(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071151
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】リール巻出し機及び巻出し方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/18 20060101AFI20170123BHJP
B65H 16/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
B65H19/18
B65H16/10
【請求項の数】24
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-542779(P2014-542779)
(86)(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公表番号】特表2014-533643(P2014-533643A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2012072793
(87)【国際公開番号】WO2013076011
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】FI2011A000253
(32)【優先日】2011年11月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】504004902
【氏名又は名称】フアビオ・ペリニ・ソシエタ・ペル・アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】モレリ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベンヴエヌティ,アンジエロ
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−092560(JP,A)
【文献】
特開2002−087661(JP,A)
【文献】
特表2007−528330(JP,A)
【文献】
特表2008−526655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
B65H 16/00−16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材料(N1、N2)のリール(B1、B2)を巻出しするための巻出し機であって、
第一のリール(B1)が巻出周期の少なくとも一部で位置決めされる第一の巻出し位置(P2)と;前記第一のリールが第二のリール(B2)との交換を要する場合に移送される第二の巻出し位置(P3)と;第二のリール(B2)が待機中に保持される待機位置(P1)と;前記第一のリールが第二のリール(B2)との交換を要する場合に、前記第二のリール(B2)の回転を開始するために配置されまた制御され前記待機位置(P1)と関連する第一の巻出し部材(13)と;を備える巻出し機において、
少なくとも1つの継ぎ目のない可撓性を有する要素33を備える第二の巻出し部材(31)が、第一の巻出し位置(P2)から第二の巻出し位置(P3)まで伸長し、前記第一の巻出し位置(P2)で、または前記第二の巻出し位置(P3)で、さらには前記第一の巻出し位置(P2)から前記第二の巻出し位置(P3)まで移送される間、第一のリールが前記第二の巻出し部材(31)によって前記第二の巻出し部材と接触したままで回転状態を維持されるように配置されまた制御されることを特徴とする巻出し機。
【請求項2】
前記待機位置(P1)が前記第一の巻出し位置(P2)より上にあることを特徴とする請求項1に記載の巻出し機。
【請求項3】
前記第一の巻出し位置(P2)が第二の巻出し位置(P3)と巻出し機からのウェブ材料の出口との間に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の巻出し機。
【請求項4】
第一の巻出し位置(P2)及び第二の巻出し位置(P3)に対して第一のリール(B1)の位置に応じて継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)のパスを変更するよう前記第二の巻出し部材(31)は配置されまた制御されることを特徴とする請求項1または2または3に記載の巻出し機。
【請求項5】
前記継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)が複数の案内ローラー(35‐41)の周囲に案内され、そのうちの少なくとも1本のローラー(35)が継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)のパスを変更するために可動軸を有し、またそのうちの少なくとも1本のローラー(40)が電動化されていることを特徴とする請求項4に記載の巻出し機。
【請求項6】
案内ローラー(35‐41)のうちの少なくとも2本のローラーが継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)のパスを変更するために可動軸を有することを特徴とする請求項5に記載の巻出し機。
【請求項7】
可動軸を備えた前記少なくとも1本のローラー(35)が前記第二の巻出し位置で下位位置から上位位置まで移動するように配置されまた制御されることを特徴とする請求項5または6に記載の巻出し機。
【請求項8】
前記継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)が、前記第一の巻出し位置(P2)から前記第二の巻出し位置(P3)まで伸長し、前記第一の巻出し位置から前記第二の巻出し位置に向かって或いはその逆に第一のリール(B1)の巻回方向に従って移動するアクティブ分岐部を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項9】
前記継ぎ目のない可撓性を有する要素(33)が、第二の巻出し位置(P3)と第二のリール(B2)から巻出されるウェブ材料(N2)に第一のリール(B1)から巻出しされるウェブ材料(N1)を接合する接合装置(81)との間に伸長し、第一の巻出し位置(P2)が第二の巻出し位置(P3)と前記接合装置(81)との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項10】
前記第一のリールと軸方向に係合しまた第二の巻出し位置(P3)に向かってその動作を可能にするよう前記第一のリールを解放するために配置されまた制御される心押し台(27)を前記第一の巻出し位置(P2)に設けていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項11】
第一の巻出し位置(P2)から第二の巻出し位置(P3)まで第一のリール(B1)を移送するために、第一の巻出し位置(P2)と第二の巻出し位置(P3)との間に移動可能な移送部材(53)を備えることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項12】
第一のリール(B3)の巻出しの終わりにそのリールを解放するために、前記移送部材(53)が第二の巻出し位置(P3)から取外し位置(P4)まで移動することを特徴とする請求項11に記載の巻出し機。
【請求項13】
可動軸を備えた前記少なくとも1本のローラー(35)が、前記第一のリールの巻出しの終わりに上位位置から下位位置まで下降するように制御されまた配置され、第二の巻出し位置(P3)から取外し位置(P4)まで移送部材(53)の通過を可能にすることを特徴とする請求項7及び12に記載の巻出し機。
【請求項14】
前記第二の巻出し位置(P3)と関連して巻出しの終わりに前記第一のリール(B1)のウェブ材料を切断するよう制御されまた配置される切断部材(65)を備えていることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項15】
前記第一の巻出し部材(13)が周辺巻出し部材であることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項16】
前記第一の巻出し部材(13)が少なくとも2本のローラー(17、19)の周囲に案内される継ぎ目のない可撓性を有する要素(15)を備え、2本のローラー(17、19)のうちの少なくとも1本が電動化されていることを特徴とする請求項15に記載の巻出し機。
【請求項17】
第二のリール(B2)が待機位置(P1)から前記第一の巻出し位置(P2)に向けて移送される際に前記第一の巻出し部材(13)が前記第二のリール(B2)を追従するよう移動可能に支持されていることを特徴とする請求項15または16に記載の巻出し機。
【請求項18】
前記第一の巻出し部材(13)が第一のリール(B1)及び第二のリール(B2)の軸に実質的に平行な軸の周囲を旋回するアーム(23)によって支持されていることを特徴とする請求項17に記載の巻出し機。
【請求項19】
待機位置(P1)から第一の巻出し位置(P2)まで第二のリール(B2)を移送するために配置されまた制御される移送装置(7、7A、9)を備えていることを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の巻出し機。
【請求項20】
前記移送装置(7、7A、9)が前記待機位置(P1)で第二のリール(B2)に実質的に平行な軸の周囲を旋回する複数のアーム(7)を備えていることを特徴とする請求項19に記載の巻出し機。
【請求項21】
待機位置(P1)から第一の巻出し位置(P2)まで第二のリール(B2)の動作を追従するために前記第一の巻出し部材(13)が前記移送装置(7、7A、9)に制約されることを特徴とする請求項19または20に記載の巻出し機。
【請求項22】
ウェブ材料のリールを巻出して、第一のリール(B1)から巻出される第一のウェブ材料(N1)の末尾と第二のリール(B2)から巻出される第二のウェブ材料(N2)の先端(NL2)との間でウェブ材料の送りを停止せずに接合を実行する方法において、かかる方法が、
前記第一のリール(B1)を第一の巻出し位置(P2)に位置決めする工程と;
第一の巻出し部材(13)が配置される待機位置(P1)に第二のリール(B2)を位置決めする工程と;
第二の巻出し部材(33)を用いて前記第一のリールから第一のウェブ材料(N1)を巻き出す工程と;
第一のリール(B1)の巻出しを完了する前に前記第一のリールを第一の巻出し位置(P2)から第二の巻出し位置(P3)に向けて移送して、前記第二の巻出し部材(31)を用いて前記第一のリール(B1)を回転状態で維持しつつ前記第一のウェブ材料(N1)の巻出しを継続する工程と;
第二のウェブ材料(N2)が第二のリール(B2)から巻出しを開始すると同時に、第二のリール(B2)を回転させ、待機位置(P1)から第一の巻出し位置(P2)に向けて第二のリール(B2)を移送する工程と;
第二のウェブ材料(N2)の先端を第一のウェブ材料(N1)の末尾に接合する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記第一のウェブ材料(N1)が第一のリール(B1)からの巻出しを継続し且つ前記第二のウェブ材料(N2)が第二のリール(B2)から巻出されると同時に第二のウェブ材料(N2)の先端が第一のウェブ材料(N1)上に置かれ、そこで第二のウェブ材料(N2)の先端が接合装置(81)に向けて第一のウェブ材料(N1)上に載って前進することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第二のウェブ材料(N2)の先端が前記接合装置(81)に第一のウェブ材料(N1)と共に挿入された時に、前記第一のウェブ材料(N1)を切断することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログ或いはリールに巻き付けられたウェブ材料を変換または処理するための機械に関するものである。より詳細には、本発明は、ウェブ材料のリール、特に、排他的ではないが、紙、ティッシュペーパーなどセルロース材のリールを巻き解いて、さらに巻出し機の下流にある1つ以上の処理ステーションに前記ウェブ材料を送るための装置及び方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパー、例えばトイレットペーパーやキッチンタオルまたはその種の他のもので出来ている物品を製造する製紙分野では、一層以上のセルロース材を巻くことによって、より大径のリールを製造することが通例である。その後、これらの大径のリールは、より小径の或いは他の製品、例えばトイレットペーパーのロール、キッチンタオルのロール、紙ナプキンなどの販売を意図した完成品を得るために、特にその後の処理を意図した半完成品のログを生産するための処理及び変換ステーションにウェブ材料を送る巻出し機によって巻き解かれる。
【0003】
巻出し機は、待機位置に保持される新しいリールと空リールを迅速に交換できるように設計されなければならない。特許文献1:米国特許第7,350,740号及び特許文献2:米国特許第7,500,634号には、新しいリールと空リールの交換をウェブ材料の送りを止めずに自動的に実行する巻出し機が開示されている。
【0004】
特許文献3:国際特許出願WO2006/077609号には、空リールを巻出し位置から取外し位置まで一組の案内部によって移動させる巻出し機が開示されている。一旦リールを前記2つの位置から一方の位置に移した後、新しいリールが下方の巻戻しベルトに接触するまで、新しいリールを巻出しステーションに向けて上から下降させる。巻出し機の動作は、空リール交換工程の前に停止される。一旦新しいリールが位置決めされると巻出し機は再開する。この場合、下流のウェブ材料の連続供給を保証するために「フェストゥーン」すなわち一連の案内ローラーの間に中心間距離で形成されるウェブ材料の供給体を備える必要があり、前記フェストゥーンの上流でウェブ材料の供給がない場合、フェストゥーンの下流でウェブ材料の受渡しを可能にするように変化できる。
【0005】
同様な巻出し機は、特許文献4:国際特許出願WO2007/099570号に記載されている。
【0006】
特許文献5:国際特許出願WO2010/121252号には、リールの巻出し位置と新しいリールの待機位置とを備える巻出し機が開示されている。巻き解かれているリールが空の場合、ウェブ材料は切断され、ウェブ材料の末尾を吸着ローラーに巻取らせる。 空リールは巻き出し位置から取り出され新しいリールと交換される瞬間まで待機位置に保持される。切断されたウェブ材料の末尾が巻付けられたローラーは、ローラー上のウェブ材料と新しいリールに巻き取られたウェブ材料との接合を実行するために新しいリールに向かって移動する。2つのウェブ材料の接合が行われると、下流のステーションに向けた送りを再度起動できる。さらに、このような巻出し機の従来技術では、巻出し機の下流で生産ラインへの継続的な受渡しを確保するためにフェストゥーン・アキュムレータを備えなければならない。また、第一の空リールから来る十分な長さのウェブ材料を吸着ローラーに巻き付けるためにもフェストゥーン・アキュムレータは必要である。
【0007】
特許文献6:欧州特許第1,444,154号には、三つの異なる巻出し部材を設けて、待機中の新しいリールと空リールとの交換を自動的に実行する巻出し機が開示されている。第一の主たる巻出し部材は、中心巻出システムすなわちその軸でウェブ材料のリールと係合し巻回でそれを引き出すシステムを備えている。この第一の巻出し部材は、それぞれのリールの巻出周期の大部分を実行する。巻出し位置の側に、第一のリールが空になると第一のリールを交換するよう意図された第二のリールのための待機位置を設けている。巻き解かれているリールと待機リールとの交換を実行するためには、下方の補助巻出し位置に向けて主たる巻出し位置から巻き解かれているリールと一体で巻出し部材を運ぶ。そこで、第二の巻出し部材は巻き解かれているリールと接触するように配置され、巻き解かれているリールを巻回状態で維持し、巻出周期の最終部分を実行する役目を果たす。従って、第一の巻出し部材は待機リールを受けるために主たる巻出し位置まで戻すことができると同時に第二の巻出し部材はリールを巻回状態に維持し続けウェブ材料を送り続ける。待機リールは第三の巻出し部材と共に巻回状態に置かれる。待機リールの巻き解きが開始されると、この待機リールの先端は一時的に低い位置で第二の巻出し部材によって第一のリールから依然として巻き解かれているウェブ材料の最終部分の上に置かれる。このように2本のリールから来る2つのウェブ材料は重ねられ、下流に位置する接合手段まで共に送られる。一旦新しいリールの先端が接合手段に達すると、第一のリールから巻き解かれたウェブ材料と第二のリールから巻き解かれたウェブ材料との間で接合が実行され、残りのウェブ材料を切断することによって空リールを取り出すことができ、先に待機していた新しいリールがその実際の巻出周期を開始する。
【0008】
これらの従来技術の巻出し機は、幾つかの問題点を有する。幾つかの場合、これらの機械は特に管理が複雑で困難であり高い製造コストを有する。そのうちの幾つかは、ウェブ材料の送りを停止せずにリール交換を実行することができない。従って、機械のコスト、破損に対するその感受性、さらには機械の設置に必要な空間を増大させ、結果として変換ラインに必要な領域を増加させるフェストゥーン・アキュムレータを必要とする。その巻出し機は、第一のブロックを形成する。
【0009】
一般的には、従来技術の巻出し機は一方向のみでリールを巻き出す。
【0010】
さらに、従来技術の巻出し機の多くは、ほとんど空のリールからそして新しいリールから来る二つの層の接合を実行するために、接着剤や粘着テープを使用する。これは消耗部品及び比較的長い準備時間の必要性を伴う。さらに、接合領域で使用され廃棄された後にリサイクルされる粘着剤はセルロース材を汚染するので、リサイクル前に適切に処理されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,350,740号
【特許文献2】米国特許第7,500,634号
【特許文献3】国際特許出願WO2006/077609号
【特許文献4】国際特許出願WO2007/099570号
【特許文献5】国際特許出願WO2010/121252号
【特許文献6】欧州特許第1,444,154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一つの特徴によれば、本発明は、例えばログ、ロール、ナプキンなどを製造するための変換ラインに紙を送るために、特にセルロース材のリール例えば製紙工場から来る親リール或いは大径のリールを巻き解くためのリール巻出し機を提供し、かかるリール巻出し機は、従来技術による機械及び装置の問題点を完全に或いは部分的に克服するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの実施形態によれば、ウェブ材料のリールを巻き解くための巻出し装置は:巻出周期の少なくとも一部分において第一のリールを位置決めする第一の巻出し位置と;前記第一のリールが第二のリールと交換しなければならない場合に前記第一のリールが移送される第二の巻出し位置と;前記第二のリールが待機状態で維持される待機位置と;前記第一のリールが前記第二のリールと交換しなければならない場合に前記第二のリールの巻回を開始するために配置されまた制御され、前記待機位置と関連する第一の巻出し部材と;を備えて提供される。さらに、巻出し機は、少なくとも1つの継ぎ目のない可撓性を有する要素を有する第二の巻出し部材を備える。有利には、第二の巻出し部材の継ぎ目のない可撓性を有する要素は、第一の巻出し位置から第二の巻出し位置まで伸長し、また、第一の巻出し位置で及び第二の巻出し位置で、さらに前記第一の巻出し位置から第二の巻出し位置まで第一のリールが移送される間、第一のリールが前記第二の巻出し部材と接触状態であって且つ前記第二の巻出し部材によって巻回状態であることを維持されるように配置されまた制御される。
【0014】
本発明による巻出し機は、ウェブ材料の送りを停止する必要がなく、先に待機位置に配置された新しいリールとほとんど空のリールの交換を以下の説明から明らかになるような方法で実行することができる。従って、任意のフェストゥーン・アキュムレータやマガジン或いは類似のものは不要である。代わりに、巻出しを停止することによって2本のリール交換が行われるシステムで必要とされるアキュムレータよりも小さな寸法を有したアキュムレータを提供することができる。
【0015】
自動接合による従来技術の巻出しシステムに対しかなりの簡略化で、リールの巻回を停止する必要なく連続した巻出しを2つの巻出し部材を用いるだけで行うことができる。本発明の実施形態のさらなる利点は、以下に示されまた本発明の非限定的な実施形態を示す図面の説明から明らかになる。
【0016】
有利な実施形態では、待機位置は第一の巻出し位置より上であり、すなわち待機位置は第一の巻出し位置より多少とも高い位置にある。従って、前記位置の一方から他方へのリールの移送は、例えば1つの回動アーム或いは一対の回動アームで形成された特に単純な移送装置によって行うことができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、第一の巻出し位置は、第二の巻出し位置と巻出し機からウェブ材料の出口との間に配置されている。接合装置は、ウェブ材料に配置することができる。幾つかの特に有利な実施形態では、接合装置は、1つ以上の圧力歯車が1つ以上の対向ローラーに対して作用する機械的な装置である。2本のリールのウェブ材料は、台車と対向ローラーとの間を通過し、繊維に作用する局所的な圧力の効果(「交織」として公知の効果)で2つのウェブ材料を結び付ける。
【0018】
有利には、第二の巻出し部材は、第一の巻出し位置及び第二の巻出し位置に対し第一のリール位置の関数として継ぎ目のない可撓性を有する要素のパスを変更するために配置でき制御できる。典型的には、継ぎ目のない可撓性を有する要素は複数本の案内ローラーの周囲に案内されるよう備えることができ、そのうちの少なくとも1本が継ぎ目のない可撓性を有する要素のパスを変更するために移動可能な軸を有し、また少なくとも1本が電動機付きである。必要に応じて、巻き出されるリールの直径が段階的に減少することによって起る弛みを回復するために追加の案内ローラーは移動可能であることができる。
【0019】
継ぎ目のない可撓性を有する要素のパスを変更するために設けられた可動軸を備えたローラーは、下位位置から上位位置まで移動するよう配置できまた制御できる。可動軸を備えたローラーが上位位置にある場合、継ぎ目のない可撓性を有する要素は第二の巻出し位置に置かれたリールに作用するよう位置決めされる。可動軸を備えたローラーが下位位置にある場合、継ぎ目のない可撓性を有する要素の位置は第二の巻出し部材と干渉することなく第二の巻出し位置から取外し位置に向けて空リールの移送を可能にするようにされている。さらに、可動軸を備えたローラーが下位位置にある場合、第二の巻出し位置にあるリールが巻回で引き出されるのを停止する。
【0020】
実際の実施形態では、継ぎ目のない可撓性を有する要素は、第一の巻出し位置から第二の巻出し位置まで延びており、前記第一の巻出し位置から前記第二の巻出し位置に向かって或いはその逆に第一のリールの巻回方向に従って移動するアクティブ分岐部を有する。幾つかの実施形態では、継ぎ目のない可撓性を有する要素は、第二の巻出し位置と、第一のリールから巻き出されたウェブ材料と第二のリールから巻き出されたウェブ材料とを接合する接合装置との間に伸長し、第一の巻出し位置が第一の巻出し位置と前記接合装置との間に置かれる。有利な実施形態では、心押し台を第一の巻出し位置に設けることができ、心押し台は、第一のリールと軸方向に係合して第二の巻き出し位置に向ってその移動を可能にする第一のリールを解放するために制御されまた配置されている。他の実施形態では、第一の巻出し位置にリールを保持するために、その他のシステム例えば巻取りロッドの端部と係合する幾つかのローラーを備えることができる。
【0021】
リールを待機位置から第一の巻出し位置まで移送する移送装置は、前記回動アームに担持される可動部で形成される座面を備えた回動アームを設けることができる。座面は、第一の巻出し部材の作用下でその軸を周囲してリールの巻回を可能にする遊動輪或いは他の部材を設けることができ、その間、同リールは前記座面に係合されている。
【0022】
移送部材は、第一の巻出し位置から第二の巻出し位置までリールを移送するよう設けることができる。移送部材は、2つの巻出し位置の間に伸長する案内のそれぞれに沿って移動可能な台車或いは一対の台車を設けることができる。有利な実施形態では、同じ移送部材が、第二の巻出し位置から空リールを解放する取外し位置まで移動可能であるように配置されまた設計されている。
【0023】
ほとんど空のリールから来るウェブ材料を切断するためには、巻出しの終わりに前記第一のリールのウェブ材料を切断するよう制御されまた配置される切断部材を設けることができる。このように、すべてのウェブ材料が巻き解かれる前であっても、巻出しを停止することが可能である。これは、通常、皺になり傷が付くなど製品には使用できない各ロールの最初の数回分すなわち最も内側の数巻き分を廃棄するのに有用である。切断部材は、滑らかな或いは好ましくは鋸歯状の機械的なブレードを備えることができる。他の切断システム例えばレーザー、用水、圧縮空気による切断工具或いは類似のものを使用することができる。
【0024】
切断部材は、例えば取外し位置或いは中間位置または移送部材上のその他の構成も可能であるが、好ましくは、第二の巻出し位置に関連付けられる。
【0025】
好ましくは、第一の巻出し部材と第二の巻出し部材の両者は周辺巻出し部材である。また、第一の巻出し部材を周辺巻出し部材として構成することによって、すなわち1つ以上のベルト、ウェブ、マット或いは継ぎ目のない要素を備えることによって、第一の巻出し位置へのリールの移送、第一の巻出し部材から第二の巻出し部材への制御の進行、そして第一の巻出し位置に位置決めされた遊動心押し台によるリールの係合が簡素化される。
【0026】
有利には、本発明による巻出し機は一方向または反対方向にリールを巻き戻すように制御することができる。これは、以下を考慮すると特に役立ち有利である。連続した成形機から来るセルロース材の層は、通常、互いに異なる粗さを備える2つの対向する表面を有する。特に、セルロース材がヤンキーシリンダで処理される場合、ヤンキーシリンダと接触する層の表面は反対の面よりも滑らかである。より優れた品質の多層の製品を得るためには、2つの層は、好ましくは、各層の滑らかな表面が完成品の外側に面するような方法で互いに結合される。これは、2つのリールが反対方向に巻き解かれるのを義務付ける。一方向または反対方向に巻き解かれるのを可能にする巻出し機の使用は、工場のレイアウト及び管理を単純化する。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態では、巻出し機は、機械的な層接着を用いて層を接合するシステムを使用している。これは、接着剤または両面接着テープの使用せずに層の接合を可能にし、消耗品や汚染物質を除去することができ、待機中の新しいリールの準備動作を簡略化することができる。
【0028】
さらなる態様によれば、本発明は、ウェブ材料のリールを巻出しながら且つウェブ材料の送りを停止せずに第一のリールから巻出された第一のウェブ材料の末尾と第二のリールから巻出された第二のウェブ材料の先端との接合を実行する方法に関わり、
‐第一の巻出し位置に第一のリールを位置決めする工程;
‐第一の巻出し部材が配置されている待機位置に第二のリールを位置決めする工程;
‐第二の巻出し部材によって前記第一のリールから第一のウェブ材料を巻出す工程;
‐第一のリールの巻出しが終了する前に前記第一のリールを第一の巻出し位置から第二の巻出し位置に向けて移送し、前記第二の巻出し部材によって前記第一のリールに巻回を維持しつつ前記第一のウェブ材料の巻出しを継続する工程;
‐第二のウェブ材料が第二のリールから巻出しを開始すると同時に第二のリールを巻回させ、待機位置から第一の巻出し位置に向けて第二のリールを移送する工程:さらに、
‐第二のウェブ材料の先端を第一のウェブ材料の末尾に接合する工程;
を備えている。
【0029】
本発明による方法の有利な実施形態によれば、前記第一のウェブ材料が第一のリールからの巻出しを継続しつつ前記第二のウェブ材料が第二のリールから巻出されると同時に第二のウェブ材料の先端が第一のウェブ材料上に置かれる。さらに、第二のウェブ材料の先端は接合装置に向けて第一のウェブ材料上に載って前進する。
【0030】
本発明による巻出し機及び方法のさらに有利な特徴及び実施形態は、以下の説明及び本明細書の不可欠な部分を成す添付の特許請求の範囲で詳細に説明される。
【0031】
本発明は、以下の説明及び本発明によるユニットの非限定的な実際の実施形態を示す添付図面によってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図1A】第一の巻出し位置から第二の巻出し位置まで及びここから取外し位置までリールを移送する部材を形成する台車のうちの1つの拡大図。
【
図2】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図3】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図4】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図5】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図6】本発明による巻出し機の動作手順を示し、空リールを新しいリールに交換する工程を含み、可能な実施形態で巻出し機を示す図。
【
図8】巻出周期の第二の実施形態で空リールを新しいリールに交換する手順を示す側面図。
【
図9】巻出周期の第二の実施形態で空リールを新しいリールに交換する手順を示す側面図。
【
図10】巻出周期の第二の実施形態で空リールを新しいリールに交換する手順を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
まず
図1〜
図7を参照して、可能な実施形態における本発明の巻出し機の主たる要素についてまず説明する。符号番号1で全体として示された巻出し機は、手段および装置を備える負荷支持構造体3から構成され、巻出されるリールを待機中の新しいリールと交換するための待機位置;巻出周期の一部分で巻出されるリールを位置決めする第一の巻出し位置;巻出されるリールが巻出されるウェブ材料を運ぶ最終工程で移送される第二の巻出し位置;さらに、一旦リールが空になる或いは他の理由で交換しなければならない場合、リールが巻付けられた巻取りロッド、スピンドル或いは核を移送する取外し位置;を定義する。実際には、通常、リールが空になるまで且つ空で交換されるまで利用されることを理解しなければならない。巻取り核の周囲に残るウェブ材料に皺が寄りもはや使用することができない場合、リールは空として通常意図される。実際、製紙工場でリールを形成する際にリールの最も内側の部分、すなわち最初の数回分の巻取りは欠陥を含むことは知られている。ウェブ材料のこの部分は使用されず、リールの核の周囲に巻き付いたまま残され、必要ならばリサイクルできる。当業者には知られているように、リールが空になる前つまり廃棄されるべきウェブ材料部分に達する前に、リールを交換する必要が生じる状況があり得ることを考慮しなければならない。両者の交換周期は本質的には同じである。以下簡潔に空リールの交換について言及する。もはや適切な量の使用可能なウェブ材料が残っていないリールについても、さらに巻出周期が明確に或いは一時的に完了したリールについても広義では「空である」ことを意味する必要があることが理解される。
【0034】
図示された実施形態では、構造体3は垂直材5を備え、垂直材5には回動アーム7が軸A‐Aの周囲に枢着されている。かかるアームは、双方向矢印f7に従って旋回運動すなわち往復回転運動を行うことができる。
図1から6には単体でアーム7が示されているが、実際には、対向する端部で待機中の新しいリールのロッドに係合するように機械の両側に対称的に配置された2つのアームが存在することを理解しなければならない。一般的には、巻取りロッドは、通常は厚紙、プラスティック、アルミニウム、或いは他の適した材料製で、巻出し機の心押し台及び他の部材によって核のピックアップのために設けられたエンドスリーブを備えた管状の巻取り核として意図することができ、以下に説明する。
【0035】
動作は、双方向矢印f7に従ってアクチュエータ例えばピストン・シリンダアクチュエータ9によって付与され、アクチュエータのシリンダ9Aは負荷支持構造体3に9Bで緊締され、アクチュエータのロッド9Cはそれぞれの回動アーム7に9Dで枢着されている。幾つかの実施形態では、アクチュエータが単体でまた必要に応じて2つの回動アーム7の一方から他方へ動作を伝達するトーションバーを使用することも可能であるが、2つの別個のピストン・シリンダアクチュエータ9をアーム7のそれぞれに1台を提供することができる。ピストン・シリンダアクチュエータ9に代わって、別の種類のアクチュエータ例えば電気モーター、液圧式モーターなどを使用することが可能である。
【0036】
アーム7のそれぞれは、待機中のリールB2の両端を収納するために座面7Bを画定する端部7Aを有する。各座面7Bは、歯車7Rを有し、以下に説明される目的のために、座面7Bに支持されるリールの巻回を可能にするように歯車7Rは待機リールの巻取りロッドASの端部を支えている。
【0037】
各アームの端部7Aは、有利には、それぞれの回動アーム7に7Cで枢着されている。双方向矢印f7Aに従って、各アクチュエータ例えばピストン・シリンダアクチュエータ11によってそれぞれの回動アーム7の各端部7Aに旋回動作を付与することができ、ピストン・シリンダアクチュエータ11のシリンダ11Aはそれぞれの回動アーム7に11Bで枢着されると同時にロッド11Cはそれぞれの回動アーム7の対応する端部7Aに11Dで枢着される。
【0038】
端部7Aを備えた回動アーム7及び関連するアクチュエータは、後述するように、第一の巻出し位置に待機位置からリールを移送するための移送装置を形成する。
【0039】
図1に示された上昇位置では、端部7Aを備えた回動アーム7及び両座面7Bは、リールB2の待機位置を画定している。図示された実施形態では、2本のアーム7はトーションバー7Tによって接続されている。トーションバー7Tは、2本のアーム7の同期した移動を保証している。さらに、図示された例では(
図7参照)、トーションバーは2本のアーム7の間の中間位置に配置された第一の巻出し部材13を支持するために使用されている。この実施形態では、第一の巻出し部材13は、例えば相互に平行した2つ以上ベルトで形成され且つ第一の電動ローラー17及び第二の遊動ローラー19の周囲に案内される継ぎ目のない可撓性を有する要素15を備えている。ローラー17及び19のそれぞれは、例えば巻出し部材13を形成するベルト毎に1本のローラーで、実際には幾つかの同軸ローラーまたはプーリーで構成することができる。以下、簡潔に「ローラー」17、19について言及する。ローラー17は、例えば電気モーター18を用いて電動化することができる。ローラー19は、双方向矢印f13に従って旋回するように軸B‐Bを中心に枢着された回動アーム23に装着されている。
図1から6には、単体で回動アーム23が示されているが、好ましくは、2本のアーム23が設けられ並んで配置されていることを理解しなければならない。以下で明らかになる目的のために、アーム7が矢印F7に従って旋回する際にアーム23の旋回軸B‐Bが回動アーム7によって実行される軸A‐Aを周囲する巻回運動を追従するように、アーム23の旋回軸B‐Bは、トーションバー7Tにねじれて制約され且つそこから両回動アーム7(
図7参照)間の中間位置に伸びる拡張部7Xで支持されている。
【0040】
旋回動作は、矢印F7に従ってアクチュエータ25或いはアーム23毎に1本で一対のアクチュエータ25によって付与される。アクチュエータ或いは一対のアクチュエータ25は、例えばピストン・シリンダアクチュエータであることができる。代わって、2本のアーム23の一方から他方に動作を移送するトーションバーを備えた単体のアクチュエータ25を設けてもよい。
【0041】
図1のP1で示された待機位置のほぼ真下に、全体としてP2で示された第一の巻出し位置が画定され、そこに巻出しされている第一のリールB1が置かれる(
図1)。また
図7に示されているように、第一の巻出し位置P2は一対の遊動心押し台27によって画定される。心押し台27は、巻出し位置に置かれるリールB1の巻取りロッドASの対向する端部と係合するために、矢印f27に沿って相互に離れたり向かったり移動する軸動作を備えており、前記リールを解放するために、全体をP3で示された第二の巻出し位置の方へその移送を可能にする。第二の巻出し位置P3は、第一の巻出し位置P2に対して、下流のステーション(図示されていない)に向かって巻出し機1からのウェブ材料N1の出口と反対側に位置している。言い換えれば、第一の巻出し位置P2は、巻出し機からのウェブ材料の出口と第二の巻出し位置P3との間に位置している。
【0042】
リールB1が第一の巻出し位置P2に位置する際にリールB1を巻回状態で維持するために、全体を31で示された第二の巻出し部材を設けている。図示された実施形態では、第二の巻出し部材31は、周辺巻出し要素を形成するすなわちリールの横方向円筒面との摩擦接触によってリールBに巻回動作を付与する、少なくとも一つの継ぎ目のない可撓性を有する要素33を備えている。幾つかの実施形態では、継ぎ目のない可撓性を有する要素33は継ぎ目のないベルトによって形成することができる。しかしながら、好ましくは、前記継ぎ目のない可撓性を有する要素33は、案内ローラー或いは一連の案内プーリーで画定された同一パスを周囲して案内されるすべての平行する複数のベルトによって形成される。そのうちの少なくとも一本が電動化され、その他は好ましくは遊動である。図示された実施形態では、継ぎ目のない可撓性を有する要素33はウェブ材料N1の出口領域から第二の巻出し位置P3まで伸びている。幾つかの実施形態では、前述の長さの全体にわたって延びる継ぎ目のない可撓性を有する要素33に加えて、拡張の小さい補助的な継ぎ目のない可撓性を有する要素を設けることができ、例えば第一の巻出し位置P2の領域だけに延びて、継ぎ目のない可撓性を有する要素33と同じ速度で移動する。これは、以下に明らかになるように(少なくとも第一の巻出し工程では)位置P2のリールは大きさ故にドラグトルクを必要とし、ドラグトルクは第二の巻出し位置P3に位置するほとんど空のリールを巻回状態で維持するのに十分なトルクよりも大きいためである。
【0043】
図示した実施形態では、継ぎ目のない可撓性を有する要素33を形成する継ぎ目のないベルトは、ローラー35、36、37、38、39、40、41の周囲に案内されている。巻出し部材23または継ぎ目のない可撓性を有する要素33に関して、案内ローラー或いは戻りローラーのそれぞれは複数の同軸ローラーまたはプーリーで構成することができる。以下、簡潔に、案内ローラー或いは戻りローラーについて言及する。案内ローラーのうちの少なくとも1本は電動化され、例えば案内ローラー40が電動化されてもよい。ローラー40のモーターは、符号番号42で概略的に示されている(特に
図7参照)。図示された実施形態では、すべてのローラー35乃至41は、ローラー35と37を除き構造体3に対して固定軸で支持されている。
【0044】
実際には、ローラー37或いは各ローラー37は、負荷支持構造体3の固定部分に軸C‐Cを中心に枢着された可動アーム43または一対の可動アームによって支持される。アクチュエータ45は例えばピストン・シリンダアクチュエータであり、継ぎ目のない可撓性を有する要素の張力をほぼ一定に保つために使用され、双方向矢印f43に従って、回動アーム43に制御された旋回動作を付与する。
【0045】
その逆に、案内ローラー35は、固定された構造体に軸D‐Dを中心に枢着された回動アーム47によって支持されている。
図1〜
図6の手順を参照して以下に説明されるように、双方向矢印f47に従ったアーム47の旋回動作は、巻出周期の工程の関数として案内ローラー35の位置を変更するようにアクチュエータ例えばピストン・シリンダアクチュエータ49によって付与される。
【0046】
案内51は、第一の巻出し位置P2と第二の巻出し位置P3との間に構造体3によって担持される一対の案内51が延びており、案内51に従ってリールを移送するための移送部材が案内されている。図示例では、移送部材は巻出し機の2つの横方向に並んだ部材に沿って移動可能な対向する一対の台車53を備えている(再度、
図7参照)。双方向矢印f53に従って案内51に沿った台車53の動作は、例えば各台車53に一方か或いは他方または案内51の両方に沿って或いはまた別の適した方法で伸長するラックのそれぞれと噛み合うピ二オン(複雑さを回避するために図中いずれも図示せず)に巻回をかける電気モーター(図示せず)によって付与することができる。他の実施形態では、案内51を追従するパスに沿って鎖で2台の台車53に接続された単体の固定モーターを設けてもよい。
【0047】
案内51は、第二の巻出し位置を越えて広がり、下方曲線を形成しながら下降部51Aを形成し続け、取外し位置P4で終了する。取外し位置P4では、第二の巻出し位置P3から来る空リールのロッドを受けて取り出すための一対のコンベア57を設けている。
【0048】
台車53の構造は
図1Aに詳細に示されている。その主たる要素に限定される2台の台車のうちの一方を拡大して図示している。
【0049】
幾つかの実施形態では、以下により詳細に説明するように、第一の巻出し位置P2から第二の巻出し位置P3まで、そして第二の巻出し位置P3から取外し位置P4までリールを移送するために、各台車53上でほとんど空のリールB1のロッドの両端をロックするために、台車53のそれぞれはアクチュエータ61例えばピストン・シリンダアクチュエータによって操作されるロック要素59を有している。実際には、ロック要素59はリールのロッドASの両端に係合するように台車53毎に1つで一対になっている。各ロック部材59は、遊動輪53Rを設けている。台車53のそれぞれは2つの遊動輪53Rを備えている。以下に説明される目的のために、遊動輪53R及び59Rは、巻取りロッドASの端部が台車53のそれぞれと係合する際に遊動輪53R、53R、59Rの間に保持され且つその軸の周囲で巻回することができるように配置されている。
【0050】
図示した実施形態では、第二の巻出し位置P3で、非表示の例えばピストン・シリンダアクチュエータのようなアクチュエータによって双方向矢印f67に従って動くように操作される回動アーム67で支持される例えば横方向の刃66を備える切断部材65が関連付けされている。
【0051】
第一の巻出し位置P2にあるリールB1から巻出されるウェブ材料N1のパスは、巻出し部材31の継ぎ目のない可撓性を有する要素33によって、同様に回動アーム7の旋回軸A‐Aよりも低く置かれた案内ローラー71によっても画定される。そこで、ウェブ材料N1のパスはローラー71から下方に巻出し機の出口を実質的に確定する3本で一組の案内ローラー72、73、74まで伸長する。ウェブ材料が、巻出し機1の下流に非表示の例えばエンボス加工ユニット或いは巻直し機のような変換ステーションに向けて矢印fNに従って巻出される間、これらのローラーのうちの1つ以上はエンコーダを用いてウェブ材料N1の張力の変動を検出するために他のローラーに対して直進するような仕方で装着することができる。他の実施形態では、ウェブ材料Nの案内ローラーの軸受に架かる反力を検出するロードセルを備えることができる。一般的には、巻出し張力を所望値に維持するために、ウェブ材料Nの張力の変動を検出するためのシステムが何であれ、検知システムで生成された信号を巻出し速度の制御のために使用することができる。
【0052】
案内ローラー71は接合装置81の一部を形成し、前記した案内ローラー71に加えて接合装置81は一連の層結合歯車83を備えている。一連の層結合歯車83は、巻出されるリールB1から来るウェブ材料N1の末尾が待機リールB2に巻取られるウェブ材料N2の先端に接合されるようになる際に案内ローラー71の表面と共動する。
【0053】
図面で見ることができるように、第一の巻出し位置P2は、接合装置81と第二の巻出し位置P3との間に位置し、第二の巻出し部材31の継ぎ目のない可撓性を有する要素33が接合装置81から第二の巻出し位置P3まで延びている。
【0054】
前述の巻出し機1の動作は、これまでに例示された構造から明らかである。
図1から6は、空リールB1を新しい待機リールB2と交換する工程を含む動作手順を詳細に示している。
【0055】
より具体的には、
図1では、リールB1はその巻出周期の中間工程で、非表示の下流にあるステーションまで矢印fNに従ってウェブ材料N1を運ぶために(図中反時計回りに)矢印fB1に従って巻回する。リールB2は待機位置P1にある。有利には、リールB2は自由先端部NL2を部分的に巻き解かれ、所定の位置に置かれている。
【0056】
この工程では、リールB1は、第二の巻出し部材31によって、さらにより具体的には、例えば案内ローラー40と関連する駆動システムを用いて矢印f33に従って移動する継ぎ目のない可撓性を有する要素33によって(矢印fB1)巻回を維持される。ウェブ材料N1の巻出しの結果としてリールB1の直径が減少するのに伴い継ぎ目のない可撓性を有する要素33に張力を維持するために、可動軸を備えた案内ローラー37を段階的に移動することができる。
【0057】
図2では、第一の巻出し位置P2に置かれたリールB1はほとんど空で、待機位置P1に置かれた新しいリールB2と交換しなければならない。
図2ではまた、回動アーム7の下降動作が開始する前に第二のリールB2に対して第一の巻出し部材13が既に移動されたことを見ることができる。このように、第一の巻出し部材13が静止している間はブレーキとして作用する。
【0058】
第一の巻出し位置P2から第二の巻出し位置P3までリールB1を移送するためには、第一の巻出し位置P2でリールB1の巻取りロッドに接触するまで台車53は案内51に沿って移動される。リールB1から突出したリールB1の巻取りロッドASの端部は、台車53のそれぞれに設けられたロック部材59によって台車53と係合する。
【0059】
さらに、案内ローラー35が案内51より高い位置に運ばれるまで、ピストン・シリンダアクチュエータ49で一対のアーム47を上へ旋回させることによって案内ローラー35を持ち上げ台車53を移動させる。これによって継ぎ目のない可撓性を有する要素33のパスを変更し、パスの上位分岐を上に移動させる。実際には、案内ローラー35の持ち上げ動作は、段階的であり且つ必要に応じてウェブ材料N1の巻出し中リールB1の直径の減少を相殺するために、案内ローラー37の前記した段階的な動作との複合構成で使用することができる。
【0060】
図3は、移送部材を形成する台車53が第二の巻出し位置P3に第一の巻出し位置P2からリールB1を移送した後の工程を示している。この動作を行うためには、巻取りロッドが位置P2、P3、P4の間でリールの移送部材を形成する台車53と係合した後、最初に心押し台27がリールB1の前記巻取りロッドASから解放(
図7の矢印f27)される。2台の台車53の遊動輪53R、59Rに起因して、リールB1はその軸の周囲でウェブ材料Nを巻出すために巻回を継続することができる。
【0061】
図3の位置に案内ローラー35を持ち上げることによって、第二の巻出し部材31の継ぎ目のない可撓性を有する要素33はリールB1と接触して留まり、前記リールB1が第二の巻出し位置P3に置かれる際にはリールB1の周囲に所定の角度で伸長する。
【0062】
このような方法で、第一の巻出し位置P2にある間、或いは第一の巻出し位置P2から第二の巻出し位置P3までの移送中、或いはまた第二の巻出し位置P3に位置している時、第一のリールB1は一定の巻回を維持される。巻回速度及び結果的にはウェブ材料N1の巻出し速度は、移送を開始する前、或いは第二の巻出し位置P3への移送中、或いはまた第一のリールB1が第二の巻出し位置P3に位置している時、減速することができる。
【0063】
一旦リールB1が第一の巻出し位置P2から離れたならば、待機位置P1(
図1)から第一の巻出し位置P2に向かう第二のリールB2の下降動作を開始することができる。この動作は、
図3で示されるように、アクチュエータ9によってアーム7を旋回することによって得られる。第一の巻出し部材13の巻回或いはアーム23の軸B‐B旋回は、回動アーム7の旋回動作に追従する。
【0064】
第一のリールB1を第二のリールB2と交換する周期が開始されなければならない場合、第一の巻出し部材13は巻回するように配置され、巻出し方向に第二のリールB2の巻回を開始するために段階的に加速される。第一の巻出し部材13の継ぎ目のない可撓性を有する要素15は、拡張7X及びトーションバー7Tによって回動アーム7にその軸B‐Bで制約されているリールB2の下降動作に追従する。そのため、第一の巻出し部材13の継ぎ目のない可撓性を有する要素15は、第二のリールB2が第一の巻出し位置P2に向けて下降する間、第二のリールB2と接触して留まる。第二のリールB2の巻回動作の加速は、リールB2の下降動作と同期する仕方で実行される。
【0065】
この工程では、第一の巻出し部材13によって引き起こされる第二のリールB2の矢印fB2に従って(図中反時計回りに)巻回を開始することに起因して、ウェブ材料N2の先端或いは端部NL2は、巻き解かれ始めると、第二の巻出し位置P3に位置し第二の巻出し部材31で巻回を維持されるリールB1の巻回の結果として矢印fNに従って継続して送られる第一のウェブ材料N1の上に載せられる。
【0066】
図3で観察することができるように、この工程では、リールB2から巻出されるウェブ材料N2の先端部は、接合装置81に向けてウェブ材料N2と一体の第一のウェブ材料N1によって支持されて前進する。
【0067】
図4は次の工程を示している。そこでは、引き続き下降され且つ第一の巻出し部材13によって巻回を保持されている第二のリールB2が、ウェブ材料N1と接触するようになり巻出し部材31を押圧するのを開始する、より正確には継ぎ目のない可撓性を有する要素33の上部分岐に接触して開始する。リールB2から巻出されるウェブ材料N2の先端は、接合装置81によってウェブ材料N1の最後の部分に接合され、継ぎ目のない可撓性を有する要素33の動作の結果として引き続き前進する。切断部材65がリールB1から来るウェブ材料N1を切断しウェブ材料N1の末尾C1を生成し、よってリールB1が切り離されて取外し位置P4に向かって移動することができる。空のリールB1から継ぎ目のない可撓性を有する要素33を引き離すためにローラー35を下降させ、空のリールB1の巻回の影響を停止して、その上で巻出されるウェブ材料をもはや移送することはない。さらに、ローラー35の下降は第二の巻出し位置P3から取外し位置P4に向けてリールB1を切り離して移動させるためにパスを自由にすることができる。
【0068】
図5は次の工程を示している。そこでは、新しいリールB2が第一の巻出し位置P2に解放される間に台車53は第一の空リールB1を取外し位置P4まで運ぶ。第二のリールB2は、以下の通り第一の巻出し位置P2に解放される。リールB2の巻取りロッドASの軸は、回動アーム7の動作によって心押し台27と位置合わせされる。一旦この位置に達すると、心押し台27は互いに向かって移動し(矢印f27)巻取りロッドASの空洞端部に係合する。このピックアップ動作を容易にするために、心押し台と巻取ロッドASの対応する空洞は好ましくは円錐形状部を有する。一旦第二のリールB2が心押し台27と係合したならば回動アーム7の端部7Aはアクチュエータ11によって巻回してロッドAS及びリールB2を解放して、再度アーム7が待機位置P1に向けて持ち上がるのを可能にする。リールB2を心押し台27まで移送する前に、リールB2は如何なる場合でも巻回でき、従ってアーム7によって形成された座面7Bに設けた歯車7Rに起因してウェブ材料N2を運ぶことができる。
【0069】
第一の巻出し部材13は、ウェブ材料N1に取って代わったウェブ材料N2の連続的な供給を維持するように、第二の巻出し部材31の継ぎ目のない可撓性を有する要素33の動作の結果として巻回を継続する第二のリールB2から係合が外れる。
【0070】
最終的に第二の巻出し位置P2に達して心押し台27によって係合された後に、リールB1、B2の交換工程を実行した減速された巻回速度から、通常の操作速度に変速するために、リールB2を加速することができる。通常の操作速度が特に低速の場合は、リール交換或いは取替え工程中も通常の操作速度で操作することが可能である。
【0071】
何れにせよ、リールの交換を実行する速度が通常の操作速度より低速であっても、必要に応じて一時的にラインの速度を減速して連続して巻出し機1の下流にラインを供給することが可能である。
【0072】
代わりに、アキュムレータ例えばフェストゥーン・アキュムレータを巻出し機1と下流のラインとの間に設けてもよい。何れにせよ、必要なアキュムレータはより小さい寸法であることができ、空リールを新しいリールと交換する間、巻出し機の完全な停止を要求する機械に対しても利点は得られる。通常の操作速度或いは通常の操作速度と交換工程中のリールB1、B2の巻出し速度との間の中間速度と等しい高速で、アキュムレータの下流にウェブ材料を送る速度を維持しつつリールB1とリールB2の交換を低速で実行するために、アキュムレータの存在を使用することができる。
【0073】
図6は次の工程を示している。そこでは、空リールB1は取外し位置P4から外され、移送部材を形成する台車53は案内51のほぼ水平な部分に沿ってそれらの位置に戻っている。アーム7は、待機位置P1に保持されている新しいリールを示していないが天井走行クレーンから受け取る位置に戻され、巻回状態を維持され第二の巻出し部材31で巻出されるリールB2は、第一の巻出し位置P2にある。
【0074】
図8、
図9及び
図10は、前記した
図2、
図3及び
図4のそれらと同等の工程を示し、リールB1、B2が
図1〜
図6の手順に示されたものに対し反対方向の巻回で巻出されなければならない場合、巻出し部材13及び31を逆方向に巻回させている。巻出し機の構造は同じである。巻き戻し工程は、リールB2と継ぎ目のない可撓性を有する要素33との間の接触が、ウェブ材料の末尾がリールB2と継ぎ目のない可撓性を有する要素33との接触地点の下流を通過した後に起こるという事実を含む適切な構成を備えて実質的に同じである。
【0075】
図8、
図9及び
図10は、巻出し装置が先に説明されたものと実質的に同等の手順でこれらのリールを処理することができることを示している。従って、巻出し機1は、さらに、従来技術による巻出し機に対し、一方向或いはその他の方向に区別することなく巻出し部材13及び31の巻回動作を単純に反転することによってリールを巻き出すことができる利点を有する。
【0076】
図面は、単に本発明の実施形態として提供され単なる一例を示すのであって、本発明の基礎をなす概念の範囲から逸脱することなくその形態及び構成において変更することができることが理解される。添付の特許請求の範囲における符号番号は、説明及び図面を参照して特許請求の範囲の読み取りを容易にするためのものであり、特許請求の範囲で表される保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0077】
1 巻出し機
3 負荷支持構造体
5 垂直材
7;23;43;47 回動アーム
7A 端部
7B 座面
7R 歯車
7T トーションバー
7X 拡張部
9;11;25;45;61 アクチュエータ
9A;11A シリンダ
9C;11C ロッド
13;23 巻出し部材
15;33 継ぎ目のない可撓性を有する要素
17 電動ローラー
18 モーター
19 遊動ローラー
31 第二の巻出し部材
35;36;37;38;39;40;41;71;72;73;74 ローラー
42 モーター
49 ピストン・シリンダアクチュエータ
51 案内
51A 下降部
53 台車
53R 遊動輪
57 コンベア
59 ロック部材
59R 遊動輪
65 切断部材
81 接合装置
83 層結合歯車
A‐A 軸
B‐B 軸
C‐C 軸
AS ロッド
f 矢印の方向
N1 ウェブ材料
N2 ウェブ材料
NL2 自由先端部
P1 待機位置
P2 第一の巻出し位置
P3 第二の巻出し位置
B1 第一のリール
B2 第二のリール