(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い前記製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報が設定された時間区間に関連付けて記憶された故障情報記憶部と、
前記製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い前記製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化を記憶したプロセスデータ記憶部と、
前記プロセスデータ記憶部に記憶されているプロセスパラメータの変化より前記時間区間のプロセスデータセットを抽出するプロセスデータ抽出部と、
前記プロセスデータ抽出部が抽出したプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算するプロセスデータ代表値演算部と、
前記プロセスデータ代表値演算部が演算したプロセスデータ代表値と、前記故障情報記憶部に記憶されている故障情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成するプロセス故障対応データ生成部と、
前記プロセス故障対応データ生成部が生成したプロセス故障対応データを視認可能に表示する表示部と
を少なくとも備えることを特徴とする故障判断支援装置。
製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い前記製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を設定された時間区間に関連付けて記憶する故障情報記憶ステップと、
前記製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い前記製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化を記憶するプロセスデータ記憶ステップと、
前記プロセスデータ記憶ステップで記憶されたプロセスパラメータの変化より前記時間区間のプロセスデータセットを抽出するプロセスデータ抽出ステップと、
前記プロセスデータ抽出ステップによって抽出されたプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算するプロセスデータ代表値演算ステップと、
前記プロセスデータ代表値演算ステップで演算されたプロセスデータ代表値と、前記故障情報記憶ステップで記憶された故障情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成するプロセス故障対応データ生成ステップと、
前記プロセス故障対応データ生成ステップで生成されたプロセス故障対応データを視認可能に表示する表示ステップと
を少なくとも備えることを特徴とする故障判断支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、点検項目値は、点検モードで取得されることが多く、また、取得の頻度も高くない。一方、オンラインで接続されているセンサは、装置の制御などに利用されるため、常時プロセスデータを取得し続けている。このようなプロセスデータは、膨大であるがゆえに、装置の故障・劣化の状態と関連付けることが難しく、このままでは、製造装置の故障・劣化の状態(予兆)管理に利用することが容易ではないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、プロセスパラメータから製造設備の故障予兆が把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る故障判断支援装置は、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報が設定された時間区間に関連付けて記憶された故障情報記憶部と、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化を記憶したプロセスデータ記憶部と、プロセスデータ記憶部に記憶されているプロセスパラメータの変化より時間区間のプロセスデータセットを抽出するプロセスデータ抽出部と、プロセスデータ抽出部が抽出したプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算するプロセスデータ代表値演算部と、プロセスデータ代表値演算部が演算したプロセスデータ代表値と、故障情報記憶部に記憶されている故障
情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成するプロセス故障対応データ生成部と、プロセス故障対応データ生成部が生成したプロセス故障対応データを視認可能に表示する表示部とを少なくとも備える。
【0007】
上記故障判断支援装置において、設定されているプロセスパラメータに関してプロセスデータ代表値演算部が演算したプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲になったことを検出して異常判定を生成する故障判断部を備え、表示部は、故障判断部が生成した異常判定を視認可能に表示する
。
【0008】
また、本発明に係る故障判断支援方法は、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を設定された時間区間に関連付けて記憶する故障情報記憶ステップと、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化を記憶するプロセスデータ記憶ステップと、プロセスデータ記憶ステップで記憶されたプロセスパラメータの変化より時間区間のプロセスデータセットを抽出するプロセスデータ抽出ステップと、プロセスデータ抽出ステップによって抽出されたプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算するプロセスデータ代表値演算ステップと、プロセスデータ代表値演算ステップで演算されたプロセスデータ代表値と、故障情報記憶ステップで記憶された故障
情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成するプロセス故障対応データ生成ステップと、プロセス故障対応データ生成ステップで生成されたプロセス故障対応データを視認可能に表示する表示ステップとを少なくとも備える。
【0009】
上記故障判断支援方法において、設定されているプロセスパラメータに関してプロセスデータ代表値演算ステップで演算されたプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲になったことを検出して異常判定を生成する故障判断ステップを備え、表示ステップでは、故障判断ステップが生成した異常判定を視認可能に表示する。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を設定された時間区間に関連付けて記憶する故障情報記憶機能と、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化を記憶するプロセスデータ記憶機能と、プロセスデータ記憶機能に記憶されているプロセスパラメータの変化より時間区間のプロセスデータセットを抽出するプロセスデータ抽出機能と、プロセスデータ抽出機能が抽出したプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算するプロセスデータ代表値演算機能と、プロセスデータ代表値演算機能が演算したプロセスデータ代表値と、故障情報記憶機能に記憶されている故障
情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成するプロセス故障対応データ生成機能と、プロセス故障対応データ生成機能が生成したプロセス故障対応データを視認可能に表示する表示機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したことにより、本発明によれば、プロセスパラメータから製造設備の故障予兆が把握できるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0014】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について
図1,
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における故障判断支援装置の構成を示す構成図である。また、
図2は、本発明の実施の形態1における故障判断支援装置の動作例(故障判断支援方法)を説明するフローチャートである。
【0015】
この故障判断支援装置は、故障情報記憶部101,プロセスデータ記憶部102,プロセスデータ抽出部103,プロセスデータ代表値演算部104,プロセス故障対応データ生成部105,および表示部106を備える。
【0016】
故障情報記憶部101は、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を、設定された時間区間に関連付けて記憶する。プロセスデータ記憶部102は、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られた各プロセスパラメータの変化を、プロセスパラメータ毎に記憶する。例えば、圧力,温度,流量,電圧などの製造設備におけるプロセスパラメータを経時的に測定することで得られる各データ(プロセスデータ)を、時系列的に記憶している。
【0017】
プロセスデータ抽出部103は、プロセスデータ記憶部102に記憶されているプロセスパラメータ
の変化から、上述した時間区間のプロセスデータセットを抽出する。
プロセスデータ抽出部103は、プロセスパラメータ毎にプロセスデータセットを抽出する。時間区間は、ユーザにより任意に入力設定されたものである。時間区間は、例えば、製造プロセスの開始・終了、および、特定の信号がON/OFFとなった区間などで定義され、必要に応じて、製造レシピや製品情報なども同時に記録される場合がある。
【0018】
プロセスデータ代表値演算部104は、プロセスデータ抽出部103が抽出したプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算する。
プロセスデータ代表値演算部104は、プロセスデータセット毎に、プロセスパラメータからプロセスデータ代表値を演算する。プロセスデータ代表値演算部104は、例えば、プロセスデータセットの、最大値,最小値,平均値,標準偏差などをプロセスデータ代表値とする。
【0019】
プロセス故障対応データ生成部105は、プロセスデータ代表値演算部104が演算したプロセスデータ代表値と、故障情報記憶部101に記憶されている故障
情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成する。表示部106は、プロセス故障対応データ生成部105が生成したプロセス故障対応データを視認可能に表示する。プロセスパラメータ毎に、時間区間のプロセスデータ代表値の時系列の変化が示され、これらと共に時間区間の故障
情報の変化が、表示される。
【0020】
以下、本発明の実施の形態1における故障判断支援装置の動作例について、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0021】
まず、ステップS101で、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を設定された時間区間に関連付けて故障情報記憶部101に記憶する(故障情報記憶ステップ)。次に、ステップS102で、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化をプロセスデータ記憶部102に記憶する(プロセスデータ記憶ステップ)。
【0022】
例えば、圧力,温度,流量,電圧などの製造設備におけるプロセスパラメータを、対応するセンサにより経時的に測定することで得られる各データ(プロセスデータ)を、プロセスパラメータ毎に時系列的に記憶する。例えば、製造設備に設けられている各センサより出力される測定結果を、例えば5秒毎などの所定の間隔でサンプリングし、このようにして得られた時系列のデータを記憶する。
【0023】
次に、ステップS103で、プロセスデータ抽出部103が、プロセスデータ記憶部102に記憶されたプロセスパラメータ
の変化から上述した時間区間のプロセスデータセットを抽出する(プロセスデータ抽出ステップ)。
プロセスデータ抽出部103が、プロセスパラメータ毎にプロセスデータセットを抽出する。次に、ステップS104で、プロセスデータ代表値演算部104が、プロセスデータ抽出部103により抽出されたプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算する(プロセスデータ代表値演算ステップ)。
【0024】
例えば、
図3に示すように、設定された時間区間(1〜101)で抽出された温度(プロセスパラメータ)の経時的な変化(プロセスデータセット)が、プロセスデータ抽出部103により得られている。このプロセスデータセットより、最大値もしくは標準偏差をプロセスデータ代表値とする。プロセスデータ代表値としてどの様な値を用いるかは、対象のプロセスにおけるどの様な特徴を用いるかにより、適宜に設定すればよい。また、ここでは、プロセスデータ記憶部102に記憶されている全てのプロセスパラメータについて、プロセスデータ代表値が演算される。
【0025】
次に、ステップS105で、プロセス故障対応データ生成部105が、プロセスデータ代表値演算部104により演算されたプロセスデータ代表値と、故障情報記憶部101に記憶された故障
情報とを、対応する時間区間毎に関連付けてプロセス故障対応データとして生成する(プロセス故障対応データ生成ステップ)。この後、ステップS106で、表示部106が、プロセス故障対応データ生成部105により生成されたプロセス故障対応データを視認可能に表示する(表示ステップ)。
【0026】
以上に説明したように、実施の形態1では、時系列的に得られているプロセスデータより時間区間のプロセスデータセットを抽出し、抽出したプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を求め、同じ時間区間に
おける故障,劣化の状態を対応付けるようにした。
【0027】
例えば、
図4の(a)に示すように、
ステップS103で、プロセスデータ抽出部103により
、設定された時間区間で抽出されたプロセスデータセットが、時間区間毎に得られている。また、プロセスデータ代表値演算部104により、
図4の(b1),(b2)に示すように、各プロセスデータ(プロセスパラメータ)に対応して得られた各プロセスデータ代表値が、時間区間毎に得られている。
【0028】
このようにして得られている時間区間毎の各プロセスデータ代表値と、故障情報記憶部101に記憶されている時間区間毎の故障情報より、プロセス故障対応データ生成部105は、
図4の(c1),(c2)に示すような相関図を生成し、表示部106に表示する。
【0029】
製造装置には、接続されたセンサに対して、算出されるプロセスデータ代表値は、さまざまなものが想定できるが、上述したように、プロセス代表値と、故障・劣化の状態の相関を見ることで、効率的に故障発生に相関の高いプロセスパラメータを特定することができる。また、相関の高いプロセスパラメータの設定した時間区間における代表値により、故障発生が予兆可能となる。このように、実施の形態1によれば、プロセスパラメータから製造設備の故障予兆が把握できるようになる。
【0030】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について
図5,
図6を用いて説明する。
図5は、本発明の実施の形態2における故障判断支援装置の構成を示す構成図である。また、
図6は、本発明の実施の形態
2における故障判断支援装置の動作例(故障判断支援方法)を説明するフローチャートである。
【0031】
この故障判断支援装置は、故障情報記憶部101,プロセスデータ記憶部102,プロセスデータ抽出部103,プロセスデータ代表値演算部104,およびプロセス故障対応データ生成部105を備える。これらは、前述した実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0032】
実施の形態2では、上述した実施の形態1に加えて、故障判断部107を備え、表示部106は、プロセス故障対応データに加え、故障判断部107が生成した異常判定を視認可能に表示する。故障判断部107は、設定されているプロセスパラメータに関してプロセスデータ代表値演算部104が演算したプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲になったことを検出して異常判定を生成する。
【0033】
例えば、前述したように、プロセス故障対応データ生成部105が生成して表示部106に表示されたプロセス故障対応データより、故障発生に相関の高いプロセスパラメータ、および当該プロセスパラメータにおける故障発生時の時間区間やこの直前の時間区間におけるプロセスデータ代表値などが、ユーザにより判断できる。この判断結果より、ユーザが決定したプロセスパラメータに関し、プロセスデータ代表値の故障範囲が、故障判断部107に設定されている。
【0034】
次に、本発明の実施の形態2における故障判断支援装置の動作例について、
図6のフローチャートを用いて説明する。以下では、主に、故障情報記憶部101,プロセスデータ記憶部102,プロセスデータ抽出部103,プロセスデータ代表値演算部104,および故障判断部107の動作について説明する。
【0035】
まず、ステップS201で、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製品を製造する製造設備の故障,劣化の状態を示す故障情報を設定された時間区間に関連付けて故障情報記憶部101に記憶する(故障情報記憶ステップ)。次に、ステップS202で、製品を製造した一連の製造工程の実施に伴い製造設備の状態を時系列的に測定して得られたプロセスパラメータの変化をプロセスデータ記憶部102に記憶する(プロセスデータ記憶ステップ)。
【0036】
例えば、圧力,温度,流量,電圧などの製造設備におけるプロセスパラメータを、対応するセンサにより経時的に測定することで得られる各データ(プロセスデータ)を、プロセスパラメータ毎に時系列的に記憶する。例えば、製造設備に設けられている各センサより出力される測定結果を、例えば5秒毎などの所定の間隔でサンプリングし、このようにして得られた時系列のデータを記憶する。
【0037】
次に、ステップS203で、プロセスデータ抽出部103が、プロセスデータ記憶部102に記憶されたプロセスパラメータの変化より上述した時間区間のプロセスデータセットを抽出する(プロセスデータ抽出ステップ)。
プロセスデータ抽出部103が、プロセスパラメータ毎にプロセスデータセットを抽出する。次に、ステップS204で、プロセスデータ代表値演算部104が、プロセスデータ抽出部103により抽出されたプロセスデータセットの特徴を示すプロセスデータ代表値を演算する(プロセスデータ代表値演算ステップ)。
【0038】
次に、ステップS20
5で、故障判断部107が、設定されているプロセスパラメータに関するプロセスデータ代表値演算部104が演算したプロセスデータ代表値を選択し、選択したプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲に入っていることを判断する(故障判断ステップ)。ここで、選択したプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲に入っていると判断された場合(ステップS020
5のy)、ステップS206で、故障判断部107による異常判定の結果を、表示部106が視認可能に表示する。なお、異常判定の結果を、いわゆる電子メールなどによりユーザの所有する携帯端末装置に通知してもよい。この後、ステップS207で、終了指示の入力有無を判断し、終了指示がない場合、ステップS202に戻る。
【0039】
一方、選択したプロセスデータ代表値が、設定されている故障範囲に入っていないと判断された場合(ステップS020
5のn)、ステップS207で、終了指示の入力有無を判断し、終了指示がない場合、ステップS202に戻る。
【0040】
以上に説明したように、本発明によれば、設定した時間区間内の代表値の状態と故障発生時との相関を表示するようにしたので、プロセスパラメータから製造設備の故障予兆が把握できるようになる。
【0041】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。