特許第6071346号(P6071346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071346
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】警備システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20170123BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G08B25/00 510E
   G08B25/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-194381(P2012-194381)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-49092(P2014-49092A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 元
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】日野 登記雄
(72)【発明者】
【氏名】山中 敏弘
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−190433(JP,A)
【文献】 特開2009−176109(JP,A)
【文献】 特開2003−137071(JP,A)
【文献】 特開昭63−051763(JP,A)
【文献】 特開2002−298271(JP,A)
【文献】 特開2009−199387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00−31/00
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象領域内に設けられた検知手段と、前記検知手段からの検知信号を受信する通信ユニットと、前記通信ユニットと通信回線で接続されており、前記通信ユニットからのデータに基づき前記警備対象領域を監視する監視センターとを有する警備システムであって、
前記通信ユニットが、
前記警備対象領域を警備する警備モードと警備しない非警備モードとを切り替え可能なモード設定手段と、
前記警備モード中に前記検知手段から前記検知信号を受信したときに、前記監視センターに仮警報信号を送信する仮警報送信手段と、
前記監視センターとの通信状態を保持する通信状態保持手段とを備え、
前記監視センターが、前記仮警報信号を受信後、第1の所定時間の間、前記通信状態保持手段により、前記通信ユニットとの通信を保持するように構成され、
前記第1の所定時間の間に、前記通信状態が保持されていないと判断した場合に、異常が起きたと判断する警備システム。
【請求項2】
前記通信回線として、インターネットを用い、
前記通信状態保持手段が、逐次前記監視センターに応答信号を送信することよって、前記通信状態を保持するように構成され、
前記監視センターが、前記応答信号が途絶えた場合に、前記通信状態が保持されていないと判断するように構成された請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記通信回線として、電話回線を用い、
前記通信状態保持手段が、前記通信ユニットから前記監視センターへ第2の所定時間の間だけ定期的に架電を行うことによって、前記通信状態を保持するように構成され、
前記監視センターが、前記定期的な架電が途絶えた場合、または前記架電が第2の所定時間未満で切れた場合に、前記通信状態が保持されていないと判断するように構成された請求項1に記載の警備システム。
【請求項4】
前記通信状態保持手段が、前記第1の所定時間の間に、複数回、前記架電をするように構成された請求項3に記載の警備システム。
【請求項5】
前記監視センターが、前記第1の所定時間の間において前記通信状態が保持されていないと判断した、前記警備対象領域を含むエリア内での前記通信回線の切断件数が、所定数未満である場合には、回線の意図的な切断または、前記通信ユニットの故障による異常が起きたと判断し、所定数以上である場合には、前記通信ユニットと前記監視センターとの間の前記通信回線に異常が起きたと判断するように構成された請求項1〜4の何れか一項に記載の警備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備対象領域内に設けられた検知手段と、前記検知手段からの検知信号を受信する通信ユニットと、前記通信ユニットと通信回線で接続されており、前記通信ユニットからのデータに基づき前記警備対象領域を監視する監視センターとを有する警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の警備システムにおいては、警備モード中に検知手段が異常状態を検知した場合、一旦、検知手段に対応する通信ユニット側で、監視センターへの通知を所定時間保留することで、例えば、検知手段の誤作動により、監視センター側で誤った警報を発してしまうことを抑制する技術が知られている。
【0003】
このような警備システムでは、実際に検知手段が何らかの異常を検知した場合であっても監視センター側で警報が発令されるまでの間に所定時間のタイムラグが生じてしまうといった問題や、所定時間の間に通信ユニットが破壊された場合には監視センター側で異常を把握できないという問題が起こり得る。そこで、特許文献1に示されるように、検知手段が異常を検知すると、まず通信ユニットが仮警報信号を監視センターに送信し、監視センター側では、仮警報信号の受信時点から第1の所定時間を経過するまでに、解除信号を受信しなければ、異常が発生したと判断し、警報を発令する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−190433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の警備システムでは、監視センター側は、仮警報を受信した後、通信回線または通信ユニットに異常が発生した場合において、第1の所定時間を経過するまでは異常が発生したかどうかを判断できないという問題が起こり得る。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、監視センターが仮警報を受信してから第1の所定時間が経過するまでの間に、通信回線または通信ユニットに異常が生じた場合においても、監視センターで迅速に異常を検知可能な警備システムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明に係る警備システムの特徴構成は、警備対象領域内に設けられた検知手段と、前記検知手段からの検知信号を受信する通信ユニットと、前記通信ユニットと通信回線で接続されており、前記通信ユニットからのデータに基づき前記警備対象領域を監視する監視センターとを有する警備システムであって、前記通信ユニットが、前記警備対象領域を警備する警備モードと警備しない非警備モードとを切り替え可能なモード設定手段と、前記警備モード中に前記検知手段から前記検知信号を受信したときに、前記監視センターに仮警報信号を送信する仮警報送信手段と、前記監視センターとの通信状態を保持する通信状態保持手段とを備え、前記監視センターが、前記仮警報信号を受信後、第1の所定時間の間、前記通信状態保持手段により、前記通信ユニットとの通信を保持するように構成され、前記第1の所定時間の間に、前記通信状態が保持されていないと判断した場合に、異常が起きたと判断する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、通信ユニットが仮警報を送信した後、第1の所定時間の間、通信ユニットと監視センターとの間で通信状態は保持される。よって、仮警報が送信されてから第1の所定時間が経過するまでの間に、通信回線または通信ユニットに異常が生じた場合には、通信状態が保持されなくなったことをもって、監視センター側で異常を検知できる。すなわち、監視センターで迅速に異常を検知可能な警備システムを実現できる。
【0009】
本願発明に係る警備システムの更なる特徴構成は、前記通信回線として、インターネットを用い、前記通信状態保持手段が、逐次前記監視センターに応答信号を送信することよって、前記通信状態を保持するように構成され、前記監視センターが、前記応答信号が途絶えた場合に、前記通信状態が保持されていないと判断するように構成された点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、通信回線としてインターネットを用いる場合に、通信ユニットと監視センターとの間で通信状態の保持を好適に行うことができる。すなわち、監視センターで迅速に異常を検知可能な警備システムをより好適に実現できる。
【0011】
本願発明に係る警備システムの更なる特徴構成は、前記通信回線として、電話回線を用い、前記通信状態保持手段が、前記通信ユニットから前記監視センターへ第2の所定時間の間だけ定期的に架電を行うことによって、前記通信状態を保持するように構成され、前記監視センターが、前記定期的な架電が途絶えた場合、または前記架電が第2の所定時間未満で切れた場合に、前記通信状態が保持されていないと判断するように構成された点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、通信回線として電話回線を用いる場合に、通信ユニットと監視センターとの間で通信状態の保持を好適に行うことができる。より詳しくは、通信ユニットは定期的に第2の所定時間の架電を行うので、監視センターでは、定期的に第2の所定時間の架電の存在を確認するだけで通信状態が保持されていることを確認でき、通信状況の保持に伴い通信費用が増加することを抑えることができる。また、監視センターで、通信ユニットからの架電時間を確認することで、通信回線に異常が生じたかの確認ができ、より迅速に通信回線または通信ユニットに異常が生じたことを、監視センター側で検知することができる。
【0013】
本願発明に係る警備システムの更なる特徴構成は、前記通信状態保持手段が、前記第1の所定時間の間に、複数回、前記架電をするように構成された点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、監視センター側で、通信回線または通信ユニットの異常を検知する頻度が上がる。すなわち、より短時間の間に監視センターで異常を検知することができる。よって、警備対象領域での異常を監視センター側でより迅速に検知可能な警備システムを実現できる。
【0015】
本願発明に係る警備システムの更なる特徴構成は、前記監視センターが、前記第1の所定時間の間において前記通信状態が保持されていないと判断したに、前記警備対象領域を含むエリア内での前記通信回線の切断件数が、所定数未満である場合には、回線の意図的な切断または、前記通信ユニットの故障による異常が起きたと判断し、所定数以上である場合には、前記通信ユニットと前記監視センターとの間の前記通信回線に異常が起きたと判断するように構成された点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、通信回線に、当該通信回線を提供する通信キャリアの問題に由来するような通信回線の異常が起きた場合と、警備対象領域内で通信ユニットまたは通信回線に異常が生じた場合とを区別することができる。よって、監視センター側で、通信キャリアの問題に由来する通信回線の異常を誤って、警備対象領域で異常が発生したと検知してしまうおそれを軽減することができる。すなわち、より高精度に監視センター側で警備対象領域の異常を検知可能な警備システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る警備システムの概要図
図2】本発明の実施形態に係る通信ユニットの動作フローチャート
図3】本発明の実施形態に係る監視センターの動作フローチャート
図4】本発明の実施形態に係る警備システムにおける通常の通信フローを示すタイムチャート
図5】本発明の実施形態に係る警備システムにおいて通信回線または通信ユニットに異常が生じた場合の通信フローを示すタイムチャート
図6】本発明の実施形態に係る警備システムにおいて通信回線または通信ユニットに異常が生じた場合の通信フローを示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
図を用いて、本発明に係る警備システム1の実施形態を説明する。図1に示すように、警備システム1は、警備対象領域A内に設けられた検知手段2と、検知手段2からの検知信号dを受信する通信ユニット3と、通信ユニット3と通信回線Xで接続されており、通信ユニット3からのデータに基づき警備対象領域Aを監視する監視センター4とを有する。
【0019】
(警備システムの概略)
警備対象領域Aは、たとえば、特定の一軒家の敷地内といったように決定される。検知手段2は、警備対象領域A内に1つ以上設けられる。検知手段2は、警備対象領域A内において異常を検知可能に構成されている。具体的には、検知手段2は、警備対象領域A内に人が侵入したことを検知可能に構成されている。検知手段2としては、例えば、マグネットセンサ、熱センサや、振動センサなど、各種の物理センサを用いることができる。
【0020】
(通信ユニットの動作)
通信ユニット3は、演算装置及び記憶装置からなるマイクロコンピュータで構成される。通信ユニット3は、警備対象領域Aを警備する警備モードと、警備対象領域Aを警備しない非警備モードとを切り替え可能なモード設定手段11を備えている。通信ユニット3は、通信ユニット3の使用者が、所定の操作によって、警備モードと非警備モードとを切り替えるようにモード設定手段11に指示するための操作器12を備えている。モード設定手段11は、操作器12からの指示を受けて、警備モードと非警備モードとを切り替えるように構成されている。操作器12としては、たとえば、使用者が物理的に操作可能なボタンを用いることができる。
【0021】
ここで、警備モードは、警備システム1が、所定の警備状態を維持し、異常を検知した場合に、所定の動作を行うモードであり、非警備モードは、特に所定の動作を行わないモードである。
【0022】
通信ユニット3は、検知手段2及び監視センター4と通信するための通信制御手段13を備える。通信制御手段13は、検知手段2からの検知信号d及びモード設定手段11による現在のモード情報(警備モードか非警備モードか)に基づいて、監視センター4と通信を行うように構成されている。
【0023】
通信制御手段13は、警備モード中に、検知手段2から検知信号dを受信したときに、監視センター4に仮警報信号iを送信する仮警報送信手段14を備える。また、通信制御手段13は、通信ユニット3と監視センター4との通信状態を保持する通信状態保持手段15を備える。
【0024】
さらに、通信制御手段13は、モード設定手段11により警備モードから非警備モードに、あるいは、逆方向にモードが切り替わった際に、監視センター4に警備モードが解除された旨、あるいは、逆方向にモードが切り替えられた旨を伝える解除信号を送信する解除信号送信手段16を備える。
【0025】
モード設定手段11により警備モードに設定された状態での通信ユニット3の動作を、図2を用いて説明する。通信ユニット3は、基本的に#1〜#7の順に動作する。
【0026】
(#1)通信ユニット3の使用者によって、操作器12の操作によりモード設定手段11を介して、警備モードに設定される。
(#2)検知手段2からの検知信号dを受信したか確認する。
(#2:No)検知信号dを受信していない場合には、#2に戻る。
(#2:Yes)の場合には、#3に進む。
(#3)仮警報送信手段14により仮警報信号iを監視センター4に送信する。
(#4)通信状態保持手段15により監視センター4との通信の保持を開始する。
【0027】
(#5)通信ユニット3で、使用者によって、操作器12の操作によりモード設定手段11を介して、非警備モードに設定されたかを確認する。
(#5:No)警備モードのままであれば、#5に戻る。(警備モードを維持する)
(#5:Yes)非警備モードに設定された場合は、#6に進む。
(#6)解除信号送信手段16により、解除信号を監視センター4に送信する。
(#7)非警備モードに移行する。
【0028】
なお、本実施形態においては、通信ユニット3は、図4に示すように、監視センター4が警報発令手段25により警報を発令した後に、通信状態保持手段15による通信の保持を終了するように構成されている。なお、通信ユニット3を、監視センター4が仮警報信号iを受信してから、第1の所定時間T1経過した時点で、通信状態保持手段15による通信の保持を終了するように構成しても構わない。
【0029】
(監視センターの動作)
監視センター4は、図1に示すように、演算装置及び記憶装置からなるマイクロコンピュータで構成され、通信ユニット3と通信するための通信制御手段23を備えている。通信制御手段23は、仮警報信号iを受信してからの経過時間を計測する計時手段24を備える。また、通信制御手段23は、警備対象領域Aで異常が発生したと判断した際に警報を発令する警報発令手段25を備えている。
【0030】
図4を用いて、監視センター4の動作について説明する。監視センター4は、仮警報信号iを受信後、第1の所定時間T1の間、通信状態保持手段15からの通信により、通信ユニット3との通信を保持するように構成されている。すなわち、監視センター4は、計時手段24により第1の所定時間T1が経過するまでの間、通信制御手段13と常に通信し続ける状態となる。
【0031】
監視センター4は、第1の所定時間T1の間に通信制御手段13の警備モードが解除されず、解除信号送信手段16からの解除信号を受信しなかった場合には、第1の所定時間T1が経過したタイミングで、警報発令手段25により警報を発令する。
【0032】
監視センター4は、計時手段24により計測された時間が第1の所定時間T1に達するまでの間に、通信状態が保持されていないと判断した場合には、警備対象領域A内で異常が起きたと判断するように構成されている。具体的には、図5及び図6に示すように、通信ユニット3からの通信信号が途絶えた場合に、監視センター4は通信状態が保持されていないと判断する。すなわち、監視センター4は、第1の所定時間T1の間に、通信状態が保持されなくなった場合には、通信ユニット3または通信回線Xに障害が発生するような異常事態が起きたと判断する。
【0033】
本実施形態においては、通信制御手段23は、図1に示すように、特定の警備対象領域Aを含む地域における通信回線Xの状況を取得する通信状況取得手段26を備えている。ここでの「地域」は、通信キャリアにより同一の条件下で通信回線Xが提供される範囲とすると良い。具体的には、例えば、特定の通信回線Xを提供する一の基地局が提供する範囲とする他、簡便には、特定の警備対象領域Aから所定距離内の範囲とすると良い。通信状況取得手段26は、特定の通信ユニット3に対し同一地域内に配置された他の通信ユニット3の通信回線Xの切断状況をカウントするように構成されている。
【0034】
ここで、監視センター4は、通信状態が保持されていないと判断した場合に、通信状況取得手段26により、警備対象領域Aを含むエリア内での通信回線Xの切断件数をカウントする。そして、当該切断件数が、所定数未満である場合には、通信回線Xの意図的な切断または、通信ユニット3の故障といった異常が起きたと判断し、所定数以上である場合には、通信ユニット3と監視センター4との間の通信回線Xに、通信回線Xを提供する通信キャリアの問題に由来する異常が起きたと判断するように構成されている。なお、例えば、通信ユニット3と監視センター4とが複数の通信回線Xにより通信可能に構成されている場合には、通信回線Xに異常が起きたと判断した場合に、異常が起きたと判断した回線以外の通信回線Xを用いて通信を継続するように構成すると好適である。
【0035】
仮警報信号iを受信した状態での監視センター4の動作を、図3を用いて説明する。監視センター4は、基本的に#11〜#17の順に動作する。
【0036】
(#11)通信ユニット3からの仮警報信号iを受信する。
(#12)通信ユニット3の通信状態保持手段15により、通信ユニット3との通信状態を保持を開始する。
(#13)通信ユニット3から解除信号を受信したかを確認する。
(#13:Yes)解除信号を受信した場合には、#17に進む。
(#13:No)解除信号を受信していない場合には、#14に進む。
【0037】
(#14)通信状態を保持しているかを確認する。
(#14:No)通信状態が保持されていない場合には、#16に進む。
(#14:Yes)通信状態が保持されている場合には、#15に進む。
(#15)計時手段24を用いて第1の所定時間T1を経過したかを確認する。
(#15:No)第1の所定時間T1を経過していない場合には、#13に戻る。
(#15:Yes)第1の所定時間T1を経過した場合には、#16に進む。
(#16)警報発令手段25により、警報を発令する。
【0038】
なお、本実施形態のように、監視センター4が、通信状況取得手段26を備える場合には、#14:Noから#16に移る前に、通信状況取得手段26により、通信状態が保持されなくなった原因を判断するように構成すると良い。
【0039】
〔実施例1〕
本発明に係る警備システム1の実施例の一例として、通信回線Xにインターネット回線を用いる場合を説明する。この場合、通信状態保持手段15は、逐次、監視センター4に応答信号sを送信することよって、通信状態を保持するように構成される。具体的には、通信状態保持手段15は、通信ユニット3と監視センター4との間で通信セッションを保持し、定期的に双方向通信を行う。通信の際の応答信号sとしては、例えば、pingのような低レイヤのコマンドを用いると好適である。応答信号sは、図4に示すように、第1の所定時間T1の間に、複数回送信されると好適である。このとき、応答信号sの送信間隔は、例えば30秒ごととすると良い。
【0040】
図4を用いて、通信ユニット3のモード設定手段11により警備モードに設定され、監視センター4の警報発令手段25により警報が発令されるまでの通常の通信フローを説明する。ここで、「通常」とは、第1の所定時間T1の間に、通信制御手段13の解除モードが解除されず、通信ユニット3または通信回線Xに異常が生じなかった場合を意味する。以下に、図中(1)〜(6)の各時点での動作を示す。
【0041】
(1)まず、通信ユニット3の使用者が、操作器12を操作することによりモード設定手段11を介して通信ユニット3を警備モードに設定する。
(2)警備モードの状態で、検知手段2が、警備対象領域A内の異常を検知すると、検知信号dを通信ユニット3に送信する。
(3)検知信号dを受信した通信ユニット3は、仮警報送信手段14により仮警報信号iを監視センター4に送信する。
(4)仮警報信号iを受信した監視センター4は、計時手段24により仮警報信号iを受信してからの経過時間を計測し始める。
(5)通信ユニット3は、仮警報信号iを送信後、通信状態保持手段15により監視センター4との通信セッションを保持したままとし、定期的に応答信号sを送信する。
(6)監視センター4は、計時手段24により計測した時間が第1の所定時間T1に達した時点で、警報発令手段25により警報を発令する。
【0042】
監視センター4は、本実施例においては、通信ユニット3からの応答信号sが途絶えた場合に、通信状態が保持されていないと判断するように構成される。この場合の動作につてい、図5を用いて、第1の所定時間T1の間に通信制御手段13の解除モードが解除されない状態で、通信ユニット3または通信回線Xに異常が生じた場合の通信フローを説明する。
【0043】
(1)〜(5)の各時点での動作は、上述した通常の通信フロー(図4)と同様である。
(6)監視センター4が仮警報信号iを受信してから、第1の所定時間T1経過するまでの特定のタイミングで、例えば、警備対象領域A内への侵入者によって破壊されるなどの理由で、通信ユニット3または通信回線Xに障害が発生する。
(7)監視センター4は、通常であれば、通信ユニット3からの応答信号sを受信するタイミングで、応答信号sを受信していない(応答信号sが途絶えた)ことを検知し、警報発令手段25により警報を発令する。
【0044】
〔実施例2〕
本発明に係る警備システム1の他の実施例として、通信回線Xに電話回線を用いる場合を説明する。ここで、「電話回線」としては、一般電話回線または携帯電話回線を用いることができる。なお、以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略する。
【0045】
電話回線を用いる場合には、通信状態保持手段15は、図4図6に示すように、定期的に通信ユニット3から監視センター4へ第2の所定時間T2の間だけ架電tを行うことによって、通信状態を保持するように構成される。第2の所定時間T2としては、具体的には、いわゆるリンギングn回分以上、n+1回分未満と設定することができる。また、通信状態保持手段15は、第1の所定時間T1の間に、複数回、架電tをするように構成すると良い。
【0046】
ここで、通信ユニット3からの架電tを受けた監視センター4は、通信ユニット3から架電tされた時間を確認するのみとし、受電しないように構成する。具体的には、監視センター4は、第2の所定時間T2に対応する時間の間、架電tが続けられたかを確認する。より詳しくは、監視センター4は、第2の所定時間T2が、リンギングn回分以上、n+1回分未満と設定されている場合には、通信ユニット3からの架電tが切断されるまでのリンギング回数がn回かを確認する。例えば、第2の所定時間T2がリンギング1回分以上、2回分未満と設定されている場合には、通信ユニット3からの架電tが切断されるまでに、1回のリンギングがあったかを確認する。
【0047】
本実施例においては、監視センター4は、実施例1と同様、図5に示すように定期的な架電tが途絶えた場合に通信状態が保持されていないと判断するように構成されている。さらに、図6に示すように、架電tが第2の所定時間T2未満で切れた場合に、通信状態が保持されていないと判断するように構成されている。具体的には、架電tが第2の所定時間T2内にn回リンギングするように設定された場合に、監視センター4でn回未満のリンギングしか確認できなかった場合に、通信状態が保持されていないと判断する。この場合の動作を、図6を用いて説明する。以下に、図中(1)〜(7)の各時点での動作を示す。
【0048】
(1)〜(5)の各時点での動作は、上述した実施例1の場合と同様である。
(6)監視センター4が仮警報信号iを受信してから、第1の所定時間T1経過するまでの間で、通信ユニット3が架電tを行っている特定のタイミングで、例えば、警備対象領域A内への侵入者によって破壊されるなどの理由で、通信ユニット3または通信回線Xに障害が発生する。
(7)監視センター4は、架電tが第2の所定時間T2未満で切れたことを検知し、警報発令手段25により警報を発令する。
【0049】
以上のような構成により、本願発明に係る警備システム1においては、監視センター4は、仮警報信号iを受信してから、第1の所定時間T1を経過するまでの間であっても、通信ユニット3または通信回線Xに関する異常事態を迅速に検知することができる。
【0050】
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施例2の通信回線Xとして電話回線を用いる場合においては、監視センター4が、定期的な架電tが途絶えた場合、または架電tが第2の所定時間T2未満で切れた場合に、通信状態が保持されていないと判断するように構成した。しかしながら、監視センター4が、架電tが第2の所定時間T2未満で切れたか否かは判断せず、定期的な架電tが途絶えた場合に通信状態が保持されていないと判断するように構成しても構わない。
【0051】
(2)上記実施形態では、監視センター4が、通信状況取得手段26を備える構成としたが、監視センター4が通信状況取得手段26を備えない構成としても構わない。
(3)上記実施形態では、主に検知手段2により異常を検知した場合の警備システム1の動作に関して説明した。このような動作に加えて、監視センター4と通信ユニット3との間における通信状態を保持している間に、緊急時には送信しない情報等、例えば、監視センター4から通信ユニット3へソフトウェアの改良版、点検のお知らせ等の情報等、あるいは、通信ユニット3から監視センター4側へ、通信ユニット3や検知手段2の稼動情報(累積稼働時間、無線通信回数)等の情報を送受信できる動作構造を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、警備対象領域内に設けられた検知手段と、前記検知手段からの検知信号を受信する通信ユニットと、前記通信ユニットと通信回線で接続されており、前記通信ユニットからのデータに基づき前記警備対象領域を監視する監視センターとを有する警備システムに適応可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 :警備システム
2 :検知手段
3 :通信ユニット
4 :監視センター
11 :モード設定手段
14 :仮警報送信手段
15 :通信状態保持手段
16 :解除信号送信手段
26 :通信状況取得手段
A :警備対象領域
T1 :第1の所定時間
T2 :第2の所定時間
X :通信回線
d :検知信号
i :仮警報信号
s :応答信号
t :架電
図1
図2
図3
図4
図5
図6