの追加例において、ステップ(V)は、分離線から約6mmから約18mmの距離を置いた、加力経路を提供する。
【0018】
第2の態様のさらに別の例において、ステップ(III)は、少なくとも1つのレリーフスコアラインが境界スコアラインに向かい、境界スコアラインからギャップにより隔てられた、外周領域内に位置する終了点まで伸びるように、第1の主要面にスコアリングする。
【0019】
第2の態様は、単独でまたは上記の第2の態様例の1つまたは任意の組合せと併用して実行されてもよい。
【0020】
第3の態様例によれば、ガラス板を製造する方法は、(I)ガラスシートの第1の主要面と第2の主要面の間が約1.6mm未満の厚さのガラスシートを提供するステップを含む。本方法は、(II)約1.5mmから約3mmの厚さを含む実質的に固いテンプレートにより支持されたコンベアベルトにガラスシートを配置するステップをさらに含む。
本方法は、(III)コンベアベルトに支持されたガラスシートの第1の主要面にスコアリングして、ガラスシートの中央の目標領域を少なくとも部分的に囲む、境界スコアラインを提供し、ガラスシートの中央の目標領域と外周領域の間の分離線を設定するステップをさらに含む。外周領域は少なくとも部分的にガラスシートの中央の目標領域を囲み、固いテンプレートは中央の目標領域の設置面積より大きい設置面積を含み、テンプレートは分離線と幾何学的に同様の外周を含む。本方法は、(IV)コンベアベルトに支持されたガラスシートの第1の主要面にスコアリングし、外周領域に設定され、境界スコアラインに向かって伸びる少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供するステップをさらに含む。本方法は、(V)テンプレートの外周と分離線の間の余剰寸法が約1.5mmから約3mmとなるように、中央の目標領域にテンプレートを配列させるステップをさらに含む。
本方法は、(VI)外周領域内に配置された、中央の目標領域を囲む加力経路に沿って移動する加力装置で破断力を加え、分離線に沿ってガラスシートの中央の目標領域からガラスシートの外周領域を分離するステップをさらに含む。加力経路は、分離線から約6mmから約18mmの距離を置いて配置される。
【0021】
第3の態様は、単独でまたは70以上のショアA硬度を有するコンベアベルトを提供するステップと組み合わせて提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示のこれらならびに他の特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、よりよく理解される。
図1】コンベアベルトに配置されたガラスシートの平面図である。
図2図1の線2−2における断面図である。
図3図2で示される、境界スコアラインおよびテンプレートの周辺エッジに対する加力装置の拡大図である。
図4図2で示される、境界スコアラインにスコアリングするスコアリング装置の拡大図である。
図5】本開示の方法例に従って行なわれた方法例のステップを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本開示の実施形態例を示している添付の図面を参照し、方法を以下でより詳細に説明する。可能な限り、図面を通して、同じまたは同様の部分の参照には同じ参照番号を使用する。ただし、本開示は多くの異なる形で具現化してもよく、本書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0024】
より薄い厚さのガラス板を提供することが所望される。そのようなガラス板はたとえば、従来の窓構造を組み込む車両と比較して、燃費効率を増加させ、自動車排気量を削減する車両用軽量窓を提供するのに使用され得る。従来の加工技術により発生し得るような欠点のない、比較的薄いガラスシートからガラス板を加工するための生産技術を提供することが、さらに所望される。本開示の独特な特徴は、厚さがたとえば約0.5mmから約1.6mmのように、約0.5mmか約1.1mmのように、約1.6mm未満である薄いガラスシートの加工中に、本来なら起こり得る面倒な問題もなく、ガラスシートからガラス板を分離することを可能にする。
【0025】
図5を参照すると、ガラス板を製造する方法は、ガラスシートを提供するステップ501を含むことができる。たとえば、ガラスシートは様々な方法で提供することができ、ガラスシートは、ダウンドロー、アップドロー、フロート、フュージョン、プレス圧延(press rolling)、スロットドローまたは他のガラス成形加工技術によって製作されたガラスリボンから得ることができる。一例に過ぎないが、ガラスリボンは、初期状態の表面を有するガラスを製作するために、成形ウェッジからフュージョンダウンドローされてもよい。さらに、ガラスリボンは、たとえば約0.5mmから約1.6mm厚のように、約0.5mmから約1.1mm厚のように、約1.6mm未満の厚さに延伸することができる。そのため、ガラスシートは、様々な分離技術(たとえば、機械的および/またはレーザースコアリングまたは分離技術)により適切な大きさでガラスリボンから提供されてもよい。
【0026】
図1から図3を参照すると、ガラスシート101は、ガラスシート101の第1の主要面103と第2の主要面105の間に、たとえば約0.5mmから約1.6mm厚のように、約0.5mmから約1.1mm厚のように、約1.6mm未満の厚さ「T」を備えることができる。ガラスシート101は実質的に平板であり得るが、ガラスシート101は本開示の方法により製作されたガラス板107の用途に依存して曲線状の形状を含むことができる。ガラスシート101は特定の用途に依存して様々なガラス材料から形成することができる。一例において、ガラスシート101は、最終のガラス板形状を形成するよう加工した後、化学的に(たとえばイオン交換強化により)強化された耐久性を有する軽量なガラス板を提供し得るガラス材料から形成される。たとえば、ガラスシート101は、より詳しく以下に記述されるように、ガラスシート101から分離されるガラス板107を得るために加工され得る、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスまたは他のガラス組成を含んでもよい。いったん最終形状に加工されれば、ガラス板107は次に化学的に強化され得、化学的に強化された特性を備えた最終ガラス板構造が提供される。
【0027】
図5に示されるように、本方法は、ガラスシート101の第1の主要面103をスコアリングし、図1および図3で示される境界スコアライン109を提供するステップ503をさらに含むことができる。境界スコアライン109は、分離処理中に応力が集中するように作用し得る裂け目、溝または他の表面欠陥を含み得る。境界スコアライン109は、実質的に連続的になり得るか、または共同して境界スコアラインを設定する互いに揃って並んだ一連の不連続点を含んでもよい。図3に示されるように、境界スコアライン109は境界スコア深さD1を含み得る。境界スコア深さD1は、ガラスシート101の中央の目標領域106のチッピングおよび他の欠陥を低減するのに比較的浅くなるよう選択されてもよい。深さを深くすると、加力要件を低減してスコアラインに沿って容易に破断を可能にするという利点があり得る。しかしながら、比較的深いスコアラインをスコアリングすることは、過度のチップ、クラックまたは他の欠陥を招き得、それらが中央の目標領域の周辺に残され得る。いくつかの例において、境界スコア深さD1がガラスシート101の厚さ「T」の約10%から約20%であるように、本方法は第1の主要面103にスコアリングする。境界スコアライン109にスコア深さD1をガラスシート101の厚さ「T」の約10%から約20%で提供することで、ガラスシート101からガラス板107を分離するときに、境界スコアラインに沿って分離クラックの適切な伝播を可能にする一方で、中央の目標領域の周辺に残る過度のチップ、クラックおよび他の欠陥を最小限にするのを助けることができる。
【0028】
図1に示されるように、境界スコアライン109はガラスシート101の中央の目標領域106を少なくとも部分的に囲む。たとえば、境界スコアライン109は、ガラス板107に分離され得る、中央の目標領域106を完全に囲む閉ループ境界スコアラインを含み得る。境界スコアライン109は、ガラスシート101の中央の目標領域106と外周領域113の間の分離線111を設定する。外周領域113は、ガラスシート101の中央の目標領域106を少なくとも部分的に囲む。たとえば、図1に示されるように、外周領域113は、中央の目標領域106と外周領域113の間の閉ループ分離線を含む分離線111で中央の目標領域106を完全に囲むことができる。
【0029】
図5に示されるように、本方法は少なくとも1つのレリーフスコアラインを提供するためのスコアリングステップ505をさらに含むことができる。レリーフスコアラインは、分離処理中に応力が集中するように作用し得る裂け目、溝または他の表面欠陥を含み得る。レリーフスコアラインは実質的に連続的になり得るか、または共同してレリーフスコアラインを設定する互いに揃って並んだ一連の不連続点を含んでもよい。矢印507により示されるように、ステップ505は、上記境界スコアライン109を提供するスコアリングステップ503の後に行なうことができる。矢印509により示されるように、さらなる例において、レリーフスコアラインを提供するスコアリングステップ505を最初に行ない、次いで、矢印511により示されるように、本方法は、続いて境界スコアラインを提供するスコアリングステップ503に進むことができる。さらなる例において、境界スコアラインとレリーフスコアラインは同時にまたは他の順序付けられた時間配列でスコアリングされてもよい。
【0030】
ステップ505に関して、図1に示されるように、本方法は、ガラスシート101の第1の主要面103にスコアリングし、外周領域113で設定され、境界スコアライン109の方へ伸びる少なくとも1つのレリーフスコアライン115を提供するステップを含むことができる。単一のレリーフスコアラインが可能だが、図1に示されるように、中央の目標領域106に対して放射状に間隔が置かれ、各々が中央の目標領域106の方向に向かって伸びる、複数のレリーフスコアラインが提供されてもよい。たとえば、図示されるように、複数のレリーフスコアライン115は、任意選択的に中央の目標領域106をハブとスポークのパターンにおいて配置することができ、中央の目標領域106から放射状に遠ざかるように伸び、中央の目標領域106に対して放射状に間隔を置いて配置された、放射状スポークとして伸びるレリーフスコアライン115を備えたハブを、中央の目標領域106が含む。レリーフスコアライン115を提供すると、分離線111に沿ってガラスシート101から中央の目標領域106を分離するのに必要な力を低減するのを助けることができ、また比較的複雑な形状を有するガラス板を分離することを可能にし得る。さらに、複数のレリーフスコアライン115を提供すると、外周領域113の部分の制御された分離が可能となり、ガラスシート101から中央の目標領域106の制御された分離を提供するのを助け、一方、中央の目標領域106の表面またはエッジ部分の欠陥を発生させ得る、応力集中および他の条件から中央の目標領域106を隔離するのを助ける。
【0031】
図3において陰線で示されるように、レリーフスコアライン115はレリーフスコア深さD2を含むことができる。いくつかの例において、図示されるように、レリーフスコア深さD2は境界スコア深さD1より大きい。たとえば、いくつかの方法は、レリーフスコア深さD2がガラスシート101の厚さ「T」の約20%から約50%であるようにガラスシート101の第1の主要面103にスコアリングすることができる。レリーフスコア深さD2の深さを増加させることは、加力レベルを低減してもレリーフスコアライン115に沿ってクラックを伝播させるのが容易になるという利点をもたらし得る。さらに、これらの欠陥を含む外周領域113が続いて分離され、ガラス板107の近傍から除去されるので、スコアリング工程中の比較的深いレリーフスコアライン115に起因する、増加したチップ、クラックまたは他の欠陥は心配にあたらない。そのため、比較的深いレリーフスコアライン115に起因するいかなる欠陥も、ガラスシートの外周領域113により運ばれ、中央の目標領域106を損なわないであろう。
【0032】
境界スコアライン109および/またはレリーフスコアライン115のスコアリングは様々な技術で実行することができる。一例において、スコアリング法は、多結晶ダイヤモンドを含み得るスコアリングホイール203を備えたスコアリング装置201により実行することができるが、さらなる例において、他の切削材が使用されてもよい。さらに、スコアリングホイールは鋭い先端角度を有し得る。図4に示されるように、スコアリングホイール203の先端角度「A」は約110°から約125°の範囲内になり得るが、さらなる例において他の先端角度が提供されてもよい。さらなる例において、スコアリングホイール203は、約3mmの直径を含み得るが、さらなる例において他の大きさのスコアリングホイールが使用されてもよい。
【0033】
スコアリング装置201は、所望のパターンにおいてスコアリング技術を実行し得るコンピューター数値制御されたコントローラー(CNC)または他の自動システム下のモータにより駆動されてもよい。さらに、スコアリング装置201は境界スコアライン109およびレリーフスコアライン115の両方を作製するのに操作され得るが、異なるスコアリング装置がさらなる例において提供されてもよい。一例において、スコアリング装置201により加えられている下向きの力は、先端角度、スコアリングホイール材質、ガラス特性、シート厚および他のパラメーターのような様々なパラメーターに依存して所望の深さを達成するように制御することができる。いくつかの例において、より大きいレリーフスコア深さD2を作製するレリーフスコアライン115を作製するとき、境界スコアライン109を作製するのに使用される力と比較すると、スコアリング装置201により加えられる下向きの力はより大きくなり得る。たとえば、スコアリング装置201は、ガラスシート101の厚さ「T」の約10%から約20%の境界スコア深さD1で境界スコアライン109を作製するために、約45Nから約55Nの範囲内の下向きの力でスコアリングするのに使用することができる。スコアリング装置201はまた、ガラスシート101の厚さ「T」の約20%から約50%のレリーフスコア深さD2でレリーフスコアライン115を作製するために、約55Nから約65Nの範囲内の下向きの力でスコアリングするのに使用することができる。
【0034】
いくつかの例において、直径3mmのスコアリングホイール、45Nから55Nの範囲における制御された下向きの力、および30m/分から150m/分にわたるスコアリング速度は、傷(メディアンクラック)の深さが約100μmである均一なスコアラインを経路全体にもたらす一方、エッジチッピングの大きさが30μm未満に著しく低減され得る。
【0035】
一例において、ステップ505中、本方法は少なくとも1つのレリーフスコアライン115が境界スコアライン109に向かい、境界スコアライン109からギャップ118により隔てられた、外周領域113内に位置する終了点117まで伸びるように、第1の主要面103にスコアリングするステップを含むことができる。たとえば、境界スコアライン109をスコアリングするステップ503が最初に行なわれる場合、レリーフスコアライン115は、終了点117からスコアリングが開始され、次に、ガラスシート101の外端119に向かう方向でスコアリングされ得る。あるいは、レリーフスコアライン115は、外端119からスコアリングが開始され、次に、境界スコアライン109に向かう方向でスコアリングされ、ギャップ118が境界スコアライン109とレリーフスコアライン115の間に存在するように、終了点117で終了する。ステップ505がステップ503の前に行なわれる場合、境界スコアラインは、ギャップ118が、対応する終了点117と境界スコアライン109の間に存在するようにステップ503中で提供され得る。ギャップ118を提供することは、レリーフ切断の終了点での欠陥が分離線111をまたぎ、中央の目標領域106の周辺を破損することにより本来ならば発生し得る、中央の目標領域106の傷を予防するのを助ける。
【0036】
図5でさらに示されるように、本方法はコンベアベルト121にガラスシート101を配置する任意選択のステップ513をさらに含んでもよい。コンベアベルト121は複数のガラス板107を迅速に製作する組立てラインに沿って自動処理を促進するのに有用になり得る。いくつかのさらなる例において、コンベアベルト121は、70以上のショアA硬度を有する。70以上のショアA硬度を有する比較的固いコンベアベルト121を提供することは、スコアリング処理、特に境界スコアライン109のスコアリングに関して、役立つ。実際、70以上のショアA硬度を有するコンベアベルト121を提供すると、境界スコアライン109をスコアリングするとき、ガラスシート101の局所的な曲げの予防を助け得、それによって、本来ならば中央の目標領域106を破損し得るチップ、クラックまたは他の欠陥を最小限にするのに役立つ。コンベアベルト121はまた、比較的微細組織を含むことができ、ガラスシート101の局所的な曲げを予防するのにさらに役立つ。たとえば、コンベアベルト121は、たとえば0.5mm未満という特徴的な高さおよび0.5mm未満という特徴的な間隔を有する、比較的微細組織を備えることができる。たとえば、コンベアベルト121の支持表面トポグラフィーはしばしば粗く、実質的に滑らかではない。粗い表面は、0.5mm未満の高さおよび0.5mm未満の間隔を有する、粗い表面上のピークなどの特徴を有し、ガラスシート101の局所的な曲げを予防するのに役立つ。さらなる例において、コンベアベルト121の支持表面トポグラフィーは実質的に平滑表面を有していてもよく、実質的に容易には見えない表面特徴、または、0.5mmより著しく小さい高さおよび間隔を有する表面特徴でもよい。
【0037】
コンベアベルトは、ガラスシート101を支持するのに使用されるコンベアベルト121の表面の汚染から表面の異物を除去するように設計された、連続クリーニング機構のようなクリーニング機構を備えることができる。たとえば、図2に示されるように、コンベアベルト121は、湿潤または乾燥した環境において使用され得る回転ブラシ213を備えてもよい。さらにまたはあるいは、コンベアベルト121は単一または一連の流体洗浄ノズル215を備えてもよい。一例において、コンベアベルト121の表面を清潔にするのに使用されるエアまたはウォータージェットが通る、一連の洗浄ノズル215が提供される。クリーナーは乾燥空気か、または何らかの無害な液体か、またはベルトクリーニングという目的を達成するいかなる組合せでもよい。回転ブラシ213および/または流体洗浄ノズル215が、コンベアベルト121の近傍からガラスチップ、ガラス破片または他の固い粒子もしくは異物を取り除いて、加工のための別のガラスシート101を支持するコンベアベルトを準備することができる。コンベアベルト121の表面で支持されている第2の主要面105に損傷(たとえば、チッピング、クラッキング、スクラッチングなど)をもたらし得る、この仕様に従わない比較的固いコンベアベルトによって、いかなる異物もガラスシート101に押し付けられることから、コンベアベルト121のクリーニングは、比較的薄いガラスシートを支持するのに使用される、70以上のショアA硬度を有する比較的固いコンベアベルトに特に有利であり得る。
【0038】
鋭い先端角度(たとえば、約110°から約125°の先端角度A)を有する、多結晶ダイヤモンドまたは同様の材質のスコアリングホイール203の使用と組み合わせた、70以上のショアA硬度を有する比較的固いコンベアベルトの組合せは、併用して特に有用になり得、清潔な境界スコアライン109を所望の境界スコア深さD1(たとえば、ガラスシート101の厚さ「T」の約10%から約20%の境界スコア深さD1)で提供するのに役立ち、チップ、クラックおよび/または中央の目標領域106の周辺部分を損なう他の欠陥が最小限であるかまたは実質的にない。
【0039】
図5を参照すると、本方法はまた、分離線111に沿ってガラスシート101の中央の目標領域106からガラスシート101の外周領域113を分離するステップ515を含むことができる。一例において、力は外周領域113に加えることができ、クラックはレリーフスコアライン115に沿ってギャップ118を通って境界スコアライン109に伝播し得、次いで、分離線111に沿って、中央の目標領域106から外周領域113を分離し、ガラス板107を提供する。図1で示される複数のレリーフスコアライン115を含む例において、レリーフスコアライン115は、外周領域113を区画で分割するのに役立ち、外周領域113の個々の区画は、中央の目標領域106から容易に分離され得る。
【0040】
一例において、分離ステップ515は、外周領域113内に配置された、中央の目標領域106を囲む、加力経路123に沿って破断力を加えることを含み得る。図示されるように、一例において、加力経路123は分離線111の形状と幾何学的に類似した形状を有する。一例において、加力経路123は、分離線から約6mmから約18mmの距離301を隔てて配置される。そのため、加力および/または曲げモーメントは中央の目標領域106の周辺に対して実質的に一定して維持されてもよい。一例において、加圧部材は、加力経路123の形状と一致する形状を有するプランジャー部材を含んでもよい。たとえば、プランジャーは、加力経路123の各部分を同時に強制的に加圧し、外周領域113のすべての部分を、実質的に同時に分離する、外周リングを含み得る。
【0041】
さらなる例において、分離ステップ515は、加力経路123に沿って移動する加力装置211で破断力を加えることにより行なうことができる。図3を参照すると、一例において、加力装置211は、たとえばゴムで覆われたポリアミドまたは鋼で作製され、約10mmから約25mm、たとえば約10mmから約15mmの直径の回転破断頭部303を含み得る。加力装置211は本来であればガラスシートを粉砕し得る局所的な衝撃を回避するために30N(すなわち30ニュートン)未満などの制御された進入力で操作することができる。そのような例において、コンピューターシステムは、様々な制御された下向きの加力下でいかなる所望の経路においても3方向に加力装置211を移動させ得、それぞれのレリーフスコアライン115間に配置された外周領域113の区画が、制御された方法で連続的に分離され得、実質的に同時に外周領域113全体の分離を試みるとき、発生し得る比較的激しい破損事態に伴い生じる過度の力を回避し得る。
【0042】
分離ステップは、また実質的に固いテンプレート205を備えたコンベアベルト121を支持するステップを含むことができる。テンプレート205は、体積弾性係数が約4GPa以上である、たとえばプラスチックまたは金属のような多くの堅い材質から作製することができる。一例において、テンプレート205は、中央の目標領域106の設置面積より大きい設置面積を有する形状を画定するテンプレート205の外端により画定される外周209を有することができる。たとえば、図1においてコンベアベルト121の下の陰線において示される外周209により明らかなように、外周209は分離ライン111と幾何学的に同様で、中央の目標領域106の設置面積より大きい設置面積を画定する。図3に示されるように、テンプレート205の外周209と分離線111の間の余剰寸法305が、約1.5mmから約3mmであるように、テンプレート205は中央の目標領域106と調整され得る。余剰寸法305は、外周209について枢着を容易にし、分離を容易にすることができる。図示されていないが、テンプレート205の中央の部分は真空ポートのパターンを含むことができ、これは、コンベアベルト121における同様の真空ポートと調整され得、コンベアベルトに対する中央の目標領域106の解除式保持を容易にすることができる。そのため、中央の目標領域106は、本開示のスコアリングステップおよび/または分離ステップ中にコンベアベルト121に対して真空で保持され得る。比較的小さな(たとえば1/8インチ(約3.2mm)未満の)真空ポートが、ガラスシートにスコアリングする工程中、ガラスシートを安定させ、曲げを防止するために提供されてもよい。
【0043】
さらに図3で図示されるように、テンプレートはさらに約1.5mmから約3mmの厚さ307を含むことができる。そのようなテンプレート厚さは、外周領域113の適切な曲げを可能にし、中央の目標領域106から外周領域113の分離を行なうことを可能にする。
【0044】
図3に示されるように、特定寸法の形状は、有利な分離環境を提供することができ、たとえば約0.5mmから約1.6mmのように、約0.5mmから約1.1mmのように、1.6mm未満の厚さを有するガラスシートで中央の目標領域106から外周領域113を有効に分離する。そのような例において、本方法は、ガラスシート101の第1の主要面103と第2の主要面105の間に約0.5mmから約1.6mmの厚さを有するガラスシート101を提供するステップ501を含むことができる。次いで、本方法は、コンベアベルトにガラスシート101を配置するステップ513を含むことができる。コンベアベルト121は、実質的に固い、たとえば、約1.5mmから約3mmの厚さ307を含む、テンプレート205で支持することができる。コンベアベルト121はスコアリングステップ503および/または505中にテンプレート205で支持され得るが、コンベアベルト121が実質的に固いコンベア支持部材207で支持されながら、これらのスコアリングステップが行なわれてもよい。
【0045】
テンプレート205または支持部材207で支持されているかいないかにかかわらず、次いで、本方法は、たとえば70以上のショアA硬度を有する、および/または、上述の他の特徴を含むかまたは備えるコンベアベルトのような、コンベアベルト121で支持された第1の主要面103にスコアリングするステップ503を含むことができる。コンベアベルト121で支持された第1の主要面103にスコアリングするステップ503は、ガラスシート101の中央の目標領域106を少なくとも部分的に、たとえば完全に囲む境界スコアライン109を提供することができ、ガラスシート101の中央の目標領域106および外周領域113の間の分離線111を設定する。外周領域113は、少なくとも部分的に、たとえば、完全に、ガラスシート101の中央の目標領域106を囲む。
【0046】
テンプレート205または支持部材207で支持されているかいないかにかかわらず、本方法は、コンベアベルト121で支持されたガラスシート101の第1の主要面103にスコアリングし、外周領域113に設定され、境界スコアライン109に向かって伸びる少なくとも1つのレリーフスコアライン115を提供するステップ505をさらに含む。
【0047】
固いテンプレート205は、中央の目標領域106の設置面積より大きい設置面積を含むことができ、テンプレートは分離ライン111と幾何学的に同様の外周を含む。本方法は、テンプレート205の外周209と分離線111の間の余剰寸法305が、約1.5mmから約3mmであるように、テンプレート205を中央の目標領域106と揃えるステップをさらに含む。
【0048】
次いで、本方法は、外周領域113内に配置された、加力経路123に沿って移動する、加力装置211で破断力を加え、中央の目標領域106を囲み、分離線111に沿ってガラスシート101の中央の目標領域106からガラスシート101の外周領域113を分離する、ステップ515を含むことができる。そのような例において、加力経路は、分離線111から約6mmから約18mmの破断オフセット301を置いて配置することができ、たとえば、約40Nから約70Nの制御された破断力を加えることができる。いくつかの例において、加力装置211の下向きの加力下で発生した曲げ応力が、境界スコアライン109に沿って70MPa以上であるように、テンプレート205の厚さ307、テンプレートの余剰寸法305および破断オフセット301を設計することができる。
【0049】
いったんガラス板107がガラスシート101から分離されたら、図5で示されるステップ517により示されるように、ガラス板はさらに加工されてもよい。たとえば、いくつかの例において、ガラスシートの第1および第2の主要面に所望のガラス面トポグラフィーを提供するように、ガラス板は形成されてもよい。あるいは、ガラス板のいかなる形状も、この開示のスコアリング/分離処理を行なう前に、ガラスシートを事前に形成した結果であってもよい。さらなる例において、ガラス板のエッジはガラス欠陥を取り除くために、および/または、ガラス板の形状を微調整するために、研磨されてもよい。エッジはまた、磨くか他の方法で加工することができ、小さな欠陥をさらに取り除くのに役立ち、それによってガラス板107のエッジを強化する。
【0050】
ガラス板107は、図5で示されるステップ519で示されるような化学強化でさらに加工することができる。一例において、ガラス板は、コーニング社(Corning Incorporated)のCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスを含むガラス板に化学的に強化され得る。そのような化学強化ガラスはたとえば、米国特許第7666511号明細書、同第4483700号明細書及び同第5674790号明細書に従って実行されてもよい。化学強化はイオン交換処理により行なわれてもよい。たとえば、フュージョンドローにより作製されたガラスシート(たとえばアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス)から作製して、このガラスシートからガラス板を分離して上述のガラス板を製作した後、次いで、ガラス板は、所定時間の溶融塩浴中にガラス板を浸漬することにより化学的に強化され得る。ガラス板の表面または表面近傍のガラス板内のイオンは、たとえば塩浴の結果、より大きい金属イオンと交換される。一実施形態において、溶融塩浴の温度は約430℃で、所定時間は約8時間である。別の実施形態において、溶融塩浴の温度はほぼ450℃で、所定時間は約4.5時間である。
【0051】
より大きいイオンをガラスに取り込むことで、表面領域近傍において圧縮応力を生じることにより、ガラス板を強化する。圧縮応力との平衡を保つためにガラス板の中央部内に対応する引張応力が引き起こされる。
【0052】
コーニング社の「Gorilla」ガラスの化学強化工程は板107を強化するのに使用することができる。いったん強化されると、ガラス板は、表面からの比較的深い深さで(たとえば約40マイクロメートル;さらに100マイクロメートルを超えてもよい)、比較的高い圧縮応力(たとえば約700MPaから約730MPa、さらに800MPaを超えてもよい)を有することができる。そのようなガラスは、初期状態の表面と同様に高い残留強度、高い耐スクラッチ性、高い耐衝撃性、高い曲げ強さも有する。一例としてのガラス組成物はSiO、BおよびNaOを含み得、(SiO+B)≧66mol%、およびNaO≧9mol%である。
【0053】
さらなる例において、化学強化ガラス板107は、ガラス板をさらに強化するのに酸エッチングされたガラスシートを含むことができる。酸エッチングステップは、いくつかの例において、化学強化ガラス板107の表面から約1.5から約1.7マイクロメートルを除去することができる。酸エッチングは、ガラスの強度がその大きさおよび表面傷の先端形状に非常に影響を受けやすいという事実に対処する。上述の表面層を除去することで、酸エッチングは1マイクロメートル未満の表面傷の大多数を除去することができる。酸エッチングはより大きい傷を除去し得ないが、酸エッチング処理は、これを行わなければ非常に応力集中係数を減じてしまうような傷の先端を丸くする傾向がある。ガラス面における改善(たとえば小さな表面傷の除去およびより大きい傷の先端を丸くすること)は、耐衝撃性のようなガラス強度を非常に高めることができる。さらに、ガラスの比較的浅い深さのみが除去されるので、いくつかの例では表面から40マイクロメートルかまたはさらに100マイクロメートルをも超えるような、ガラスシートにはるかに深い深さで比較的高い圧縮応力を有する化学強化ガラス板において、著しい圧縮応力の低下を生じないだろう。
【0054】
一例において、酸エッチングステップは1.5M HF/0.9M HSOの化学溶液と共に水平スプレーエッチングシステムで行なうことができる。他のプロセスパラメータとしては、90°F(32.2℃)の処理温度、40秒の工程時間、20psi(約137900Pa)のスプレー圧力、毎分15サイクルのスプレー振動および0.48ガロン(約1.817L)/分の円錐形のスプレーノズルの使用を含むことができる。酸エッチングの後、加工されたガラス板は、20psi(約137900Pa)のスプレー圧力と共に、水を使用した洗浄処理ステップで毎分0.3ガロン(約1.136L)のファンジェットパターンノズルを通して洗浄され得る。次いで、酸エッチングされた化学強化ガラス板は、空気流ドライヤーシステムで空気を供給する5hpの空気タービン下で乾燥させてもよい。
【0055】
本開示の方法は、たとえば約0.5mmから約1.6mmのように、約0.5mmから約1.1mmのように、1.6mm未満の厚さを有する薄いガラスの安定したスコアリングを、ガラス板のエッジに沿って過度に削ることをせずに、提供することができる。さらに、本開示の方法は、優秀なエッジ品質およびプロセス歩留で、曲線状のスコアラインに沿って完全に自動化された分離を可能にし得る。さらに、本開示の方法は、70以上のショアA硬度を有するコンベアベルトで処理するのに特に役立つと判明している、コンベアベルトの洗浄工程を導入することにより、プロセス安定性を改善し得る。さらに、本開示のさらなる方法は処理装置で高速加工技術と共に車両ガラスの製造に使用されてもよい。さらに、本開示の方法は、コーニング社の「Gorilla」ガラスのような化学強化ガラスを含むガラス板を形成するための薄いガラスシートのスコアリングおよび分離を提供することができる。
【0056】
本開示の方法は、低減された厚さで様々な外周形状を有するガラス板を提供することができ、実質的に平らか、または曲線状、または特定用途に適した他の形状になり得る。一例において、実質的に曲線状のガラス板は様々な外周形状を備えてもよい。そのため、本開示の方法は、薄いガラスシートのスコアリング、および、様々な用途、たとえば、車両用窓としての使用などに提供し得る複雑な曲線状に形成されたガラス板への分離を完全自動化するのに特に適している。窓の厚さが低減されると、既存の窓構造と比較して、比較的より少ない重量のガラスが提供される。そのため、本開示のガラス板は、車両の全重量の減少、および車両のそれに応じた燃費効率の増加およびCO排出の減少を容易にすることができる。本開示の方法の技術は、本来であれば、たとえば、ガラス板の低減されたエッジ強さなどの低減された強度を生じ得る、エッジおよびガラス板の主要面に対する損傷を低減し、薄いガラスシートから薄いガラス板への加工を可能にする。さらに、品質の向上したガラス板は、エッジ仕上げによりさらに加工することができ、また、化学強化技術を含み得、たとえば、コーニング社の「Gorilla」ガラスのようにガラス板を提供できる。さらに、ガラス板をさらに強化する酸エッチングなどのさらなる技術が行われてもよい。そのため、単に低重量なだけではなく、より高い強度ガラス板を含むことができるガラス板が提供され得、また車両窓に典型的に生じる異物または他の環境要因からの損傷に抵抗することができる強い構造の構成で軽量の車両窓の形成を容易にすることができる。さらに、ガラス板は車両の運転者および乗客に、窓を通して向上された視野角を可能にするために、高解像度ディスプレイガラスから形成することができる。
【0057】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の改変および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。すなわち、本開示の改変および変形が添付の請求項およびその同等物の範囲内であるならば、本開示はこのような改変および変形を含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0058】
101 ガラスシート
103 第1の主要面
105 第2の主要面
107 ガラス板
201 スコアリング装置
203 スコアリングホイール
205 テンプレート
207 支持部材
209 外周
211 加力装置
213 回転ブラシ
215 流体洗浄ノズル
図1
図2
図3
図4
図5