特許第6071410号(P6071410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071410
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】遊技用システムおよび遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A63F7/02 332Z
【請求項の数】3
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2012-231834(P2012-231834)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-83080(P2014-83080A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(73)【特許権者】
【識別番号】501468770
【氏名又は名称】株式会社ジョイコシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】柳 漢呉
【審査官】 堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167006(JP,A)
【文献】 特開2012−143413(JP,A)
【文献】 特開2003−010503(JP,A)
【文献】 特開平11−239666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04,7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機と、遊技者所有の遊技用価値を使用して前記遊技機での遊技に必要な遊技媒体を付与するための遊技用装置とを備える遊技用システムであって、
前記遊技用装置は、
所定の大きさの前記遊技用価値の使用と引き換えに前記遊技媒体の付与指令を送信する付与指令送信手段を備え、
前記遊技機は、
前記遊技媒体のレートを第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段と、
前記付与指令を受信したときに、前記所定の大きさの遊技用価値と前記レート記憶手段により設定されたレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔を長くする、遊技用システム。
【請求項2】
遊技機と、遊技者所有の遊技用価値を使用して前記遊技機での遊技に必要な遊技媒体を付与するための遊技用装置と、前記遊技媒体のレートを第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段とを備える遊技用システムであって、
前記遊技用装置は、
所定の大きさの前記遊技用価値の使用と引き換えに前記遊技媒体の付与指令を送信する付与指令送信手段を備え、
前記遊技機は、
前記付与指令を受信したときに、前記所定の大きさの遊技用価値と前記レート記憶手段により設定された遊技媒体のレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔を長くする、遊技用システム。
【請求項3】
遊技媒体の使用により遊技が可能となり、入賞が発生したときに遊技媒体を払出す遊技機であって、
前記遊技媒体のレートを第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段と、
遊技者所有の遊技用価値の使用と引き換えに、前記遊技用価値の大きさと前記レート記憶手段により設定されたレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔を長くする、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を含む遊技用システムおよび遊技機に関し、詳しくは、遊技機と遊技者所有の遊技用価値を使用して前記遊技機での遊技に必要な遊技媒体を付与するための遊技用装置とを備える遊技用システム、および遊技媒体の使用により遊技が可能となる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として一般的には、パチンコ玉の発射により遊技が可能となるパチンコ遊技機やメダルの使用により賭数設定されて遊技が可能となるスロットマシン、または、パチンコ玉やメダルに代わる所定の持点の使用によってパチンコ玉を発射可能とし若しくは賭数設定を可能とするような持点式の遊技機が知られている。
【0003】
これらの遊技機は、パチンコ玉やメダルあるいは持点といった遊技媒体を使用することによって遊技が可能となる。このような遊技機では、たとえば、遊技者が所持しているプリペイドカードから所定額を引き落とすことと引き換えにして、所定のレートに基づいた数の遊技媒体が遊技者に付与される。
【0004】
このようにレートに基づいて遊技媒体を付与することに関して、特許文献1では、レートの設定を複数種類のうちから選択可能とするとともに、設定されたレートに応じて遊技内容を変更する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−180751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されている技術は、レートに応じて賞球数や大当り確率を変更する程度の遊技内容の変更である。しかも、高レート(1球当りの貸出単価が高い)であるほど、大当り確率が高くなるものであるため、射倖性が高まり過ぎるおそれがあった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、遊技のレートを変更設定可能とできながらも、射倖性が高まり過ぎることを防止可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 遊技機(P台2、S台2S)と、遊技者所有の遊技用価値を使用して前記遊技機での遊技に必要な遊技媒体(遊技玉またはメダル、遊技点)を付与するための遊技用装置(CU3)とを備える遊技用システム(P台2またはS台2S、CU3を含む遊技システム)であって、
前記遊技用装置は、
所定の大きさの前記遊技用価値の使用と引き換えに前記遊技媒体の付与指令(加算要求ONの状態情報要求)を送信する付与指令送信手段(通信制御IC325a)を備え、
前記遊技機は、
前記遊技媒体のレート(図6のレート、図17のレート)を第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段(P台2での主制御部161のRAM、S台2Sでの主制御部のRAM)と、
前記付与指令を受信したときに、前記所定の大きさの遊技用価値と前記レート記憶手段により設定されたレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段(P台2での払出制御部171のCPU、S台2Sでの払出制御部のCPU)と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段(P台2の主制御部161、S台2Sの主制御部)とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔(P台2の発射間隔、S台2Sのウェイト時間)を長くする(図6(B)、図17(B))。
【0009】
このような構成によれば、遊技用システムにおいて、遊技媒体のレートが第1レートよりも高い第2レートとに設定されている場合の方が第1レートに設定されている場合よりも一単位の所定遊技制御の実行間隔が長くなるので、レートが高くなっても所定遊技制御の実行間隔が長くなることとなり、レートを高くしても射幸性を抑制することができる。
【0010】
(2) 遊技機(P台2、S台2S)と、遊技者所有の遊技用価値を使用して前記遊技機での遊技に必要な遊技媒体(遊技玉またはメダル、遊技点)を付与するための遊技用装置(CU3)と、前記遊技媒体のレートを第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段(CU3のレート記憶手段、ホールサーバ801のレート記憶手段)とを備える遊技用システムであって、
前記遊技用装置は、
所定の大きさの前記遊技用価値の使用と引き換えに前記遊技媒体の付与指令(加算要求ONの状態情報要求)を送信する付与指令送信手段(通信制御IC325a)を備え、
前記遊技機は、
前記付与指令を受信したときに、前記所定の大きさの遊技用価値と前記レート記憶手段により設定された遊技媒体のレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段(P台2での払出制御部171のCPU、S台2Sでの払出制御部のCPU)と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段(P台2の主制御部161、S台2Sの主制御部)とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔(P台2の発射間隔、S台2Sのウェイト時間)を長くする(図6(B)、図17(B))。
【0011】
このような構成によれば、遊技用システムにおいて、遊技媒体のレートが第1レートよりも高い第2レートとに設定されている場合の方が第1レートに設定されている場合よりも一単位の所定遊技制御の実行間隔が長くなるので、レートが高くなっても所定遊技制御の実行間隔が長くなることとなり、レートを高くしても射幸性を抑制することができる。
【0012】
(3) 遊技媒体(遊技玉またはメダル、遊技点)の使用により遊技が可能となり、入賞が発生したときに遊技媒体を払出す遊技機(P台2、S台2S)であって、
前記遊技媒体のレート(図6のレート、図17のレート)を第1レートと当該第1レートよりも高い第2レートとに変更設定可能なレート記憶手段(P台2での主制御部161のRAM、S台2Sでの主制御部のRAM)と、
遊技者所有の遊技用価値の使用と引き換えに、前記遊技用価値の大きさと前記レート記憶手段により設定されたレートとに基づいた数の前記遊技媒体を付与する付与手段(P台2での払出制御部171のCPU、S台2Sでの払出制御部のCPU)と、
遊技者動作に基づく前記遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御を実行する遊技制御手段(P台2の主制御部161、S台2Sの主制御部)とを備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技媒体のレートが前記第2レートに設定されている場合の方が前記第1レートに設定されている場合よりも前記所定遊技制御の実行間隔(P台2の発射間隔、S台2Sのウェイト時間)を長くする(図6(B)、図17(B))。
【0013】
このような構成によれば、遊技機において、遊技媒体のレートが第1レートよりも高い第2レートとに設定されている場合の方が第1レートに設定されている場合よりも一単位の所定遊技制御の実行間隔が長くなるので、レートが高くなっても所定遊技制御の実行間隔が長くなることとなり、レートを高くしても射幸性を抑制することができる。
【0014】
(4) 前記遊技媒体のレートを変更するための遊技者による操作が可能な設定操作手段(タッチパネルとしての表示器54)をさらに備え、
前記レート記憶手段は、前記設定操作手段の操作が検出された後、所定条件(レート選択条件)の成立を待って前記遊技媒体のレートを変更する(図9のS46)。
【0015】
このような構成によれば、レートを変更するための操作が検出された後、所定条件の成立を待ってレートが変更されるので、射倖性が高まり過ぎる状態の発生を未然に防ぐことが可能となる等、レート変更により生じるおそれがある各種の不具合を解消することが可能となる。
【0016】
(5) 遊技中に所定の演出制御を実行する演出制御手段(P台2の演出制御部151、S台2Sの演出制御部)をさらに備え、
前記演出制御手段は、前記遊技制御手段による前記遊技媒体を使用した遊技制御の実行間隔に応じて、遊技中に演出を行なう期間(P台2の変動時間、S台2Sの演出時間)の長さを変更する。
【0017】
このような構成によれば、遊技媒体を使用した遊技制御の実行間隔に応じて、遊技中に演出を行なう期間の長さが変更されるので、発射間隔と遊技中に演出を行なう期間の長さとの対応関係により、遊技制御の実行間隔が変化しても、遊技者が違和感なく遊技をすることができる。
【0018】
(6) 前記レート記憶手段により設定されたレートを特定可能な情報を表示する表示手段(表示器54)をさらに備える。
【0019】
このような構成によれば、レート記憶手段により設定されたレートを特定可能な情報が表示されるので、設定されたレートを容易に把握することができる。
【0020】
(7) 遊技の終了操作(カード返却ボタン322の操作)を検出する終了操作検出手段(カード返却ボタン322の検出部)と、
前記終了操作検出手段が遊技の終了操作を検出したときに、遊技の結果遊技者の所有となった遊技結果価値(持玉数、持点)と前記レート記憶手段により設定されたレートとを特定可能な情報が記録された記録媒体を排出する排出手段(図13に示すCU制御部323のカード返却処理、カード排出機構)とをさらに備える。
【0021】
このような構成によれば、遊技の終了操作が検出されたときに、遊技の結果遊技者の所有となった遊技結果価値と設定されたレートとを特定可能な情報が記録された記録媒体が排出されるので、遊技者が遊技場での遊技を終了する精算時、および、遊技者が遊技場で他の遊技機で遊技をするために移動する台移動時において、このような情報に基づいて、選択されていたレートを特定することができる。
【0022】
(8) 遊技の終了操作(カード返却ボタン322の操作)を検出する終了操作検出手段(カード返却ボタン322の検出部)と、
遊技の結果遊技者の所有となった遊技結果価値(持玉数、持点)を、設定変更可能な複数のレートのうちの最低レート(たとえば、図6の1円、図17の5円)で換算した値、または前記複数のレートの最小公約数(たとえば、1円)で換算した値を特定可能な情報が記録された記録媒体を排出する排出手段(図13に示すCU制御部323のカード返却処理、カード排出機構)とをさらに備える。
【0023】
このような構成によれば、最低のレートに変換した持玉数がカードに記録されることとなるので、記録される遊技結果価値に端数数が生じないようにすることができる。
【0024】
(9) 前記レート記憶手段は、前記遊技機と前記遊技用装置との双方に設けられており(図6図17)、
前記遊技機側の前記レート記憶手段に設定されているレートと、前記遊技用装置側の前記レート記憶手段に設定されているレートとが一致しているか否かの判定をするレート判定手段(図14のP台におけるレート判定処理)と、
前記レート判定手段により一致していないと判定されたときに判定結果を報知する判定結果報知手段(図14のCUにおけるレート変更報知処理)と、
前記レート判定手段により一致していないと判定されたときに一方のレート記憶手段の設定を他方のレート記憶手段の設定に更新する設定更新手段(図14のP台におけるレート変更処理)とをさらに備える。
【0025】
このような構成によれば、遊技機側で設定されているレートと遊技用装置側で設定されているレートとが一致しているかどうかが判定され、一致していないときには、一方のレートの設定が他方のレートの設定に更新されるので、レートのずれによる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】カードユニットおよびパチンコ機を示す正面図である。
図2】カードユニットおよびパチンコ機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
図3】遊技玉数表示器および表示器の表示制御を説明するためのブロック図である。
図4】相互認証の結果、異常を検知した場合の通知処理を説明するための説明図である。
図5】カードユニット側とパチンコ機側とにおいて記憶している各種データおよびその送受信を説明するための説明図である。
図6】遊技玉の貸出を受けるときのレートを選択するときに用いられるデータテーブルを表形式で示す図である。
図7】カードユニットにカードが挿入されたときのカードユニットとパチンコ機との処理の一例を示す図である。
図8】レートの変更操作に基づいてレートが変更されたときの処理の一例を示す図である。
図9】レート変更操作がされたときにおけるCU3およびP台2のそれぞれにおける具体的な制御内容を説明するフローチャートである。
図10】挿入したカードのプリペイド残額から玉貸したときのカードユニットとパチンコ機との処理の一例を示す図である。
図11】持玉払出・貯玉払出をしたときのカードユニットとパチンコ機との処理の一例を示す図である。
図12】遊技玉を計数するときのカードユニットとパチンコ機との通常の処理の一例を示す図である。
図13】遊技者がカード返却操作を行なった場合の計数処理の一例を示す図である。
図14】P台およびCUにおいてレートを定期的に確認するレート定期確認処理を説明するためのシーケンス図である。
図15】スロットマシンの前面扉を開放した状態を示す斜視図である。
図16】カードユニットおよびスロットマシンのそれぞれにおいて記憶している各種データおよびその送受信態様を説明するための説明図である。
図17】メダルの貸出を受けるときのレートを選択するときに用いられるデータテーブルを表形式で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を以下に説明する。
<パチンコ機の構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るパチンコ機の構成を説明する。遊技場(ホール)内に複数配置されている各遊技島(図示略)には、遊技機の一例の封入循環式パチンコ機(以下、遊技機、パチンコ機またはP台と略称する)2が併設されている。なお、パチンコ機2の所定側の側方位置には、該パチンコ機2に対して遊技用装置の一例のカードユニット(以下CUと略称することもある)3が1対1に対応設置されている。
【0028】
パチンコ機2は、内部に遊技媒体の一例のパチンコ玉を封入しており、遊技者が打球操作ハンドル25を操作することにより、発射モータ18(図2参照)を駆動させて封入玉を1発ずつ遊技盤26前面の遊技領域27に打込んで遊技ができるように構成されている。具体的には、打球操作ハンドル25の周囲にタッチセンサが設けられており、遊技者が打球操作ハンドル25を操作している状態でその遊技者の手がタッチセンサに触れ、その遊技者の手の接触をタッチセンサで検知して発射モータ18が駆動される。この状態で、遊技者による打球操作ハンドル25の回動操作量に応じて打球発射勢いが調整されて玉が遊技領域27内に発射される。
【0029】
図1に示すパチンコ機2は、いわゆる第1種のパチンコ機であって、遊技領域27の中央に、特別図柄等の可変表示装置(特別図柄とも言う)278が設けられている。また、遊技領域27には、打込まれたパチンコ玉が入賞可能な複数種類の入賞口が設けられている。図1に示す遊技領域27には、1つの大入賞口(可変入賞球装置)271と、3つの普通入賞口272,273,274と、3つの始動入賞口275,276,277とが示されている。特に、始動入賞口276は、遊技者にとって有利な第1の状態(たとえば開成状態)と遊技者にとって不利な第2の状態(たとえば閉成状態)とに変化可能な電動チューリップで構成されている。
【0030】
可変表示装置278は、複数種類の識別情報(図柄)を可変表示可能な可変表示部を備えており、各始動入賞口275,276,277に入賞した始動入賞玉の検出信号に基づいてそれらの複数種類の識別情報の可変表示を開始させる。可変表示装置の表示結果が特定の識別情報の組合せ(たとえばぞろ目)になると、大当り状態となり、大入賞口271が開放する。
【0031】
また、可変表示装置278の表示結果が大当り図柄の組合せ(ぞろ目)のうちの予め定められた特別の識別情報の組合せ(たとえば777等の確変図柄の組合せ)となることにより、確変大当り状態が発生し、それに伴う大当り状態の終了後大当りの発生確率が向上した確率変動状態(確変状態)が発生する。
【0032】
遊技領域27内に打込まれたパチンコ玉はいずれかの入賞口に入賞するかあるいは入賞することなくアウト口154に回収される。いずれかの入賞口に入賞したパチンコ玉およびアウト口154に回収されたパチンコ玉は再度パチンコ機2内の回収経路を通って打球発射位置にまで還元される。そして、遊技者が打球操作ハンドル25を操作することにより再びその打球発射位置のパチンコ玉が遊技領域27内に打込まれる。
【0033】
このように、パチンコ機2では、遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御が実行される。
【0034】
パチンコ機2における遊技領域27の下方位置には、表示器54が設けられている。表示器54は、液晶表示装置で構成されており、持点やカード残額、あるいは可変表示装置278の表示と連動した様々な演出画像を遊技者に表示する。
【0035】
さらに、パチンコ機2における打球操作ハンドル25の左方位置には、遊技玉から持玉への計数処理をするための計数ボタン28が設けられている。本実施の形態では、計数ボタン28を押下し続けた時間に応じて計数動作が繰返し実行される。なお、押下継続時間に関わらず、1度押下すると、所定数(たとえば100玉)だけ遊技玉から持玉への計数が行なわれるようにしてもよく、あるいは、計数ボタン28を1度押下した場合には、その押下時間にかかわらず(長押しか否かにかかわらず)、現在遊技者が所有している遊技玉のすべてが計数されるようにしてもよい。
【0036】
このように、計数ボタン28をパチンコ機(P台)2側に設けているため、計数ボタン28をカードユニット(CU)3側に設ける場合に比較して、パチンコ機2に正対して座っている遊技者の操作性を向上できる。
【0037】
計数ボタン28の右上方には、遊技玉数を表示するための遊技玉数表示器29が設けられている。遊技玉数表示器29は、7セグメント式のディスプレイである。なお、遊技玉数表示器29は、液晶表示器や有機EL表示器、その他の表示器で構成してもよい。
【0038】
本実施の形態に係るパチンコ機2は、遊技盤26とそれ以外の遊技枠(前枠)6とに分けることができる。特に、遊技盤26は、各社が開発するパチンコ機の機種毎に異なるものである一方、遊技機枠6は、機種に関わらず共通の共通枠とされている。このため、遊技店は新台入れ替えの際には遊技盤26のみの交換で事足りる。
【0039】
<カードユニットの構成>
次に、引続き図1を参照して、本実施の形態に係るカードユニット3の構成を説明する。このカードユニット3は、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカード(一般カードとも言う)や、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付ける。ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
【0040】
それらのカードを受付けたカードユニット3は、カードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残額、持玉数、あるいは貯玉数等)を“遊技玉のデータ”に変換する機能を有する。パチンコ機2では、遊技玉のデータによって特定される玉数相当の弾球遊技が可能とされる。つまり、“遊技玉のデータ”とは、発射可能な玉の発射残数を示すデータである。以下の説明では、“遊技玉のデータ”を貯玉や持玉と同様に、単に“遊技玉”と称する。
【0041】
カードユニット3の前面側には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、装置前面より装置前方方向に突出形成された突出部305、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入/排出口309などが設けられている。このカード挿入/排出口309に挿入された会員カードやビジターカードがカードリーダライタ(図示省略)に受付けられ、そのカードに記録されている情報が読取られる。
【0042】
前述の突出部305において、遊技者と対向する面には、表示器312と、会員カードを受付けた場合において、該会員カードに記録された会員カードID(単に、カードID、C-IDとも言う)ならびに会員カードIDにより特定される貯玉数を用いた再プレイ遊技を実施するための再プレイボタン319とが設けられている。
【0043】
表示器312は、挿入された遊技用記録媒体(カード)に記録されているプリペイド残額(カード残額または単に残額とも言う)を表示するものであるが、遊技玉数やその他の各種情報を表示可能であるとともに、表面が透明タッチパネルで構成されており、表示器312の表示部に表示された各種表示項目を指でタッチすることにより各種操作が入力可能となるように構成されている。
【0044】
再プレイボタン319を操作した場合に、挿入されたカードに遊技者が獲得した持玉数が記録されているときにはその持玉数の一部を引落として遊技玉に変換し、変換した遊技玉に基づいてパチンコ機2による遊技を行なうことが可能となる。一方、挿入されたカードが会員カードであり持玉数が記録されておらずかつ貯玉がホール用管理コンピュータ等に記録されている場合には、その貯玉の一部が引落とされて遊技玉に変換され、パチンコ機2による遊技が可能となる。つまり、挿入されたカードに対応付けて貯玉と持玉との双方が記憶されている場合には、持玉が優先的に引落とされる。なお、再プレイボタン319とは別に、持玉を引落とすための専用の持玉払出ボタンを設け、再プレイボタン319は貯玉引落とし専用のボタンとしてもよい。
【0045】
ここで、「貯玉」とは、前日以前に獲得した玉でホールに預けている玉であり、貯玉払出により遊技玉となる。また、貯玉は、遊技場に預入れられた遊技媒体であり、一般的に当該遊技場に設置されたホール用管理コンピュータやその他の管理コンピュータにより管理される。
【0046】
「持玉」とは、当日獲得した玉であり、持玉払出により遊技玉となる。また、持玉数は、遊技者が遊技機により遊技を行なった結果遊技者の所有となった遊技玉数をカードに記録したものであって、未だに遊技場に預入れられていない玉数のことである。一般的には、遊技場において当日遊技者が獲得した玉数を「持玉」と言い、前日以前に遊技者が獲得した玉数であって遊技場に預入れられた玉数を「貯玉」と言う。
【0047】
「遊技玉」とは、遊技機で発射可能な玉である。遊技玉数のデータは、既に説明したとおり、プリペイドカードの残額、持玉、あるいは貯玉を引落とすことと引き換えにして生成される。
【0048】
なお、持玉数を遊技場に設定された持玉数管理用の管理装置で管理してもよい。要するに、「貯玉」と「持玉」との違いは、遊技場に預入れるための貯玉操作が行なわれて遊技場に預入れられた玉数であるか、あるいは、未だに遊技場に預入れられていない段階の玉数であるかの点である。
【0049】
本実施形態では、貯玉データは会員カードに直接記録させずホール用管理コンピュータ等の遊技場に設置されたサーバに会員カード番号と対応付けて記憶させ、会員カード番号に基づいて対応する貯玉を検索できるように構成されている。一方、持玉は、カードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、両者ともにホールサーバ801にカード番号と対応付けて記憶させてもよい。ビジターカードの場合も、持玉は、ビジターカードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、持玉をホールサーバ801にカード番号と対応させて記憶させてもよい。このホールサーバ801にカード番号と対応させて記憶させる際に、ホールサーバ801に記憶させた時刻を特定できるデータをカード(会員カード、ビジターカード)に書込んで排出してもよい。また、プリペイド残額についてはカード(会員カード、ビジターカード)に直接書込んで排出する。
【0050】
なお、持玉を、カード(会員カード、ビジターカード)、またはホールサーバに記憶させるタイミングは、たとえば、計数ボタン28が操作されて計数処理が行なわれる度にリアルタイムに記憶させる、一定周期ごとに記憶させる、またはカードを返却するときに一括して記憶させるなどのタイミングとすることが考えられる。
【0051】
また、遊技者が遊技を終えてカードユニット3からカードを返却したときには、カードユニット3に記憶していた持玉が一旦貯玉としてホールサーバ801に記憶されるようにし、その遊技者がカードの返却を受けた日と同じ日に再び同じまたは別のカードユニット3にカードを挿入したときには、一旦貯玉として記憶された当日分の持玉のみが再びそのカードユニット3に記憶され、その持玉の範囲で遊技玉を加算し、遊技できるようにしてもよい。
【0052】
紙幣挿入口302に挿入された紙幣は、貨幣識別器(図示省略)により取込まれてその真贋や紙幣種別の識別がなされる。
【0053】
カードユニット3の前面側には、さらに、IR(Infrared)感光ユニット(IR受光ユニットとも言う)320と、玉貸ボタン(貸出ボタンとも言う)321と、カード返却ボタン322とが設けられている。IR感光ユニット320は、遊技場の係員が所持するリモコン(図示略)から赤外線信号を受信して電子信号に変換して出力するIR感光ユニット320である。玉貸ボタン321は、挿入されたカードに記録されている残額を引落としてパチンコ機2による遊技に用いるための操作(遊技玉への変換操作)を行なうボタンである。カード返却ボタン322は、遊技者が遊技を終了するときに操作され、挿入されているカードに遊技終了時の確定した遊技玉数(カード挿入時の持玉数−遊技玉への変換数+計数操作によって計数された持玉数)を記憶させてカード排出機構により排出するための操作ボタンである。
【0054】
<カードユニットとパチンコ機との構成>
図2は、カードユニット3とパチンコ機2との構成を示すブロック図である。図2を参照して、カードユニット3とパチンコ機2との制御回路の概略を説明する。
【0055】
カードユニット3には、マイクロコンピュータ等から構成されたCU制御部323が設けられている。このCU制御部323は、カードユニット3の主制御機能部であり、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Member)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。
【0056】
CU制御部323には、ホール用管理コンピュータやセキュリティ上の管理を行なうホールサーバ801(図4参照)と通信を行なうための外部通信部(図示省略)が設けられている。CU制御部323には、パチンコ機2の払出制御基板17とセキュリティを確保しながら通信を行なうためのセキュリティ基板(SC基板)325が接続される。セキュリティ基板325は、カードユニット3のセキュリティ監視機能部である。なお、セキュリティ基板325上にCU制御部323を設けてもよく、あるいは、セキュリティ基板325とは別の基板にCU制御部323を設けてもよい。カードユニット3にはパチンコ機2側への接続部(図示省略)が設けられており、パチンコ機2にはカードユニット3側への接続部(図示省略)が設けられている。これら接続部は、たとえばコネクタ等で構成されている。
【0057】
カードユニット3側のセキュリティ基板325とパチンコ機2側の払出制御基板17とは、このコネクタと接続配線とを介して通信可能に接続される。セキュリティ基板325には、セキュリティ基板325と払出制御基板17との通信を制御するための通信制御IC325aと、パチンコ機2のセキュリティを監視するためのセキュリティチップ(SC)325bが設けられている。さらに、SC325bは、不正検知部1325を備え、不正検知部1325がCU制御部323からパチンコ機2に通知される遊技玉の加算要求情報を監視することにより不正検知を行ない、不正検知時に鍵管理サーバ800(図4参照)に通知する。また、不正検知用の設定値(定数)は鍵管理サーバ800から基板制御情報として通知される。
【0058】
CU制御部323には、前述した貨幣識別器により紙幣の真贋および種類が識別されて、その識別結果信号が入力される。また、CU制御部323には、遊技場の係員が所持しているリモコンから発せられた赤外線をIR感光ユニット320が受光すれば、その受光信号が入力される。CU制御部323には、挿入されたカードの記録情報をカードリーダライタが読取って、その読取り情報が入力されるとともに、CU制御部323からカードリーダライタに対し、挿入されているカードに書込むデータが伝送されたときに、カードリーダライタはそのデータを挿入されているカードに書込む。カードの記録情報には、カードIDが含まれる。CU制御部323は、カードリーダライタが読み取ったカードIDを遊技終了まで記憶する。
【0059】
CU制御部323は、遊技者が遊技している際、遊技者の持玉を管理・記憶する。CU制御部323から残額あるいは遊技玉数等のデータが表示制御部350に出力され、表示制御部350で表示用データに変換される。パチンコ機2に対し、表示制御部350で変換した表示用データが送信される。パチンコ機2に送信された表示用データは、中継基板14を介して表示器312に入力される。表示器312には、その表示用データに応じた画像が表示される。また、表示器312の表面に設けられているタッチパネルを遊技者が操作すれば、その操作信号が表示制御部350を介してCU制御部323に入力される。遊技者が玉貸ボタン321を操作することにより、その操作信号がCU制御部323に入力される。なお、玉貸ボタン321は、CU3に設ける構成に限定されるものではなく、パチンコ機2に設けて操作信号をCU制御部323に入力する構成であっても良い。遊技者が再プレイボタン319を操作することによりその操作信号がCU制御部323に入力される。遊技者がカード返却ボタン322を操作することにより、カード返却ボタン322の検出部からその操作信号がCU制御部323に入力される。
【0060】
パチンコ機2には、パチンコ機2の遊技の進行制御を行なう主制御基板16と、遊技玉を管理・記憶する払出制御基板17と、払出制御基板17の指令に基づいて発射モータ18を駆動制御する発射制御基板31と、可変表示装置278と、主制御基板16から送信されてくるコマンドに基づいて可変表示装置278を表示制御する演出制御基板15とが備えられている。
【0061】
主制御基板16および演出制御基板15は、遊技盤26に設けてある。主制御基板16には主制御部161である遊技制御用マイクロコンピュータが搭載されている。主制御部161は、遊技機の主制御機能部である。遊技機制御用マイクロコンピュータは、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Member)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。主制御部161は、遊技盤26に設けられている入賞センサ162、および電波センサ163と接続してある。
【0062】
主制御部161は、各始動入賞口275,276,277に玉が入賞すると、大当り(あるいはさらに小当りを含む)/外れを決定するための乱数を抽選し、その乱数を記憶する。これを保留記憶という。保留記憶数の最大値は、たとえば、4である。主制御部161は、可変表示装置278で新たな可変表示を開始できる状態になれば、保留記憶を1つ消化してその保留記憶に基づいた大当り判定を行なうとともに可変開始から表示結果の導出に至るまでの可変表示時間(以下、変動時間という)を複数種類の中から決定する。また、大当りを決定したときには、確率変動を生じさせるか否かも併せて決定する。主制御部161は、その大当り判定の結果(確変にするか否かを含む)、および変動時間に関する情報をコマンドとして演出制御基板15に搭載された演出制御部151へ送信する。
【0063】
主制御部161から演出制御部151へ送信される可変表示に関するコマンドには、可変表示の開始を示す可変開始コマンド、可変表示の結果を示す表示結果コマンド(大当り/外れ)、可変表示パターンを特定可能な変動時間コマンド、可変表示結果を導出表示させるタイミングを示す可変停止コマンドなどが含まれる。さらに、主制御部161から演出制御部151へ送信されるコマンドには、大当り中に大当りの進行状況を特定可能なコマンドや、新たな保留記憶の発生を示すコマンド、遊技状態のエラーの発生を示すコマンドなどがある。
【0064】
演出制御部151は、主制御部161から送信されてくるこれらのコマンドに基づいて可変表示装置278の可変表示内容を決定する。たとえば、演出制御部151は、主制御部161から送信されてくるコマンドに基づいて可変表示結果および変動時間を特定し、停止図柄を決定するとともに可変表示パターン(リーチの有無、リーチの種類)を決定し、さらには大当りやリーチに関する予告演出の演出パターンを決定する。演出制御部151は、決定した可変表示内容に従って可変表示装置278を表示制御する。
【0065】
演出制御基板15は、遊技機枠6側の中継基板14を介して、表示器54とも接続されている。演出制御部151は、可変表示装置278に対して可変表示等のための表示制御信号を送信するとともに、可変表示装置278の表示と連動する表示を行なうための表示制御信号を表示器54へ送信可能である。なお、中継基板14および表示器54は、CU3側に設けるようにしてもよい。この場合、P台2側の演出制御基板15は、CU3に設けた中継基板14と接続される。
【0066】
払出制御基板17は、前枠6(遊技枠)に設けてある。払出制御基板17には、払出制御部171である払出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。払出制御部171は、遊技機の払出制御機能部である。払出制御用マイクロコンピュータは、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Member)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。
【0067】
また、払出制御基板17に対し、発射玉検出スイッチ903、アウト玉検出スイッチ701、ファール玉検出スイッチ33、計数ボタン28、電波センサ173が電気的に接続された状態で設けられている。この電波センサ173は、電波を不正に発信して主に玉上げスイッチ(上)41aを常時オン状態にする不正行為を検知するためのものである。この電波センサ173の検出信号が払出制御基板17の入力ポート(図示省略)を介して払出制御部171へ入力される。玉上げスイッチ(上)41aは、オンからオフに変化したことにより遊技玉の発射を検出し、その検知に基づいて、払出制御部171が、遊技玉数を「1」減算する。
【0068】
したがって、不正電波によりこの玉上げスイッチ(上)41aが常時オン状態になると、いくら玉を発射しても遊技玉数が減算されない状態となる。このような電波による不正を電波センサ173により検知する。
【0069】
主制御基板16から払出制御基板17に対し、主制御チップID、入賞口情報、ラウンド情報、接続確認信号、入賞検出信号、始動入賞口入賞情報、エラー情報、図柄確定回数、大当り情報、メーカ固有大当りの情報が送信される。
【0070】
主制御チップID(メインチップIDとも言う)は、パチンコ機2の主制御基板16に記録されているチップIDのことであり、パチンコ機2の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される情報である。入賞口情報は、入賞口の種類(始動入賞口、普通入賞口、大入賞口)と、賞球数(入賞口に遊技玉が入ったときの払出玉数)とを含む情報であり、パチンコ機2の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される。ラウンド情報は、大当りしたときのラウンド数の情報であり、パチンコ機2の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される。
【0071】
接続確認信号は、主制御基板16と払出制御基板17とが接続されていることを確認するための信号であり、主制御基板16から払出制御基板17へ所定の電圧の信号が常時供給されており、払出制御基板17がその所定電圧信号を受信していることを条件として払出制御基板17が動作制御するように構成されている。入賞検出信号は、始動入賞口以外の入賞口に入賞したパチンコ玉の検出信号である。この検出信号を受けた払出制御基板17は、その入賞玉1個に対して付与すべき玉数を、遊技玉数と加算玉数とに加算する制御を行なう。
【0072】
始動入賞口入賞情報とは、始動入賞口のいずれかにパチンコ玉が入賞したことを示す情報である。エラー情報とは、主制御基板16が遊技制御を行なっている最中にエラーが発生した場合にその旨を払出制御基板17へ通知するための情報である。
【0073】
図柄確定回数とは、各始動入賞口への入賞に対する可変表示装置の表示結果として確定した図柄の情報である。
【0074】
大当り情報とは、大当りが発生したことを示す情報であり、その内訳は、各メーカ共通の大当りを示す共通大当り情報とメーカ固有の大当りを示すメーカ固有大当り情報とがある。共通大当り情報は、たとえば15ラウンド大当り等のように、各遊技機メーカが共通に採用している大当りであり、その大当りに伴って確変が発生する場合には確変情報を含み、その大当りに伴って時短状態(可変表示装置の変動時間を短縮する制御状態)が発生する場合にはその時短情報を含んでいる。メーカ固有大当りとは、たとえば突然確変(突確)のような、或る遊技機メーカのみが採用している大当り状態のことである。
【0075】
払出制御基板17から主制御基板16へ、ヘルスチェックコマンドと賞球個数受付コマンドとが送信される。ヘルスチェックコマンドとは、主制御基板16が正常に動作しているか否かをチェックするためのコマンドである。賞球個数受付コマンドとは、加算玉数を受付けた旨を示すコマンドである。
【0076】
アウト玉検出スイッチ701から払出制御基板17へアウト玉検出信号が入力される。このアウト玉検出信号が入力された払出制御基板17は、後述するように遊技中玉数(遊技領域27に浮遊している浮遊玉の玉数)を減算更新する。ファール玉検出スイッチ33からファール玉検出信号が入力された払出制御基板17では、後述するように、加算玉数と遊技玉数とを加算更新するとともに、遊技中玉数を減算更新する。発射玉検出スイッチ903から払出制御基板17へ発射玉検出信号が入力される。この発射玉検出信号が入力された払出制御基板17は、遊技中玉数を減算更新する。
【0077】
カードユニット3のセキュリティ基板325とパチンコ機2の払出制御基板17とが電気的に接続されており、セキュリティ基板325から払出制御基板17へ、後述するように各種コマンドが送信される。逆に、払出制御基板17からセキュリティ基板325へ、後述するように各種レスポンスが送信される。
【0078】
前枠6(遊技枠)には、払出制御基板17の他、中継基板14、発射制御基板31、発射モータ18、遊技玉数表示器29が設けられている。なお、遊技玉数表示器29は前枠6に直接取り付けてもよいが、玉が払い出される通常のパチンコ機の前面側に設けられた上皿や下皿のように、前枠6に対して回動可能な態様で設けるようにしてもよい。この点は、表示器54についても同様である。払出制御基板17の払出制御部171は遊技玉数表示器29に遊技者が現在所有している遊技玉数を表示する。
【0079】
払出制御基板17から発射制御基板31へ、発射制御信号と発射許可信号とが出力される。それを受けた発射制御基板31は、発射モータ18を励磁するための信号を出力する。これにより、パチンコ玉が遊技領域27へ弾発発射される状態となる。発射制御基板31は、遊技者が打球操作ハンドル25に触れていることを検出するタッチリングの入力信号が入力されているときに発射モータ励磁出力を発し、発射モータ18を駆動させる。
【0080】
前枠6(遊技枠)には、表示器54が設けられている。表示器54は、中継基板14を介してカードユニット3の表示制御部350からの表示データ(表示制御信号)を受信する。さらに、表示器54は、中継基板14を介して演出制御基板15からの表示データ(表示制御信号)を受信する。また、表示器54は、表面が透明タッチパネルで構成されており、表示器54の表示部に表示された各種表示項目を指でタッチすることにより各種操作が入力可能となるように構成されている。
【0081】
中継基板14には演出制御基板15および表示制御部350のうち一方からの表示制御信号を表示器54へ出力して表示器54に演出制御基板15または表示制御部350からの表示制御信号に基づく画像を表示するための切換回路141が搭載されている。
【0082】
なお、本実施の形態では、パチンコ機2側の表示器54がCU側で制御されるように構成されているが、これに代えて、パチンコ機2側に表示器54を表示制御するための表示制御用基板を設けてもよい。この場合、表示制御用基板は、払出制御部171の指令に基づいて表示器54を表示制御する。
【0083】
RAMクリアスイッチ293は、P台2のRAMに記憶している遊技台情報や遊技情報を消去するためのスイッチであり、P台がエラー状態となった後当該スイッチを店員が操作することで初期状態に戻すことが可能となる。このRAMクリアスイッチ293は、たとえばカードが排出された後に店員により操作される。
【0084】
<パチンコ玉の循環経路>
ここでは、図1および図2を参照して、パチンコ機2におけるパチンコ玉の循環経路を概説する。
【0085】
遊技者が打球操作ハンドル25を操作すると、発射モータ18が駆動する。これにより、発射位置にまで供給されてきた1個のパチンコ玉が打球ハンマーにより弾発されてそのパチンコ玉が遊技領域27に打込まれる。
【0086】
遊技玉の発射検出は、玉上げスイッチ(上)41aがオンからオフに変化したことにより検出される。この検出は、払出制御部171が設けられている払出制御基板17(図2参照)でのポート入力により検知され、その検知に基づいて、払出制御部171が、遊技玉数を「1」減算する。
【0087】
遊技領域27に打込まれた玉のうち、アウト口154(図1参照)に進入したアウト玉は、アウト玉流下経路を流下し、その途中に設けられたアウト玉検出スイッチ701によって検出される。ファール玉は、ファール玉戻り経路を通って流下し、その途中に設けられたファール玉検出スイッチ33によって検出される。
【0088】
入賞口や可変入賞球装置に入賞したすべての入賞玉は、遊技機背面で集められて回収玉通過経路に誘導される。同様に、アウト玉およびファール玉も回収玉通過経路に誘導される。回収玉通過経路には発射玉検出スイッチ903が設けられている。このため、入賞玉、アウト玉、およびファール玉のすべてが発射玉検出スイッチ903によって検出される。つまり、発射玉検出スイッチ903は、弾発されたパチンコ玉のすべてを検出するスイッチである。このスイッチの検出数と、発射モータ18により弾発されたパチンコ玉の弾発数とが等しくなったときに、打込まれたパチンコ玉がすべて回収されたと判定できる。
【0089】
そこで、本実施の形態では、発射玉検出スイッチ903の検出数と弾発数との差を演算しており、この差数が0でないときには、遊技領域27に打込まれた玉の回収が済んでいないと判定している。この判定をすることによって、遊技領域27を転動中であるか、遊技領域の釘等の間に引っ掛かって落下していないような浮遊玉が存在していないかどうかを判断できる。
【0090】
<表示器(タッチパネル)の表示制御>
図3は、遊技玉数表示器29および表示器54の表示制御を説明するためのブロック図である。この図3では、図2に示したCU3およびP台2の各種構成のうち、遊技玉数表示器29および表示器54の表示制御に関わる主要な構成のみを図示している。
【0091】
主制御基板16に搭載されている主制御部161は、遊技制御に伴い変化する各種の遊技情報を払出制御基板17の払出制御部171へ送信する。払出制御部171は、主制御部161から送信されてくる遊技情報に基づいて玉数情報等をCU制御部323へ送信するとともに、遊技玉数表示器29を表示制御する。その結果、遊技玉数表示器29には、遊技者が現在所有している遊技玉数が表示され、玉の発射あるいは計数操作に基づいて遊技玉数の表示が減算更新され、入賞の発生あるいは貸玉操作等に基づいて遊技玉数の表示が加算更新される。
【0092】
CU制御部323は、払出制御部171から送信されてくる玉数情報等に基づいて自ら記憶している遊技玉数等の遊技情報を更新する。また、CU制御部323はカード残額や遊技者の持玉を記憶しており、P台2側の表示器54にそれら記憶している遊技情報に基づいた表示をするための情報を表示制御部350へ送信する。表示制御部350は、その情報に基づいた表示制御信号をP台2側の中継基板14へ送信する。
【0093】
一方、中継基板14には、演出制御基板15の演出制御部151からの表示制御信号も入力される。演出制御部151は、主制御部161から受信する各種の可変表示コマンドに基づいて可変表示装置278を表示制御するための表示制御信号を可変表示装置278へ送信するとともに、表示器54を表示制御するための表示制御信号を中継基板14へも送信する。
【0094】
中継基板14には、通常、CU3の表示制御部350側のみから表示制御信号が送信されており、演出制御部151からは表示制御信号は送信されない。その結果、通常は、表示器54にはCU3の表示制御部350からの表示制御信号に基づいた持点やカード残額などの情報が表示される。ところが、演出制御部151は、主制御部161から送信されてくるコマンドに基づいて遊技機の遊技状態の変化を検出すると、その遊技状態の変化に応じた表示制御信号を中継基板14へ送信する。
【0095】
切換回路141は、演出制御部151からの表示制御信号の入力があると、表示制御部350から入力される表示制御信号ではなく、演出制御部151から入力される表示制御信号を表示器54へ送信するように回路を切換える。その結果、表示器54には通常時はCU3側の表示制御に基づいた持点等の表示がなされ、たとえば、可変表示装置278に大当り表示がなされるなどして遊技状態が変化すると、表示器54の表示が大当り表示などの可変表示装置278の表示と連動するものに切換えられる。また、その後、演出制御部151から中継基板14への表示制御信号の送信が停止すると、切換回路141は、信号の入力元を切換え元に戻す。その結果、表示器54には、再び、CU3側の表示制御に基づいた情報が表示される。
【0096】
つまり、上記の例は、切換回路141は、演出制御部151および表示制御部350のうち、演出制御部151から入力される表示制御信号を優先して表示器54へ送信する構成である。通常時は表示制御部350のみから表示制御信号が切換回路141へと入力されるので、表示器54にはCU3側の表示制御に基づいた情報が表示され、大当り発生などの切換条件が成立して演出制御部151から表示制御信号が入力されると、その表示制御信号が優先されて表示器54へ送信され、表示器54の表示が切換えられる。
【0097】
しかしながら、これに代えて、切換回路141は、演出制御部151および表示制御部350のうち、表示制御部350から入力される表示制御信号を優先して表示器54へ送信する構成を採用してもよい。
【0098】
すなわち、切換回路141は、通常時は演出制御部151から常時受信する表示制御信号に基づいて表示器54に可変表示装置278の表示と連動する演出表示を行ない、遊技点や持点が残り少なくなどの所定の切換条件が成立してCU3側からその旨を表示するための表示制御信号が入力されると、信号の入力元を演出制御部151から表示制御部359に切換えることにより、表示器54が遊技演出画面から遊技点や持点が残り少ない旨等を報知する画面に変化するようにしてもよい。
【0099】
本実施の形態では、遊技玉数を表示する遊技玉数表示器29の表示制御はCU3ではなく、遊技玉数の変動に直接的に関わるP台2によって行なわれるため、遊技玉数が遊技で使用されて減算され、あるいは遊技によって加算された場合に、その更新後の遊技玉数を即座に遊技玉数表示器29に反映させることができる。
【0100】
仮に、遊技玉数表示器29の表示制御をCU3が行なうものとした場合には、P台2からCU3に対して送信する遊技玉数の情報に基づいてCU3から遊技玉数表示器29へと表示制御信号が送られるものとなる、しかし、その場合、CU3とP台2との通信状況等によって、実際には遊技玉数が変化しているものの、その変化が遊技玉数表示器29にすぐに反映されないものとなるという不都合が生じるおそれがある。本実施の形態によれば、このような不都合が生じることを防止できる。
【0101】
一方、表示器54はCU3側で表示制御するために、遊技玉数表示器29を表示制御するP台2がさらに表示器54をも表示制御する場合と比較して、P台2の表示制御負担を軽減できる。
【0102】
ここで、表示器54の表示を切り替える具体例を挙げる。たとえば、通常時は表示器(タッチパネル)54にCU3の表示制御部350の表示制御に基づいたカード残額等の表示をし、大当り発生等の遊技状態の変化に応じて表示器54の表示を可変表示装置278の表示と連動したものに切換える例を挙げることができる。
【0103】
あるいは、通常時は表示器(タッチパネル)54に可変表示装置278の表示と連動した表示(演出制御部151の表示制御に基づく)をし、遊技点の減少に応じて表示器54に遊技点が残り少ないことを報知する画像を表示する例を挙げることができる。
【0104】
なお、演出制御部151から中継基板14に送信される表示制御信号で表示器54が表示動作する場合には、中継基板14は単に演出制御部151から送信されてきた信号を中継してそのまま表示器54に送信する機能を備えておけばよい。これに対して、表示器54を表示動作させるための表示制御信号の信号形態と、演出制御部151から送信される表示制御信号との信号形態とが異なる場合も考えられ、この場合には、中継基板14に切換回路141に加えて信号形態を変換する変換回路を設ければよい。
【0105】
さらに、切換え条件成立時に演出制御部151から送信される表示制御信号によって表示器54に表示される演出画像と、同じく演出制御部151から送信される表示制御信号によって可変表示装置278に表示される画像とが同じものであってもよく、異なるものであってもよい。異なるものとした場合には、演出制御部151には可変表示装置278用の画像データと表示器54用の画像データとの2種類の画像データを記憶させておく必要がある。
【0106】
また、遊技玉数表示器29は、主制御部161が表示制御する構成としてもよく、あるいは、主制御部161から演出制御部151へ遊技玉数に関するコマンドを送信することによって演出制御部151が表示制御する構成としてもよい。
【0107】
以上、説明した本実施の形態によれば、P台2の表示器54には可変表示に関する演出情報を表示可能であるために、可変表示装置278と併せて演出効果の高い遊技を提供できる。しかも、表示器54にCU3側から送られてくる遊技情報を表示する条件が成立したときには、CU3によってその遊技情報を表示器54に表示するための表示制御が実行されるため、その条件の成立の際には表示器54を遊技演出ばかりでなくCU3による遊技情報の表示にも活用でき、しかも遊技情報の表示に伴うP台2の表示制御負担も軽減できる。
【0108】
<カードユニットおよびパチンコ機に発生した異常の通知処理>
図4は、相互認証の結果、異常を検知した場合の通知処理を説明するための説明図である。
【0109】
図4を参照して、CU制御部323、セキュリティ基板325、払出制御部171、あるいは主制御基板16において異常が発生した場合には、図4の矢印で示す方向に対して通知が行なわれる。ここで言う異常には、CU制御部323、セキュリティ基板325、払出制御部171、あるいは主制御基板16を、不正に製造された他のものに差し替えるとか、あるいはノイズ等により誤作動したり故障したりした場合や、断線等によるオフライン状態などが含まれる。図4に示される鍵管理サーバ800は、カードユニット3内部の電子部品のシリアルID(SIDとも言う)毎に対応付けて、CU通信制御部のSIDと認証鍵とを記憶している鍵の管理サーバである。また、鍵管理サーバ800は、主制御基板16と互いに通信可能なサーバである。
【0110】
まず、カードユニット3のセキュリティ基板325により異常が発生した場合には、前述したCU制御部323とセキュリティ基板325との間で行なわれる相互認証の結果、CU制御部323が異常を検知する。この相互認証では、後述するシリアルID認証と機器認証の他に、セッション鍵による機器認証も含まれている。
【0111】
シリアルIDは、セキュリティ基板325のシリアルID(基板シリアルID)であり、セキュリティ基板325のセキュリティチップ325bを製造する段階において、該セキュリティチップ325bのROMに記憶されている。また、CU3が遊技場に搬入された後、ホールサーバ801に接続されたときに、鍵管理センタの鍵管理サーバ800からホールサーバ801経由で基板シリアルIDがダウンロードされてCU制御部323に記憶される。
【0112】
CU制御部323がセキュリティ基板325の異常を検知した場合、CU制御部323はホールサーバ801にその旨を通知するとともに、カードユニット3の表示制御部350に異常報知コマンドを送信する。CU制御部323は、表示器312に異常発生した旨の表示を行なう制御を表示制御部350に行なわせるとともに、異常報知ランプ(図示せず)を点灯または点滅させて異常報知を行なう。さらに、CU制御部323は、外部通信部からホール用管理コンピュータへ異常が発生した旨の信号を送信する。
【0113】
カードユニット3のCU制御部323により異常が発生した場合には、前述した相互認証によりセキュリティ基板325が異常発生を検知し、その旨を示す信号(異常通知信号)を払出制御部171に通知する。払出制御部171はそれを受けて異常発生した旨を主制御基板16へ通知する。主制御基板16は、前述と同様に、異常報知ランプを作動させる制御を行なうとともにホール用管理コンピュータへ異常が発生した旨の信号を送信する。
【0114】
セキュリティ基板325が払出制御部171の異常を検知した場合には、その旨をCU制御部323へ通知し、CU制御部323がその旨をホールサーバ801へ通知する。
【0115】
このように、セキュリティ基板325は、CU制御部323の異常を検知したときにはその旨を払出制御部171へ通知する一方、払出制御部171の異常を検知したときには、その旨をCU制御部323へ通知するものであり、セキュリティ基板325による異常発生の通知先がそれぞれ異なる。その理由は、異常が発生した制御部に対して異常が発生した旨を通知しても、何ら異常報知のための制御が行なわれず、異常防止対策にはならないためである。しかも、セキュリティ基板325は、通信制御の機能は有しているものの異常報知制御の機能は有していない。よって、自ら異常報知の制御が行なえず、そのために必ず異常が発生した制御部とは反対側の制御部の方向に異常発生した旨の通知を行なうのである。なお、セキュリティ基板325からの異常発生の通知を受けた払出制御部171は、その旨を主制御基板16へ通知する。主制御基板16はその通知を受けて、前述と同様の異常報知のための制御を行なう。
【0116】
払出制御部171に異常が発生した場合には、その旨がセキュリティ基板325により検知され、異常が発生した旨がCU制御部323へ通知され、CU制御部323は前述した異常報知制御を行なうとともにホールサーバ801へ異常が発生した旨を通知する。また、払出制御部171に異常が発生した場合には、主制御基板16が異常発生した旨を検知し、その通知を受けて前述した異常発生報知用の制御を行なう。
【0117】
払出制御基板17は、前述したように、セキュリティ基板325に異常が発生した場合にはそれを検知して主制御基板16へ通知する一方、主制御基板16に異常が発生した場合にはそれを検知してセキュリティ基板325へ異常が発生した旨を通知する。この払出制御基板17も、前述したセキュリティ基板325と同様に、異常が発生した旨を検知した場合にはその異常が発生した制御部に対して通知を行なっても異常報知用の制御が行なわれないために、異常が発生した制御部とは反対側の制御部あるいは制御基板に通知を行なう。なお、セキュリティ基板325と払出制御基板17とは、異常報知ランプや異常報知用表示器等の異常報知手段が接続されておらず、異常を検知しても自ら異常報知制御する機能を有していない。なお、上記の説明では、セキュリティ基板325と払出制御基板17とは、異常報知ランプや異常報知用表示器等の異常報知手段が接続されておらず、異常を検知しても自ら異常報知制御する機能を有していないこととして説明したが、セキュリティ基板325と払出制御基板17とに異常報知の機能を設け、直接異常を発生した旨を通知させてもよい。
【0118】
<カードユニット側とパチンコ機側との送受信態様>
次に、図5は、カードユニット3側とパチンコ機2側とのそれぞれで記憶している各種データの内の主なものおよびその送受信態様を示す模式図である。図5を参照して、カードユニット3側(CU側)とパチンコ機2側(P台側)とのそれぞれで記憶している各種データの内の主なものおよびその送受信態様を説明する。
【0119】
本実施の形態においては、P台2側において遊技玉数の変動を算出して現在の最新の遊技玉数を記憶・管理している。CU3側においても現在の遊技玉数の算出・記憶を行なっているが、その遊技玉数はP台2側から送信されてきた情報に基づいたものである。一方、持玉(カード持玉数)や貯玉数、カード残額(残額)は、CU3側において管理・記憶している。
【0120】
図5では、CU3側のCU制御部323に設けられているRAMの記憶データと、P台2側の払出制御基板17に搭載されているRAMの記憶データとを示している。まず、P台2(パチンコ機2)とCU3(カードユニット3)とが遊技場に設置されて初めて電気的に接続された状態で電源を立上げたときに、P台2側の払出制御基板17は、主制御基板16からメインチップID(主制御チップID)を送信してもらい、そのメインチップIDをCU3側に送信するとともに、払出制御基板17自体が記憶している払出チップID(払出制御チップID)をCU3側へ送信する。
【0121】
CU3側では、それら送信されてきたメインチップIDと払出チップIDとを記憶する。次に、接続時刻すなわちCU3側とP台2側とが接続されて通信が開始された時刻のデータがCU3側からP台2側へ送信され、P台2側ではその送信されてきた接続時刻を記憶する。
【0122】
この状態で、メインチップID、払出チップIDおよびCU3側で識別された接続時刻の3つの情報がCU3側とP台2側とに記憶されることとなる。それ以降の電源投入時においては、P台2側からCU3側へそれら3つの情報、すなわち、メインチップIDと払出チップIDと前回の接続時刻データとが送信される。
【0123】
CU3側では、それら送信されてきたデータと既に記憶しているデータとを照合し、前回と同じP台2が接続されているか否かを判別する。なお、接続時刻のデータは、電源が立上げられる度にCU3側とP台2側との通信が開始された新たな接続時刻データがCU3側からP台2側へ送信されてその新たな接続時刻データをP台2側において記憶することとなる。
【0124】
CUおよびP台の双方は、電文に「通番」を付加して送信する。また、CUおよびP台の双方は、相手から受信した「通番」を記憶する。「通番」には、「通常通番」、「加算通番」および「計数通番」の3種類がある。「通常通番」は、電文のシーケンス番号を示す。「通常通番」は、CU3側(一次局側)が初期値を「1」として送信時に受信した通番をカウントアップ(+1)して送信する。ただし、再送時は、「通常通番」をカウントアップしない。P台2側(二次局側)は受信した通番をそのまま送信する。なお、通番の連続性が成立しない場合は無応答となる。「加算通番」はCU3がP台2に対して遊技玉の加算を要求する際に用いられる通番である。「計数通番」は、P台2がCU3に対して遊技玉の計数を要求する際に用いられる通番である。
【0125】
通常通番の更新権はCU3のみが有する。CU3は、送信した通常通番と同じ通常通番が返信されてきたときに、通常通番をバックアップ記憶した上で、更新した通常通番を送信する。加算通番の加算更新権はCU3のみが有する。CU3は、加算要求をする場合には、それまで通信に用いていた加算通番に+1した加算通番をP台2へ送信する。P台2は、要求を承諾するときには、同じ加算通番を返信する。要求を拒否するときには、前回、受信した加算通番(今回受信した加算通番−1)を返信する。計数通番の加算更新権はP台2のみが有する。P台2は、計数要求をする場合には、それまで通信に用いていた計数通番に+1した計数通番をCU3へ送信する。CU3は、要求を承諾するときには、同じ計数通番を返信する。要求を拒否するときには、受信した計数通番(今回受信した計数通番−1)を返信する。
【0126】
以下では、「通常通番」について、CU3が送信時に受信した通番をカウントアップ(+1)して送信する構成について説明する。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、P台2およびCU3のそれぞれが、またはP台2が送信時に受信した通番をカウントアップ(+1)して送信し、他方は受信した通番をそのまま送信する構成であってもよい。
【0127】
また、「加算通番」および「計数通番」は、それぞれ、加算要求の処理および計数要求の処理においてカウントアップされる特別な通番である。以下では、この「加算通番」および「計数通番」がカウントアップされる際、「通常通番」もカウントアップする構成について説明する。しかし、本発明は当該構成に限定されるものではなく、「加算通番」および「計数通番」がカウントアップされる際に「通常通番」のカウントアップを停止する構成であってもよい。なお、以下では、「通常通番」を単に「通番」と称する。また、「加算通番」および「計数通番」を併せて「要求通番」とも称する。
【0128】
P台2側からCU3側へは、最新遊技台情報(カウント中の遊技台情報)が送信される。この最新遊技台情報は、P台2側の払出制御部171(図2参照)のRAMの最新遊技台情報記憶領域に記憶されている。具体的には、加算玉数カウンタの情報と、減算玉数カウンタの情報と、計数玉数カウンタの情報とが含まれる。なお、遊技玉数は、最新遊技台情報に含まれず、後述するように遊技玉数カウンタのカウント値としてP台2側からCU3側へ送信している。しかし、これに代えて、あるいは遊技玉数カウンタに加えて、遊技玉数も最新遊技台情報に含めてもよい。
【0129】
これらのカウンタの情報が、まとめてレスポンスとしてCU側へ送信される。加算玉数カウンタは、加算玉数をカウントするカウンタである。加算玉は、「賞球玉数×入賞個数」と「バック玉数」との和である。なお、バック玉とはファール玉のことである。つまり、加算玉とは、加算玉カウンタが遊技玉に加算すべき数を示す。減算玉数カウンタは、減算玉数をカウントするカウンタである。減算玉は、「発射玉数」である。つまり、玉上げスイッチ(上)41aのオンからオフへの出力変化により検出された玉数である。なお、「減算玉数」には、「計数玉数」は含まれない。計数玉数カウンタは、計数玉数をカウントするカウンタである。計数玉は、「計数操作によって遊技玉から持玉に変換された玉数」である。ここで、「賞球玉」は、入賞口へ玉が入賞することにより払出される玉であり、セーフ玉である。「発射玉」は、遊技機が発射した玉であり、バック玉がある場合はバック玉を減算した玉数が発射玉数となる。「バック玉」は、発射玉が盤面上に跳出せずに戻ってきた玉である。「アウト口通過玉」は、アウト口154を通過した玉であり、アウト玉とセーフ玉の合計玉数がアウト口通過玉数を意味する。
【0130】
たとえば、遊技領域27に打込まれたパチンコ玉が入賞して主制御基板16から入賞情報が払出制御基板17へ送信されてきたときに、その入賞情報に基づいて遊技玉を加算すべき加算玉数を加算玉数カウンタがカウントし、その加算玉数カウンタの値(加算玉数)をP台2側からCU3側へ送信する。また、パチンコ玉が遊技領域27内に発射されていることによる玉上げスイッチ(上)41aのオンからオフへの出力変化に基づいて減算玉数カウンタが発射玉数を減算玉数としてカウントし、その減算玉数カウンタの値(減算玉数)をP台2側からCU3側へ送信する。
【0131】
あるいは、払出制御部171は、計数ボタン28の押下により、遊技玉数を計数玉数としてカウントし、その計数玉数カウンタの値(計数玉数)をP台2側からCU3側へ送信する。
【0132】
P台2側においては、加算玉数カウンタ、減算玉数カウンタ、および計数玉数カウンタの値をCU3側へ送信する毎に、それらカウント値を前回遊技台情報記憶領域(払出制御部171のRAM等)にバックアップデータとして記憶(書換え)した後、最新遊技台情報としての加算玉数カウンタ、減算玉数カウンタ、および計数玉数カウンタの値を0クリアする(遊技玉数カウンタを除く)。なお、本実施の形態において「クリア」とは「初期化」と同じ意味である。
【0133】
その結果、前回遊技台情報(直前に送信した遊技台情報)の記憶エリアに、直前にCU3側に送信した遊技台情報である、加算玉数、減算玉数、および計数玉数のデータがバックアップデータとして記憶される。このバックアップデータは、P台2側からCU3側へ最新遊技台情報が送信されなかった場合に、次の送信に際して今回の各カウンタの値ばかりでなくその送信されなかった前回の各カウンタの値をも送信できるようにするためのものである。この前回遊技台情報に、直前に送信した遊技玉数をさらに加えて記憶するようにしてもよい。
【0134】
また、払出制御基板17は、入賞の発生、玉の発射、バック玉の発生、および計数玉の発生(遊技玉から持玉への変換)に応じて、遊技玉数カウンタの値を更新し、その更新後の遊技玉数カウンタの値を遊技玉数としてCU3側に送信する。
【0135】
CU3側においては、RAM内の累計データ記憶領域に、遊技玉数、カード持玉数(単に、持玉数とも言う)、貯玉数、残額、総加算玉数(加算玉数累計)、総減算玉数(減算玉数累計)、およびカード挿入時持玉数を記憶している。なお、カード持玉数は、カード挿入時持玉数から持玉払出数(カード持玉数から遊技玉数に変換した玉数)を減算し、計数玉数を加算した玉数である。つまり、カード持玉数は、現時点で遊技者が所有している持玉数である。
【0136】
P台2側から送信されてきた加算玉数カウンタの値(加算玉数)に基づいて総加算玉数を加算して玉数を更新する。また、P台2側から送信されてきた減算玉数カウンタの値(減算玉数)に基づいて総減算玉数を減算して玉数を更新する。さらに、P台2から送信されてきた計数玉数カウンタの値に基づいてカード持玉数を加算して更新する。このように、CU3は、P台2より逐一送信されてくる最新遊技台情報によって総加算玉数、総減算玉数、カード持玉数を更新することで最新のそれらの情報を管理することが可能となる。
【0137】
CU3は、図示のとおり、遊技玉を記憶する領域を備えているとともに、P台2側から遊技玉数カウンタのカウント値(遊技玉数または遊技玉トータル個数情報とも言う)も受信している。CU3は、遊技玉を記憶する領域を以下の手順で更新する。すなわち、CU3は、P台側から送信されてきた加算玉数カウンタの値(加算玉数)、減算玉数カウンタの値(減算玉数)、および計数玉数カウンタの値に基づいて、記憶している遊技玉数を更新するとともに、同じタイミングでP台側から送信されてきた遊技玉数カウンタのカウント値と、更新後の遊技玉数とが一致しているか否かを判定する。一致していれば、遊技の続行を許容するが、一致していなければ、エラー状態に移行する制御を行なう。
【0138】
その結果、たとえば、異常報知ランプや表示器312によりエラー報知が行なわれ、あるいは、ホール用管理コンピュータやホールサーバ801にエラーが発生した旨のエラー通知信号が送信される(この場合、ホール用管理コンピュータやホールサーバ801によるエラー報知が行なわれるようにしてもよい)。その結果、係員による人為的な対応を促す所定の報知が行なわれる。
【0139】
なお、エラー状態に移行して遊技を停止させることに代えて、CU3側で記憶している遊技玉数をP台2側から送信されてきた遊技玉数カウンタのカウント値に置き換えるようにしてもよい。または、それに代えて、CU3側で管理している遊技玉数と、P台2側で記憶している遊技玉数との平均値に補正してもよい。
【0140】
このように、本実施の形態では、CU3側にも遊技玉数を記憶させているが、その遊技玉数がP台2側で管理記憶している遊技玉数と整合するか否かの判定を行なえるようにしている(CU3側機能)。そのため、仮に不正行為その他の事情で、P台2側で記憶している遊技玉数がCU3側で記憶している遊技玉数と一致しない状況が発生しても、その旨をチェックできる。なお、ここでは、CU3側にその判定機能を設けたが、たとえば、CU3と接続されるホールサーバ801またはホール用管理コンピュータによって、CU3側で記憶している遊技玉数とP台2側で記憶している遊技玉数とを受信し、両者が整合しているか否かの判定を行なうものとしてもよい。
【0141】
図5に示すように、CU3は、カード持玉数、貯玉数を記憶する記憶領域と、受付けた(挿入された)カードのカード残額を記憶する記憶領域と、総加算玉数(加算玉数累計)、総減算玉数(減算玉数累計)およびカード挿入時持玉を記憶する記憶領域をさらに有する。CU制御部323(図2参照)は、貯玉の使用を要求する入力(たとえば、CU3に設けられた再プレイボタン319の押圧入力(ただし、持玉無しのとき))に応じて貯玉を記憶する記憶領域から所定数の貯玉を減算する。
【0142】
CU制御部323(図2参照)は、持玉の使用を要求する入力(たとえば、持玉有のときのCU3に設けられた再プレイボタン319の押圧入力(ただし、持玉有のとき))に応じて持玉を記憶する記憶領域から所定数の持玉を減算する。さらに、CU制御部323(図2参照)は、カード残額の使用を要求する入力(たとえば、玉貸ボタン321の押圧入力)に応じてカード残額を記憶する記憶領域から所定値を減算する。
【0143】
遊技者所有の遊技用価値(たとえばプリペイド残額、持玉数、あるいは貯玉数)から価値を引落として遊技に使用する操作を遊技者が行なった場合に、その引落とし分の玉数を遊技玉数カウンタに加算するための加算玉数がCU3側からP台2側へ送信される。P台2側では、それを受けて、遊技玉数カウンタを加算更新する。
【0144】
本実施の形態に係る遊技システムでは、一方、遊技者所有の遊技用価値を引落としてドリンク等に交換するといういわゆるワゴンサービスのオーダ等を受付けることが可能である。ただし、遊技玉でワゴンサービスを受けることが制限されており、持玉でしかワゴンサービスを受けることができない。これは、各台計数機が配備された従来の封入式のパチンコ機において、皿に残っている計数前の玉を手で掴み出してワゴンサービスに用いることを禁止するようなイメージである。
【0145】
このため、本実施の形態では、ワゴンサービスを行なう操作が実行されたときに、持玉数がワゴンサービスの希望メニューに対応する玉数に満たない場合、遊技者に計数操作を促すように構成されている。その際に遊技者が計数操作を実行すると、その操作に基づく計数玉数がP台2側からCU3側へ送信される。CU3側では、それを受けて、遊技玉数を減算し、カード持玉数を加算して更新する。
【0146】
<通信で用いられるフレーム構成>
次に、本実施の形態に係るCU3とP台2との間での通信について、さらに詳しく説明する。当該通信で用いられる電文は、所定のフォーマットからなるフレームで構成されている。送信データ(電文)は、必ず1フレーム単位で送信される。つまり、電文の分割送信は行なわない。また、連続で電文を送信する場合は、1ミリ秒以上の間隔をあける。
【0147】
1フレームの送信データは、データ長、通常通番、加算通番、計数通番、コマンド、データ部を含む。「データ長」は、送信データのデータ長(通番〜データ部(業務電文範囲))を示す。「コマンド」は、電文のコマンドコードである。「データ部」は、電文のデータである。
【0148】
次に、遊技者が金銭の支払い(本実施の形態ではカード残額の引き落とし)に応じて遊技玉の貸出を受ける貸出操作(玉貸操作)を行なうときに用いる、金銭を遊技玉に交換するレート(交換率)について説明する。この実施の形態では、予め定められた複数種類のレートのうちから選択されたレートで、遊技玉が貸出される。レートは、たとえば、1玉あたりの金額(円)という割合で示される。この実施の形態では、レートの単位は、1玉あたり1円のレートを、レート「1円」というように、「1玉あたり」という単位を省略して、「円」という金額により示す。
【0149】
図6は、遊技玉の貸出を受けるときのレートを選択するときに用いられるデータテーブルを表形式で示す図である。図6においては、(A)にCU3側でCU制御部323のROMに記憶されたレート選択テーブルが示され、(B)にP台2側で主制御部161のROMに記憶された発射間隔・変動時間選択テーブルが示されている。
【0150】
図6(A)のレート選択テーブルにおいては、選択可能な複数種類のレートとして、1円のレートである第1レートと、2円のレートである第2レートと、4円のレートである第3レートとが設定されている。
【0151】
表示器54においては、常に、設定されているレートを表示する設定レート表示画像と、遊技者の操作を受付けて、レートを選択可能とするためのレート選択画像(第1〜第3レートからレートを選択するアイコン画像を表示する等により選択操作が可能な画像)とが表示される。そして、予め定められたレート選択条件が成立したときに、レート選択画像に対して遊技者がレートを選択するタッチ操作等の選択操作をすると、当該操作により選択されたレートを特定するデータが、CU制御部323のRAM、および、主制御部161のRAMのそれぞれに設けられたレート記憶領域に設定(記憶)され、設定されたレートにより遊技玉の貸出が行なわれる。レート選択条件の一例として、この実施の形態では、確変状態に制御されていないときに、レート選択条件が成立する。P台2においては、確変状態、非確変状態(通常状態)、時短状態等の遊技状態を特定することが可能な各種のフラグがセットされることにより、現在の遊技状態を確認することが可能であり、レート選択条件は、このようなフラグ(確変フラグ)がセットされているか否かに基づいて確認される。
【0152】
なお、現在のレートの設定値の表示は、このように常時行なわずに、大当り遊技状態の終了時のような遊技媒体(遊技玉)により価値が得られる起点となったときのような特定のタイミングで表示してもよい。また、後述するようなスロットマシンの場合には、レート変更時の他、AT状態時等の遊技媒体(メダル)により価値が得られる起点となったときのような特定のタイミングで表示してもよい。また、現在のレートの設定値の表示は、レートが設定変更されたときにのみ表示してもよい。また、現在のレートの設定値の表示は、レートが設定変更されたとき、および、前述のような遊技媒体(遊技玉、メダル)により価値が得られる起点となったときのような特定のタイミングにおいて表示してもよい。
【0153】
また、この実施の形態では、確変状態に制御されていないときに、レート選択条件が成立する例を示したが、これに限らず、レート選択条件は、遊技盤26の盤面上に遊技玉がないとき、または、遊技領域27への遊技玉の打込みが所定期間ないとき等、遊技状態にとって有利な状態でないその他の状態であるときに成立するようにしてもよい。
【0154】
このようなレートについては、第1〜第3レートのいずれかがデフォルト値として前述のRAMに予め記憶設定されており、電源投入後、最初のレート選択操作がされるまでは、当該デフォルト値が基本的なレートとして、貸出に用いられる。
【0155】
また、この実施の形態では、表示器54におけるタッチ操作により、遊技者によりレートを選択する操作が可能である例を示した。しかし、これに限らず、表示器54に加えて、P台2の裏面側等に設けられたディップスイッチ等の遊技者に操作不可能な操作手段によりレートを選択する操作を行なうことが可能な構成を採用してもよい。
【0156】
また、レート選択画像は、常に表示せずに、予め定められたレート選択条件が成立したときにのみ表示し、レート選択画像に対してレートを選択する操作がされたときには、必ず操作を受付けてレートを選択可能とするように制御してもよい。
【0157】
図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルにおいては、レートの設定に対応して、P台2における遊技玉の発射間隔、および、P台2における可変表示装置278での識別情報の変動時間が、それぞれ複数種類の設定値のうちから選択されるようにデータが設定されている。
【0158】
図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルにおいては、第1レート(1円)に対応して400発/分の第1発射間隔が選択され、第2レート(2円)に対応して200発/分の第2発射間隔が選択され、第3レート(4円)に対応して100発/分の第3発射間隔が選択されるようにデータが設定されている。この実施の形態では、遊技玉の発射間隔が、時間ではなく単位時間内の発射数で示されている。なお、遊技玉の発射間隔は、直接的に時間を用いて示すようにしてもよい。
【0159】
主制御部161においては、可変表示装置278で可変表示が実行されるときに、識別情報の可変表示の変動時間(変動パターン)を決定し、当該決定した変動時間により可変表示を実行させるが、変動時間は複数種類の変動時間(変動パターン)のうちから選択される。このような変動時間の種類は、時短状態の変動時間モードと非時短状態(通常状態)の変動時間モードとに分けられている。時短状態の変動時間モードでは、通常状態の変動時間モードよりも平均時間が短く設定された複数種類の変動時間のうちから、実行する可変表示の変動時間が選択される。また、通常状態の変動時間モードとしては、前述したような第1〜第3変動時間のモードが設けられており、設定されているレートに応じて、いずれかの変動時間のモードが選択される。
【0160】
また、発射間隔・変動時間選択テーブルにおいては、通常状態の変動時間を決定するときの変動時間モードが、レートの設定に対応して第1〜第3変動時間のモードのうちから選択される。第1変動時間のモードは、変動時間の平均値が最も短い複数種類の変動時間のうちから変動時間を選択するモードである。第2変動時間のモードは、第1変動時間のモードよりも変動時間の平均値が長い複数種類の変動時間のうちから変動時間を選択するモードである。第3変動時間のモードは、第2変動時間よりも変動時間の平均値が長い複数種類の変動時間のうちから変動時間を選択するモードである。
【0161】
図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルにおいては、第1レート(1円)に対応して第1変動時間のモードが選択され、第2レート(2円)に対応して第2変動時間のモードが選択され、第3レート(4円)に対応して第3変動時間のモードが選択されるようにデータが設定されている。
【0162】
このような発射間隔・変動時間選択テーブルでは、レートが低くなる程、発射間隔が短くなり、レートが高くなる程、発射間隔が長くなるようにデータが設定されている。これにより、レートが高くなるに従い発射間隔が長くなるので、レートが高くなるに従い変動表示等の遊技玉を用いる所定遊技の実行間隔が長くなり、遊技の進行速度が低くなるように制御されることとなり、レートを高くしても射倖性を抑制することができる。
【0163】
また、このような発射間隔・変動時間選択テーブルでは、発射間隔が長くなるに従い変動時間が長くなる等、発射間隔に応じて変動時間が変化するようにデータが設定されているので、発射間隔が変化しても、それに合わせて変動時間が変化するため、遊技者が違和感(たとえば、発射間隔が長いときと短いときとで同じ変動時間の演出が行なわれると発射間隔が長いときに演出が間延びする感じがし、違和感が生じると考えられる)なく遊技をすることができる。
【0164】
現在のレートを特定する情報が、レートを変更する状態が生じるごとに払出制御部171から主制御部161に送信されることにより、主制御部161が、受信した現在のレートを特定する情報に基づいて、発射間隔・変動時間選択テーブルを用いて、発射間隔・変動時間を選択決定する。
【0165】
主制御部161においては、レートに応じて選択された発射間隔を特定するデータが、主制御部161のRAMに設けられた発射間隔記憶領域に設定(記憶)される。主制御部161において設定された発射間隔を特定する情報が、払出制御部171に送信されることにより、払出制御部171が発射間隔を認識する。そして、遊技玉が発射されるときには、払出制御部171が認識した発射間隔に基づいて、払出制御部171により発射速度が制御され、発射制御基板31により駆動される発射モータの動作速度が制御されることにより、設定された発射間隔で遊技玉が発射される。
【0166】
また、主制御部161においては、レートに応じて選択された変動時間のモードを特定するデータが、主制御部161のRAMに設けられた変動時間モード記憶領域に設定(記憶)される。そして、通常状態(非時短状態)での可変表示が実行されるときに、設定された変動時間のモードに応じた複数種類の変動時間のうちから可変表示に用いる変動時間が決定されて可変表示が実行される。
【0167】
なお、レートに応じて選択された発射間隔を特定するデータ、および、レートに応じて選択された変動時間のモードを特定するデータは、主制御部161のRAMに代えて、たとえば払出制御部171のRAM等のP台2に設けられた他の記憶手段に記憶されてもよい。
【0168】
電源投入後、最初のレート選択操作がされるまでは、前述のレートのデフォルト値に対応した遊技玉の発射間隔、および、識別情報の変動時間が選択されて、発射制御および可変表示制御が行なわれる。
【0169】
なお、CU3側では、図6(A)のようなレートのみが設定されたレート選択テーブルに代えて、(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルのようなレートのデータに加えて、レートに対応する遊技玉の発射間隔、および、識別情報の変動時間のデータが設定されたデータテーブルを用いてレートを選択することにより、レートに対応する遊技玉の発射間隔、および、識別情報の変動時間を認識できるようにしてもよい。そのような構成を採用する場合には、CU3とP台2とのそれぞれで同じデータテーブルを設けてもよく、P台2には発射間隔・変動時間選択テーブルを設けずに、レートに対応する発射間隔および識変動時間を特定可能なデータをCU3からP台2に送信することにより、その送信されたデータに基づいてP台2において、レートに対応する発射間隔および変動時間を設定するようにしてもよい。
【0170】
また、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルのように、レートに基づいて、発射間隔と、変動時間のモードとがまとめて選択されるテーブルに代えて、レートに基づいて発射間隔を選択する発射間隔選択テーブルと、レートに基づいて変動時間のモードを選択する変動時間選択テーブルとを設けてもよい。
【0171】
また、図6においては、レートが高くなるに従い遊技の進行速度が低くなるように制御するための設定として、選択する変動パターンの変動時間を変化させる例を示したが、これに限らず、大当り予告(大当りとなることを予告する演出)等の予告演出の実行割合を高くして変動表示における演出時間を増加させることに遊技の進行速度が低くなるように制御してもよい。
【0172】
レートが高くなるに従い射倖性を抑制するためには、レートが高くなるに従い大当り遊技状態における可変入賞球装置271の開放態様(開放回数、開放時間、開放角度等の開放態様)を変更する(入賞し難くする)制御をしてもよい。また、レートが高くなるに従い射倖性を抑制するためには、レートが高くなるに従い大当りの発生確率を変更する(大当りを発生させにくくする)制御をしてもよい。
【0173】
レートが高くなるに従い射倖性を抑制するためには、前述した発射間隔、変動時間、可変入賞球装置271の開放態様、および、大当りの発生確率のうちの全部、または、いずれか一部の組合せを用いるようにすればよい。
【0174】
また、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルは、払出制御部171のROMに記憶し、払出制御部171が、選択されたレートに基づいて、発射間隔および変動時間のモードを決定し、決定した発射時間に基づいて発射制御を行ない、決定した変動時間のモードを特定する情報を主制御部161に送信して、主制御部161により変動表示制御を行なうようにしてもよい。また、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルのうちの発射間隔を決定する部分のみを払出制御部171のROMに記憶し、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルのうちの変動時間のモードを決定する部分のみを主制御部161のROMに記憶して、発射間隔については、払出制御部171が決定し、変動時間のモードについては、主制御部161が決定するようにしてもよい。
【0175】
<<状態情報要求および状態情報応答>>
CU3からP台2に対しては、定期的に、状態情報要求のコマンドが送信される。この状態情報要求のコマンドは、P台2に対してCU3の状態を要求するものである。CU3はこのコマンドを使用して、P台2の状態を定期的に確認する。また、状態情報要求のコマンドには、図5に示したCU3側からP台2側へ向かう加算玉数等の各種情報が含まれている。そして、状態情報要求に対応して、P台2からCU3に対して状態情報応答のレスポンスが送信される。この状態情報応答のレスポンスは、CU3に対してP台2の情報・状態を通知するものである。状態情報応答のレスポンスには、図5に示した最新遊技台情報や遊技玉数等の各種情報が含まれている。
【0176】
<<カード挿入>>
カードが挿入されたときのCU3およびP台2の処理について説明する。図7に示すCU3は、カード挿入前、通番=n、カード挿入状態=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。P台2では、それを受けて、通番=n、遊技禁止を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。この実施の形態では、状態情報要求のコマンドおよび状態情報応答のレスポンスのそれぞれに、前述のレートの設定値を特定可能なデータが含まれており、CU3とP台2との間で定期的にレートの設定値が確認されることとなる。具体的なレートの定期的な確認のためのシーケンスの処理については、図14を用いて説明する。
【0177】
その後、CU3では、カードが挿入されると、カードリーダライタにカードを取込む指令信号を出力するとともに、取込んだカードに記録されている情報(カードID等)をカードリーダライタが読取って、その読取り情報を受信する等の、カード挿入時処理が実行される。
【0178】
CU3は、カードの挿入が行なわれた後の所定期間、カード情報問合せ中の状態になる。これは、挿入されたカードの適否や当該遊技場で登録されている会員カードであるか否か、あるいは持玉、貯玉やカード残額等をたとえばホールサーバ801に問合せて認証している最中であることを表示器312に表示するとともにP台2側の表示器54に表示させる処理を実行している最中であることを意味している。
【0179】
CU3は、表示器312に挿入されたカードの問合せ中であることを表示している間、挿入されたカードを認証していないので、通番=n+1、カード挿入状態=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。P台2では、それを受けて、通番=n+1、遊技禁止を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。なお、P台2側の表示器54は、CU3の表示制御部350により表示制御が行なわれ、カードの問合せ中である旨の表示がなされる。
【0180】
その後、CU3は、挿入されたカードが認証されると、そのカードのカードIDとカード挿入時刻とをCU制御部323のRAMに記憶させるとともに、通番=n+2、カードID、カード挿入時刻を含むカード挿入通知(カード挿入を通知する)のコマンドをP台2へ送信する。なお、カード挿入通知のコマンドには、セキュリティ基板325で付加した店舗コードおよびSC基板IDも含まれている。P台2では、それを受けて、受信したカードID、カード挿入時刻、店舗コードおよびSC基板IDのデータを払出制御部171のRAM等にバックアップするとともに、通番=n+2を含むカード挿入応答(カード挿入通知を受信した旨の応答)のレスポンスをCU3に返信する。なお、CU3においても、挿入されたカードのカードIDをCU制御部323のRAM等に記憶する。
【0181】
CU3は、それを受けて、通番=n+3、カード挿入状態=ONを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信することで、カード挿入中である状態をP台2に対して通知する。P台2は、カード挿入中である状態の通知を受けて遊技を許可し、通番=n+3、遊技許可を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信することで、遊技許可中である状態をCU3に対して通知する。
【0182】
カード挿入中、CU3は、通番=n+4、カード挿入状態=ONを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信し、P台2は、通番=n+4、遊技許可を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。
【0183】
<<レート変更>>
次に、前述したようなレートの変更操作に基づいてレートが変更されたときの処理について説明する。図8は、レートの変更操作に基づいてレートが変更されたときの処理の一例を示す図である。図8に示すシーケンス処理では、変更前のレートが1円であり、変更後のレートが4円である例を説明する。
【0184】
前述したような表示器54でのレートを選択するタッチ操作によりレートを1円から4円に変更する操作が行なわれ、その操作が検出されると、CU3は、レート変更要求=ON、変更後レート(4円)を含む状態情報要求コマンドをP台2へ送信する。ここで、レート変更要求=ONは、レートの変更を要求するデータである。
【0185】
このような状態情報要求コマンドを受けて、P台2では、レート変更可能状態であるか否か(確変状態に制御されているか否か)を判定する。そして、レート変更可能状態であると判定したときに、P台2は、レートを変更可能な状態であることを特定可能なレート変更可能情報を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。一方、レート変更可能状態ではないと判定したときに、P台2は、レートを変更不可能な状態であることを特定可能なレート変更不可能情報を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。このようなレート変更可能情報およびレート変更不可能情報は、レート変更可否情報と呼ばれる。
【0186】
さらに、レート変更可能状態であると判定したときに、P台2は、払出制御部171のレート記憶領域に設定しているレートを4円に変更する。そして、P台2は、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルを用いて、その4円のレートに対応する発射速度と、変動時間モードとを選択する。P台2では、払出制御部171の発射速度記憶領域に設定している発射速度を、このように選択された発射速度に変更する。また、P台2では、払出制御部171の変動時間モード記憶領域に設定している変動時間モードを、このように選択された変動時間モードに変更する。
【0187】
前述のレート変更可能情報を含む状態情報応答のレスポンスを受けて、CU3は、CU制御部23のレート記憶領域に設定しているレートを4円に変更する。そして、CU3は、表示器54に表示された設定レート表示画像において、変更後のレートを表示する。
【0188】
次に、前述したようなレート変更操作がされたときにおけるCU3およびP台2のそれぞれにおける具体的な制御内容を説明する。図9は、レート変更操作がされたときにおけるCU3およびP台2のそれぞれにおける具体的な制御内容を説明するフローチャートである。
【0189】
図9において、CU3の処理としてはCUレート変更処理が示され、P台2の処理としてはP台レート変更処理が示されている。P台レート変更処理においては、まず、ステップS(以下、単にSという)1により、CU制御部323が、レート変更予約フラグがON状態であるか否かを確認し、ON状態であるときは後述するS4に進む。一方、ON状態でないときは、CU制御部323が、表示器54においてレート変更操作があったか否かを確認する(S2)。レート変更操作がなかったときは、処理を終了する。一方、レート変更操作があったときは、CU制御部323が、前述のように、レート変更要求=ON、変更後レートを含む状態情報要求コマンドをCU3からP台2へ送信する(S3)。
【0190】
P台2では、払出制御部171が、レート変更要求=ON、変更後レートを含む状態情報要求コマンドをCU3から受けたときには(S34Y)、前述のように、主制御部161が、確変状態に制御されているか否かを確認することにより、レート変更可能状態であるか否かを判定する(S35)。レート変更可能状態であるときには、払出制御部171が、レート変更可能情報を含む状態情報応答のレスポンスをP台2からCU3に送信する(S45)。一方、レート変更可能状態でないときには、払出制御部171が、レート変更不可能情報を含む状態情報応答のレスポンスをP台2からCU3に送信する(S44)。
【0191】
そして、P台2では、主制御部161が、レート記憶領域に設定しているレートを、レート変更を要求する状態情報要求コマンドに応じて、変更後レートとして特定されたレートに変更する(S46)。さらに、P台2では、主制御部161が、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルを用いて、変更後のレートに対応する発射速度を選択して、発射速度記憶領域に設定している発射速度を、このように選択された発射速度に変更する(S46)。さらに、P台2では、主制御部161が、図6(B)の発射間隔・変動時間選択テーブルを用いて、変更後のレートに対応する変動時間モードを選択して、変動時間モード記憶領域に設定している変動時間のモードを、このように選択された変動時間のモードに変更する(S46)。
【0192】
また、CU3では、CU制御部323が、前述のような状態情報要求コマンドを送信した後、レート変更可能情報またはレート変更不可能情報(レート変更可否情報)を含む状態情報応答のレスポンスを受信したか否かを確認し(S11)、受信したときは、受信したレート変更可否情報に基づいて、レート変更が可能であるか否かを確認する(S12)。レート変更可能情報を受信したことによりレート変更が可能であるときには、レート変更予約フラグがON状態であるか否かを確認する(S13)。レート変更予約フラグは、レート変更不可能な状態においてレート変更操作がされたときにON状態となることにより、レート変更可能な状態になるまで、レート変更を予約するためのフラグである。
【0193】
レート変更予約フラグがON状態であるときは、CU制御部323が、予約したレート変更が可能となったと見なして、レート変更予約フラグをOFF状態とする(S14)。一方、レート変更予約フラグがON状態でないときは、そのときにレートを変更できるので、CU制御部323が、レート変更予約フラグをOFF状態で維持する。
【0194】
次に、CU制御部323が、今回のレート変更操作により選択されたレート変更値(S13でレート変更予約フラグがON状態でなかったとき)、または、レート変更が予約されたときに記憶されたレート変更値(S13でレート変更予約フラグがON状態であったとき)に基づいて、レート記憶領域に設定しているレートをレート変更値に変更する(S15)。その後、CU制御部323が、レートの設定が変更されたことに応じて、レートの設定変更が完了したことを示す画像を表示するレート変更完了表示を、表示器54における所定領域において行ない(S16)、処理を終了する。レート変更完了表示が行なわれるときには、CU制御部323が、設定変更後のレートの値を表示器54に表示する。
【0195】
また、S12によりレート変更不可能情報を受信したことによりレート変更が不可能であるときには、CU制御部323が、レート変更が既に予約されているか否かを確認するために、レート変更予約フラグがON状態であるか否かを判定する(S17)。レート変更予約フラグがON状態であるときは、重複した予約をしないために、処理を終了する。一方、レート変更予約フラグがON状態でないときは、CU制御部323が、レート変更を予約してレート変更が可能な状態となるまで待つために、レート変更予約フラグをON状態にセットし(S18)、レート変更値を(レート変更操作時に選択されたレート)、予約したレート変更のレート選択値を記憶するためにCU制御部323のRAMに設けられた予約レート変更記憶領域に記憶する(S19)。そして、CU3では、CU制御部323が、レート変更予約=ONを含む状態情報要求コマンドをP台2へ送信し、処理を終了する。ここで、レート変更予約=ONは、レートの変更を予約したことを示すデータである。
【0196】
また、P台2では、払出制御部171が、前述のようなレート変更予約=ONを含む状態情報要求コマンドをCU3から受けたときには(S32Y)、レート変更が予約された状態であるか否かを示すレート変更予約情報をON状態(S33)とすることにより、レート変更が予約された状態であることを記憶し、処理を終了する。P台2では、P台レート変更処理において、払出制御部171が、常時、レート変更予約情報がON状態であるか否かを確認し(S31)、レート変更予約情報がON状態でないときに、前述したようなS32の処理、および、S34の処理を実行する。
【0197】
一方、払出制御部171が、S31でレート変更予約情報がON状態であると判断したときは、前述のように、主制御部161が、確変状態に制御されているか否かを確認することにより、予約されたレート変更が可能な予約レート変更可能状態であるか否かを判定する(S36)。予約レート変更可能状態でないときは、処理を終了する。一方、予約レート変更可能状態であるときは、払出制御部171が、予約レート変更可能状態であることを示す予約レート変更可能情報を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する(S36A)。そして、払出制御部171が、発射モータ18の動作を制限することにより遊技玉の発射を禁止(S37)する。そして、払出制御部171が、現在の遊技玉数を計数対象の玉数として示す計数情報、および、計数を要求する状態であることを示す計数要求状態=ONを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する(S38)。その後、S39に進む。
【0198】
また、CU3では、CU制御部323が、S1でレート変更予約フラグがON状態であるときに、前述のS36Aにより送信される予約レート変更可能情報を含む状態情報応答のレスポンスを受信したか否かを確認する(S5)。予約レート変更可能情報を受信していないときは処理を終了する。一方、予約レート変更可能情報を受信したときは、CU制御部323が、レート変更を受付けたことを示すレート変更受付表示を表示器54において行なう(S6)。そして、CU制御部323は、前述のS38により送信される計数情報、および計数要求状態=ONを含む状態情報応答のレスポンスを受信したか否かを確認する(S7)。
【0199】
S7で受信したときには、CU制御部323が、受信した計数情報が示す玉数を変更後のレート(S19で記憶した変更後のレート)で変換した玉数を、持玉の加算球数として算出し(S8)、算出した加算球数を含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する(S9)。そして、CU制御部323が、レート変更要求=ON、変更後レート(S19で記憶した変更後のレート)を含む状態情報要求コマンドをCU3からP台2へ送信し(S10)、S13に進む。これにより、S13,S14,S15,S16の処理が実行され、予約されたレート変更について、前述したようなレート変更に関する各種処理が実行される。
【0200】
P台2では、払出制御部171が、S38で状態情報応答のレスポンスを送信した後、S9で送信される加算球数を含む状態情報要求のコマンドを受信したか否かを確認し(S39)、受信したときは、受信した加算球数を持玉数に加算し(S40)、発射禁止状態を解除する(S41)。そして、払出制御部171が、S10で送信されるレート変更要求=ON、および、変更後レートを含む状態情報要求のコマンドを受信したか否かを確認し(S42)、S33でON状態にされたレート変更予約情報をOFF状態として、S45に進む。これにより、S45〜S48の処理が実行され、予約されたレート変更について、前述したようなレート変更に関する各種処理が実行される。
【0201】
なお、レートの変更については、レート変更可能状態ではないときにレート変更操作がされたときに、レート変更を予約できるようにして、レート変更可能状態となったときに自動的にレート変更が実行される例を示した。しかし、これに限らず、レート変更可能状態ではないときにレート変更操作がされたときには、レート変更可能状態になったときに、再度レート変更操作を要求する表示を表示器54において行ない、それに応じて、再度レート変更操作が行なわれたときにレート変更が実行されるようにしてもよい。
【0202】
また、レートについては、P台2およびCU3において記憶される例を示したが、これに限らず、レートの設定値については、レートのデフォルト値設定時、または、レート変更時等の所定のタイミングで、ホールサーバ801等の所定の管理装置へ送信し、その管理装置において記憶して管理するようにしてもよい。
【0203】
前述したように、遊技者によるレート選択操作が行なわれると、確変状態でないときのような予め定められたレート選択条件の成立を待って、レートが変更されるので、たとえば、確変状態のような遊技者に有利な状態でレートが高くされることにより射倖性が高まり過ぎる状態が生じるような、レート変更により生じるおそれがある各種の不具合を解消することが可能となる。つまり、遊技者によるレート選択操作があっても、所定条件の成立を待ってレートが変更されるので、レート選択条件の設定内容により、射倖性が高まり過ぎる状態の発生を未然に防ぐことが可能となる等、レート変更により生じるおそれがある各種の不具合を解消することが可能となるのである。
【0204】
<<プリペイド貸出>>
次に、挿入されたカードのプリペイド残額から遊技玉を貸出すときの処理について説明する。図10に示すシーケンス処理では、挿入されたカードに記録されているプリペイド残額が500円で、遊技玉数が50玉であり、レートが4円に設定されている例を説明する。まず、CU3は、通番=n、遊技玉加算要求=OFF、加算通番=mを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。それを受けて、P台2は、通番=n、遊技玉数=50、加算通番=mを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。このように、加算要求が発生していない間は、加算通番が更新されることはない。
【0205】
その後、遊技者が1回「貸出」ボタンを押下する貸出操作(玉貸操作)を行なうことにより、CU3は、残額の500円分すなわち125玉の貸出を行なう。CU3は、玉貸ボタン(貸出ボタン)321が押下操作された場合、500円分のプリペイド消費を確定させるとともに、加算玉数=125のデータをバックアップする。このように、残額消費は、貸出操作が行なわれた段階でCU3側単独で確定する。その後、CU3は加算表示中となる。この加算表示中では、残額から125玉分引落して遊技玉に加算している最中であることを表示器54に表示させる。
【0206】
次に、CU3は、P台2に対して遊技玉の加算要求を行なう。そのため、CU3は、通番=n+1、遊技玉加算要求=ON、加算玉数=125および加算通番=m+1を含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。通番をカウントアップして“n+1”とするとともに、遊技玉の加算要求を行なうため、加算通番もカウントアップして“m+1”とする。CU3は、加算通番を“m+1”にカウントアップするとともに、前回最終送信加算通番を“m+1”に更新して、そのデータをバックアップする。それを受けて、P台2は、遊技玉数=50(現在の遊技玉数)+125(加算玉数)=175に遊技玉数を更新し、前回最終送信加算通番を“m+1”に更新して、そのデータをバックアップする。そして、P台2は、CU3に対して遊技玉数=175および遊技玉加算結果=OKを通知するため、通番=n+1、加算玉数=175、遊技玉加算結果=OKおよび加算通番=m+1を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。遊技玉の加算要求に対する応答であるため、加算通番をカウントアップせずに、そのまま“m+1”とする。
【0207】
その後、CU3は、通番=n+2、遊技玉加算要求=OFFおよび加算通番=m+1を含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信し、P台2は、通番=n+5、加算玉数=175および加算通番=m+1を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。遊技玉の加算要求がOFFの場合、状態情報要求および状態情報応答は、通番をカウントアップするが、加算通番はカウントアップしない。
【0208】
<<持玉払出・貯玉払出(再プレイ)>>
次に、持玉払出、貯玉払出をして再プレイする処理について説明する。この図11では、当初の遊技玉数が50玉の状態となっており、レートが4円に設定されている例を説明する。まず、CU3は、通番=n、遊技玉加算要求=OFFおよび加算通番=mを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。それを受けて、P台2は、通番=n、遊技玉数=50および加算通番=mを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。このように、加算要求が発生していない間は、加算通番が更新されることはない。
【0209】
その後、持玉または貯玉が存在する状態で、遊技者が持玉払出ボタンまたは再プレイボタン319を押下すると、CU3は、持玉または貯玉からの125玉分の消費を確定させる。このように、持玉または貯玉の消費は、持玉払出ボタンまたは再プレイボタン319を押下する操作がなされた段階でCU3側単独で確定する。なお、持玉と貯玉との双方が存在する場合には、持玉消費が優先される。
【0210】
この持玉を優先して消費する制御に代えて、貯玉再プレイボタンと持玉再プレイボタンとを設け、遊技者が選択して操作することにより、貯玉消費または持玉消費のいずれかを選べるようにしてもよい。すなわち、再プレイボタンは、貯玉(貯メダル)から遊技玉(遊技点)を得るための貯玉(貯メダル)再プレイボタンと、持玉(持点)から遊技玉(遊技点)を得るための持玉(持点)再プレイボタンとの2つで構成してもよい。
【0211】
CU3は、持玉または貯玉からの消費を確定させた後、加算玉数=125の加算要求をP台2に通知する。具体的に、CU3は、遊技玉の加算処理中であることを表示するとともに、通番=n+1、遊技玉加算要求=ON、加算玉数=125および加算通番=m+1を含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。遊技玉の加算要求を行なうため、通番をカウントアップして“n+1”とするとともに、加算通番もカウントアップして“m+1”とする。さらに、CU3は、前回最終送信加算通番を“m+1”に更新して、そのデータをバックアップする。それを受けて、P台2は、遊技玉数=50(現在の遊技玉数)+125(加算玉数)=175に遊技玉数を更新し、前回最終送信加算通番を“m+1”に更新して、そのデータをバックアップする。そして、P台2は、通番=n+1、加算玉数=175、遊技玉加算結果=OKおよび加算通番=m+1含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。遊技玉の加算要求に対する応答であるため、加算通番をカウントアップせずに“m+1”のままとする。
【0212】
その後、CU3は、通番=n+2、遊技玉加算要求=OFFおよび加算通番=m+1を含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信し、P台2は、通番=n+2、加算玉数=175および加算通番=m+1を含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。
【0213】
<<遊技玉計数(通常)>>
次に、遊技玉の一部を計数して減算する通常時の計数処理について説明する。この図12では、レートが4円に設定されており、カード返却の操作が検出されることなく計数ボタンが押下された場合を示している。それゆえ、CU3からP台2へ送信されるカード返却準備状態のビットは、いずれもOFF(=0)となっている。このため、以下ではカード返却準備状態のビットの説明を省略する。
【0214】
また、この図11では、挿入された記録媒体(会員用カードまたはビジターカード)により特定される持玉数が「0」玉であり、当初の遊技玉数が「800」玉の状態となっている。
【0215】
なお、ここでは、計数ボタンの操作が検出されている間、100点単位での計数が継続し、計数ボタンの操作が検出されなくなった段階で計数動作が終了する例を説明する。
【0216】
まず、CU3は、通番=n、カード返却準備状態=OFF、計数通番=m、計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。それを受けて、P台2は、通番=n、遊技玉数=800、計数通番=m、計数玉数=0、計数要求=OFFを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。
【0217】
CU3から送信された通番nに対して、P台2から通番n+1が返信されている。CU3から送信された計数通番mに対して、P台2からは同じ計数通番mが返信されている。これは、計数通番が、計数要求の発生を契機として更新され、計数の完了をもって更新が終了される特別な通番だからである。
【0218】
その後、遊技者が、計数ボタン28を押下する。この図12では、計数ボタン28を1回押下する操作がなされた直後に、通番=n+1、カード返却準備状態=OFF、計数通番=m、計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドがCU3からP台2へ送信されている。
【0219】
P台2は、計数ボタン28の操作を検出した場合、状態情報要求のコマンドに対する応答として、計数要求値を具体的に100に設定した通番n+1の状態情報応答をCU3へ送信する。ただし、この段階でP台2は計数要求分の計数を実行しない。このため、通番n+1の状態情報応答では、依然として遊技玉数=800とされている。また、この状態情報応答は、計数要求を示す電文であるため、計数通番が“m+1”にカウントアップされている。P台2は、このとき、前回最終送信計数通番を更新し、更新した前回最終送信計数通番と計数要求状態ONとのデータをバックアップする。
【0220】
通番n+1の状態情報応答を受信したCU3は、要求されている計数玉数相当の持玉を加算するとともに、持玉の表示を100に更新する。すなわち、CU制御部323は、表示制御部350に対して計数表示の指令を送信する。表示制御部350は、その指令を受けてP台2側の表示器54を表示制御する。その結果、表示器54には、遊技玉が計数されてその数が減少する一方で、持玉が増加する画像表示が行なわれる。
【0221】
この場合、遊技玉が一発ずつ、各台計数器に案内されて計数されていくような演出表示を行なうことが考えられる。この演出表示の他の例としては、遊技玉数のデータが持玉数のデータに経時的に変換されていく表示であってもよい。たとえば、遊技玉数のデータと持玉数のデータとを棒グラフで示し、遊技玉数の棒グラフを減少させつつ持玉数の棒グラフを増加させたり、遊技玉数の棒グラフの一部を持玉数の棒グラフに移動させる表示を繰返したりしてもよい。さらに演出表示の他の例としては、現在の遊技玉数のデータと持玉数のデータをそのままデジタル表示し、遊技玉数を減少させつつ持玉数を増加させたり、遊技玉数の一部を持玉数に移動させる表示を繰返したり、種々の演出表示が考えられる。
【0222】
さらに、CU3は、前回最終送信計数通番を“m+1”に更新して、そのデータをバックアップする。続いて、CU3は、P台2に対して、通番n+2、計数通番m+1、計数応答=ONの状態情報要求を送信し、要求された計数を終えたことを通知する。
【0223】
この状態情報要求を受信したP台2は、ようやく、計数玉数=100に対応する数だけ遊技玉数を減算し、遊技玉数表示器29の表示を800から700に更新する。この段階で、P台2は計数要求状態がOFFとなるが、計数ボタンの押下が継続しているため、P台2は2度目の計数要求をCU3へ送信する。すなわち、計数要求値を具体的に100に設定した通番n+2の状態情報応答をCU3へ送信する。ただし、この段階でもP台2は計数要求分の計数を実行しない。このため、通番n+2の状態情報応答では、遊技玉数=700とされている。また、この状態情報応答は、新たな計数要求として送信される電文であるため、計数通番を“m+2”にカウントアップして、前回最終送信計数通番を更新し、更新した前回最終送信計数通番と計数要求状態ONとのデータをバックアップする。
【0224】
通番n+2の状態情報応答を受信したCU3は、要求されている計数玉数相当の持玉を加算するとともに、持玉の表示を200に更新する。さらに、CU3は、前回最終送信計数通番を“m+2”に更新して、そのデータをバックアップする。続いて、CU3は、P台2に対して、通番n+3、計数通番m+2、計数応答=ONの状態情報要求を送信し、要求された計数を終えたことを通知する。
【0225】
この状態情報要求を受信したP台2は、計数玉数=100に対応する数だけ遊技玉数を減算し、遊技玉数表示器29の表示を700から600に更新する。ところが、この段階で、計数ボタンから遊技者の手が離れており、計数操作が終了している。このため、P台2は計数完了を通番n+3の状態情報応答でCU3へ通知する。すなわち、現在の遊技玉数=600とともに、計数要求=OFF、計数玉数=0の状態情報応答をCU3へ送信する。また、計数要求に対応するすべての計数動作が済んでいるため、この状態情報応答に含まれる計数通番もm+2のままで更新されていない。
【0226】
この状態情報応答を受信したCU3は、計数完了と判定する。図示を省略しているが、CU3は、通番n+4、計数通番m+2、カード返却準備状態=OFF、計数応答=OFFの状態情報応答をP台2へ送信する。
【0227】
このように、本実施の形態では、計数玉数を通知する情報状態応答をP台からCUへ送信する際に、P台側で早々と計数玉分の遊技玉の減算を行なっているのではなく、計数玉数を通知する情報状態応答を送信してからこれに対する受領確認をCUから受けた段階で、P台は遊技玉の減算を行なっている。
【0228】
<<遊技玉計数(カード返却)>>
次に、カードを返却する際の遊技玉の計数処理について説明する。図13は、レートが4円に設定されており、遊技者がカード返却操作を行なった場合の計数処理を説明するためのシーケンス図である。図13では、挿入された記録媒体(会員用カード等)により特定されるカード持玉数が0玉であり、当初の遊技玉数が800玉の状態となっている。まず、CU3は、通番=n、CU開店状態=ON、カード返却準備状態=OFF、計数通番=mおよび計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。それを受けて、P台2は、通番=n、遊技玉数=800、計数通番=m、計数玉数=0および計数要求=OFFを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。
【0229】
その後、遊技者が、遊技を止める場合や別の遊技台に移動する場合に「カード返却」ボタンを押下する。しかし、遊技者が「カード返却」ボタンを押下した時点では、P台2の遊技玉数が800玉で、CU3はP台2の遊技玉数が0玉でないと判定する。また、CU3は、遊技者が「カード返却」ボタンを押下したのでカード返却準備状態=ONとして、通番=n+1、CU開店状態=ON、計数通番=mおよび計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。なお、CU3は、カード返却準備状態=ONの通知を10秒間、P台2に通知する。さらに、CU3は、P台2の遊技玉数が800玉で、0玉でないため、カード返却待機として、表示器54等に計数操作を促す表示を行なう。
【0230】
計数操作を促す表示を受けて、遊技者が計数ボタン28を押下して、遊技玉を持玉に変換する操作を行なう。P台2は、計数ボタン28を押下する計数操作が、カード返却準備状態=ONでの計数操作であると判定し、たとえば100玉単位での計数ではなく、一括して計数を処理する。
【0231】
P台2は、遊技玉数800玉の計数受付要求および遊技玉数800玉を一括計数した計数玉数800玉をCU3に通知するために、通番=n+1、遊技玉数=800、計数通番=m+1、計数玉数=800および計数要求=ONを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。ただし、この段階でP台2は計数要求分の計数を実行しない。このため、通番n+1の状態情報応答では、依然として遊技玉数=800とされている。また、この状態情報応答は、計数要求の電文であるため、P台2は、計数通番を“m+1”にカウントアップして、前回最終送信計数通番を更新し、更新した前回最終送信計数通番と計数要求状態ONとのデータをバックアップする。
【0232】
これを受けて、CU3は、計数玉数800玉を持玉数に加算して、計数玉数800玉を遊技玉数800玉から0玉に減算する。また、CU3は、更新した前回最終送信計数通番のデータをバックアップする。そして、CU3は、計数玉受取りを通知するため、通番=n+2、CU開店状態=ON、カード返却準備状態=ON、計数通番=m+1および計数応答=ONを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。
【0233】
P台2は、CU3からの応答を受けて、計数玉数800玉を遊技玉数800玉から減算して遊技玉数0玉を表示器54等に表示する。さらに、P台2は、遊技玉数0玉、計数完了した旨をCU3に通知するために、通番=n+2、遊技玉数=0、計数通番=m+1、計数玉数=0および計数要求=OFFを含む状態情報応答のレスポンスをCU3に返信する。なお、計数要求がOFFとなるので、計数通番はm+1のままカウントアップせずにCU3に送信される。
【0234】
CU3は、遊技者がカード返却ボタン322を押下してから10秒経過する前、つまり、カード返却準備状態中に、計数ボタン28を押下して遊技玉を持玉に一括計数して遊技玉数を0玉にしているので、カード返却処理を実行する。つまり、CU3は、通番=n+3を含むカード返却通知のコマンドをP台2へ送信する。それを受けて、P台2は、通番=n+3、払出制御基板17に保持してあるカードIDおよびカード挿入時刻を含むカード返却応答(カード返却を通知するもの)のレスポンスをCU3に返信する。カードIDおよびカード挿入時刻をCU3に返信後、払出制御基板17に保持してあるカードIDおよびカード挿入時刻のデータをクリアする。
【0235】
それを受けて、CU3は、挿入しているカードに記憶しているカードIDと、P台2から受信したカードIDとの一致判別を行ない、一致した場合は挿入しているカードに持玉数の情報と現在のレートとの情報を記録してカード排出機構から排出することにより返却し、不一致の場合エラー処理を行ないホールサーバ801などに報告する。CU3は、カードIDが一致した場合、カード挿入/排出口309に挿入してあったカード(挿入カード)に持玉数800と現在のレート4円とを記憶させてそのカードを遊技者に返却する。また、遊技者がカード挿入/排出口309にカードを挿入することなく入金操作により遊技を開始している場合には、CU3に設けられているカードストック部にストックされているカード(ストックカード)に持玉数800と現在のレート4円とを記憶させてそのカードを遊技者に返却する。挿入カードまたはストックカードの返却の際、CU3は当該カードのカードIDと持玉数のデータと現在のレートとの情報をホールサーバ801へ送信し、ホールサーバ801が当該カードのカードIDに対応付けて持玉数のデータと現在のレートとの情報を記憶してもよい。
【0236】
このように、遊技者にカードが返却されるときに、挿入しているカードに持玉数の情報と現在のレートとの情報が記録されて返却されるので、遊技者が遊技場での遊技を終了する精算時、および、遊技者が遊技場で他のP台2で遊技をするために移動する台移動時において、このような情報に基づいて、選択されていたレートを特定することができる。
【0237】
なお、カード返却処理においては、カードに持玉数の情報と現在のレートとの情報を記録して返却するのではなく、持玉数の情報としては、選択可能なレート(1円、2円、4円)のうちの最小公約数のレート(この例では1円)で変換して得られる持玉数を算出する処理を行なって得られた持玉数をカードに記録し、レートの情報としては当該最小公約数のレートを記録する処理を行なうようにしてもよい。また、選択可能な複数のレートのうちに最小公約数のレートがないときには、最小値のレートで変換して得られる持玉数を算出する処理を行なって得られた持玉数をカードに記録し、レートの情報としては当該最小値のレートを記録する処理を行なうようにしてもよい。このようにすれば、最低のレートに変換した持玉数がカードに記録されることとなるので、記録される持玉数に端数が生じないようにすることができる。
【0238】
その後、CU3は、カード挿入状態OFFをP台2に通知するために、通番=n+4、CU開店状態=ON、カード挿入状態=OFF、計数通番=m+1および計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。これを受けて、CU3は、通番=n+4、遊技玉数=0、計数通番=m+1、計数玉数=0および計数応答=OFFを含む状態情報要求のコマンドをP台2へ送信する。
【0239】
なお、図13で説明したカードを返却する際の遊技玉の計数処理のシーケンスは、カード返却時に限定されるものではなく、簡易離席・食事休憩時にも同様の処理を適用することができる。ここで、簡易離席とは、遊技者が小用を済ませるために5〜10分程度の短い時間遊技を中断するものである。食事休憩とは、簡易離席よりも長いたとえば30分間等遊技を中断して食事や休憩を行なうものである。
【0240】
<<レート定期確認>>
次に、図14を参照して、P台2およびCU3においてレートを定期的に確認する処理を説明する。図14は、P台2およびCU3においてレートを定期的に確認するレート定期確認処理を説明するためのシーケンス図である。P台2側(主制御部161のRAM)に記憶された現在のレートと、CU3側(CU制御部323のRAM)に記憶された現在のレートとは、基本的に一致するものであるが、RAMの物理的な破損、または、RAMにおける記憶データのデータ破損およびデータ化け等により、P台2およびCU3が記憶している現在のレートが一致しない異常状態が生じるおそれがある。
【0241】
P台2およびCU3では、払出制御部171およびCU制御部323により、P台2およびCU3が記憶している現在のレートが一致しているか否かを定期的に確認し、一致していないときにはレートが一致するようにデータを変更するためのレート定期確認処理が実行される。
【0242】
前述したように、P台2とCU3との間で送信される前述の状態情報要求のコマンドが、所定時間間隔で定期的に送信される。このような構成において、前述したように送信される各種の状態情報要求のコマンドに、P台2で記憶されている現在のレートを示す情報が含まれている。そして、そのような状態情報要求に応じてCU3から返信する状態情報応答のレスポンスに、CU3で記憶されている現在のレートを示す情報が含まれている。これにより、P台2において、定期的に、CU3側で設定(記憶)されている現在のレートと、P台2側で設定(記憶)されている現在のレートとが一致するか否かを確認することが可能となる。
【0243】
図14においては、定期的に送信される状態情報要求のコマンドにP台2で記憶されている現在のレートを示す情報が含まれ、その状態情報要求に応じてCU3から返信する状態情報応答のレスポンスにCU3で記憶されている現在のレートを示す情報が含まれているときに、両者で記憶されている現在のレートレートを定期的に確認する処理を説明する。
【0244】
図14を参照して、定期的に、P台2の払出制御部17からCU3のCU制御部323には、P台2側に記憶されている現在のレートの情報を含む状態情報要求のコマンドが送信され、このコマンドに応じて、CU3からP台2には、CU制御部323から、CU3側に記憶されている現在のレートの情報を含む状態情報応答のレスポンスが返信される。図14では、P台2側に記憶されている現在のレートが2円であり、CU3側に記憶されている現在のレートが4円である異常状態例が示されている。
【0245】
P台2では、払出制御部17が、主制御部161で記憶されている現在のレートを確認し、CU3側に記憶されている現在のレートの情報を含む状態情報応答のレスポンスを受信したときに、受信したCU3側で設定(記憶)されている現在のレートと、P台2側で設定(記憶)されている現在のレートとが一致するか否かを判定するレート判定処理を行なう。そして、レート判定処理において、レートが不一致のときは、P台2において、P台2側の主制御部161で設定(記憶)されている現在のレート(この例では2円)を、CU3側で設定(記憶)されている現在のレート(この例では4円)に変更(更新)するレート変更処理を行なう。その後、P台2の払出制御部17からCU3に、レートを変更した旨を通知するためのレート変更通知情報を含む状態情報要求のコマンドが送信される。このようなレート変更通知情報を受信したCU3では、CU制御部323が、P台2とCU3とで記憶されているレートが一致しないためP台2のレートを変更した旨を表示器54に表示することにより報知するレート変更報知処理が行なわれる。
【0246】
なお、前述のレート判定処理においては、レートが不一致のときに、P台2側で記憶されている現在のレートを、CU3側で記憶されている現在のレートに変更する例を示した。しかし、これに限らず、レートが不一致のときに、CU3側で記憶されている現在のレートを、P台2側で記憶されている現在のレートに変更するようにしてもよい。その場合には、P台2からCU3に、レート変更要求情報、および、レート変更値を含む状態情報要求のコマンドを送信し、そのコマンドに基づいて、CU3側で記憶されている現在のレートを変更すればよい。また、前述のレート判定処理においてレートが不一致のときには、表示器54において遊技者がレートを選択する操作を可能とし、再度レートを選択操作により入力できるようにしてもよい。
【0247】
また、前述のレート変更報知は、P台2に設けられた特定の表示装置により行なうようにしてもよく、CU3側とP台2側との両方により行なうようにしてもよい。
【0248】
また、前述した例では、P台2から定期的に送信される状態情報要求のコマンドのすべてに、P台2で記憶されている現在のレートを示す情報を含ませる構成を説明した。しかし、これに限らず、P台2から定期的に送信される状態情報要求のコマンドのうち、所定の複数回送信するごとに1回の割合で、P台2で記憶されている現在のレートを示す情報を含ませるようにすることで、定期的にレートが一致しているかどうかを確認するようにしてもよい。たとえば、5回コマンドを送信するごとに1回の割合で、コマンドに現在のレートを示す情報を含ませるようにしてもよい。
【0249】
このように、P台2とCU3とでは、定期的に、P台2側に記憶されている現在のレートとCU3側に記憶されている現在のレートとが一致しているかどうかが確認され、不一致のときには、記憶されている現在のレートを一致させる処理が行なわれるので、レートのずれによる不具合を防止することができる。
【0250】
<スロットマシン>
次に、遊技機の他の例としてスロットマシンを説明する。図15は、スロットマシンの前面扉を開放した状態を示す斜視図である。これまでの説明において、パチンコ機を“P台”と略称したこととの関係上、スロットマシンを以下では、“S台”とも略称する。
【0251】
遊技玉および持玉を用いた上記の遊技用システムは、S台にも同様に適用される。ただし、S台では、玉を使わずにゲームが行なわれる関係上、以下では、遊技玉を遊技点、持玉を持点と称する。
【0252】
図15を参照して、スロットマシン2Sは、本体枠2aSに対して前面扉2bSがその左側縁を揺動中心として開閉可能に設けられている。図15では図示を省略しているが、スロットマシン2Sの図面左隣には、P台と同様にCUが接続される。
【0253】
スロットマシン2Sでは、遊技点を用いることによって賭数が設定され、入賞に応じてその遊技点が加算更新される。このため、スロットマシン2Sにおいて遊技をする際には、メダルの投入操作は不要である。ゆえに、スロットマシン2Sには、メダル投入口およびメダル払出口が設けられていない。
【0254】
スロットマシン2Sの筐体内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉2bSに設けられた透視窓から見えるように配置されている。リール2L、2C、2Rの外周部には、複数種類の図柄が所定の順序で描かれている。
【0255】
前面扉2bSの各リール2L、2C、2Rを取り囲む部分には、タッチパネル式の表示器510が設けられている。この表示器510は、P台の表示器54に相当する表示器であり、表示器54と同種の各種情報(遊技点や持点など)が表示される他、ゲームにおいて設定された賭数などが表示される。表示器510は、図2の表示器54と同様にCUの表示制御部350に接続されており、CU側で表示制御される。なお、この表示器510は、各リール2L、2C、2Rを取り囲む部分に設けるのではなく、P台と同様にさらに下方のパネル部分(図15に示されるスタートスイッチ7Sよりも下方の位置の、従来のS台のメダル払出口が設けられたパネル部分)に設けてもよい。
【0256】
また、前面扉2bSには、メダル1枚分に相当する「遊技点=1」を用いて賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5S、遊技状態に応じて定められた最大の賭数(たとえば、BB発生前の通常遊技状態およびリプレイの当選確率が高確率となるRT(Replay Time)においては「遊技点=3」、ボーナスにおいては「遊技点=2」)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6S、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7S、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rがそれぞれ設けられている。
【0257】
スロットマシン2Sにおいてゲームを行なう場合には、まず、P台と同様に、隣接されたCUを利用して遊技点を確保の上で、その遊技点を使用して賭数を設定する。遊技点は、CUに挿入されたプリペイドカードの残額、持点、あるいは遊技場に預け入れている貯メダル(P台の貯玉に相当)を引落とすことによって得られる。遊技点を使用するには1枚BETスイッチ5S、またはMAXBETスイッチ6Sを操作すればよい。本実施の形態では、たとえば、賭数を1設定することによって遊技点が1減点され、表示器510の遊技点の表示も減算更新される。賭数が設定されると、賭数および遊技状態に応じて定められた入賞ラインが有効となり、スタートスイッチ7Sの操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
【0258】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7Sを操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓に表示結果が導出表示される。
【0259】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化された入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた遊技点が遊技者に対して付与され、表示器510の遊技点の表示も加算更新される。
【0260】
S台の場合にも、P台と同様に遊技点を計数することが可能である。図1に示すとおり、スロットマシン2Sには、遊技点を計数して持点に変換するための計数ボタン28Sが設けられている。なお、玉貸ボタン、カード返却ボタン、および再プレイボタンは、CU側に設けられている(図2参照)。遊技者は任意のタイミング、あるいは、P台と同様に計数操作を促す表示が表示器510に行なわれたことに基づいて、計数操作を実行する。すると、遊技点が計数されて遊技点が減少する一方で持点が増加する様子が表示器510に表示される。なお、玉貸ボタンは、CU側ではなくP台側およびS台側に設けてもよい。その場合に、玉貸ボタンの操作信号がCU3へ直接入力されるようにしてもよく、あるいは、P台2やS台(スロットマシン)2Sを経由して状態情報応答としてCU3へ送信されるようにしてもよい。
【0261】
入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)への移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役(リプレイ)とがある。
【0262】
複数種類の入賞役のうちのいずれを当選させるか、あるいはいずれの入賞役も当選しない外れとするかは、たとえば、スタート操作が検出されたときに、スロットマシン2Sを制御する主制御部(S台の主制御部161に相当)によって決定される。この決定は、たとえば、所定の乱数発生器から発生され、あるいはソフトウエア上で生成される乱数を抽選することによって決定される。
【0263】
その後、主制御部は、遊技者によるリールの停止操作を待ち、停止操作時を基準にして、所定のコマ数範囲に当選役に対応する図柄があればそれを引き込み、なければ、他の図柄を引込む制御を行ない、3つの図柄を停止させ、入賞の有無を判定する。主制御基部は、入賞と判定した場合には、入賞の種類に応じた遊技点を遊技者に付与する(遊技点を加算する)。
【0264】
すなわち、S台により、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、前記事前決定手段の決定結果に応じて、前記可変表示装置に表示結果を導出させる制御を行なう導出制御手段と、前記入賞が発生した場合に遊技価値を付与する付与手段とを含むスロットマシンが構成されている。
【0265】
また、ビッグボーナスに制御された後、有利状態として、当選している小役の種類(または、これに入賞させるためのストップスイッチ8L、8C、8Rの操作手順)を報知するAT(Assist Time)に所定期間(たとえば、100ゲームの間)制御される場合もある。その場合において、ATに制御するか否かの判定は、ビッグボーナスに当選したとき、または、ビッグボーナスに制御された後に行なわれる。また、ATは、ビッグボーナス等の入賞とは別に、単独の有利状態として実行されるようにしてもよい。このような場合には、ATに制御するか否かの判定は、ビッグボーナス等の入賞とは別に行われ、ATに制御する場合には、当該判定がなされたときから所定回数のゲームが実行されたときにATに制御される。
【0266】
このようにATに制御されるときは、ATに制御する判定がされてから予め定められた期間(ゲーム回数)が経過したときにATに制御されるので、ATに制御する判定(ATに制御しない判定も含む)がされてからATに制御される(ATに制御されない場合も含む)までの所定期間には、S台2Sにおける演出制御部により、複数回のゲームに亘り、ATに制御されることを示唆する演出等の所定の演出が実行される。
【0267】
このように、スロットマシン2Sでは、遊技媒体の使用に応じて一単位の所定遊技制御が実行される。
【0268】
図16は、カードユニットおよびスロットマシンのそれぞれにおいて記憶している各種データおよびその送受信態様を説明するための説明図である。この図16は、P台の構成として説明した図5の用語をS台用に置き換えたものであり、その態様は、図5を用いて説明したものと同様であるので、ここでは、これ以上の説明を省略する。
【0269】
次に、図15および図16に示されるようなS台2Sにおいて、設定されるレートについて説明する。S台2Sにおけるレートとは、遊技者が金銭の支払い(本実施の形態ではカード残額の引き落とし)に応じてメダルの貸出を受ける貸出操作を行なうときに用いる、金銭をメダルに交換するレート(交換率)をいう。この実施の形態では、予め定められた複数種類のレートのうちから選択されたレートで、メダルが貸出される。レートは、たとえば、1メダルあたりの金額(円)という割合で示される。この実施の形態では、レートの単位は、1メダルあたり1円のレートを、レート「1円」というように、「1メダルあたり」という単位を省略して、「円」という金額により示す。
【0270】
図17は、メダルの貸出を受けるときのレートを選択するときに用いられるデータテーブルを表形式で示す図である。図17においては、(A)にCU側でCU制御部のROMに記憶されたレート選択テーブルが示され、(B)にS台2S側で払出制御部のROMに記憶されたウェイト時間・演出時間選択テーブルが示されている。
【0271】
図17(A)のレート選択テーブルにおいては、選択可能な複数種類のレートとして、5円のレートである第1レートと、10円のレートである第2レートと、20円のレートである第3レートとが設定されている。
【0272】
CUにおいては、常に、表示器510において、設定されているレートを表示する設定レート表示画像と、遊技者の操作を受付けて、レートを選択可能とするためのレート選択画像(第1〜第3レートからレートを選択するアイコン画像を表示する等により選択操作が可能な画像)が表示される。そして、予め定められたレート選択条件が成立したときに、レート選択画像に対して遊技者がレートを選択するタッチ操作等の選択操作をすると、当該操作により選択されたレートを特定するデータが、CU制御部のRAM、および、主制御部のRAMのそれぞれに設けられたレート記憶領域に設定(記憶)され、設定されたレートによりメダルの貸出が行なわれる。レート選択条件の一例として、この実施の形態では、たとえば、前述のRT状態に制御されていないときに、レート選択条件が成立する。S台2Sにおいては、RT状態等の遊技状態を特定することが可能な各種のフラグがセットされることにより、現在の遊技状態を確認することが可能であり、レート選択条件は、このようなフラグがセットされているか否かに基づいて確認される。
【0273】
なお、この実施の形態では、S台2Sについて、RT状態に制御されていないときに、レート選択条件が成立する例を示したが、これに限らず、レート選択条件は、賭数が設定されていないとき、または、スタートスイッチ7Sの操作が所定期間ないとき等、遊技状態にとって有利な状態でないその他の状態であるときに成立するようにしてもよい。
【0274】
このようなレートについては、第1〜第3レートのいずれかがデフォルト値として前述のRAMに予め記憶設定されており、電源投入後、最初のレート選択操作がされるまでは、当該デフォルト値が基本的なレートとして、貸出に用いられる。
【0275】
なお、レート選択画像は、常に表示せずに、予め定められたレート選択条件が成立したときにのみ表示し、レート選択画像に対してレートを選択する操作がされたときには、必ず操作を受付けてレートを選択可能とするように制御してもよい。
【0276】
図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルにおいては、レートの設定に対応して、S台2Sにおけるウェイト時間、および、S台2Sにおける演出時間が、それぞれ複数種類の設定値のうちから選択されるようにデータが設定されている。
【0277】
ここで、図17(B)の示されるウェイト時間とは、1ゲームが終了してから次のゲームのスタート操作が可能になるまでの時間である。この時間は、たとえば、4.1秒等である。ウェイト時間が経過する前にスタート操作を検出した場合には、ウェイト時間の経過後にリールが回転を開始する。また、図17(B)に示される演出時間は、たとえば、ATのためのナビストックが付与される可能性やナビストック付与数を示唆するために複数ゲームに亘って実行される連続演出や1ゲームで単発的に行なわれる演出(キャラクタを用いて1ゲームまたは複数ゲームに 亘り実行されるバトル演出など)である。
【0278】
図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルにおいては、第1レート(5円)に対応してウェイト時間が最も短い第1ウェイト時間が選択され、第2レート(10円)に対応して第1ウェイト時間よりも長い第2ウェイト時間が選択され、第3レート(20円)に対応して第2ウェイト時間よりも長い第3ウェイト時間が選択されるようにデータが設定されている。
【0279】
主制御部においては、前述の演出が実行されるときに、演出時間を決定し、当該決定した演出時間で演出を実行させるが、演出時間は複数種類の演出時間のうちから選択される。このような演出時間のモードとしては、第1〜第3演出時間のモードが設けられており、設定されているレートに応じて、いずれかの演出時間のモードが選択される。
【0280】
また、ウェイト時間・演出時間選択テーブルにおいては、演出時間モードが、レートの設定に対応して第1〜第3演出時間のモードのうちから選択される。第1演出時間のモードは、演出時間の平均値が最も短い複数種類の演出時間のうちから演出時間を選択するモードである。第2演出時間のモードは、第1演出時間のモードよりも演出時間の平均値が長い複数種類の演出時間のうちから演出時間を選択するモードである。第3演出時間のモードは、第2演出時間よりも演出時間の平均値が長い複数種類の演出時間のうちから変動時間を選択するモードである。
【0281】
図6(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルにおいては、第1レート(5円)に対応して第1演出時間のモードが選択され、第2レート(10円)に対応して第2演出時間のモードが選択され、第3レート(20円)に対応して第3演出時間のモードが選択されるようにデータが設定されている。
【0282】
このようなウェイト時間・演出時間選択テーブルでは、レートが低くなる程、ウェイト時間が短くなり、レートが高くなる程、ウェイト時間が長くなるようにデータが設定されている。これにより、レートが高くなるに従いウェイト時間が長くなるので、レートが高くなるに従いメダルを用いる所定遊技の実行間隔が長くなり、進行速度が低くなるように制御されることとなり、レートを高くしても射倖性を抑制することができる。
【0283】
また、このようなウェイト時間・演出時間選択テーブルでは、ウェイト時間が長くなるに従い演出時間が長くなる等、ウェイト時間に応じて演出時間が変化するようにデータが設定されているので、ウェイト時間が変化しても、それに合わせて演出時間が変化するため、遊技者が違和感(たとえば、ウェイト時間が長いときと短いときとで同じ演出時間の演出が行なわれると演出が間延びする感じがし、違和感が生じると考えられる)なく遊技をすることができる。
【0284】
現在のレートを特定する情報が、レートを変更する状態が生じるごとに払出制御部から主制御部に送信されることにより、主制御部が、受信した現在のレートを特定する情報に基づいて、ウェイト時間・演出時間選択テーブルを用いて、ウェイト時間・演出時間を選択決定する。
【0285】
主制御部においては、レートに応じて選択されたウェイト時間を特定するデータが、主制御部のRAMに設けられたウェイト時間記憶領域に設定(記憶)される。主制御部において設定されたウェイト時間を特定する情報が、払出制御部に送信されることにより、払出制御部がウェイト時間を認識する。そして、メダルを用いた遊技状が行なわれるときには、払出制御部が認識したウェイト時間に基づいて、払出制御部によりウェイト時間が制御されされることにより、設定されたウェイト時間で遊技が行なわれる。
【0286】
また、主制御部においては、レートに応じて選択された演出時間のモードを特定するデータが、主制御部のRAMに設けられた演出時間モード記憶領域に設定(記憶)される。そして、設定された演出時間のモードに応じた複数種類の演出時間のうちから演出に用いる演出時間が決定されて演出が実行される。
【0287】
電源投入後、最初のレート選択操作がされるまでは、前述のレートのデフォルト値に対応したウェイト時間、および、演出時間が選択されて、これらの値を用いる制御が行なわれる。
【0288】
なお、CU3側では、図17(A)のようなレートのみが設定されたレート選択テーブルに代えて、(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルのようなレートのデータに加えて、レートに対応するウェイト時間、および、演出時間のデータが設定されたデータテーブルを用いてレートを選択することにより、レートに対応するウェイト時間、および、演出時間を認識できるようにしてもよい。そのような構成を採用する場合には、CUとS台2Sとのそれぞれで同じデータテーブルを設けてもよく、S台2Sにはウェイト時間・演出時間選択テーブルを設けずに、レートに対応するウェイト時間および識演出時間を特定可能なデータをCUからS台2Sに送信することにより、その送信されたデータに基づいてS台2Sにおいて、レートに対応するウェイト時間および演出時間を設定するようにしてもよい。
【0289】
また、図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルのように、レートに基づいて、ウェイト時間と、演出時間のモードとがまとめて選択されるテーブルに代えて、レートに基づいてウェイト時間を選択するウェイト時間選択テーブルと、レートに基づいて演出時間のモードを選択する演出時間選択テーブルとを設けてもよい。
【0290】
また、図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルは、払出制御部のROMに記憶し、払出制御部が、選択されたレートに基づいて、ウェイト時間および演出時間のモードを決定し、決定したウェイト時間に基づいてウェイト時間制御を行ない、決定した演出時間のモードを特定する情報を主制御部に送信して、主制御部により演出制御を行なうようにしてもよい。また、図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルのうちのウェイト時間を決定する部分のみを払出制御部のROMに記憶し、図17(B)のウェイト時間・演出時間選択テーブルのうちの演出時間のモードを決定する部分のみを主制御部のROMに記憶して、ウェイト時間については、払出制御部が決定し、演出時間のモードについては、主制御部が決定するようにしてもよい。
【0291】
なお、本実施の形態では賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら本発明を具現化する遊技機(スロットマシン)は、パチンコ遊技機で用いられている遊技玉を遊技媒体として適用したスロットマシン(パロット)であってもよい。遊技玉を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技玉5個分に対応させることができ、賭数として3を設定する場合は、15個の遊技玉を用いて賭数を設定するものに相当する。パロットでは、遊技者がBETボタンを操作すると、遊技者が所有する遊技玉のうちのBET操作に応じた数の遊技玉が消費されて1ゲームを行なうための賭数が設定されるものとなる。このようなパロットにおいてレートが高くなるに従い射倖性を抑制するためには、遊技玉の発射等の前述のP台2と共通する部分については発射間隔を変更する等P台2と同様の制御をすればよく、演出時間等のS台2Sと共通する部分については演出時間を変更する等P台2と同様の制御をすればよい。
【0292】
<変形例や特徴点など>
次に、以上、説明した本実施の形態の変形例や特徴点などを列挙する。
【0293】
(1) 前述した実施の形態では、上記P台またはS台の遊技機と、CUとを含む遊技用システムにおいて、レートを変更する制御を行なう例を説明した。しかし、これに限らず、前述したようなレートを変更するための各種制御は、P台またはS台の遊技機においてのみ実行するようにしてもよい。このようなP台またはS台の遊技機としては、前述したような遊技点を用いて遊技を行なう遊技機に限らず、実際の遊技玉を用いて遊技を行なうP台、および、実際のメダルを用いて遊技を行なうS台において行なうようにしてもよい。また、レートを変更する制御を行なう場合の構成としては、レートを記憶するレート記憶手段を、ホールサーバ801、または、別途設けられたハードディスク装置等の所定の装置に設け、当該レート記憶手段において、レートの設定変更が可能となるようにしてもよい。
【0294】
また、レートの設定が変更された場合には、その段階でCUからホールサーバー等の管理コンピュータに対してレート変更情報が送信されるようにするのが望ましい。また、この場合、管理コンピュータは遊技機別にレート情報を記憶しておき、管理者に対してどの遊技機がどのレートで運用されているかのデータを表示できるようにする。これにより、管理者は、遊技場の各台のレートがどのようになっているのかを把握できる。
【0295】
また、レートの設定変更に応じて変更する演出の例としては、S台においては、リールランプを利用して行なうフラッシュ演出の有無、その態様、演出時間を変更することが考えられる。あるいは、P台およびS台のいずれの場合でもよいが、レートの設定が変更された場合には、予告(当り予告、当選予告、先読み予告)が行なわれる割合を変更したり、当りの種類(大当りのラウンド数が変化する)を変更するようにしてもよい。また、P台の場合には、レートの設定変更に応じて、最大の保留記憶可能数を変更したり、いわゆる普通図柄が当りになる確率を変更したり、大当りが発生したときの1ラウンドでのアタッカーの開放時間が変化するようにしてもよい。
【0296】
(2) 上記遊技用システムに遊技機の一例となるスロットマシン(S台)を適用した場合、たとえば、リールおよびリールに付属する各種センサ部分とリールを制御する主制御基板とがP台の遊技盤に対応し、それ以外の構成がP台の遊技枠に対応する。ただし、S台には、図2に示した遊技枠の各種検出スイッチ41a、701、33、発射制御基板31、および発射モータ18は、不要である。
【0297】
従来のS台にはクレジット機能が設けられており、これが有効になっているときには、賭数を設定するとクレジットが減算され、入賞が発生するとクレジットが加算される。ただし、クレジットには上限が定められており、クレジット数が上限値に達している状態で入賞が発生すると、ホッパーからメダルが払い出される。
【0298】
一方、本実施の形態に係るS台では、賭数を設定すると遊技点が減算され、入賞が発生すると遊技点が加算される。また、遊技点が所定数に達すると、計数操作を促す表示がなされ、計数操作をすることによって、遊技点が持点に変換される。このため、従来のS台のようにクレジットが上限に達してメダルを払い出す必要がない。その結果、本実施の形態に係るS台にはホッパーを設ける必要がない。
【0299】
その結果、遊技場は、大量のメダルを確保する必要がなく、経済的負担が軽減される。また、遊技場は、メダルの補充・回収といった業務やメダル詰まりなどに対応するためのメンテナンス業務からも解放される。遊技客は、クレジットが満タンになった後で賭け操作毎にメダルを投入する煩わしさから解放され、遊技に集中しやすくなる。
【0300】
他方、S台がメダルレスになった場合には、大量のメダルを獲得した遊技者が席の脇にメダルが入った箱を積み上げて自身の腕を誇示するような行為をすることができなくなるという不都合が生じる。しかしながら、本実施の形態では、上記のとおりドル箱表示する機能が設けられているため、このような不都合が生じることも防止できる。なお、S台の場合のドル箱表示は、多数の玉に代えて多数のメダルが積載されているようにするのが望ましい。
【0301】
遊技機としてS台を適用した場合、「持点」および「遊技点」の2種類と、「クレジット」および「クレジット超過点」の2種類のデータとを用いて、以下のように各データが変換されるような遊技用システムを構成することも可能である。なお、S台の表示器510あるいは表示器29Sには、これら4種類のデータを表示する。
【0302】
まず、プリペイドカードの残額、貯メダル、または持点からの変換操作(貸出操作、貯メダル払出し操作、持点払出し操作)が検出された場合には、夫々が引き落とされて、遊技点に変換される。
【0303】
遊技点は、従来のスロットマシンにおけるメダルに対応するデータである。このため、たとえば、表示器510あるいは表示器29Sには遊技点の点数を表示するとともに、遊技点相当の数のメダル画像を表示することが望ましい。たとえば、このメダル画像に遊技者が触れてスロットマシンに投入するような擬似投入メダル操作(たとえば、メダルを押し込むような操作)が検出されると、メダル画像が消え、遊技点が減算されて、代わりに賭数が1つ設定される。このような擬似メダル投入操作が3度行なわれることによって、賭数が最大値の3に設定される。
【0304】
その後、さらに擬似メダル投入操作が検出されると、その検出に応じて、クレジットが加算される。クレジットには上限値(たとえば、50)が設定されており、クレジットが上限値を超えたときには、クレジット超過点が加算される。
【0305】
賭数設定は、遊技点を用いて上記のように行なうことが可能である他、クレジットを用いて行なうことも可能である。すなわち、1枚BETスイッチ5Sの操作があれば、賭数設定値が1加算され、クレジットが1減算される。また、MAXBETスイッチ6Sの操作があれば、賭数が3に設定され、クレジットが賭数設定に応じて減算される。
【0306】
ゲームの結果、入賞が発生すると、入賞に応じた数の得点がクレジットに加算される。なお、クレジットの上限値をオーバーする入賞が発生したときには、そのオーバー分の点数がクレジット超過点として記憶される。このクレジット超過点は、従来のスロットマシンにおける、クレジットの上限を超えて入賞が発生したときに払い出されるメダルに相当する。このため、たとえば、表示器510あるいは表示器29Sにはクレジット超過点を表示するとともに、クレジット超過点相当の数のメダル画像を表示することが望ましい。また、このメダル画像は、遊技点に対応するメダル画像と区別できるように色を変えるなどすることが望ましい。
【0307】
また、クレジット超過点は、遊技者の操作によって遊技点に変換されるようにすることが望ましい。たとえば、クレジット超過点に対応するメダル画像に遊技者が触れて遊技点に変換するような擬似メダル変換操作(たとえば、メダルを押し込むような操作)が検出されると、メダル画像が消え、クレジット超過点が減算されて遊技点が加算されるものとする。
【0308】
あるいは、クレジットが上限値未満になれば、自動的にクレジット超過点がクレジットに変換されるようにしてもよい。
【0309】
遊技者が計数操作を実行すると、遊技点、クレジット、およびクレジット超過点の各々が計数されて持点に変換される。その結果、遊技者の持点は、「カード持玉数+遊技点+クレジット+クレジット超過点」と掲載される。なお、“カード持玉数”とは、遊技点に変換していない変換前の持点(現時点で遊技者が所有している持玉数)である。
【0310】
以上の説明において、持点、遊技点、クレジット、およびクレジット超過点の4種類のデータは、CUとS台とでデータのやりとりをすることによって双方で記憶してもよく、あるいは、持点はCU側のみで、それ以外はS台側のみで記憶してもよい。また、クレジット超過点をドル箱表示の対象としてもよい。
【0311】
また、以上の説明では、クレジット超過点を用いる例を説明したが、クレジット超過点を用いなくてもよい。この場合、クレジットの上限を超えるような場合には、遊技点に加算するようにしてもよい。
【0312】
(3) 本実施の形態では、カード度数を消費することによって、遊技点が加算される。あるいは、貯玉(貯メダル)を消費することによって、遊技点が加算される。つまり、カード度数あるいは貯玉から遊技点に変換される。一方、カード度数および貯玉から持点(計数玉、計数メダル)には変換されない。しかしながら、カード度数および貯玉から一旦、持点に変換されるようにしてもよい。
【0313】
(4) 本実施の形態では、計数操作によって、遊技点が持点に変換される。この場合の変換率は1:1である。しかしながら、変換される場合の変換率を1:1以外としてもよい。たとえば、遊技点100点を変換した場合、そのうちの3点を差し引いた97点が持点に変換されるようにしてもよい。または、持点に対して10割未満の所定割合を乗じて得られた数の遊技玉に変換されるようにしてもよい。
【0314】
(5) 持点を特定可能に記録するための記録媒体は、スマートフォンなどの携帯端末を利用したものとしてもよい。この場合、CUに携帯端末と通信するための通信部を設けて、携帯端末を通信部にかざすことによって、携帯端末内に記憶されているIDをCUが認識し、後は本実施の形態に記載したような手順で遊技を可能とする。一方、遊技終了時には、再度、携帯端末を通信部にかざすことによって、遊技終了時の持点がIDを通じて遊技者の持点に加算されるようにする。
【0315】
(6) 遊技点を計数するための操作手段は、CU側に設けてもよい。その場合の操作手段は、タッチパネルに表示されるものとしてもよく、物理的なスイッチで構成してもよい。
【0316】
(7) 本実施の形態では、カード返却操作をしたときに、未計数の遊技点が残っているときには、P台あるいはCU側の表示器にて計数を促すメッセージを表示する。しかし、このような構成に代えて、カード返却操作をしたときに、未計数の遊技点が残っているときには、自動的に計数表示を開始するとともに、P台あるいはCU側の表示器にて、未計数の遊技点が残っているために自動計数を開始したこと、あるいは、さらにそれに加えて、自動計数が完了した後にカードが返却されることを報知してもよい。
【0317】
あるいは、カード返却操作をしたときに、未計数の遊技点が残っているときには、遊技者が一時的に離席する可能性があると判断し、表示器(CU側あるいはP台側)に、一時的な離席であるか否かを確認するメッセージを表示してもよい。さらに、表示器をタッチパネルで構成し、そのメッセージに対して遊技者が応答入力できるようにしてもよい。さらに、その応答入力が遊技終了であれば、計数操作を促すメッセージを表示する。一方、応答入力が一時離席であれば、CU側あるいはP台側または双方でカードのIDを記憶した状態のままで一旦、カードを排出するようにしてもよい。その後、同じIDのカードが挿入されたときには、元の状態から遊技を再開させる。
【0318】
(8) 大当り中は、遊技玉数が満タンと判断するための判断基準値を上げてもよい。つまり、大当り中とそうでないときとで、満タン判断の判断基準値を異ならせてもよい。これによって、大当り中に遊技玉数が急激に多くなり、すぐに満タン判断がなされて発射停止してしまうことを防止できる。
【0319】
(9) 大当りが発生したときの遊技玉数を記憶しておき、大当り中は、満タンの判断基準値を超えた場合であっても、大当りが発生してから増加した遊技玉数が許容値(たとえば、1000玉)以内であれば、満タン判定しないものとしてもよい。
【0320】
(10) 遊技玉を計数するための計数操作手段としては、2回以上の所定回数操作したときに、計数機能を発揮するようなものを採用してもよい。これによって、誤操作を防止できる。また、この場合、1回操作では、計数機能とは異なる他の機能を発揮させるようにしてもよい。たとえば、1回操作をしてから所定時間(たとえば、1秒以内)、操作が無い場合には、店員を呼び出すためのランプを点灯させるような機能を発揮させ、1操作から1秒以内に2回目の操作が検出されたときには、計数機能を発揮させることも考えられる。
【0321】
(11) 玉の発射中に計数操作をすると、そのときの遊技玉数が基準値以下の場合には、計数操作が無効とされるようにしてもよい。また、玉の発射中に計数操作が検出されたときの遊技玉数が基準値を超える場合であっても、1回の計数操作で計数される玉数が所定数に定められている場合において、計数操作が検出されたときの遊技玉数からその所定数を差し引いた値が前記基準値に満たない場合には、計数操作を無効とするようにしてもよい。
【0322】
また、遊技中であるか否かを玉の発射動作が検出されているか否かで判断してもよく、遊技中球数(遊技領域27内で浮遊している浮遊玉)が0になっているか(遊技中でない)否か(遊技中)で、判断してもよい。さらに、可変表示装置が変動中であるか否か、大当り中であるか否か、アタッカーが開いているか否か、などで遊技中であるか否かを判定することも考えられる。
【0323】
さらに、遊技機としてS台を適用して遊技中の計数操作を無効とする場合の「遊技中」とは、たとえば、リール2L、2C、2Rが回転開始してから停止するまでの期間である。あるいは、スタート操作が検出されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでの期間である。
【0324】
(12) 図12を参照して、P台は、計数された計数玉(持玉)を一時記憶する計数玉数カウンタを備えているものの、計数玉の累積値を記憶するカウンタを備えていない。しかしながら、P台側に、計数玉の累積値を記憶する計数玉累積記憶カウンタを備えてもよい。また、CU側には、カード持玉(計数玉)を記憶する領域が備えられているが、この領域には、挿入されたカード自体に持玉が記録されていた場合には、そのカード持玉も含めて現在の遊技者の持玉数が記憶される。このため、この領域のみでは、今回の遊技で遊技者が計数した計数玉の数を特定できない。そこで、今回の遊技で遊技者が計数した計数玉の数を記憶する領域をCU側にさらに設けてもよい。CUは、この場合、遊技が開始してからP台から送られてくる計数玉数の情報に基づいて当該領域に持玉を加算し、持玉が遊技玉に変換されると、当該領域から持玉を減算する。
【0325】
(13) 図13の計数操作を促す表示としては、文章にて「遊技玉が残っているので計数して下さい」という表示であってもよく、あるいは画面上に計数ボタン28を表示させて点滅するような表示であってもよい。また、カード返却準備状態ONを受けたP台2は、遊技玉数表示器29の遊技玉を点滅表示させるなどしてもよく、あるいは、遊技玉数表示器29を画像表示装置で構成した場合には、上記実施の形態として説明したメッセージを遊技玉数表示器29に表示して計数操作を促すようにしてもよい。
【0326】
(14) 計数ボタンを押し続ける時間に応じて、1回の操作で持点変換する遊技点数が異なるようにするために、たとえば、長押し(たとえば、1秒以上連続操作)のときには遊技点のすべてが計数される一方、短押し(たとえば、1秒未満の連続操作)のときには、200玉だけが計数されるようにしてもよい。ただし、この場合には、遊技玉の残数が少ない場合、たとえば、200玉未満の場合には、計数ボタンの操作ですべての遊技玉が計数されるようにするのが望ましい。
【0327】
(15) 遊技点の残数に応じて、計数ボタンの1回の短押下操作で計数される点数が異なるようにする場合、たとえば、次のようにすることが考えられる。たとえば、遊技点が200点未満のときには、計数ボタンの1回の短押下操作ですべての遊技点が計数されるようにする。遊技点が200以上1000未満のときには、1回の短押下操作で200点が計数されるようにする。遊技点が1000以上5000未満のときには、1回の短押下操作で1000点が計数されるようにする。遊技点が5000以上10000未満のときには、1回の短押下操作で2000点が計数されるようにする。遊技点が10000以上のときには、1回の短押下操作で2500点が計数されるようにする。なお、以上の数値は具体例であって、適宜、設定できる。
【0328】
(16) 遊技玉(遊技点)を計数して持点変換する際には、計数表示のみならず、計数音をスピーカから出力する制御をしてもよい。また、遊技点の計数の際には、玉が1つずつ、玉貯留皿から計数器へと落下していくような画像表示を行なうことが考えられる。
【0329】
(17) 計数操作に基づいて遊技点を持点に変換する変換表示(遊技玉を計数していき、持玉が増えていく様を示す表示)を行なうタイミングと、データ上で遊技点を減算し、持点を加算する演算を行なうタイミングとは様々なものとすることができる。変換表示が終わってから、前記演算を実行してもよい。また、そのために、変換表示が終わった後に遊技機からCUに対して計数データが送信されるようにしてもよい。なお、このような変形例は、持点を遊技点に変換する場合についても同様に適用可能である。
【0330】
(18) 本実施の形態では、CUと遊技機との間の通信において、CUを一次局、遊技機を二次局とするコマンド−レスポンス方式が採用されているが、一次局と二次局との関係を逆にしてもよい。あるいは、このような主従の関係がある通信方式を採用するのではなく、通信すべき要求が生じたときに双方が相手にデータを送信するような方式を採用してもよい。
【0331】
(19) 本実施の形態では、遊技機側およびCU側の双方で遊技玉(遊技点)を記憶するようにしているが、遊技玉(遊技点)は遊技機側のみで記憶し、CU側では記憶しないようにしてもよい。一方、カード持玉(持点)は、CU側でのみ記憶しているが、遊技機側でも記憶するようにしてもよい。特に、遊技玉(遊技点)は遊技機側のみで記憶し、一方、カード持玉(持点)は、CU側でのみ記憶するようにして、データの記憶管理の役割分担を明確にしてもよい。
【0332】
(20) 表示器54で行なう計数表示や各種の報知は、同様に表示器312で行なうようにしてもよい。
【0333】
(21) CU3において、P台側から送信されてきた加算玉数カウンタの値(加算玉数)および減算玉数カウンタの値(減算玉数)に基づいて、記憶している遊技玉数を更新し、P台側から送信されてきた計数玉数カウンタの値に基づいて記憶している遊技玉数を減算したときに、遊技玉数の値がマイナスになる場合には、エラー(異常)判定し、エラー処理を行なうようにしてもよい。エラー処理の具体例として、異常報知ランプ等によりエラー報知が行なわれたり、あるいは、ホール用管理コンピュータやホールサーバ801にエラーが発生した旨のエラー通知信号が送信される(この場合、ホール用管理コンピュータやホールサーバ801によるエラー報知が行なわれるようにしてもよい)。
【0334】
(22) 貸出操作あるいは持点(持玉)から遊技点(遊技玉)への変換操作(貸出操作)が検出された場合、遊技点は、1点ずつカウントアップするようにしてもよいが、遊技者の待ち時間を短くするために、複数点(たとえば、100円相当の25点)ずつカウントアップするように表示してもよい。また、逆に、遊技点の計数操作が実行されたときにも、複数点ずつ持点がカウントアップするように表示してもよい。さらに、遊技点あるいは持点をカウントアップ表示するときの単位数を複数種類の中から設定できるようにしてもよい。その設定の際には、P台あるいはS台の表示器のタッチパネルを利用することが考えられる。
【0335】
(23) 打球操作ハンドルにタッチセンサを設けて、遊技者が打球操作ハンドルを握っていることがタッチセンサによって検出されている間は、計数操作を無効にしてもよい。計数操作を無効とは、計数操作を検出するが、その検出出力に基づいた計数動作を実行しないこと、あるいは、計数操作の検出自体をしないことの双方を意味する。または、遊技者が打球操作ハンドルに触れているだけでは計数操作を無効にせず、打球操作ハンドルを玉発射の駆動パルスが出力される程度にまで回している場合に、計数操作を無効にしてもよい。
【0336】
これらの場合には、計数操作が検出されると、「ハンドルを放してください」というメッセージを遊技機あるいはCUの表示器に表示するようにしてもよい。あるいは、計数操作ボタンをタッチパネルの画面上のアイコンで表示するようにしたときには、計数操作ボタンをグレーアウトして、操作不能であることを遊技者に通知するようにしてもよい。
【0337】
(24) 玉貸ボタン、カード返却ボタン、再プレイボタン、および計数ボタンのうちの少なくとも1つ、あるいはすべては、遊技機側に設けてもよく、あるいはCU側に設けてもよい。また、そのボタンは、タッチパネル式の表示器として説明した遊技機側あるいはCU側の表示器に表示することが考えられる。
【0338】
(25) 本実施の形態に係る遊技用システムは、持点を使用した所定の持点使用処理を実行するための持点使用操作手段を含む。ここで、所定の持点使用処理とは、ワゴンサービスを実行するための処理や、あるいは、持点(持玉)を分割して共有する処理(持点を他人に分割譲渡する処理)を含む概念である。また、持点使用操作手段は、たとえば、タッチパネルである。あるいは、持点使用操作手段は、CU又は遊技機に対して持点使用処理の実行を指令するために遊技店の係員に与えられるリモコンであってもよい。
【0339】
(26) 図7図14で示したシーケンス制御は、CU3、P台2、S台2S等の遊技機器単体内の制御装置間の送受信シーケンスに限定されるものではなく、たとえば、CU3、P台2、ジェットカウンタ、POS端末等の複数の遊技機器間の送受信シーケンスに適用してもよい。
【0340】
(27) 前述の実施の形態では、カードIDにより遊技者の同一性の判別を行なっているが、それに代えてまたはそれに加えて、遊技者の指紋や網膜等のバイオマスにより遊技者の同一性の判別を行なってもよい。
【0341】
(28) 前述の実施の形態では、カードIDと挿入時刻とが一致することを条件に遊技機から送信された得点をCUが現時点での得点として記憶しているが、遊技機とCU3との通信が途絶えてから所定時間(たとえば20分)が経過するまでに通信が開始されたことを更なる条件として、遊技機から送信された得点をCUが現時点での得点として記憶するように制御してもよい。具体的には、遊技機とCU3との通信が途絶えてから所定時間(たとえば20分)を計時するタイマをCU制御部323に設け、遊技機とCU3との通信の開始時(復旧時)に該タイマが未だ計時中(タイムアップしていない状態)であるか否か判定し、計時中との判定結果であることを更なる条件として、遊技機から送信された得点をCUが現時点での得点として記憶するように制御する。
【0342】
また、挿入時刻の代わりに、CU3とP台2との間で用いられた最終通番等の一致を条件に遊技機から送信された得点をCUが現時点での得点として記憶するようにしてもよい。
【0343】
(29) 前述の実施の形態では、入賞の発生により直接遊技玉数や遊技点を加算するものを示したが、その代わりに、入賞の発生により持点を加算し、その加算された持点を引落して遊技玉数や遊技点を加算するように制御してもよい。
【0344】
(30) 前述の実施の形態では、遊技者所有の有価価値(プリペイド残額、持玉、貯玉)の範囲内で価値を引落して該引落し相当分の遊技点を加算するにおいて、引落した価値と同じ価値の遊技点を加算するものを示したが、その代わりに、たとえば、実際に引落した価値に対し消費税相当額分少ない遊技点を加算するように制御してもよい。
【0345】
(31) 本実施の形態では、遊技場から離れた鍵管理センタに鍵管理サーバを設置した。しかしながら、鍵管理サーバは遊技場内に設置してもよい。これにより、遊技場外に鍵管理サーバを設置する場合と比較すると、CUと鍵管理サーバとの通信を高速化し易く、また、通信障害の発生率を低減できる。
【0346】
(32) CU制御部323は、ホールサーバ801を介して鍵管理サーバ800から基板セキュリティ情報(基板認証鍵や更新情報を含む)を受信する。しかしながら、これに代えて、鍵管理サーバ800とCU制御部323との間にホールサーバ801を介することなく、鍵管理サーバ800からCU制御部323へ基板セキュリティ情報が送信される構成とてもよい。たとえば、鍵管理サーバ800とCUとを直接、回線接続することや、鍵管理サーバ800と各CUとの間にホールサーバ801と異なる中継用の通信装置を設けることが考えられる。
【0347】
(33) 前述の実施の形態では、遊技の中断操作(簡易離席操作または食事休憩操作)に基づいて自動的に計数処理された計数玉数を一旦、持玉に加算してカードに書込み排出することで、中断処理を行ない、その後、遊技を中断した遊技者が戻ってきて、そのカードを再度元のカードユニット3に挿入し、持玉を遊技玉に変換する操作により、125玉ずつ遊技玉に変換されて遊技が可能になるものを示した。しかし、それに代えて、中断操作時に自動計数された計数玉を遊技玉や持玉とは別の預かり玉(C−IDと挿入時刻も記憶)としてCU3が記憶し、持玉加算せず、持玉を記録させることなくカードを排出することで中断処理を行ない。その排出カードが再挿入されると、預かり玉がすべて一括で自動的にP台の遊技玉に変換されて遊技可能となるように制御してもよい。あるいは、この場合の預かり玉は、中断操作に基づいてP台からCUへと送信され、CU側またはホールサーバ側で記憶しておき、カードが再度挿入されたときにCUまたはホールサーバから自動的にP台側へ預かり玉の情報が送信されて遊技玉としてP台側に記憶されるものとしてもよい。また、この場合に預かり玉の情報を送信する際には、遊技玉の加算指令としてCUからP台に送信してやればよい。
【0348】
さらに、上記実施の形態では、中断操作に基づいて自動的に計数処理された計数玉数を一旦、持玉に加算してカードに書込んで排出したとき、そのカードに中断中フラグを記録しておくことによって、そのカードでは景品交換できないようにした。このように景品交換を禁止する手法としては、カードの中断中フラグを利用する以外の次のような手法を採用をすることも考えられる。
【0349】
まず、中断操作が行なわれたときに、CUからホールサーバにその情報(カードIDを含む)を送信し、ホールサーバ側で中断中の遊技者のカードを中断カードとして記憶する。景品交換時にはPOSなどからホールサーバに問合せをし、景品交換に用いられているカードが中断カードであるか否かをホールサーバが判定する。あるいは、全中断カード情報を予めホールサーバからPOS側に送信しておいてもよい。その上で、景品交換に用いられているカードが中断カードであれば、当該カードを用いた景品交換を禁止する。
【0350】
(34) 上記実施の形態において、遊技機は、「全遊技点に対する変換処理が終了したことを条件に(遊技点=0)、前記遊技点を前記持点として遊技用装置(CU)が所定の処理(景品交換機でカードを受付けて当該カードで特定される持点を消費して景品交換を可能とする処理、CUから排出されたカードを他の遊技機に接続された別のCUに挿入して使用する場合のCUの処理)をするための記録媒体処理操作(カード返却操作(カード返却ボタン322の操作))を有効化する有効化手段」を含む。
【0351】
(35) 本実施の形態では、遊技情報の一例として、持玉、遊技玉、カードの残額、貯玉、その他、玉数情報や遊技台情報を挙げて説明した。しかしながら、遊技情報は、遊技機での遊技に関連したその他の情報をも含む。たとえば、遊技者が選択あるいはカスタマイズした遊技者の好みのキャラクタを可変表示装置278や表示器54などの可変表示手段(可変表示装置)に表示可能にした場合には、そのキャラクタを特定可能な情報も遊技情報に含まれる。このような遊技者の嗜好に合うキャラクタを含む画面デザインの情報は、たとえば、遊技者のカードIDと対応付けて遊技の終了時にサーバに送信して記憶させ、新たに遊技を開始する際にはサーバからCUあるいはP台へダウンロードするようにしてもよい。
【0352】
(36) 遊技玉数表示器29では、玉の発射または計数動作に連動して玉数が1つずつ減っていく表示がなされる。また、遊技玉数表示器29では、玉貸操作等に応じて玉数が1つずつあるいは所定単位数ずつ増加する表示がなされる。遊技玉数表示器29を液晶表示装置などの画像表示器で構成した場合には、単に遊技玉数をデジタル表示するのではなく、遊技玉数の変化が弾球によるものであるのか、計数によるものであるのか、入賞の発生によるものであるのか、貯玉の引き落としによるものであるのか、貸出操作によるものであるか、など、その種類に応じた画像を遊技玉数の表示更新と併せて表示するようにしてもよい。
【0353】
また、計数操作が行われた場合、遊技玉数表示器29では、計数動作に連動した計数表示が行われるが、遊技玉数表示器29を液晶表示装置などの画像表示器で構成した場合には、表示器54と同様に、遊技玉が計数されてその数が減少する一方で、持玉が増加する画像表示を行なうようにしてもよい。この場合、先の表示器54の表示の変形例として説明したように、遊技玉数のデータが持玉数のデータに経時的に変換されていく表示(たとえば、棒グラフの表示)や、現在の遊技玉数のデータと持玉数のデータをそのままデジタル表示し、遊技玉数を減少させつつ持玉数を増加させたり、遊技玉数の一部を持玉数に移動させる表示を繰り返したりすることが考えられる。
【0354】
(37) 図13に示したように、上記の実施の形態では、遊技玉が残っている状態で検出されたカード返却操作は、所定の待機期間で計数操作が検出されることによって、計数処理完了後に有効化されてカード返却処理に移行する。
【0355】
一方、待機期間が経過しても計数操作が検出されない場合の処理としては、たとえば、先のカード返却操作を無効とすることが考えられる。この場合、CU3あるいはP台2側の表示器には待機期間が経過しても計数操作が検出されないため、カード返却操作が無効化された旨を表示してもよい。
【0356】
あるいは、遊技玉が残っている状態で検出されたカード返却操作は、所定の待機期間で計数操作が検出されるか否かに関わらず、無効化してもよい。この場合には、カード返却操作が検出された後の計数操作に応じて全遊技玉を計数し終えた後、再度、カード返却操作を実行することによってカード返却処理を実行するものとしてもよい。あるいは、全遊技玉の計数を終えたとき、または、その前後で、カード返却操作を促す表示をCU3あるいはP台2側の表示器で行なうようにしてもよい。
【0357】
また、本実施の形態では、カード返却操作が検出されたときに遊技玉が1点でも残っていると、図13に示した処理が実行される。しかしながら、カード返却操作が検出されたときに残っている遊技玉の数が2以上の予め定めた数であるときに、図13に示した処理が実行されるようにしてもよい。
【0358】
また、カード返却操作が検出された後の計数操作では遊技玉の計数表示速度を通常時よりも早くしてもよい。たとえば、通常の計数操作では遊技玉が1つずつ計数される表示をする一方、カード返却操作が検出された後の計数操作では、遊技玉が複数ずつまとめて計数される表示、あるいは、全遊技玉が一括して計数される表示をするようにすることが考えられる。
【0359】
さらに、カード返却操作が検出された後の計数操作では全遊技玉が計数対象とされるのではなく、通常の計数操作のときよりも多い数の所定数の遊技玉が計数対象とされるものとしてもよい。たとえば、通常時には1回の計数操作で最大100点の遊技玉が計数対象とされるが、カード返却操作が検出された後の計数操作では、それよりも多い200点の遊技玉が計数対象とされるようにしてもよい。この場合でも、事前にカード返却操作があった場合にはカード返却操作がなかった場合に比べると、全遊技玉を計数するための計数操作回数が減り、早期に全遊技玉を計数完了させることができる。
【0360】
また、遊技玉が残っている状態でカード返却操作が検出された場合には、計数操作の検出がなくても、全遊技玉の計数を開始させ、その後にカード返却処理に移行するようにしてもよい。この場合、全遊技玉の計数を開始させるときに、全遊技玉の計数を開始させる旨をP台2あるいはCU3で表示してもよい。あるいは、全遊技玉の計数を開始させてもよいか否かを確認するメッセージを表示し、所定操作(たとえば、P台2あるいはCU3のタッチパネルでの操作、再度のカード返却操作など)が検出されたことを条件として、全遊技玉の計数を開始させるようにしてもよい。
【0361】
また、遊技中(玉の発射中)の場合に検出されたカード返却操作を無効にしてもよいが、カード返却操作を無効にするのではなく、P台側の方で遊技中の計数操作に基づいた計数の処理を無効にしてもよい。
【0362】
さらに、上記実施の形態では、カード返却操作が検出されたときに遊技玉数が0であるか否かをCU3が判定している。しかしながら、このような判定をP台2が行なうようにしてもよい。この場合、たとえば、カード返却操作が検出されたときに、カード返却操作有を示すデータをCU3からP台2へ送信し、それを受けたP台2が自ら記憶している遊技玉数が0であるか否かを判定する。0であれば、遊技玉数が0であることまたはカード返却を許可するデータをCU3へ送信する一方、0でなければ、遊技玉数が0でないことまたはカード返却の待機あるいはカード返却の禁止を示すデータをCU3へ送信する。
【0363】
また、上記実施の形態では、計数ボタンの操作が検出されたときに、その操作の検出前にカード返却操作が検出されているか否かをP台2が判定する。しかしながら、このような判定手段をCU3が備えるようにしてもよい。この場合、たとえば、P台2は、計数ボタンの操作が検出されたときに、その旨を示すデータをCU3へ送信する。それを受けたCU3は、そのデータを受信する前の所定期間内にカード返却操作があったか否かを判定するようにすることが考えられる。
【0364】
また、上記の実施の形態では、計数操作をP台2が検出する一方、カード返却操作をCU3が検出するが、計数操作をCU3が検出する一方、カード返却操作をP台2が検出する構成としてもよく、両操作共にP台2あるいはCU3が検出する構成としてもよい。また、計数ボタンおよびカードカード返却ボタンの取り付け位置は、双方共にCU3としてもP台2としてもよく、一方がCU3またはP台2としてもよい。
【0365】
(38) 持玉または遊技玉の数の変化の有無をCUまたはP台でチェックし、所定期間、持玉または遊技玉の数が変化しない場合には、CUまたはP台でその旨を報知するようにしてもよい。あるいは、報知のための信号を外部装置(ホールコンピュータ、P台上の呼び出しランプ)に出力してもよい。これにより、たとえば、残り僅かな玉が放置されたままで遊技放棄された台を店員が把握しやすくする。
【0366】
(39) あるいは、カードがCUに挿入されていないにも関わらず、遊技者の遊技玉が変化した場合には、CUまたはP台でその旨を報知するようにしてもよい。あるいは、報知のための信号を外部装置(ホールコンピュータ、P台上の呼び出しランプ)に出力してもよい。これにより、たとえば、遊技を終えてカードを排出した後に、遊技盤に引っ掛かっていた玉が入賞して遊技玉が払い出されたまま放置されているような台を店員が把握しやすくする。
【0367】
(40) 本実施の形態において、CU3はP台2からの前回遊技台情報と最新遊技台情報とを自ら記憶しているデータと比較判定して、P台2側のデータに不正水増しのないことを確認してデータを補正する。仮に、CU3側でエラー判定されると、このような状況は、単にCU3の交換が要因(交換後のCU3には比較対象の正規のデータが記憶されていない)であって、不正行為に基づくものではない可能性もあるため、ホールの店員が確認の上で、リモコン等の携帯型端末装置でエラーを解除する。ただし、このように、CU3が新たなものに交換されていたときには、当該CU3は上記のエラー判定を一切しないようにしてもよい。また、あるいは、CU3には、交換されたものであるか否かに関わらず、上記のエラー判定機能を設けないようにしてもよい。
【0368】
(41) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0369】
2 P台、2S S台、171 払出制御部、161 主制御部、54 表示器、325a 通信制御IC、322 カード返却ボタン。
図1
図2
図3
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