(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6071566
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】室温熱平衡システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20170123BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F24F5/00 K
F28D15/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-3638(P2013-3638)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-134362(P2014-134362A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】梅田 和彦
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−250442(JP,A)
【文献】
特開昭60−057137(JP,A)
【文献】
特開昭60−188742(JP,A)
【文献】
特開昭61−140734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部屋相互の室温を熱的平衡状態に収束させる室温熱平衡システムであって、
各部屋の天井仕上げ面とされた金属板と、複数の部屋の各天井裏空間に自身端部が張り出した状態で隣り合う部屋相互に跨がって隣り合う部屋相互の前記金属板に天井裏空間で自身端部がそれぞれ接触して設置された伝熱部材とを備えることを特徴とする室温熱平衡システム。
【請求項2】
前記伝熱部材が部屋間を跨ぐ部分は、当該跨ぐ部分の伝熱部材周囲が断熱材で覆われている請求項1に記載の室温熱平衡システム。
【請求項3】
前記伝熱部材は、ヒートパイプである請求項1または2に記載の室温熱平衡システム。
【請求項4】
前記金属板の下地が軽量鉄骨である請求項1〜3のいずれか一項に記載の室温熱平衡システム。
【請求項5】
前記伝熱部材の伝熱の接続と遮断を切替える切替え機構を更に有し、
前記切替え機構は、前記伝熱部材を複数の部材に分割するとともに、隣接する部材相互の端部が離間して設けられ、さらに、隣接する部材相互の端部同士に跨って、隣接する部材相互の接続と遮断を切替えるように移動可能な接続用金属板が設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の室温熱平衡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、宿泊施設、病院等の居住施設において、住戸内室温の均一化に寄与でき、ヒートショック等の健康被害を抑制することができる室温熱平衡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原発の再稼働が困難な情勢等から、年間を通じて家庭での節電が要請されている。一方、高齢化により居住時間が長くなり、居住空間の熱的快適性の向上が改めて注目されている。しかし、節電のためにエアコン等の室温設定を、夏季は高めに、冬季は低めに設定することが行われているところ、更なる節電のために快適性や生産性を阻害してまで設定温度を変更することは困難である。ここで、エアコン等の設定温度を変えずに熱的体感を改善する方策としては、放射冷暖房が従来から行われている。典型的な例としては床暖房が広く普及している(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
図8に放射冷暖房のイメージを示す。同図に示す例では、天井には天井放射パネルが設けられ、また、床には床暖房が設けられており、天井放射パネルおよび床暖房ともに冷媒を循環させる冷媒管が配管されている。このような構成であると、夏季には、同図(a)にイメージを示すように、天井放射パネルにより天井を冷却することで体感温度を下げることができる。また、冬季には、同図(b)にイメージを示すように、床暖房により床面を温かくすることで体感温度を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−193742号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】住宅を対象とした床暖房と温風暖房時の熱収支に関する研究、日本建築学会環境系論文集 第73巻 第628号、pp.735−742、2008年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、住戸内では、夏と冬に室温分布が顕在化(例えば熱気溜まり、窓際のコールドドラフト等)し、所定の設定温度で冷暖房機器を運転しても、熱的な快適性を得られない場合が多い。また、上記例示した床暖房等の放射冷暖房は、ガス等の燃料を消費しているので、この種の放射冷暖房技術は、システム全体として省エネになっていない。
ここで、例えば特許文献1には、各居室を循環させる空気の通路を住戸内に設け、換気手段、温度検知手段、冷却または加熱をするための熱源、および制御手段を設けることで、各居室をそれぞれの設定温度に冷暖房する技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載の技術においても、冷却または加熱する熱源において燃料を消費している点では上記放射冷暖房技術と同様であり、省エネに対しては未だ不十分である。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、住宅、宿泊施設、病院等の居住施設において、省エネと熱的快適性の向上を両立させ得る室温熱平衡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る室温熱平衡システムは、複数の部屋相互の室温を熱的平衡状態に収束させる室温熱平衡システムであって、各部屋の天井仕上げ面とされた金属板と、複数の部屋の各天井裏空間に自身端部が張り出した状態で
隣り合う部屋相互に跨がって
隣り合う部屋相互の前記金属板に天井裏空間で自身端部がそれぞれ接触して設置された伝熱部材とを備
えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る室温熱平衡システムによれば、金属板が各部屋の天井仕上げ面とされ、伝熱部材が複数の部屋の天井裏空間に自身端部が張り出した状態で
隣り合う部屋相互に跨がって
隣り合う部屋相互の前記金属板に天井裏空間で自身端部がそれぞれ接触して設置され
ているので、金属板および伝熱部材を熱移動媒体として、複数の部屋を自然に熱平衡状態に収束させることができる。これにより、住戸内室温の均一化に寄与でき、ヒートショック等の健康被害を抑制することができる。よって、熱的快適性を向上させることができる。そして、本発明の一態様に係る室温熱平衡システムによれば、金属板および金属製の伝熱部材を熱移動媒体とするので、電気やガス等を消費せず省エネである。
【0010】
ここで、本発明の一態様に係る室温熱平衡システムにおいて
、前記天井仕上げ面(金属板)の下地を軽量鉄骨にしたりすれば、部屋間の熱移動のレスポンスを更に向上させる上でより好適である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る室温熱平衡システムにおいて、前記金属板および伝熱部材が、石膏ボードよりも熱伝導率が高いアルミニウム製またはステンレス製であれば、前記金属板および伝熱部材を部屋間の熱移動のレスポンスを向上させる熱移動媒体とする上で好適である。
さらに、前記伝熱部材がヒートパイプであれば、伝熱速度が一層速くなることが期待できる。ここで、「ヒートパイプ」とは、密閉した中空棒状体内に少量の伝熱媒体の作動液を真空封入し、内壁に毛細管構造を備えた伝熱部材をいう。ヒートパイプの端部が加熱されると、(1)加熱部で作動液が蒸発(蒸発潜熱の吸収)、(2)低温部に蒸気が移動、(3)蒸気が低温部で凝縮(蒸発潜熱の放出)、(4)凝縮した作動液が毛細管現象で加温部に戻るという熱移動サイクルが発生する。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明によれば、住宅、宿泊施設、病院等の居住施設において、省エネと熱的快適性の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の室温熱平衡システムの一実施形態を説明する模式図であり、同図(a)は、システムを構成する金属板と伝熱部材とが天井裏空間で離隔して配置された例であり、同図(b)は、システムを構成する金属板と伝熱部材とが天井裏空間で接触して配置された例である。なお、同図(c)は、(b)でのZ部分の拡大図である。
【
図2】本発明の室温熱平衡システムの適用例およびその効果を説明する模式図(平面図)であり、同図(a)は夏季における熱移動のイメージを示し、同図(b)は冬季における熱移動のイメージを示している。
【
図3】本発明の室温熱平衡システムの適用例およびその効果を説明する模式図であり、同図は風呂の温熱が脱衣室へ移動して脱衣室の室温を上げ寒さを和らげるイメージを示している。なお、同図(a)はその平面図、(b)は(a)でのA−A断面図である。
【
図4】本発明の室温熱平衡システムの適用例およびその効果を説明する模式図(平面図)であり、同図は居間の温熱がトイレへ移動してトイレの室温を上げ寒さを和らげるイメージを示している。
【
図5】本発明の室温熱平衡システムを構成する伝熱部材の変形例であり、同図の例は、伝熱部材の伝熱の接続と遮断を切替え可能にした例である。
【
図6】
図5の要部(Z部分)の拡大図であり、同図(a)は、伝熱部材の伝熱の接続状態を示し、同図(b)は、伝熱部材の伝熱の遮断状態を示している。
【
図7】本発明の室温熱平衡システムを構成する伝熱部材の変形例であり、同図の例は、伝熱部材を複数の部材から構成して延長した例である。
【
図8】従来の放射冷暖房を説明する斜視図であり、同図(a)は夏季において天井放射パネルにより天井を冷却することで体感温度を下げるイメージを示しており、同図(b)は冬季において床暖房により床面を温かくすることで体感温度を上げるイメージを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の室温熱平衡システムの一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1(a)に示すように、この室温熱平衡システムは、複数の部屋として、隣り合う居室A,Bに対し、金属板1が各居室A,Bの天井仕上げ面とされている。なお、金属板1を天井仕上げ面とする上で、金属板表面に模様等のデザインを施して外観を良くすることができる。模様等のデザインは、金属板表面に凹凸を設けたり、印刷をしたりすることによって施すことができる。
【0015】
また、隣り合う居室A,Bに対し、中実棒状の伝熱部材2が隣り合う居室A,Bの各天井裏空間Tに自身端部2tが張り出した状態で居室相互に跨がって設置されている。さらに、伝熱部材2が隣り合う居室A,B間を跨ぐ部分Mは、当該跨ぐ部分Mの伝熱部材周囲が断熱材3で覆われて隣り合う居室A,B間の熱移動経路となっている。ここで、金属板1および棒状の伝熱部材2は、いずれも石膏ボードよりも熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウムや、ステンレス等)が用いられている。なお、棒状の伝熱部材2にヒートパイプを用いれば、さらに熱伝達性能が向上することが期待できる。
【0016】
この室温熱平衡システムによれば、隣り合う居室A,Bは、各居室の空気の熱が、金属板(天井仕上げ面)1と天井裏空間Tの空気を経由して伝熱部材2に伝わり、さらに伝熱部材2を介して隣り合う居室A,Bに移動する。そのため、最終的には二つの居室A,Bが同じ空気温度に収束して熱的平衡状態となる。なお、
図1(a)の
例は、
本発明に対し、金属板1と伝熱部材2とが天井裏空間Tで離隔して配置された
比較例であるが、熱移動のレスポンスを更に向上させる上では、同図(b)に示す
本発明の実施例のように、金属板1と伝熱部材2とを天井裏空間Tで接触配置(同図(c)参照)させることが好ましい。また、熱移動のレスポンスを更に向上させる上では、金属板(天井仕上げ面)1の下地を軽量鉄骨にすることが好ましい。
【0017】
ここで、熱伝導率は、アルミニウムで約250W/(m・K)であり、ステンレスで約25W/(m・K)であり、石膏ボードで約0.2W/(m・K)である。よって、例えば室温30℃の居室Aと室温10℃の居室Bとに本発明の室温熱平衡システムを適用した場合、アルミニウムであれば石膏ボードに比べて約1250倍の速さで、ステンレスでは約125倍の速さで熱を移動させて、最終的に両居室A,B共に室温20℃に自然に収束させることができる。
【0018】
このように、本発明の室温熱平衡システムによれば、熱伝導率が高い材料を熱移動媒体として隣り合う居室A,Bを相互に連絡させているので、電気やガス等を消費せずに素早く熱を移動させているため省エネである。また、住戸内室温の均一化に寄与できるため、ヒートショック等の健康被害を抑制することができ、熱的快適性を向上させることができる。
【0019】
なお、本発明に係る室温熱平衡システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば上記実施形態では、複数の部屋として、隣り合う居室A,Bを例に説明したが、これに限らず、例えば
図2に示すように、住戸が、居間Cと、これに隣り合う二つの居室A,Bとを有する場合であっても、これら3つの部屋相互に対しても、上記室温熱平衡システムを適用することができる。
【0020】
これにより、夏の暑い日(同図(a))や冬の温かい日(同図(b))には、本発明の室温熱平衡システムにより、居間Cから離れている居室(洋室)A,Bへの熱移動や、隣り合う居室A,B相互の熱移動をそれぞれ促すことができるので、住戸全体の室温を均一化させることができる。なお、同図(a)に示す矢印は、本発明の室温熱平衡システムにより、夏の強い日差しで暑くなった居間Cから、日当たりが悪く涼しい居室(洋室)A,Bへ温熱が移動し、居間Cの室温を下げているイメージを示している。また、同図(b)に示す矢印は、本発明の室温熱平衡システムにより、冬の日差しで温かくなった居間Cから、寒い居室(洋室)A,Bへ温熱が移動し、寒い居室(洋室)A,Bの室温を上げているイメージを示している。
【0021】
また、夏季であれば居間Cでの冷房による効果を本発明の室温熱平衡システムにより居室A,Bにも伝え、また、冬季であれば居間Cでの暖房による効果を本発明の室温熱平衡システムにより居室A,Bにも伝えることもできる。この方法によって冷暖房器具の台数を削減することが可能になる。
また、例えば上記実施形態では、複数の部屋の各天井裏空間に自身端部が張り出した状態で部屋相互に跨がって設置された金属製の伝熱部材の例として、中実棒状の伝熱部材2を例に説明したが、伝熱部材の形状はこれに限らず、例えば帯状や網状、板状とすることができるし、また、中空の管状であってもよい。中空の管状伝熱部材の例にはヒートパイプがある。
【0022】
また、例えば上記実施形態では、複数の部屋として、居室A,Bを例に説明したが、これに限らず、本発明を適用可能な部屋とは、風呂、脱衣室、トイレを含む概念である。また、例えば上記実施形態では、複数の部屋相互が廊下等を挟んで離隔している例で説明したが、これに限定されず、複数の部屋相互が隣接している場合であれば、伝熱部材が部屋間を跨ぐ部分が存在しないので、各部屋の天井仕上げ面とされた金属板と、複数の部屋の各天井裏空間に自身端部が張り出した状態で部屋相互に跨がって設置された伝熱部材とを備えることにより、本発明の一態様に係る室温熱平衡システムを構成することができる。
【0023】
具体的には、
図3に、隣接する風呂と脱衣室とに適用した例を示す。同図に示すように、風呂と脱衣室とに本発明の室温熱平衡システムを適用すれば、風呂の温熱が脱衣室へ移動して脱衣室の室温を上げ寒さを和らげることができる。なお、本発明の室温熱平衡システムを構成する金属板1は、上記実施形態のように、部屋の天井全面を覆うように設ける他、
図3(a)に示すように、天井面の一部とすることもできる。また、
図4に示すように、居間とトイレとに本発明の室温熱平衡システムを適用すれば、居間の温熱がトイレへ移動してトイレの室温を上げ寒さを和らげることができる。
【0024】
また、例えば上記実施形態では、本発明の室温熱平衡システムを構成する伝熱部材2が、中実棒状の一体構造とした例で説明したが、これに限らず、伝熱部材2を複数の部材から構成し、複数の部材を相互に接続して延長したり、複数の部材相互の、伝熱の接続と遮断を切替え可能にしたりすることもできる。
具体的には、
図5および
図6に示す変形例は、伝熱部材2の伝熱の接続と遮断を切替え可能に構成している。この例では、
図5に示すように、居室A,B側とは反対側に位置する廊下部分において、壁面近傍の断熱材3の端部の位置(符号Z)に、伝熱部材2の伝熱の接続と遮断を切替え可能とする切替え機構を設けている。
【0025】
詳しくは、
図6に要部を示すように、この切替え機構は、伝熱部材2を複数の部材2a,2bに分割しており、隣接する部材2a,2b相互の端部を離間して設けている。そして、隣接する部材2a,2bの端部相互に跨って接する接続用金属板2cを部材2a,2bの上部から当接および離隔可能に設けている。接続用金属板2cには、垂直下向きに縦棒4が固定されており、この縦棒4の下部が、壁面上に設けた押しボタンスイッチ5に接している。押しボタンスイッチ5は、水平面に沿った押し圧操作によって同図左右方向に進退可能とされている。押しボタンスイッチ5の背面側は、接続用金属板2cとの当接面5aとされ、この当接面5aが傾斜したスロープを有することでカム面として機能するように形成されており、押し圧操作がされないときには、同図(a)に示すように、押しボタンスイッチ5が同図左方向に退避することで縦棒4が下方に移動した位置で当接面5aに当接保持される。このとき、接続用金属板2cが部材2a,2bを伝熱的連通状態として伝熱部材2の伝熱が可能となる。一方、押しボタンスイッチ5が押し圧操作がされたときには、同図(b)に示すように、押しボタンスイッチ5が同図右方向に移動することでボタン背面の当接面5aに沿って縦棒4がスロープを斜めに滑り上がり、縦棒4最上部の接続用金属板2cが隣接する部材2a,2b相互の端部から離隔する。これにより、伝熱部材2から接続用金属板2cが離れる結果、伝熱が遮断される。このような構成であれば、本発明の室温熱平衡システムによる伝熱の有効・無効を適宜切替えることができる。
【0026】
次に、伝熱部材2を複数の部材から構成して、複数の部材を相互に接続して延長した例を
図7に示す。同図(a)に示すように、この例では、伝熱部材2が断熱材3に覆われた位置(符号Y)の二か所にて、伝熱部材2を分割構造としている。各分割部は、同図(b)に示すように、複数の部材2a,2b,2cから構成した分割構造とし、この分割構造は、棒状の伝熱部材2を複数の部材2a,2bに分割して、隣接する部材2a,2b相互の端部を離間して設けている。そして、隣接する部材2a,2b相互の端部同士に跨って接する接続用金属板2cを部材2a,2bの端部に上部から固定している。接続用金属板2cによる固定方法はハンダ付け等で、容易に剥がれないようになっている。このような構成であれば、本発明の室温熱平衡システムを適用しようとする複数の部屋相互の離隔距離が長い場合であっても、複数の部屋相互を伝熱部材2によって伝熱的連通状態とする上で好適である。
【符号の説明】
【0027】
1 金属板
2 伝熱部材
3 断熱材
4 縦棒
5 押しボタンスイッチ