(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071037
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】結束集積線状物の排出装置
(51)【国際特許分類】
B65B 27/10 20060101AFI20170123BHJP
B65B 61/28 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
B65B27/10 A
B65B61/28
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-176630(P2012-176630)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-34411(P2014-34411A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592071934
【氏名又は名称】株式会社カワカミ
(74)【代理人】
【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
(74)【代理人】
【識別番号】100107917
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】川上 久善
【審査官】
浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−179905(JP,U)
【文献】
特公昭47−039795(JP,B1)
【文献】
特開2000−153812(JP,A)
【文献】
特開2009−096494(JP,A)
【文献】
特開平10−245118(JP,A)
【文献】
米国特許第4095391(US,A)
【文献】
米国特許第4041672(US,A)
【文献】
米国特許第5410861(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/00−65/08
B65B 13/00−13/34
B65B 27/00−27/12
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積した線状物を結束テープで結束した結束物を載せて終点である垂直面内で180°折り返して上流側に間欠移動をする搬送バケットと、
折返点で被結束物の外側を略90°に亘ってカバーするガイドと、
下方に回って来た搬送バケットの被結束物を受けて排出側に移動する排出ベルトコンベアと、
ガイドに続いて排出ベルトコンベアの上方に上がって下方に回って来た隣り合う二つの搬送バケットの被結束物を受け取るとともに、下方に下がって被結束物を排出ベルトコンベアに移す仲介板と、
仲介板よりも下方に在って下方に回って来た上流側の搬送バケットの被結束物を仲介板が受けたときに更に下方に下がって当該被結束物を排出ベルトコンベア上に移す第一仕切板と、
仲介板よりも下方に在って下方に回って来た下流側の搬送バケットの被結束物を仲介板が受けたときに第一仕切板に遅れて更に下方に下がって当該被結束物を排出ベルトコンベア上に移す第二仕切板と、
からなることを特徴とする結束集積線状物の排出装置。
【請求項2】
搬送バケットが停止した特定の位置が結束ステーションであり、結束ステーションで線状物が結束され、この被結束物が終点側に搬送される請求項1の結束集積線状物の排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺線、鋼線、線香といった線状物を一定量束状に集積して結束した被結束物をスムーズに排出する排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾麺等の線状物は取扱い、保管、輸送に便利なように一定量の束に結束している。この場合の結束の態様は、ある程度締めた状態で集積して中央を結束テープで巻いている場合が多い。本出願人はこの結束装置として下記特許文献1の発明を提案している。一方、結束した被結束物は箱詰め等の出荷に備えての準備を必要とする。このためには、被結束物がコンベア等に載せられて順序正しく排出されて行くことが必要である。
【0003】
ところで、結束は結束装置によって行われるが、結束装置には結束ミスもある。このような場合、線状物はバラバラになるから、その後始末がたいへんである。場合によっては、長期にラインを止め、長時間復旧作業をしなければならないことがある。このようなことを起こす原因は、バラバラになった線状物が正常に結束された被結束物と混ざるからであり、このようなことが起こらないようにすることが大事である。そのためには、コンベア等に載って出てくる被結束物間の間隔が長い方が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−120259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、排出コンベアに載せる際に工夫を施し、被結束物同士の間隔をできるだけ長くするようにして結束ミスの復旧を速やかにできるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の
下、本発明は、請求項1に記載した、
集積した線状物を結束テープで結束した結束物を載せて終点である垂直面内で180°折り返して上流側に間欠移動
をする搬送バケットと、
折返点で被結束物の外側を略90°に亘ってカバーするガイドと、
下方に回って来た搬送バケットの被結束物を受けて排出側に移動する排出ベルトコンベアと、
ガイドに続いて排出ベルトコンベアの上方に上がって下方に回って来た
隣り合う二つの搬送バケットの被結束物を受け取るとともに、下方に下がって被結束物を排出ベルトコンベアに移す仲介板と、
仲介板よりも下方に在って下方に回って来た上流側の搬送バケットの被結束物を仲介板が受けたときに更に下方に下がって当該被結束物を排出ベルトコンベア上に移す第一仕切板と、
仲介板よりも下方に在って下方に回って来た下流側の搬送バケットの被結束物を仲介板が受けたときに第一仕切板に遅れて更に下方に下がって当該被結束物を排出ベルトコンベア上に移す第二仕切板と、
からなることを特徴とする結束集積線状物の排出装置
を提供したものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によると、第一仕切板と第二仕切板は時間差をおいて作動するから、この時間差分だけ被結束物は間隔をあけ、結束ミスのときに線状物がバラバラになったときに他の結束物への影響が少ない。このため、復旧作業が速やかに行え、能率のテイカ防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】結束装置の結束部の要部を示す正面図である。
【
図2】結束装置の結束部の要部を示す側面図である。
【
図4】結束装置の排出部の要部を示す正面図である。
【
図5】結束装置の掴み部の要部を示す平面図である。
【
図6】結束装置の押上げ部の要部を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を結束を含めて図面を参照して説明する。
図1は結束装置の要部を示す正面図、
図2は側面図、
図3は全体の正面図であるが、この結束装置は搬送部1、押上げ部2、掴み部3、結束部4、排出部5等からなる。搬送部1はY形をしたバケット板からなる搬送バケット6を前後に二枚連ねたバケットコンベアを主体としており、この搬送バケット6の上流側で計量をした被結束物(線状物)7を載せる(この載せは自動でも手動でもよい)。なお、以下では、搬送バケット6の対向方向を前後方向、搬送方向を左右方向、上下方向を上下方向とする。このバケットコンベアは間欠的に搬送されるようになっている。つまり、結束する間は停止している。
【0010】
搬送バケット6が停止する特定の位置を結束ステーションとし、ここに押上げ部2が設けられる。つまり、結束ステーションに搬送されて来た被結束物7を同じくY形をしたバケット板からなる押上げバケット8で結束ステーションの上方位置である結束位置まで押し上げる。なお、押上げバケット8は結束ステーションにおける搬送バケット6に沿って上下動可能に設けられるものであるが、
図7の横断面図に示されるように中央からやや偏心した位置にも一枚設けられている。結束位置では掴み部3や結束部4が設けられのであるが、
図5は掴み部3の要部を示す平面図、
図6は横断面図である。
【0011】
結束位置では、面板9が間に少なくとも後記する結束テープが入る空間が確保されて左右方向に対向して回転可能に設けられており、一方の面板9にはその最上位の位置に下ピン10が突設している。面板9の表面には支持軸11を中心に回動するレバー12が設けられており、レバー12には上ピン13が下ピン10に沿って設けられている。これにより、レバー12を傍に設けられる駆動レバー14で動かせば上ピン13が上昇し、下ピン10から離れるようになっている。なお、レバー12は復帰スプリング15で正規の位置(上ピン13が下ピン10と接触している位置)に復帰するようになっており、駆動レバー14の作用が解放されると、上ピン13は即座に正規位置に復帰する。
【0012】
面板9が設けられる個所には二つに分割されたチャック16が開閉可能に設けられている。具体的には、チャック16のアーム17は取付軸18を中心に開閉側に回動できるようになっており、アーム17のテール17aに設けられるローラ19は面板9の後方に設けられる押板20の軸21に嵌合されたコーン形カム22に摺接している。これにより、コーン形カム22を前進させればチャック16は開き、後退させれば閉じる。そして、開いたときには被結束物7を受け入れ、閉じたときには全円に閉じて被結束物7を囲包するようにしている。なお、軸21は回転もでき、チャック16のアーム17は軸21に設けられており、軸21が回転すれば、チャック16も回転することになる。
【0013】
結束部4にはアーム状の部材で結束テープ23の先端を銜えて上ピン13と下ピン10とをわずかに離してその間に送り込む公知の結束テープ送出装置24が設けられている。結束テープ23が送り込まれるとレバー12を戻して(上ピン13を下降させて)上ピン13と下ピン10との間を閉じて結束テープ23を保持する。そして、面板9とともにチャック16を回転させて結束するのであるが、この結束の状況を
図7、
図8に示す工程図で説明する。以下に説明する各部材は一サイクル中に所定のタイミングで動くものであり、それらはリレー、タイマー、マイクロスイッチ等でシーケンスを組んであり、動力はゼネバ機構、欠歯歯車、カムと言った機械的機構から流体シリンダや流体モータといった流体圧を利用するものがある。なお、符号は各部材が最初に出て来た図でのみ記載し、その他の図では記載を省略する。
【0014】
[1]は特定の搬送バケット6が結束ステーションに来たときであり、このとき、押上げバケット8は下がった位置から上がろうとしており、チャック16は閉まろうとしている。[2]は押上げバケット8で被結束物7を結束位置に押し上げているときであり、被結束物7がチャック16の中に入り込むとチャック16は半分閉じて被結束物7を囲包しおり、同時に、レバー12は駆動レバー14の作用で回動しており、上ピン13は下ピン10から離れている。
【0015】
[3]は結束テープ送出装置24で結束テープ23をアーム状部材で繰り出してを送り出しているときであり、結束テープ23の先端は上ピン13と下ピン10との間に差し込まれる。[4]はレバー12を元に戻し、上ピン13と下ピン10とで結束テープ23を完全に挟んだときであり、このとき、チャック16は円形に閉じ、押上げバケット8は下降している。[5]及び[6]は結束を始めたときであり、面板9、つまり、チャック16が被結束物7もろとも回転し始めており、押上げバケット8は邪魔にならない位置に下がっている。
【0016】
[7]は面板9が一回転又は二回転以上したときであり、このときも、被結束物7は結束テープ23である程度締められて結束されてチャック16の中で吊り上げられており、押上げバケット8は最下端の位置からやや上昇している状態である。なお、結束位置の上方にはテープを熱シールする同じく公知のシール装置25が上下動可能に設けられており、シール装置25には結束テープ23を切断するカッター26が付設されている。この状態のとき、シール装置25やカッター26は作動し、結束テープ23はシールされ、繰り出し側を切断されている。
【0017】
[8]は結束テープ23がシール装置25でシールされた後のときであり、シール装置25は上昇して離れており、駆動レバー14がレバー12にわずかに作用して上ピン13が下ピン10からやや離れている。ただ、結束テープ23は両ピン13,10で保持されたままであるから、被結束物7のチャック14内での吊り上げ姿勢は変わらない。しかし、押上げバケット8は正規の位置まで上昇しており、受け入れ態勢は整っている。
【0018】
[9]はチャック16が開き始め、結束された被結束物7はこれを通過して押上げバケット8に降ろされているときであるが、結束テープ23は上ピン13と下ピン10で挟まれたままであるから、押上げバケット8に移されるのは結束テープ23が上ピン13と下ピン10とから抜き取られなければならない。そこで、両ピン13、10をわずかに開いた状態で上記した押板20で被結束物7を押す押出装置27によって結束テープ23を両ピン13、10から抜き、押上げバケット8に落している。
【0019】
[10]はチャック16が完全に開き(被結束物7が通過できる)、押上げバケット8は下降して結束された被結束物7は搬送バケット6に再度降ろされようとしているときである。[11]は押上げバケット8が更に下がり、搬送バケット6に結束された被結束物7を移し終えているときである。[12]は搬送バケット6を一ピッチ下流側に移動させ、次の搬送バケット6を結束ステーションに送っているときである。
【0020】
搬送バケット6からなるバケットコンベアは垂直面内で駆動輪28と従動輪29に搬送バケット6を巻き掛けているものであり、搬送バケット6が移動すると、その終端で180°向きを変えて今度は下向きになって上流側に折り返して移動する。この部分が
図4の正面図に示す排出部5であるが、このとき、被結束物7を排出する排出ベルトコンベア30にソフトランディングさせるとともに、結束ミスが生じた場合でも、バラバラになった線状物が結束された被結束物7と重ならないように工夫している。
【0021】
具体的には、終点の回動部で被結束物7の外側に沿って(被結束物7の外への逃げを規制するため)平板から続く半円形をしたガイド31を設けるのであるが、ガイド31の終端から同じレベルでフラットな仲介板32を下流側に延ばし、仲介板32に重合させて共に下流側が高いL字形を上流側の第一仕切板33と下流側の第二仕切板34とを並べて設けるのである。この場合、仲介板31は搬送バケット6の二ピッチ分、第一仕切板33と第二仕切板34とは搬送バケット6の1ピッチ分の長さを有し、それぞれが独立して上下できるようにしている。
【0022】
このときの動作を図
10の工程図で説明するが(符号の省略は上記と同じ)、搬送バケット6の隣り合う二つに載せられた被結束物7を単位として搬送バケツト
6から離れる方向に移動する排出ベルトコンベア30で攫って行くのである。具体的には「5」の状態が最初であり、仲介板32が排出ベルトコンベア30より上に上がっており、この上を搬送バケット6の二つ分の被結束物7が擦るように下流側に搬送されて行く。
【0023】
搬送バケット6の二つの被結束物7が仲介板32の上に載ると「1」の状態になるのであるが、仲介板32と第一仕切板33とが排出ベルトコンベア30より下がる。すると、上流側の搬送バケット6に載っていた被結束物7が排出ベルトコンベア30の上に載り、排出側に運ばれて行く。次いで「2」の状態になり、第二仕切板34は排出コンベア30よりも下がる。すると、「3」の状態のように下流側の搬送バケット6に載っていた被結束物7が排出ベルトコンベア30の上に落ち、排出側に運ばれて行く。
【0024】
したがって、最初に排出ベルトコンベア30に載った被結束物7はこの被結束物7に対して十分に間隔をあけて排出側に運ばれて行くようになる。つまり、第一仕切板33と第二仕切板34とを時間差を保って降ろすことにより、排出されて行く被結束物7同士の間隔を開けることができるのである。こうすることで、仮に十分に結束されていないような被結束物7が排出ベルトコンベア30上にバラバラとなって落ちても、その線状物は他の被結束物7の上に被らず、後の処理が簡単になるのである。
【0025】
最後の被結束物7が搬送バケット6を通りすぎたなら(このとき、二つの搬送バケット6は空になっている)「4」に示す状態のように仲介板31を上に上げ、受け入れ態勢を整えておく。そして、「5」の状態になるまで待つことになる。なお、以上の被結束物7は同じ間隔を保って移出ベルトコンベア30上を流れるように搬送バケット6や排出ベルトコンベア30の速さ及び搬送バケット6のピッチ等が定められるのは当然である。ところで、以上の説明では結束ステーションは一つを想定したが、
図3の正面図に示すように搬送バケット6のラインに間をおいて二つ設けるのが効率上適する。
【符号の説明】
【0026】
1 搬送部
2 押上げ部
3 掴み部
4 結束部
5 排出部
6 搬送バケット
7 被結束物
8 押上げバケット
9 面板
10 下ピン
11 支持軸
12 レバー
13 上ピン
14 駆動レバー
15 復帰スプリング
16 チャック
17 アーム
17a 〃 のテール
18 取付軸
19 ローラ
20 押板
21 軸
22 コーン形カム
23 結束テープ
24 結束テープ送出装置
25 シール装置
26 カッター
27 押出装置
28 駆動輪
29 従動輪
30 排出ベルトコンベア
31 ガイド
32 仲介板
33 第一仕切板
34 第二仕切板