特許第6071421号(P6071421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6071421コンバインドサイクルプラント、及びその停止方法、及びその制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071421
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】コンバインドサイクルプラント、及びその停止方法、及びその制御装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 21/00 20060101AFI20170123BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20170123BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20170123BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20170123BHJP
   F01K 7/44 20060101ALI20170123BHJP
   F01K 17/04 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F01D21/00 M
   F02C7/18 B
   F01D21/00 P
   F01K23/10 U
   F01K23/10 D
   F01K23/10 H
   F01D25/12 E
   F01K7/44 A
   F01K17/04 Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-236923(P2012-236923)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-84847(P2014-84847A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】村上 雅幸
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167571(JP,A)
【文献】 特開2002−227611(JP,A)
【文献】 特開昭61−076802(JP,A)
【文献】 特開昭61−028704(JP,A)
【文献】 特開昭53−102401(JP,A)
【文献】 特開平11−315704(JP,A)
【文献】 特開平09−112801(JP,A)
【文献】 特開2011−111967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D13/00−25/36
F01K1/00−27/02
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
高圧ドラム、中圧ドラム、低圧ドラム、及び含再加熱部の再熱系統を有しガスタービンの排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、
排熱回収ボイラーで発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービンと中圧蒸気タービンと低圧蒸気タービンとを有する蒸気タービンと、
前記ガスタービンと前記蒸気タービンとの少なくとも一方に連結された発電機と、
を備え、
前記高圧ドラムから発生する蒸気で前記高圧蒸気タービンを駆動し、該高圧蒸気タービンの排気蒸気と前記中圧ドラムから発生する蒸気とを合流させた蒸気を前記再加熱部に供給し、該再加熱部にて得られた再熱蒸気を前記中圧蒸気タービンに導いて該中圧蒸気タービンを駆動し、該中圧蒸気タービンの排気蒸気と前記低圧ドラムから発生する蒸気とを合流させた蒸気で前記低圧蒸気タービンを駆動するように構成されたコンバインドサイクルプラントを停止する際に、
前記ガスタービンを所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム、前記中圧ドラム、前記低圧ドラムの圧力低下を抑制して前記蒸気タービンを停止させるコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記ガスタービンを所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービンの熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御することを特徴とするコンバインドサイクルプラント停止方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とするコンバインドサイクルプラント停止方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とするコンバインドサイクルプラント停止方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部の冷却に前記中圧ドラムから発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統を更に有し、前記GT冷却蒸気系統が前記再熱系統に合流される系統であり、
コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統を、前記再熱系統から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統の圧力を制御することを特徴とするコンバインドサイクルプラント停止方法。
【請求項5】
ガスタービンと、
高圧ドラム、中圧ドラム、低圧ドラム、及び含再加熱部の再熱系統を有しガスタービンの排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、
前記排熱回収ボイラーで発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービンと中圧蒸気タービンと低圧蒸気タービンとを有する蒸気タービンと、
前記ガスタービンと前記蒸気タービンとの少なくとも一方に連結された発電機と、
前記ガスタービンを所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム、前記中圧ドラム、前記低圧ドラムの圧力低下を抑制して前記蒸気タービンを停止させる停止制御手段と、
を備えたコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記停止制御手段は、前記高圧蒸気タービンの熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御して前記蒸気タービンを停止させることを特徴とするコンバインドサイクルプラント。
【請求項6】
請求項5に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導く高圧タービンバイパスラインと、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧タービンバイパスラインを介して前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とするコンバインドサイクルプラント。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とするコンバインドサイクルプラント。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部の冷却に前記中圧ドラムから発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統を更に有し、前記GT冷却蒸気系統が前記再熱系統に合流される系統であり、
前記停止制御手段は、コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統を、前記再熱系統から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統の圧力を制御することを特徴とするコンバインドサイクルプラント。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の前記停止制御手段を備えたコンバインドサイクルプラントの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンと蒸気タービンとを備えているコンバインドサイクルプラント、及びその停止方法、及びその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクルプラントでは、例えば、高圧蒸気タービンと中圧蒸気タービンと低圧蒸気タービンを備え、高圧蒸気タービンから排気された蒸気を排熱回収ボイラーに設けた再熱器で再度加熱し、この蒸気で中圧及び低圧蒸気タービンを駆動するように構成される(特許文献1参照)。この種のコンバインドサイクルプラントでは、高圧蒸気タービンと中圧蒸気タービンとが再熱蒸気ラインで接続され、高圧主蒸気ラインと再熱蒸気ラインとが高圧タービンバイパスラインで接続され、再熱蒸気ラインの途中の部分と復水器とは、中圧タービンバイパスラインで接続されている。
【0003】
上記コンバインドサイクルプラントを停止するにあたり、一般に、排熱回収ボイラーに設けられた高圧ドラム、中圧ドラム及び低圧ドラムを高めの圧力に保持しておくことが好ましい。その理由は、次回にプラントを起動するときに必要な蒸気量を確保しておくことができるからである。
【0004】
具体的には、高圧主蒸気ラインの圧力が比較的高い圧力に保たれるよう、高圧蒸気タービンバイパスラインに設けられたバイパス弁の弁開度が制御され、再熱蒸気ラインの圧力も比較的高い圧力に保たれるよう、中圧タービンバイパスラインに設けられたバイパス弁の弁開度が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−315704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような停止方法を適用した場合、高圧蒸気タービンの入出力間(つまり高圧主蒸気の入口と出口との間)での圧力差が小さくなって、高圧蒸気タービンの仕事量が少なくなる結果、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ラインの温度が上昇し、場合によっては、当該ラインの設計温度を超えることも考えられる。
【0007】
その結果、高圧蒸気タービンの最終段部分が熱損傷したり、再熱蒸気ラインを形成する配管が熱損傷したり、配管と配管との間や、配管と弁との間に設けられているパッキン等が熱損傷したりする可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、ガスタービンと蒸気タービンとを備えているコンバインドサイクルプラントを停止する過程において、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ラインの熱損傷を避けることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明の態様として、次の手段を提供する。なお本欄(「課題を解決するための手段」)において各構成要素に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を明らかにするものである。これらの符号を、発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
上記目的を達成するための発明の第一の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
ガスタービン(10)と、
高圧ドラム(22)、中圧ドラム(24)、低圧ドラム(28)、及び含再加熱部(26)の再熱系統(45)を有しガスタービン(10)の排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー(20)と、
排熱回収ボイラー(20)で発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービン(31)と中圧蒸気タービン(32)と低圧蒸気タービン(33)とを有する蒸気タービン(30)と、
前記ガスタービン(10)と前記蒸気タービン(30)との少なくとも一方に連結された発電機(34)と、
を備え、
前記高圧ドラム(22)から発生する蒸気で前記高圧蒸気タービン(31)を駆動し、該高圧蒸気タービン(31)の排気蒸気と前記中圧ドラム(23)から発生する蒸気とを合流させた蒸気を前記再加熱部(26)に供給し、該再加熱部(26)にて得られた再熱蒸気を前記中圧蒸気タービン(32)に導いて該中圧蒸気タービン(32)を駆動し、該中圧蒸気タービン(32)の排気蒸気と前記低圧ドラム(28)から発生する蒸気とを合流させた蒸気で前記低圧蒸気タービン(33)を駆動するように構成されたコンバインドサイクルプラントを停止する際に、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム(22)、前記中圧ドラム(24)、前記低圧ドラム(28)の圧力低下を抑制して前記蒸気タービン(30)を停止させるコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明の他の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
前記第一の態様のコンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明のさらに他の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
以上の前記コンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
【0011】
第二の態様としてのコンバインドサイクルプラント停止方法は、
以上の前記コンバインドサイクルプラント停止方法において、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部(12a)の冷却に前記中圧ドラム(23)から発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統(81)を更に有し、前記GT冷却蒸気系統(81)が前記再熱系統(45)に合流される系統であり、
コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統(81)を、前記再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統(45)の圧力を制御することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するための発明の第三の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
ガスタービン(10)と、
高圧ドラム(22)、中圧ドラム(24)、低圧ドラム(28)、及び含再加熱部(26)の再熱系統(45)を有しガスタービン(10)の排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラー(20)と、
前記排熱回収ボイラー(20)で発生した蒸気により駆動され、高圧蒸気タービン(31)と中圧蒸気タービン(32)と低圧蒸気タービン(33)とを有する蒸気タービン(30)と、
前記ガスタービン(10)と前記蒸気タービン(30)との少なくとも一方に連結された発電機(34)と、
前記ガスタービン(10)を所定負荷まで低下させた後、前記高圧ドラム(22)、前記中圧ドラム(24)、前記低圧ドラム(28)の圧力低下を抑制して前記蒸気タービン(30)を停止させる停止制御手段(100)と、
を備えたコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記停止制御手段(100)は、前記高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を前記再熱系統の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統の圧力を制御して前記蒸気タービン(30)を停止させることを特徴とする。
上記目的を達成するための発明の他の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
前記第三の態様のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記高圧蒸気タービンを経ずに前記高圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導く高圧タービンバイパスラインと、前記低圧蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記高圧タービンバイパスラインを介して前記高圧ドラムから発生した蒸気の少なくとも一部を前記再熱系統に導く工程を実行し、前記工程の実行前に、前記再熱系統内の蒸気を前記復水器へバイパスさせて、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
上記目的を達成するための発明のさらに他の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
以上の前記コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記中圧ドラムから発生して前記再熱系統に流入する蒸気の流量を調節する中圧ドラム圧力調節弁を備え、
前記停止制御手段は、前記ガスタービンを前記所定負荷まで低下させた後、前記中圧ドラム圧力調節弁を閉じる方向に調節して、前記中圧ドラムから発生した蒸気を前記再熱系統に導くことにより、前記再熱系統の圧力を前記目標圧力に維持することを特徴とする。
【0013】
第四の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
以上の前記コンバインドサイクルプラントにおいて、
前記コンバインドサイクルプラントは、ガスタービン高温部(12a)の冷却に前記中圧ドラム(23)から発生する中圧蒸気を用いるGT冷却蒸気系統(81)を更に有し、前記GT冷却蒸気系統(81)が前記再熱系統(45)に合流される系統であり、
前記停止制御手段(100a)は、コンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統である前記GT冷却蒸気系統(81)を、前記再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう前記再熱系統(45)の圧力を制御することを特徴とする。
【0014】
以上の各態様によると、高圧蒸気タービン(31)の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力(P1)を再熱系統(45)の目標圧力にして、該目標圧力が維持されるよう該再熱系統(45)の圧力を制御して蒸気タービン(30)を停止させる。これにより、高圧蒸気タービン(31)の入出力間での圧力差が大きくなって、高圧蒸気タービン(31)の仕事量が多くなる結果、高圧蒸気タービン(31)の最終段部分や再熱系統(45)の温度上昇が抑制され、高圧蒸気タービン(31)の最終段部分や再熱蒸気ラインの熱損傷を避けることができる。
【0015】
第二及び第四の態様によると、ココンバインドサイクルプラントを停止する際に、圧力低下を許容しない系統であるGT冷却蒸気系統(81)を、再熱系統(45)から切り離した後に、前記目標圧力が維持されるよう再熱系統(45)の圧力を制御するため、GT冷却蒸気系統(81)は、その冷却機能を低下しない。一般にGT冷却蒸気系統(81)は、冷却機能の低下を避けるため、圧力低下を許容しない。もしも蒸気切り離しを行わずに再熱系統(45)の圧力を上記低圧力に保持した状態で停止させた場合は、GT冷却蒸気系統(81)の圧力も低下してしまい、その冷却機能を低下してしまうが、本発明によりその弊害が無くなる。
【0016】
第五の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、前記コンバインドサイクルプラントの前記停止制御手段(100or100a)を備えたコンバインドサイクルプラントの制御装置である。
【0017】
また、第六の態様としてのコンバインサイクルプラントの制御装置は、
高温高圧の燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、ガスタービンから排気された燃焼ガスの熱により蒸気を発生する排熱回収ボイラーと、該蒸気で駆動する第一及び第二蒸気タービンと、該第二蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、を備え、前記排熱回収ボイラーは、前記燃焼ガスの熱により前記第一蒸気タービンに供給する第一蒸気を発生する第一蒸気発生部と、前記第一蒸気タービンから排気された蒸気を加熱する再加熱部と、を有し、前記排熱回収ボイラーの前記第一蒸気発生部と前記第一蒸気タービンとは、前記第一蒸気を該第一蒸気タービンに導く第一蒸気ラインで接続され、前記第一蒸気タービンと前記第二蒸気タービンとは、該第一蒸気タービンから排気された蒸気を前記排熱回収ボイラーの前記再加熱部を経て該第二蒸気タービンに導く再熱蒸気ラインで接続され、前記第一蒸気ラインと前記再熱蒸気ラインとは、第一バイパスラインで接続され、前記再熱蒸気ラインと前記復水器とは、第二バイパスラインで接続され、前記第一バイパスラインには、該第一バイパスラインを通る蒸気の流量を調節する第一バイパス弁が設けられ、前記第二バイパスラインには、該第二バイパスラインを通る蒸気の流量を調節する第二バイパス弁が設けられているコンバインドサイクルプラントの制御装置において、
プラント停止指令を受け付けて、前記ガスタービンに、該ガスタービンの出力を低下させるガスタービン出力制御部と、前記プラント停止指令を受けてから予め定めた第一時間経過以降、前記再熱蒸気ライン内の圧力が該第一時間経過時点における該再熱蒸気ライン内の想定圧力よりも低い予め定めた目標圧力以下を維持するよう、前記第二バイパス弁の弁開度を指示する第二タービンバイパス制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第一時間よりも長い第二時間経過以降、該第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力より予め定めた圧力以上の目標圧力を定め、該第一蒸気ライン内の圧力が該目標圧力以下を維持するよう、前記第一バイパス弁の弁開度を指示する第一タービンバイパス制御部と、を有することを特徴とする。
【0018】
当該制御装置では、第一蒸気ラインの圧力が第一バイパス弁により相対的に高めの目標圧力に維持されるのに対して、再熱蒸気ラインの圧力が第二バイパス弁により相対的に低めの目標圧力に維持される。しかも、当該制御装置では、再熱蒸気ラインの圧力が先に相対的に低めの目標圧力に維持され、その後、第一蒸気ラインの圧力が相対的に高めの目標圧力に維持される。よって、当該制御装置では、第一蒸気タービンの入出力間での圧力差が確実に大きくなり、第一蒸気タービンの仕事量が多くなる上に、再熱蒸気ラインの温度上昇を抑えることができる。
【0019】
なお、「第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力より予め定めた圧力以上の目標圧力」には、「第二時間経過時点における前記第一蒸気ライン内の圧力」も含まれる。
【0020】
また、第七の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
前記第六の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記排熱回収ボイラーが、前記燃焼ガスの熱により前記第二蒸気タービンに供給する蒸気であって、前記第一蒸気よりも圧力の低い第二蒸気を発生する第二蒸気発生部を有し、前記第二蒸気発生部が、前記再熱蒸気ラインの前記再加熱部よりも上流側の部分と、第二蒸気ラインで接続され、前記第二蒸気ラインには、前記第二蒸気を前記ガスタービンの高温部を経てから前記再熱蒸気ラインの前記再加熱部よりも下流側の部分に戻す冷却用蒸気供給ラインが接続され、前記冷却用蒸気供給ラインの前記高温部より下流側の部分と前記復水器とが、冷却用蒸気逃しラインで接続され、前記冷却用蒸気供給ラインの前記冷却用蒸気逃しラインとの接続部よりも下流側部分に、該冷却用蒸気供給ラインを通ってきた蒸気の前記再熱加熱蒸気ラインへの流入を調節する冷却用蒸気回収弁が設けられ、前記冷却用蒸気逃しラインには、該冷却用蒸気逃しラインを通る蒸気の流量を調節する冷却用蒸気逃し弁が設けられており、
前記プラント停止指令を受けてから前記第一時間よりも短い第三時間経過以降、前記冷却用蒸気回収弁に対して全閉を指示する冷却用蒸気回収制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第三時間経過以降、前記冷却用蒸気供給ライン内の圧力が予め定めた目標圧力を維持するよう、前記冷却用蒸気逃し弁を制御する冷却用蒸気逃し制御部と、を有してもよい。
【0021】
当該制御装置では、冷却用蒸気供給ラインを備えているコンバインドサイクルプラントであっても、第一バイパス弁及び第二バイパス弁の制御に先立ち、冷却用蒸気供給ラインを再熱蒸気ラインから切り離すことになるので、上記の場合と同様に、第一バイパス弁及び第二バイパス弁を制御することで、再熱蒸気ラインの温度上昇を抑えることができる。
【0022】
また、第八の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
第六又は第七の態様としての前記コンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記コンバインドサイクルプラントは、前記第一蒸気ラインに、該第一蒸気ラインを通ってきた蒸気の前記第一蒸気タービンへの流入量を調節する第一蒸気加減弁が設けられ、前記再加熱蒸気ラインに、該再加熱蒸気ラインを通ってきた蒸気の前記第二蒸気タービンへの流入量を調節する再熱蒸気加減弁が設けられており、
前記プラント停止指令を受けてから前記第二時間経過以降、前記第一蒸気タービンへの流入量が徐々に低下するよう、前記第一蒸気加減弁の弁開度を制御する第一蒸気加減制御部と、前記プラント停止指令を受けてから前記第二時間経過以降、前記第二蒸気タービンへの流入量が徐々に低下するよう、前記再熱蒸気加減弁の弁開度を制御する再熱蒸気加減制御部と、を有してもよい。
【0023】
また、第九の態様としてのコンバインドサイクルプラントの制御装置は、
第六から第八のいずれかの前記コンバインドサイクルプラントの制御装置において、
前記ガスタービン出力制御部は、前記ガスタービンに対して、前記プラント停止指令を受け付けてから予め定めた第四時間経過するまでの間、該ガスタービンの出力を徐々に低下させ、該第四時間経過後から所定時間経過するまでの間、該ガスタービンの出力を維持させ、該所定時間経過後、再び該ガスタービンの出力を徐々に低下させ、前記第一時間及び前記第二時間は、前記第四時間以上であって、該第四時間に前記所定時間を加えた時間以下であってもよい。
【0024】
当該制御装置では、ガスタービン出力をある程度低下させてから、ガスタービン出力をしばらくの間維持しているので、各蒸気タービンの温度低下を抑制することができ、コンバインドサイクルプラントの再起動を比較的短時間で行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、ガスタービンと蒸気タービンとを備えているコンバインドサイクルプラントを停止する過程において、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ラインの熱損傷を避けることができる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図2】本発明に係る第一実施形態における制御装置の機能ブロック図である。
図3】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの時間経過に伴う、各出力、各蒸気圧力、各弁の動作の変化を示す説明図である。
図4】比較例におけるコンバインドサイクルプラントの時間経過に伴う、各出力、各蒸気圧力、各弁の動作の変化を示す説明図である。
図5】本発明に係る第二実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図6】本発明に係る第二実施形態における制御装置の機能ブロック図である。
図7】本発明に係る第二実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの時間経過に伴う、各出力、各蒸気圧力、各弁の動作の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るコンバインドサイクルプラントの各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
「第一実施形態」
まず、本発明に係るコンバインドサイクルプラントの第一実施形態について、図1図4を用いて説明する。
【0029】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントは、図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10から排気される排ガスの熱で蒸気を発生する排熱回収ボイラー20と、排熱回収ボイラー20からの蒸気で駆動される蒸気タービン30(高圧蒸気タービン(第一蒸気タービン)31、中圧蒸気タービン(第二蒸気タービン)32及び低圧蒸気タービン33)と、各タービン10,31,32,33の駆動で発電する発電機34と、低圧蒸気タービン33から排気された蒸気を水に戻す復水器36と、これら各機器を制御する制御装置100と、を備えている。なお、以下の説明の都合上、高圧蒸気タービン31の定格圧力は12MPaで、中圧蒸気タービン32の定格圧力は4MPaで、低圧蒸気タービン33の定格圧力は2MPaであるとする。
【0030】
ガスタービン10は、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機11と、燃料ガスに圧縮空気を混合して燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器12と、燃焼ガスにより駆動されるタービン13と、燃焼器12に供給する燃料流量を調節する燃料流量調節弁14と、を備えている。
【0031】
ガスタービン10の燃焼器12には、燃料供給源からの燃料を燃焼器12に供給する燃料ラインが接続されている。この燃料ラインには、前述の燃料流量調節弁14が設けられている。ガスタービン10のタービン13は、その排気口が排熱回収ボイラー20と接続されている。
【0032】
排熱回収ボイラー20は、高圧蒸気タービン31に供給する高圧蒸気を発生する高圧蒸気発生部21と、中圧蒸気タービン32に供給する中圧蒸気を発生する中圧蒸気発生部23と、低圧蒸気タービン33に供給する低圧蒸気を発生する低圧蒸気発生部27と、高圧蒸気タービン31から排気された蒸気を加熱する再加熱部26と、を備えている。高圧蒸気発生部21は高圧ドラム22を有し、中圧蒸気発生部23は中圧ドラム24を有し、低圧蒸気発生部27は低圧ドラム28を有している。中圧ドラム24には、中圧ドラム24内の圧力を検知する中圧ドラム圧力計25が設けられている。
【0033】
排熱回収ボイラー20の高圧蒸気発生部21と高圧蒸気タービン31の蒸気入口とは、高圧蒸気を高圧蒸気タービン31に導く高圧主蒸気ライン(第一蒸気ライン)41で接続され、高圧蒸気タービン31の蒸気出口と中圧蒸気タービン32の蒸気入口とは、高圧蒸気タービン31から排気された蒸気を排熱回収ボイラー20の再加熱部26を経て中圧蒸気タービン32の蒸気入口に導く再熱蒸気ライン45で接続され、排熱回収ボイラー20の低圧蒸気発生部27と低圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、低圧蒸気を低圧蒸気タービン33に導く低圧主蒸気ライン(第二蒸気ライン)51で接続されている。
【0034】
中圧蒸気タービン32の蒸気出口と低圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、中圧タービン排気ライン55で接続されている。低圧蒸気タービン33の蒸気出口には、復水器36が接続されている。この復水器36には、復水を排熱回収ボイラー20に導く給水ライン59が接続されている。
【0035】
排熱回収ボイラー20の中圧蒸気発生部23と再熱蒸気ライン45の再加熱部26より上流側部分とは、中圧主蒸気ライン61で接続され、高圧主蒸気ライン41と再熱蒸気ライン45の再加熱部26より上流側部分とは、高圧タービンバイパスライン(第一バイパスライン)65で接続されている。また、再熱蒸気ライン45の再加熱部26よりも下流側の部分は、復水器36と中圧タービンバイパスライン(第二バイパルライン)71で接続され、低圧主蒸気ライン51は、復水器36と低圧タービンバイパスライン75で接続されている。
【0036】
高圧主蒸気ライン41の高圧タービンバイパスライン65との接続部よりも下流側には、高圧蒸気圧力計44、高圧蒸気止め弁42、及び高圧主蒸気加減弁43が設けられている。
【0037】
高圧タービンバイパスライン65には、高圧タービンバイパス弁(第一バイパス弁)66と減温器67とが設けられている。中圧主蒸気ライン61には、中圧ドラム圧力調節弁62が設けられている。
【0038】
再熱蒸気ライン45の中圧タービンバイパスライン71との接続部よりも下流側には、再熱蒸気圧力計49、再熱蒸気止め弁46、及び再熱蒸気加減弁47が設けられている。また、中圧タービンバイパスライン71には、中圧タービンバイパス弁(第二バイパス弁)72が設けられている。
【0039】
低圧主蒸気ライン51の低圧タービンバイパスライン75との接続部よりも下流側には、低圧蒸気圧力計54、低圧蒸気止め弁52、及び低圧主蒸気加減弁53が設けられている。低圧タービンバイパスライン75には、低圧タービンバイパス弁(第二バイパス弁)76が設けられている。
【0040】
制御装置100は、図2に示すように、各種データやプラント停止指令S等を受け付ける受付部101と、各種データを記憶しておく記憶部102と、ガスタービン10の出力を制御するガスタービン出力制御部105と、高圧蒸気止め弁42の開閉を制御する高圧蒸気止め制御部110と、高圧主蒸気加減弁43の弁開度を制御する高圧主蒸気加減制御部115と、再熱蒸気止め弁46の開閉を制御する再熱蒸気止め制御部120と、再熱蒸気加減弁47の弁開度を制御する再熱蒸気加減制御部125と、低圧蒸気止め弁52の開閉を制御する低圧蒸気止め制御部130と、低圧主蒸気加減弁53の弁開度を制御する低圧主蒸気加減制御部135と、高圧タービンバイパス弁66の弁開度を制御する高圧タービンバイパス制御部140と、中圧タービンバイパス弁72の弁開度を制御する中圧タービンバイパス制御部145と、低圧タービンバイパス弁76の弁開度を制御する低圧タービンバイパス制御部150と、中圧ドラム圧力調節弁62の弁開度を制御する中圧ドラム圧力制御部155と、を有している。
【0041】
記憶部102には、コンバインドサイクルプラントの目標出力、プラント停止過程における各蒸気加減弁43,47,53等の弁開度パターン、プラント停止過程における各ライン41,45,51等の目標圧力の設定条件、中圧ドラム24の目標圧力の設定条件等が予め記憶されている。これら、目標出力や弁開度パターン等は、外部から受付部101が受け付けて、記憶部102に記憶される。このため、目標出力や弁開度パターン等は、適宜、変更することができる。なお、弁開度パターンとは、時間経過に伴う弁開度の変化を示すものである。また、目標圧力の設定条件とは、いかなる時間帯のときにどのような圧力を目標圧力とするかを定めたものである。
【0042】
ガスタービン出力制御部105は、燃料流量調節弁14を、プラント停止過程における目標出力に見合う弁開度に制御する構成とされている。より詳しくは、記憶部102に記憶された目標出力(通常運転過程とプラント停止過程のそれぞれについての目標出力を有する)と、発電機34に設けられている出力計35で検知された出力との偏差に応じて、燃料流量調節弁14の弁開度を制御するようになっている。
【0043】
ここで、記憶部102に記憶されているプラント停止過程における燃料流量調節弁14の弁開度パターンは、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けた時点から、例えば、図3に示すように、ガスタービン出力が徐々に低下して、所定時間a(第一時間又は第四時間)後に、ガスタービン出力が定格出力の50%になり、所定時間a後からさらに所定時間x後までの間、ガスタービン出力が定格出力の50%を維持し、その後、ガスタービン出力が0になるまで徐々に低下するように、燃料流量調節弁14の弁開度を定めたパターンである。
【0044】
高圧主蒸気加減制御部115は、高圧主蒸気加減弁43を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。
【0045】
高圧蒸気止め制御部110は、高圧主蒸気加減制御部115からの出力が高圧主蒸気加減弁43の弁開度0を示すタイミングで、又はこのタイミングの直前又は直後で、高圧蒸気止め弁42に対して全閉を指示する構成とされる。
【0046】
再熱蒸気加減制御部125は、再熱蒸気加減弁47を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。
【0047】
再熱蒸気止め制御部120は、再熱蒸気加減制御部125からの出力が再熱蒸気加減弁47の弁開度0を示すタイミングで、又はこのタイミングの直前又は直後で、再熱蒸気止め弁46に対して全閉を指示する構成とされる。
【0048】
低圧主蒸気加減制御部135は、低圧主蒸気加減弁53を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。
【0049】
低圧蒸気止め制御部130は、低圧主蒸気加減制御部135からの出力が低圧主蒸気加減弁53の弁開度0を示すタイミングで、又はこのタイミングの直前又は直後で、低圧蒸気止め弁52に対して全閉を指示する構成とされる。
【0050】
ここで、記憶部102に記憶されている各蒸気加減弁43,47,53の弁開度パターンは、いずれも、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間b(第二時間)経過した時点から、弁開度が0になるまで徐々に小さくなるように定めたパターンである。なお、所定時間bは、前述の所定時間aよりも長い時間である。
【0051】
高圧タービンバイパス制御部140は、高圧タービンバイパス弁66を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。より詳しくは、記憶部102に記憶された高圧主蒸気ライン41の目標圧力と、高圧蒸気圧力計44で検知された高圧主蒸気ライン41の圧力との偏差に応じて、高圧主蒸気ライン41の圧力が目標圧力となるように、高圧タービンバイパス弁66の弁開度を制御するようになっている。
【0052】
具体的には、高圧タービンバイパス制御部140は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から所定時間a経過後に、その時点における高圧主蒸気ライン41の圧力を記憶部102に記憶し目標圧力に設定する。
【0053】
中圧タービンバイパス制御部145は、高圧タービンバイパス制御部140と基本的に同様で、中圧タービンバイパス弁72を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。より詳しくは、記憶部102に記憶された再熱蒸気ライン45の目標圧力と、再熱蒸気圧力計49で検知された再熱蒸気ライン45の圧力との偏差に応じて、再熱蒸気ライン45の圧力が目標圧力となるように、中圧タービンバイパス弁72の弁開度を制御するようになっている。
【0054】
ここで、記憶部102に記憶されている再熱蒸気ライン45の目標圧力は、高圧蒸気タービン31の熱落差不足による高圧蒸気タービン排気温度の上昇を抑制可能な低圧力P1である。この目標圧力は、プラント停止指令Sが出力されたときの再熱蒸気ライン45の実際の圧力よりも確実に低い予め定めた圧力であって、このときの高圧主蒸気ライン41に関する目標圧力との圧力差が予め定められた圧力差以上になると想定される圧力、例えば、ガスタービン10の回転数が目的の回転数を維持できなくなった時点の再熱蒸気ライン45の圧力(中圧蒸気タービン32の定格圧力が4MPaの場合、例えば、2.5MPa)である。
【0055】
低圧タービンバイパス制御部150は、高圧タービンバイパス制御部140と同様で、低圧タービンバイパス弁76を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。より詳しくは、記憶部102に記憶された低圧主蒸気ライン51の目標圧力と、低圧蒸気圧力計54で検知された低圧主蒸気ライン51の圧力との偏差に応じて、低圧主蒸気ライン51の圧力が目標圧力となるように、低圧タービンバイパス弁76の弁開度を制御するようになっている。
【0056】
具体的には、低圧タービンバイパス制御部150は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から所定時間a経過後に、その時点における低圧主蒸気ライン51の圧力を記憶部102に記憶し目標圧力に設定する。
【0057】
中圧ドラム圧力制御部155は、中圧ドラム圧力調節弁62を、プラント停止過程における弁開度パターンに見合うように制御する構成とされる。より詳しくは、記憶部102に記憶された中圧ドラム24内の目標圧力と、中圧ドラム圧力計25で検知された中圧ドラム24内の圧力との偏差に応じて、中圧ドラム24内の圧力が目標圧力となるように、中圧ドラム圧力調節弁62の弁開度を制御するようになっている。
【0058】
具体的には、中圧ドラム圧力制御部155は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から所定時間a経過後に、その時点における中圧ドラム24内の圧力を記憶部102に記憶し目標圧力に設定する。
【0059】
なお、本実施形態の制御装置100は、コンピュータで構成されており、制御装置100の各部の処理は、いずれも、ハードディスクドライブ装置等の外部記憶装置やメモリ等の記憶装置と、この記憶装置に記憶されているプログラムを実行するCPUとを有して構成されている。
【0060】
次に、図3に従って、本実施形態のコンバインドサイクルプラントの停止過程における動作について説明する。
【0061】
制御装置100の受付部101は、外部からプラント停止指令Sを受け付けると、このプラント停止指令Sを各制御部105,110,…に出力する。
【0062】
ガスタービン出力制御部105は、プラント停止指令Sを受け付けるまでは、記憶部102に記憶された通常運転過程における目標出力と、出力計35で検知された出力との偏差に基づいて、燃料流量調節弁14の弁開度を定め、これを出力する。
【0063】
ガスタービン出力制御部105は、プラント停止指令Sを受け付けると、記憶部102に記憶されたプラント停止過程における目標出力と、出力計35で検知された出力との偏差に基づいて、燃料流量調節弁14の弁開度を定め、これを出力する。この結果、ガスタービン出力は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から徐々に低下して、所定時間a後に、定格出力のほぼ50%になり、所定時間a後からさらに所定時間x後までの間、定格出力のほぼ50%を維持し、その後、0になるまで徐々に低下する。なお、ここでは、所定時間a以降で維持されるガスタービン出力が定格出力のほぼ50%であるが、例えば、40%程度であっても、60%程度であってもよい。
【0064】
ガスタービン出力が徐々に低下すると、ガスタービン10から排気される排ガスのエネルギーが徐々に小さくなるため、高圧主蒸気ライン41の圧力及び再熱蒸気ライン45の圧力、さらに各蒸気タービン31,32,33の出力も徐々に低下する。
【0065】
中圧タービンバイパス制御部145は、再熱蒸気圧力計49で検知された再熱蒸気ライン45の圧力と、記憶部102に記憶されたプラント停止過程における再熱蒸気ライン45の目標圧力との偏差に基づいて、中圧タービンバイパス弁72の弁開度を定め、これを中圧タービンバイパス弁72に出力する。
【0066】
中圧タービンバイパス制御部145は、プラント停止指令Sを受け付けてから所定時間a後、前述したように、そのときの再熱蒸気ライン45の実際の圧力よりも確実に低い予め定めた圧力P1(中圧蒸気タービン32の定格圧力が4MPaの場合、例えば、2.5MPa)を目標圧力とする。この結果、制御装置100の受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間a経過時点から、中圧タービンバイパス弁72が開き始める。
【0067】
中圧タービンバイパス弁72が開き、再熱蒸気ライン45から中圧タービンバイパスライン71へ流れる蒸気の流量が多くなると、再熱蒸気ライン45の圧力は、この時点における目標圧力まで低下した後、しばらくの間、この目標圧力が維持される。そして、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間(a+x)経過し、前述したように、ガスタービン出力が再び低下し始め、再熱蒸気ライン45から中圧タービンバイパスライン71へ蒸気を流さなくても、再熱蒸気ライン45の圧力が目標圧力以下になると、中圧タービンバイパス弁72は全閉となる。
【0068】
中圧ドラム圧力制御部155は、中圧ドラム圧力計25で検知された再熱蒸気ライン45の圧力と、記憶部102に記憶されたプラント停止過程における再熱蒸気ライン45の目標圧力との偏差に基づいて、中圧ドラム圧力調節弁62の弁開度を定め、これを中圧ドラム圧力調節弁62に出力する。
【0069】
この結果、制御装置100の受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間a経過時点から、中圧ドラム圧力調節弁62はその弁開度が小さくなり、その後、一時的に弁開度が維持される。そして、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間(a+x)経過し、ガスタービン出力が再び低下し始めると、中圧ドラム圧力調節弁62は全閉となる。
【0070】
なお、中圧ドラム24の圧力は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から所定時間a経過後に、その時点における中圧ドラム24内の圧力とされるため、高めの圧力に保持される。
【0071】
各蒸気加減制御部115,125,135は、前述したように、記憶部102に記憶されている蒸気加減弁43,47,53の弁開度パターンに従って、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間b経過した時点から、弁開度0になるまで時間経過に伴って徐々に小さくなる弁開度を出力する。この結果、各蒸気加減弁43,47,53の弁開度は、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間b経過した時点から、徐々に小さくなり、最終的に0になる。
【0072】
このため、各蒸気タービン31,32,33の出力は、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けた時点から徐々に低下しているが、プラント停止指令Sを受け付けてから所定時間b経過すると、その低下速度が速まる。
【0073】
高圧蒸気止め制御部110、再熱蒸気止め制御部120及び低圧蒸気止め制御部130の各開閉指示部111,121,131は、対応する蒸気加減制御部115,125,135の切替部119,129,139からの出力が蒸気加減弁43,47,53の弁開度0を示すタイミングで、又はこのタイミングの直前又は直後で、対応する蒸気止め弁42,46,52に対して全閉を指示する。この時点以降に蒸気タービン30は停止する。
【0074】
高圧タービンバイパス制御部140及び低圧タービンバイパス制御部150は、対応する蒸気圧力計44,54で検知された圧力と、記憶部102に記憶されたプラント停止過程における各蒸気ライン41,51の目標圧力との偏差に基づいて、対応するタービンバイパス弁66,76の弁開度を定め、これを対応するタービンバイパス弁66,76に出力する。
【0075】
次に、図4に従って、比較例としてのコンバインドサイクルプラントの停止過程における動作について説明する。
【0076】
本比較例においても、制御装置が外部からプラント停止指令Sを受け付けると、ガスタービン出力は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から徐々に低下して、所定時間a後に、定格出力のほぼ50%になり、所定時間a後からさらに所定時間x後までの間、定格出力のほぼ50%を維持し、その後、0になるまで徐々に低下する。ガスタービン出力が徐々に低下すると、高圧主蒸気ライン41の圧力及び再熱蒸気ライン45の圧力、さらに各蒸気タービン31,32,33の出力も徐々に低下する。
【0077】
さらに、制御装置100が外部からプラント停止指令Sを受け付けると、プラント停止指令Sを受け付けてから所定時間a経過した時点の各蒸気ライン41,45,51の実際の圧力を目標圧力に定め、この時点以降の各蒸気ライン41,45,51の圧力がこの目標圧力になるよう、各タービンバイパス弁66,72,76の弁開度を制御する。
【0078】
この比較例では、再熱蒸気ライン45の圧力が比較的高い圧力P2に維持され、高圧蒸気タービン31の入出力間での圧力差ΔPが比較的小さくなって、高圧蒸気タービン31の仕事量が少なくなる結果、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ライン45の温度が上昇し、場合によっては、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ライン45の設計温度を超えることも考えられる。
【0079】
一方、本実施形態では、再熱蒸気ライン45の圧力が相対的に低い圧力P1に維持された後、高圧主蒸気ライン41の圧力が維持されるため、高圧蒸気タービン31の入出力間での圧力差ΔPが比較例よりも確実に大きくなり、高圧蒸気タービン31の仕事量が比較例よりも多くなる上に、高圧蒸気タービンの最終段部分や再熱蒸気ライン45の温度上昇を抑えることができる。また、中圧ドラム24内の圧力は、従来と同様に高めの圧力に保持されるため、排熱回収ボイラー20の熱を無駄に捨てることなく、コンバインドサイクルプラントを停止させることができる。
【0080】
したがって、本実施形態では、コンバインドサイクルプラントの停止過程において、高圧蒸気タービンの最終段部分や、再熱蒸気ライン45を形成する配管や、配管と弁との間に設けられているパッキン等の熱損傷を避けることができる。
【0081】
「第二実施形態」
次に、本発明に係るコンバインドサイクルプラントの第二実施形態について、図5図7を用いて説明する。
【0082】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントは、図5に示すように、第一実施形態のコンバインドサイクルプラントに、冷却用として中圧蒸気をガスタービン高温部12aに供給する冷却用蒸気供給ライン81を追加したものである。また、第一実施形態のコンバインドサイクルプラントにおける制御装置100に代えて、制御装置100aを有する。
【0083】
ガスタービン10の燃焼器12は、燃料及び圧縮空気を受け入れてこれらを噴出する燃料供給器(不図示)と、燃料供給器から燃料及び圧縮空気が内部に噴射され、燃料ガスの燃焼領域を形成する燃焼筒(不図示)と、を有している。燃焼筒は、高温の燃焼ガスに晒されるため、焼損することがある。そこで、この実施形態では、ガスタービン高温部12a、つまり燃焼器12の燃焼筒の冷却用として、この燃焼筒の周面に中圧蒸気を供給している。
【0084】
冷却用蒸気供給ライン81の上流端は、中圧主蒸気ライン61中の冷却用蒸気調節弁62aより上流側部分に接続され、冷却用蒸気供給ライン81の下流端は、再熱蒸気ライン45中の再加熱部26よりも下流側で中圧タービンバイパスライン71との接続部よりも上流側に接続されている。この冷却用蒸気供給ライン81中で、このライン81の途中に設けられているガスタービン高温部12aより下流側には、ここを流れる中圧蒸気を復水器36に逃がす冷却用蒸気逃しライン85が接続されている。
【0085】
冷却用蒸気供給ライン81には、このライン81中に設けられているガスタービン高温部12aの上流側と下流側との間の圧力差を検知する差圧計83が設けられている。また、この冷却用蒸気供給ライン81のガスタービン高温部12aより下流側で冷却用蒸気逃しライン85との接続部より上流側には、冷却用蒸気圧力計84が設けられている。さらに、この冷却用蒸気供給ライン81の冷却用蒸気逃しライン85との接続部より下流側には、冷却用蒸気回収弁82が設けられている。冷却用蒸気逃しライン85には、冷却用蒸気逃し弁86が設けられている。
【0086】
本実施形態の制御装置100aは、図6に示すように、第一実施形態の制御装置100とほぼ同様であるが、記憶部102に代えて記憶部102aを有し、さらに、冷却用蒸気調節弁62aの弁開度を制御する冷却用蒸気圧力制御部155aと、冷却用蒸気回収弁82の開閉を制御する冷却用蒸気回収制御部160と、冷却用蒸気逃し弁86の弁開度を制御する冷却用蒸気逃し制御部165と、を有している点が異なる。
【0087】
記憶部102aには、記憶部102の記憶内容に加えて、プラント停止過程における各弁62a,82,86等の弁開度パターン、プラント停止過程における各ライン81,85等の目標圧力の設定条件が予め記憶されている。また、ガスタービン高温部12aの上流側と下流側との間の目標差圧も記憶されている。
【0088】
次に、図7に従って、本実施形態のコンバインドサイクルプラントの停止過程における動作について説明する。
【0089】
本実施形態においても、先に述べた第一実施形態及び比較例と同様、制御装置100aのガスタービン出力制御部105が外部からプラント停止指令Sを受け付けると、ガスタービン出力は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から徐々に低下して、所定時間a後に、定格出力のほぼ50%になり、所定時間a後からさらに所定時間x後までの間、定格出力のほぼ50%を維持し、その後、0になるまで徐々に低下する。ガスタービン出力が徐々に低下すると、高圧主蒸気ライン41の圧力及び再熱蒸気ライン45の圧力、さらに各蒸気タービン31,32,33の出力も徐々に低下する。
【0090】
冷却用蒸気回収制御部160は、プラント停止指令Sを受け付けた時点から所定時間a経過後に、冷却用蒸気回収弁82に対して弁開度0(全閉)を出力する。これにより、冷却用蒸気供給ライン81は、再熱蒸気ライン45から切り離される。
【0091】
冷却用蒸気逃し制御部165は、プラント停止指令Sを受け付けると、冷却用蒸気圧力計84で検知された冷却用蒸気供給ライン81の圧力と、プラント停止過程におけるこの冷却用蒸気供給ライン81の目標圧力との偏差に基づいて、冷却用蒸気逃し弁86の弁開度を出力する。この結果、冷却用蒸気逃し弁86は、冷却用蒸気供給ライン81の圧力を目標圧力に維持するために開き始める。
【0092】
さらに、受付部101がプラント停止指令Sを受け付けてから所定時間(a+x)経過し、前述したように、ガスタービン出力が再び低下し始め、高圧主蒸気ライン41及び再熱蒸気ライン45の圧力の低下に伴って、中圧ドラム24内の圧力がより低下し、中圧ドラム圧力計25で検知された圧力が予め定められた最低圧力以下になると、冷却用蒸気圧力制御部155aが冷却用蒸気調節弁62aに弁開度0(全閉)を出力する。この結果、冷却用蒸気調節弁62aは全閉となる。
【0093】
以上、第2実施形態によると、コンバインドサイクルプラントを停止する際に、初めにGT冷却蒸気系統81を再熱系統45から切り離しておく。これにより、再熱蒸気ライン45は、第1実施形態と同様な配管形態となるので、再熱系統45は、第1実施形態と同様に、その必要圧力を確保できる。そして、冷却用蒸気逃し弁86が開くので、十分な冷却効果を得られるように、冷却用蒸気供給ライン81の圧力を維持することができる。
【符号の説明】
【0094】
10:ガスタービン
12a:ガスタービン高温部
20:排熱回収ボイラー
22:高圧ドラム
24:中圧ドラム
26:再加熱部
28:低圧ドラム
30:蒸気タービン
31:高圧蒸気タービン
32:中圧蒸気タービン
33:低圧蒸気タービン
45:再熱系統
81:冷却用蒸気供給ライン(GT冷却蒸気系統)
100,100a:制御装置(停止制御手段)
P1:低圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7