(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遠位の頂端の各々が、前記遠位の頂端を前記グラフト材に結合する縫合糸を受け入れるようになされている第二の縫合用の穴を備えている端部領域を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のステント。
前記画像形成要素の近位側の位置において前記移行領域内に設けられた縮径部を構成する切欠き領域を更に備えており、該切欠き領域は、該ステントの近位領域が径方向へ広がり易くするようになされている、ことを特徴とする請求項1に記載のステント。
前記一連の近位の頂端が交互に配置された第一の近位の頂端と第二の近位の頂端とからなり、前記第一の近位の頂端の各々が第一の穴を備えている端部領域を備えており、前記第二の近位の頂端の各々が第二の穴を備えており、
前記第一の近位の頂端のうちの少なくとも1つが、該ステントの給送中に、前記第一及び第二の穴に通されて配置される単一のトリガーワイヤによって、隣接する第二の近位の頂端と共に一斉に拘束される、ことを特徴とする請求項1に記載のステント。
前記第一の近位の頂端に形成されている前記第一の穴が、給送状態において、前記第二の近位の頂端に形成されている第二の穴に長手方向及び周方向で重なっている、ことを特徴とする請求項7に記載のステント。
前記第一の近位の頂端の前記第一の穴の遠位側の位置に形成されている凹状部分を更に備えており、前記第二の近位の頂端は、前記第一の近位の頂端に向かって引っ張られて前記第一の近位の頂端の前記凹状部分内で入れ子状となる構造とされており、前記第一及び第二の穴は、該ステントの給送中に、単一のトリガーワイヤが前記第一及び第二の穴に通されて配置されたときに、互いに実質的に長手方向で整合された状態に配置される、ことを特徴とする請求項7に記載のステント。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願において、“近位”という用語は医療処置中に概ね心臓に最も近い方向を指しており、一方、“遠位”という用語は、医療処理中に心臓から最も遠い方向を指している。
【0032】
図1を参照すると、ステント20は連続している筒状体によって作られており、該筒状体には、該筒状体の壁に隙間を形成するためにレーザー又は化学エッチングによってパターンが切り込まれている。次いで、結果的に得られた構造が熱硬化されて、所望の最終的な形状が付与される。好ましい最終的な形状としては、
図1に概略的に示されているように、一連の近位の頂端と一連の遠位の頂端とを備えている形状がある。従って、
図1に示されているように、ステント20の近位端22は多数の互いに隣接している近位の頂端22a,22bを備えており、一方、ステント20の遠位端24は多数の互いに隣接している遠位の頂端62a,62bを備えている。
【0033】
従来のステントにおいては、1以上のトリガーワイヤが、ステントの近位端22の頂端39及び/又は遠位端24の頂端69に通されて配置されている。給送のためにステントが圧縮されるとき、トリガーワイヤが頂端39,69に通されて配置された場合には、トリガーワイヤはステントのストラット部に挟まれることになり、これによってステントのストラット部及び/又はトリガーワイヤ自体が損傷される可能性がある。以下に説明するように、本発明は、1以上のトリガーワイヤをステント20に結合させるために異なる方法を使用している。
【0034】
図1〜2を参照すると、少なくとも1対の互いに隣接している近位の頂端22a,22bは異なる構造を有している。例えば、
図2に示されているように、第一の近位の頂端22aは、穴31が形成されている端部領域30を備えており、穴31はトリガーワイヤ84を受け入れる構造とされている。
図1〜2に示されているように、互いに隣接している第二の近位の頂端22bは端部領域40を備えており、端部領域40には一体化された棘状部42が形成されている。しかしながら、第二の頂端22bは、以下において
図2に関して説明され且つ示されるように、トリガーワイヤを使用して拘束される構造とされていない。ここに示されている種々の構造を有している互いに隣接している頂端22a及び22bを使用することによって、改良されたトリガーワイヤの取り付けが達成でき且つ以下において更に説明するように棘状部のもつれが少なくなる。
【0035】
上記したように、ステント20は、第二の近位の頂端22bの端部領域40のうちの少なくとも1つに配置されている1以上の棘状部42を備えている。棘状部42は、端部領域40内に所望の棘形状をレーザー加工することによって形成される。従って、
図1〜2に示されているように、所望の棘形状が形成された後に、各端部領域40内に隙間41が形成される。ひとたび所望の棘形状が切り込まれると、棘状部42の主本体部は端部領域40に対して径方向外方へ曲げられる。角度はどんな鋭角であっても良いし、代替的には実質的に直角か又は鈍角であっても良い。必要に応じて、棘状部42は、目標組織部位での係合を容易にするために例えば棘状部の先端を研磨することによって尖らせても良い。
【0036】
同じく
図1を参照すると、ステント20は、近位の頂端と遠位の頂端との間に配置されている少なくとも1つのストラット部を備えている。例えば、第一の近位の頂端22aとこれに対応する遠位の頂端62aとの間に、複合的な角度が付けられたストラット部が配置されており、これと同じ角度が付けられたストラット部の組が互いに隣接している第二の近位の頂端22bとこれに対応する遠位の頂端62bとの間に配置されている。例示として、第一の近位の頂端22aは遠位方向に延びており且つ各々角度が付けられた第一と第二のストラット部57と58とに分かれて、
図1に示されているように近位の頂端39を形成している。圧縮状態においては、角度が付けられている第一及び第二のストラット部57及び58は、互いにほぼ平行になるように圧縮される。
図1に示されている拡張状態においては、角度が付けられた第一及び第二のストラット部57,58はステント20の長手軸線Lに対してある角度で配置される。拡張状態においては、角度が付けられている第一及び第二のストラット部57,58は、
図1に示されているようにステント20の長手軸線Lに対して約20〜60度の角度で配置される。
【0037】
同様に、遠位の頂端62aの各々は、近位方向に延び且つ各々角度が付けられた第一と第二のストラット部67と68とに分離されて頂端69を形成している。近位の頂端22a及び遠位の頂端62aの角度が付けられた第一のストラット部57,67は、互いに隣接している近位の頂端22b及び遠位の頂端62bの角度が付けられている第二のストラット部58及び68と各々結合して移行領域50を形成している。このようにして、ステント20は
図1に示されている連続したほぼ筒形状に形成されている。
【0038】
ステント20の拡張は、圧縮状態では互いにほぼ平行であるが、
図1に示されている拡張状態においては相互に離れるように外方へ曲がる傾向を有する角度が付けられているストラット部57,58,67,68によって少なくとも部分的に提供される。以下において更に説明するように、ステント20は適当な材料、好ましくはレーザー切断されたニチノール製のカニューレによって形成される。ステント20は、ニチノールによって作られている場合には、給送用シースを取り外したときに
図1に示されている拡張状態を呈する。
【0039】
各移行領域50は、
図1に示されているように、ステント20の長手軸線Lにほぼ平行な方向を向いている。更に、各移行領域50は角度が付けられている区分より表面積が大きい。なぜならば、これらの移行領域は、中心位置で結合されている多数の異なる角度が付けられている区分57,58,67,68によって実質的に構成されているからである。
【0040】
同じく
図1を参照すると、ステント20は、移行領域50のうちの少なくとも1つに設けられている少なくとも1つの棘状部52を備えている。棘状部52は、ストラット部の一部として又は移行領域50の表面に接着された外部の棘状部によって構成されても良い。
図1に示されているように、多数の棘状部52が設けられているのが好ましい。棘状部52は、移行領域50内に望ましい棘形状をレーザー加工することによって形成されている。従って、棘状部は移行領域50と一体化している。従って、
図1に示されているように所望の棘形状が形成された後に移行領域50に隙間51が形成される。移行領域50はステント20の他の領域より表面積が大きいので、ステントの構造的一体性に不利な影響を及ぼすことなく移行領域50の一部に穴を開けることは比較的容易である。ひとたび所望の棘形状が切り込まれると、棘状部52の主本体部は、移行領域50に対してある角度で外方へ曲げられ、また随意的に目標組織部位における係合を容易にするように尖らされる。
【0041】
遠位の頂端62a,62bの各々は、
図1に示されているように、穴61が形成されている端部領域60を備えている。ステント20の遠位端24は、下の
図9に示されているグラフト材300のようにグラフト材の近位端に結合される。遠位の頂端62a,62bは、例えばグラフト材及びステント20の穴61に通されてループにされている1以上の縫合糸を使用してグラフト材に結合される。このようにして、ステント20は、血管内グラフトの固定のための取り付けステントとして使用することができる。例えば、グラフト材は動脈瘤に重ねられて動脈瘤内への流体の流れをシールし、一方、ステント20の近位端22は、グラフト材から近位方向に離れる方向に延びて、例えば動脈瘤の疾患した部分から離れた血管壁の健全な部分に係合される。
【0042】
ステント20は、血管又は導管内の目標位置へ進入させることができるように、直径が小さい給送状態を有している。ステント20はまた、血管又は導管の少なくとも一部分に径方向外方への力をかけて、例えば通路内の開存性を維持し又はグラフトの管腔を開口した状態に保持するための拡張された配備状態をも有している。拡張された状態においては、ステント20の中心管腔を通った流体の流れが許容される。更に、ステント20のストラット部は、ほぼ平らな外形を有するか又は丸い外形を有している。
図2において最も良くわかるように、ステント20のストラット部は、概ね平らなワイヤ状の外形を有している。
【0043】
ステント20は超弾性材料によって作られていてもよい。単なる例示として、超弾性材料として、ニッケル−チタン合金(ニチノール)のような形状記憶合金がある。ステント20がニチノールのような自己拡張型の素材からなる場合には、ステントは所望の拡張状態に熱硬化され、ステント20は、ある種の冷媒又は温媒を適用すると弛緩形状を呈し、該弛緩状態では予め形成された第一の拡張された内径を呈する。別の方法として、ステント20は、他の金属及び合金であって圧縮によって材料に永久的な歪みを惹き起すことなく配備されたときに元の拡張された形状へ戻る他の金属及び合金によって作ることもできる。単に例示として、ステント20は、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金、アモルファス金属、タンタル、白金、及びチタンのような他の材料によって構成することができる。また、熱可塑性樹脂及びその他の高分子材料のような非金属材料によってステント20を作っても良い。
【0044】
図2を参照すると、ステント20は、押し込み部材80及び複数のトリガーワイヤ84を使用して圧縮形態で目標部位へ送り込まれる。
図2においては、例示的な押し込み部材80は、主本体部81とこの主本体部81の近位側に配置されている先細領域82とを備えている。先細領域82は、近位位置における比較的小さな直径へと連続的に移行して該比較的小径の近位領域が非外傷性のアクセス及び給送を可能にするようにされている。複数のトリガーワイヤ84が主本体部81の境界に配置され、該トリガーワイヤは押し込み部材80の全長に亘って延びている。トリガーワイヤ84はまた、任意であるが係止構造を備えている1以上のハンドルを操作することによって作動されてステント20の近位端22の配備を制御する。
【0045】
ひとつのトリガーワイヤ84が、第一の近位の頂端22aのうちの選択された1つの穴31に通されてループ状にされ、給送中のステント20を拘束する。トリガーワイヤは棘状部42を備えている第二の近位の頂端22bには結合されていない。図示されている実施形態においては、トリガーワイヤ84は、
図2に見ることができるように、交互に配置されている近位の頂端にのみ通されて配置されている。第一の近位の頂端のうちの選択されたもの例えば第一の近位の頂端22aの各々を拘束することによって、これらに隣接している第二の近位の頂端22bもまた、給送中に径方向内方へ間接的に引き込まれる。ステント20の構造、特に移行領域50において結合している角度が付けられている区分57,58,67,68は、隣接している第二の近位の頂端22bの間接的な圧縮を補助する。近位の頂端のうちの選択されたもののみを給送中に拘束するので、トリガーワイヤの本数を減らすことができて有利である。更に、棘状部42は一つおきの頂端に設けられているので、
図2に示されているように棘状部同士の絡まりが少なくなるか又は排除される。
【0046】
ステント20の構造に伴うもう一つ別の利点は、トリガーワイヤ84が頂点39を介して配置されるのではなく、第一の近位の頂端22aに形成されている穴31に通されて配置されている点である。従って、トリガーワイヤ84は、ステント20の圧縮中に損傷状態となり難い。更に、ステントのストラット部自体が損傷され難い。なぜならば、トリガーワイヤ84は第一の近位の頂端22aの穴31内に隔離されているからである。
【0047】
図3〜6を参照すると、代替的なステント構造が記載されている。
図3において、ステント120はまた連続した筒状体によって作ることもでき、該筒状体にはレーザー又は化学エッチングによってパターンが切り込まれて該筒状体の壁に隙間が形成される。結果として得られた構造は、その後に熱硬化されて所望の最終形状が付与される。好ましい最終的な構造としては、
図3に概略的に示されている一連の近位の頂端と一連の遠位の頂端とを備えている形状がある。従って、ステント120の近位端122は多数の互いに隣接している近位の頂端122a,122bを備えており、一方、ステント20の遠位端124は、
図3に示されているように多数の互いに隣接している近位の頂端162a,162bを備えている。
【0048】
互いに隣接している近位の頂端122a及び122bからなる1以上の対は、異なる構造を有していても良い。例えば、第一の近位の頂端122aは第一の穴131が形成されている端部領域130を備えており、この第一の穴131は、下の
図5〜6に示されているように、トリガーワイヤ184を受け入れる構造とされている。互いに隣接している第二の近位の頂端122bは、
図3〜6に示されているように、一体化している棘状部142が形成されている端部領域140を備えている。第二の近位の頂端122bには更に、
図4において最も良くわかるように第二の穴145が形成されており、該第二の穴145は、下の
図5〜6に関して説明され示されているように、互いに隣接している第一の近位の頂端122aと同じトリガーワイヤ184を受け入れる構造とされている。ここに示されている種々の特徴を有している互いに隣接している近位の頂端122a,122bを使用することによって、改良されたトリガーワイヤの取り付けが達成でき且つ以下に更に説明するように棘状部同士の絡まりが減じられる。
【0049】
第二の近位の頂端122bの各々は、
図4に示されているように第一の領域147と第二の領域148とを備えている。
図4に示されているように、ひとつの棘状部142が第一の領域147内の第二の近位の頂端122bの各々に設けられており、一方、第二の穴145が第二の領域148に設けられている。棘状部142は、端部領域140に所望の棘形状をレーザー加工することによって形成され、その結果、ステント20に関して概略的に上記したように隙間141が形成される。ひとたび所望の棘形状が切り込まれると、棘状部142の主本体部は、上記したように径方向外方に曲げられ、また随意的に尖らせてある。
【0050】
第二の近位の頂端122bは更に凹状部分149を備えており、凹状部分149は、
図4において最も良くわかるように第二の穴145の遠位側の位置に形成されている。以下において更に説明するように、ステント120の給送中に、第一の近位の頂端122aは、第二の近位の頂端122bに向かって引っ張られ且つトリガーワイヤが第一の穴131と第二の穴145とに通されて配置されたときに第二の近位の頂端122bの凹状部分149内に入れ子状にされる。
【0051】
第一の近位の頂端122aの第一の穴131は、隣接している第二の近位の頂端122bの第二の穴145の若干遠位側に配置されている。更に、
図3に示されているように、ステント120の遠位の端縁h
0と近位の頂端122aの各々の近位の端縁h
1との間の第一の長手方向の距離L
1は、ステントの遠位の端縁h
0と凹状部49の各々の遠位の端縁h
2との間の第二の長手方向の距離L
2よりも短い。この長さの違いにより、
図5〜6に関して以下において更に説明するように、ステントの給送中において第一の近位の頂端122aが第二の近位の頂端122bの凹状部149内へ入れ子状にすることが容易になる。
【0052】
同じく
図3を参照すると、ステント120は、近位の頂端と遠位の頂端との間に配置されている少なくとも1つのストラット部を備えている。一つの形態においては、近位の頂端と遠位の頂端とは互いにまっすぐには整合されていない。例えば、
図3に示されているように、角度が付けられている第一の区分157は近位の頂端122aとこれに対応する遠位の頂端162aとの間に配置されており、角度が付けられている第二の区分158は同じ近位の頂端122aとこれに隣接している遠位の頂端162bとの間に配置されている。要するに、近位の頂端122a,122bの各々は、遠位方向に延びていて各々角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とに分かれて近位の頂点139を形成している。同様に、遠位の頂端162aと162bとの各々は、近位方向に延びていて各々角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とに分かれて遠位の頂点169を形成している。このようにして、ステント120は、
図3に示されているように連続している概ね円筒形の形状に形成されている。
【0053】
圧縮状態においては、角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とは、これらが互いにほぼ平行になるように圧縮される。
図3に示されている拡張状態においては、角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とは、
図3に示されているようにステントの長手軸線Lに対してある角度で配置されている。拡張状態においては、角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とは、ステント120の長手軸線Lに対して約20〜60℃の角度で配置される。ステント120の拡張は、角度が付けられているストラット部157と158とによって少なくとも部分的に提供される。これらの角度が付けられているストラット部は、圧縮状態においては互いにほぼ平行であり、
図3に示されている拡張状態においては互いに外方へ離れる方向に曲がる傾向を有する。上記したステント20と同様に、ステント120は、あらゆる適切な材料好ましくはニッケル−チタン合金によって作られていてもよく、給送用シースを取り外したときに
図3に示されている拡張状態を呈するように形成されていてもよい。
【0054】
角度が付けられている第一のストラット部157と角度が付けられている第二のストラット部158とは、遠位方向において互いに結合して遠位の移行領域150を形成しており、該遠位の移行領域はステント120の遠位の端部領域160と同じであると効率が良い。各遠位の端部領域160は、
図3に示されているように、ステント120の長手軸線Lにほぼ平行な方向に配向されている。更に、各端部領域160は相互に結合している多数の異なる角度が付けられている区分157及び158によって実質的に形成されているので、端部領域160は角度が付けられている区分より大きな表面積を有している。少なくとも1つの遠位の棘状部152が、所望の棘形状をレーザー加工することによって一体に形成されており、その結果、
図3に示されているように端部領域160に隙間151が形成されている。端部領域160はステント120の他の領域よりも表面積が大きいので、ステントの構造的一体性に悪影響を及ぼすことなく端部領域160の部分に穴を開けることが比較的容易である。更に、
図3に示されているように、縫合用の穴161が遠位の頂端162a及び162bの各々の端部領域160に形成されている。ステント120の遠位端124は、
図1〜2の実施形態に関して概略的に上記したように、縫合糸を穴161とグラフト材との中を通してループ状にすることによって、
図9のグラフト材300のようなグラフト材の近位端に結合される。
【0055】
図5〜6を参照すると、ステント120は、
図2の押し込み部材80のような押し込み部材と複数のトリガーワイヤとを使用して、圧縮形態で目標部位に送り込まれる。一つの特徴に従って、トリガーワイヤ184は、第一の近位の頂端122aの各々の第一の穴131に通されてループにされ、更に、隣接している第二の近位の頂端122bの第二の穴に通されてループにされている。従って、各々個々のトリガーワイヤは、給送中に2つの別個の互いに隣接している近位の頂端を拘束する。
図6に示されているように、ステント120が一杯まで圧縮されたときに、互いに隣接している第一及び第二の近位の頂端122a及び122bは、周方向において互いにより近づくように引っ張られる。長さL
1とL
2との差により、近位の頂端122aの各々は、
図6に示されているように、近位の頂端122bの第二の領域148の遠位側の凹状部分149内で実質的に入れ子状になる。更に、第一の穴131は第二の穴145の遠位側に位置していて、ひとつのトリガーワイヤ184がステントの給送中に第一の穴と第二の穴とに通されて配置されたときに、第一の穴131と第二の穴145とが互いに長手方向に実質的に整合されて配置される。
【0056】
単一のトリガーワイヤを使用してステント120の2つの別個の互いに隣接している頂端が拘束されるのが有利である。更に、トリガーワイヤ184は、穴131と145とに通されて設けられているだけであり、頂点139の近くには配置されていない。従って、これらのトリガーワイヤはステント120の圧縮中に損傷される可能性が比較的低い。更に、トリガーワイヤ184は穴131及び145内で離隔されているので、ステントのストラット部自体が損傷を受ける可能性が比較的低い。
【0057】
図7を参照すると、遠位の頂端162a,162bのうちの1以上は、任意であるが、縫合用の穴161と棘状部の隙間151との間に設けられている画像形成用の穴190を備えている。画像形成用の穴190は、金製のマーカーのような適切な放射線不透過性のマーカーを受け入れることができる。画像形成用の穴190及びそれに関連付けられている放射線不透過性のマーカーは、交互の遠位の頂端例えば遠位の頂端162aにのみ設けられているのが好ましい。別の方法として、画像形成用の穴190は、遠位の頂端162a,162bの各々に設けられていても良く、又はステントの周囲の3個おき又は4個おきの頂点に設けられていても良い。画像形成用の穴190は、面取りされていても良く又は別の方法として端部領域160のストラット部に対してほぼ直交していても良い。
【0058】
使用時には、画像形成用の穴190は、例えばステント120が血管内でのグラフトの固定のために使用されるときに、グラフト材の遠位端縁に整合される。更に特別には、縫合用の穴161は、グラフト材の近位領域に重なって、縫合糸によってステント120が何らかの所望の重なり程度でグラフト材に結合される。従って、グラフト材の近位の端縁は画像形成用の穴190と整合される。医師は、画像形成用の穴190内の放射線不透過性のマーカーの位置を見ることができるので、グラフト材の近位の端縁が配置されようとしている位置を正確に知ることができ有利である。従って、不意にグラフト材が血管側枝又は別の不所望な位置に重なる可能性が少なくなる。
【0059】
図8〜9を参照すると、代替的なステント220が示され且つ説明されている。ステント220は、以下に記す主たる点を除いては
図1〜2のステント20と同様であり、ステント220の参照番号はステント20の同様の参照番号に対応している。
【0060】
ステント220は移行領域250を備えており、該移行領域においては、近位の頂端22aの角度が付けられている第一のストラット部57及び遠位の頂端62aの角度が付けられている第一のストラット部67は、各々、隣接している近位の頂端22bの角度が付けられている第二のストラット部58及び遠位の頂端62bの角度が付けられている第二のストラット部68と結合している。
図1〜2のステント20と同様に、ステント220は移行領域250のうちの少なくとも1つに設けられている少なくとも1つの棘状部252を備えている。移行領域50に関して上記したように、移行領域250の棘状部252は、ストラット部の一部として一体的に形成されていても良く、又は移行領域250の表面に接着される外部の棘状部によって構成されても良い。
図1に示されているように、多数の一体的な棘状部252が、例えば、所望の棘形状をレーザー加工し且つ移行領域250内に隙間251を形成することによって設けられるのが好ましい。
【0061】
更に、
図8〜9の移行領域250は、画像形成用の穴290と第一の縫合用の穴292とを備えている。
図8〜9に示されているように、移行領域250の画像形成用の穴290は棘状部252の遠位側に設けられており、次いで、第一の縫合用の穴292が画像形成用の穴290の遠位側に設けられている。
【0062】
上の
図7に図示されている画像形成用の穴190と同様に、画像形成用の穴290は、
図9に示されているように、適当な放射線不透過性のマーカー例えば金製のマーカーの形態の画像形成用部材291を受け入れることができる。内部に画像形成用部材291が配置された画像形成用の穴290は、
図9に示されているようにグラフト材300の近位端縁304と整列して近位の端縁304の正確な像が形成されるようになされている。
図8〜9に示されているように、画像形成用の穴290とそれに関連付けられた画像形成用部材291とは、移行領域250の各々に設けられている。従って、10個の異なる移行領域250が近位の頂端と遠位の頂端との間に設けられている
図8〜9の実施形態においては、10個の異なる画像形成用の穴290とこれに対応する画像形成用部材291とがグラフト材300の近位端縁304に設けられていて、特にステント220が血管内でのグラフトの固定のために使用されるときに、近位の端縁304における視覚化を著しく高めることができる。
【0063】
第一の縫合用の穴292がグラフト材300の近位領域に重なって、ステント220をグラフト材300にある程度の重なり程度で結合させる。従って、グラフト材300の近位の端縁304は、上記したように画像形成用の穴290と整列される。
【0064】
図8〜9の実施形態においては、第一の縫合用の穴292を移行領域250内に設けることによって、遠位の頂端62a,62bの端部領域60に形成されている穴61が第二の縫合用の穴となる。別の言い方をすると、グラフト材300は、ステント220に、第一の縫合用の穴292に通されて配置された縫合糸によって固定され、更に第二の縫合用の穴61に通されて配置された縫合糸によっても固定される。従って、ステント220の遠位部分は、多数の隔置されている長手方向の位置においてグラフト材300に固定される。
【0065】
図8〜9の実施形態においては、ステント220は、該ステント220が2つの別個のステントによって予め成形された機能を果たすことができる方法でグラフト材300と重なっている。特に、ステント220の構造と該ステントがグラフト材300に重なる方法とによって、ステント220がグラフト材300の近位端のためのシール機能の達成と、更に血管に対するむき出しの取り付け機能の達成との両方が可能になる。
【0066】
特に、ステント220は近位領域270を備えており、該近位領域は一連の近位の頂端22a及び22bを備え、移行領域250の近位部分は少なくとも1つの棘状部252を備えており、該近位領域270は、
図9に示されているように、長さx
1に亘って延びており且つグラフト材300を越えて近位方向に配置されている。ステント220はまた遠位領域280をも備えており、該遠位領域は、一連の遠位の頂端62a,62bを備えており、移行領域250の遠位部分は第一の縫合用の穴292を備えており、該遠位領域は長さx
2に亘って延びており且つグラフト材300と重なっている。注目すべき点は、対応する画像形成部材291を備えている画像形成用の穴290が、グラフト材300の近位の端縁304の終点に対応する位置に配置されていることである。
【0067】
一つの実施形態においては、グラフト材300を越えて近位方向に配置されているステント200の近位領域270の長さx
1は、ステント220の長手方向の長さの約55〜約80%を占めており、一方、グラフト300内に配置されているステントの遠位領域280の長さx
2は、ステント220の長手方向の長さの約20〜約45%を占めている。
【0068】
ステント220の近位領域270は血管内でのグラフトの固定のための取り付けステント部分として使用されており、一方、ステント220の遠位領域280はグラフト300の近位端のためのシール機能を果たすために十分な距離だけグラフト部材300と重なっているので有利である。このことにより、グラフト材300のためのシール機能を提供するためにグラフト材の近位端に第一のステントを設け且つ血管内での固定機能を果たすためにグラフト材300の最も近位端に取り付けられ且つそこから近位方向に延びている別個の実質的にむき出しの第二のステントを設ける必要性が排除されている。
【0069】
別個の近位のグラフトシールステントとむき出しの血管取り付けステントの必要性を排除している
図8〜9のステント220は、近位位置に比較的短いステント取り付け領域を許容する異形の解剖学的構造がある胸部大動脈瘤及び腹部大動脈瘤の治療に特に適しており且つ有利である。ステント220は、約10mm〜約15mmのくびれた部分の長さ(すなわち、異形組織及び/又は血管側枝の間に配置されている健全な組織のシール領域)で使用される。ステント220はまた、腎動脈の上に配置されるときには約45度以下のくびれ角度で使用され、腎動脈の下に配置されるときには約60度以下のくびれ長さで使用される。従って、ステント220は、図示されているようにグラフト材300の近位端に重ねられるときに、比較的短く且つ角度が付いている患者の解剖学的構造のくびれた部分に“接地させる”ことができ、グラフト材の近位端において2つの別個のステントが使用されている従来の器具は、異形組織及び血管側枝に重なることなく“接地させる”ことができなかった。更に、グラフトのシール機能及びむき出しの取り付け機能を提供しているステント220は、別々のシールステントとむき出し取り付けステントよりも大きな径方向の力を血管に付与することができる。
【0070】
一つの実施形態においては、グラフト材300は1以上のステントからなり、該1以上のステントは、グラフト材300の遠位領域及び中央領域すなわちステント220の遠位側の位置に結合されている。グラフト材300の遠位領域及び中央領域に結合されている該1以上のステントは、単一の曲げられたワイヤによって形成されているジグザグ形状か又はその他の所望の形状を有しており、その結果、ステント220の遠位側の位置にグラフト材300の長手方向の長さに沿った開存性を維持することができる。
【0071】
図10を参照すると、代替的なステント220’は
図8〜9のステント220と類似しており、主な違いは、ステント220’の近位の領域が
図3〜6の交互の近位の頂端122aと122bとを備えている点である。従って、
図10のステント220’は、先の
図3〜6のステント120と同様に、単一のトリガーワイヤ184が各々互いに隣接している近位の頂端122aの第一の穴131と近位の頂端122bの第二の穴145に通されて配置されることが可能にされている。
【0072】
図11を参照すると、代替的な実施形態においては、
図8〜10のステント220又は220’が直径の小さい切欠き領域298を更に備えており、この切欠き領域298は、画像形成用の穴290と少なくとも1つの棘状部252との間の択一的な移行領域250’に配置されている。切欠き領域298は、ステント220と220’との近位領域270が径方向へ広がるのを容易にして近位の頂端を血管の壁に確実に係合させる。
図11には例示的な切欠き領域298が示されているが、代替的な構造を使用して遠位領域280に対する近位領域270の径方向外方への広がりを促進しても良い。
【0073】
図12〜13を参照すると、上記の原理に従って、トリガーワイヤの本数を減らすことができるステント320の近位の頂端の代替的な構造が示され且つ記載されている。
図12においては、互いに隣接している近位の頂端322a及び322bの1以上の対は異なる構造を有している。例えば、第一の近位の頂端322aは、第一の穴331が形成されている端部領域330を備えており、第一の穴331は上の
図5〜6のトリガーワイヤ184を受け入れる構造とされている。
図12に示されているように、隣接している第二の近位の頂端322bは、一体の棘状部342が形成されている端部領域340を備えている。第二の近位の頂端322bは更に、第二の穴345が設けられている突出領域344を備えており、第二の穴345は、上の
図5〜6に関して記載され且つ示された方法で、隣接している第一の近位の頂端322aと同じトリガーワイヤ184を受け入れる構造とされている。
【0074】
第一の近位の頂端322aは更に、
図12に示されているように、第一の穴331の近位側の位置に形成されている凹状部分333を備えている。ステント320の給送中に、第二の近位の頂端322bは、第一の近位の頂端322aに向かって引っ張られる構造とされていて、その結果、第二の近位の頂端322bの突出領域344は、
図5〜6のトリガーワイヤ184が第一の穴331と第二の穴345とに通されて配置されるときに、第一の近位の頂端322aの凹状部分333内で入れ子状になるようになされている。第一の穴331と第二の穴345とは、ステントの給送中にトリガーワイヤ184が第一の穴331と第二の穴345とに通されて配置されたときに、実質的に互いに長手方向に沿って整列されるように配置されている。ここに示されている異なる構造を有している互いに隣接している近位の頂端322a及び322bを使用することによって、改良されたトリガーワイヤの取り付けが達成され且つ上記したように棘状部のもつれが減じられるので有利である。
【0075】
図13を参照すると、互いに隣接している近位の頂端322a’,322b’からなる対を1以上備えているステント320’は概ね対称構造を有している。近位の頂端322a’は第一の穴331’が形成されている端部領域330’を備えており、一方、遠位の頂端322b’は第二の穴345’が形成されている端部領域340’を備えている。端部領域330’と340’とは、第一の穴331’と第二の穴345’とが配置されている突出部を備えており、該突出部は概ね互いに対向している。従って、ステント320’の給送中に、第二の近位の頂端322b’は第一の近位の頂端322a’に近づく方向に引っ張られる構造とされていて、第一の近位の頂端322a’と第二の近位の頂端322b’との突出部同士が重なり、次いで、第一の穴331’と第二の穴345’とが
図13に示されているように重なる。従って、
図5〜6のトリガーワイヤ184は、第一の穴331’と第二の穴345’とに通されて配置される。
【0076】
図14〜15を参照すると、代替的な実施形態が図示され且つ説明されている。
図14においては、ステントグラフト400は、第一のステント410及び第二ステント420とグラフト492とを備えている。グラフト492は、近位端及び遠位端と、これらの端部間に延びている管腔とを備えているが、図示の目的で
図14〜15にはグラフト492の近位端494のみが示されている。
【0077】
第一のステント410は、近位端及び遠位端と、第一のステント410の近位端に配置されている一連の近位の頂端412と、第一のステント410の遠位端に配置されている一連の遠位の頂端414とを備えている。
図14〜15に示されているように、複数のストラット部417及び418が、第一のステント410の一連の近位の頂端412と一連の遠位の頂端414との間に配置されている。
図14〜15に示されているように、第一のステント410は、第一のステント410の近位端と遠位端との間の長手方向の長さに沿ってグラフト492に重なっていて、第一のステント410の一連の近位の頂端412の各々はグラフト492の近位端494の遠位側に配置されている。
【0078】
第二のステント420は、近位端及び遠位端と、第二のステント420の近位端に配置されている一連の近位の頂端422a,422bと、第二のステント420の遠位端に配置されている一連の遠位の頂端460とを備えている。
図14〜15に示されているように、複数のストラット部457及び458が、第二のステント420の一連の近位の頂端422a,422bと一連の遠位の頂端460との間に配置されている。第二のステント420の一連の遠位の頂端460の各々は、グラフト492の近位端494の遠位側に配置されており、第二のステント420の一連の近位の頂端422a,422bの各々は、グラフト492の近位端494を越えた近位側に配置されている。
【0079】
第一のステント410の近位の頂端412のうちの少なくとも1つは、第二のステント420の対応する遠位の頂端460と周方向で整合されている。
図14〜15に示されているように、一つの実施形態においては、第一のステント410の近位の頂端412の各々が、第二のステント420の対応する遠位の頂端460と周方向で整合されている。
【0080】
図14〜15に示されているように、第一のステント410の近位の頂端412のうちの少なくとも1つは、縫合糸475によって第二のステント420の遠位の頂端460のうちの1つに結合されている。一つの実施形態においては、第一のステント410の近位の頂端412の各々は、縫合糸475を使用して第二のステント420の遠位の頂端460のうちの対応する1つに縫合されている。縫合糸475は、グラフト492の一部分に通されて第一のステント410の近位の頂端412のうちの1つを第二のステント420の遠位の頂端460のうちの1つに及びグラフト492にも同時に結合させている。必要ならば、互いに隣接しているステントを相互に結合させるために多数の縫合糸475が使用されても良く、又は1つの縫合糸475を使用して互いに隣接しているステント同士を結合させる一方で1以上の別個の縫合糸を使用してステント410,420をグラフト492に結合させても良い。
【0081】
図14〜15の実施形態においては、第一のステント410と第二のステント420とは異なる幾何学的構造を有している。非限定的な実施形態においては、第一のステント410は
図14〜15に示されているジグザグ型のステント形状を有している。これと対照的に、
図14の第二のステント420は、上記の
図3〜6のステント120に関して記載したものと類似しているステントの構造を有している。特に、第二のステント420は複数の交互に配置されている第一及び第二の近位の頂端422a,422bを備えており、第一の近位の頂端422aの各々は第一の穴431を備えている端部領域430を備えている。
図14に示されているように、第二の近位の頂端422bの各々は第一の領域447と第二の領域448とを備えている。
図14に示されているように、第一の領域447内の第二の近位の頂端422bの各々には単一の棘状部442が設けられており、一方、第二の領域448内には第二の穴445が設けられている。先にステント120に関して説明したように、棘状部442は、端部領域内に棘形状をレーザー加工することによって形成されている。ひとたび所望の棘形状が切り込まれると、棘状部442の主本体部分は、上記したように径方向外方へ曲げられ、また随意的に尖らされる。第二の近位の頂端422bは更に、第二の穴445の基端側の位置に形成されている凹状部分449を備えている。
図3〜6の実施形態に関して上記したように、ステント420の給送中に、第一の近位の頂端422aは、第二の近位の頂端422bに向かって引っ張られ且つトリガーワイヤが第一の穴431と第二の穴445とに通されて配置されたときに、第二の近位の頂端422bの凹状部分449内で入れ子状の形態となる。
【0082】
角度が付けられている第一及び第二のストラット部457,458は、遠位方向で相互に結合して遠位の移行領域450を形成している。
図14〜15の実施形態においては、第二のステント420の遠位の頂端460の各々は、第二のステント420の遠位端をグラフト492に結合させるための縫合糸を受け入れるようになされている縫合用の穴461を備えている。更に、上記したように、縫合用の穴461は、第二のステント420の遠位端を第一のステント410の近位端に縫合糸475によって結合するためにも使用されている。
【0083】
更に、第二のステント420の遠位の頂端460の各々は、放射線不透過性のマーカー491を受け入れるようになされている画像形成用の穴490を備えている。先の
図7及び9の実施形態に関して説明したように、画像形成用の穴490は縫合用の穴461の近位側に配置されており、画像形成用の穴490はグラフト492の近位端494と整合するようになされており、その結果、画像形成用の穴490と関連付けられた画像形成部材491はグラフト492の近位端494における直接的な画像の形成を著しく促進することができる。更に、第二のステント420は、遠位の移行領域450に沿って一体的に形成されている少なくとも1つの棘状部452を備えている。
【0084】
図15における、代替的なステントグラフト400’は、
図14に示されているステントグラフト400と類似しており、主要な違いは、代替的な第二のステント420’が交互に配置されている第一の近位の頂端422aと第二の近位の頂端422b’とを備えている点である。第一の近位の頂端422aは、
図14に記載されているように穴431を備えている端部領域430を有しており、一方、第二の近位の頂端422b’の各々は、
図1〜2の実施形態に関して上記した方法で組織と係合するための少なくとも1つの棘状部442を備えている。
【0085】
図14〜15の実施形態の各々においては、別個の第一のステント410と第二のステント420とを備えることによって、器具の近位領域に沿った曲げ性及び可撓性が、シール機能及び取り付け機能を犠牲にすることなく高められている。
図14〜15に示されている方法で特に1以上の頂端を互いに整合させて互いに隣接するステント410と420とを配置することによって、ステントの相対的な可撓性が減じられるのではなく増大されることが偶然にも判った。更に、互いに隣接するステントの頂端同士を結合するために縫合糸475を使用することによって、互いに隣接するステント410と420との相対的な高い可撓性が提供される。従って、
図14〜15の実施形態における高い可撓性により、ステントグラフト400及び400’は、大きく角度が付けられており且つ比較的短い動脈瘤のくびれ部に適応させるのに有用であり、その結果、治療できる患者の数が増加する。更に、
図14〜15の構造は、器具の近位領域に沿った陥入を減らし且つ体管腔内に位置決めされたときの高い安定性を促進することができることが期待される。
【0086】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物を参考にすること以外に限定されるべきではない。更に、ここに記載した利点は必ずしも本発明の唯一の利点ではなく、また、本発明のどの実施形態もここに記載した利点の全てを達成することが期待される訳ではない。