特許第6071408号(P6071408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6071408プロモーション管理システムおよびプロモーション管理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071408
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】プロモーション管理システムおよびプロモーション管理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170123BHJP
【FI】
   G06Q30/02 312
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-230231(P2012-230231)
(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-81845(P2014-81845A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030237
【氏名又は名称】日本ユニシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】海老原 純二
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌弘
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/057973(WO,A1)
【文献】 特開2004−171261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
購買履歴記憶部に記憶されている顧客の購買履歴データに基づいて、商品を再度購買することなく離脱してしまう度合いを示す離脱確率を顧客毎に算出する離脱確率算出部と、
上記離脱確率算出部により顧客毎に算出された離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客の選定を行う離脱顧客選定部とを備え、
上記離脱確率算出部は、最終購買日からの経過日数/平均購買日数として求められる経過率、(直近1期購買額−直近2期購買額)/直近2期購買額として求められる購買額変化率、(直近1期購買点数−直近2期購買点数)/直近2期購点数として求められる購買点数変化率の少なくとも1つを指標パラメータとして、上記離脱確率を算出することを特徴とするプロモーション管理システム。
【請求項2】
上記離脱確率算出部および上記離脱顧客選定部を所定時間毎に繰り返し動作させる制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のプロモーション管理システム。
【請求項3】
上記購買履歴記憶部に記憶されている購買履歴データおよび顧客属性記憶部に記憶されている顧客の属性データに基づいて、顧客による商品の今後の購買力示す購買確率を顧客毎および商品カテゴリ毎に算出する購買確率算出部と、
上記購買確率算出部により算出された購買確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする商品カテゴリを顧客毎に選定する商品カテゴリ選定部とを更に備え、
上記購買確率算出部は、上記顧客属性データに含まれる性別、年齢、職業の少なくとも1つから求められる顧客属性指標、直近1期購買回数から求められる直近1期購買指標、直近2期購買回数から求められる直近2期購買指標の少なくとも1つを指標パラメータとして、上記購買確率を算出することを特徴とする請求項1に記載のプロモーション管理システム。
【請求項4】
購買履歴記憶部に記憶されている顧客の購買履歴データに基づいて、商品を再度購買することなく離脱してしまう度合いを示す離脱確率を顧客毎に算出する離脱確率算出手段、および
上記離脱確率算出手段により顧客毎に算出された離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客の選定を行う離脱顧客選定手段であって、最終購買日からの経過日数/平均購買日数として求められる経過率、(直近1期購買額−直近2期購買額)/直近2期購買額として求められる購買額変化率、(直近1期購買点数−直近2期購買点数)/直近2期購点数として求められる購買点数変化率の少なくとも1つを指標パラメータとして、上記離脱確率を算出する離脱顧客選定手段
としてコンピュータを機能させるためのプロモーション管理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロモーション管理システムおよびプロモーション管理用プログラムに関し、特に、顧客の購買履歴データに基づいてプロモーションの実施対象とする顧客を選定するための管理を行うシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、通信販売に代表されるダイレクト・マーケティングを実施している企業では、DMやメルマガ等の個を特定したプロモーションで顧客の再購買を促進している。ここで、プロモーションの費用対効果を上げるためには、どの顧客に対してどのような商品を提案するかという、顧客と商品の選定が鍵となる。
【0003】
従来、顧客の選定に関して将来価値(将来の売上や粗利)の最大化を目的とした店舗管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、所定期間における総購入金額ごとにランク分けされた会員ごとに、各商品について購入率と購入会員当たり金額と継続購入率とを乗算することによって顧客価値指標値を算出することが記載されている。これにより、優良顧客に該当する重要会員の維持育成を図るための戦略的なCRMを実現することができると説明されている。
【0004】
なお、プロモーションは、優良顧客だけでなく、それ以外の顧客に対して行うことも必要である。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、顧客全体の中から優良顧客をいかに発見するかというところに視点が置かれており、それ以外の顧客に対してプロモーションを行うときに有効な顧客選定を行うことができない。例えば、顧客のライフサイクルで考えた場合、特許文献1のように優良顧客を維持するための管理だけでなく、顧客の離脱を阻止するための管理も大切であるが、特許文献1に記載の技術では後者の管理を適切に行うことができない。
【0005】
そこで、顧客の離脱を阻止するための管理(離脱可能性のある顧客の選定)として、商品を一度購買したことがある顧客の中で、ある程度期間が経過しているが次の購買がない顧客を選定し、プロモーションを行うといった方法が考えられる。例えば、購買履歴データを参照して、「購買回数>0かつ最終購買日からの経過日数>nヶ月」などの条件で、離脱可能性のある顧客(以下、これを単に離脱顧客と呼ぶ)を抽出することが可能である。
【0006】
しかしながら、商品の購買サイクルは顧客毎に長短がある。そのため、全ての顧客に対して一律に「最終購買日からの経過日数>nヶ月」といった条件を設定すると、個々人の傾向を考慮して離脱顧客の選定を適切に行うことができない。その結果、プロモーションを実施すべきタイミングを逸して顧客の離脱を阻止することができなくなってしまうことがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−287371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、プロモーションの実施のために離脱顧客の選定を適切に行い、顧客の離脱をできるだけ阻止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、購買履歴記憶部に記憶されている顧客の購買履歴データに基づいて、商品を再度購買することなく離脱してしまう度合いを示す離脱確率を顧客毎に算出し、算出した離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客の選定を行うようにしている。ここで、離脱確率は、最終購買日からの経過日数/平均購買日数として求められる経過率、(直近1期購買額−直近2期購買額)/直近2期購買額として求められる購買額変化率、(直近1期購買点数−直近2期購買点数)/直近2期購点数として求められる購買点数変化率の少なくとも1つを指標パラメータとして算出する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、離脱の可能性を示す離脱確率が顧客の購買履歴データに基づいて顧客毎に算出される。その離脱確率は、顧客個々の平均購買日数(購買サイクル)と購買量(購買額、購買点数)の変化との少なくとも1つを考慮した指標となっている。そのため、購買をやめてしまう危険度を表す離脱確率を顧客毎に高い精度で算出することができる。これにより、その離脱確率に基づいて離脱顧客を選定すれば、最終購買日からの経過日数で単純に離脱顧客を選定する場合と比べ、離脱顧客の選定をより適切に行うことができる。よって、選定した離脱顧客に対してプロモーションを実施することで、顧客の離脱をできるだけ阻止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態によるプロモーション管理システムの機能構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の購買履歴記憶部に記憶される購買履歴データの一例を示す図である。
図3】本実施形態の顧客属性記憶部に記憶される顧客属性データの一例を示す図である。
図4】本実施形態の離脱確率算出部により算出される離脱確率の一例を示す図である。
図5】本実施形態の購買確率算出部により算出される購買確率の一例を示す図である。
図6】本実施形態によるプロモーション管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるプロモーション管理システム10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のプロモーション管理システム10は、その機能構成として、離脱確率算出部11、離脱顧客選定部12、購買確率算出部13、商品カテゴリ選定部14、選定結果出力部15、プロモーション条件設定部16および制御部17を備えている。また、本実施形態のプロモーション管理システム10は、購買履歴記憶部20および顧客属性記憶部30に接続されている。
【0013】
プロモーション管理システム10が備える各機能構成11〜17は、ソフトウェアによって実現することが可能である。その場合、各機能構成11〜17は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMあるいはハードディスク等の記録媒体に記憶されたプロモーション管理用プログラムが動作することによって実現できる。
【0014】
購買履歴記憶部20は、顧客による商品の購買履歴データを記憶するものである。図2は、購買履歴記憶部20に記憶される購買履歴データの一例を示す図である。図2に示すように、購買履歴データには、商品の購買者(顧客)、購買した商品のカテゴリ、購買した商品、購買点数、購買額、購買日時などの情報が含まれている。なお、購買履歴データがこれ以外の情報を含んでいてもよい。
【0015】
顧客属性記憶部30は、顧客の属性データを記憶する。図3は、顧客属性記憶部30に記憶される顧客属性データの一例を示す図である。図3に示すように、顧客属性データには、顧客名、性別、年齢、職業などの情報が含まれている。なお、顧客属性データがこれ以外の情報を含んでいてもよい。
【0016】
離脱確率算出部11は、購買履歴記憶部20に記憶されている購買履歴データに基づいて、商品を再度購買することなく離脱してしまう度合いを示す離脱確率を、購買履歴記憶部20に記憶されている顧客毎に算出する。図4は、離脱確率算出部11により算出される離脱確率の一例を示す図である。
【0017】
離脱確率は、次の3つの指標をパラメータとする関数Fで表される。ここで用いる関数Fは、例えば、3つの指標パラメータ値の重み付け平均を求める関数とすることができる。
離脱確率=F(経過率,購買額変化率,購買点数変化率)
経過率=最終購買日からの経過日数/平均購買日数(購買間隔の平均)
購買額変化率=(直近1期購買額−直近2期購買額)/直近2期購買額
購買点数変化率=(直近1期購買点数−直近2期購買点数)/直近2期購点数
【0018】
なお、期は所定の期間(例えば1年)であり、直近1期は現在より直近の1年間、直近2期は更にその前の1年間を表す。また、顧客が複数の商品を購買している場合は、購買履歴記憶部20には当該複数の商品に関する購買履歴データが記憶されている。購買額は、それら複数の商品のトータルの購買額を表す。また、購買点数は、それら複数の商品のトータルの購買点数を表す。
【0019】
離脱顧客選定部12は、離脱確率算出部11により顧客毎に算出された離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客の選定を行う。例えば、離脱顧客選定部12は、離脱確率がx%(xは任意に設定可能)以上の顧客をプロモーションの実施対象とする離脱顧客として選定する。
【0020】
購買確率算出部13は、購買履歴記憶部20に記憶されている購買履歴データおよび顧客属性記憶部30に記憶されている顧客属性データに基づいて、顧客による商品の今後の購買力示す購買確率を、購買履歴記憶部20に記憶されている顧客毎および商品カテゴリ毎に算出する。図5は、購買確率算出部13により算出される購買確率の一例を示す図である。
【0021】
購買確率は、次の3つの指標をパラメータとする関数Gで表される。ここで用いる関数Gは、例えば、3つの指標パラメータ値の重み付け平均を求める関数とすることができる。
購買確率=G(顧客属性指標,直近1期購買指標,直近2期購買指標)
ここで、顧客属性指標は、顧客属性データに含まれる性別、年齢、職業の少なくとも1つをパラメータとする関数により求められる値である。直近1期購買指標は、直近1期購買回数をパラメータとする関数により求められる値である。また、直近2期購買指は、直近2期購買回数をパラメータとする関数により求められる値である。
【0022】
なお、この場合の期も所定の期間(例えば1年)であり、直近1期は現在より直近の1年間、直近2期は更にその前の1年間を表す。また、顧客が同じ商品カテゴリに属する複数の商品を購買している場合、購買回数は、同じ商品カテゴリに属する複数の商品のトータルの購買回数を表す。
【0023】
ここで、顧客属性指標の算出に用いる関数は、例えば、商品カテゴリと性別との関係、商品カテゴリと年齢との関係、商品カテゴリと職業との関係からあらかじめそれぞれの指標値を定めたテーブル関数と、テーブル関数から求められた3つの指標値の重み付け平均を求める関数との組み合わせとすることができる。また、直近1期購買指標および直近2期購買指標に用いる関数は、例えば、購買回数が多いほど指標値が大きくなるような関数とすることができる。
【0024】
商品カテゴリ選定部14は、購買確率算出部13により算出された購買確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする商品カテゴリを顧客毎に選定する。例えば、商品カテゴリ選定部14は、顧客毎に購買確率がy%(yは任意に設定可能)以上の商品カテゴリをプロモーションの実施対象として選定する。
【0025】
選定結果出力部15は、離脱顧客選定部12により選定された離脱顧客および商品カテゴリ選定部14により顧客毎に選定された商品カテゴリを出力する。出力の形態は、ディスプレイ画面への表示、紙媒体への印刷、記録媒体へのデータ記憶などであり、ユーザが図示しない操作部を操作して何れかの出力形態を指定することが可能である。
【0026】
ユーザは、出力された選定結果を参照することにより、どの顧客に対してどの商品カテゴリの商品をプロモートすれば良いかを簡単に判断することができる。すなわち、以前よりも商品の購買頻度が落ちてきて再度の購買がなくなる危険性のある離脱顧客に対して、その離脱顧客が興味を惹きそうな商品カテゴリの商品をプロモートすることができる。
【0027】
プロモーション条件設定部16は、離脱確率算出部11、離脱顧客選定部12、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14により顧客や商品カテゴリを選定する際の条件を、ユーザが図示しない操作部を操作して任意に設定するためのものである。
【0028】
例えば、プロモーション条件設定部16は、ユーザによる操作部の操作に応じて、離脱確率算出部11により離脱確率を算出する際に用いる3つの指標パラメータ(経過率,購買額変化率,購買点数変化率)のうち、どれを使用するかを指定する。本実施形態では、これら3つの指標パラメータのうち少なくとも1つを用いて離脱確率を算出することが可能である。また、プロモーション条件設定部16は、3つの指標パラメータに対する重みの値を設定するようにしてもよい。
【0029】
また、プロモーション条件設定部16は、ユーザによる操作部の操作に応じて、離脱顧客選定部12により離脱顧客を選定する際の判定基準となる離脱確率の閾値xを指定する。
【0030】
また、プロモーション条件設定部16は、ユーザによる操作部の操作に応じて、購買確率算出部13により購買確率を算出する際に用いる3つの指標パラメータ(顧客属性指標,直近1期購買指標,直近2期購買指標)のうち、どれを使用するかを指定する。本実施形態では、これら3つの指標パラメータのうち少なくとも1つを用いて購買確率を算出することが可能である。また、プロモーション条件設定部16は、3つの指標パラメータに対する重みの値を設定するようにしてもよい。
【0031】
また、プロモーション条件設定部16は、ユーザによる操作部の操作に応じて、商品カテゴリ選定部14により商品カテゴリを選定する際の判定基準となる購買確率の閾値yを指定する。
【0032】
制御部17は、離脱確率算出部11、離脱顧客選定部12、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14の動作を制御する。例えば、制御部17は、離脱確率算出部11および離脱顧客選定部12を所定時間毎(例えば1日毎)に繰り返し動作させるように制御する。離脱顧客の選定を所定時間毎に行うことにより、再度の購買がなくなる危険性のある離脱顧客を、顧客毎の購買サイクルに合わせた適切なタイミングで検出することができる。
【0033】
また、制御部17は、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14を所定時間毎(例えば1日毎)に繰り返し動作させるように制御する。なお、離脱確率算出部11および離脱顧客選定部12の動作と、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14の動作とを必ずしも同期させる必要はない。繰り返しのインターバルとなる所定時間についても、必ずしも同じである必要はない。
【0034】
図6は、上記のように構成した本実施形態によるプロモーション管理システム10の動作例を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、プロモーション管理用プログラムを起動させたときに開始する。ここでは、離脱確率算出部11と購買確率算出部13とを同期して動作させる例について説明する。
【0035】
まず、制御部17は、離脱確率算出部11および購買確率算出部13を動作させるタイミングとなったか否か、つまり、前回の動作タイミングから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1)。動作タイミングになったと制御部17により判定された場合、離脱確率算出部11は、購買履歴記憶部20に記憶されている購買履歴データに基づいて、離脱確率を顧客毎に算出する(ステップS2)。そして、離脱顧客選定部12は、離脱確率算出部11により顧客毎に算出された離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客を選定する(ステップS3)。
【0036】
次に、購買確率算出部13は、購買履歴記憶部20に記憶されている購買履歴データおよび顧客属性記憶部30に記憶されている顧客属性データに基づいて、顧客による商品の今後の購買力示す購買確率を顧客毎および商品カテゴリ毎に算出する(ステップS4)。そして、商品カテゴリ選定部14は、購買確率算出部13により算出された購買確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする商品カテゴリを顧客毎に選定する(ステップS5)。
【0037】
最後に、選定結果出力部15は、離脱顧客選定部12により選定された離脱顧客と、商品カテゴリ選定部14により顧客毎に選定された商品カテゴリとを出力する(ステップS6)。これにより、図6に示すフローチャートの処理を終了する。
【0038】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、顧客毎の離脱確率を所定時間毎に算出し、算出した離脱確率に基づいて、プロモーションの実施対象とする離脱顧客の選定を行うようにしている。ここで算出される離脱確率は、顧客個々の購買サイクルと購買量の変化とを考慮した指標となっている。そのため、ユーザが購買をやめてしまう危険度を表す離脱確率を顧客毎に高い精度で算出することができる。これにより、その離脱確率に基づいて離脱顧客を選定すれば、離脱顧客の選定をより適切に行うことができる。その結果、選定した離脱顧客に対して適切なタイミングでプロモーションを実施することが可能となり、顧客の離脱をできるだけ阻止することができるようになる。
【0039】
なお、上記実施形態では、購買確率算出部13により購買確率を顧客毎および商品カテゴリ毎に算出し、プロモーションの実施対象とする商品カテゴリを商品カテゴリ選定部14により選定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、商品の購買確率を顧客毎および商品毎に算出し、プロモーションの実施対象とする商品を選定するようにしてもよい。あるいは、商品カテゴリ選定部14により商品カテゴリを選定した後、選定した商品カテゴリの中から何れかの商品を所定のルールに基づき選定するようにしてもよい。
【0040】
所定のルールとしては、例えば、購買履歴記憶部20に記憶されている購買履歴データを参照することにより、離脱顧客選定部12により選定された離脱顧客と購買傾向が似ている他の顧客を抽出し、当該他の顧客が購買している商品をプロモーションの実施対象の商品として選定するようにすることが可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、離脱確率算出部11により離脱確率を顧客毎に算出する例について説明したが、顧客毎および商品カテゴリ毎に離脱確率を算出するようにしてもよい。このようにすれば、離脱の可能性がある顧客について、どの商品カテゴリに関して離脱の可能性があるのかを細かく分析することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、離脱確率算出部11および離脱顧客選定部12の動作と、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14の動作とを独立して行う例について説明したが、互いに連携して動作させるようにしてもよい。例えば、購買確率算出部13および商品カテゴリ選定部14は、離脱顧客選定部12により選定された離脱顧客だけを対象として処理を行うようにしてもよい。
【0043】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 プロモーション管理システム
11 離脱確率算出部
12 離脱顧客選定部
13 購買確率算出部
14 商品カテゴリ選定部
15 選定結果出力部
16 プロモーション条件設定部
17 制御部
20 購買履歴記憶部
30 顧客属性記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6