特許第6071383号(P6071383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071383
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】屋外構造体及び屋外構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   E04B1/00 501G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-213768(P2012-213768)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-66108(P2014-66108A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】上野 毅
(72)【発明者】
【氏名】西澤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】山内 利光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 多恵子
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−290829(JP,A)
【文献】 実開昭56−169002(JP,U)
【文献】 実開昭55−162609(JP,U)
【文献】 特開2004−225457(JP,A)
【文献】 実開昭62−061802(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体から屋外側に突出して設けられる妻梁と、
平面視で前記妻梁と直交するように前記建物躯体に固定される根太掛けと、
前記建物躯体に前記妻梁を固定する第1の固定金具と、
前記妻梁の屋外側端部を支持する支持材と、
前記支持材と前記妻梁とを固定するための第2の固定金具と、
を備え、
前記第1の固定金具は、前記根太掛けよりも上方に所定間隔を設けて前記建物躯体に固定され
前記第2の固定金具は、前記所定間隔と同じ長さの位置出し部を備えることで前記第1の固定金具の位置出しに使用可能であることを特徴とする、屋外構造体。
【請求項2】
前記第1の固定金具と前記第2の固定金具とが左右対称に形成されていることを特徴とする、請求項記載の屋外構造体。
【請求項3】
前記妻梁は、床材の端部を呑み込んで保持する中空柱状の支持部を備え、
前記第1の固定金具は、前記支持部の中空内において固定されることを特徴とする、請求項1又は2記載の屋外構造体。
【請求項4】
第1の固定金具によって妻梁の屋内側端部を建物躯体に固定し、この妻梁の屋外側端部を第2の固定金具によって支持材に固定する屋外構造体の施工方法であって、
根太掛けを前記建物躯体に固定し、
前記第2の固定金具を前記根太掛けの上部に係合させ、
前記根太掛けの上部に係合させた前記第2の固定金具の上部に前記第1の固定金具を当接させることで前記第1の固定金具の位置出しを行うことを特徴とする、屋外構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーなどの屋外構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なバルコニーは、窓開口部の両側下部から屋外側に突出して設けられた妻梁を備えており、こうした妻梁は固定用の金具により建物躯体に固定されている。
【0003】
特許文献1には、妻梁の端部に妻梁用ブラケットを固定し、この妻梁用ブラケットを介して妻梁を根太掛と共に外壁に取り付けた構造が開示されている。この特許文献1記載の構造においては、妻梁用ブラケットを根太掛と係合させることにより、妻梁用ブラケット及び妻梁の位置出しを行っている(段落0012、図4等参照)。このように根太掛けを基準として妻梁の位置出しを行えば、位置出しが容易となり、作業性を高めることができる。
【0004】
このような従来の構造においては、妻梁、妻梁を固定するための金具、根太掛けの3つが同じ高さ位置に配置されるため、互いにオーバーラップする箇所が存在し、オーバーラップした箇所での干渉を避けるために切り欠き加工がなされている。例えば上記した特許文献1記載の構造においては、妻梁に切り欠きを設けることで妻梁用ブラケットを逃げるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2769677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したように妻梁の端部に切り欠き加工を施した場合、出幅切り詰めにより妻梁の端部を切断すると妻梁の端部の切り欠きがなくなってしまう。このため、出幅切り詰め後に妻梁の端部に新たに切り欠きを設けるための加工作業が発生し、現場対応が煩雑となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、出幅切り詰めにより妻梁の端部を切断した場合でも新たな加工作業が発生しない屋外構造体及び屋外構造体の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の屋外構造体は、建物躯体から屋外側に突出して設けられる妻梁と、平面視で前記妻梁と直交するように前記建物躯体に固定される根太掛けと、前記建物躯体に前記妻梁を固定する第1の固定金具と、前記妻梁の屋外側端部を支持する支持材と、前記支持材と前記妻梁とを固定するための第2の固定金具と、を備え、前記第1の固定金具は、前記根太掛けよりも上方に所定間隔を設けて前記建物躯体に固定され、前記第2の固定金具は、前記所定間隔と同じ長さの位置出し部を備えることで前記第1の固定金具の位置出しに使用可能であることを特徴とする。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
【0013】
【0014】
すなわち、前記第1の固定金具と前記第2の固定金具とが左右対称に形成されていることを特徴とする。
【0015】
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記妻梁は、床材の端部を呑み込んで保持する中空柱状の支持部を備え、前記第1の固定金具は、前記支持部の中空内において固定されることを特徴とする。
【0017】
(請求項
請求項に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項5に記載の屋外構造体の施工方法は、第1の固定金具によって妻梁の屋内側端部を建物躯体に固定し、この妻梁の屋外側端部を第2の固定金具によって支持材に固定する屋外構造体の施工方法であって、根太掛けを前記建物躯体に固定し、前記第2の固定金具を前記根太掛けの上部に係合させ、前記根太掛けの上部に係合させた前記第2の固定金具の上部に前記第1の固定金具を当接させることで前記第1の固定金具の位置出しを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、建物躯体に妻梁を固定する第1の固定金具が、根太掛けよりも上方に所定間隔を設けて建物躯体に固定されている。このため、第1の固定金具と妻梁とを根太掛けに干渉しない位置に配置できるので、妻梁に切り欠き加工が不要であり、出幅切り詰め作業などにより妻梁の端部を切断した場合でも新たな加工作業が発生しない。
【0020】
また、妻梁に切り欠き加工が必要ないため、妻梁を建物躯体に密接させることができ、雨仕舞の良い屋外構造体を提供することができる。
【0021】
また、2の固定金具を第1の固定金具の位置出しに使用可能である。よって、第1の固定金具が直接的に根太掛けと係合しないにもかかわらず、第2の固定金具を使用して間接的に根太掛けを基準とした位置出しを行えるので、容易に位置出しを行うことができる。しかも、このような位置出しを、妻梁と支持材とを固定するために使用される第2の固定金具で行うため、位置出し用の別の部材を用意する必要がない。
【0022】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、前記第1の固定金具と前記第2の固定金具とが左右対称に形成されている。このため、左右の妻梁に使用する固定金具をそれぞれ用意しなくても、同じ固定金具を方向を変えて使用すれば左右の妻梁に対応できるので、部品の種類を減らすことができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0023】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、床材を支持する支持部の中空内に第1の固定金具を固定したので、妻梁と固定金具とが干渉せず、妻梁に固定金具をさけるための切り欠き加工が不要である。
【0024】
更には、固定金具が床材よりも上方で固定されるため、屋外構造体を傾斜屋根上に設けた場合でも加工作業の発生率を低下させることができる。すなわち、屋外構造体を傾斜屋根上に設ける場合、傾斜屋根や障害物を避けるために妻梁の屋内側端部を切り欠くなどの加工が必要となる場合がある。例えば、窓開口の下端から屋根面までの上下幅が狭い場合、この狭い部分に妻梁を入り込ませることができないため、妻梁の屋内側端部の下部を切り欠き加工する必要がある。このような場合でも、第1の固定金具は床材を支持する支持部の中空内に固定されており、床材よりも下方に突出することはないので、第1の固定金具の切り詰め加工が発生する可能性は低い。よって、屋外構造体を屋根置きで使用した場合の施工性を向上させることができる。
【0025】
また、請求項に記載の発明は上記の通りであり、根太掛けの上部に係合させた第2の固定金具の上部に第1の固定金具を当接させることで第1の固定金具の位置出しを行うので、上記した屋外構造体の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】バルコニーの平面断面図である。
図2図1のA−A'断面図である。
図3図1のB−B'断面図である。
図4】右固定金具の斜視図である。
図5】左固定金具の斜視図である。
図6】左固定金具を右固定金具の位置出しに使用して、右固定金具を建物躯体に固定する様子を示す図である。
図7】根太掛け、妻梁、固定金具の位置関係を示す断面図である。
図8】バルコニーの主な構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、屋外構造体としてのバルコニー10を例に説明する。
【0028】
本実施形態に係るバルコニー10は、建物開口の屋外側に設けられるものであり、図1及び図8に示すように、建物開口の両側下部から屋外側に突出して設けられる妻梁20と、建物躯体30に沿って窓開口の下部に固定される根太掛け11と、この根太掛け11の上に固定されて屋外方向に突出する根太12と、バルコニー10の屋外側の端において立設する柱14と、柱14と柱14との間に架設される前桁16と、バルコニー10の床面を構成する床材17と、を備えて構成される。
【0029】
妻梁20は、床材17の端部荷重を支持する部材であり、屋内側の端部が建物躯体30に固定されるとともに、屋外側の端部が柱14に固定されて支持されている。この妻梁20は、図2及び図3に示すように、建物躯体30に固定されて床材17の端部荷重を支持する支持部20aと、この支持部20aの下方に設けられる化粧部20bと、を備えている。
【0030】
支持部20aは、中空柱状であり、側方から床材17を呑み込ませて保持するように形成されている。後述する固定金具21,22は、この支持部20aの中空内の上方に偏った位置において、支持部20aの側壁部20dにボルト固定される。また、支持部20aの下端付近からは、内方に張出部20cが略水平方向に張り出し形成されている。この張出部20cは、支持部20aの中空部の下辺をなしており、中空部に呑み込ませた床材17の端部荷重を上面で受けるものである。
【0031】
化粧部20bは、支持部20aの下方に垂下する板状部であり、図7に示すように、側面から見たときに根太掛け11や根太12が露出しないように側面を覆っている。この化粧部20bの側面は、上記した支持部20aの側面と略面一となるように形成されている。
【0032】
根太掛け11は、建物躯体30に沿って水平方向に取り付けられる部材であり、図1に示すように、平面視で妻梁20と直交するように建物躯体30に固定されている。この根太掛け11は、根太12の端部を載置して固定できるように屋外側に張り出した突出縁部11aを備えている。
【0033】
根太12は、床材17の荷重を下方から支持するための部材であり、屋内側の端部が根太固定金具13によって根太掛け11に固定されるとともに、屋外側の端部が根太固定金具13によって前桁16に固定されて支持されている。
【0034】
柱14は、バルコニー10の屋外側の端において荷重を支持するための支持材であり、下端部に設けられた台部14aによって屋根面の上に載置、固定されている。この柱14と柱14との間、及び、柱14と建物躯体30との間には、落下防止のために複数の格子材15が所定間隔で設けられている。この格子材15は、前桁16または妻梁20に固定され、この格子材15の上端には手すり18が取り付けられている。
【0035】
前桁16は、柱14と柱14との間に架設されるものであって、両端部がそれぞれ柱14の対向する面に固定されて支持されている。この前桁16は、バルコニー10の前面下部を覆うように設けられている。
【0036】
床材17は、例えば内部を中空にした合成樹脂製の細長板状成形体であり、両端部が妻梁20で支持されるとともに、下部を根太12で支持されている。この床材17は、図4に示すように、隣接する床材17の間に隙間ができないように互いに係合して配置され、バルコニー10の床面を形成している。
【0037】
ところで、上記した妻梁20は、図4に示す右固定金具21、または、図5に示す左固定金具22によって建物躯体30及び柱14に固定されている。
【0038】
この右固定金具21及び左固定金具22は、妻梁20の両端部の固定に使用され、一方の固定金具の対向する位置に他方の固定金具が使用されるようになっている。具体的には、図1に示すように、右固定金具21は、室内側を向いて右側の妻梁20を建物躯体30に固定するために使用され、また、室外側を向いて右側の妻梁20を柱14に固定するために使用される。また、左固定金具22は、室内側を向いて左側の妻梁20を建物躯体30に固定するために使用され、また、室外側を向いて左側の妻梁20を柱14に固定するために使用される。
【0039】
右固定金具21は、図4に示すように、建物躯体30または柱14に固定するための固定片23と、妻梁20に固定するための支持片27と、からなる平面視L字形の金属製部材である。固定片23には、3つの固定孔24が穿設されており、この固定孔24を貫通するネジ等により建物躯体30または柱14に固定できるようになっている。支持片27には、2つの妻梁固定用孔28が穿設されており、この妻梁固定用孔28を貫通するボルトにより妻梁20に固定できるようになっている。
【0040】
なお、固定片23の一方の角部は、略直角に切り欠かれて係合部26を形成している。そして、切り欠かれずに残った固定片23の側縁は、上下に所定の長さを持った位置出し部25を形成している。この位置出し部25は、後述する位置出しに使用されるものである。
【0041】
左固定金具22は、図5に示すように、右固定金具21と左右対称に形成された部材であり、右固定金具21と同様に、固定片23、支持片27、固定孔24、係合部26、位置出し部25、妻梁固定用孔28を備えているが、その位置及び形状が右固定金具21とは左右逆となっている。
【0042】
これらの右固定金具21及び左固定金具22は、係合部26が上側にくるように建物躯体30または柱14に固定される。そして、右固定金具21及び左固定金具22の支持片27を妻梁20の支持部20aの中空部内に挿入し、右固定金具21及び左固定金具22の上面に妻梁20の支持部20aの上辺部を載置した状態で、右固定金具21及び左固定金具22が妻梁20に固定される。このように、右固定金具21及び左固定金具22の上面で妻梁20を受けることにより、右固定金具21及び左固定金具22と妻梁20との固定が容易であるとともに、右固定金具21及び左固定金具22による妻梁20の支持が確実なものとなっている。
【0043】
本実施形態においては、この右固定金具21及び左固定金具22を使用して妻梁20を固定する際に、右固定金具21及び左固定金具22のいずれか一方の固定金具の位置出しを、他方の固定金具を使用して行うようにしている。
【0044】
図6は、屋内側を向いて右側の妻梁20を建物躯体30に固定する様子を示す図である。この図6を参照しつつ、右固定金具21の位置出しを、左固定金具22を使用して行う手順について説明する。
【0045】
まず、図6(a)が示すように、根太掛け11を建物躯体30に固定し、その根太掛け11の上部に左固定金具22を載置する。このとき、左固定金具22の係合部26を下に向けて根太掛け11の上角部に係合させる。これにより、左固定金具22の上端部が、位置出し部25の高さ分だけ根太掛け11よりも上方に位置した状態となる。
【0046】
そして、図6(b)が示すように、左固定金具22の上部に右固定金具21を当接させる。これにより、右固定金具21は、位置出し部25の高さ分だけ根太掛け11よりも上方に位置した状態となる。
【0047】
その後、図6(c)が示すように、右固定金具21をタッピングネジ29で建物躯体30に固定する。右固定金具21が固定できたら、図6(d)が示すように、左固定金具22を取り除けばよい。このようにすることで、右固定金具21は、根太掛け11よりも上方に位置出し部25の長さ分の間隔Wを設けて取り付けられる。
【0048】
なお、位置出しに使用された左固定金具22は、上記手順により取付られた右固定金具21と対向する妻梁20の屋外側端部において、妻梁20と柱14との固定に使用される。
【0049】
そして、右固定金具21及び左固定金具22が固定されたら、その上に妻梁20を架橋してボルトで固定すれば、妻梁20の固定が完了する。
【0050】
上記手順によれば、図7に示すように、右固定金具21は、根太掛け11よりも上方に所定間隔Wを設けて配置され、かつ、張出部20cよりも上方において妻梁20に固定されることとなる。また、妻梁20も根太掛け11との間に間隔を設けて固定されることとなる。このため、妻梁20、根太掛け11、右固定金具21のそれぞれが互いに干渉しないように配置されている。
【0051】
なお、上記説明では屋内側を向いて右側の妻梁20を固定する手順について説明したが、屋内側を向いて左側の妻梁20を固定する場合には、上記手順における右固定金具21と左固定金具22とを入れ替えて読めば、同様の手順にて作業を行うことができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、建物躯体30に妻梁20を固定する固定金具21,22が、根太掛け11よりも上方に所定間隔Wを設けて建物躯体30に固定されるとともに、床材17の端部荷重を受ける張出部20cよりも上方において妻梁20に固定されている。このため、固定金具21,22は、根太掛け11及び妻梁20のいずれとも干渉しない位置に配置できるので、妻梁20に切り欠き加工等が不要であり、出幅切り詰め作業などにより妻梁20の端部を切断した場合でも新たな加工作業が発生しない。
【0053】
また、妻梁20に切り欠き加工が必要ないため、妻梁20を建物躯体30に密接させることができ、雨仕舞の良い屋外構造体を提供することができる。
【0054】
また、屋外構造体10を傾斜屋根上に設ける場合、傾斜屋根や障害物を避けるために妻梁20の屋内側端部を切り欠くなどの加工が必要となる場合がある。例えば、窓開口の下端から屋根面までの上下幅が狭い場合、この狭い部分に妻梁20を入り込ませることができないため、妻梁20の端部において下部を切り欠き加工する必要がある。このような場合でも、固定金具21,22は床材17よりも下方に突出することはないので、固定金具21,22の切り詰め加工が発生する可能性は低い。よって、屋外構造体10を屋根置きで使用した場合の施工性を向上させることができる。
【0055】
また、右固定金具21及び左固定金具22のうち、一方の固定金具を他方の固定金具の位置出しに使用可能であるので、固定金具が直接的に根太掛け11と係合しないにもかかわらず、間接的に根太掛け11を基準とした位置出しを行えるので、容易に位置出しを行うことができる。しかも、このような位置出しを、妻梁20と支持材14とを固定するために使用される固定金具で行うため、位置出し用の別の部材を用意する必要がない。
【0056】
また、右固定金具21と左固定金具22とが左右対称に形成されているため、左右の妻梁20に使用する固定金具をそれぞれ用意しなくても、同じ固定金具を方向を変えて使用すれば左右の妻梁20に対応できるので、部品の種類を減らすことができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 バルコニー(屋外構造体)
11 根太掛け
11a 突出縁部
12 根太
13 根太固定金具
14 柱(支持材)
14a 台部
15 格子材
16 前桁
17 床材
18 手すり
20 妻梁
20a 支持部
20b 化粧部
20c 張出部
20d 側壁部
21 右固定金具
22 左固定金具
23 固定片
24 固定孔
25 位置出し部
26 係合部
27 支持片
28 妻梁固定用孔
29 タッピングネジ
30 建物躯体
W 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8