特許第6071523号(P6071523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071523
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】柵
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-277170(P2012-277170)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-118799(P2014-118799A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】山谷 清
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−134625(JP,U)
【文献】 特開平04−353107(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02116676(EP,A1)
【文献】 特開2000−240327(JP,A)
【文献】 特開平08−120976(JP,A)
【文献】 特開平09−111728(JP,A)
【文献】 特開平09−242291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、支柱間に架設した手摺と、手摺支持ブラケットを備え、支柱は、前面部と後面部と左右の側面部とを有し、コーナー部に前後方向に突出する突部が長手方向に沿って設けてあり、左右の側面部は、外側に若干膨らむように円弧状に湾曲しており、側面部の表面には細かい凹凸が長手方向に連続して多数形成されており、手摺支持ブラケットは、支柱の前面部又は後面部に突部間に嵌合して取付けてあり、手摺は、手摺支持ブラケットにより突部と間隔をおいて突部と直交する方向に取付けてあることを特徴とする柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間隔をおいて立設した支柱に手摺を架設した柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の柵は、円柱状の支柱を地面に間隔をおいて設置し、支柱に手摺支持ブラケットを取付け、手摺支持ブラケットに固定して手摺を支柱間に架設している(例えば、非特許文献1参照。)。
このような従来の柵では、支柱を設置する際、支柱が円柱状で位置決めになる部分がないため、支柱同士を直線状に並べることが難しかった。また、手摺支持ブラケットの取付く部分を同じ向きに合わせるのも容易でなく、手摺支持ブラケットを適切な状態で設置することも難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「三協アルミ パブリックエクステリア総合カタログ」(カタログNo.STX0640B S.12.06−063)、三協立山株式会社 三協アルミ社、2012年6月、p.563
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、支柱を直線状に並べて設置するのが容易で、手摺支持ブラケットを適切な状態で配置することも容易な柵の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による柵は、支柱と、支柱間に架設した手摺と、手摺支持ブラケットを備え、支柱は、前面部と後面部と左右の側面部とを有し、コーナー部に前後方向に突出する突部が長手方向に沿って設けてあり、左右の側面部は、外側に若干膨らむように円弧状に湾曲しており、側面部の表面には細かい凹凸が長手方向に連続して多数形成されており、手摺支持ブラケットは、支柱の前面部又は後面部に突部間に嵌合して取付けてあり、手摺は、手摺支持ブラケットにより突部と間隔をおいて突部と直交する方向に取付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による柵は、支柱のコーナー部に突部があることによって、支柱同士を直線状に並べる際の位置決めと支柱に手摺支持ブラケットを配置するときの位置決めができるので、支柱を直線状に並べて配置すること、及び手摺支持ブラケットを適切な状態で配置するのが容易である。そして、側面方向から手摺支持ブラケットと支柱との嵌合部が見えないので、意匠性が良い。側面部の表面に細かい凹凸が形成されていることで、側面部によごれが付きにくく、また側面部に貼り紙が貼られるのを防止できる。さらに、側面部が円弧状に湾曲していることと表面に細かい凹凸が形成されていることにより、光が反射して陰影ができるため、意匠性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図4のY−Y断面図である。
図2図4のX−X断面図である。
図3図4のA部拡大図である。
図4】本発明の柵の第1実施形態を示す正面図である。
図5】本発明の柵の第2実施形態を示す正面図である。
図6図5のB部拡大図である。
図7】(a)は第1実施形態に用いる手摺支持ブラケットの作り方を示す正面図と側面図、(b)は第2実施形態に用いる手摺支持ブラケットの作り方を示す正面図と側面図である。
図8】本発明の柵の第3実施形態を示す正面図である。
図9】本発明の柵の第4実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜4は、本発明の柵の第1実施形態であって、屋外の通路等の脇に落下防止等の目的で設置される柵を示している。この柵は、図4に示すように、地面に複数の支柱1,1,…が直線状に並べて設置してあり、各支柱1の上端部には笠木支持ブラケット8が取付けられ、笠木支持ブラケット8に支持して笠木9が支柱1間に水平に架設してあり、各支柱1の前面部4には手摺支持ブラケット3が取付けられ、手摺支持ブラケット3に支持して手摺2が支柱1間に水平に架設してある。
【0009】
支柱1は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、図1に示すように、前面部4と後面部5と左右の側面部6,6とを有する略四角形の中空断面となっており、4か所のコーナー部には前後方向に突出する突部7が長手方向に沿って設けてある。支柱1は、断面の中心に対して左右対称で且つ前後対称になっている。
前面部4と後面部5は、左右の突部7の先端より10mm奥まった位置にフラットに形成されている。左右の側面部6は、外側に若干膨らむように円弧状に湾曲しており、側面部6の表面には細かい凹凸10が長手方向に連続して多数形成されている。このように、側面部6の表面に細かい凹凸10が形成されていることで、側面部6によごれが付きにくく、また側面部6に貼り紙が貼られるのを防止できる。さらに、側面部6が円弧状に湾曲していることと表面に細かい凹凸10が形成されていることにより、光が反射して陰影ができるため、意匠性がよい。
【0010】
笠木支持ブラケット8は、図2,3に示すように、支柱1の上端部に嵌合させてネジ11にて固定される支柱キャップ12と、支柱キャップ12にボルト・ナット13で取付けられるV字形の連結材14とで構成されている。支柱キャップ12は、アルミの鋳物で形成され、連結材14はアルミの形材で形成されている。
笠木9は、アルミの形材で形成したもので、図2に示すように、楕円形の中空断面となっており、下面側には溝部15が形成されている。溝部15の内部には、溝深さ方向の中間の位置に前後の壁からフィン18が突出して形成されている。
笠木9と笠木支持ブラケット8との固定は、笠木9の内部にスチール製でナット16が溶接されたコ字形の裏板17を配置し、笠木9の溝部15内のフィン18を部分的に切除して笠木支持ブラケット8のV字形の連結材14の上端部14aを笠木9の溝部15の奥まで差し込み、メック加工をしたネジ19を連結材14と笠木9に挿通し、裏板17のナット16に螺合することで固定している。このように、笠木支持ブラケット8と笠木9を、メック加工したネジ19にてナット付の裏板17と締結することで、風による振動にて起こると考えられるネジ19の脱落、ひいては笠木9の脱落を防止することができる。また、笠木9の溝部15内のフィン18を切除した箇所に笠木支持ブラケット8を差し込んでいるため、笠木9が長手方向にずれるのを防止できる。笠木9の継ぎ目部は、筒状のスリーブ20を被せて隠してあり、スリーブ20はネジ21にて固定してある。
【0011】
手摺支持ブラケット3は、図1〜3に示すように、支柱1に取付けられる板状の基部22と、手摺2が挿入される筒状部23と、基部22と筒状部23を繋ぐアーム部24とを一体に備えている。この手摺支持ブラケット3は、図7(a)に示すように、アルミニウム合金製の押出形材25を長手方向(押出方向)に直角な2面26,26で切断して形成したものである。
手摺支持ブラケット3の支柱1への取付けは、図1に示すように、支柱1内にナット27を溶接した裏板28を配置しておき、手摺支持ブラケット3の基部22を支柱1の突部7,7間に嵌合させて支柱1の前面部4に当接させ、メック加工したネジ29を手摺支持ブラケット3の基部22と支柱1の前面部4に挿通し、裏板28のナット27に螺合することで固定している。このように、手摺支持ブラケット3と支柱1を、メック加工したネジ29にてナット付の裏板28と締結することで、風による振動にて起こると考えられるネジ29の脱落、ひいては手摺支持ブラケット3の脱落を防止することができる。手摺支持ブラケット3の基部22とネジ29の頭は、図1,2に示すように、側面視では支柱1の突部7に隠れて見えない。
手摺2は、アルミニウム合金の押出形材で円形断面のパイプ状に形成されている。手摺2の手摺支持ブラケット3への固定は、手摺2を手摺支持ブラケット3の筒状部23に挿入し、メック加工したネジ30を手摺支持ブラケット3の筒状部23と手摺2に挿通し、手摺2内に配置したステンレスパイプ31の雌ネジ孔に螺合することで固定している。このように、手摺支持ブラケット3と手摺2を、メック加工したネジ30にてステンレスパイプ31と締結することで、風による振動にて起こると考えられるネジ30の脱落、ひいては手摺2の脱落を防止することができる。
【0012】
支柱1を地面に立設する際には、図1に示すように、支柱1の前側又は後ろ側の2か所の突部7,7の先端を、あらかじめ張っておいた水糸32に接するように支柱1を配置する。これにより、複数の支柱1,1,…を一直線に並べて配置することができる。また、このように突部7,7の先端が水糸32に接するように支柱1を配置すれば、すべての支柱1の向きも一致させられ、手摺支持ブラケット3が取付けられる支柱1の前面部4が水糸32と平行で且つ前後方向の出入りも一致するから、手摺支持ブラケット3を適切な状態で配置することができ、柵の真直性を出すのが容易である。
【0013】
以上に述べたように本実施形態の柵は、支柱1のコーナー部に突部7があることによって、支柱1同士を直線状に並べる際の位置決めと支柱1に手摺支持ブラケット3を配置するときの位置決めができるので、支柱1を直線状に並べて配置すること、及び手摺支持ブラケット3を適切な状態で配置するのが容易である。そして、側面方向から手摺支持ブラケット3と支柱1との嵌合部が見えないので、意匠性が良い。また、支柱1のコーナー部に前後方向に突出した突部7が設けてあることで、単なる筒状の支柱と比べて前後方向からの荷重に対する強度が高い。各部材がアルミで形成してあるため、塩害に強い。
【0014】
図5,6は、本発明の手摺の第2実施形態であって、階段33に設ける柵の場合を示している。柵の構成は第1実施形態のものと同様であり、笠木9と手摺2が階段33の勾配と平行になるように支柱1間に傾斜して架設されている。
笠木支持ブラケット8は、第1実施形態のものと同一のものを用いており、図6に示すように、ボルト・ナット13による連結部を支点としてV字状の連結材14を適宜傾けることで、笠木9を傾斜して取付けできるようにしている。笠木9の笠木支持ブラケット8への取付け方は第1実施形態と同様であり、笠木9の溝部15内のフィン18を切除した箇所に笠木支持ブラケット8を差し込んでいるため、笠木9を傾斜して取付ける場合でも笠木9が長手方向にずれるのを防止できる。
【0015】
手摺支持ブラケット3は、図7(b)に示すように、手摺2を水平に設置する場合(第1実施形態)の手摺支持ブラケット3と同じアルミニウム合金の押出形材25を切断することで形成している。より詳細には、基部22とアーム部24は形材25の長手方向に対して傾斜した2面34a,34aで切断し、筒状部23は形材25の長手方向に直角な2面34b,34bで切断している。このように、手摺2を水平に設置する場合の手摺支持ブラケット3と手摺2を傾斜して設置する場合の手摺支持ブラケット3とを、同一の形材25を切断することで形成したので、コストを削減できる。また、切断するときの角度を変えるだけで、様々な手摺2の傾斜角度に対応することができる。
【0016】
支柱1のコーナー部に突部7があることで、支柱1を一直線に並べて配置するのが容易である点、手摺支持ブラケット3を適切な状態で配置するのが容易である点は、第1実施形態と同様である。手摺支持ブラケット3の基部22が支柱1の突部7,7間に嵌合していることで、手摺支持ブラケット3を目立たなくできると共に、手摺支持ブラケット3の傾きを規制できる。
【0017】
図8は、本発明の柵の第3実施形態を示している。この柵は、支柱1に手摺支持ブラケット3及び手摺2を上下方向に間隔をおいて2つ取付けている。
図9は、本発明の柵の第4実施形態を示している。この柵は、支柱1に手摺支持ブラケット3及び手摺2を上下方向に間隔をおいて3つ取付けている。
図8,9は、手摺2を水平に取付ける場合を示しているが、第2実施形態のように手摺2を傾斜して取付ける場合でも、手摺2を上下2段ないし3段設けることができる。
【0018】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。各部材の具体的な形状、材質等は、適宜変更することができる。柵の設置目的や設置場所は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 支柱
2 手摺
3 手摺支持ブラケット
4 前面部
5 後面部
6 側面部
7 突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9