特許第6071438号(P6071438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071438
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】シェービングエイド付き剃刀
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/44 20060101AFI20170123BHJP
   B26B 21/40 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B26B21/44 B
   B26B21/40 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-244027(P2012-244027)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-90932(P2014-90932A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】幅 大介
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−518941(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/107821(WO,A1)
【文献】 特表2008−516677(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/053814(WO,A1)
【文献】 特開2003−019372(JP,A)
【文献】 特表2014−528278(JP,A)
【文献】 国際公開第94/04325(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102216040(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/44
B26B 21/40
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービングエイドを設けた剃刀において、そのシェービングエイド自体には使用時に皮膚面との接触に伴い変形し得る変形可能部を設け、このシェービングエイドは、刃体を有する組付部に支持された状態で設けられた環状の支持部と、その組付部に支持されていない状態で環状の支持部の内側に設けられた非支持部とを有し、前記変形可能部はその非支持部に設けられていることを特徴とするシェービングエイド付き剃刀。
【請求項2】
前記変形可能部は非支持部とその支持部との境で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項3】
前記シェービングエイド自体の変形可能部は可撓部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項4】
前記シェービングエイド自体の変形可能部は薄肉部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項5】
前記シェービングエイド自体の変形可能部は溝部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項6】
シェービングエイドを設けた剃刀において、そのシェービングエイド自体には使用時に水分を含んで膨張変形する方向を分散する膨出緩和部を設けたことを特徴とするシェービングエイド付き剃刀。
【請求項7】
前記シェービングエイド自体の膨出緩和部は溝部を有していることを特徴とする請求項6に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項8】
前記シェービングエイドは、組付部に設けた貫通孔の貫通方向の両側における端縁部間に設けられている請求項1〜7のうちいずれか一つの請求項に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【請求項9】
前記シェービングエイドは、組付部において刃体の刃先に対する反対側に設けられている請求項1〜8のうちいずれか一つの請求項に記載のシェービングエイド付き剃刀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の各種部分に生える膚毛を剃ることができるシェービングエイド付き剃刀に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1において、シェービングエイドを有する台部材は、刃体組付部材に対し回動可能に支持されて板ばねの弾性力により保持され、使用時にその弾性力に抗して揺動してシェービングエイドと皮膚面との接触による剃り抵抗を緩衝することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4921747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、刃体組付部材に台部材を回動可能に支持して板ばねにより保持する支持構造となっているため、部品点数が増えるとともに刃体組付部材に対する台部材の組付作業を必要として、製造コストが増加する問題があった。また、シェービングエイドが使用時に水分を含んで膨張変形して必要以上に突出すると、シェービングエイドが皮膚面に対し必要以上に圧接されて剃り味を悪くするおそれがあり、また、刃体の刃先が皮膚面に適切に当りにくくなるおそれもあった。
【0005】
この発明は、シェービングエイドを設けた剃刀において、使用時の剃り味を向上させることを目的としている。また、シェービングエイドの支持構造を簡単にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜4)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀にはシェービングエイド(25)が設けられ、そのシェービングエイド(25)自体には使用時に皮膚面との接触に伴い変形し得る変形可能部(28)を設けている。このシェービングエイド(25)は、刃体(14)を有する組付部(9)に支持された状態で設けられた環状の支持部(26)と、その組付部(9)に支持されていない状態で環状の支持部(26)の内側に設けられた非支持部(27)とを有し、前記変形可能部(28)はその非支持部(27)に設けられている。
【0007】
請求項1の発明では、シェービングエイド(25)自体が変形して、使用時にシェービングエイド(25)と皮膚面との接触による剃り抵抗を緩衝するので、皮膚面に対する感触を良くして剃り味を向上させるとともに、シェービングエイド(25)の支持構造を簡単にすることができる。また、シェービングエイド(25)を環状の支持部(26)で組付部(9)に支持することができるとともに、シェービングエイド(25)を非支持部(27)の変形可能部(28)で容易に変形させることができる。
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記変形可能部(28)は非支持部(27)と支持部(26)との境で設けられている。請求項2の発明では、シェービングエイド(25)を支持部(26)で組付部(9)に支持することができるとともに、変形可能部(28)を境としてシェービングエイド(25)の変形度を変えて、組付部(9)に対するシェービングエイド(25)の支持及び変形を容易に行うことができる。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記シェービングエイド(25)自体の変形可能部(28)は可撓部(28b)を有している。請求項3の発明では、シェービングエイド(25)自体を変形させることができる変形可能部(28)を可撓部(28b)により容易に設けることができる。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項4の発明において、前記シェービングエイド(25)自体の変形可能部(28)は薄肉部(28b)を有している。請求項4の発明では、シェービングエイド(25)自体を変形させることができる変形可能部(28)を薄肉部(28b)により容易に設けることができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項5の発明において、前記シェービングエイド(25)自体の変形可能部(28)は溝部(28a)を有している。請求項5の発明では、シェービングエイド(25)自体を変形させることができる変形可能部(28)を溝部(28a)により容易に設けることができる。
【0014】
請求項6の発明にかかる剃刀にはシェービングエイド(25)が設けられ、そのシェービングエイド(25)自体には使用時に水分を含んで膨張変形する方向を分散する膨出緩和部(28a)を設けている。
【0015】
請求項6の発明では、シェービングエイド(25)が必要以上に膨張変形するのを防止することができるので、使用時にシェービングエイド(25)が皮膚面に対し必要以上に圧接されるのを防止するとともに刃体(14)の刃先(14a)が皮膚面に適切に当たるようにして剃り味を向上させることができる。
【0016】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記シェービングエイド(25)自体の膨出緩和部は溝部(28a)を有している。請求項7の発明では、シェービングエイド(25)自体の膨張変形方向を分散させる膨出緩和部を溝部(28a)により容易に設けることができる。
【0019】
請求項1〜7のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項8の発明において、前記シェービングエイド(25)は、組付部(9)に設けた貫通孔(20)の貫通方向(X)の両側における端縁部(20a,20b)間に設けられている。請求項8の発明では、シェービングエイド(25)が貫通孔(20)の外側へ必要以上に膨張変形するのを抑え、使用時にシェービングエイド(25)が皮膚面に対し必要以上に圧接されるのを防止するとともに刃体(14)の刃先(14a)が皮膚面に適切に当たるようにして剃り味を向上させることができる。
【0020】
請求項1〜8のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項9の発明において、前記シェービングエイド(25)は、組付部(9)において刃体(14)の刃先(14a)に対する反対側に設けられている。請求項9の発明では、組付部(9)にシェービングエイド(25)を設けるスペースを容易に確保することができる。
【0027】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1〜9のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする第10の発明にかかるシェービングエイド(25)において、非支持部(27)の最大厚みは支持部(26)の最大厚みより薄く設定されている。第10の発明では、シェービングエイド(25)において非支持部(27)を容易に変形させることができる。
【0028】
請求項1〜9のうちいずれか一つの請求項の発明または第10の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第11の発明にかかるシェービングエイド(25)において、刃体(14)の刃先(14a)に対し交叉する方向(Z)の幅は、刃体(14)の刃先(14a)に沿う方向(Y)の両側ほど狭く設けられ、その両側間の中間で最も広く設けられている。第11の発明では、刃体(14)の刃先(14a)に沿う方向(Y)の中間部でシェービングエイド(25)の幅を広く設けることにより、使用時にシェービングエイド(25)と皮膚面との接触による剃り抵抗を緩衝し易くして剃り味を向上させることができる。
【0029】
請求項1〜9のうちいずれか一つの請求項の発明または第10〜11の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第12の発明にかかるシェービングエイド(25)は、射出成形により成形されて、刃体(14)を有する組付部(9)に設けられている。第12の発明では、組付部(9)にシェービングエイド(25)を容易に一体成形することができる。
【0030】
請求項1〜9のうちいずれか一つの請求項の発明または第10〜12の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第13の発明にかかるシェービングエイド(25)は、少なくとも、水溶性成分と、軟質樹脂を含む非水溶性成分とにより成形され、非水溶性成分において軟質樹脂がシェービングエイド(25)の全体に対し占める重量割合は、水溶性成分がシェービングエイド(25)の全体に対し占める重量割合より大きく設定されている。第13の発明では、剃り味を向上させるシェービングエイド(25)を提供することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、シェービングエイド(25)を設けた剃刀において、使用時に剃り味を向上させることができる。また、シェービングエイド(25)の支持構造を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は首振り式剃刀において剃刀ヘッドの中立位置でキャップを装着して正面側から見た全体斜視図であり、(b)は同じく背面側から見た全体斜視図である。
図2】(a)は図1(a)(b)の首振り式剃刀においてホルダの頭部及び剃刀ヘッドを示す部分拡大側面図であり、(b)は同じく側面側から見た部分拡大断面図である。
図3】(a)は図1(a)(b)の首振り式剃刀においてホルダの頭部及び剃刀ヘッドを示す部分拡大正面図であり、(b)は同じく部分拡大背面図である。
図4】(a)は図3(a)において上下両側のシェービングエイドのうち上側のシェービングエイドのみを示す部分拡大縦断面図であり、(b)は同じく部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態にかかる剃刀について図面を参照して説明する。
図1(a)(b)に示すように、ホルダ1においては把持部2の上端部に頭部3が設けられている。頭部3の正面側には剃刀ヘッド4が首振り機構5により取り付けられている。剃刀ヘッド4の下側にはキャップ4aが下方から上方へ着脱可能に嵌め込まれている。
【0034】
図2(a)(b)に示すように、首振り機構5においては、ホルダ1の頭部3に設けられた環状の支持部6と、剃刀ヘッド4に設けられた被支持部7との間に環状の弾性部8が介在され、剃刀ヘッド4がその弾性部8により付勢されて静止する中立位置からその弾性部8の付勢力に抗して頭部3の正面側への向きなどを含む三次元方向に傾動した首振り位置を取り得る。
【0035】
図2(b)及び図3(a)(b)に示すように、剃刀ヘッド4に設けられた組付部9は、主体部10と枠体部11とを備えている。組付部9の主体部10においては、台部12と覆い部13との間で複数の刃体14が組み付けられている。前記被支持部7は台部12から突設された連結部7aと前記弾性部8に取着された連結部7bとを有し、その両連結部7a,7bが互いに挿着されている。
【0036】
組付部9の枠体部11は、各刃体14の刃先14aの延設方向Y(左右方向)に対し直交する上下方向Zの両側のうち、刃先14a側に設けられた下側の外枠部15と、刃先14a側に対する反対側に設けられた上側の外枠部16と、刃先14aの延設方向Y(左右方向)の両側で下側の外枠部15と上側の外枠部16とを互いにつなぐ左側の外枠部17及び右側の外枠部18と、これらの外枠部15,16,17,18で囲まれて前後方向Xに開放された開孔19とを有している。主体部10は開孔19に嵌め込まれ、主体部10の下側と上側と左側と右側とを互いにつなぐ外周が各外枠部15,16,17,18で囲まれている。刃体14の刃先14aは開孔19で前方へ露出している。
【0037】
図2(b)、図3(a)(b)及び図4(a)(b)に示すように、枠体部11において上側の外枠部16には貫通孔20が前後方向X(貫通方向)に貫設されて開放されている。貫通孔20の内周において、前側の端縁部20aと後側の端縁部20bとの間で、下側の内側部21と左側の内側部22と右側の内側部23と上側の内側部24とが形成されている。左側の内側部22及び右側の内側部23では、左側の内側面22a及び右側の内側面23aが段差面22b,23bを介して形成されている。上側の内側部24では、上側の内側面24aが前側の端縁部20aと後側の端縁部20bとの間の全体にわたり左側の内側面22a及び右側の内側面23aと連続して形成されている。下側の内側部21では、下側の内側面21aと、前記主体部10の覆い部13の上側との間で段差状をなす段差面21bとが形成されている。
【0038】
貫通孔20のそれらの内側部21,22,23,24で環状に連続する前側の端縁部20aと後側の端縁部20bとの間には、シェービングエイド25が射出成形により組付部9の枠体部11と一体的に取着されている。シェービングエイド25は、水溶性のポリエチレンオキシドなどの水溶性成分と、エラストマー樹脂などの軟質樹脂を含む非水溶性成分とを含んで成形されている。非水溶性成分において軟質樹脂がシェービングエイド25の全体に対し占める重量割合は、水溶性成分がシェービングエイド25の全体に対し占める重量割合より大きく設定されている。エラストマー樹脂は30%以上の重量割合(実施形態では50%若しくはそれ以上の重量割合)に設定され、水溶性成分は50%以下の重量割合(実施形態では15%の重量割合)に設定されている。
【0039】
なお、剃刀ヘッド4における組付部9の主体部10及び枠体部11と被支持部7について、刃体14以外は樹脂により成形されている。
シェービングエイド25は、貫通孔20の内側部21,22,23,24で内側面21a,22a,23a,24a及び段差面21b,22b,23bに取着された環状の支持部26と、その支持部26の内側に形成された非支持部27とを有している。その支持部26及び非支持部27は一体成形されて前後方向X(厚み方向)の両側へ開放されている。支持部26は、内側面21a,22a,23a,24aに取着された連結部26aと、段差面21b,22b,23bに取着された連結部26bとを有している。段差面21b上の連結部26bは主体部10の覆い部13の上側に隣接している。支持部26の内側には非支持部27の後側に並ぶ空域部26cが形成されている。非支持部27は、支持部26との境で環状に形成された変形可能部28と、その変形可能部28の内側に形成された可動部29とを有している。変形可能部28は、環状の溝部28a(膨出緩和部)と、その溝部28aにより形成された環状の薄肉部28b(可撓部)とを有している。可動部29は、薄肉部28bの内周で前方へ屈曲されて薄肉部28bの内側に形成された空域部29aにより膨出し、溝部28aにより囲まれている。貫通孔20の前側の端縁部20aを通る平面上には支持部26の連結部26a,26b及び非支持部27の可動部29が位置し、貫通孔20の後側の端縁部20bを通る平面上には支持部26の連結部26aが位置している。非支持部27の最大厚みは支持部26の最大厚みより薄く設定されている。シェービングエイド25において、刃先14aの延設方向Y(左右方向)に対し交叉する上下方向Zの幅は、その延設方向Yの両側ほど狭く設けられ、その両側間の中間で最も広く設けられている。
【0040】
主体部10の覆い部13の上側において、左右両側でそれぞれ一つずつ形成された凹部13aと、左右両凹部13a間で形成された複数の凹部13bとが貫通孔20の前側の端縁部20aに沿って左右方向Yへ並設されてシェービングエイド25に面して開放されている。中間の各凹部13bは左右両凹部13aを結ぶ面の内側に位置している。シェービングエイド25から溶け出た水溶性成分や、皮膚に予め塗布されたシェービングフォームなどのシェービング補助剤が、左右両凹部13aより中間の各凹部13bに入り易くなって溜まり易い。
【0041】
主体部10の覆い部13の左右両側には上下方向Zへ延びる帯状の突部13cが形成され、それらの突部13cの頂面は各刃体14の刃先14aを通る面上にほぼ位置する。左右両突部13cは、使用時に皮膚面に対し各刃先14aとともに接触し、剃刀ヘッド4を安定させながら上下方向Zへ案内する。
【0042】
また、図2(b)に示すように、枠体部11において下側の外枠部15の後側に形成された段差部30にはシェービングエイド31が上側の外枠部16のシェービングエイド25とともに同時に射出成形されて組付部9の枠体部11と一体的に取着されている。段差部30のシェービングエイド31は主体部10の覆い部13の下側に隣接している。
【0043】
ちなみに、図3(a)(b)において剃刀ヘッド4の組付部9(主体部10及び枠体部11)については、左右方向Yの最大寸法が約48mm、上下方向Zの最大寸法が約30mmにそれぞれ設定されている。また、図4(a)(b)において、シェービングエイド25の支持部26の最大厚みが約3mmに設定され、シェービングエイド25の非支持部27の薄肉部28b及び可動部29の最大厚みは約0.8mmに設定され、0.5〜1.5mmに設定することが好ましい。
【0044】
次に、剃刀の作用をシェービングエイド25,31の機能を中心に説明する。
使用時に中立位置の剃刀ヘッド4を皮膚面に押さえ付けて膚毛を剃ると、剃刀ヘッド4は押さえ付けられる向きに応じて首振り機構5の弾性部8の付勢力に抗して傾動し、膚毛を剃る際の抵抗を和らげる。剃刀ヘッド4のシェービングエイド25,31は水分を含んだ状態で皮膚面に当てがわれるため、剃刀ヘッド4の滑りを良くして剃り味を向上させる。非支持部27に変形可能部28を有するシェービングエイド25については、皮膚面との接触に伴い溝部28a及び薄肉部28bで変形し得るため、皮膚面に対する感触を良くするとともに、水分を含んで膨張変形する方向を溝部28a内や厚み方向Xの両側に分散するため、膨張変形に伴う皮膚面への接触を緩和して、より一層剃り味を向上させる。
【0045】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) シェービングエイド25自体が変形して、使用時にシェービングエイド25と皮膚面との接触による剃り抵抗を緩衝するので、皮膚面に対する感触を良くして剃り味を向上させることができる。
【0046】
(2) シェービングエイド25自体が変形するので、シェービングエイドを有する台部材が揺動する従来の剃刀と比較して、シェービングエイド25の支持構造を簡単にすることができる。
【0047】
(3) シェービングエイド25が水分を含んで膨張変形する方向を膨出緩和部として溝部28a内や厚み方向Xの両側に分散するため、シェービングエイド25が必要以上に膨張変形するのを抑え、膨張変形に伴う皮膚面への接触を緩和するとともに刃体14の刃先14aが皮膚面に適切に当り易くして剃り味を向上させることができる。
【0048】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態において、首振り機構5を省略し、剃刀ヘッド4をホルダ1の頭部3に対し首振り不能に支持する。
【0049】
・ 前記実施形態において、主体部10と枠体部11とを一体化した剃刀ヘッド4にシェービングエイド25,31を設ける。
・ 前記実施形態において、剃刀ヘッド4のシェービングエイド31を省略する。
【0050】
・ シェービングエイド25を剃刀ヘッド4以外、例えばホルダ1やキャップ4aに設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
9…剃刀ヘッドの組付部、14…刃体、14a…刃先、20…貫通孔、20a,20b…端縁部、25…シェービングエイド、26…支持部、27…非支持部、28…変形可能部、28a…溝部(膨出緩和部)、28b…薄肉部(可撓部)、X…シェービングエイドの厚み方向(貫通孔の貫通方向)
図1
図2
図3
図4