(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺物が巻かれた巻回体を収容する直方体状に形成された本体部であって、前記巻回体が収容されたときに前記巻回体の軸線と平行になる4つの長方形面のうちの1つが開口した開口面に形成されると共に、前記開口面に直交する2つの前記長方形面のうちの一方を構成する前板と、前記前板の前記開口面と交わる端辺である前板端辺で前記前板と連接しつつ前記本体部の内側で前記前板と面で接する副板と、を有する本体部を備え;
前記前板は、前記前板の面内を通り両端が離れてそれぞれ前記前板端辺に到達した前板切込線に沿って切り込まれることにより、前記前板端辺を回動軸線として前記副板から浮く外フラップを含んで構成され;
前記外フラップは、第1の外フラップと、前記前板端辺に平行な方向において前記第1の外フラップに対して間隔を空けて設けられた第2の外フラップとで構成され;
前記副板は、前記前板端辺に平行な方向において、前記前板切込線の両端の間の長さの1/5以上の長さを各々が持つ2つの副板切込線が前記副板の面内に形成され;
前記各副板切込線は、前記副板切込線ごとのそれぞれの端部が、前記前板端辺に直交する方向に8mm離れた前記前板端辺に平行な前記副板上の境界線と前記前板端辺との間の領域内に位置するように形成され、前記前板端辺に平行な方向において、別々の前記外フラップの1/4以上かつ3/4以下を覆う
巻回体収容箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、板紙が折り曲げられて形成された箱前壁上辺部分には復元力(折り曲げられて部分が広がろうとする力)が作用しているところ、箱前壁に切り込みを入れてフラップが周囲の箱前壁から独立して回動可能になると、フラップが開きすぎてしまうことがあった。ラップが収容された容器は、使用時には除去される封止壁が、流通時には蓋前壁の先端にミシン目等を介して接続されて蓋体が閉じられた状態で箱前壁に剥離可能に固着されているが、上述のようにフラップが開きすぎると、封止壁には箱前壁から離れる方向の力が作用し、封止壁が箱前壁から剥離して、容器が破損してしまうことがあった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、フラップが過度に浮き上がることを防ぐ巻回体収容箱及び巻回体入り収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る巻回体収容箱は、例えば
図1に示すように、長尺物91fが巻かれた巻回体91rを収容する直方体状に形成された本体部10であって、巻回体91rが収容されたときに巻回体91rの軸線91aと平行になる4つの長方形面のうちの1つが開口した開口面10hに形成されると共に、開口面10hに直交する2つの長方形面のうちの一方を構成する前板12と、前板12の開口面10hと交わる端辺である前板端辺19で前板12と連接しつつ本体部10の内側で前板12と面で接する副板16(
図1(B)参照)と、を有する本体部10を備え;前板12は、前板12の面内を通り両端が離れてそれぞれ前板端辺19に到達した前板切込線12cに沿って切り込まれることにより、前板端辺19を回動軸線として副板16から浮く外フラップ12fを含んで構成され;副板16は、前板端辺19に平行な方向Dにおいて、前板切込線12cの両端の間の長さ12W(例えば
図2(A)参照)の1/5以上の長さ16W(
図2(A)参照)を持つ副板切込線16cが副板16の面内に形成され;副板切込線16cは、それぞれの端部が、前板端辺19に直交する方向に8mm離れた前板端辺19に平行な副板16上の境界線B(
図2(A)参照)と前板端辺19との間の領域内に位置するように形成されている。
【0007】
このように構成すると、外フラップが副板から浮き上がろうとする復元力の一部を、前板端辺と副板切込線との間の副板の部分に逃がすことができ、外フラップが副板から過度に浮き上がることを防ぐことができて、巻回体収容箱の破損を抑制することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る巻回体収容箱は、例えば
図2(A)に示すように、上記本発明の第1の態様に係る巻回体収容箱において、副板切込線16cが、前板端辺19に平行な副板16上の仮想直線VLであって前板端辺19から所定の距離Hの位置にある仮想直線上VLに、両端が位置するように形成されている。仮想直線は、境界線と前板端辺との間の領域に包含され、典型的には2〜3mmの幅を有しており、この幅の範囲内で副板切込線の両端は前板端辺までの距離が異なっていてもよい。
【0009】
このように構成すると、外フラップの副板からの浮き上がりの偏りを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る巻回体収容箱は、例えば
図1(B)に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る巻回体収容箱において、副板16は、副板切込線16cに沿って切り込まれることにより形成された内フラップ16fを含んで構成されている。
【0011】
このように構成すると、外フラップが副板から浮き上がろうとする復元力の一部を内フラップに逃がすことができ、外フラップが副板から過度に浮き上がることを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る巻回体収容箱は、例えば
図2(A)に示すように、上記本発明の第3の態様に係る巻回体収容箱において、内フラップ16fは、前板端辺19に平行な方向Dにおいて、外フラップ12fの1/4以上かつ3/4以下を覆うように形成されている。
【0013】
このように構成すると、外フラップの副板からの浮き上がりを適切な範囲に収めることが可能となり、巻回体収容箱の破損を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る巻回体収容箱は、例えば
図1(A)に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る巻回体収容箱1において、外フラップ12fは、第1の外フラップ12fAと、第1の外フラップ12fAに対して間隔を空けて設けられた第2の外フラップ12fBと、を含んで構成されている。
【0015】
このように構成すると、長尺物が収容されて引き出されたときに、第1の外フラップと第2の外フラップとの間で摘みやすくなる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る巻回体入り収容箱は、例えば
図1(A)に示すように、薄膜状の長尺物91fが巻かれた巻回体91rと;上記本発明の第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様に係る巻回体収容箱1とを備える。
【0017】
このように構成すると、外フラップが副板から過度に浮き上がることを防いで巻回体収容箱の破損を抑制する巻回体入り収容箱となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外フラップが副板から浮き上がろうとする復元力の一部を、前板端辺と副板切込線との間の副板の部分に逃がすことができ、外フラップが副板から過度に浮き上がることを防ぐことができて、巻回体収容箱の破損を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る、巻回体収容箱としてのラップカートン1、及びラップカートン1に巻回体としてのラップロール91rが収容された巻回体入り収容箱としてのラップ入りカートン100を説明する。
図1(A)は、ラップ入りカートン100の正面斜視図、
図1(B)はラップカートン1の本体部10を示す部分背面斜視図である。
図1(A)は、開蓋状態を示している。ラップロール91rは、薄膜状の長尺物としてのラップフィルム91fが円筒状の巻芯に軸線91aまわりに巻かれてロール状に形成されたものである。以下の説明において、ラップロール91rとラップフィルム91fとの外観形状の区別をしない場合は、「ラップ91」と総称する。ラップフィルム91fは、本実施の形態では、ポリ塩化ビニリデンを原料として厚さが5〜20μmに形成されている。ラップカートン1は、ラップロール91rを収容する本体部10と、本体部10に連接された蓋部20とを備えている。
【0022】
本体部10は、未使用のラップロール91rを収容できる大きさの直方体に対して、細長い面の1つが開口面10hとなっている箱である。本体部10の大きさは、収容した未使用のラップロール91rを軸線91a回りに回転させるのを妨げない隙間が形成される一方で、できるだけ小さく形成されており、本実施の形態では、長さ310mm、高さ44mm、奥行き44mmの大きさに形成されている。本体部10は、開口面10hと協働して直方体の側面を構成する前板12、底板13、後板14と、直方体の端面を構成する2つの脇板15とを有している。底板13は、開口面10hに対向している。前板12及び後板14は、開口面10h及び底板13に直交している。脇板15は、典型的には正方形に形成されているが、縦横の長さが異なる矩形であってもよい。以下の説明においては、水平な面に底板13が載置された状態を基準として、底板13側を下、開口面10h側を上として説明する場合もある。
【0023】
脇板15の上端の中央部分には、3mm程度上方に延びた小片が外側に折り返されて形成された突起15pが設けられている。突起15pは、2つあるそれぞれの脇板15の上端に設けられている。また、本体部10は、前板端辺19で前板12と連続して連なる副板16(
図1(B)参照)を有している。前板端辺19は、前板12と開口面10hとが交わる部分の前板12の端辺であり、本実施の形態では前板12と副板16との境界を兼ねている。副板16は、前板端辺19に平行な方向(ラップロール91rの軸線91aが延びる方向と同じであり、以下「軸線方向D」という。)の全体にわたって前板12に連接されている。副板16は、前板12と略同じ大きさであるが底板13とは接しておらず、前板12よりも本体部10の内側に設けられている。副板16は、前板12に対して前板端辺19で折り曲げられることにより、前板12と面で接触している。本明細書において副板16が前板12と面で接触するというときは、概念上で副板16の面全体が前板12の面に接触している状態であり、換言すれば副板16が前板12に対して180度曲げられた状態であり、厳密には前板端辺19付近は折り曲げられた反動(復元力)で副板16と前板12とが接触していないとしても、実質的に接触していると見ることができ、このような状態も「面で接触する」ことに含まれる。副板16は、底板13側の端辺が、軸線方向Dに沿って前板12に接着されている。
【0024】
蓋部20は、本体部10の開口面10hを塞ぐ部材である。蓋部20は、蓋板21と、掩蓋片22と、切断刃23と、側蓋片25とを有している。蓋板21は、開口面10hと略同じ大きさの矩形平板状部材であり、蓋板21を開口面10hに合わせることで本体部10を閉塞した直方体とすることができるようになっている。蓋板21が開口面10hと略同じ大きさとは、蓋板21が、掩蓋片22の厚さ及び側蓋片25の厚さの分大きく、蓋部20の開閉を妨げない隙間が形成される程度大きい場合を含むことを意味している。蓋板21は、軸線方向Dの一辺が、本体部10の後板端辺18で連接している。換言すれば、本体部10と蓋板21とは、後板端辺18を介して連接している。後板端辺18は、後板14と開口面10hとが交わる部分の後板14の端辺である。蓋板21は、後板端辺18を回転軸線として、本体部10に対して回動することができるように構成されている。
【0025】
掩蓋片22は、折曲辺21fを介して蓋板21と直交し、蓋部20を閉じたときに底板13に向かって延びるように設けられている。掩蓋片22は、軸線方向Dの両端における高さ(長方形の前板12の短辺方向の長さ)が、前板12の短辺方向の長さの約1/2で、軸線方向Dの中央部の高さが、前板12の短辺方向の長さの約3/4となっている。折曲辺21fに対向する先端辺22tは、軸線方向Dにおける中央からそれぞれの端部に移動するに連れて、軸線方向Dに直交する方向における折曲辺21fと先端辺22tとの距離が短くなるように形成されている。このような構成により、折曲辺21fに対向する先端辺22tがV字状に形成されることとなる。掩蓋片22は、蓋部20が閉じられたときに、前板12に沿って前板12の外側に重なり、前板12の上部を五角形状に覆うこととなる。掩蓋片22は、軸線方向Dの長さが前板12よりもわずかに長く構成されており、本体部10に収容されているラップ91の幅よりも長い。これにより、掩蓋片22は、本体部10の中から引き出されたラップフィルム91fを、その幅全体にわたって、前板12との間に挟むことができるように構成されている。掩蓋片22の先端辺22tには、ラップフィルム91fを切断するための切断刃23が取り付けられている。切断刃23は、刃先が先端辺22tから出るように、先端辺22tに沿ってV字状に設けられている。
【0026】
側蓋片25は、蓋板21及び掩蓋片22の双方に直交して設けられている。側蓋片25は、蓋板21(掩蓋片22)の両端に合計2つ設けられている。側蓋片25は、基本形状が、長辺が蓋板21の短辺と同じ長さで、短辺が掩蓋片22の中央部における高さ(V字状の先端から折曲辺21fまでの最短距離)と略同じ長さの長方形に形成されている。側蓋片25は、掩蓋片22に連接された接合片22jに接着剤で固定されている。側蓋片25の内側には、接合片22jと蓋板21との間に、凹部25dが形成されている。凹部25dには、蓋部20を閉じたときに、脇板15の上端に設けられた突起15pが嵌ることとなる。上述のように構成された蓋部20は、閉じたときに、本体部10の開口10hに覆い被さり、掩蓋片22が前板12の上部を覆うようになっている。
【0027】
上述のような基本構造を有するラップカートン1は、本体部10の前板12が、外フラップ12fを含んでいる。外フラップ12fは、前板12の面を、前板切込線としての切り線12cに沿って切り込むことで形成されている。本実施の形態では、外フラップ12fが、前板12を軸線方向Dに二等分する仮想の直線(不図示)を対称軸として、2つが線対称に設けられている。2つ設けられた外フラップ12fについて、説明の便宜上、正面視(前板12を正対して見た状態)において、左側の外フラップ12fを左外フラップ12fAと、右側の外フラップ12fを右外フラップ12fBということとする。左外フラップ12fA及び右外フラップ12fBは、それぞれ第1の外フラップ及び第2の外フラップに相当する。以下、左外フラップ12fA及び右外フラップ12fBに共通の構成について説明するときは、単に「外フラップ12f」と総称する。また、左外フラップ12fAに近い脇板15を左脇板15A(第1の脇板)と、右外フラップ12fBに近い脇板15を右脇板15B(第2の脇板)ということもあり、脇板15はこれらの総称である。左外フラップ12fA及び右外フラップ12fBは、共に、蓋部20を閉じたときに掩蓋片22に覆われる前板12の領域内に収まるように形成されている。なお、前板12の、フラップ12f以外の部分を前板本体12bということとする。前板12は、フラップ12f及び前板本体12bを含んでいる。
【0028】
左外フラップ12fAは、前板12の面内に形成された切り線12cAと、前板端辺19とが輪郭となる。切り線12cAは、前板12の一部を切断する線である。切り線12cAは、前板12の軸線方向D中央よりも左脇板15A寄りで、前板端辺19上の点から、前板12の面内を通り、左脇板15Aに近い前板端辺19上の点に至るように、前板12の面内が切断されることで形成されている。切り線12cAの両端は、互いに軸線方向Dに離れており、共に前板端辺19に掛かっている。左外フラップ12fAの高さ方向の最大長さは、前板12の高さ方向の長さの約1/2に形成されている。左外フラップ12fAの下側の辺は、本実施の形態では、前板12の軸線方向Dの中央から左脇板15A側に辿ったときに、一旦前板端辺19に少し近づいた後に再び前板端辺19から離れるような、滑らかな曲線に形成されている。換言すると、左外フラップ12fAは、その中央部分が両端よりも上方にやや凹んでいる。左外フラップ12fAの輪郭を構成する切り線12cAの両端が前板端辺19に到達していることで、左外フラップ12fAを副板16から相当量浮かすことができる。左外フラップ12fAは、前板端辺19で副板16と連接していることにより、切り線12cAで切断されていても本体部10から脱落しないように構成されている。また、左外フラップ12fAは、前板端辺19で副板16と連接していることにより、前板端辺19を回転軸線として回動することができ、この回動により副板16から浮く(副板16から離れる)ように、換言すれば前板本体12bから浮く(前板本体12bから突出する)ように構成されている。
【0029】
左外フラップ12fAの表面には、係止手段としてのストッパー50が、所定の位置で、実質的に前板端辺19に沿って形成されている。ストッパー50は、本実施の形態では、UVニスが塗布されることで形成されている。ストッパー50を形成するUVニスは、ラップフィルム91fに対して付着するが、紙や埃等は付着しない特性を有している。また、ストッパー50に付着したラップフィルム91fは、付着面に平行な方向(せん断方向)には強く付着するが、付着面に垂直な方向(付着面から引き離す方向)には比較的弱く付着する。つまり、ストッパー50は、ラップフィルム91fが本体部10から引き出される方向である引出方向Pに前板12に沿うように引かれたときにはラップフィルム91fを引出方向Pに移動させないようにラップフィルム91fに付着し、ラップフィルム91fが付着面から離れる方向にめくられるように引かれたときにはラップフィルム91fが剥がれるように構成されている。ストッパー50が「実質的に前板端辺19に沿って形成される」とは、ラップフィルム91fが引き出される際の通常の態様である、前板端辺19には接触し得るが前板12からは浮いている状態で引き出される際に、引き出されるラップフィルム91fに接触することがない範囲で前板端辺19の近くにストッパー50が形成されている状態である。
【0030】
左外フラップ12fAと線対称に設けられている右外フラップ12fBは、前板12の面内に形成された切り線12cBと、前板端辺19とが輪郭となる。切り線12cA及び切り線12cBを区別しない場合(典型的には総称した外フラップ12fを説明する場合)は、単に「切り線12c」と総称する。右外フラップ12fBにも、ストッパー50が、左外フラップ12fAに形成されたのと線対称の態様で形成されている。ストッパー50は、左外フラップ12fAと右外フラップ12fBとの間、並びに、左外フラップ12fAと左脇板15Aとの間及び右外フラップ12fBと右脇板15Bとの間にも、それぞれ前板端辺19に沿って形成されている。
【0031】
ここで
図2を
図1と併せて参照して、副板16に含まれる内フラップ16fについて説明する。
図2(A)はラップカートン1の内フラップ16fまわりを示す部分正面図、
図2(B)はラップカートン1の部分側面断面図である。内フラップ16fは、副板16の面を、副板切込線としての切り線16cに沿って切り込むことで形成されている。本実施の形態では、
図1(B)に示すように、内フラップ16fが2つ設けられている。2つ設けられた内フラップ16fについて、説明の便宜上、左外フラップ12fAの裏側の内フラップ16fを左内フラップ16fAと、右外フラップ12fBの裏側の内フラップ16fを右内フラップ16fBということとする。左内フラップ16fA及び右内フラップ16fBに共通の構成について説明するときは、単に「内フラップ16f」と総称する。
【0032】
図2(A)に示すように、内フラップ16fは、本実施の形態では、前板12に投影したときに外フラップ12fに包含される位置に設けられている。本実施の形態では、1つの外フラップ12fにつき、軸線方向Dにおける切り線12cの両端の間の長さ(以下「外フラップ長12W」という。)が、前板12の軸線方向Dの長さの約0.4倍となっており、1つの内フラップ16fにつき、軸線方向Dにおける切り線16cの両端の間の長さ(以下「内フラップ長16W」という。)が、前板12の軸線方向Dの長さの約0.25倍となっている。内フラップ長16Wは、外フラップ長12Wの約0.65倍(13/20)となっている。換言すれば、内フラップ16fは、軸線方向Dにおいて、外フラップ12fの13/20を覆っている。ここでの「覆う」という用語は、内フラップ16fを前板12に投影したときに、内フラップ16fによって外フラップ12fの一部が隠れる状態を意味しており、本実施の形態では、外フラップ長12Wの13/20に相当する外フラップ12fの部分が、内フラップ16fによって隠れている。
【0033】
このような内フラップ長16Wを持つ内フラップ16fは、切り線16cの両端が、互いに軸線方向Dに離れている。また、切り線16cは、それぞれの端部が、前板端辺19と境界線Bとに挟まれた副板16の領域内に位置するように形成されている。前板端辺19及び境界線Bは、この領域の外縁となる。境界線Bは、前板端辺19に対して平行で、前板端辺19に直交する方向に前板端辺19から8mm離れて、副板16上にある仮想の直線である。切り線16cは、本実施の形態では両端の間で底板13側に膨らんでおり、内フラップ16fの高さ方向の最大長さは、前板12の高さ方向の長さの約1/5に形成されている。副板16は、外フラップ12fの最下点よりも下方(底板13側)において前板12に接着されている。換言すれば、外フラップ12fは副板16に接着されておらず、内フラップ16fは前板12に接着されていない。このように構成されていることで、切り線12cで切断された外フラップ12fが副板16から浮くことができ、切り線16cで切断された内フラップ16fが、これ以外の副板16から突出することができる。
【0034】
さらに、内フラップ16fは、切り線16cの両端が、仮想直線VLの上に位置している。仮想直線VLは、前板端辺19と境界線Bとに挟まれた副板16の領域に包含される位置に想定され、前板端辺19に平行で、前板端辺19から底板13側に所定の距離Hの副板16上にある仮想の直線である。所定の距離Hは、小さいほど内フラップ16fが浮きやすく、逆に大きいほど内フラップ16fが浮きにくくなるところ、8mm以下で適宜決定するとよく、0mmとした場合は前板端辺19との境界の副板16上に仮想直線VLがあることとなり、内フラップ16fの浮きを大きくし過ぎないようにする観点からは2mm以上とするとよい。本実施の形態では3mmとしている。また、仮想直線VLは、概ね2〜3mm程度の幅を有しており、この幅の範囲内で切り線16cの両端は前板端辺19までの距離が異なっていてもよい。本実施の形態では、切り線16cの、脇板15側の端部は前板端辺19までの最短距離が4.0mm、中央側の端部は前板端辺19までの最短距離が2.5mmとなっている。
【0035】
図2(B)に示すように、上述の構成によって、外フラップ12fは外側に浮き、内フラップ16fは内側に浮くこととなる。本発明者らは、前板端辺19で折り曲げられている外フラップ12fと内フラップ16fとは、前板端辺19を中心に互いに反発する力(復元力)が作用しており、外フラップ12fの立ち上がりS(軸直角断面における、前板本体12bの表面に対する、外フラップ12fの先端までの垂直距離)は、内フラップ16fの浮き量に関連していることを見出し、この原理を利用して、内フラップ16fの浮き量を調節することにより、外フラップ12fの立ち上がりSを適切にすることを想到するに至った。外フラップ12fの立ち上がりSは、内フラップ長16Wが小さいほど大きく、内フラップ長16Wが大きいほど小さくなるため、内フラップ長16Wは、外フラップ長12Wの1/4以上かつ3/4以下とするのが好ましい。また、適切な所定の距離Hは、外フラップ12fの立ち上がりSが適切となる観点から決定されることになるが、0〜8mmの範囲の中で適宜調整するのがよく、外フラップ12fの立ち上がりSが過大になることを防ぐ観点からは3mm以上が好ましく、外フラップ12fの立ち上がりSが過小になることを防ぐ観点からは5mm以下が好ましい。
【0036】
図3に、ラップカートン1の展開図を示す。本体部10及び蓋部20は、本実施の形態では、約0.45〜0.7mm厚のコートボール紙が、
図3に示す所定の型に打ち抜かれたものが折り曲げ加工されて形成されている。このため、ラップカートン1は、弾性を有し、上述した外フラップ12f及び内フラップ16fの反発力を生じさせている。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、本体部10と蓋部20とを機能の観点から区別しているが、本体部10及び蓋部20は、1枚の原紙を切り出して組み立てられて一体に形成されている。本体部10及び蓋部20の表面は、消費者の購買意欲を惹起するようなデザインが印刷されたうえで、撥水加工等の表面処理が施されている。
【0037】
図3に示すように、前板12には、軸線方向Dの両端に接合片12jが連接されている。後板14には、軸線方向Dの両端に接合片14jが連接されている。2つの脇板15は、底板13の軸線方向Dの両端にそれぞれ連接されている。副板16、前板12、底板13、後板14、蓋板21、掩蓋片22は、この順番で配列されて、隣接する部材同士が軸線方向Dの全体にわたって連接されている。さらに、掩蓋片22の外側には、ミシン目29cを介して切取片29が連接されている。副板16、前板12、底板13、後板14は、軸線方向Dに延びる折曲線で折り曲げられ、接合片12j、接合片14j、及び脇板15は、それぞれ、軸線方向Dに直交する方向に延びる折曲線で折り曲げられ、接合片14jの外側に接合片12jが重ねられて接着され、これらのさらに外側に脇板15が重ねられて接着されることで、直方体状の本体部10に形成されている。他方、蓋板21には、
図3に示すように、軸線方向Dの両端に側蓋片25が連接されている。掩蓋片22には、軸線方向Dの両端に接合片22jが連接されている。後板14、蓋板21、掩蓋片22は、軸線方向に延びる折曲線で折り曲げられ、側蓋片25及び接合片22jは、それぞれ、軸線方向Dに直交する方向に延びる折曲線で折り曲げられ、前述のように接合片22jの外側に側蓋片25が重ねられて接着されることで、立体的な蓋部20が形成されている。
【0038】
ラップカートン1の製造場所と、ラップ入りカートン100の製造場所とが異なる場合、典型的には、ラップカートン1は、
図3に示す展開図で見て、副板16と前板12との間で折り曲げて副板16を前板12に接着すると共に、底板13と後板14との間、及び蓋板21と掩蓋片22との間でそれぞれ折り曲げ、掩蓋片22及び切取片29を前板12の上に重ねたうえで切取片29を前板12に複数の点で接着した扁平に折り畳まれた状態で、ラップ入りカートン100の製造場所へ搬送される。折り畳まれた状態のラップカートン1は、脇板15及び各接合片12j、14j、22jが接合されていない状態になっている。折り畳まれた状態のラップカートン1はラップカートン1から各接合片12j、14j、22jを剥離させて扁平にしたものであるが、製造効率向上のため、一旦組み立てることをせず、折り畳まれた状態となるように製造されるのが一般的である。この場合でも、折り畳まれたラップカートン1は、本来、組み立てられた状態で存在意義を発揮するものであるから、ラップカートン1の一形態と見ることができる。折り畳まれたラップカートン1は、ラップ入りカートン100の製造場所において、まず、両端が開口した四角筒状にされ、一方の端面からラップロール91rが挿入されてから、脇板15が閉じられることで、ラップ入りカートン100となる。
【0039】
引き続き
図1及び
図2を参照して、ラップ入りカートン100の作用を説明する。ラップカートン1の作用は、ラップ入りカートン100の作用の一環として説明する。未開封のラップ入りカートン100は、掩蓋片22の先端に、先端辺22t上のミシン目29c(
図3参照)を介して切取片29(
図3参照)が接続されており、切取片29は前板12に複数の点で接着されている。本実施の形態では、副板16に切り線16cが形成されることで内フラップ16fが設けられているので、前板端辺19で折り曲げられている外フラップ12fの復元力(反発力)を内フラップ16fに逃がすことができ、外フラップ12fが過度に前板本体12bから浮く(突出する)ことがなく、未開封の状態で外フラップ12fの復元力によって切除前の切取片29が剥がれてしまうことを回避することができる。ラップカートン1が破損することなく流通して消費者の手に渡ったラップ入りカートン100の、ラップフィルム91fを初めて使用する際は、切取片29を、前板12から剥がしつつミシン目29cで切断して掩蓋片22から分離する。このようにラップカートン1を開封することで、蓋部20が本体部10に対して後板端辺18まわりに回動可能な状態となる。
【0040】
開封されたラップ入りカートン100は、本体部10の中にラップロール91rが入っている。ラップロール91rには、ラップフィルム91fの先端に引出シール(不図示)が貼り付けられており、引出シール(不図示)を摘んで引き出すことでラップフィルム91fの先端がラップロール91rから剥離し、容易にラップフィルム91fを引き出すことができる。ラップフィルム91fを使用する際は、ラップロール91rからラップフィルム91fを必要な長さ分引き出して切断刃23で切断する。このとき、ラップフィルム91fを必要な長さ分引き出した状態で蓋部20を閉じ、ラップフィルム91fを前板12と掩蓋片22とで挟み、掩蓋片22の図心を親指で押さえ、切断刃23の中央を引き出されたラップフィルム91fに食い込ませるようにラップ入りカートン100を軸線91aまわりにひねると、ラッピングする食器等にラップフィルム91fを付けた状態でも切断しやすく、好適である。ラップフィルム91fを引き出して切断する際、ラップフィルム91fは、外側に浮く外フラップ12fと閉じられた蓋部20の掩蓋片22とに挟まれると共に、前板端辺19に沿って形成されたストッパー50によって動きが規制されるため、横滑りすることなく適切に切断されることとなる。
【0041】
切断された後に外フラップ12fと掩蓋片22との間に挟まれているラップフィルム91fは、ストッパー50に付着しているため、ラップロール91rへの巻き戻りが防止される。また、次回ラップフィルム91fを使用する際に、蓋部20を開けると、適切に内フラップ16fが形成されていることに伴って外フラップ12fが前板本体12bから浮いているので、外フラップ12fに形成されたストッパー50に付着しているラップフィルム91fの先端も前板本体12bから浮くこととなり、摘みやすい。特に、ラップカートン1は、左外フラップ12fAと右外フラップ12fBとの間に外フラップ12fが形成されていないので、この隙間に指を入れることで容易にラップフィルム91fを摘むことができる。
【0042】
以上で説明したように、本実施の形態に係るラップ入りカートン100によれば、副板16に適切な切り線16cが形成されているので、外フラップ12fの前板本体12bからの浮きが適切になり、外フラップ12fの復元力によるラップカートン1の損傷を防ぐことができると共に、ラップフィルム91fの摘みやすさを確保することができる。
【0043】
以上の説明では、切断刃23が先端辺22tに沿ってV字状に形成されているとしたが、直線状に形成されていてもよい。切断刃が直線状に形成されている場合は、一般に、ラップフィルム91fの幅の一端から他端に向けてラップフィルム91fが切断されることとなる。
【0044】
以上の説明では、前板12に左外フラップ12fA及び右外フラップ12fBが形成されているとしたが、一方の外フラップ12fが形成されていなくてもよく、あるいは3つ以上の外フラップ12fが形成されていてもよく、さらに、設けられた外フラップ12fの配置や大きさは適宜決定することができる。
【0045】
以上の説明では、2つ設けられた外フラップ12fのそれぞれに対応するように内フラップ16fも2つ設けられていることとしたが、2つの外フラップ12fに対してそれぞれの軸線方向Dの1/5以上の長さをカバーする軸線方向Dに長い1つの内フラップ16fを設ける等、外フラップ12fの数と内フラップ16fの数とが対応していなくてもよい。例えば、1つの外フラップ12fに対して、複数の内フラップ16fが設けられ、複数の内フラップ16fの軸線方向Dの長さの合計が外フラップ12fの軸線方向Dの長さの1/5以上となるように構成されていてもよい。
【0046】
以上の説明では、副板16が、切り線16cによって切り込まれた内側の部分が本体部10の内側に浮く内フラップ16fを含むこととしたが、本体部10の内側に浮くような内フラップ16fを形成せず、軸線方向Dにおける1つの外フラップ12fの長さの1/5以上の長さを持つ切り線16cを、直線状あるいは曲線状(波線やジグザグ線等を含む)に、外フラップ12fに対向する位置に形成することで、外フラップ12fの反発力の一部を副板16側に逃がす構成としてもよい。この場合も、切り線16cの両端は、前板端辺19と境界線Bとに挟まれた副板16の領域内に位置することとなる。特に切り線16cが直線の場合は、切り線16c全体が前板端辺19と境界線Bとに挟まれた副板16の領域内に位置することとなる。
【0047】
以上の説明では、内フラップ16fが、前板12に投影したときに外フラップ12fに包含される位置に設けられているとしたが、前板12に投影したときに、1つの外フラップ長12Wの1/5以上で内フラップ16fと外フラップ12fとが重なっていれば、内フラップ16fが外フラップ12fの外側(前板本体12bの部分)まで拡張されていてもよい。本体部10の内側に浮くような内フラップ16fを形成せずに、直線状あるいは曲線状の切り線16cを形成する場合も同様である。
【0048】
以上の説明では、切り線16cの両端が仮想直線VL上に位置することとしたが、切り線16cの各端部は、前板端辺19と境界線Bとに挟まれた副板16の領域内で、前板端辺19からの距離を適宜決定することができる。極端な例を挙げれば、切り線16cの一方の端部を前板端辺19に、他方の端部を境界線Bに位置するようにしてもよい。前板端辺19に直交する方向における、切り線16cの各端部と前板端辺19との距離の差が大きくなると、軸線方向Dで見て外フラップ12fが前板本体12bから浮く度合いの偏りが大きくなる。つまり、切り線16cの2つの端部のうち、前板端辺19までの距離が短い方が、長い方よりも、それらの裏側にある外フラップ12fの対応する部分が前板本体12bから浮く度合いが大きくなる。換言すれば、切り線16cの各端部と前板端辺19との距離の差を調節することで、軸線方向Dで見た外フラップ12fが前板本体12bから浮く度合いの偏りを調節することができる。切り線16cの両端が仮想直線VL上にあるように構成すると、外フラップ12fが前板本体12bから浮く度合いの偏りを抑制することができる。
【実施例】
【0049】
以下に、内フラップ長16Wの変化に対する外フラップ12fの立ち上がりSの変化を検証した結果を示す。この検証に用いたラップカートン1は、軸線方向Dの長さが310mm、高さ及び奥行きが各44mmである。また、外フラップ12fは、
図1(A)に示すように左右対称に2個設けられており、外フラップ長12Wが120mm、最大高さが20mm、左外フラップ12fAと右外フラップ12fBとの間が40mm空いている。また、ラップカートン1は、0.7mmの厚さのコートボール紙が加工されて形成されている。上記の基本的な条件のラップカートン1に対し、副板16に設けられた内フラップ16fの内フラップ長16Wを変えたものを数種類用意した。なお、内フラップ16fを形成する切り線16cは、両端が前板端辺19に到達しており(すなわち、所定の距離Hが0)、内フラップ16fの最大高さが10mmである。内フラップ16fは、内フラップ長16Wが異なっても、内フラップ長16Wを軸線方向Dに二等分する仮想直線が外フラップ長12Wを軸線方向Dに二等分する仮想直線と一致するように設けられている。
【0050】
(実施例1)
実施例1は、内フラップ長16Wを30mmとした。このときの内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は、25%となる。実施例1では、外フラップ12fの立ち上がりSが3.2mmとなった。
(実施例2)
実施例2は、内フラップ長16Wを75mmとした。このときの内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は、約62%となる。実施例2では、外フラップ12fの立ち上がりSが2.5mmとなった。
(実施例3)
実施例3は、内フラップ長16Wを90mmとした。このときの内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は、75%となる。実施例3では、外フラップ12fの立ち上がりSが2.0mmとなった。
【0051】
(比較例1)
比較例1は、内フラップ長16Wを0mm(すなわち内フラップ16fを設けない)とした(したがって内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は0%)。比較例1では、外フラップ12fの立ち上がりSが4.8mmとなった。
(比較例2)
比較例2は、内フラップ長16Wを110mmとした。このときの内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は、約92%となる。比較例2では、外フラップ12fの立ち上がりSが0.7mmとなった。
【0052】
図4(A)に、実施例1乃至3並びに比較例1及び2の条件及び結果をまとめて示す。実施例1乃至3の使用状況を見たところ、引き出されて外フラップ12fの上に載置されたラップフィルム91fの先端が外フラップ12fによって前板本体12bから十分離間しており、ラップフィルム91fを摘みやすかった。また、蓋部20を閉めてみると、外フラップ12fの反発力による掩蓋片22の持ち上がりが過度ではなく、外フラップ12fの反発力によって開封前のラップカートン1が破損することはないと判断した。上述の検証から、実施例1乃至3によれば、外フラップ12fの立ち上がりSは適切な範囲にあるといえる。
【0053】
他方、比較例1では、外フラップ12fの立ち上がりSが大きく、引き出されたラップフィルム91fの先端を摘むには十分であったが、蓋部20を閉めたときの掩蓋片22の持ち上がりが大きく、外フラップ12fの反発力によって開封前のラップカートン1が破損することが懸念された。比較例2では、外フラップ12fの立ち上がりSが小さく、ラップフィルム91f先端の前板本体12bからの離間が不十分となって、ラップフィルム91fを摘みにくかった。
【0054】
次に、ラップカートン1の外寸及び材質並びに外フラップ12fの構成は変えずに、内フラップ長16Wを75mmに固定して(したがって内フラップ長16Wの外フラップ長12Wに対する百分率は約62%に固定される)、切り線16cの両端の前板端辺19からの距離(所定の距離H)を変えたものを数種類用意した。なお、前板端辺19から内フラップ16fの最下部までの最短距離は10mmに固定している。また、以下に示す、切り線16cの両端の前板端辺19からの距離は、切り線16cの両端で同じである。
【0055】
(実施例4)
実施例4は、切り線16cの両端の前板端辺19からの距離(以下、「所定の距離H」という。)を3mmとした。実施例4では、外フラップ12fの立ち上がりSが2.8mmとなった。
(実施例5)
実施例5は、所定の距離Hを5mmとした。実施例5では、外フラップ12fの立ち上がりSが3.4mmとなった。
(実施例6)
実施例6は、所定の距離Hを8mmとした。実施例6では、外フラップ12fの立ち上がりSが3.7mmとなった。
(比較例3)
比較例3は、所定の距離Hを12mmとした。比較例3では、外フラップ12fの立ち上がりSが4.6mmとなった。
【0056】
図4(B)に、実施例4乃至6並びに比較例3の条件及び結果をまとめて示す。実施例4乃至6の使用状況を見たところ、ラップフィルム91fの先端が前板本体12bから十分離間しており、ラップフィルム91fを摘みやすかった。また、蓋部20を閉めたときの、外フラップ12fの反発力による掩蓋片22の持ち上がりが過度ではなく、外フラップ12fの反発力によって開封前のラップカートン1が破損することはないと判断した。上述の検証から、実施例4乃至6によれば、外フラップ12fの立ち上がりSは適切な範囲にあるといえる。他方、比較例3では、外フラップ12fの立ち上がりSが大きいため、蓋部20を閉めたときの掩蓋片22の持ち上がりが大きく、外フラップ12fの反発力によって開封前のラップカートン1が破損することが懸念された。
【0057】
上述した検証の結果から、内フラップ長16Wを調節することにより、あるいは所定の距離Hを調節することにより、外フラップ12fの立ち上がりSを調節することができることが確認できた。さらに、内フラップ長16Wは、外フラップ長12Wの1/4以上、3/4以下が好ましいこと、並びに所定の距離Hは8mm以下が好ましいことを把握することができた。