特許第6071076号(P6071076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6071076-指穴要の紙扇子 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071076
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】指穴要の紙扇子
(51)【国際特許分類】
   A45B 27/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A45B27/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-262133(P2014-262133)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120084(P2016-120084A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000218281
【氏名又は名称】渡辺 芳男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 芳男
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3129478(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3176563(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3182803(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3132200(JP,U)
【文献】 特開2014−083223(JP,A)
【文献】 特開2000−350610(JP,A)
【文献】 特開平08−266322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉面の側縁に側折線を介して側片を延設して組材を形成し、該組材は少なくても2枚設けて一方の組材と他方の組材とし、側折線を袋折して側片が葉面の開重域に重なった状態での該組材の下部に穴要を貫通させて設け、一方の組材にある穴要を一方の穴要とし、他方の組材にある穴要を他方の穴要とし、該葉面に設けられた該穴要を葉穴とし、該側片に設けられた該穴要を片穴とし、一方の該葉穴と他方の該片穴とを該穴要の縁から舌基折線を介して延設された舌片で連結し、該舌片の連結構造によって一方と他方の組材が連結されることを特徴とする指穴要の紙扇子。
【請求項2】
舌片の連結構造で、一方の穴要にある葉穴から舌基折線を介して延設された該舌片を、他方の穴要にある片穴の縁に該舌片を掛けて連結したことを特徴とする請求項1記載の指穴要の紙扇子。
【請求項3】
舌片の連結構造で、他方の穴要にある片穴から舌基折線を介して延設された該舌片を、一方の穴要にある葉穴に通して、組材の下縁を巻き込んで該穴要を束ねて連結したことを特徴とする請求項1記載の指穴要の紙扇子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙扇子に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来の紙扇子は、小さな穴要に棒状の物を差し込んで固定する構造の物(文献1)、葉面から外に突出した差込片を穴要に差し込んで固定する構造の物(文献2)であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−304919号
【特許文献2】特開2014−83223号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、多数の扇ぎ葉(組材)を束ねて連ねる構造の紙扇子には有利であるが、構造的に複雑であり、穴要に指を入れることはできないという問題点があった。本発明では前記の問題解決を課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
葉面の他方の側縁に側折線を介して側片を延設し、該葉面と該側片の一体化した物を組材とし、該組材は少なくても二枚で設け、側折線を袋折することで側片は葉面の開重域に重なり、該開重域で折り重なっている該組材どうしを重ねた状態の下部に穴要を貫通させて設け、葉面に設けられた該穴要を葉穴とし、側片に設けられた該穴要を片穴とし、該葉穴と該片穴のどちらかに舌基折線を介して舌片を延設し、該舌片で重なり合った隣接の葉穴を巻き込むことで葉穴と片穴は連結して組材の連結構造を形成し、該穴要を指の入る大きさにして設ける。
【発明の効果】
【0006】
穴要を指の入る大きさにしたことで、該穴要に指を入れることができるので、持ち易くなって扇ぎ易くなり、該穴要どうしを舌片で巻き込んで組材どうしを連結している構造にすることで、該組材を少なくても2枚にしていることから、組み立てを簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】組立課程要部透視正面斜視図である。(実施例1)
図2】閉じ状態要部透視部分剥離正面斜視図である。
図3】開き状態要部透視部分剥離正面斜視図である。
図4】組立課程要部透視正面斜視図である。(実施例2)
図5】閉じ状態要部透視正面斜視図である。
図6】開き状態要部透視正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
穴要に指を入れて持ち易くし、該穴要の中点を中心として回転移動する扇子の要として開閉できる紙扇子を実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は組立課程要部透視正面斜視図である。透視線は破線で示し、剥離線は二重線で示し、折線は一点鎖線で示し、該折線が透視線になる場合は破線で示し、縁及び切線は一本の実線で示し、引き出し(指示)線は細い曲線で示し、透視箇所を指示する引き出し線は先端だけを一点破線で示すことで一枚の面を通ししていることを示す。山折と谷折で表示する折り曲げ方向は正面方向からを基準にする。左右方向を横とし、天地方向を縦とし、正面背面方向を前後とする。本発明を形成する素材は限定ではなく、プラスチックであっても良いが、適宜に腰のある厚紙であることが望ましく、前記厚紙の硬さは楽に折り曲げられて扇ぎ使用に耐えられる硬さであれば良く、具体的に述べるならば、官製ハガキよりも硬ければ目的を果たせる。
【0010】
縦に適宜に細長い略扇形状で葉面2を設け、該葉面2の右(左であっても良い)側縁に谷折線である側折線3を介して側片4を延設し、該葉面2に該側片4が延設された状態の物を組材5とする。
【0011】
該組材5の側折線3を谷折で袋折(180度の返し折)することで葉面2右下領域である開重域6に側片4を折り重ね、前記折り重ね状態の組材5の下部の略中央へ穴要7を打ち抜いて形成する。
【0012】
該穴要7の大きさは限定ではなくて適宜であっても良いが、少なくても親指が一本挿入できる大きさにすることが望ましく、該穴要7の形状は限定ではなくて自由にデザイン化された形状であっても良いが、円形を基本にしており、後述するが、部分的に欠けた略D字形状であることが望ましい。葉面2に開いている該穴要7を葉穴8とし、側片4に開いている該穴要7を片穴9とする。
【0013】
該葉穴8と該片穴9のどちらかに、舌基折線10を介して舌片11を延設するのであるが、本実施例1の場合は、葉穴8の下縁を部分的に平にして舌基折線10とすることが望ましく、該舌基折線10を介して舌片11を延設し、該舌片11は葉穴8の内領域を利用して設けるのであり、該葉穴8の内領域全体を該舌片11としても良いが、該舌片11の横両側を平行な直線にすることで、該舌片11の差し込み時での引っ掛かりを防止できる。
【0014】
組材5は単数では意味を成さないことから複数である必要があり、複数とする数は限定ではないが、一方と他方の二枚であることが望ましく、一方をa、他方をbとする補助符号を本来の符号(本符号)の後ろに付けることで区別することにし、一方の組材5aと他方の組材5bという具合に表示し、一方のaと他方のbの補助符号を省いている場合は、本符号だけでの総称とし、組材5では、一方の組材5aと他方の組材5bの双方を含めた総称である。
【0015】
実施例1の組材5の形状は一方と他方共に同形状であることが望ましく、位置関係と付属関係を明瞭にするために、重なった状態では一方の組材5aを背面にし、他方の組材5bを正面にし、符号の後ろに付けられるaとbによって一方と他方の区別が可能になるので、一方と他方を省いて述べることもあり、一方と他方を強調する場合は省かずに述べることもある。
【0016】
葉面2aの正面(前面)に側片4bを重ねて、葉穴8aの正面に片穴9bを重ねた状態で舌基折線10aを介して延設された舌片11aを正面に袋折して片穴9bを巻き込んで穴要7として総称される該葉穴8aと該片穴9bを連結する。
【0017】
実施例1では舌片11を葉穴8に延設しているので、片穴9は円形を成していることで該舌片11が穴要7の中心点(中点)を中心とした円周形状で滑り移動することが可能になり、該片穴9の円形縁領域を滑縁12とする。
【0018】
該片穴9全体は円形であっても良いが、舌片11の滑り移動できる範囲を限定する必要があり、該片穴9aの一部の縁を平にして瞼縁13を設けることが望ましく、該瞼縁13は片穴9の上部を平らにして、該平らな縁を瞼縁13とすることが望ましい。
【0019】
本体1の組立順序を述べるならば、葉面2aの正面に側片4bを重ねて、片穴9bから舌片11aを正面へ覗き出して舌基折線10aを袋折して該片穴9bを巻き込むことで葉穴8aと該片穴9bは連結状態になる。
【0020】
側折線3aを谷折で袋折することで側片4aを側片4bの正面へ折り重ね、側折線3bを谷折で袋折することで葉面2bを該側片4aの正面へ折り重ねた状態で舌片11bを背方へ折込んで舌基折線10bを袋折することで該舌片11bが該片穴9aを巻き込んで連結するので、本体1の組立は終了する。
【0021】
本体1の組立状態は後述するが、該舌片11の双方共に隣接で重なり合った側片4どうしの隙間に挟まり込んだ状態で固定されており、該側片4どうしの隙間へ該舌片11をスムーズに差し込むために、該舌片11に刻み線14を入れることで該舌片11の折り曲げが可能になり、前記折り曲げによって段階分けして差し込めるので、該舌片11をスムーズに差し込める構造になる。該刻み線14の数は適宜であって限定する必要は無いけれど、各々の舌片11に二本ずつの平行線で入れる構造であることが望ましい。
【0022】
図2は閉じ状態要部透視部分剥離正面斜視図である。折線は一点鎖線での表示であるが透視状態になると破線になる。組立順序は段落番号0016で述べており、重なり順を背面から述べるならば、葉面2a、側片4b、側片4a、葉面2bの順で重なっており、最前面に位置する葉面2bの下部に位置している穴要7の周囲を剥離して該剥離領域は二重線で囲んでおり、該二重線内で剥き出しになっている側片4aの片穴9a以外は透視線なので破線で表示している。
【0023】
該剥離線内の重なり順を背面から述べるならば、葉穴8a、片穴9b、舌片11a、舌片11b、片穴9aの順序で重なっており、該片穴9aは透視線ではないので実線で表示しており、最前面に位置している葉面2bの下部中央領域は剥離しているので葉穴8bは図示されていないが、該葉穴8bに舌基折線10bを介して延設されて袋折されている舌片11bは、片穴9aの背部に隠れて隣接する透視線で図示している。
【0024】
穴要7どうしの重なり合いは実際にはズレていないのであるが、各々の該穴要7を適宜にズレて図示することで、各々の該穴要7から引き出し線を表示し易くしており、実際には滑縁12aの縁線上に滑角15bが接しているのであるが、図面では離れて図示している。
【0025】
各々の葉面2の開重域6に側片4が折り重なっており、本体1が閉じ状態(葉面どうしの重なり領域が最大値になった状態)では該開重域6の上部どうしは互いに離れていて、該開重域6の下部どうしの重なり合いは維持されている。
【0026】
葉面2の他方側は側折線3を介して側片4が延設されて袋折されており、該側折線3と反対側の一方側は折線ではなくて切線になった縁であり、その切線縁は本体1の開き状態では外側になることから外側縁16にし、一方の葉面2a側を一方の外側縁16aとし、他方の葉面2b側を他方の外側縁16bとし、該一方の外側縁16aは葉面2aと側片4bの二枚の面を透視した透視線なので該引き出し線の先を二点の破線で表示することで二枚透視引き出し線とする。
【0027】
一方の外側縁16aを左へ引き出し、他方の外側縁16bを右側へ引き出すことで本体1は開いて行き、本体1の開閉動作で滑縁12の円周縁に沿って滑角15が滑り移動するので、要穴7の中点を中心として本体1は開閉する。
【0028】
図3は開き状態要部透視部分剥離正面斜視図である。穴要7及び舌片11の重なり順を背面から述べるならば、葉穴8a、片穴9b、舌片11a、舌片11b、片穴9aの順で重なっており、葉面2bの下部が剥離されているので該片穴9bは剥き出し状態なので実線で表示されており、該葉面2bには図1で示した葉穴8bを有しているのであるが、剥離されているので図示していないが、舌基折線10bを介して延設されている舌片11bは片穴9aに掛けて側片4aの背面へ隠れた透視線として破線で表示されている。
【0029】
本体1を図2で示した閉じ状態から図3の開き状態へ近づけるに従って一方の舌片11aの先は右下へ移動し、他方の舌片11bの先は左下へ移動するので、本体1が開き終えた状態では、該舌片11a基部折線の舌基折線10aと該舌片11b基部折線の舌基折線10bとが略水平状態で重なり合い、同時に一方の瞼縁13aと他方の瞼縁13bとが略水平状態で重なり合っているので、穴要7の天地は水平な並行状態で重なっており、前記の水平で重なり合っている該舌基折線10aと該舌基折線10bとを指で押さえることで、該水平重なり状態を維持できるので、本体1が開いた状態を維持した状態で扇ぎ使用することが可能になる。
【0030】
本体1の閉じ状態では葉面2aと葉面2bは全体が重なっていて、本体1を開いて行くに連れて該葉面2双方の重なり領域は少なくなって行くが、本体1が開き終えた状態でも葉面2aと葉面2bとが重なり合っている領域を開重域6とし、一方の葉面2aに位置する一方の開重域6aは他方の葉面2bと一方の側片4aと他方の側片4bの三面を透視していて、該一方の開重域6aの引き出し線の先を三点破線にすることで三枚透視引き出し線とする。該開重域6の領域内に側片4を設けることで、該側片4は該開重域6に挟み込まれているので隠れた状態になって外から見えない。
【0031】
葉面2aの側折線3aを介して延設されて袋折された側片4aの間に、葉面2bの側折線3bを介して延設されて袋折された側片4bを挟み込んでいるので、袋折された側折線3の各々は側片4の双方を塞き止める働きを成しているので、本体1が開き過ぎるのを抑制する役目を果たし、側片4は本体1の扇ぎ使用での補強の役目も果たしている。
【0032】
葉面2bを右へ回転移動すると本体1は開き状態となり、該開き状態の塞き止めは側折線3が行っているが、該葉面2bを左へ回転移動すると本体1は閉じ状態となり、該閉じ状態から更に該葉面2bを左へ回転移動させることも可能であるが、該葉面2bの左回転を塞き止める構造も必要であり、該葉面2bの左回転の塞き止めを行う箇所として片穴9の天縁を直線にして瞼縁13を設けている。
【0033】
葉面2bを左へ回転移動させると下へ折り返されている他方の舌片11bの先端は右上へ移動するので、一方の瞼縁13aの右端に当たって塞き止められる構造になり、同時に一方の舌片11aは他方の瞼縁13bの左端に当たって塞き止められる構造になるので、該葉面2bの左回転を任意の箇所で塞き止めており、該葉面2bが左へ一回転できない構造にしている。
【0034】
側折線3と瞼縁13によって葉面2及び舌片11の回転移動できる範囲は限定されているので、折り返されている該舌片11どうしは重なり合った状態から外れることがなく、該舌片11どうしが常に重なり合っているので、該舌片11の縁どうしが当たって、本体1の開閉を妨げる恐れは無くなる。
【実施例2】
【0035】
図4は組立課程要部透視正面斜視図である。実施例1では葉穴8に延設されていた舌片を片穴9に差し込んでいたが、本実施例2では片穴9に延設された舌片を背面の葉穴8に差し込んで葉面2と側片4の下縁を巻き込んで正面に位置する葉面2の下部の切込17に差し込んで固定する構造である。別な表現で述べるならば、実施例1では舌片を内面へ折り返していたが、実施例2では舌片を外面へ出して本体1の下縁を巻き込んで正面に位置する葉面2下部の切込17に差し込んで固定する構造である。実施例1の舌片11は舌基折線10の袋折だけで連結していたが、本実施例2では本体1の下縁を巻き込んで正面まで折り返すための長さが必要であることから巻舌片20とし、該巻舌片20の基折線は側片4に位置しているので巻舌基折線22とする。
【0036】
細長い略扇形状の葉面2の右(左であって良い)側に谷折線である側折線3を介して略雫形状の側片4を延設して形成する組材5を一方の組材5aと他方の組材5bとして設ける構造は実施例1と同じであるが、実施例1での組材5は双方共に全てが同じ形状であったのに対して、実施例2では一方の組材5aと他方の組材5bは部分的に異なっている。
【0037】
葉面2の開重域6へ側折線3を袋折することで側片4を折り返して重ねた状態の組材5の下部中央を貫通させた穴を設けて、前記の貫通穴を穴要7とし、該穴要7は指が入る大きさにすることが望ましく、該穴要7で、葉面2に開けられた該穴要7を葉穴8とし、側片4に開けられた該穴要7を片穴9とし、前記の内容は実施例1と同じである。
【0038】
一方の組材5aで、葉面2a下部の葉穴8aを円形で設け、側片4a下部の片穴9aも該葉穴8aと重なり合う円形であるが、下縁を直線にして一方の床縁18aとすることが望ましく、該床縁18aを形成した該片穴9aの形状は底辺が部分的に平らになった略円形であることからトンネル形状とする。
【0039】
他方の組材5bで、葉面2b下部の葉穴8bを該片穴9aと同じトンネル形状で設け、該葉穴8b下縁の直線縁領域を他方の床縁18bとし、該床縁18bを下へ適宜に平行移動した箇所を切り込んで切込17を設け、該切込17は一本の切線であっても良いが、該切込17の中央領域から下へ補助穴19を開けることが望ましく、該補助穴19の形状は限定ではないが、横長楕円形の下半分の形状であることが望ましい。
【0040】
他方の組材5bで、側片4b下部に片穴9bを設けるのであるが、該片穴9bの下縁に舌基折線22を介して巻舌片20を延設するのであり、該巻舌片20は長い形状であることから該片穴9bから食み出しており、前記の食み出し領域を抜き跡21とする。
【0041】
該舌基折線22を山折して巻舌片20を背方へ折り返して葉穴8aに差し込んで垂らした該巻舌片20に下縁折線23と先刻み線24を設け、該先刻み線24の端から巻舌片20の側縁を部分的に突出させて突起25を設ける。
【0042】
該巻舌片20の両側縁は平行な直線であることが望ましく、該巻舌片20の先領域は半円形であることが望ましく、該半円形先領域の基部線を先刻み線24とし、該先刻み線24の端を該巻舌片20の側縁よりも少しだけ突出させて突起25を形成する。
【0043】
一方の葉面2aの下縁を一方の葉下縁26aとし、他方の葉面2bの下縁を他方の葉下縁26bとし、一方の側片4aの下縁を一方の片下縁27aとし、他方の側片4bの下縁を他方の片下縁27bとする。
【0044】
巻舌片20を延設する巻舌基折線22の両端を滑角28とし、該巻舌片20は他方の側片4bに延設されているので一方の葉穴8aは滑穴縁29として該滑角28を滑らせる箇所と成る。
【0045】
該巻舌片20は他方の側片4bに延設されているので一方の葉下縁26aと、該葉下縁26aに重なり合う一方の片下縁18aは滑下縁30と成って該巻舌片20の先刻み線24の両端を滑らせる箇所と成る。
【0046】
該巻舌片20を切り抜いて延設する他方の片穴9bは一方の片穴9aと同じ形状であっても良いが、穴要7よりも大きな矩形穴であっても良く、該他方の片穴9bを矩形にすることで滑角28と他方の片穴9bとの間に適宜な隙間を形成できるので、本体1を打ち抜くための木型を作り易くできる。
【0047】
図5は閉じ状態要部透視正面斜視図である。穴要7の重なり順序を背面から述べるならば、葉穴8a、片穴9b、片穴9a、葉穴8bの順で重なっており、片穴9bから巻舌基折線22の山折線を介して延設されて背方へ折り返された巻舌片20が最背面に位置しており、該巻舌片20を延設して山折されている該巻舌基折線22によって葉穴8aを巻き込んで連結しているので、側片4bと葉面2aは連結している。
【0048】
該巻舌基折線22と他方の床縁18bは同じ組材5bに設けられているので本体1の開閉移動でも常に重なった状態(図面では平行線で表示)を保ち、閉じ状態では一方の床縁18aと該他方の床縁18bは任意の角度で交差しているが、本体1が開き状態になると、双方の床縁18どうしは重なり合う。
【0049】
本体1の下縁は四層で重なり合っており、背面から述べるならば、一方の葉下縁26a、他方の片下縁27b、一方の片下縁27a、他方の葉下縁26bの順で重なっており、他方の片下縁27bを指示する引き出し線の先は二点破線で表示されていて二枚を透視する引き出し線を意味している。
【0050】
最背面に位置している一方の葉下縁26aよりも更に背面に位置している巻舌片20の先は本体1の下へ垂れ下がっており、該巻舌片20の下縁折線23を正面へ折り返すことで上記下縁の四層を全て巻き込んだ状態となり、該巻舌片20の先領域を切込17へ差し込むことで、本体1の下縁全てを束ねた状態で固定できるのであり、先刻み線24は該巻舌片20の先領域基部を屈折させる役割を果たし、補助穴19は該巻舌片20を差し込み易くするための隙間を提供してくれるので、該切込17への差し込みをスムーズに行え、突起25が切込17の端に引っ掛かるので、該巻舌片20の差し込みは抜けにくくなり、本体1の開閉をスムーズに行える役割を果たす。
【0051】
該巻舌片20を有している他方の組材5b側に設けられている他方の葉下縁26bと他方の片下縁27bは該巻舌片20と一体化して同じ方向へ回転するので滑下縁30に成り得ないが、該巻舌片20を有していない一方の組材5aに設けられている一方の葉下縁26aと一方の片下縁27aは該巻舌片20と一体化していないので同じ方向へは回転しないので該巻舌片20を滑らせるための滑下縁30としての役割を果たす。
【0052】
該滑下縁30と成る一方の下縁双方は該巻舌片20の滑移動範囲内を穴要7の中点を中心とする円周形状で設け、該滑下縁30と成らない他方の下縁双方は自由にデザイン化された形状であっても支障ないが、該巻舌片20と接する縁を直線にした略円形であることが望ましい。
【0053】
該巻舌片20は滑下縁30の範囲内で滑って可動するが、該滑下縁30の右端である一方の側折線3aの下端は少しだけ突出した縁になっているので、該側折線3aの下端よりも右へ該巻舌片20が食み出るのを塞き止めている。
【0054】
図6は開き状態要部透視正面斜視図である。既に上記しているが、もう一度説明するならば透視図の引き出し線の先は一点の破線で表示しているが、破線を表示するための空白部分は一枚の面を突き抜けていることを表しているのであるが、透視面の枚数が複数の場合は該透視面の枚数によって破線の点の数を加減することにし、二枚通しの場合は破線の点を二つにし、三枚通しの場合は破線の点を三つにして表示する。
【0055】
開重域6は本体1が開き状態で重なり合う葉面2の部分領域であり、該開重域6の重なり順を背面から述べるならば、一方の開重域6a、他方の側片4b、一方の側片4a、他方の開重域6bの順で四枚重ねになっており、最背面の一方の開重域6aの正面には三枚の面が重なっていて、前記の重なっている三枚の面を透視していることを示す引き出し線の先は三点の破線引き出し線で表示しており、他方の側片4bの引き出し線の先は二点の破線引き出し線で表示している。
【0056】
最前面(正面)に位置する他方の葉面2bを右へ移動させると穴要7の中点を中心とする回転移動によって本体1は開き状態に成り、他方の側折線3bは一方の側片4aを塞き止め、一方の側折線3aは他方の側片4bを塞き止めているので、本体1の開き方向への回転移動は任意の箇所で制限される。
【0057】
穴要7は複数の穴縁の層によって形成されており、背面から重なり順を述べるならば、一方の葉穴8a、他方の片穴9b、一方の片穴9a、他方の葉穴8bの順で重なっている。
【0058】
既に上記しているが、もう一度述べるならば、一方を示す場合は本符号の後ろにaの補助符号を付けることにし、他方を示す場合は本符号の後ろにbの補助符号を付けることにしており、前記の補助符号を付けることで一方と他方を区別できるので、一方と他方の名称を省いて表示することもしているが、一方と他方を明瞭に強調したい場合は、一方と他方を名称に付けて述べる場合もあり、補助符号が無い場合は、一方と他方を限定しない総称とする。
【0059】
片穴9bから巻舌基折線22を介して延設された巻舌片20を背方へ袋折して背方に隣接する葉穴8aを巻き込んで連結し、該巻舌基折線22の両端は滑角28と成って該葉穴8aを滑穴縁29とすることで回転移動が可能となる。
【0060】
滑角28が滑穴縁29に乗っただけの固定では組材5bが下へ落ちる危険性が残っており、該巻舌片20で葉下縁26aと片下縁27bと片下縁27aと葉下縁26bの四下縁を下から巻き込んで、最前面に位置する葉面2b下部に設けられた切込17へ該巻舌片20の先領域を差し込んで固定する。
【0061】
閉じ状態の図5では一方の床縁18aと他方の床縁18b及び巻舌基折線22は一定の角度で交差していたが、開き状態の図6では一方の床縁18aと他方の床縁18b及び巻舌基折線22は平行に並んで重なっており、該床縁18の双方が平行に重なっていることから、該床縁18の双方を指で押さえて固定できるので、本体1の開き状態を指で押さえることで維持できるので、扇ぎ使用中に本体1が不必要に閉じるのを防止できる。
【0062】
側片4の双方は開重域6双方の間に隠れており、巻舌片20を抜き出した後の抜き跡21は該開重域6双方の間に隠れているので外からは見えないことから美観を損ねる恐れはなくなり、側片4の片方の部分領域から該巻舌片20を切り抜いて延設しているので、該抜き跡21を片穴9bとすることで指を挿入するための穴要7とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、広告媒体であるビラやチラシとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 本体
2a、2b 葉面
3a、3b 側折線
4a、4b 側片
5a、5b 組材
6a、6b 開重域
7a、7b 穴要
8a、8b 葉穴
9a、9b 片穴
10a、10b 舌基折線
11a、11b 舌片
12a、12b 滑縁
20 巻舌片
22 巻舌基折線
図1
図2
図3
図4
図5
図6