【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明の態様として、次の手段を提供する。なお本欄(「課題を解決するための手段」)において各構成要素に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を明らかにするものである。これらの符号を、発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
上記目的を達成するための発明の第一の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
ガスタービン(10)と、
高圧ドラム(22)、中圧ドラム(24)、低圧ドラム(28)、及び含再加熱部(26)の再熱系統(45)を有しガスタービン(10)の排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー(20)と、
排熱回収ボイラー(20)で発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービン(31)と中圧蒸気タービン(32)と低圧蒸気タービン(33)とを有する蒸気タービン(30)と、
前記ガスタービン(10)と前記蒸気タービン(30)との少なくとも一方に連結された発電機(34)と、
を備え、
前記高圧ドラム(22)から発生する蒸気で前記高圧蒸気タービン(31)を駆動し、該高圧蒸気タービン(31)の排気蒸気と前記中圧ドラム(23)から発生する蒸気とを合流させた蒸気を前記再加熱部(26)に供給し、該再加熱部(26)にて得られた再熱蒸気を前記中圧蒸気タービン(32)に導いて該中圧蒸気タービン(32)を駆動し、該中圧蒸気タービン(32)の排気蒸気と前記低圧ドラム(28)から発生する蒸気とを合流させた蒸気で前記低圧蒸気タービン(33)を駆動するように構成されたコンバインドサイクルプラントを停止する際に、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム(22)、前記中圧ドラム(24)、前記低圧ドラム(28)の圧力低下を抑制して前記蒸気タービン(30)を停止させるコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明の他の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
前記第一の態様のコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明のさらに他の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
以上の前記コンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
【0011】
第二の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
以上の前記コンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部(12a)の冷却に前記中圧ドラム(23)から発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統(81)を更に有し、前記GT冷却蒸気系統(81)が前記再熱系統(45)に合流される系統であり、
コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統(81)を、前記再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統(45)の圧力を制御することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するための発明の第三の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
ガスタービン(10)と、
高圧ドラム(22)、中圧ドラム(24)、低圧ドラム(28)、及び含再加熱部(26)の再熱系統(45)を有しガスタービン(10)の排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー(20)と、
前記排熱回収ボイラー(20)で発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービン(31)と中圧蒸気タービン(32)と低圧蒸気タービン(33)とを有する蒸気タービン(30)と、
前記ガスタービン(10)と前記蒸気タービン(30)との少なくとも一方に連結された発電機(34)と、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム(22)、前記中圧ドラム(24)、前記低圧ドラム(28)の圧力低下を抑制して前記蒸気タービン(30)を停止させる停止制御手段(100)と、
を備えたコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記停止制御手段(100)は、前記高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御して前記蒸気タービン(30)を停止させることを特徴とする。
上記目的を達成するための発明の他の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
前記第三の態様のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導く高圧タービンバイパスラインと、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧タービンバイパスラインを介して前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明のさらに他の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
以上の前記コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
【0013】
第四の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
以上の前記コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部(12a)の冷却に前記中圧ドラム(23)から発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統(81)を更に有し、前記GT冷却蒸気系統(81)が前記再熱系統(45)に合流される系統であり、
前記停止制御手段(100a)は、コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統(81)を、前記再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統(45)の圧力を制御することを特徴とする。
【0014】
以上の各態様によると、高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を再熱系統(45)の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統(45)の圧力を制御して蒸気タービン(30)を停止させる。これにより、高圧蒸気タービン(31)の入出力間での圧力差が大きくなって、高圧蒸気タービン(31)の仕事量が多くなる結果、高圧蒸気タービン(31)の最終段部分や再熱系統(45)の温度上昇が抑制され、高圧蒸気タービン(31)の最終段部分や再熱蒸気ラインの熱損傷を避けることができる。
【0015】
第二及び第四の態様によると、ココンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統であるGT冷却蒸気系統(81)を、再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう再熱系統(45)の圧力を制御するため、GT冷却蒸気系統(81)は、その冷却機能を低下しない。一般にGT冷却蒸気系統(81)は、冷却機能の低下を避けるため、圧力低下を許容しない。もしも蒸気切り離しを行わずに再熱系統(45)の圧力を上記低圧力に保持した状態で停止させた場合は、GT冷却蒸気系統(81)の圧力も低下してしまい、その冷却機能を低下してしまうが、本発明によりその弊害が無くなる。
【0016】
第五の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
前記コンバインドサイクルプラントの前記停止制御手段(100or100a)を備えたコンバインドサイクルプラントの制御装置である。
【0017】
また、第六の態様としてのコンバインサイクルプラントの制御装置は、
高温高圧の燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、ガスタービンから排気された燃焼ガスの熱により蒸気を発生する排熱回収ボイラーと、該蒸気で駆動する第一及び第二蒸気タービンと、該第二蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、を備え、前記排熱回収ボイラーは、前記燃焼ガスの熱により前記第一蒸気タービンに供給する第一蒸気を発生する第一蒸気発生部と、前記第一蒸気タービンから排気された蒸気を加熱する再加熱部と、を有し、前記排熱回収ボイラーの前記第一蒸気発生部と前記第一蒸気タービンとは、前記第一蒸気を該第一蒸気タービンに導く第一蒸気ラインで接続され、前記第一蒸気タービンと前記第二蒸気タービンとは、該第一蒸気タービンから排気された蒸気を前記排熱回収ボイラーの前記再加熱部を経て該第二蒸気タービンに導く再熱蒸気ラインで接続され、前記第一蒸気ラインと前記再熱蒸気ラインとは、第一バイパスラインで接続され、前記再熱蒸気ラインと前記復水器とは、第二バイパスラインで接続され、前記第一バイパスラインには、該第一バイパスラインを通る蒸気の流量を調節する第一バイパス弁が設けられ、前記第二バイパスラインには、該第二バイパスラインを通る蒸気の流量を調節する第二バイパス弁が設けられているコンバインドサイクルプラントの制御装置において、
プラント停止指令を受け付けて、前記ガスタービンに、該ガスタービンの出力を低下させるガスタービン出力制御部と、前記プラント停止指令を受けてから予め定めた第一時間経過以降、前記再熱蒸気ライン内の圧力が該第一時間経過時点における該再熱蒸気ライン内の想定圧力よりも低い予め定めた目標圧力以下を維持するよう、前記第二バイパス弁の弁開度を指示する第二タービンバイパス制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第一時間よりも長い第二時間経過以降、該第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力より予め定めた圧力以上の目標圧力を定め、該第一蒸気ライン内の圧力が該目標圧力以下を維持するよう、前記第一バイパス弁の弁開度を指示する第一タービンバイパス制御部と、を有することを特徴とする。
【0018】
当該制御装置では、第一蒸気ラインの圧力が第一バイパス弁により相対的に高めの目標圧力に維持されるのに対して、再熱蒸気ラインの圧力が第二バイパス弁により相対的に低めの目標圧力に維持される。しかも、当該制御装置では、再熱蒸気ラインの圧力が先に相対的に低めの目標圧力に維持され、その後、第一蒸気ラインの圧力が相対的に高めの目標圧力に維持される。よって、当該制御装置では、第一蒸気タービンの入出力間での圧力差が確実に大きくなり、第一蒸気タービンの仕事量が多くなる上に、再熱蒸気ラインの温度上昇を抑えることができる。
【0019】
なお、「第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力より予め定めた圧力以上の目標圧力」には、「第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力」も含まれる。
【0020】
また、第七の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
前記第六の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記排熱回収ボイラーが、前記燃焼ガスの熱により前記第二蒸気タービンに供給する蒸気であって、前記第一蒸気よりも圧力の低い第二蒸気を発生する第二蒸気発生部を有し、前記第二蒸気発生部が、前記再熱蒸気ラインの前記再加熱部よりも上流側の部分と、第二蒸気ラインで接続され、前記第二蒸気ラインには、前記第二蒸気を前記ガスタービンの高温部を経てから前記再熱蒸気ラインの前記再加熱部よりも下流側の部分に戻す冷却用蒸気供給ラインが接続され、前記冷却用蒸気供給ラインの前記高温部より下流側の部分と前記復水器とが、冷却用蒸気逃しラインで接続され、前記冷却用蒸気供給ラインの前記冷却用蒸気逃しラインとの接続部よりも下流側部分に、該冷却用蒸気供給ラインを通ってきた蒸気の前記再熱加熱蒸気ラインへの流入を調節する冷却用蒸気回収弁が設けられ、前記冷却用蒸気逃しラインには、該冷却用蒸気逃しラインを通る蒸気の流量を調節する冷却用蒸気逃し弁が設けられており、
前記プラント停止指令を受けてから前記第一時間よりも短い第三時間経過以降、前記冷却用蒸気回収弁に対して全閉を指示する冷却用蒸気回収制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第三時間経過以降、前記冷却用蒸気供給ライン内の圧力が予め定めた目標圧力を維持するよう、前記冷却用蒸気逃し弁を制御する冷却用蒸気逃し制御部と、を有してもよい。
【0021】
当該制御装置では、冷却用蒸気供給ラインを備えているコンバインドサイクルプラントであっても、第一バイパス弁及び第二バイパス弁の制御に先立ち、冷却用蒸気供給ラインを再熱蒸気ラインから切り離すことになるので、上記の場合と同様に、第一バイパス弁及び第二バイパス弁を制御することで、再熱蒸気ラインの温度上昇を抑えることができる。
【0022】
また、第八の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
第六又は第七の態様としての前記コンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記第一蒸気ラインに、該第一蒸気ラインを通ってきた蒸気の前記第一蒸気タービンへの流入量を調節する第一蒸気加減弁が設けられ、前記再加熱蒸気ラインに、該再加熱蒸気ラインを通ってきた蒸気の前記第二蒸気タービンへの流入量を調節する再熱蒸気加減弁が設けられており、
前記プラント停止指令を受けてから前記第二時間経過以降、前記第一蒸気タービンへの流入量が徐々に低下するよう、前記第一蒸気加減弁の弁開度を制御する第一蒸気加減制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第二時間経過以降、前記第二蒸気タービンへの流入量が徐々に低下するよう、前記再熱蒸気加減弁の弁開度を制御する再熱蒸気加減制御部と、を有してもよい。
【0023】
また、第九の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
第六から第八のいずれかの前記コンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記ガスタービン出力制御部は、前記ガスタービンに対して、前記プラント停止指令を受け付けてから予め定めた第四時間経過するまでの間、該ガスタービンの出力を徐々に低下させ、該第四時間経過後から所定時間経過するまでの間、該ガスタービンの出力を維持させ、該所定時間経過後、再び該ガスタービンの出力を徐々に低下させ、前記第一時間及び前記第二時間は、前記第四時間以上であって、該第四時間に前記所定時間を加えた時間以下であってもよい。
【0024】
当該制御装置では、ガスタービン出力をある程度低下させてから、ガスタービン出力をしばらくの間維持しているので、各蒸気タービンの温度低下を抑制することができ、コンバインドサイクルプラントの再起動を比較的短時間で行うことができる。