(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0016】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、
図1〜
図3を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、入力された画像データに従い、記録媒体(不図示)にインクが吐出され、入力された画像データに対応した画像が記録される。画像の記録には、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクが用いられる。本実施形態では、これら4色を例に説明する。記録媒体としては、産業資材が例示される。産業資材としては、各種の建築材、又は、布帛等が例示される。
【0017】
インクジェット記録装置10は、ベルト搬送装置20と、記録部70を備える。インクジェット記録装置10は、この他、各色のインクをそれぞれ貯留した各色用のインクタンク、及び、制御部等、公知のインクジェット記録装置と同様の各部(不図示)を備える。これら各部についての説明は、省略する。
【0018】
ベルト搬送装置20は、例えば、
図1に示すような態様(第一例)のベルト搬送装置20A、
図2に示すような態様(第二例)のベルト搬送装置20B、又は、
図3に示すような態様(第三例)のベルト搬送装置20Cとすることができる。本実施形態では、ベルト搬送装置20A,20B,20Cを区別しない場合、又は、これらを総称する場合、ベルト搬送装置20という。ベルト搬送装置20は、搬送方向の上流側で、搬送面22に載せ置かれた記録媒体を搬送方向の下流側に搬送する。このとき、記録媒体は、記録部70の下方を通過する。搬送方向は、ベルト搬送装置20によって記録媒体が搬送される方向である。本実施形態では、搬送方向に直交する方向を「直交方向」という。ベルト搬送装置20に関するこの他の説明は、後述する。
【0019】
記録部70は、ベルト搬送装置20によって搬送される記録媒体に、各色のインクを吐出し、画像を記録する。記録部70は、
図1〜
図3に示すように、搬送面22の上方に配置される。記録部70は、記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kと、キャリッジ74を備える。記録ヘッド72Yは、イエローインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド72Mは、マゼンタインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド72Cは、シアンインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド72Kは、ブラックインクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kは、ライン型の記録ヘッドである。ライン型の記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kでは、直交方向において、各色のインクを吐出するノズルが記録媒体の幅以上の範囲に形成される。
【0020】
キャリッジ74には、記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kが搭載される。記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kは、搬送方向に隣り合った状態で配列されて、キャリッジ74に搭載される。記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kの配列は、
図1〜
図3とは異なる順序としてもよい。
記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクジェット記録装置10で画像が記録される場合、各色のインクは、記録ヘッド72C,72M,72Y,72Kにそれぞれ形成されたノズルから、搬送面22にセットされて搬送される記録媒体に向けて吐出される。ノズルから吐出された各色のインクは、記録媒体の記録面に着弾する。記録面は、記録媒体において画像が記録される面である。
【0021】
<ベルト搬送装置>
第一例(
図1参照)、第二例(
図2参照)及び第三例(
図3参照)のベルト搬送装置20について、説明する。第二例のベルト搬送装置20B及び第三例のベルト搬送装置20Cについては、第一例のベルト搬送装置20Aと相違する点を中心に説明することとし、同様の点に関する説明は、適宜省略する。
【0022】
<第一例>
ベルト搬送装置20Aは、
図1に示すように、無端ベルト24と、駆動ローラ26と、駆動軸部27と、駆動モータ28と、従動ローラ29と、従動軸部30と、第一支持部31と、第二支持部32と、第三支持部33と、揺動軸部34と、2本の連結部35と、揺動モータ36と、第二カム部37と、2個の蛇行センサ38と、付勢機構部40を備える。
【0023】
無端ベルト24は、例えば、ステンレスのようなシート状の金属材料で形成された環状のベルトである。駆動ローラ26は、搬送方向の下流側に設けられ、従動ローラ29は、搬送方向の上流側に設けられる。無端ベルト24は、所定の張力が作用した状態で、駆動ローラ26と従動ローラ29に架けられる。記録部70と対向する側の面であって、搬送方向に移動する無端ベルト24の部分は、搬送面22を形成する。
【0024】
駆動軸部27は、駆動ローラ26の回転軸となる。駆動軸部27は、例えば、ベアリングのような軸受(
図1〜
図3では、後述する他の軸受も含め図示を省略)を介して、搬送方向の下流側で、直交方向の右側に設けられたフレーム部61と、直交方向の左側に設けられたフレーム部62に支持される。駆動軸部27には、駆動モータ28が接続され、駆動モータ28の回転力が、駆動軸部27を介して駆動ローラ26に伝達される。駆動力の伝達には、減速機を用いるようにしてもよい。
【0025】
従動軸部30は、従動ローラ29の回転軸となる。従動軸部30は、ベアリングのような軸受を介して、搬送方向の上流側で、直交方向の右側に設けられた第一支持部31と、直交方向の左側に設けられた第二支持部32に支持される。駆動軸部27に接続された駆動モータ28が駆動し、所定の方向に回転すると、駆動ローラ26は、搬送方向に対応した方向に回転する。無端ベルト24も、駆動ローラ26の回転に対応して、搬送方向に対応した方向に回転する。従動ローラ29は、無端ベルト24の回転に従動して、搬送方向に対応した方向に回転する。
【0026】
第一支持部31及び第二支持部32は、鉛直方向の下側の所定の位置で、ベアリングのような軸受を介して、揺動軸部34に取り付けられる。揺動軸部34は、ベアリングのような軸受を介して、搬送方向の上流側で、直交方向の右側に設けられたフレーム部63と、直交方向の左側に設けられたフレーム部64に支持される。揺動軸部34には、ベアリングのような軸受を介して、第三支持部33も取り付けられる。
【0027】
第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33の直交方向における位置関係に関し、第一支持部31は、フレーム部63と従動ローラ29の間に設けられ、第二支持部32は、フレーム部64より左側に設けられる。第三支持部33は、従動ローラ29とフレーム部64の間に設けられる。第三支持部33は、従動軸部30が通過する位置が切り欠かれ、従動軸部30と非接触で、従動軸部30に対してフリーな状態とされる。
【0028】
第一支持部31と第三支持部33は、2本の棒状の連結部35によって連結される。第一支持部31と第三支持部33の連結は、これとは異なる構成によって行うようにしてもよい。例えば、第一支持部31と第三支持部33を円筒状の連結部によって連結するようにしてもよい。この場合、揺動軸部34は、円筒状の連結部に挿通され、第一支持部31と第三支持部33の間に位置する揺動軸部34の部分は、円筒状の連結部の内部空間に内包された状態となる。棒状の連結部35とする場合、その本数は、1本又は3本以上としてもよい。
【0029】
直交方向の右側に設けられるフレーム部61,63は、右側に設けられるベルト搬送装置20Aのメインフレーム(不図示)に固定される。フレーム部61,63は、右側のメインフレームの一部として形成するようにしてもよい。直交方向の左側に設けられるフレーム部62,64は、左側に設けられるベルト搬送装置20Aのメインフレームに固定される。フレーム部62,64は、左側のメインフレームの一部として形成するようにしてもよい。
【0030】
第三支持部33の鉛直方向の上側の部分には、揺動モータ36が取り付けられる。揺動モータ36は、出力軸が直交方向の左側に突出した状態で、第三支持部33に取り付けられる。揺動モータ36の出力軸には、第二カム部37が固定される。第二カム部37は、円板状の平面カムであり、揺動モータ36の出力軸に対して偏心した状態で固定される。第二カム部37は、鉛直方向の上側の所定の位置で、第二支持部32に接する。2個の蛇行センサ38は、例えば、搬送方向の上流側の上方で、直交方向の右側及び左側にそれぞれ設けられる。蛇行センサ38は、例えば、ベルト搬送装置20Aのメインフレームの所定の位置に取り付けられる。蛇行センサ38は、直交方向における無端ベルト24の両側縁部を検出するセンサである。インクジェット記録装置10では、蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24の蛇行が検出される。
【0031】
付勢機構部40は、梃子部41と、支持軸部42と、第一カム部43と、錘部44を備える。梃子部41は、搬送方向に沿った状態で設けられる。支持軸部42は、直交方向に沿った状態で設けられる。支持軸部42の直交方向の右側の端部は、梃子部41の搬送方向の上流側の所定の部分に固定される。これによって、梃子部41と支持軸部42は直交した状態で一体となる。支持軸部42は、ベアリングのような軸受を介して、フレーム部63の鉛直方向の上側の部分に支持される。梃子部41は、支持軸部42を中心として、鉛直方向に対応した方向に揺動する。本実施形態では、支持軸部42を中心として、梃子部41(詳細には、梃子部41の搬送方向の下流側の部分)が揺動する鉛直方向に対応した方向を、第二揺動方向(「円弧状矢印B」参照)という。
【0032】
第一カム部43は、円板状の平面カムである。第一カム部43は、支持軸部42に対して偏心した状態で、支持軸部42の直交方向の左側の端部に固定される。第一カム部43は、鉛直方向の上側の所定の位置で、第一支持部31に接する。錘部44は、梃子部41の搬送方向の下流側の部分に、吊り下げられた状態で設けられる。梃子部41は、錘部44による重力に応じて、支持軸部42を中心として、第二揺動方向を上側から下側に揺動する。梃子部41の揺動に対応して、支持軸部42が回動し、第一カム部43が右回りに回動(「円弧状矢印C」における「右」参照)する。第一支持部31には、第一カム部43の回動に対応した方向の付勢力が作用する。
【0033】
本実施形態において、第一カム部43及び第二カム部37の回動方向を示す「右回り」(「円弧状矢印C,D」における「右」参照)は、右側面視(「直交方向」参照)における時計回りに対応する。同じく、第一カム部43及び第二カム部37の回動方向を示す「左回り」(「円弧状矢印C,D」における「左」参照)は、右側面視における反時計回りに対応する(
図2に基づく第二例及び
図3に基づく第三例において同じ)。
【0034】
上述したように、軸受を介して揺動軸部34に回転自在に取り付けられた第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33は、揺動軸部34を中心として、搬送方向に対応した方向、換言すれば、下流側から上流側と、上流側から下流側に揺動可能な状態となる。即ち、揺動軸部34は、第一支持部31及び第二支持部32の揺動の中心軸となる。本実施形態では、揺動軸部34を中心として、第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33(詳細には、これら各支持部の鉛直方向の上側の部分)が揺動する搬送方向に対応した方向を、第一揺動方向(「円弧状矢印A」参照)という。
【0035】
第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33の揺動は、次のようにして行われる。付勢機構部40からの付勢力が第一支持部31に作用する。第一支持部31は、第一揺動方向のうち付勢力に対向した方向(下流側から上流側の方向)に所定量(所定角度)揺動する。これに伴い、連結部35によって第一支持部31に連結された第三支持部33が同一方向に同一量(同一角度)揺動する。また、第三支持部33の揺動は、揺動モータ36及び第二カム部37を介して第三支持部33に連結された第二支持部32に伝達される。そして、第二支持部32も、第一支持部31と同一方向に同一量揺動する。
【0036】
例えば、ベルト搬送装置20Aが駆動すると、無端ベルト24が熱膨張することがある。駆動軸部27と従動軸部30の間隔(駆動ローラ26と従動ローラ29の間隔)が、無端ベルト24が熱膨張する前の状態を基準として設定されている場合、無端ベルト24が熱膨張すると、無端ベルト24に作用する張力が低下する。張力が低下すると、駆動ローラ26に対して、無端ベルト24がスリップし、駆動ローラ26の回転力が無端ベルト24に好適に伝達されなくなる場合もある。
【0037】
付勢機構部40では、錘部44の重力によって、第一支持部31を第一揺動方向を下流側から上流側に付勢する付勢力を、継続して発生させることができる。なお、付勢機構部40では、錘部44の重力によって、梃子部41の搬送方向の下流側の部分を下側に付勢することとしているため、発生する付勢力を一定の状態に保持することができる。付勢機構部40で発生させた付勢力で、第一支持部31を、第一揺動方向を下流側から上流側に揺動させ、これに伴い、第三支持部33及び第二支持部32を同一方向に同一量揺動させることができる。その結果、ベルト搬送装置20Aでは、無端ベルト24が熱膨張した場合、熱膨張に対応する量だけ、従動軸部30を上流側に移動させることができる。従って、継続して、無端ベルト24に張力を付与することができる。
【0038】
熱膨張した無端ベルト24が膨張前の状態に戻った場合、無端ベルト24の収縮により、従動軸部30が下流側に移動する。これに伴い、第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33は、第一揺動方向を上流側から下流側に揺動する。付勢機構部40には、前述した第一支持部31の揺動に伴う力が作用する。第一支持部31の揺動に伴う力は、付勢機構部40での付勢力に抗する力である。第一支持部31の揺動に伴う力によって、第一カム部43は、無端ベルト24の収縮に対応した量だけ左回りに回動(「円弧状矢印C」における「左」参照)し、梃子部41が第二揺動方向を下側から上側に揺動する。
【0039】
ベルト搬送装置20Aでは、駆動モータ28が駆動し、無端ベルト24が搬送方向に対応した方向に回転していると、無端ベルト24が蛇行する場合がある(公知のベルト搬送装置において同じ)。この点に関し、ベルト搬送装置20Aでは、揺動モータ36を駆動させ、出力軸に偏心して固定された第二カム部37を回動させることにより、第二支持部32を、第一支持部31の揺動とは独立して、第一揺動方向に揺動させることができる。このような揺動を利用すれば、無端ベルト24に作用する張力を、直交方向の右側と左側で変化させることができる。揺動モータ36及び第二カム部37は、無端ベルト24の蛇行を修正するための揺動機構部として機能する。揺動モータ36の駆動に伴う第二カム部37の回動によって第二支持部32に付与される最大力は、付勢機構部40により付与される付勢力より低く設定される。
【0040】
例えば、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を右側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を左回りに回動(「円弧状矢印D」における「左」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を上流側から下流側に揺動し、左側に作用する張力を減少させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い左側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0041】
これに対し、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を左側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を右回りに回動(「円弧状矢印D」における「右」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を下流側から上流側に揺動し、左側に作用する張力を増加させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い右側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0042】
<第二例>
ベルト搬送装置20Bは、
図2に示すように、無端ベルト24と、駆動ローラ26と、駆動軸部27と、駆動モータ28と、従動ローラ29と、従動軸部30と、第一支持部31と、第二支持部32と、第三支持部33と、揺動軸部34と、2本の連結部35と、揺動モータ36と、第二カム部37と、2個の蛇行センサ38と、付勢機構部40を備える。第二支持部32及び第三支持部33は、第一例のベルト搬送装置20Aとは異なり、ベルト搬送装置20Bに対応した、例えば、
図2に示すような形状とされる。
【0043】
ベルト搬送装置20Bでは、揺動モータ36は、出力軸が直交方向の右側に突出した状態で、第二支持部32の鉛直方向の上側に取り付けられる。第二カム部37は、揺動モータ36の出力軸に対して偏心した状態で固定される。第二カム部37は、鉛直方向の上側の所定の位置で、第三支持部33に接する。
【0044】
ベルト搬送装置20Bにおいて、第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33の揺動は、次のようにして行われる。付勢機構部40からの付勢力が第一支持部31に作用すると、第一支持部31と、連結部35によって第一支持部31に連結された第三支持部33は、第一揺動方向を下流側から上流側に所定量(所定角度)揺動する。第三支持部33の揺動は、第二カム部37及び揺動モータ36を介して第三支持部33に連結された第二支持部32に伝達される。そして、第二支持部32も、第一支持部31と同一方向に同一量揺動する。
【0045】
このような第一支持部31、第二支持部32及び第三支持部33の揺動により、ベルト搬送装置20Bでは、無端ベルト24が熱膨張した場合、熱膨張に対応する量だけ、従動軸部30を上流側に移動させることができる。従って、継続して、無端ベルト24に張力を付与することができる。
【0046】
ベルト搬送装置20Bでは、第一例のベルト搬送装置20Aと同様、揺動モータ36を駆動させ、出力軸に偏心して固定された第二カム部37を回動させることにより、第二支持部32を、第一支持部31の揺動とは独立して、第一揺動方向に揺動させることができる。ベルト搬送装置20Bにおいて、第二支持部32は、回動する第二カム部37に接した第三支持部33からの反力によって、第一揺動方向に揺動する。揺動モータ36の駆動に伴う第二カム部37の回動によって第三支持部33に付与される最大力は、付勢機構部40により付与される付勢力より低く設定される。第三支持部33は、第二カム部37の回動に伴い、揺動しない。
【0047】
ベルト搬送装置20Bにおいて、例えば、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を右側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を
右回りに回動(「円弧状矢印D」における「
右」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を上流側から下流側に揺動し、左側に作用する張力を減少させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い左側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0048】
これに対し、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を左側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を
左回りに回動(「円弧状矢印D」における「
左」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を下流側から上流側に揺動し、左側に作用する張力を増加させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い右側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0049】
ベルト搬送装置20Bに関し、この他の点は、第一例のベルト搬送装置20Aと同様であり、省略する。
【0050】
<第三例>
ベルト搬送装置20Cは、
図3に示すように、無端ベルト24と、駆動ローラ26と、駆動軸部27と、駆動モータ28と、従動ローラ29と、従動軸部30と、第一支持部31と、第二支持部32と、第三支持部33と、揺動軸部34と、揺動モータ36と、第二カム部37と、2個の蛇行センサ38と、付勢機構部40を備える。ベルト搬送装置20Cでは、連結部35は、省略される。第三支持部33は、ブロック状の部材によって形成される。第三支持部33は、第一支持部31の鉛直方向の下側の所定の位置に、直交方向に沿った状態で取り付けられる。第三支持部33は、揺動軸部34より鉛直方向の下側に配置される。
【0051】
第二支持部32は、従動ローラ29とフレーム部64の間に設けられる。揺動モータ36は、出力軸が左側に突出した状態で、ブロック状をした第三支持部33の先端部(直交方向の左側の端面部)に取り付けられる。第二カム部37は、揺動モータ36の出力軸に対して偏心した状態で固定される。第二カム部37は、鉛直方向の下側の所定の位置で、第二支持部32に接する。ベルト搬送装置20Cでは、第二カム部37は、搬送方向の上流側において、第二支持部32に接する(第一例のベルト搬送装置20A及び第二例のベルト搬送装置20Bでは、第二カム部37は、搬送方向の下流側において、第三支持部33に接する)。第二支持部32は、第二カム部37の形状及びこれとの接触を考慮した、例えば、
図3に示すような形状とされる。
【0052】
ベルト搬送装置20Cにおいて、第一支持部31及び第二支持部32の揺動は、次のようにして行われる。付勢機構部40からの付勢力が第一支持部31に作用すると、第一支持部31は、第一揺動方向を下流側から上流側に所定量(所定角度)揺動する。第一支持部31の揺動に伴い、第一支持部31の鉛直方向の下側に取り付けられた第三支持部33も揺動する。第三支持部33に取り付けられた揺動モータ36と、揺動モータ36の出力軸に固定された第二カム部37も、揺動軸部34の下側で揺動する。第一支持部31の揺動は、揺動モータ36及び第二カム部37を介して第一支持部31に連結された第二支持部32に伝達される。第二支持部32は、第一支持部31と同一方向に同一量揺動する。
【0053】
このような第一支持部31及び第二支持部32の揺動により、ベルト搬送装置20Cでは
、無端ベルト24が熱膨張した場合、熱膨張に対応する量だけ、従動軸部30を上流側に移動させることができる。従って、継続して、無端ベルト24に張力を付与することができる。
【0054】
ベルト搬送装置20Cでは、第一例のベルト搬送装置20Aと同様、揺動モータ36を駆動させ、出力軸に偏心して固定された第二カム部37を回動させることにより、第二支持部32を、第一支持部31の揺動とは独立して、第一揺動方向に揺動させることができる。
【0055】
ベルト搬送装置20Cにおいて、例えば、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を右側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を左回りに回動(「円弧状矢印D」における「左」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を上流側から下流側に揺動し、左側に作用する張力を減少させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い左側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0056】
これに対し、2個の蛇行センサ38からの出力によって、無端ベルト24が直交方向を左側に蛇行していることが検出されたとする。この場合、揺動モータ36を駆動し、第二カム部37を右回りに回動(「円弧状矢印D」における「右」参照)させる。これによって、第二支持部32が、第一揺動方向を下流側から上流側に揺動し、左側に作用する張力を増加させることができる。無端ベルト24は、張力が弱い右側に移動し、前述したような蛇行を修正することができる。
【0057】
ベルト搬送装置20Cに関し、この他の点は、第一例のベルト搬送装置20Aと同様であり、省略する。
【0058】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0059】
(1)ベルト搬送装置20によれば、例えば、熱膨張等に起因して、無端ベルト24が搬送方向に対応した方向に伸びたとしても、無端ベルト24に対して継続して張力を作用させることができる。そのため、ベルト搬送装置20が駆動中に、無端ベルト24が弛んでしまうといった事態の発生を抑制することができる。
【0060】
(2)揺動モータ36と第二カム部37を設け、無端ベルト24の蛇行を修正するための揺動機構部を構成することとした。揺動機構部をシンプルな構成とすることができる。
【0061】
(3)インクジェット記録装置10によれば、好適に張力が作用した無端ベルト24を備えるベルト搬送装置20によって、記録媒体を好適に搬送することができる。そのため、記録媒体に、好適な画像を記録することができる。
【0062】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。
【0063】
(1)上記では、ライン型のインクジェット記録装置10を例に説明した。インクジェット記録装置は、上述したベルト搬送装置20を備える、シリアル型であってもよい。シリアル型のインクジェット記録装置では、記録部を直交方向に往復移動しつつインクを吐出し、ベルト搬送装置20によって、搬送方向に間欠搬送される記録媒体に、画像が記録される。シリアル型のインクジェット記録装置は、既に実用化された記録装置であるため、この他の説明は省略する。なお、ベルト搬送装置20は、インクジェット記録装置における記録媒体の搬送とは異なる用途に用いることもできる。
【0064】
(2)上記では、第一支持部31と、第二支持部32と、第三支持部33と、揺動軸部34と、2本の連結部35(第三例のベルト搬送装置20Cでは省略)と、揺動モータ36と、第二カム部37と、付勢機構部40を、従動ローラ29が設けられる搬送方向の上流側に設け、従動軸部30を搬送方向に対応した方向に移動させることとした。無端ベルト24に作用する張力を調整するための前述したような各部は、駆動ローラ26が設けられる搬送方向の下流側に設けるようにしてもよい。この場合、第一支持部31と第二支持部32は、従動軸部30の場合と同様にして、駆動軸部27を回転自在に支持する。無端ベルト24が熱膨張した場合、上述した各部は、駆動軸部27を下流側に移動するように適宜作動する。また、無端ベルト24の蛇行を修正する場合も、揺動モータ36が適宜駆動し、第二支持部32が第一揺動方向に適宜揺動される。
【0065】
(3)上記では、無端ベルト24に作用する張力を調整し、無端ベルト24の伸びに対応するための付勢機構部40と、蛇行を修正するための揺動機構部(揺動モータ36及び第二カム部37)を備えるベルト搬送装置20を例に説明した。ベルト搬送装置20は、付勢機構部40又は揺動機構部の何れか一方を省略したベルト搬送装置として特定することもできる。揺動機構部を省略した付勢機構部40を備えるベルト搬送装置では、第三支持部33、揺動モータ36及び第二カム部37は、省略される。第二支持部32は、第一支持部31と連結される。この連結は、例えば、第一支持部31と第三支持部33の場合と同様、連結部35のような部材によって行われる。
【0066】
付勢機構部40を省略した揺動機構部を備えるベルト搬送装置では、付勢機構部40に関連する各部は、適宜省略される。
【0067】
(4)上記では、付勢機構部40が錘部44を備え、錘部44の重力を利用し、付勢力を発生させることとした。付勢機構部40による付勢力は、錘部44に換えて、ばねのような弾性部材を利用して発生させることも可能である。ばねのような弾性部材による場合、弾性部材の伸びの量によって発生する付勢力が変化する。