特許第6071477号(P6071477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071477
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車両用コンソールボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-261068(P2012-261068)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-104927(P2014-104927A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100366
【氏名又は名称】しげる工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】中山 裕
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−268542(JP,A)
【文献】 特開昭50−012717(JP,A)
【文献】 特開昭60−242275(JP,A)
【文献】 特開2005−349936(JP,A)
【文献】 特開2012−086767(JP,A)
【文献】 特開2005−067551(JP,A)
【文献】 特開2005−075056(JP,A)
【文献】 特開2010−018208(JP,A)
【文献】 特表2010−515611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側壁部、上壁部及び後壁部を有し、下端部が開口した箱状をなすボックス本体を備えた車両用コンソールボックスにおいて、
上記ボックス本体が、上記左右の側壁部及び上記上壁部とによって構成され、下端部及び後端部が開口した本体部と、上記後壁部とを有し、上記本体部の後端部に上記後壁部が取り付けられることによって上記本体部の後端開口部が遮蔽され、
上記本体部の後端面の下部が上部より前方に位置させられ、
上記本体部の後端面の下部には、先端部が上記本体部の内部に向かって突出する取付部が設けられ、
上記取付部の先端部が、上記本体部の内部に向かって突出した取付位置から上記本体部から後方へ突出した後方突出位置まで回動することができるよう、上記取付部の基端部が上記本体部に回動可能に設けられ、
上記取付部は、上記後方突出位置に位置したときには、上記本体部の内部の左右の内面の延長上か、当該内面より左右方向において外側に位置するように配置されていることを特徴とする車両用コンソールボックス。
【請求項2】
上記本体部の左方を向く左側面及び後端面の左側部が、上記左側面に対して左右方向へ接近離間移動する第1成形型によって成形することができるよう、上記第1成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の右方を向く右側面及び後端面の右側部が、上記右側面に対して左右方向へ接近離間移動する第2成形型によって成形することができるよう、上記第2成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の上面が、当該上面に対して上下方向へ接近離間移動する第3成形型によって成形することができるよう、上記第3成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の内面が、上記本体部の下端開口部から上記本体部の内部に挿脱される第4成形型によって成形することができるよう、上記第4成形型の脱出方向に開放された面によって構成され、
上記取付部が、上記成形位置に位置させられた状態では、上記第1成形型及び上記第4成形型によって成形可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の運転席と助手席との間に設けられる車両用コンソールボックス、特にコンソールボックスのボックス本体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンソールボックスは、ボックス本体とリッドとを有している。ボックス本体は、左右一対の側壁部、上壁部及び後壁部を有しており、それらの壁部によって下端部全体が開口した箱状に形成されている。ボックス本体の下端開口部は、車体の床又は床に設けられた部材によって閉じられている。これによって、ボックス本体の内部に収容空間が形成されている。また、ボックス本体の上壁部には、ボックス本体の内部に物品を出し入れするための開口部が形成されている。一方、リッドは、ボックス本体の上端開口部を開閉するためのものであり、ボックス本体の上端部に開閉回動可能に、又は開閉移動可能に設けられている。(特許文献1参照)。
【0003】
従来、コンソールボックスのボックス本体を製造する場合には、一対の側壁部、上壁部及び後壁部をそれぞれ成形する。つまり、ボックス本体を4部品構成とする。そして、4部品を組み立てて互いに固定することにより、ボックス本体が製造されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−242275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボックス本体を4部品構成とすると、各部品の成形及び部品どうしの組立に多くの手間が掛かる。この結果、ボックス本体の製造費が嵩むという問題があった。
【0006】
そこで、この出願の発明者は、一対の側壁部と上壁部とを一体に成形して本体部とし、ボックス本体を本体部と後壁部とからなる2部品構成とすることを考えた。2部品構成とすれば、成形及び組立の手間を大幅に削減して製造費を低減することができるからである。しかしながら、本体部の形状によっては成形することができないことがあり、単純には2部品構成とすることができないという問題があった。特に、本体部の後端部に後壁部を取り付けるための取付部を設ける場合には、その取付部が、成形後の型開き時に、金型に干渉するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、左右の側壁部、上壁部及び後壁部を有し、下端部が開口した箱状をなすボックス本体を備えた車両用コンソールボックスにおいて、上記ボックス本体が、上記左右の側壁部及び上記上壁部とによって構成され、下端部及び後端部が開口した本体部と、上記後壁部とを有し、上記本体部の後端部に上記後壁部が取り付けられることによって上記本体部の後端開口部が遮蔽され、上記本体部の後端面の下部が上部より前方に位置させられ、上記本体部の後端面の下部には、先端部が上記本体部の内部に向かって突出する取付部が設けられ、上記取付部の先端部が、上記本体部の内部に向かって突出した取付位置から上記本体部から後方へ突出した後方突出位置(成形位置まで回動することができるよう、上記取付部の基端部が上記本体部に回動可能に設けられ、上記取付部は、上記後方突出位置(成形位置に位置したときには、上記本体部の内部の左右の内面の延長上か、当該内面より左右方向において外側に位置するように配置されていることを特徴としている。
この場合、上記本体部の左方を向く左側面及び後端面の左側部が、上記左側面に対して左右方向へ接近離間移動する第1成形型によって成形することができるよう、上記第1成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の右方を向く右側面及び後端面の右側部が、上記右側面に対して左右方向へ接近離間移動する第2成形型によって成形することができるよう、上記第2成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の上面が、当該上面に対して上下方向へ接近離間移動する第3成形型によって成形することができるよう、上記第3成形型の離間方向に開放された面によって構成され、上記本体部の内面が、上記本体部の下端開口部から上記本体部の内部に挿脱される第4成形型によって成形することができるよう、上記第4成形型の脱出方向に開放された面によって構成され、上記取付部が、上記成形位置に位置させられた状態では、上記第1成形型及び上記第4成形型によって成形可能に形成されていることが望ましい。

【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、取付部を取付位置に位置させることにより、取付部に後壁部を取り付けることができる。その一方、取付部を成形位置に位置させた状態で本体部を成形することにより、金型が取付部に干渉することなく成形することができる。したがって、ボックス本体を本体部と後壁部との2部品構成とすることができ、成形及び組立に要する手間を軽減することができる。よって、車両用コンソールボックスの製造費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、この発明に係る車両用コンソールボックスの一実施の形態の全体を示す斜視図である。
図2図2は、同実施の形態の本体部と後壁部とを分離した状態で示す斜視図である。
図3図3は、同実施の形態の後壁部を前方から見た斜視図である。
図4図4は、同実施の形態の本体部を成形されたままの状態で示す斜視図である。
図5図5は、同実施の形態の本体部を成形するための金型を型開きした状態で示す斜視図である。
図6図6は、同金型の一対の左右型部と、当該一対の型部による本体部の成形部分とを示す斜視図である。
図7図7は、同金型の上型部と、当該上型部による本体部の成形部分とを示す斜視図である。
図8図8は、同金型の下型部と、当該下型部による本体部の成形部分とを示す斜視図である。
図9図9は、同金型の後型部と、当該後型部による本体部の成形部分とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態の車両用コンソールボックスAは、ボックス本体1とリッド10とを有している。ボックス本体1及びリッド10は、いずれも樹脂を金型で成形することによって形成されている。リッド10は、樹脂以外の材質によって構成されていてもよい。
【0011】
ボックス本体1は、左右一対の側壁部2A,2B、補強板部2C、上壁部3及び後壁部4を有している。
【0012】
左側壁部2Aは、板状をなしており、その厚さ方向を左右方向に向けて配置されている。左側壁部2Aの前側の略半分は、高さが低い低壁部21とされ、後側の略半分は、高さが高い高壁部22とされている。低壁部21の後端から続く高壁部22の前端は、上方へ向かうにしたがって後方へ向かうように傾斜させられている。左側壁部2Aの後端部の下部には、左側壁部2Aを左右方向に貫通する貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、形成されていなくてもよい。左側壁部2Aには、貫通孔23の他にも各種の構造が採用されている。しかし、貫通孔23を含む各種の構造は、左側壁部2Aの表面(外面及び内面)が後述する条件を満たすように形成される限り、この発明では問題にならない。そこで、左側壁部2Aの表面が満たすべき条件以外の構成については、その説明を省略する。これは、右側壁部2B、補強板部2C及び上壁部3についても同様である。
【0013】
右側壁部2Bは、左側壁部2Aと対称な形状及び寸法を有しており、左右対称に配置されている。したがって、右側壁部2Bも低壁部21及び高壁部22を有している。また、右側壁部2Bは、左側壁部2Bに対し前後方向及び上下方向には同一位置に、左右方向には左側壁部2Aから右方に離間して配置されている。つまり、右側壁部2Bは、左側壁部2Aと左右方向に対向して配置されている。
【0014】
上壁部3は、前壁部31と傾斜壁部32とを有しており、側面視略「く」字状に形成されている。前壁部31は、左右の低壁部21,21の上端部間にそれらと一体に設けられている。傾斜壁部32は、左右の高壁部22,22の前端部間にそれらと一体に設けられている。前壁部31には、これを上下に貫通する貫通孔33が形成されている。この貫通孔33は、形成されないこともある。
【0015】
左右の側壁部2A,2B及び上壁部3によってボックス本体1の本体部5が形成されている。本体部5は、箱状をなしており、その前部、下部及び補後部が開放されている。本体部5の前部及び下部の開放部は、コンソールボックスAが車両(図示せず)の床部に取り付けられると、床部又は床部に設けられた部材によって閉じられる。本体部5の後部の開放部は、後述するように、後壁部4によって閉じられる。その結果、本体部5の内部(ボックス本体1の内部)に収容空間1aが形成されている。
【0016】
側壁部2A,2Bの対向面の後端部の上端部間には、補強板部2Cが設けられている。補強板部2Cの左右の両端部は、それぞれ側壁部2A,2Bと一体に設けられている。補強板部2Cは、側壁部2A,2Bの後端部どうしを連結して補強するためのものであるが、側壁部2A,2Bの後端部には、後述するように、後壁部4が取り付けられる。したがって、補強板部2Cは、必ずしも形成する必要がない。
【0017】
本体部5の上端部には、補強板部2Cと、この補強板部2Cと上下方向において同一位置に位置する側壁部2A,2Bの上端部及び傾斜壁部32の上端部とによって四角形の開口部1bが形成されている。この開口部1bにより収容空間1aが上方に向かって開放されている。したがって、各種の物品を収容空間1aに開口部1bを介して出し入れすることができる。
【0018】
なお、本体部1Aの前部開放部は、左右の側壁部2A,2Bの前端部間に前壁部を一体に設け、それによって閉じてもよい。また、上壁部3の後端部を側壁部2A,2Bの後端まで延長し、その延長された後端部に、開口部1aに代わる開口部を形成してもよい。
【0019】
左右の側壁部2A,2Bの後端面によって本体部5の後端面が構成されている。つまり、本体部5の後端面は、左側壁部2Aの後端面たる左後端面(後端面の左側部)5aと、右側壁部2Bの後端面たる右後端面(後端面の右側部)5bとを有している。左後端面5a及び右後端面5bの上下方向の中間部5cは、上下方向の両端部より後方に突出させられている。換言すれば、左右の後端面5a,5bのうちの上部及び下部が中間部5cより前方に位置させられている。中間部5cより上側の部分は、前後方向において中間部5cと同一位置又は後方に位置させてもよい。そのような場合には、左右の後端面5a,5bの下部が中間部5cから上側の部分(上部)に対し前方に位置することになる。
【0020】
左後端面5a及び右後端面5bには、上取付部6A,6Bがそれぞれ側壁部2A,2Bと一体に設けられている。上取付部6A,6Bは、それぞれの大部分が中間部5cより上側に配置され、下端部が中間部5cより下側に配置されている。上取付部6A,6Bは、その全体が中間部5cより上側に位置するように配置してもよい。上取付部6A,6Bの左右方向において互いに隣接する側部、つまり上取付部6Aの右側部及び上取付部6Bの左側部は、左右の側壁部2A,2Bから本体部5の内部側(収容空間1aの内部側)に向かって左右方向に突出させられている。なお、上取付部6A,6Bの上端部の収容空間1a側に突出する側部は、補強板部5の左右の両端部にそれぞれ一体に設けられている。
【0021】
上取付部6A,6Bには、各取付部6A,6Bを前後方向に貫通する係合孔61がそれぞれ複数ずつ形成されるとともに、後方に向かって突出する係合突出部62が形成されている。
【0022】
左後端面5a及び右後端面5bには、下取付部(取付部)7A,7Bがそれぞれ左側壁部2A及び右側壁部2Bと一体に形成されている。下取付部7A,7Bは、左右の後端面5a,5bの下部、つまり中間部5cより下側の部分に配置されている。下取付部7A,7Bは、左右対称な形状を有している。しかも、左右対称に配置されている。すなわち、下取付部7A,7Bは、上下方向及び前後方向には同一位置に位置し、左右方向には互いに離間対向するように配置されている。下取付部7A,7Bの先端部は、左右方向に向かって互いに接近するように、左右の側壁部2A,2Bからほぼ90°の角度をもって左右方向へ、それも本体部5の内部側へ突出させられている。
【0023】
ここで、左右の後端面5a,5bのうちの下取付部7A,7Bが形成された下部は、中間部5cより前方に位置している。したがって、下取付部7A,7Bのうちの左右の側壁部2A,2Bから本体部5の内部側(収容空間1aの内部側)に突出した部分は、中間部5cより前方に位置している。
【0024】
下取付部7A,7Bには、それらを前後方向に貫通する係合孔71がそれぞれ形成されている。下取付部7Aの右端部及び下取付部7Bの左端部には、後方に向かって突出する係合突出部72がそれぞれ形成されている。
【0025】
下取付部7A,7Bの各基端部には、薄肉部(図示せず)がそれぞれ形成されている。薄肉部は、下取付部7A,7Bの上下方向の全長にわたって形成されている。この結果、取付部7A,7Bが、側壁部2A,2Bに対し薄肉部を中心として水平方向へ回動可能になっている。下取付部7A,7Bは、図2に示す組立位置と、図4に示す成形位置との間のほぼ90°の範囲を回動可能である。下取付部7A,7Bは、成形位置に位置したときには、左右の側壁部2A,2Bの内面(収容空間1aに臨む内面)の後端部を後方に延長した延長面に接するように配置されている。下取付部7A,7Bは、成形位置に位置したときに、左右の側壁部2A,2Bの内面の後端部より左右方向において外側に位置するように配置してもよい。
【0026】
後壁部4は、本体部1Aとは別体に形成されており、側壁部2A,2Bの後端部に取り付けられている。すなわち、後壁部4の前面部の左右の両端部が、上取付部6A,6Bの係合孔61及び係合突出部62に係合するとともに、組立位置に位置している下取付部7A,7Bの係合孔71及び係合突出部72に係合することにより、本体部1Aの後端部に後壁部4が固定されている。これによって、補強板部2Cが外部から目視されないように覆われるとともに、本体部5の後端開口部が閉じられている。しかも、本体部1Aに後壁部4が取り付けられた状態では、補強板部2Cが後壁部4によって覆われるため、開口部1bが本体部1Aと後壁部4とによって構成されているように見える。
【0027】
リッド10は、開口部1bを開閉するためのものであり、ボックス本体1の上端部に開閉回動可能に設けられている。リッド10は、ボックス本体1に対し前後方向へ開閉移動可能に設けられることもある。リッド10の開閉構造は、周知のものであるのでその説明を省略する。
【0028】
次に、コンソールボックスAが満たすべき構成上の条件について述べると、その条件は、本体部5及び補強板部2Cの表面(外面及び内面)についてのものであり、次のとおりである。
【0029】
左側壁部2Aの左方を向く面によって本体部5(ボックス本体1)の左側面(図6においてハッチングを施した面)5dが形成されている。左側面5dの各部は、水平方向左方に向かって開放された面によって構成されている。「水平方向左方に向かって開放された面」とは、左側面5dを左側から右側へ向かって水平方向に見たときに目視することができる(左方に向かって露出した)面であり、左右方向に向かって水平に延びる面、水平方向左方を向く面(左右の水平方向に対して直交する面)、及び水平方向左方を向く面とのなす角が鈍角である傾斜面を総称するものであり、左側面5dの各部は、それらの面のいずれかによって構成されている。左側面5dに形成された貫通孔23の内周面も、水平方向左方に向かって開放された面によって構成されている。
【0030】
ここで、左右方向に向かって水平に延びる面は、左側面5aを水平方向左方から見たとき、直線となって見える。また、水平方向左方を向く面とのなす角度が鈍角である傾斜面は、平面である必要がなく、曲面であってもよい。なお、水平方向左方を向く面とのなす角が鋭角である面は、当該面を有する実質部によって覆われ、水平方向左方から見たときに目視することができない。したがって、水平方向左方を向く面とのなす角が鋭角である面は、「水平方向左方に向かって開放された面」ではない。
【0031】
左側面5dは、左方に向かって開放された面であれば、必ずしも水平方向左方に向かって開放された面でなくてもよい。つまり、左側面は、水平方向左方に対して例えば10°程度以下の範囲内で水平方向左方に対して上下方向又は前後方向に傾斜した方向に開放された面で構成されていてもよい。その場合、左側面5dを構成する面は、傾斜方向に延びる面、傾斜方向に対して垂直な面、この垂直面に対し鈍角をもって傾斜した面で構成される。また、左右方向に向かって水平に延びる面又は傾斜方向に延びる面は、後述するように左側面5aを金型で成形する場合において、成形後に金型を左側面5aから離間させることができる範囲内であれば、水平方向左方向又は傾斜した方向に対して若干の角度(例えば2〜3°程度)だけ傾斜していてもよい。
【0032】
右側壁部2Bの右側面、つまり本体部5(ボックス本体1)の右側面(図示せず)は、水平方向右方に開放された面又は水平方向右方に対して傾斜した方向に開放された面で構成されている。「水平方向右方に開放された面又は水平方向右方に対して傾斜した方向に開放された面」とは、左右が異なる点を除き、左側面5dを構成する「水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面」と同様に定義される面である。
【0033】
本体部5の上面(図7においてハッチングが施された部分)5eは、上壁部3の上面、左右の側壁部2A,2Bの上面、補強板部2Cの上面及び上取付部6A,6Bの上面を有している。上面5eは、開口部1bの内周面を含む。開口部1bの内周面とは、補強板部2Cの内面、補強板部2Cの下端縁と同一の位置から上側に位置する側壁部2A,2B及び上壁部3の各内面の上端部によって構成される面である。上面5eは、上壁部3に形成された貫通孔33の内周面も含む。ただし、開口部1bの内面と貫通孔33の内周面との少なくとも一方は、後述する内面5fに含ませてもよい。
【0034】
上面5eは、鉛直方向上方に開放された面又は鉛直方向に対して傾斜した方向に開放された面で構成されている。「鉛直方向上方に開放された面又は鉛直方向に対して傾斜した方向に開放された面」とは、左方と上方とが異なる点を除き、左側面5dを構成する「水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面」と同様に定義される面である。
【0035】
左側壁部2A、右側壁部2B及び上壁部3の収容空間1aに臨む面(開口部1bの内周面及び貫通孔33の内周面を除く)により、本体部5の内面(図8において右上がりのハッチングが施された面)5fが構成されている。本体部5の内面5fは、鉛直下方に開放された面又は鉛直下方に対して傾斜する方向に開放された面によって構成されている。「鉛直下方に開放された面又は鉛直下方に対して傾斜する方向に開放された面」とは、左方と下方とが異なる点を除き、左側面5dを構成する「水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面」と同様に定義される面である。
【0036】
補強板部2Cの外面のうちの下方を向く面及び後方を向く面(図8において右下がりのハッチングが施された面)は、内面5fと同一方向に開放された面によって構成されている。
【0037】
本体部5の左後端面5aは、左側面5dと同一方向に開放された面によって構成されている。本体部5の右後端面5bは、右側面と同一方向に開放された面によって構成されている。
【0038】
上取付部6Aの外面のうちの左側面は、左側面5cと同一方向に開放された面によって構成されている。上取付部6Aの外面のうちの右側面、収容空間1aに臨む前面及び下面は、内面5fと同一方向に開放された面によって構成されている。上取付部6Aの外面のうちの後方を向く面、係合孔61の内周面及び係合突出部62の外面は、水平方向後方に開放された面又は水平方向後方に対して傾斜した方向に開放された面によって構成されている。「水平方向後方に開放された面又は水平方向後方に対して傾斜した方向に開放された面」とは、左方と後方とが異なる点を除き、左側面5cを構成する「水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面」と同様に定義される面である。
【0039】
上取付部6Bは、上取付部6Aと左右対称に配置形成されている。したがって、上取付部6Bの外面のうちの右側面は、本体部5の右側面と同一方向に開放された面によって構成され、上取付部6Bの外面のうちの左側面、収容空間1aに臨む前面及び下面は、内面5fと同一方向に開放された面によって構成され、上取付部6Bの外面のうちの後方を向く面、係合孔61の内周面及び係合突出部62の外面は、上取付部6Aの後方を向く面と同一方向に開放された面によって構成されている。
【0040】
下取付部7Aの外面は、下取付部7Aが成形位置に位置しているときを基準にすると、次のような面によって構成されている。すなわち、下取付部7Aの外面のうちの下取付部7Bと対向する面は、内面5fと同一方向に開放された面によって構成されている。下取付部7Aの外面のうちの係合突出部72の後方を向く面は、上取付部6A,6Bの後方を向く面と同一方向に開放された面によって構成されている。下取付部7Aの外面のうちの残りの部分は、左側面5dと同一方向に開放された面によって構成されている。
【0041】
下取付部7Bは、下取付部7Aと左右対称である。したがって、下取付部7Bの外面のうちの下取付部7Aと対向する面は、内面5fと同一方向に開放された面によって構成され、係合突出部72の後方を向く面は、上取付部6A,6Bの後方を向く面と同一方向に開放された面によって構成され、下取付部7Aの外面のうちの残りの部分は、本体部5の右側面と同一方向に開放された面によって構成されている。
【0042】
上記構成のコンソールボックスAの本体部5は、図5に示す金型Bによって成形することができる。金型Bは、左型部(第1成形型)B1、右型部(第2整形型)B2、上型部(第3成形型)B3、下型部(第4成形型)B4及び後型部B5を有している。金型Bは、図5においては型開き状態で示されているが、互いに接近させて型締めすると、全ての型部B1〜B5により本体部5(補強板部2C、上取付部6A,6B及び下取付部7A,7Bを含む。)を成形するためのキャビティ(図示せず)が構成される。したがって、型締めした状態でキャビティに溶融樹脂を充填することにより、本体部5を成形することができる。成形後、各金型B1〜B5を互いに離間移動させて型開きすることにより、成形された本体部5が得られる。
【0043】
左型部B1は、図6に示すように、本体部5の外面のうちの、水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面によって構成された面(図6においてハッチングが施された面)、すなわち左側面(貫通孔23の内周面を含む)5d、上取付部6Aの左側面、及び下取付部7Aの下取付部7Bと対向する面及び係合突出部72の後方を向く面以外の面を成形するためのものである。したがって、左型部B1の右側を向く面には、左側面5d、上取付部6Aの左側面、及び下取付部7Aの下取付部7Bと対向する面及び係合突出部72の後方を向く面以外の面に対応した形状を有する成形面が形成されている。
【0044】
左型部B1が成形する面が水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面によって構成されているので、本体部5の成形後、左型部B1を水平方向左方又は水平方向左方に対して傾斜した方向へ離間移動させることにより、左型部B1は、本体部5のいずれの部分にも干渉することなく型開きすることができる。換言すれば、左型B1が本体部5に干渉することなく型開きすることができるよう、左型B1の型開き方向(離間移動方向)が、左側面5c、上取付部6Aの左側面及び下取付部7Aの下取付部7Bと対向する面以外の面の開放方向と同一方向に設定されているのである。したがって、「水平方向左方に開放された面又は水平方向左方に対して傾斜した方向に開放された面」とは、「左型部B1の型開方向(離間移動方向)に開放された面」と言い換えることができる。このような左型部B1の型開き方向とそれによって成形される面の開放方向との関係は、他の型部B2〜B5の型開き方向とそれらの型部によって成形される面の開放方向との関係についても同様である。
【0045】
右型部B2は、本体部5の外面のうちの、水平方向右方に開放された面又は水平方向左右方に対して傾斜した方向に開放された面によって構成された面、すなわち右側面、上取付部6bの右側面及び下取付部7Bの下取付部7Aと対向する面以外の面を成形するためのものである。したがって、右型部B2は、本体部5の成形後、水平方向右方又は水平方向右方に対して傾斜した方向へ移動させることにより、本体部5に干渉することなく型開きすることができる。
【0046】
上型部B3は、図7に示すように、鉛直方向上方に開放された面又は鉛直方向上方に対して傾斜した方向に開放された面によって構成された面(図7においてハッチングが施された面)、すなわち上面(貫通孔33の内周面を含む。)5e及び開口部1bの内周面を成形するためのものである。したがって、上型部B3は、本体部5の成形後、鉛直方向上方又は鉛直方向上方に対して傾斜した方向へ移動させることにより、本体部5に干渉することなく型開きすることができる。
【0047】
下型部B4は、図8に示すように、鉛直下方に開放された面又は鉛直下方に対して傾斜した方向に開放された面(図8においてハッチングが施された面)、すなわち収容空間1aの内面(開口部1bの内周面を除く;右上がりのハッチングが施された面)、補強板部2Cの後方を向く面(図8において右下がりのハッチングが施された面)及び下面、上取付部6Aの右側面、収容空間1aに臨む前面及び下面、上取付部6Bの左側面、収容空間1aに臨む前面及び下面、並びに下取付部7A,7Bの対向面を成形するためのものである。したがって、下型部B4は、本体部5の成形後、鉛直方向下方又は鉛直方向下方に対して傾斜した方向へ移動させることにより、本体部5に干渉することなく型開きすることができる。
【0048】
後型部B5は、図9に示すように、水平方向後方に開放された面又は水平方向後方に対して傾斜した方向に開放された面(図9においてハッチングが施された面)、すなわち上取付部6A,6Bの後方を向く面及び下取付部7A,7Bの係合突出部72,72の後方を向く面を成形するためのものである。したがって、後型部B5は、本体部5の成形後、水平方向後方又は水平方向後方に対して傾斜した方向へ移動させることにより、本体部5に干渉することなく型開きすることができる。
【0049】
ここで、本体部5の成形時に、下取付部7A,7Bが組立位置に位置しているものとすると、図2に示すように、下取付部7A,7Bの左右方向に隣接する側部が左右の側壁部2A,2Bの内面(内面5fの左右両側部)の上後端部より前方に位置する。このため、下型部B4を型開きするときに、下型部B4が下取付部7A,7Bに干渉してしまう。したがって、本体部5を成形することができない。
【0050】
しかるに、下取付部7A,7Bは、組立位置と成形位置との間を回動可能である。下取付部7A,7Bを成形位置に位置させると、下本体部7A,7Bは、左右の側壁部2A,2Bの内面の後端部を延長させた面に接するか、側壁部2A,2Bの内面より外側に位置する。したがって、下型部B4が下取付部7A,7Bに干渉することがなく、金型Bによって本体部5を成形することができる。したがって、ボックス本体1を本体部5と後壁部4との2部品構成とすることができ、4部品構成とした場合に比して、成形及び組立に要する費用を低減し、コンソールボックスAの製造費を低減することができる。
【0051】
後壁部4は、金型Bとは異なる他の金型(図示せず)を用いて成形することができる。そして、後壁部4を本体部5に組み付けることにより、ボックス本体1が得られる。勿論、ボックス本体1には、リッド10が組み付けられ、それによってコンソールボックスAが製造される。
【0052】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、二つの下取付部7A,7Bが形成されているが、下取付部7Aだけを形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
A 車両用コンソールボックス
B 金型
B1 左型部(第1成形型)
B2 右型部(第2成形型)
B3 上型部(第3成形型)
B4 下型部(第4成形型)
1 ボックス本体
2A 左側壁部
2B 右側壁部
3 上壁部
4 後壁部
5 本体部
5a 左後端面(後端面の左側部)
5b 右後端面(後端面の右側部)
5d 左側面
5e 上面
5f 内面
7A 下取付部(取付部)
7B 下取付部(取付部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9