(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機体高さ復帰制御手段は、機体上昇制御手段による機体上昇後、上昇条件に含まれる複数の条件うち、特定の条件のみが成立しなくなったときは、機体を上昇前の高さに復帰させることなく、現在の機体高さを維持させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、上記の3つの条件が成立すると、機体を自動的に上昇させるものであるから、機体の上昇が必要ない状況でも無用に機体が上昇する可能性がある。例えば、機体格納時や路上走行時における機体の後進に際して無用に機体が上昇する可能性がある。
【0007】
また、特許文献1は、機体上昇後、主変速レバーが前進操作されてから、機体の復帰下降動作を開始させるものであるから、機体が上昇前の高さに復帰するのに時間がかかり、作業を素早く再開できないという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、機体と、機体の前部に昇降自在に設けられる前処理部と、前処理部を昇降操作する前処理昇降レバーと、機体の下部に設けられる走行部と、走行部の接地面に対して機体を昇降させる機体昇降機構と、
機体を前後進操作する主変速レバーと、機体昇降機構を制御する制御部と、を備えるコンバインであって、前記制御部は、所定の上昇条件が成立したとき、機体を上昇させる機体上昇制御手段と、機体上昇制御手段による機体上昇後、所定の上昇条件が成立しなくなったとき、機体を上昇前の高さに復帰させる機体高さ復帰制御手段とを備え、前記所定の上昇条件には、少なくとも前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態で
、かつ主変速レバーが後進操作状態であるという条件が含まれ
、機体の上昇前の高さへの復帰は、前記所定のスイッチがOFFに切換わるだけで実行されることを特徴とするコンバインである。
請求項2の発明は、前記所定の上昇条件には、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態であるという条件の他に、1又は複数の条件が含まれ、前記機体上昇制御手段は、上記の条件がすべて成立したとき、機体を上昇させるものであり、前記1又は複数の条件には、機体を前後進操作する主変速レバーが後進操作状態であるという条件が含まれることを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
請求項3の発明は、前記所定の上昇条件には、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態であるという条件の他に、1又は複数の条件が含まれ、前記機体上昇制御手段は、上記の条件がすべて成立したとき、機体を上昇させるものであり、前記1又は複数の条件には、前処理部への伝動を入り/切りする刈取クラッチが入り操作状態、及び/又は、脱穀部への伝動を入り/切りする脱穀クラッチが入り操作状態であるという条件が含まれることを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
請求項4の発明は、前記所定の上昇条件には、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態であるという条件の他に、1又は複数の条件が含まれ、
前記機体上昇制御手段は、上記の条件がすべて成立したとき、機体を上昇させるものであり、前記1又は複数の条件には、前処理昇降レバーが上昇操作状態、及び/又は、前処理部の昇降高さが所定高さ以上であるという条件が含まれることを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
請求項5の発明は、前記所定の上昇条件には、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態であるという条件と、機体を前後進操作する主変速レバーが後進操作状態であるという条件と、前処理部への伝動を入り/切りする刈取クラッチが入り操作状態、及び/又は、脱穀部への伝動を入り/切りする脱穀クラッチが入り操作状態であるという条件と、前処理昇降レバーが前処理上昇操作状態、及び/又は、前処理の昇降高さが所定高さ以上であるという条件と、が含まれ、前記機体上昇制御手段は、上記の条件がすべて成立したとき、機体を上昇させることを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
請求項6の発明は、前記機体高さ復帰制御手段は、機体上昇制御手段による機体上昇後、上昇条件に含まれる複数の条件うち、特定の条件のみが成立しなくなったときは、機体を上昇前の高さに復帰させることなく、現在の機体高さを維持させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンバインである。
請求項7の発明は、機体と、機体の前部に昇降自在に設けられる前処理部と、前処理部を昇降操作する前処理昇降レバーと、機体の下部に設けられる走行部と、走行部の接地面に対して機体を昇降させる機体昇降機構と、
機体を前後進操作する主変速レバー26と、機体昇降機構を制御する制御部と、を備えるコンバインであって、前記制御部は、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作され
ている状態で、
少なくとも主変速レバーが後進操作状態となることを条件として機体を上昇させる機体上昇制御手段と、機体上昇制御手段による機体上昇後、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがOFF操作された
だけで、機体を上昇前の高さに復帰させる機体高さ復帰制御手段とを備えることを特徴とするコンバインである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、所定の上昇条件が成立したとき、機体を上昇させるものでありながら、所定の上昇条件には、少なくとも前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作状態であるという条件が含まれているので、必要なときだけオペレータの意思で機体を上昇させることができ、その結果、機体の上昇が必要ない状況で機体が無用に上昇するという問題を解消できる。また、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチのON操作をやめれば、所定の上昇条件が成立しなくなり、機体が上昇前の高さに復帰するので、機体の前進を開始する以前に機体を上昇前の高さに復帰させて作業を素早く再開することができる。
また、請求項2の発明によれば、所定の上昇条件に、機体を前後進操作する主変速レバーが後進操作状態であるという条件も含まれるので、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチが、機体後進時以外(例えば、機体前進時や機体停止時)に誤って操作されても、機体が上昇することはない。
また、請求項3の発明によれば、所定の上昇条件に、前処理部への伝動を入り/切りする刈取クラッチが入り操作状態、及び/又は、脱穀部への伝動を入り/切りする脱穀クラッチが入り操作状態であるという条件も含まれるので、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチが、圃場走行時以外(例えば、機体格納時や路上走行時)に誤って操作されても、機体が上昇することはない。
また、請求項4の発明によれば、所定の上昇条件に、前処理部への伝動を入り/切りする刈取クラッチが入り状態であるという条件前処理昇降レバーが上昇操作状態、及び/又は、前処理部の昇降高さが所定高さ以上であるという条件も含まれるので、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチが、前処理上昇時以外(例えば、刈取作業中)に誤って操作されても、機体が上昇することはない。
また、請求項5の発明によれば、所定の上昇条件に、機体を前後進操作する主変速レバーが後進操作状態であるという条件と、前処理部への伝動を入り/切りする刈取クラッチが入り操作状態、及び/又は、脱穀部への伝動を入り/切りする脱穀クラッチが入り操作状態であるという条件と、前処理昇降レバーが上昇操作状態、及び/又は、前処理部の昇降高さが所定高さ以上であるという条件が含まれるので、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチが、機体後進時以外、圃場走行時以外、前処理上昇時以外に誤って操作されても、機体が上昇することはない。
また、請求項6の発明によれば、機体上昇制御手段による機体上昇後、上昇条件に含まれる複数の条件うち、特定の条件のみが成立しなくなったときは、機体を上昇前の高さに復帰させることなく、現在の機体高さを維持させるので、必要に応じて現在の機体高さを維持させることができる。
また、請求項7の発明によれば、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがON操作されたとき、機体を上昇させる一方、機体上昇後、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチがOFF操作されたとき、機体を上昇前の高さに復帰させるので、必要なときだけオペレータの意思で機体を上昇させることができ、その結果、機体の上昇が必要ない状況で機体が無用に上昇するという問題を解消できる。また、前処理昇降レバーに設けられる所定のスイッチをOFF操作すれば、機体が上昇前の高さに復帰するので、機体の前進を開始する以前に機体を上昇前の高さに復帰させて作業を素早く再開することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、機体2と、該機体2の前部に昇降自在に設けられる前処理部3と、該前処理部3で刈り取られた茎稈から穀粒を脱穀する脱穀部4と、該脱穀部4で選別された穀粒を貯溜する穀粒タンク5と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部6と、オペレータが乗車する操作部7と、機体2の下部に設けられる走行部8とを備えて構成されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の走行部8は、左右一対のクローラ走行装置9を備えて構成されている。クローラ走行装置9は、駆動スプロケット10、アイドラ11、上部転輪12、複数の下部転輪13などの輪体と、これらの輪体に懸回されるクローラ14とを備えて構成されており、駆動スプロケット10の駆動回転に応じて機体2を走行させるとともに、アイドラ11によってクローラ14の張り調整が行われるようになっている。ここで、駆動スプロケット10及び上部転輪12は、機体フレーム15側に支持され、アイドラ11及び下部転輪13は、トラックフレーム16側に支持されている。
【0013】
機体フレーム15とトラックフレーム16との間には、走行部8の接地面に対して機体2を昇降させる機体昇降機構17が設けられている。本実施形態の機体昇降機構17は、トラックフレーム16を機体フレーム15に対して昇降自在に連結する前後一対の連結リンク18、19と、昇降シリンダ20の油圧伸縮作動に応じて前後方向に揺動する作動アーム21と、作動アーム21を前側連結リンク18に連結させる前側連結ロッド22と、作動アーム21を後側連結リンク19に連結させる後側連結ロッド23とを備えており、昇降シリンダ20を油圧伸縮作動させると、作動アーム21に連動して前後一対の連結リンク18、19が前後方向に揺動し、機体2を走行部8の接地面に対して昇降させる構成となっている。
【0014】
なお、本実施形態では、左右一対の機体昇降機構17を備え、各機体昇降機構17が備える左右の昇降シリンダ20を同方向に伸縮させることにより、機体2を接地面に対して平行に昇降させる機能と、いずれか一方の昇降シリンダ20を伸縮させたり、左右の昇降シリンダ20を背反方向に伸縮させることにより、機体2を左右傾斜させる機能を実現するが、本発明では、機体2を左右傾斜させる機能の有無は任意である。
【0015】
図3〜
図5に示すように、操作部7には、オペレータが座る運転席24、運転席24の前方に配置されるマルチレバー25(前処理昇降レバー)、運転席24の左側方に配置される主変速レバー26、パワークラッチ操作部27、前処理高さ設定部28などが設けられている。
【0016】
マルチレバー25は、前処理部3を昇降操作する前処理昇降操作具と、機体2を左右に旋回操作する旋回操作具とに兼用されるジョイスティック式の操作レバーであり、マルチレバー25を前方に倒し操作すると前処理部3が下降し、マルチレバー25を後方に倒し操作すると前処理部3が上昇し、マルチレバー25を左側方に倒し操作すると機体2が左旋回し、マルチレバー25を右側方に倒し操作すると機体2が右旋回するようになっている。
【0017】
マルチレバー25の握り部25aには、トリガースイッチ29(所定のスイッチ)が設けられている。トリガースイッチ29は、押し操作中のみON状態となる押しボタン式のスイッチからなり、マルチレバー25の操作中であっても、押し操作可能な位置に配置される。例えば、本実施形態のトリガースイッチ29は、マルチレバー25の握り部25aを握った状態で、人差し指で選択的に引き操作できるように、握り部25aの背面上部に配置されている。
【0018】
主変速レバー26は、前進走行操作、後進走行操作及び走行停止操作が可能であり、前進走行操作領域及び後進走行操作領域では、無段階状の走行変速が可能となっている。通常、作業走行時には、右手でマルチレバー25を握り、左手で主変速レバー26を握った状態となる。
【0019】
パワークラッチ操作部27には、前処理部3への伝動を入り/切りする電動式の刈取クラッチ(図示せず)と、脱穀部4への伝動を入り/切りする電動式の脱穀クラッチ(図示せず)を入り/切り操作するパワークラッチボタン30が設けられている。両クラッチが切りの状態でパワークラッチボタン30を押し操作すると、脱穀クラッチのみが入り操作状態となり、この状態でパワークラッチボタン30を再度押し操作すると、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが入り操作状態となる。
【0020】
前処理高さ設定部28には、刈高さ位置制御やリフトシャット制御の高さ設定を行なう高さ設定ボリューム31が設けられている。刈高さ位置制御は、刈取走行時に、設定高さを維持するように前処理部3を自動的に昇降させる制御であり、その設定高さは、
図6に示す刈高さ位置制御設定可能範囲内で設定される。また、リフトシャット制御は、前処理部3が設定高さまで上昇したとき、刈取クラッチを一時的に切り状態(入り操作状態は維持)にする制御である。
【0021】
図7に示すように、コンバイン1には、機体2の昇降制御(水平制御や傾斜制御を含む)を司る制御部32が設けられている。制御部32は、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM、I/Oなどを含む)を用いて構成されており、その入力側には、前述したトリガースイッチ29やパワークラッチボタン30の他に、主変速レバー26の操作位置を検出する主変速レバー検出手段33、マルチレバー25の操作位置を検出するマルチレバー検出手段34、前処理部3の高さ位置を検出する刈高さ検出手段35(リフトポテンショメータ)、刈取クラッチの入り/切りを検出する刈取クラッチ検出手段36、脱穀クラッチの入り/切りを検出する脱穀クラッチ検出手段37、左昇降シリンダ20の伸縮位置を検出する左シリンダポテンショメータ38、右昇降シリンダ20の伸縮位置を検出する右シリンダポテンショメータ39などが接続される一方、制御部32の出力側には、左昇降シリンダ20を機体上昇側に作動させる左上げバルブ40、左昇降シリンダ20を機体下降側に作動させる左下げバルブ41、右昇降シリンダ20を機体上昇側に作動させる右上げバルブ42、右昇降シリンダ20を機体下降側に作動させる右下げバルブ43などが接続されている。
【0022】
なお、刈取クラッチ検出手段36(脱穀クラッチ検出手段37)は、後述する実施形態2〜4において、圃場走行状態であるか否かを判断するためのものであり、刈取クラッチ(脱穀クラッチ)の入り/切りを検出するものでも、刈取クラッチ操作具(脱穀クラッチ操作具)の入り/切り操作状態を検出するものでもよい。ただし、本実施形態のように、リフトシャット機能を備えるコンバイン1では、刈取クラッチ入り操作状態であっても刈取クラッチが切れる場合があるので、刈取クラッチ操作具の入り/切り操作状態にもとづいて圃場走行状態であるか否かを判断することが好ましい。
【0023】
制御部32は、機能的な構成として機体上昇制御手段と機体高さ復帰制御手段を備える。つまり、制御部32には、半自動後進上昇メインというプログラムが予め記憶されており、ソフトウェアである半自動後進上昇メインと、ハードウェアである制御部32との協働により、機体上昇制御手段や機体高さ復帰制御手段が実現される。
【0024】
機体上昇制御手段は、所定の上昇条件が成立したとき、機体2を上昇させる制御手段であり、機体高さ復帰制御手段は、機体上昇制御手段による機体上昇後、所定の上昇条件が成立しなくなったとき、機体2を上昇前の高さに復帰させる制御手段である。そして、所定の上昇条件には、少なくともマルチレバー25に設けられるトリガースイッチ29がON操作状態であるという条件が含まれる。
【0025】
つまり、所定の上昇条件が成立したとき、機体2を上昇させるものでありながら、所定の上昇条件には、少なくともマルチレバー25に設けられるトリガースイッチ29がON操作状態であるという条件が含まれているので、必要なときだけオペレータの意思で機体2を上昇させることができ、その結果、機体2の上昇が必要ない状況で機体2が無用に上昇するという問題を解消できる。また、マルチレバー25に設けられるトリガースイッチ29のON操作をやめれば、所定の上昇条件が成立しなくなり、機体2が上昇前の高さに復帰するので、機体2の前進を開始する以前に機体2を上昇前の高さに復帰させて作業を素早く再開することができる。以下、半自動後進上昇メインの具体的な処理手順について、
図8を参照しつつ説明する。
【0026】
図8に示すように、半自動後進上昇メインでは、まず、トリガースイッチ29のON/OFF判断(S101)と、後進上昇モードのON/OFF判断(S102、S103)を行なう。ここで、いずれもOFFという判断結果の場合は、水平制御などのその他の制御を実行する(S104)。
【0027】
トリガースイッチ29がONで、かつ後進上昇モードがOFFであると判断した場合は、トリガースイッチ29のON操作直後であると判断し、後進上昇モードをONにするとともに(S105)、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を記憶する(S106、S107)。また、トリガースイッチ29がONのときは、後進上昇モードのON/OFFに拘わらず、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S108、S111)、その判断結果が上限未満である場合は、上げバルブ40、42をONにする一方(S109、S112)、上限以上である場合は、上げバルブ40、42をOFFにする(S110、S113)。これにより、トリガースイッチ29のON操作に応じて、機体2を上限位置まで上昇させることができる。
【0028】
一方、トリガースイッチ29がOFFで、かつ後進上昇モードがONであると判断した場合は、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S114、S118)、その判断結果が記憶高さよりも高い場合は、下げバルブ41、43をONにする一方(S115、S119)、記憶高さ以下である場合は、下げバルブ41、43をOFFにする(S116、S120)。これにより、トリガースイッチ29のOFF操作に応じて、機体2を上昇前の高さに復帰させることができる。
【0029】
また、各シリンダポテンショメータ38、39の検出位置が記憶高さに復帰したら、対応する動作完了フラグにONをセットするとともに(S117、S121)、両動作完了フラグがONとなったタイミングを判断し(S122)、該判断結果にもとづいて、後進上昇モードのOFF処理(S123)や動作完了フラグのリセット処理(S124、S125)を行なう。
【0030】
なお、第1実施形態における機体上昇制御手段は、ステップS101〜S113により実現され、機体高さ復帰制御手段は、ステップS114〜S125により実現される。
【0031】
つぎに、第2実施形態に係る半自動後進上昇メインについて、
図9及び
図10を参照しつつ説明する。
【0032】
第2実施形態に係る半自動後進上昇メインは、機体上昇制御手段の所定の上昇条件として、トリガースイッチ29がON操作状態であるという条件の他に、主変速レバー26が後進操作状態であるという条件と、刈取クラッチが入り操作状態であるという条件と、前処理部2の昇降高さが所定高さ以上(例えば、リフトシャット制御の設定高さ)であるという条件を含み、これらの条件がすべて成立したとき、機体2を上昇させる点が前記実施形態と相違している。
【0033】
このような第2実施形態の半自動後進上昇メインによれば、トリガースイッチ29が、機体後進時以外、圃場走行時以外、前処理上昇時以外に誤って操作されても、機体2の上昇を制限し、無用な機体2の上昇を防止することができる。
【0034】
具体的に説明すると、第2実施形態の半自動後進上昇メインは、
図9及び
図10に示すように、まず、主変速レバー26の操作位置の判断(S201)、刈取クラッチの入り/切り操作状態の判断(S202)、前処理部3の昇降高さの判断(S203)、トリガースイッチ29のON/OFF操作状態の判断(S204)を行なう。そして、主変速レバー26が後進位置で、刈取クラッチが入り操作状態で、前処理高さがリフトシャット設定高さ以上で、トリガースイッチ29がON操作状態であると判断した場合は、上昇条件が成立したと判断して
図10の接続子Aに進み、それ以外の場合は、
図10の接続子Bに進む。
【0035】
図10の接続子Aに進むと、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S205)、この判断結果がOFFの場合は、上昇条件成立直後であると判断し、後進上昇モードをONにするとともに(S206)、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を記憶する(S207、S208)。また、上昇条件成立後は、後進上昇モードのON/OFFに拘わらず、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S209、S212)、その判断結果が上限未満である場合は、上げバルブ40、42をONにする一方(S210、S213)、上限以上である場合は、上げバルブ40、42をOFFにする(S211、S214)。これにより、上昇条件の成立に応じて、機体2を上限位置まで上昇させることができる。
【0036】
一方、
図10の接続子Bに進んだ場合は、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S215)、この判断結果がOFFの場合は、水平制御などのその他の制御を実行する(S216)。後進上昇モードがONであると判断した場合は、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S217、S221)、その判断結果が記憶高さよりも高い場合は、下げバルブ41、43をONにする一方(S218、S222)、記憶高さ以下である場合は、下げバルブ41、43をOFFにする(S219、S223)。これにより、上昇条件の不成立に応じて、機体2を上昇前の高さに復帰させることができる。
【0037】
また、各シリンダポテンショメータ38、39の検出位置が記憶高さに復帰したら、対応する動作完了フラグにONをセットするとともに(S220、S224)、両動作完了フラグがONとなったタイミングを判断し(S225)、該判断結果にもとづいて、後進上昇モードのOFF処理(S226)や動作完了フラグのリセット処理(S227、S228)を行なう。
【0038】
なお、第2実施形態における機体上昇制御手段は、ステップS201〜S214により実現され、機体高さ復帰制御手段は、ステップS215〜S228により実現される。
【0039】
つぎに、第3実施形態に係る半自動後進上昇メインについて、
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0040】
第3実施形態に係る半自動後進上昇メインは、機体上昇制御手段の所定の上昇条件として、トリガースイッチ29がON操作状態であるという条件の他に、主変速レバー26が後進操作状態であるという条件と、刈取クラッチが入り操作状態であるという条件と、前処理部2の昇降高さが所定高さ以上(例えば、最上げ位置)であるという条件と、マルチレバー25が前処理上げ操作状態であるという条件を含み、これらの条件がすべて成立したとき、機体2を上昇させる点が前記実施形態と相違している。
【0041】
このような第3実施形態の半自動後進上昇メインによれば、トリガースイッチ29が、機体後進時以外、圃場走行時以外、前処理上昇時以外に誤って操作されても、機体2の上昇を制限し、無用な機体2の上昇を防止することができる。しかも、本実施形態では、機体上昇制御手段の所定の上昇条件として、前処理部2の昇降高さが所定高さ以上(例えば、最上げ位置)であるという条件に加え、マルチレバー25が前処理上げ操作状態であるという条件を含むので、オペレータの意識的な操作を要求し、無用な機体2の上昇をより確実に回避することができる。
【0042】
具体的に説明すると、第3実施形態の半自動後進上昇メインは、
図11及び
図12に示すように、まず、主変速レバー26の操作位置の判断(S301)、刈取クラッチの入り/切り操作状態の判断(S302)、前処理部3の昇降高さの判断(S303)、マルチレバー25の前処理上昇操作状態の判断(S304)、トリガースイッチ29のON/OFF操作状態の判断(S305)を行なう。そして、主変速レバー26が後進位置で、刈取クラッチが入り操作状態で、前処理高さが最上げ位置で、マルチレバー25が前処理上昇操作状態で、トリガースイッチ29がON操作状態であると判断した場合は、上昇条件が成立したと判断して
図12の接続子Aに進み、それ以外の場合は、
図12の接続子Bに進む。
【0043】
図12の接続子Aに進むと、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S306)、この判断結果がOFFの場合は、上昇条件成立直後であると判断し、後進上昇モードをONにするとともに(S307)、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を記憶する(S308、S309)。また、上昇条件成立後は、後進上昇モードのON/OFFに拘わらず、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S310、S313)、その判断結果が上限未満である場合は、上げバルブ40、42をONにする一方(S311、S314)、上限以上である場合は、上げバルブ40、42をOFFにする(S312、S315)。これにより、上昇条件の成立に応じて、機体2を上限位置まで上昇させることができる。
【0044】
一方、
図12の接続子Bに進んだ場合は、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S316)、この判断結果がOFFの場合は、水平制御などのその他の制御を実行する(S317)。後進上昇モードがONであると判断した場合は、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S318、S322)、その判断結果が記憶高さよりも高い場合は、下げバルブ41、43をONにする一方(S319、S323)、記憶高さ以下である場合は、下げバルブ41、43をOFFにする(S320、S324)。これにより、上昇条件の不成立に応じて、機体2を上昇前の高さに復帰させることができる。
【0045】
また、各シリンダポテンショメータ38、39の検出位置が記憶高さに復帰したら、対応する動作完了フラグにONをセットするとともに(S321、S325)、両動作完了フラグがONとなったタイミングを判断し(S326)、該判断結果にもとづいて、後進上昇モードのOFF処理(S327)や動作完了フラグのリセット処理(S328、S329)を行なう。
【0046】
なお、第3実施形態における機体上昇制御手段は、ステップS301〜S315により実現され、機体高さ復帰制御手段は、ステップS316〜S329により実現される。
【0047】
つぎに、第4実施形態に係る半自動後進上昇メインについて、
図13及び
図14を参照しつつ説明する。
【0048】
第4実施形態に係る半自動後進上昇メインは、機体上昇制御手段による機体上昇後、上昇条件に含まれる複数の条件うち、特定の条件のみが成立しなくなったときは、機体2を上昇前の高さに復帰させることなく、現在の機体高さを維持させる点が前記実施形態と相違している。このようにすると、オペレータの意識的な操作にもとづき、必要に応じて現在の機体高さを維持させることができる。
【0049】
具体的に説明すると、第4実施形態の半自動後進上昇メインは、
図13及び
図14に示すように、まず、主変速レバー26の操作位置の判断(S401)、刈取クラッチの入り/切り操作状態の判断(S402)、前処理部3の昇降高さの判断(S403)、トリガースイッチ29のON/OFF操作状態の判断(S404)を行なう。そして、主変速レバー26が後進位置で、刈取クラッチが入り操作状態で、前処理高さが最上げ位置で、トリガースイッチ29がON操作状態であると判断した場合は、続いてマルチレバー25の前処理上昇操作状態の判断(S405)を行なうが、それ以外の場合は、
図14の接続子Bに進む。また、ステップS405の判断結果が前処理上げ操作状態である場合は、
図14の接続子Aに進む一方、それ以外の場合は、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S406)、この判断結果がONの場合は、そのままの状態(現在の機体高さ)を維持して(S407)、
図14の接続子C(そのままリターン)に進み、判断結果がOFFの場合は、水平制御などのその他の制御を実行する(S408)。
【0050】
図14の接続子Aに進むと、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S409)、この判断結果がOFFの場合は、上昇条件成立直後であると判断し、後進上昇モードをONにするとともに(S410)、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を記憶する(S411、S412)。また、上昇条件成立後は、後進上昇モードのON/OFFに拘わらず、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S413、S416)、その判断結果が上限未満である場合は、上げバルブ40、42をONにする一方(S414、S417)、上限以上である場合は、上げバルブ40、42をOFFにする(S415、S418)。これにより、上昇条件の成立に応じて、機体2を上限位置まで上昇させることができる。
【0051】
一方、
図14の接続子Bに進んだ場合は、後進上昇モードのON/OFFを判断し(S419)、この判断結果がOFFの場合は、水平制御などのその他の制御を実行する(S420)。後進上昇モードがONであると判断した場合は、シリンダポテンショメータ38、39の検出位置を判断し(S421、S425)、その判断結果が記憶高さよりも高い場合は、下げバルブ41、43をONにする一方(S422、S426)、記憶高さ以下である場合は、下げバルブ41、43をOFFにする(S423、S427)。これにより、上昇条件の不成立に応じて、機体2を上昇前の高さに復帰させることができる。
【0052】
また、各シリンダポテンショメータ38、39の検出位置が記憶高さに復帰したら、対応する動作完了フラグにONをセットするとともに(S424、S428)、両動作完了フラグがONとなったタイミングを判断し(S429)、該判断結果にもとづいて、後進上昇モードのOFF処理(S430)や動作完了フラグのリセット処理(S431、S432)を行なう。
【0053】
なお、第4実施形態における機体上昇制御手段は、ステップS401〜S418により実現され、機体高さ復帰制御手段は、ステップS419〜S432により実現される。
【0054】
以上、本発明に係る4つの実施形態について説明したが、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲内で適宜変形が可能であることは言うまでもない。例えば、前記実施形態2〜4では、刈取クラッチの入り判定にもとづいて圃場走行状態であるか否かを判断しているが、圃場走行状態であるか否かの判断は、刈取クラッチの入り判定に代えて、脱穀クラッチの入り判定、又は刈取クラッチ及び脱穀クラッチの入り判定としてもよい。