(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分については同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明によるコネクタ付きケーブル1は、ケーブル本体3と、このケーブル本体3の両端部に接続されたコネクタ5a、5bとを備える。コネクタ5a、5bは、たとえば同じ形状のコネクタであってもよいが、互いに異なる形状のコネクタ5a、5bであってもよい。たとえば、コネクタ5aはソケット端子を備えるレセプタであり、コネクタ5bがタブ端子を備えるプラグであってもよい。また、
図1ではケーブル本体3の一方端および他方端の両方にコネクタ5a、5bが接続されているが、本発明によるコネクタ付きケーブル1では、ケーブル本体3の一方端および他方端のいずれか一方のみにコネクタ5aまたはコネクタ5bが接続されていてもよい。
【0013】
ケーブル本体3は、たとえば屋内配線用ケーブル(VVF)であってもよい。ケーブル本体3は、たとえば直径が1.6mmの芯線を2本備えるケーブル(2芯ケーブル)、直径が2.0mmの芯線を2本備えるケーブル、あるいは直径が1.6mmの芯線を3本備えるケーブル、直径が2.0mmの芯線を3本備えるケーブル、直径が2.0mmの芯線を2本と直径が1.6mmの芯線1本との芯線を合計3本備えるケーブルであってもよい。
【0014】
次に、
図2を参照して、本発明によるケーブル集合体10を説明する。ケーブル集合体10は、複数のケーブル本体3と、当該ケーブル本体3の一方端を固定・保護するための結線固定部7と、複数のケーブル本体3のうちの少なくとも一部における他方端(結線固定部7が配置される一方端と反対側の端部)においてケーブル本体3に接続されたコネクタ5とを備える。複数のケーブル本体3の一方端が束ねられた状態になっている。当該一方端において、各ケーブル本体3の芯線同士を接続し(たとえば圧着結線し)、さらに芯線同士が接続された接続部(圧着部)を絶縁処理している。絶縁処理方法としては、絶縁性キャップで当該接続部を覆うといった任意の方法を用いることができる。このようにして、各ケーブル本体3の一方端が接続・絶縁処理された結線部が構成される。この結線部は、結線固定部7を構成するカップ状の容器の内部に配置される。当該容器の材料は任意の材料を用いることができるが、たとえば当該材料として難燃性の樹脂(たとえば難燃性ポリプロピレン)を用いることができる。上記カップ状の容器内に結線部を配置した状態で、当該容器の内部には樹脂が充填されている。当該樹脂としてはたとえば熱硬化性樹脂を用いることができる。複数のケーブル本体3のうちの一部については、他方端に本発明によるコネクタ5が接続されている。コネクタ5としては、
図1に示したコネクタ5a、5bのいずれを用いてもよい。なお、
図2においては、複数のケーブル本体3において、他方端にコネクタ5が接続されていない状態となっているが、すべてのケーブル本体3の他方端にコネクタ5が接続されていてもよい。
【0015】
次に、
図3〜
図15を参照して、コネクタ5a、5bの具体的な構造を説明する。
まず、
図3を参照して、コネクタ5aは、ハウジング51aと、ハウジング51aに接続された後部カバー53aと、ハウジング51aの内部に配置されたソケット端子37とを備える。ソケット端子37は、
図4に示すようにケーブル本体3の2本の芯線33にそれぞれ接続固定されている。ケーブル本体3においては、芯線33の周囲を覆うように絶縁被覆部35が形成されている。また、この絶縁被覆部35を覆うようにシース31が形成されている。シース31はたとえばビニール樹脂により構成される。ソケット端子37は、ケーブル本体3の端部においてシース31および絶縁被覆部35を除去することで露出した芯線33に直接かしめ加工により固定されている。
【0016】
ハウジング51aの内部には、
図6に示すように2つのソケット端子37をそれぞれ収納するための2つの端子挿入孔63(
図11参照)が形成されている。この端子挿入孔63の内壁には、ソケット端子37を固定するための固定用凸部55がそれぞれ形成されている。固定用凸部55は、ハウジング51aの後部(後部カバー53aが接続された側)からハウジング51aの前方側に向けて、端子挿入孔63の内壁からの距離が徐々に大きくなるように突出した状態で形成されている。このため、ハウジング51aの後部から端子挿入孔内部へ、芯線33に接続されたソケット端子37を挿入した場合、当該固定用凸部55よりも前方側へとソケット端子37が挿入された後は、この固定用凸部55がソケット端子37と接触してソケット端子37を固定できる。このようにすれば、ソケット端子37をハウジング51a内部に確実に固定できる。
【0017】
ハウジング51aの後部には後部カバー53aが固定されている。後部カバー53aのハウジング51aに対する固定方法については後述する。
【0018】
上述したハウジング51aを有するコネクタ5aと接続される他のコネクタ5bも、ハウジング51bと、後部カバー53bと、ケーブル本体3の芯線33に接続されたタブ端子38とを備える。ハウジング51bの後部側には、コネクタ5aと同様に後部カバー53bが接続固定されている。また、タブ端子38は、上述したソケット端子37と同様にケーブル本体3の芯線33(ケーブル本体3の端部においてシース31および絶縁被覆部35を除去することで露出した芯線33)に直接かしめ加工により固定されている。
【0019】
ハウジング51bの内部には、
図6に示すように2つのタブ端子38をそれぞれ収納するための2つの端子挿入孔63(
図8参照)が形成されている。この端子挿入孔63の内壁には、タブ端子38を固定するための固定用凸部55がそれぞれ形成されている。固定用凸部55は、ハウジング51bの後部(後部カバー53bが接続された側)からハウジング51bの前方側に向けて、端子挿入孔63の内壁からの距離が徐々に大きくなるように突出した状態で形成されている。このため、ハウジング51bの後部から端子挿入孔内部へ、芯線33に接続されたタブ端子38を挿入した場合、当該固定用凸部55よりも前方側へとタブ端子38が挿入された後は、この固定用凸部55がタブ端子38と接触してタブ端子38を固定できる。このようにすれば、タブ端子38をハウジング51b内部に確実に固定できる。
【0020】
コネクタ5aとコネクタ5bとは、
図5に示すようにコネクタ5bの先端側の開口部の内部にコネクタ5aの先端側が挿入された状態で結合される。このとき、コネクタ5a側のソケット端子37に、コネクタ5b側のタブ端子38が接触した状態(ソケット端子37の開口端内にタブ端子38の刃部41(
図15参照)が挿入された状態)で固定される。
【0021】
コネクタ5aとコネクタ5bとはロック機構により互いに固定される。具体的には、
図7に示すようにコネクタ5bの上部にはロック用開口部59が形成された壁部が配置されている。この壁部の下にはコネクタ5aの上部表面に形成されたロック用爪部58(
図10参照)を挿入するための空隙が形成されている。そして、
図5に示すようにコネクタ5aの先端部をコネクタ5bの先端側の開口部へと挿入したときに、コネクタ5aのロック用爪部58がコネクタ5bのロック用開口部59へと嵌まることにより、コネクタ5aとコネクタ5bとは固定される。なお、ロック用開口部59に嵌っているロック用爪部58を外側から押しながら、コネクタ5aとコネクタ5bとを互いに離れるように引張ることで、コネクタ5aとコネクタ5bとの接続を解除することができる。
【0022】
ハウジング51bの先端側の開口部の側壁には、
図7および
図8に示すようにガイド用凸部61が形成されている。ガイド用凸部61は、対向する側壁のそれぞれに、たがいに対向するように1組形成されている。ガイド用凸部61は、ハウジング51bの延びる方向に沿って線状に形成されている。このガイド用凸部61と対応するように、ハウジング51aの先端側にはガイド用凹部62(
図10および
図11参照)が形成されている。コネクタ5aをコネクタ5bと接続するときには、コネクタ5aのガイド用凹部62にコネクタ5bのガイド用凸部61が嵌め込まれた状態で、コネクタ5aをコネクタ5bの先端側開口部へ挿入する。このようにすれば、コネクタ5aとコネクタ5bとの接続方向を正確に規定することができる。このため、コネクタ5aとコネクタ5bとを確実に接続することができる。
【0023】
後部カバー53bの先端側(ハウジング51bと接続する側)には、カバー固定用爪部57が外側へと突出するように形成されている。カバー固定用爪部57は、後部カバー53bの上面、底面、および2つの側面の合計4箇所に形成されている。そして、ハウジング51bにおいては、このカバー固定用爪部57(
図8および
図9参照)に対応する位置に、カバー固定用開口部56が形成されている。つまり、ハウジング51bの後端側には、上面、底面、および2つの側面の合計4箇所にカバー固定用開口部56が形成されている。後部カバー53bの先端側がハウジング51bの後端側へ挿入されることで、後部カバー53bのカバー固定用爪部57が、ハウジング51bのカバー固定用開口部56に嵌まり込む。このようにして、後部カバー53bがハウジング51bに接続固定される。
【0024】
後部カバー53bには、ケーブル本体3を挿入するための開口部が形成されている。この後部カバー53bの開口部は、ケーブル本体3の外周面と沿うような形状の側壁を有している。また異なる観点から言えば、後部カバー53bに形成された開口部の断面形状は、ケーブル本体3の断面形状とほぼ相似形である。ケーブル本体3の外周面と、後部カバー53bに形成された開口部の側壁との間には所定の間隔(たとえば2.0mm以下の間隔)が形成されている。
【0025】
このように、後部カバー53bに形成された開口部にケーブル本体3を挿入したとき、当該開口部の断面形状がケーブル本体3の断面形状とほぼ同様であるため、後部カバー53bによってケーブル本体3を確実に保持することができる。そのため、コネクタ5bの外部においてケーブル本体3に捩れが発生したような場合においても、そのケーブル本体3の捩じれが後部カバー53bにおいて抑制される。その結果、ハウジング51bの内部のタブ端子38と芯線33との接続部にまで当該捩じれに起因する応力が作用することを抑制できる。
【0026】
また、
図3、
図6、
図10を参照して、コネクタ5aを構成するハウジング51aと後部カバー53aも、上述したハウジング51bおよび後部カバー53bの接続構造と同様の構造により接続固定されている。すなわち、後部カバー53aの先端側(ハウジング51aと接続する側)には、4つの壁面にカバー固定用爪部57が形成されている。また、ハウジング51aの後端側には、当該カバー固定用爪部57が挿入されるためのカバー固定用開口部56が4つの壁面のそれぞれに形成されている。後部カバー53aの先端側がハウジング51aの後端側へ挿入されることで、後部カバー53aのカバー固定用爪部57が、ハウジング51aのカバー固定用開口部56に嵌まり込む。このようにして、後部カバー53aがハウジング51aに接続固定される。
【0027】
後部カバー53aには、
図9に示したような後部カバー53bと同様の開口部が形成されているため、確実にケーブル本体3を保持することができる。このため、ケーブル本体3が捩じれた場合に、当該捩じれに起因する力がソケット端子37と芯線33との接続部に伝わることを抑制できる。
【0028】
上述したソケット端子37とケーブル本体3の芯線33との接続部は、
図12に示すように圧着部40によって構成されている。具体的には、ソケット端子37において、タブ端子38(
図4参照)と接続するためのばね部39が形成された先端部に隣接するように圧着部40が形成されている。また、この圧着部40には、上記先端部と反対側(後端側)にかしめ部43(
図13参照)が形成されている。かしめ部43は、芯線33の周囲に絶縁被覆部35が被覆された部分にかしめ加工により固定される。なお、ソケット端子37の表面に突起部やへこみ部が設けられていてもよい。
【0029】
つまり、絶縁被覆部35を除去した結果露出している芯線33の端部を圧着部40上に配置し、芯線33の表面に絶縁被覆部35が残っている部分をかしめ部43上に配置するように、ソケット端子37上に芯線33を載せる。そして、圧着部40およびかしめ部43を(たとえば専用圧着機を用いて)それぞれかしめ加工することにより、
図12に示すようにソケット端子37を芯線33へと固定することができる。圧着部40の形状としては、たとえばFクリンプ形状を用いることができる。このようなFクリンプ形状とすることで、ソケット端子37の圧着部40の構造を、異なる径の芯線33(たとえば直径φが1.6mmと2.0mmの芯線33)のそれぞれに対して共通化することができる。また、かしめ時のクリンプ高さを調整することにより、圧着部40での圧着強度を調整することもできる。このような圧着部40およびかしめ部43を形成することで、ケーブル本体3に対してソケット端子37を強固に固定することができる。たとえば、ソケット端子37とケーブル本体3との接合部は、400N以上の応力に耐えるようにすることが可能である。このため、ケーブル本体3がソケット端子37から離れる方向に引っ張られた場合にも、ソケット端子37とケーブル本体3とが分離することを防止できる。
【0030】
ソケット端子37の先端側には、タブ端子38の先端部(
図14に示す刃部41)を固定するためのばね部39が形成されている。このばね部39と対向するように壁部が形成されている。一方、タブ端子38の刃部41の表面には凹部42が形成されている。凹部42の深さは、たとえば0.08mmとすることができる。この壁部とばね部39との間に
図14に示すタブ端子38の刃部41が挿入された状態で、タブ端子38とソケット端子37とは接続される。具体的には、
図15に示すように、ソケット端子37の先端側開口部から、タブ端子38の刃部41がばね部39と壁部との間に挿入される。このとき、刃部41の表面には凹部42が形成されており、この凹部42にばね部39の突出した屈曲部が接触した状態となる。ソケット端子37からタブ端子38を引き抜くときには、凹部42の側壁にばね部39の屈曲部が接触して引き抜き抵抗となるが、この抵抗は当該凹部42の側壁の形状が維持されていればある程度の値を保つことができる。この結果、ソケット端子37からタブ端子38を引抜くために要する力が、コネクタ5a、5bの抜き差しの繰返しによって大きく低下することを抑制できる。すなわち、ばね部39のばね性が、コネクタ5a、5bの抜き差し動作の繰返しによってある程度劣化した場合でも、ばね部39の屈曲部が凹部42の側壁と接触することにより引き抜き抵抗を発生させることができる。そのため、タブ端子38をソケット端子37から引抜くときに必要な力をある程度の値で維持することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図16〜
図24を参照して、本発明によるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体の実施の形態2を説明する。
【0032】
図16〜
図24に示したコネクタ5a、5bを備えるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体は、基本的には上述した本発明の実施の形態1におけるコネクタ付きケーブル1およびケーブル集合体10と同様の構造を備えるが、ケーブル本体3およびコネクタ5a、5bの構造が異なっている。すなわち、
図16〜
図24に示したコネクタ5a、5bを備えるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体では、ケーブル本体が3本の芯線33を含んでいる。このため、コネクタ5a、5bは、それぞれ3つのソケット端子37または3つのタブ端子38を含む。但し、このようなケーブル本体3における芯線33の数、およびコネクタ5a、5bにおけるソケット端子37またはタブ端子38の数の違いを除けば、本実施形態によるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体における他の構造は、基本的には上述した本発明の実施の形態1によるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体をと同様である。
【0033】
以下、
図16〜
図24を参照して、本発明の実施の形態2によるコネクタ付きケーブルおよびケーブル集合体を構成するコネクタ5a、5bの具体的な構造を説明する。なお、以下の説明では、本実施形態のコネクタ5a、5bと、上述した本発明の実施の形態1によるコネクタ5a、5bとの差異に係る構成について重点的に説明する。
【0034】
まず、
図16および
図17を参照して、コネクタ5aは、
図3に示した本発明の実施の形態1におけるコネクタ5aと同様に、ハウジング51aと、ハウジング51aに接続された後部カバー53aと、ハウジング51aの内部に配置されたソケット端子37とを備える。
図17に示すように、本実施形態のコネクタ5aでは、3つのソケット端子37がケーブル本体3の3本の芯線33にそれぞれ接続固定されている。ケーブル本体3においては、芯線33の周囲を覆うように絶縁被覆部35が形成され、また当該絶縁被覆部35を覆うようにシース31が形成されている。本実施形態におけるケーブル本体3の幅は、実施の形態1におけるケーブル本体3の幅より広くなっている。実施の形態1と同様に、ソケット端子37は、ケーブル本体3の端部においてシース31および絶縁被覆部35を除去することで露出した芯線33に直接かしめ加工により固定されている。
【0035】
ハウジング51aの内部には、
図19に示すように3つのソケット端子37をそれぞれ収納するための3つの端子挿入孔63(
図24参照)が形成されている。この端子挿入孔63の内壁には、ソケット端子37を固定するための固定用凸部55がそれぞれ形成されている。固定用凸部55は、ハウジング51aの後部(後部カバー53aが接続された側)からハウジング51aの前方側に向けて、端子挿入孔63の内壁からの距離が徐々に大きくなるように突出した状態で形成されている。このため、ハウジング51aの後部から端子挿入孔63内部へ、芯線33に接続されたソケット端子37を挿入した場合、当該固定用凸部55がソケット端子37の後部側(後部カバー53a側)の部分と接触してソケット端子37を固定できる。このようにすれば、実施の形態1の場合と同様に、ソケット端子37をハウジング51a内部に確実に固定できる。ハウジング51aの後部には後部カバー53aが固定されている。後部カバー53aのハウジング51aに対する固定方法は、後述するように実施の形態1と同様である。
【0036】
上述したハウジング51aを有するコネクタ5aと接続される他のコネクタ5bも、実施の形態1におけるコネクタ5bと同様に、ハウジング51bと、後部カバー53bと、ケーブル本体3の芯線33に接続された3つのタブ端子38とを備える。ハウジング51bの後部側には、コネクタ5aと同様に後部カバー53bが接続固定されている。ただし、3つのタブ端子38をコネクタ5bに収納するため、当該コネクタ5bの幅(ハウジング51bおよび後部カバー53bの幅)は実施の形態1におけるコネクタ5bの幅より広くなっている。タブ端子38は、、上述したソケット端子37と同様にケーブル本体3の芯線33に直接かしめ加工により固定されている。
【0037】
ハウジング51bの内部には、
図19に示すように3つのタブ端子38をそれぞれ収納するための3つの端子挿入孔63(
図21参照)が形成されている。この端子挿入孔63の内壁には、実施の形態1と同様にタブ端子38を固定するための固定用凸部55がそれぞれ形成されている。このため、ハウジング51bの後部から端子挿入孔63内部へ、芯線33に接続されたタブ端子38を挿入した場合、この固定用凸部55がタブ端子38の後端部(タブ端子38における後部カバー53b側の部分)と接触してタブ端子38を固定できる。
【0038】
コネクタ5aとコネクタ5bとは、
図18に示すようにコネクタ5bの先端側の開口部の内部にコネクタ5aの先端側が挿入された状態で結合される。このとき、実施の形態1と同様に、コネクタ5a側のソケット端子37に、コネクタ5b側のタブ端子38が接触した状態(ソケット端子37の開口端内にタブ端子38の刃部41(
図15参照)が挿入された状態)で固定される。
【0039】
コネクタ5aとコネクタ5bとを互いに固定するためのロック機構は、基本的に実施の形態1におけるロック機構と同様である。具体的には、
図20に示すようにコネクタ5bの上部にはロック用開口部59が形成された壁部が配置されている。この壁部の下には、コネクタ5aの上部表面に形成されたロック用爪部58(
図23参照)を挿入するための空隙が形成されている。そして、
図18に示すようにコネクタ5aの先端部をコネクタ5bの先端側の開口部へと挿入したときに、コネクタ5aのロック用爪部58がコネクタ5bのロック用開口部59へと嵌まることにより、コネクタ5aとコネクタ5bとは固定される。
【0040】
ハウジング51bの先端側の開口部の側壁には、
図20および
図21に示すように2つのガイド用凸部61が形成されている。ガイド用凸部61は、対向する側壁のそれぞれに、互いに対向するように1組形成されている。ガイド用凸部61は、ハウジング51bの延びる方向に沿って線状に形成されている。このガイド用凸部61と対応するように、ハウジング51aの先端側にはガイド用凹部62(
図23および
図24参照)が形成されている。コネクタ5aをコネクタ5bと接続するときには、コネクタ5aのガイド用凹部62にコネクタ5bのガイド用凸部61が嵌め込まれた状態で、コネクタ5aをコネクタ5bの先端側開口部へ挿入する。このようにすれば、コネクタ5aとコネクタ5bとの接続方向を正確に規定することができる。
【0041】
図20および
図22に示すように、後部カバー53bの先端側(ハウジング51bと接続する側)には、実施の形態1の場合と同様に、4つのカバー固定用爪部57が外側へと突出するように形成されている。カバー固定用爪部57は、後部カバー53bの上面、底面、および2つの側面の合計4箇所に形成されている。そして、ハウジング51bにおいては、このカバー固定用爪部57(
図20参照)に対応する位置に、カバー固定用開口部56(
図20参照)が形成されている。つまり、ハウジング51bの後端側には、上面、底面、および2つの側面の合計4箇所にカバー固定用開口部56が形成されている。後部カバー53bの先端側がハウジング51bの後端側へ挿入されることで、後部カバー53bのカバー固定用爪部57が、ハウジング51bのカバー固定用開口部56に嵌まり込む。このようにして、後部カバー53bがハウジング51bに接続固定される。
【0042】
後部カバー53bには、ケーブル本体3を挿入するための開口部が形成されている。この後部カバー53bの開口部は、ケーブル本体3の外周面と沿うような形状の側壁を有している。ケーブル本体3の外周面と、後部カバー53bに形成された開口部の側壁との間には、実施の形態1と同様に所定の間隔(たとえば2.0mm以下の間隔)が形成されている。
【0043】
このように、後部カバー53bに形成された開口部にケーブル本体3を挿入したとき、当該開口部の断面形状がケーブル本体3の断面形状とほぼ同様であるため、実施の形態1と同様に、後部カバー53bによってケーブル本体3を確実に保持することができる。そのため、コネクタ5bの外部においてケーブル本体3に捩れが発生したような場合においても、ハウジング51bの内部のタブ端子38と芯線33との接続部にまで当該捩じれに起因する応力が作用することを抑制できる。
【0044】
また、
図16、
図19、
図23を参照して、コネクタ5aを構成するハウジング51aと後部カバー53aも、上述したハウジング51bおよび後部カバー53bの接続構造と同様の構造により接続固定されている。すなわち、後部カバー53aの先端側(ハウジング51aと接続する側)には、4つの壁面にカバー固定用爪部57が形成されている。また、ハウジング51aの後端側には、当該カバー固定用爪部57が挿入されるためのカバー固定用開口部56が4つの壁面のそれぞれに形成されている。後部カバー53aの先端側がハウジング51aの後端側へ挿入されることで、後部カバー53aのカバー固定用爪部57が、ハウジング51aのカバー固定用開口部56に嵌まり込む。このようにして、後部カバー53aがハウジング51aに接続固定される。
【0045】
後部カバー53aには、
図22に示したような後部カバー53bと同様の開口部が形成されているため、容易にケーブル本体3を保持することができる。このため、ケーブル本体3が捩じれた場合に、当該捩じれに起因する力がソケット端子37と芯線33との接続部に伝わることを抑制できる。
【0046】
上述したソケット端子37とケーブル本体3の芯線33との接続部、およびタブ端子38とケーブル本体3の芯線33との接続部の構造は、基本的に実施の形態1における当該構造と同様である。また、ソケット端子37およびタブ端子38の構造も、実施の形態1と同様である。
【0047】
上述した実施の形態において、ハウジング51a、51bおよび後部カバー53a、53bは絶縁性の樹脂により構成されていてもよい。たとえば、ハウジング51a、51bおよび後部カバー53a、53bの材料としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いることができる。また、ソケット端子37およびタブ端子38の材料としては、導電性の材料(たとえば金属など)を用いることができる。ソケット端子37およびタブ端子38の材料として、たとえば銅合金を用いることができる。
【0048】
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0049】
この発明に従ったコネクタ付きケーブル1は、ケーブル本体3とコネクタ5a、5bとを備える。ケーブル本体3は、芯線33と、当該芯線33を被覆する被覆材(絶縁被覆部35および/またはシース31)とを含む。コネクタ5a、5bはケーブル本体3の端部に接続されている。コネクタ5a、5bは、端子(ソケット端子37またはタブ端子38)とハウジング部(ハウジング51a、51b)とカバー部(後部カバー53a、53b)とを含む。ソケット端子37またはタブ端子38は芯線33に固定されている。ハウジング51a、51bはソケット端子37またはタブ端子38を内部に保持する。後部カバー53a、53bはハウジング51a、51bに連なり、ケーブル本体3に沿って延びる。後部カバー53a、53bの硬度は、被覆材(絶縁被覆部35および/またはシース31)の硬度より高い。
【0050】
このようにすれば、ケーブル本体3においてコネクタ5a、5bと隣接する領域に曲げ応力などが加わった場合に、ソケット端子37またはタブ端子38との接続部近傍のケーブル本体3が変形する(たとえば曲がる)ことを後部カバー53a、53bによって抑制できる。したがって、上記のような応力によってソケット端子37またはタブ端子38とケーブル本体3(具体的には芯線33)との固定部(たとえば圧着部40)が損傷を受ける可能性を低減できる。このため、コネクタ付きケーブル1の耐久性を向上させることができる。つまり、コネクタ付きケーブル1の信頼性を向上させることができる。
【0051】
上記コネクタ付きケーブル1において、ケーブル本体3の断面形状は厚さと幅(厚さ方向と垂直な方向における高さ)とが異なる形状であってもよい。たとえば、ケーブル本体3の断面形状は楕円形状、矩形状、あるいは2つの円形が並んで一部重なったような形状など、任意の形状とすることができる。この場合、後部カバー53a、53bにケーブル本体3を通すための穴が形成され、当該穴をケーブル本体3が通るように配置されていれば、ケーブル本体3が中心軸周りに回転するような捻り応力を受けたときに、後部カバー53a、53bによってケーブル本体3の捻り応力が芯線33と端子(ソケット端子37またはタブ端子38)との固定部に影響を及ぼす(たとえば捻り応力により当該固定部が破損する)可能性を低減できる。
【0052】
上記コネクタ付きケーブル1において、後部カバー53a、53bには、ケーブル本体3を挿入するための開口部が形成されていてもよい。開口部の内壁の平らな平面部分9(
図3および
図16参照)はケーブル本体3の表面に沿うように構成されていてもよい。この場合、上記のようにケーブル本体3が中心軸周りに回転するような捻り応力を受けたときに、開口部の内壁がケーブル本体3を拘束することになるので、後部カバー53a、53bによってケーブル本体3の捻り応力が芯線33と端子(ソケット端子37またはタブ端子38)との固定部に影響を及ぼす(たとえば捻り応力により当該固定部が破損する)ことを確実に防止できる。
【0053】
上記コネクタ付きケーブル1において、端子(タブ端子38)は、他のコネクタ(たとえばソケット端子37を含むコネクタ)と接続するための接続用凸部(刃部41)を有していてもよい。接続用凸部(刃部41)の表面には凹部42が形成されていてもよい。この場合、接続用凸部(刃部41)の凹部42に他のコネクタの一部(たとえばソケット端子37のばね状の部分であるばね部39の一部)が接触するように、タブ端子38が他のコネクタのソケット端子37へと接続されることで、上記凹部42が無い場合より、他のコネクタからタブ端子38を取り外すときに必要な力を大きくできる。このため、コネクタ付きケーブル1のコネクタ5bと他のコネクタ(たとえばコネクタ5a)との接続を確実に保持することができる。また、上記のような接続用凸部(刃部41)の凹部42は物理的な形状であるため、他のコネクタとタブ端子38との抜き差し動作を繰り返しても当該凹部42の形状はある程度維持される。そのため、他のコネクタとタブ端子38との抜き差し動作を繰り返した場合の、他のコネクタからタブ端子38(つまりコネクタ5b)を取り外すために必要な力の低減を抑制できる。
【0054】
上記コネクタ付きケーブル1において、ケーブル本体3は、芯線33を複数本含んでいてもよい。この場合、被覆材(絶縁被覆部35またはシース31)の厚みがケーブル本体3の全周にわたってほぼ一定であれば、ケーブル本体3の断面形状は厚さと幅(厚さ方向と垂直な方向における幅)とが異なる形状となるため、上述のような後部カバー53a、53bによるケーブル本体3を保持する効果をより確実に得ることができる。
【0055】
この発明に従ったケーブル集合体10は、複数のケーブル本体3と、コネクタ5、5a、5bとを備える。ケーブル本体3は、芯線33と、当該芯線33を被覆する被覆材(絶縁被覆部35および/またはシース31)とを含む。複数のケーブル本体3の一方端は互いに接続されている。具体的には、複数のケーブル本体3の一方端において芯線33同士が接続されている。複数のケーブル本体3のうちの少なくとも1本において、上記一方端と反対側に位置する他方端にコネクタ5、5a、5bが接続されている。コネクタ5a、5bは、端子(ソケット端子37またはタブ端子38)とハウジング部(ハウジング51a、51b)とカバー部(後部カバー53a、53b)とを含む。ソケット端子37またはタブ端子38は芯線33に固定されている。ハウジング51a、51bはソケット端子37またはタブ端子38を内部に保持する。後部カバー53a、53bはハウジング51a、51bに連なり、ケーブル本体3に沿って延びる。後部カバー53a、53bの硬度は、被覆材(絶縁被覆部35および/またはシース31)の硬度より高い。また、異なる観点から言えば、この発明に従ったケーブル集合体10は、上記コネクタ付きケーブル1を複数本備える。この場合、信頼性の高いコネクタ付きケーブル1を用いてケーブル集合体10を構成することから、結果的に高い信頼性を有するケーブル集合体10を得ることができる。
【0056】
(実験例)
本発明によるタブ端子の刃部の凹部による効果を確認するため、以下のような実験を行なった。
【0057】
<試料>
基本的に、本発明の実施の形態1におけるコネクタ5a、5bを実施例の試料として準備した。なお、タブ端子の刃部に形成された凹部の幅は1.6mm、深さは0.08mmとした。
【0058】
また、比較例の試料として、上記実施例の試料と基本的な構造は同じであるが、タブ端子の刃部に凹部が形成されていないコネクタ5a、5bを準備した。
【0059】
<実験>
上記実施例および比較例の試料について、ソケット端子とタブ端子との結合状態を解除するために必要な力(保持力)を測定した。そして、コネクタの抜き差しを5000回繰り返し、当該抜き差し動作後の上記保持力も測定した。なお、保持力の測定方法としては、まず、ロック用爪部58を根元部で切除し、コネクタ5a、5bを接続したときにロックが効かない状態として、抜き差し動作前の保持力を測定した。そして、コネクタの抜き差しスピードを約20回/分として5000回のコネクタの抜き差し動作を実施した。そして、当該抜き差し動作後の保持力を測定した。
【0060】
<結果>
本発明の実施例の試料については、5000回の抜き差し動作の繰り返し前後で、保持力の減衰率((抜き差し動作実施前の保持力)−(抜き差し動作後の保持力))/(抜き差し動作実施前の保持力)が0.67(67%)であった。一方、比較例の試料については、保持力の減衰率が0.76(76%)であった。すなわち、刃部に凹部が形成された本発明の実施例の方が保持力の減衰率が少なく、耐久性に優れていることがわかる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。