(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の側鎖の重合性二重結合は、イソシアネートを介して側鎖に導入された(メタ)アクリロイル基に含まれるものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対する前記反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の割合は、5〜30質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着剤の物性〕
本実施形態に係る粘着剤は、
粘着剤層形成直後のゲル分率をG1、粘着剤層形成から23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後のゲル分率をG2としたときに、以下の式
ゲル分率変動率(%)=|(G2−G1)/G2|×100
から算出されるゲル分率変動率が3%以内であり、
引張試験による破断伸長率が100〜250%、かつ破断応力が0.2〜0.6N/mm
2である、
ものである。かかる物性を満たす粘着剤は、凹凸追従性および耐熱性に優れるものとなる。その理由は明らかではないが、上記のゲル分率変動率も、破断伸長率および破断応力も、凹凸追従性および耐熱性の双方に関連しているものと考えられる。
【0025】
ここで、粘着剤層形成直後とは、粘着剤層を形成した後、使用時まで別途の人為的な処置を行うことがなくなった状態における最初の段階をいう。例えば、活性エネルギー線硬化型の粘着剤の場合は、活性エネルギー線照射直後を意味する。なお、実際の測定においては、サンプル作製から各種測定開始まで相応の時間を要する関係上、粘着剤層形成直後とは、上記人為的な処置を行うことがなくなった状態からおおよそ半日程度を目安とする。
【0026】
上記ゲル分率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。上記のようにゲル分率変動率が3%以内ということは、粘着剤層形成直後から粘着剤の硬化が実質的に完了していることを示す。すなわち、粘着剤層形成直後から粘着剤の諸物性は安定する。したがって、本実施形態に係る粘着剤は、従来必要としていたエージングが不要であり、それにより、当該粘着剤からなる粘着剤層を備えた部材の出荷や次工程投入を速やかに行うことができ、中間材料の在庫負担や生産性の面で非常に有利である。
【0027】
粘着剤層形成直後のゲル分率G1および上記7日間保管後のゲル分率G2は、それぞれ30〜60%であることが好ましく、特に32〜56%であることが好ましく、さらには35〜50%であることが好ましい。ゲル分率が30%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して、高温下での耐久性(耐熱性)が低下する場合がある。また、ゲル分率が60%を超えると、粘着剤の凹凸追従性が低下する場合がある。
【0028】
上記引張試験は、積層等により幅10mm、長さ20mm、および厚さ500μmとした粘着剤片(基材等を伴わない単独の粘着剤層)を、引張試験により200mm/分の速度で伸長させて行う。本実施形態に係る粘着剤の上記引張試験による破断伸長率は、100〜250%であることを特徴とする。破断伸長率が100%未満であると、凹凸追従性が低下する場合があり、250%を超えると、耐熱性が低下する場合があるからである。このような観点から、上記破断伸長率は、好ましくは110〜240%であり、特に好ましくは115〜230%であり、さらに好ましくは130〜200%である。
【0029】
また、上記引張試験による破断応力は、0.2〜0.6N/mm
2であることを特徴とする。破断応力が0.2N/mm
2未満であると、耐熱性が低下する場合があり、0.6N/mm
2を超えると、凹凸追従性が低下する場合があるからである。このような観点から、上記破断応力は、好ましくは0.2〜0.5N/mm
2である。
【0030】
本実施形態に係る粘着剤のヘイズ値(JIS K7105に準じて測定した値)は、1.0%以下であることが好ましく、特に0.7%以下であることが好ましく、さらには0.5%以下であることが好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であると、透明性が非常に高く、光学用途等への適用を考慮しても、好適なものとなる。
【0031】
〔粘着性組成物〕
本実施形態に係る粘着剤は、活性エネルギー線硬化型の粘着剤であることが好ましい。なお、活性エネルギー線硬化型の粘着剤とは、活性エネルギー線照射後に粘着剤としての使用に供される粘着剤をいう。
【0032】
上記の物性を有する粘着剤は、好ましくは、重量平均分子量が60万〜200万である(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)(以下、単に「重合体(A)」という場合がある。)と、重量平均分子量が3万〜10万であり、側鎖に重合性二重結合を有する反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)(以下、単に「重合体(B)」という場合がある。)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という。)を、活性エネルギー線の照射により硬化させることによって得ることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
【0033】
従来、低分子量の重合体は可塑剤的に使用されてきたが、上記粘着性組成物Pから得られる粘着剤においては、複数の低分子量の重合体(B)は、活性エネルギー線の照射による側鎖の重合性二重結合の開裂によって互いに結合して、三次元網目構造を形成する。複数の高分子量の重合体(A)は、その三次元網目構造に挿入されて拘束され、高分子量の重合体(A)同士間に擬似的な架橋構造(拘束はされているが、共有結合されていない構造)が形成されるものと推定される(これらの構造全体を以下「構造X」という。)。このような構造Xにより、当該粘着剤は、優れた凹凸追従性および耐熱性を発揮すると考えられる。以下、上記粘着性組成物Pについて説明する。
【0034】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、所望により用いられるアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルと、所望により用いられる官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)と、所望により用いられる他のモノマーとの共重合体が好ましい。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、得られる粘着剤に所望の粘着力を付与することができ、官能基含有モノマーは、当該官能基が有する極性によって、重合体(A)を重合体(B)の三次元網目構造中に効果的に挿入することができると考えられる。
【0035】
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、アルコキシアルキル基の炭素数は、20以下程度であることが好ましい。
【0037】
官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)等が好ましく挙げられる。
【0038】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、粘着性組成物Pが後述するアジリジン系架橋剤を含有する場合、カルボキシル基はアジリジン系架橋剤のアジリジニル基との反応性に優れるため、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、少なくともカルボキシル基含有モノマーを構成モノマー単位として有することが好ましい。
【0040】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
上記他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性の(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを合わせて、70〜99質量%含有することが好ましく、特に70〜95質量%含有することが好ましく、さらには80〜95質量%含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの合計の含有量が上記範囲内にあることで、粘着剤としての適切な粘着力を得ることができる。また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの合計の含有量が70質量%未満では、粘着力が低くなり過ぎるおそれがある。なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルのみから構成されていてもよい。
【0043】
ここで、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用する場合、両者におけるアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの占める割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。なお、上記両者の配合割合の上限値として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが100質量%であってもよい。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記官能基含有モノマーを、1〜30質量%含有することが好ましく、特に2〜20質量%含有することが好ましく、さらには3〜10質量%含有することが好ましい。官能基含有モノマーを上記範囲で含有することで、後述の重合体(B)との相溶性が向上し、上記構造Xを効率良く形成することができると推定され、その結果、低いヘイズ値を示し、かつ耐熱性に優れた粘着剤が得られる。
【0045】
粘着性組成物Pが後述するアジリジン系架橋剤を含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマーを、1.0〜10.0質量%含有することが好ましく、特に3.0〜5.0質量%含有することが好ましい。これにより、重合体(A)は、アジリジン系架橋剤を介した架橋構造を良好に形成することができる。
【0046】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は60万〜200万であり、好ましくは70万〜180万であり、特に好ましくは80万〜150万である。すなわち、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、高分子量ポリマー成分となっている。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が上記範囲内にあり、重合体(A)が比較的大きな分子量を有することで、上記構造Xが良好に形成されるものと推定される。
【0049】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が60万未満であると、得られる粘着剤のゲル分率が低く、耐熱性に劣るものとなるおそれがある。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が200万を超えると、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)等との相溶性が悪化し、得られる粘着剤の凹凸追従性が低下するおそれがある。
【0050】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
側鎖に重合性二重結合を有する反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、官能基(x)含有モノマーを構成モノマー単位として有する(メタ)アクリル系重合体(b1)と、その官能基(x)と反応する置換基(y)を有する重合性二重結合含有化合物(b2)とを反応させることにより、好ましく得ることができる。
【0052】
(メタ)アクリル系重合体(b1)は、官能基(x)含有モノマーと、所望により用いられるアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、所望により用いられる他のモノマーとの共重合体が好ましい。
【0053】
上記官能基(x)含有モノマーは、重合性の二重結合と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、好ましくは水酸基含有不飽和化合物および/またはカルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
【0054】
このような官能基(x)含有モノマーの具体的例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0055】
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と同様のものを使用することができる。
【0056】
(メタ)アクリル系重合体(b1)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記官能基(x)含有モノマーを通常3〜100質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の割合で含有し、上記アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから導かれる構成単位を通常0〜97質量%、好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜90質量%の割合で含有してなる。
【0057】
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の構成単量体である官能基含有モノマーおよび(メタ)アクリル系重合体(b1)の構成単量体である官能基(x)含有モノマーは、例えば、それぞれカルボキシル基含有モノマーおよび水酸基含有モノマー、というように種類を異ならせることが好ましい。これにより、架橋剤(D)やシランカップリング剤(E)を重合体(A)のみに作用させることができるからである。
【0058】
一方、重合性二重結合含有化合物(b2)が有する置換基(y)は、(メタ)アクリル系重合体(b1)が有する官能基(x)含有モノマー単位の官能基(x)の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、官能基(x)が水酸基、アミノ基または置換アミノ基の場合、置換基(y)としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、官能基(x)がカルボキシル基の場合、置換基(y)としてはアジリジニル基、エポキシ基またはオキサゾリニル基が好ましく、官能基(x)がエポキシ基の場合、置換基(y)としてはアミノ基、カルボキシル基またはアジリジニル基が好ましい。このような置換基(y)は、重合性二重結合含有化合物(b2)1分子毎に一つずつ含まれる。
【0059】
また重合性二重結合含有化合物(b2)には、重合性二重結合(炭素−炭素二重結合)が、1分子毎に通常1〜5個、好ましくは1〜2個含まれる。このような重合性二重結合含有化合物(b2)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られる(メタ)アクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られる(メタ)アクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
【0060】
重合性二重結合含有化合物(b2)としては、上記の中でも、置換基(y)としてイソシアネート基を有し、重合性二重結合を含有する基として、エチレン性二重結合を含有する基、特に(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、具体的には、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、特にメタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
【0061】
反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)における重合性二重結合含有化合物(b2)の置換基(y)としての存在量は、上記(メタ)アクリル系重合体(b1)の官能基(x)含有モノマーの官能基(x)の存在量に対して、0.05〜0.8モル当量であることが好ましく、特に0.1〜0.6モル当量であることが好ましく、さらには0.1〜0.4モル当量であることが好ましい。
【0062】
(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性二重結合含有化合物(b2)との反応は、通常は常圧、不活性ガス雰囲気下、室温または40〜70℃の加温にて、酢酸エチル等の有機溶媒中で12〜48時間程度行われる。反応に際しては、触媒や重合禁止剤等を適宜使用することができる。例えば、官能基(x)が水酸基であるアクリル系共重合体(b1)と、置換基(y)がイソシアネート基である重合性二重結合含有化合物(b2)との反応の場合は、ジブチル錫ラウレート等の有機錫系の触媒を用いるのが好ましい。また、官能基(x)と置換基(y)との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、(メタ)アクリル系重合体(b1)中に存在する官能基(x)と、重合性二重結合含有化合物(b2)中の置換基(y)とが反応し、側鎖に重合性二重結合が導入された反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が得られる。この反応における官能基(x)と置換基(y)との反応率は、通常70%以上、好ましくは80%以上であり、未反応の官能基(x)が反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)中に残留していてもよい。
【0063】
反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)((メタ)アクリル系重合体(b1))の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0064】
反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の重量平均分子量は1万〜10万であり、好ましくは3万〜8万であり、特に好ましくは4万〜6万である。すなわち、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と比較して、低分子量のポリマー成分となっている。
【0065】
反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の重量平均分子量が上記範囲内にあることで、本実施形態に係る粘着剤に特有の三次元網目構造が形成され、優れた凹凸追従性および耐熱性に寄与することとなる。すなわち、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の重量平均分子量が1万未満では、良好な三次元網目構造が得られず、耐熱性が悪化する場合がある。一方、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の重量平均分子量が10万を超えると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)等との相溶性が低下し、ヘイズ値が上昇する場合がある。また、重合体(B)により形成される三次元網目構造体中における重合体(A)の拘束状態が不十分となり、その結果、得られる粘着剤が耐熱性に劣るものとなる場合がある。
【0066】
なお、粘着性組成物Pにおいて、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対する反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)の配合割合は、5〜30質量部であることが好ましく、特に7〜25質量部であることが好ましく、さらには10〜20質量部であることが好ましい。
【0068】
上記割合で(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)および反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)を含有する粘着性組成物Pから得られる粘着剤は、上記構造Xを良好に形成するものと推定される。
【0069】
ここで、粘着性組成物Pに対して照射する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(C)を含有することにより、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)を効率良く硬化させることができ、またアジリジニルプロピオネートおよび光線照射量を少なくすることができる。
【0070】
このような光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。
【0071】
光重合開始剤(C)は、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)100質量部に対して、1〜50質量部、特に5〜30質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0072】
粘着性組成物Pは、上記重合体(A)、重合体(B)および光重合開始剤(C)以外に、所望により、架橋剤(D)やシランカップリング剤(E)を含有してもよく、また、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば粘着付与剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤等を含有してもよい。
【0073】
架橋剤(D)としては、本発明の効果を妨げない限り、所望のものを使用することができるが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が反応性官能基としてカルボキシル基を有する場合、当該カルボキシル基と良好に反応するアジリジン系架橋剤を使用することが好ましい。このようにアジリジン系架橋剤を使用して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋することで、得られる粘着剤の耐久性、特に耐湿熱性を向上させることができる。
【0074】
アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
【0075】
粘着性組成物P中における架橋剤(D)の含有量は、当該架橋剤(D)の架橋性基(例えば、アジリジニル基)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の反応性官能基(例えば、カルボキシル基)の量に対して0.001〜0.1モル当量となる量であることが好ましく、特に0.003〜0.02モル当量となる量であることが好ましい。
【0076】
粘着性組成物Pが、シランカップリング剤(E)を含有すると、得られる粘着剤のガラス基板に対する密着性を向上させることができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が反応性官能基としてカルボキシル基を有する場合、シランカップリング剤(E)の有機反応性基等と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のカルボキシル基とが反応し、他方においてシランカップリング剤(E)のアルコキシシリル基等がガラス基板等の被着体面に作用する。このため、例えば偏光板を液晶ガラスセルなどに貼合する場合に、粘着剤と液晶ガラスセルとの間の密着性がより良好となる。なお、重合体(A)の反応性官能基が、カルボキシル基以外である場合には、当該反応性官能基と作用する有機反応性基を有するシランカップリング剤(E)が適宜選択される。
【0077】
シランカップリング剤(E)としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、粘着剤成分との相溶性がよく、かつ光透過性を有するもの、例えば実質上透明なものが好適である。このようなシランカップリング剤(E)の配合量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して0.01〜1.0質量部であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量部であることが好ましい。
【0078】
シランカップリング剤(E)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
〔粘着性組成物の製造方法〕
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)のそれぞれを製造し、それらを混合するとともに、所望により、任意の段階で光重合開始剤(C)、架橋剤(D)、シランカップリング剤(E)等を添加することで製造することができる。
【0080】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、通常のラジカル重合法により製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0081】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0082】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0083】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0084】
一方、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、前述した通り、(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性二重結合含有化合物(b2)とを反応させることにより製造することができる。(メタ)アクリル系重合体(b1)は、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の製造方法と同様にして製造することができる。
【0085】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)および反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が得られたら、重合体(A)および(B)の溶液を混合し、希釈溶媒を加える。その後、所望により、光重合開始剤(C)、架橋剤(D)、シランカップリング剤(E)等を添加し、十分に混合することにより、溶媒で希釈された粘着性組成物(塗布溶液)を得る。
【0086】
粘着性組成物を希釈して塗布溶液とするための希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
【0087】
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物の濃度が10〜40質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物がコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物がそのまま塗布溶液となる。
【0088】
〔粘着剤の形成〕
本実施形態に係る粘着剤は、粘着性組成物Pを所望の対象物に塗布し乾燥させた後、活性エネルギー線の照射により粘着性組成物Pを硬化させることによって、好ましく得ることができる。
【0089】
粘着性組成物Pの乾燥は、風乾によって行ってもよいが、通常は加熱処理(好ましくは、熱風乾燥)によって行う。加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が反応性官能基を有し、粘着性組成物Pが架橋剤(D)を含有する場合には、上記の加熱処理によって(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は架橋されることとなる。
【0090】
活性エネルギー線としては、通常、紫外線、電子線等が用いられる。活性エネルギー線の照射量は、エネルギー線の種類によって異なるが、例えば紫外線の場合には、光量で50〜1000mJ/cm
2が好ましく、特に100〜500mJ/cm
2が好ましい。また、電子線の場合には、10〜1000krad程度が好ましい。
【0091】
上記活性エネルギー線の照射により、複数の反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、側鎖の重合性二重結合の開裂によって互いに結合して、三次元網目構造を形成し、複数の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、その三次元網目構造に挿入され、上記構造Xが形成されるものと推定される。このとき、粘着性組成物Pの硬化は速やかに行われるため、エージングの必要はなく、得られる粘着剤の諸物性は初期段階から安定する。当該粘着剤は、その構造Xにより、優れた凹凸追従性および耐熱性を発揮すると考えられる。
【0092】
本実施形態に係る粘着剤は、光学部材用として好ましく用いることができ、例えば、偏光板(偏光フィルム)と位相差板(位相差フィルム)などの光学部材同士の接着、あるいは偏光板(偏光フィルム)や位相差板(位相差フィルム)とガラス基板との接着に好適である。
【0093】
本実施形態に係る粘着剤は、凹凸追従性に優れるため、表面が粗面化した液晶セルに接着する場合でも、ディンプルを埋めるようにして液晶セルに密着し、それより優れた光学特性が得られる。また、本実施形態に係る粘着剤は、耐熱性にも優れる。すなわち、本実施形態に係る粘着剤は、凹凸追従性と耐熱性との両立を達成するものである。
【0094】
〔粘着シート〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る粘着シート1Aは、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。
【0095】
また、
図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0096】
いずれの粘着シート1A,1Bにおいても、粘着剤層11は、前述した粘着性組成物を硬化してなる粘着剤からなる。
【0097】
粘着剤層11の厚さは、粘着シート1A,1Bの使用目的に応じて適宜決定されるが、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲であり、例えば、光学部材、特に偏光板用の粘着剤層として使用する場合には、10〜50μm、特に10〜30μmであることが好ましい。
【0098】
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、所望の光学部材の他、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;合成紙;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。
【0099】
光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム等が挙げられる。
【0100】
基材13の厚さは、その種類によっても異なるが、例えば光学部材の場合には、通常10μm〜500μmであり、好ましくは50μm〜300μmである。
【0101】
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0102】
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シートは、活性エネルギー線透過性であることが好ましい。
【0103】
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0104】
上記粘着シート1Aを製造するには、剥離シート12の剥離面に、粘着性組成物Pを含む溶液(塗布溶液)を塗布し、乾燥することにより粘着性組成物の塗膜を得て、当該塗膜の露出面側に基材13を積層する。次に、上記剥離シート12越しに活性エネルギー線を照射して粘着剤層11を形成する。このとき、エージングは不要である。なお、活性エネルギー線の条件については、前述した通りである。
【0105】
また、上記粘着シート1Bを製造するには、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物を含む塗布溶液を塗布し、乾燥することにより粘着性組成物の塗膜を得て、当該塗膜の露出面側に剥離シート12bを積層する。次に、剥離シート12aまたは12bのいずれかの側から活性エネルギー線を照射して粘着剤層11を形成する。
【0106】
また、上記のように剥離シート越しに活性エネルギー線を照射して粘着剤層11を形成することに替えて、剥離シート上に粘着性組成物Pの塗膜層を形成し、その塗膜層が露出した状態のまま、活性エネルギー線を照射して粘着剤層11を形成し、その後、当該粘着剤層11に基材13や剥離シートを積層してもよい。さらには、基材13上に、直接粘着性組成物Pの塗膜層を形成し、当該塗膜層に活性エネルギー線を照射して粘着剤層11を形成してもよい。
【0107】
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0108】
ここで、例えば、液晶セルと偏光板とから構成される液晶表示装置を製造するには、粘着シート1Aの基材13として偏光板を使用し、当該粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合すればよい。
【0109】
また、例えば、液晶セルと偏光板との間に位相差板が配置される液晶表示装置を製造するには、一例として、まず、粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、粘着シート1Bの露出した粘着剤層11と位相差板とを貼合する。次いで、基材13として偏光板を使用した粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、粘着シート1Aの露出した粘着剤層11と上記位相差板とを貼合する。さらに、上記粘着シートBの粘着剤層11から他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、粘着シートBの露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合する。
【0110】
以上の粘着シート1A,1Bによれば、粘着剤層11の優れた凹凸追従性により、表面が粗面化した液晶セルに接着する場合でも、当該粘着剤層11は液晶セルに確実に密着する。
【0111】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0112】
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
【実施例】
【0113】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0114】
〔実施例1〕
1.重合体(A1)の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル76.5質量部、アクリル酸メトキシエチル20質量部、アクリル酸3.0質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、酢酸エチル200質量部、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、16時間反応させた後、室温まで冷却した。ここで、得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量80万の重合体(A1)の生成を確認した。
【0115】
2.重合体(B1)の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル85質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)15質量部、酢酸エチル200質量部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.16質量部、および2−メルカプトエタノール0.3質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を70℃に昇温し、6時間反応させた後、室温まで冷却し、官能基(x)として水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体(b1)を得た。
【0116】
次いで、重合性二重結合含有化合物(b2)としての2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を、当該MOIのイソシアネート基の量が(メタ)アクリル系重合体(b1)のHEAに対して0.1モル当量となるように添加し、触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加し、常温(23℃)常圧で24時間撹拌した。ここで、得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量5万の重合体(B1)の生成を確認した。
【0117】
3.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた重合体(A1)100質量部(固形分換算値)と、上記工程(2)で得られた重合体(B1)20質量部(固形分換算値)とを混合した後、光重合開始剤(C)としてベンゾフェノンおよび1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを1:1の質量比で混合したもの(チバ・スペシャリティケミカルズ社製,イルガキュア500)2.0質量部(重合体(B1)100質量部とした場合に光重合開始剤(C)が10質量部に相当する量)を添加し、十分に撹拌することにより、粘着性組成物の希釈溶液を得た。
【0118】
4.粘着剤層付き偏光板の製造
上記工程(3)で得られた粘着性組成物の希釈溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm)の剥離処理面にナイフコーターで塗布し、90℃で1分間加熱処理して粘着性組成物の塗膜を得た。
【0119】
次いで、ディスコティック液晶層付偏光フィルムからなる、偏光フィルムと視野角拡大フィルムとが一体化した偏光板を、上記粘着性組成物の塗膜の露出面とディスコティック液晶層の表面とが接するように、上記粘着性組成物の塗膜と貼合した。その後、剥離シート越しに以下の条件で紫外線を照射して、粘着性組成物の塗膜を粘着剤層にすることにより、粘着剤層付き偏光板を得た。なお、粘着剤層の厚さは25μmであった。
<紫外線照射条件>
・フュージョン社製無電極ランプ Hバルブ使用
・照度600mW/cm
2,光量150mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−36」を使用
【0120】
〔実施例2〕
重合性二重結合含有化合物(b2)としての2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を、当該MOIのイソシアネート基の量が(メタ)アクリル系重合体(b1)のHEAに対して0.2モル当量となるように、(メタ)アクリル系重合体(b1)と重合性二重結合含有化合物(b2)とを反応させた以外、実施例1の重合体(B1)と同様にして、重合体(B2)を製造した。得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量5万の重合体(B2)の生成を確認した。
【0121】
重合体(B1)に替えて重合体(B2)を使用する以外、実施例1と同様にして、粘着性組成物を調製し、当該粘着性組成物を使用して粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、粘着剤層の厚さは25μmであった。
【0122】
〔実施例3,比較例1〜3〕
重合体(B)の種類および配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、粘着剤層の厚さは25μmであった。
【0123】
〔比較例4〕
1.重合体(A2)の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル76質量部、アクリル酸メチル20質量部、アクリル酸4質量部、酢酸エチル200質量部、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、16時間反応させた後、室温まで冷却した。ここで、得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量80万の重合体(A2)の生成を確認した。
【0124】
2.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた重合体(A2)100質量部(固形分換算値)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート(TDI系)付加物(日本ポリウレタン社製,コロネートL)2.5質量部を添加し、十分に撹拌することにより、粘着性組成物の希釈溶液を得た。
【0125】
3.粘着剤層付き偏光板の製造
上記工程(2)で得られた粘着性組成物の希釈溶液を使用して、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、粘着剤層の厚さは25μmであった。
【0126】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0127】
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例または比較例にて粘着剤層付き偏光板の作製に使用した偏光板に替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801,厚さ:38μm)を使用する以外、実施例または比較例と同様にして、各例に対応した剥離シート/粘着剤層(厚さ25μm)/剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
【0128】
上記のように作製した粘着シートを、作製後すぐ(半日内)に、80mm×80mmのサイズにサンプリングして、その粘着剤層のみをポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、粘着剤のみの質量を精密天秤にて秤量した。また、上記のように作製した粘着シートを、23℃、50%RHの条件下で7日間保管し、その後、上記と同様にして粘着剤のみの質量を秤量した。これらの質量をM1とする。
【0129】
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。なお、粘着性組成物の塗膜に紫外線を照射して粘着剤層を形成した後、サンプリングして酢酸エチルに浸漬させるまでの所要時間は半日程度であった。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤のみの質量を、精密天秤にて秤量した。このときの質量をM2とする。
【0130】
得られたM1およびM2から、以下の式
ゲル分率(%)=(M2/M1)×100
によって、粘着シート作製直後(粘着剤層形成直後)のゲル分率G1(%)、および粘着シート作製(粘着剤層形成)から23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後のゲル分率G2(%)を算出した。
【0131】
また、得られたG1およびG2から、以下の式
ゲル分率変動率(%)=|(G2−G1)/G2|×100
によって、ゲル分率変動率(%)を算出した。結果を表2に示す。
【0132】
〔試験例2〕(ヘイズ値の測定)
測定サンプルとして、ゲル分率の測定に用いた粘着シートと同様の粘着シート(7日間保管済み)を用意した。当該粘着シートの粘着剤層について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,NDH2000)を用いて、JIS K7105に準じてヘイズ値(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0133】
〔試験例3〕(引張試験)
実施例または比較例で調製した粘着性組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811)の剥離処理面に塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着性組成物の塗膜を形成した。その塗膜と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した別の剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801)の剥離処理面とを貼り合わせて、以下の条件で紫外線を照射することにより粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。なお、粘着剤層の厚さは25μmであった。
<紫外線照射条件>
・フュージョン社製無電極ランプ Hバルブ使用
・照度600mW/cm
2,光量150mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−36」を使用
【0134】
上記粘着シートにおける粘着剤層の合計厚さが500μmとなるように、かつ積層体の最表層の剥離シートのみが残るように上記粘着剤層を複数層積層した。その後(比較例4だけは、エージングが必要なため、23℃、50%RHの雰囲気下で2週間放置した。)、上記粘着剤層を複数層積層した粘着シートから10mm幅×75mm長のサンプルを切り出し、積層体の最表層に積層された剥離シートを剥し、サンプル測定部位が10mm幅×20mm長(伸長方向)になるようにサンプルをセットし、23℃、50%RHの環境下で引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用いて引張速度200mm/分で伸長させ、破断伸長率(%)および破断応力(N/mm
2)を測定した。結果を表2に示す。
【0135】
〔試験例4〕(耐熱性評価)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、裁断装置(荻野製作所社製スーパーカッター,PN1−600)を用いて233mm×309mmサイズに調整した。剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介してポリメチルメタクリレート(PMMA)板(三菱レイヨン社製,アクリライトL001透明,厚さ2.0mm)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。
【0136】
その後、80℃dryの環境下に投入し、100時間後に10倍ルーペを用いて、浮きや剥がれの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。
○:浮き、剥がれ、発泡等が確認されなかった。
×:浮き、剥がれ、発泡等が確認された。
【0137】
〔試験例5〕(凹凸追従性試験)
実施例または比較例で調製した粘着性組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に乾燥後の塗布厚が50μmとなるように塗布し、90℃で1分間加熱処理(乾燥処理)して粘着性組成物の塗膜を得た後、以下の条件で紫外線を照射して粘着剤層を形成し、サンプルを作製した。
<紫外線照射条件>
・フュージョン社製無電極ランプ Hバルブ使用
・照度600mW/cm
2,光量150mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−36」を使用
【0138】
図3および
図4に示すように、サイズ125mm×125mm、厚さ1.1mmのPMMA板(三菱レイヨン社製,アクリライトL001透明)の上に、サイズ25mm×25mm、厚さ25μmまたは50μmのPETフィルムを載置し、上記サンプルの粘着剤面が厚さ25μmまたは50μmのPETフィルムを封止するように、上記サンプルをPMMA板に貼付した。次いで、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。そして、上記封止されたPETフィルムの端部近傍にて発生している粘着剤層の浮きの長さL(厚さ25μmまたは50μmのPETフィルムの端部から、粘着剤層と無アルカリガラス板との接着部分までの距離を任意に5点測定し、それらを平均した距離)を測定した。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。
◎:浮きの長さLが0.1mm未満
○:浮きの長さLが0.1mm以上0.5mm未満
△:浮きの長さLが0.5mm以上1.0mm未満
×:浮きの長さLが1.0mm以上
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
表2から明らかなように、実施例で得られた粘着剤層の粘着剤は、ゲル分率変動率、破断伸長率および破断応力において本発明の要件を満たし、凹凸追従性および耐熱性のいずれも優れていた。