【実施例】
【0020】
本実施例の発電システムは、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと称する。)とガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた
トリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)である。このトリプルコンバインドサイクルは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の上流側にSOFCを設置することにより、SOFC、ガスタービン、蒸気タービンの3段階で電気を取り出すことができるため、極めて高い発電効率を実現することができる。なお、以下の説明では、本発明の燃料電池として固体酸化物形燃料電池を適用して説明するが、この形式の燃料電池に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本実施例の発電システムを表す概略構成図である。
図2は、本発明の一実施例に係る発電システムにおける排燃料ガス供給ラインの概略図である。本実施例において、
図1に示すように、発電システム10は、ガスタービン11及び発電機12と、SOFC13と、蒸気タービン14及び発電機15とを有している。この発電システム10は、ガスタービン11による発電と、SOFC13による発電と、蒸気タービン14による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成したものである。また、発電システム10は、制御装置62を備えている。制御装置62は、入力された設定、入力された指示及び検出部で検出した結果等に基づいて、発電システム10の各部の動作を制御する。
【0022】
ガスタービン11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から第1圧縮空気供給ライン26を通して供給された圧縮空気A1と、第1燃料ガス供給ライン27から供給された燃料ガスL1とを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から排ガス供給ライン28を通して供給された排ガス(燃焼ガス)Gにより回転する。なお、図示しないが、タービン23は、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1が車室を通して供給され、この圧縮空気A1を冷却空気として翼などを冷却する。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転することで発電することができる。なお、ここでは、燃焼器22に供給する燃料ガスL1として、例えば、液化天然ガス(LNG)を用いている。
【0023】
SOFC13は、還元剤としての高温の燃料ガスと酸化剤としての高温の空気(酸化性ガス)が供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行うものである。このSOFC13は、圧力容器内に空気極と固体電解質と燃料極が収容されて構成される。空気極に圧縮機21で圧縮された一部の圧縮空気A2が供給され、燃料極に燃料ガスが供給されることで発電を行う。なお、ここでは、SOFC13に供給する燃料ガスL2として、例えば、液化天然ガス(LNG)、水素(H
2)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)などの炭化水素ガス、石炭など炭素質原料のガス化設備により製造したガスを用いている。また、SOFC13に供給される酸化性ガスは、酸素を略15%〜30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である(以下、SOFC13に供給される酸化性ガスを空気という)。
【0024】
このSOFC13は、第1圧縮空気供給ライン26から分岐した第2圧縮空気供給ライン31が連結され、圧縮機21が圧縮した一部の圧縮空気A2を空気極の導入部に供給することができる。この第2圧縮空気供給ライン31は、供給する空気量を調整可能な制御弁32と、圧縮空気A2を昇圧可能なブロワ(昇圧機)33とが空気の流れ方向に沿って設けられている。制御弁32は、第2圧縮空気供給ライン31における空気の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ33は、制御弁32の下流側に設けられている。SOFC13は、空気極で用いられた排空気A3を排出する排空気ライン34が連結されている。この排空気ライン34は、空気極で用いられた排空気A3を外部に排出する排出ライン35と、燃焼器22に連結される圧縮空気循環ライン36とに分岐される。排出ライン35は、排出する空気量を調整可能な制御弁37が設けられ、圧縮空気循環ライン36は、循環する空気量を調整可能な制御弁38が設けられている。
【0025】
また、SOFC13は、燃料ガスL2を燃料極の導入部に供給する第2燃料ガス供給ライン41が設けられている。第2燃料ガス供給ライン41は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁42が設けられている。SOFC13は、燃料極で用いられた排燃料ガスL3を排出する排燃料ライン43が連結されている。この排燃料ライン43は、外部に排出する排出ライン44と、燃焼器22に連結される排燃料ガス供給ライン45とに分岐される。排出ライン44は、排出する燃料ガス量を調整可能な制御弁46が設けられ、排燃料ガス供給ライン45は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁47と、燃料を昇圧可能なブロワ48が燃料ガスL3の流れ方向に沿って設けられている。制御弁47は、排燃料ガス供給ライン45における燃料ガスL3の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ48は、制御弁47の下流側に設けられている。
【0026】
また、SOFC13は、排燃料ライン43と第2燃料ガス供給ライン41とを連結する燃料ガス再循環ライン49が設けられている。燃料ガス再循環ライン49は、排燃料ライン43の排燃料ガスL3を第2燃料ガス供給ライン41に再循環する再循環ブロワ50が設けられている。
【0027】
蒸気タービン14は、排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気によりタービン52を回転するものである。この排熱回収ボイラ51は、ガスタービン11(タービン23)からの排ガスライン53が連結されており、空気と高温の排ガスGとの間で熱交換を行うことで、蒸気Sを生成する。蒸気タービン14(タービン52)は、排熱回収ボイラ51との間に蒸気供給ライン54と給水ライン55が設けられている。そして、給水ライン55は、復水器56と給水ポンプ57が設けられている。発電機15は、タービン52と同軸上に設けられており、タービン52が回転することで発電することができる。なお、排熱回収ボイラ51で熱が回収された排ガスGは、有害物質を除去されてから大気へ放出される。
【0028】
ここで、本実施例の発電システム10の作動について説明する。発電システム10を起動する場合、ガスタービン11、蒸気タービン14、SOFC13の順に起動する。
【0029】
まず、ガスタービン11にて、圧縮機21が空気Aを圧縮し、燃焼器22が圧縮空気A1と燃料ガスL1とを混合して燃焼し、タービン23が排ガスGにより回転することで、発電機12が発電を開始する。次に、蒸気タービン14にて、排熱回収ボイラ51により生成された蒸気Sによりタービン52が回転し、これにより発電機15が発電を開始する。
【0030】
続いて、SOFC13では、まず、圧縮空気A2を供給して昇圧を開始すると共に加熱を開始する。排出ライン35の制御弁37と圧縮空気循環ライン36の制御弁38を閉止し、第2圧縮空気供給ライン31のブロワ33を停止した状態で、制御弁32を所定開度だけ開放する。すると、圧縮機21で圧縮した一部の圧縮空気A2が第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13側へ供給される。これにより、SOFC13側は、圧縮空気A2が供給されることで圧力が上昇する。
【0031】
一方、SOFC13では、燃料極側に燃料ガスL2を供給して昇圧を開始する。排出ライン44の制御弁46と排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉止し、ブロワ48を停止した状態で、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放すると共に、燃料ガス再循環ライン49の再循環ブロワ50を駆動する。すると、燃料ガスL2が第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13側へ供給されると共に、排燃料ガスL3が燃料ガス再循環ライン49により再循環する。これにより、SOFC13側は、燃料ガスL2が供給されることで圧力が上昇する。
【0032】
そして、SOFC13の空気極側の圧力が圧縮機21の出口圧力になると、制御弁32を全開にすると共に、ブロワ33を駆動する。それと同時に制御弁37を開放してSOFC13からの排空気A3を排出ライン35から排出する。すると、圧縮空気A2がブロワ33によりSOFC13側へ供給される。それと同時に制御弁46を開放してSOFC13からの排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する。そして、SOFC13における空気極側の圧力と燃料極側の圧力が目標圧力に到達すると、SOFC13の昇圧が完了する。
【0033】
その後、SOFC13の反応(発電)が安定し、排空気A3と排燃料ガスL3の成分が安定したら、制御弁37を閉止する一方、制御弁38を開放する。すると、SOFC13からの排空気A3が圧縮空気循環ライン36から燃焼器22に供給される。また、制御弁46を閉止する一方、制御弁47を開放してブロワ48を駆動する。すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。このとき、第1燃料ガス供給ライン27から燃焼器22に供給される燃料ガスL1を減量する。
【0034】
ここで、ガスタービン11の駆動による発電機12での発電、SOFC13での発電、蒸気タービン14の駆動により発電機15での発電が全て行われることとなり、発電システム10が定常運転となる。
【0035】
ところで、一般的な発電システムでは、制御弁47を開放してブロワ48を駆動すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。ここで、排燃料ガス供給ライン45の温度が低いと、排燃料ガス供給ライン45でガスタービン11に向けて供給される排燃料ガスの温度が低下する。排燃料ガスの温度が低下すると、ドレンが発生し、排燃料ガスの燃焼発熱量(カロリー)が変動する恐れがある。
【0036】
そこで、本実施例の発電システム10では、排燃料ガス供給ライン45を加熱する加熱手段102と、排燃料ガス供給ライン45で流す排燃料ガスの状態を検出する検出部104と、排燃料ガス供給ライン45のガスタービン11の近傍(本実施形態では、制御弁47よりも下流側)に配置された開閉弁(開閉制御弁)106、と、を設ける。発電システム10の制御装置(制御部)62は、排燃料ガス供給ライン45への排燃料ガスの供給開始時に、つまり制御弁47を開にした後に、検出部104の結果に基づいて、加熱手段102及び開閉弁106を駆動するようにしている。
【0037】
即ち、排燃料ガス供給ライン45を加熱するための加熱手段102を設け、検出部104の検出結果に基づいて、加熱手段102の加熱を制御する。さらに、検出部104の検出結果に基づいて、開閉弁106の開閉を制御することで、ガスタービン11(燃焼器22)への排燃料ガスの供給の実行、停止を制御する。すると、排燃料ガス供給ライン45を加熱することができ、さらに排燃料ガス供給ライン45を加熱した後に排燃料ガス供給ライン45を通過した排燃料ガスをガスタービンに供給することができる。これにより、ガスタービン11(燃焼器22)に供給する排燃料ガスの燃焼発熱量(カロリー)を安定させることができる。
【0038】
詳細に説明すると、
図2に示すように、加熱手段102は、排燃料ガス再循環ライン112と制御弁116とを有する。排燃料ガス再循環ライン112は、一方の端部が排燃料ガス供給ライン45のブロワ48と燃焼器22との間に接続され、他方の端部が燃料ガス再循環ライン49に接続されている。排燃料ガス再循環ライン112は、排燃料ガス供給ライン45から供給された排燃料ガスL3を燃料ガス再循環ライン49に供給する。制御弁116は、排燃料ガス再循環ライン112に設置されている。制御弁116は、開閉を切り換えることで、排燃料ガス再循環ライン112に排燃料ガスが流れるか流れないかを切り替え、開度を調整することで、排燃料ガス再循環ライン112を流れる排燃料ガスの流量を制御する。
【0039】
検出部104は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48より下流側、かつ、排燃料ガス再循環ライン112と連結している位置よりも上流側に配置されている。検出部104は、設置されている位置の排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスのカロリーを検出する検出装置である。なお、検出部104は、設置されている位置の排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスの状態を検出できる検出装置であればよく、例えば、排燃料ガスの温度を検出する温度検出装置を用いることもできる。ここで、排燃料ガスの状態とは、排燃料ガス供給ライン45を流れている間に排燃料ガスにドレンが生じたかを判定することができる各種条件である。なお、検出部104は、排燃料ガス供給ライン45のガスタービン11側、つまり、排燃料ガス再循環ライン112と連結している位置に近い側に配置することが好ましい。これにより、排燃料ガス供給ライン45が流れることで、排燃料ガスに生じる変化をより高い確率で検出することができる。
【0040】
開閉弁106は、排燃料ガス再循環ライン112と連結している位置よりも下流側、かつ、燃焼器22よりも上流側に配置されている。開閉弁106は、開閉を切り換えることで排燃料ガスL3を燃焼器22に供給するか否かを切り換えることができる。
【0041】
制御装置62は、少なくとも開閉弁106の開閉を調整可能である。そのため、制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスをガスタービン11に供給するか否かを切り換えることができる。また、本実施形態の制御装置62は、制御弁46、47、116の開閉及び開度を調整可能である。そのため、制御装置62は、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスの流れ、つまり排燃料を供給する機器を切り換えることができる。
【0042】
以下、
図2から
図4を用いて、上述した本実施例の発電システム10駆動方法について説明する。
図3は、本実施例の発電システムの駆動動作の一例を示すフローチャートである。
図4は、本実施例の発電システムの排燃料の流れを制御する弁の動作のタイミングを表すタイムチャートである。
図3に示す駆動動作は、制御装置(制御部)62が各部の検出結果に基づいて、演算処理を実行することで実現することができる。また、発電システム10は、
図3に示す処理の実行中も、燃料ガス再循環ライン49を用いた排燃料ガスの循環を並行して実行している。
【0043】
まず、制御装置62は、排燃料ライン43への排燃料ガスの供給を開始したら(ステップS12)、排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する(ステップS14)。具体的には、制御装置62は、
図4の時間t1に示すように、制御弁46を開とし、制御弁47を閉とし、制御弁116を閉とし、開閉弁106を閉とする。これにより、排燃料ガスL3は、
図2に示す矢印132の方向に排燃料ガスが流れ、排出ライン44から排出される。
【0044】
制御装置62は、排燃料ガスの状態が安定したかを判定する(ステップS16)。つまり、制御装置62は、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスの成分が安定しているかを判定する。制御装置62は、例えば、排燃料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて判定を行う。
【0045】
制御装置62は、排燃料ガスの状態が安定していないと判定した場合(ステップS16でNo)と判定した場合、ステップS16に戻り、ステップS16の判定を再び実行する。制御装置62は、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスの状態が安定するまで、排燃料ガスを排出ライン44から排出しつつ、ステップS16の処理を繰り返す。
【0046】
制御装置62は、排燃料ガスの状態が安定している(ステップS16でYes)と判定した場合、排燃料ガスを排燃料ガス供給ラインに供給開始し(ステップS18)、排燃料ガス再循環ラインを用いた排燃料ガス供給ラインの排燃料ガスの再循環を開始する(ステップS20)。具体的には、制御装置62は、
図4の時間t2に示すように、制御弁46の開度を小さくし、制御弁47を閉から開とする。これにより、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスL3を、排燃料ガス供給ライン45に供給することができる。さらに、制御装置62は、制御弁116を閉から開とし、開閉弁106を閉のまま維持する。制御装置62は、制御弁47を開として、排燃料ガス供給ライン45に排燃料ガスへの供給を開始したら、ブロワ48を駆動する。ブロワ48は、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3を排燃料ガス再循環ライン112との連結部に向けて送る。また、開閉弁106を閉とし、制御弁116を開とすることで、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3は、排燃料ガス再循環ライン112との連結部に到達すると、排燃料ガス再循環ライン112に流れる。これにより、排燃料ガス供給ライン45を流れた排燃料ガスL3は、
図2に示す矢印134の方向に排燃料ガスが流れ、排燃料ガス再循環ライン112を流れ、燃料ガス再循環ライン49に供給される。燃料ガス再循環ライン49に供給された排燃料は、他の排燃料及び燃料と混合され、再びSOFC13に供給される。制御装置62は、排燃料ガスを、排燃料ガス供給ライン45、排燃料ガス再循環ライン112、燃料ガス再循環ライン49、SOFC13の順で循環させることで、排燃料ガスで排燃料ガス供給ライン45を加熱することができる。また、加熱に利用した排燃料ガスをSOFC13に投入することで、再度加熱することができる。
【0047】
制御装置62は、排燃料ガスL3の再循環を開始したら、排燃料ガス供給ライン45の加熱が完了したかを判定する(ステップS22)。制御装置62は、検出部104の検出結果に基づいて、排燃料ガス供給ライン45の加熱が完了したかを判定する。制御装置62は、検出部104が検出した排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスの状態に基づいて、加熱手段102による排燃料ガス供給ライン45の加熱が完了したかを判定する。具体的には、検出部104は、排燃料ガスの状態として、排燃料ガスL3のカロリーや温度を計測することができる。制御装置62は、排燃料ガスL3の状態に基づいて、排燃料ガス供給ライン45に流れる排燃料ガスL3にドレンが発見されていないと判定した場合、排燃料ガス供給ライン45の加熱が終了したと判定する。制御装置62は、検出部104で温度を検出する場合、温度が一定の値以上となったら加熱が完了したと判定する。
制御装置62は、検出部104で排燃料ガスのカロリーを検出する場合、カロリーが所定の範囲内となったら加熱が完了したと判定する。
【0048】
制御装置62は、加熱が完了していないと判定した場合(ステップS22でNo)と判定した場合、ステップS22に戻り、ステップS22の判定を再び実行する。制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45の加熱が終了するまで、つまり、検出部104で検出する排燃料ガスの状態が安定するまで、排燃料ガス再循環ライン112を用いた排燃料ガスL3の再循環を継続しつつ、ステップS22の処理を繰り返す。これにより、制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45から排燃料ガスをガスタービン11に供給しない状態で、排燃料ガス供給ライン45を加熱することができる。また、制御装置62は、排燃料ガスの再循環を開始したら、排燃料ガスの状態(例えば検出部104で検出した排燃料ガスの温度)に基づいて、制御弁46の開度を調整する。具体的には、排燃料ガス供給ライン45に排燃料ガスL3が流入して排燃料ガス供給ライン45の圧力が上昇したら、制御弁46の開度を大きくする。これにより、排燃料ライン43から供給される排燃料ガスL3のうち余剰な排燃料ガスL3を排出ライン44から排出することができる。
【0049】
制御装置62は、加熱が完了した(ステップS22でYes)と判定した場合、排燃料ガス再循環ライン112を用いた排燃料ガスL3の再循環を停止し、ガスタービン11への排燃料ガスの供給を開始する(ステップS24)。具体的には、制御装置62は、
図4の時間t2に示すように、制御弁46を開から閉に切り換え、制御弁47を開のまま維持し、制御弁116を開から閉とし、開閉弁106を閉から開とする。これにより、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3は、供給される先が排燃料ガス再循環ライン112から、開閉弁106の先の燃焼器22に切り換えられ、
図2の矢印136に示す方向に排燃料ガスL3が供給される。制御装置62は、燃焼器22への排燃料ガスの供給を開始したら、本処理を終了する。
【0050】
このように本実施例の発電システム10は、加熱手段102を用いて、排燃料ガス供給ライン45を加熱し、排燃料ガス供給ライン45の加熱が完了してから、ガスタービン11への排燃料ガスL3の供給を開始する。これにより、運転開始時等の低温(常温)な状態の排燃料ガス供給ライン45を流れ、温度が低下した排燃料ガスL3がガスタービン11に供給されることを抑制することができる。
【0051】
ここで、排燃料ガスL3は、冷却されるとドレンが発生する。ドレンが発生した排燃料ガス供給ライン45の下流側の排燃料ガスL3は、成分の構成が変化し、水分量が減ることで燃焼発熱量(カロリー)が高くなる。また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45が排燃料ガスにより加熱されるため、ドレンの発生量が徐々に変化する。また、その後、排燃料ガス供給ライン45で発生したドレンが蒸発すると、蒸発したドレンが排燃料ガスL3に混入し、排燃料ガスL3のH
2O分が多くなる。排燃料ガスL3は、H
2O分が多くなると、燃焼発熱量(カロリー)が低くなる。これにより、排燃料ガス供給ライン45の下流側の排燃料ガスL3は、燃料発熱量が徐々に変化する。このような排燃料ガスL3をガスタービン11に供給すると、ガスタービン11での燃焼の制御が複雑になる。また、そもそもドレンが発生した状態の排燃料ガスL3をガスタービン11の燃焼器に供給することは好ましくない。これに対して、本実施例の発電システム10は、上述したように、排燃料ガス供給ライン45の加熱が完了してから、ガスタービン11への排燃料ガスL3の供給を開始する。これにより、ガスタービン11に供給する排燃料ガスL3の燃焼発熱量の変動を抑制することができる。供給する排燃料ガスL3の成分を安定できることで、ガスタービン11の燃焼を安定させることができる。これにより、制御を簡単にすることができ、また、ガスタービン11への悪影響も低減することができる。
【0052】
なお、本実施例の発電システム10は、加熱手段102として、排燃料ガス再循環ライン112を設け、排燃料ガスを再循環させる構成としている。このように加熱源として排燃料ガスL3を用いることで、新たな加熱源を用いる必要がないため、装置構成を簡単にすることができる。また、発電システム10は、排燃料ガス再循環ライン112を設け、排燃料ガスL3を再びSOFC13に戻すことで、排燃料ガスL3を再加熱し、排燃料ガス再循環ライン112の加熱を終了した後、ガスタービン11に供給することができる。これにより、排燃料ガスL3を効率よく利用することができる。
【0053】
また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48よりも下流側に排燃料ガス再循環ライン112を連結させることで、排燃料ガス再循環ライン112に排燃料ガスを供給する駆動源として、ブロワ48を用いることができる。これにより、1つのブロワ48を有効に活用することができる。
【0054】
発電システム10は、開閉弁106を排燃料ガス供給ライン45のガスタービン11(燃焼器22)の近傍に配置することが好ましい。つまり、発電システム10は、開閉弁106と燃焼器22との距離を短くすることが好ましい。これにより、開閉弁106を開とし、ガスタービン11への排燃料ガスの供給を開始した際に、ガスタービン11へ供給する排燃料ガスL3で加熱する排燃料ガス供給ライン45の範囲を短くすることができる。これにより、ガスタービン11への排燃料ガスL3の供給を開始した際に、開閉弁106よりも下流側の範囲の排燃料ガス供給ライン45の排燃料ガスL3にドレンが発生することを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48及び検出器104よりも上流側に制御弁47を設けることで、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48及び検出器104を配置している範囲に排燃料ガスL3を供給するか否かを切り換えることができる。また、
図1では、制御弁47の位置を排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22側に配置した位置としているが配置位置は特に限定されず、排出ライン44との連結部よりも下流側、かつ、排燃料ガス再循環ライン112との連結部よりも上流側であればよい。なお、発電システム10は、必ずしも制御弁47を設ける必要はない。
【0056】
なお、発電システム10は、加熱手段として他の加熱方法を用いてもよい。例えば、排燃料ガス再循環ライン112を他の機器から排出される蒸気、例えば排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気を用いて加熱してもよいし、排燃料ガス再循環ライン112に電熱線等を巻きつけ、当該電熱線に電気を流して発熱させることで排燃料ガス再循環ライン112を加熱してもよい。
【0057】
開閉弁106は、少なくとも開閉を切り換えることができればよいが、開度を調整する制御弁でもよい。また、制御弁47は、少なくとも開閉を切り換えることができればよく、制御弁でもよい。同様に、なお、排燃料ガス供給ライン45に設けた制御弁47と、開閉弁106とは、少なくとも一方を開度(流路抵抗)が調整できる制御弁とすることが好ましい。これにより、燃焼器22に供給する排燃料ガスの量を調整することができる。