【実施例1】
【0030】
図1は、実施例1に係るガスタービンエンジンの概略構成図である。
図1に示すように、実施例1に係るガスタービンエンジン(ジェットエンジン)1は、回転軸となるロータ5と、圧縮機10と、燃焼器20と、タービン30とを備えている。ガスタービンエンジン1は、圧縮機10において、取り込んだ空気を圧縮し、燃焼器20において、圧縮した空気に燃料を噴射して燃焼ガス(主流ガス)Gを発生させ、発生させた燃焼ガスGによりタービン30を回転させることで、ロータ5を回転させている。
【0031】
圧縮機10は、圧縮機ケーシング14と、圧縮機ケーシング14に収容されるインペラ11とを有している。インペラ11は、ロータ5に取り付けられるディスク11aと、ディスク11aの周囲に放射状に配置された複数枚のブレード11bとを含んで構成されている。このため、インペラ11は、ロータ5を回転軸として、ロータ5と一体に回転する。圧縮機ケーシング14は、ロータ5の周囲に設けられており、酸化剤としての空気が流通する流路12を形成している。この流路12は、ロータ5を中心として環状に形成されている。そして、流路12は、ロータ5の径方向外側から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を軸方向へ向けて流通させた後、ロータ5の径方向外側に空気を排出する流路として構成される。具体的に、流路12は、インペラ11のディスク11aの小径側であるブレード11bの前縁側から、各ブレード11b間を通過し、ロータ5の径方向外側に向かってディスク11aの大径側であるブレード11bの後縁側に至る流路となっている。
【0032】
燃焼器20は、燃焼器ケーシング24と、燃焼器ケーシング24内に燃料を噴射する燃料ノズル23とを有している。燃焼器ケーシング24は、圧縮機ケーシング14と一体となっており、その内部に、主圧力室21と燃焼器室22とを形成している。主圧力室21は、ロータ5を中心として環状に形成され、圧縮機10の流路12と燃焼器室22とを接続し、流路12から排出された圧縮された空気を燃焼器室22に導いている。燃焼器室22は、ロータ5を中心として環状に形成され、主圧力室21とタービン30とを接続している。燃料ノズル23は、燃焼器室22に設けられ、燃焼器室22内に燃料を噴射する。
【0033】
タービン30は、高圧タービン31と、出力タービン32と、バッフル41とを有する。高圧タービン31は、高圧側タービンノズル33と、高圧側タービンディスク34とを含んでいる。高圧側タービンノズル33は、高圧側インナーケーシング33aと、高圧側アウターケーシング33bと、高圧側インナーケーシング33aと高圧側アウターケーシング33bとの間に設けられる複数の高圧側タービン静翼33cとを備えている。高圧側インナーケーシング33aは、円筒状に形成され、ロータ5の径方向外側に設けられている。高圧側アウターケーシング33bは、高圧側インナーケーシング33aよりも大径の円筒状に形成され、高圧側インナーケーシング33aの径方向外側に設けられている。複数の高圧側タービン静翼33cは、ロータ5を中心として放射状に配置されている。この高圧側タービンノズル33は、燃焼器20の燃焼器室22の出口側に接続されている。
【0034】
高圧側タービンディスク34は、ロータ5に取り付けられるディスク34aと、ディスク34aの周囲に放射状に配置された複数枚の高圧側タービン動翼34bとを含んで構成されている。また、高圧側タービンディスク34の周囲には、円筒状の高圧側シュラウド37が設けられ、高圧側シュラウド37の内面と各高圧側タービン動翼34bの先端との間には、所定の隙間が設けられている。このため、高圧側シュラウド37に収容される高圧側タービンディスク34は、ロータ5を回転軸として、ロータ5と一体に回転する。この高圧側タービンディスク34は、高圧側タービンノズル33の出口側に接続されている。
【0035】
出力タービン32は、出力側タービンノズル35と、出力側タービンディスク36とを含んでいる。出力側タービンノズル35は、出力側インナーケーシング35aと、出力側アウターケーシング35bと、出力側インナーケーシング35aと出力側アウターケーシング35bとの間に設けられる複数の出力側タービン静翼35cとを備えている。出力側インナーケーシング35aは、円筒状に形成され、ロータ5の径方向外側に設けられている。出力側アウターケーシング35bは、出力側インナーケーシング35aよりも大径の円筒状に形成され、出力側インナーケーシング35aの径方向外側に設けられている。複数の出力側タービン静翼35cは、ロータ5を中心として放射状に配置されている。この出力側タービンノズル35は、後述するバッフル41の出口側に接続されている。
【0036】
出力側タービンディスク36は、ロータ5に取り付けられるディスク36aと、ディスク36aの周囲に放射状に配置された複数枚の出力側タービン動翼36bとを含んで構成されている。また、出力側タービンディスク36の周囲には、円筒状の出力側シュラウド38が設けられ、出力側シュラウド38の内面と各出力側タービン動翼36bの先端との間には、所定の隙間が設けられている。このため、出力側シュラウド38に収容される出力側タービンディスク36は、ロータ5を回転軸として、ロータ5と一体に回転する。この出力側タービンディスク36は、出力側タービンノズル35の出口側に接続されている。
【0037】
バッフル41は、高圧タービン31と出力タービン32との間に設けられている。バッフル41は、高圧タービン31から第2タービンに流れる燃焼ガスGのガス流路45を形成している。バッフル41は、内筒バッフル部材42と、外筒バッフル部材43とを有している。内筒バッフル部材42は、円筒状に形成され、ロータ5の径方向外側に設けられている。外筒バッフル部材43は、内筒バッフル部材42よりも大径の円筒状に形成され、内筒バッフル部材42の径方向外側に設けられている。内筒バッフル部材42は、その外周面が、外筒バッフル部材43と対向している。また、外筒バッフル部材43は、その内周面が、内筒バッフル部材42と対向している。このため、ガス流路45は、ロータ5を中心として環状に形成されている。
【0038】
上記のようなガスタービンエンジン1において、ロータ5が回転すると、圧縮機10のインペラ11が回転する。圧縮機10は、インペラ11が回転すると、外部から空気を吸い込むと共に、吸い込んだ空気を圧縮し、圧縮した空気を燃焼器20へ向けて供給する。燃焼器20は、圧縮された空気が供給されると、供給された空気を、主圧力室21へ流入させ、主圧力室21を通過させた後、燃焼器室22へ流入させる。燃焼器20は、燃料ノズル23から燃焼器室22内へ燃料を噴射し、燃焼器室22内において、噴射した燃料と流入した空気とを混合させると共に燃焼させる。燃焼器室22内において燃料が燃焼すると、高温の燃焼ガスGが発生し、発生した燃焼ガスGは、タービン30に流入する。タービン30は、流入した燃焼ガスGを、高圧タービン31へ流入させる。燃焼ガスGが高圧タービン31を通過すると、高圧側タービンディスク34が回転することで、ロータ5を回転駆動させる。タービン30は、高圧タービン31を通過した燃焼ガスGを、バッフル41へ流入させる。燃焼ガスGは、バッフル41のガス流路45を通過し、出力タービン32に流入する。燃焼ガスGが出力タービン32を通過すると、出力側タービンディスク36が回転することで、ロータ5を回転駆動させる。そして、タービン30は、出力タービン32を通過した燃焼ガスGを排出する。以上により、ガスタービンエンジン1は、タービン30の高圧タービン31及び出力タービン32において、ロータ5を回転駆動させ、ロータ5を回転させることで、圧縮機10において、空気を圧縮することが可能となる。
【0039】
次に、
図2を参照して、バッフル41の内筒バッフル部材42周りの構成について詳細に説明する。
図2は、実施例1に係るタービンのバッフルを示す断面図である。
図2に示すように、内筒バッフル部材42は、ガス流路45側に設けられる第1分割バッフル部材51と、ロータ5側(ガス流路45の反対側)に設けられる第2分割バッフル部材52と、連結部材53と、第2分割バッフル部材52に取り付けられるサブバッフル部材54とを含んで構成されている。
【0040】
第1分割バッフル部材51は、ガス流路45に沿って設けられる外周部(第1部位)51aと、外周部51aから第2分割バッフル部材52側に向かって突出する第1連結部(第2部位)51bと、外周部51aと第1連結部51bとの接続部分から外周部51aとは反対側に突出する突起部(第3部位)51cとを含んで一体に構成されている。
【0041】
外周部51aは、燃焼ガスGを案内する外周面を有し、円筒形状となっている。外周部51は、高圧タービン31側の端部が、第1連結部51bに接続され、出力タービン32側の端部が、出力側インナーケーシング35aに接続されている。第1連結部51bは、リング状に形成されており、外周側の端部が外周部51aに接続されている。また、第1連結部51bは、第2分割バッフル部材52側となる先端側の部位が、第2分割バッフル部材52と重複する重複部分E1となっている。突起部51cは、外周部51aと第1連結部51bとの接続部分において、外周側の面から高圧タービン31側に突出する部位であり、高圧タービン31と内筒バッフル部材42との間の隙間を狭くするように設けられている。
【0042】
図3に示すように、第1連結部51bの重複部分E1には、第2分割バッフル部材52に向かって突出する一対の突出部61(
図2の点線部)が形成されている。一対の突出部61は、後述する連結部材53を挟んで設けられている。
【0043】
第2分割バッフル部材52は、外周部51aと対向して設けられる内周部52aと、内周部52aから第1分割バッフル部材51側に向かって突出する第2連結部52bとを含んで一体に構成されている。
【0044】
内周部52aは、円筒形状となっており、高圧タービン31側の端部が、第2連結部52bに接続され、出力タービン32側の端部が、別体の支持部材に接続されている。第2連結部52bは、リング状に形成されており、内周側の端部が内周部52aに接続されている。また、第2連結部52bは、第1分割バッフル部材51側となる先端側の部位が、第1分割バッフル部材51と重複する重複部分E2となっている。
【0045】
図3に示すように、第2連結部52bの重複部分E2には、連結部材53が挿通される挿通穴62が貫通形成されている。挿通穴62は、第1分割バッフル部材51の一対の突出部61の間に位置するように形成されている。そして、第1連結部51bの重複部分E1と第2連結部52bの重複部分E2とが径方向に亘って接触して重ね合わされる。このとき、第1連結部51bは、出力タービン32側に位置する一方で、第2連結部52bは、高圧タービン31側に位置している。このため、第1連結部51bは、内側に配置される一方で、第2連結部52bは、外側に配置される。
【0046】
連結部材53は、頭部及び軸部を有するボルト53a及びナット53bである。ボルト53aは、第2連結部52b側から第1連結部51b側へ向けて、挿通穴62に挿通される。ナット53bは、一対の突出部61の間の距離よりも大きな径となっており、第1連結部51bの出力タービン32側に配置されている。このため、ボルト53aの頭部とナット53bとの間には、高圧タービン31側から順に、後述するサブバッフル部材54の第3連結部54aと、第2分割バッフル部材52の第2連結部52bと、第1分割バッフル部材51の第1連結部51bとが接触して配置される。この連結部材53は、ボルト53a及びナット53bを締結することで、第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52とが、ロータ5の軸方向及び周方向へ移動することを規制する。一方で、連結部材53は、ボルト53a及びナット53bを締結することで、第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52とが、ロータ5の径方向(第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52とが対向する方向)に移動することを許容する。このため、第1連結部51b、第2連結部52b及び連結部材53は、第1分割バッフル部材51及び第2分割バッフル部材52の径方向への熱膨張及び熱収縮による変形を許容するエキスパンション部70として機能する。
【0047】
サブバッフル部材54は、高圧タービン31と内筒バッフル部材42との間の隙間を狭くするための部材である。このサブバッフル部材54は、第2分割バッフル部材52の第2連結部52bと重ね合わされるリング形状の第3連結部54aと、第3連結部54aから外周側に湾曲する湾曲部54bとを含んで一体に構成されている。第3連結部54aは、ボルト53aの頭部と第2連結部52bとの間に位置して設けられ、ボルト53aが挿通される挿通穴63が貫通形成されている。湾曲部54bは、第3連結部54aから高圧タービン31側に向かって延びた後、湾曲して出力タービン32側に向かって延びている。
【0048】
ここで、内筒バッフル部材42には、第1分割バッフル部材51の外周部51aに沿って流れる燃焼ガスGによって熱が与えられる。この場合、内筒バッフル部材42は、与えられる熱によって熱変形するが、エキスパンション部70により、第1分割バッフル部材51及び第2分割バッフル部材52の径方向への熱変形を許容する。これにより、エキスパンション部70は、熱変形を許容することで、熱応力を抑制できる。一方で、内筒バッフル部材42は、与えられる熱により所定の部位に熱応力が発生する。例えば、所定の部位としては、第1連結部51bと第2連結部52bとの重複部分E1である。このため、実施例1では、内筒バッフル部材42に、熱容量として機能する厚肉部56が設けられている。
【0049】
厚肉部56は、第1分割バッフル部材51の第1連結部51bに設けられている。具体的に、厚肉部56は、径方向において、連結部材53よりもガス流路45側の第1連結部51bに設けられている。このため、第1連結部51bは、その基端側に厚肉部56が設けられ、その先端側に第2連結部52bとの重複部分E1が設けられる。また、厚肉部56は、第2連結部52bが重ね合わされる面とは反対側の面、つまり、出力タービン32側の面から突出して設けられている。このように、厚肉部56は、第1連結部51bと第2連結部52bとの重複部分E1に対してガス流路45側に設けられることから、重複部分E1への熱応答を遅くすることができる。
【0050】
第1連結部51bは、厚肉部56が設けられる部位の軸方向における厚さD1が、厚肉部56が設けられていない第2連結部52bとの重複部分E1の軸方向における厚さD2に比して厚くなっている。
【0051】
図4は、実施例1のバッフルの厚肉部における板厚比率に応じて変化する応力比率のグラフである。
図4に示すグラフは、その横軸が、厚さD1と厚さD2との板厚比率(D1/D2)であり、その縦軸が、所定の部位(例えば、重複部分E1)に加わる応力比率である。応力比率は、板厚比率が1のとき、つまり、厚さD1と厚さD2とが同じ厚さのときに、所定の部位に加わる熱応力を1とした場合の比率となっている。
【0052】
図4のグラフに示すように、板厚比率を大きくすればするほど、応力比率が低減する。つまり、板厚比率を大きくすれば、厚肉部56の厚さD1が重複部分の厚さD2に比して厚くなるため、厚肉部56の熱容量が大きなものとなり、重複部分への熱応答を遅くできる。このため、板厚比率は、1より大きいことが好ましい。
【0053】
一方で、板厚比率を大きくしてしまうと、厚肉部56の厚さD1が厚くなることから、内筒バッフル部材42の重量が増加する。このため、内筒バッフル部材42の質量増加を抑制しつつ、熱応力の低減を図るべく、板厚比率は、1.5倍以上3.5倍以下とすることが好ましい。また、板厚比率は、2.0倍がより好ましい。
【0054】
以上のように、実施例1の構成によれば、第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52とを連結部材53で連結することで、第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52との径方向における移動を許容することができるため、熱応力を逃がすことができる。このとき、連結部材53よりもガス流路45側(外周側)の第1分割バッフル部材51に厚肉部56を設けることで、厚肉部56の熱容量を大きくすることができる。このため、厚肉部56から、熱応力が発生し易い部位への熱応答が遅れることから、第1分割バッフル部材51に対する熱応力を抑制することができる。このとき、第1分割バッフル部材51と第2分割バッフル部材52との径方向における移動により熱応力を逃がすことができる分、厚肉部56の熱容量を小さくできることから、厚肉部56の質量の増大を抑制しつつ、熱応力を抑制することができる。
【0055】
また、実施例1の構成によれば、連結部材53よりもガス流路45側(基端側)の第1連結部51bに厚肉部56を設けることができるため、厚肉部56とは反対側(先端側)の重複部分E1に発生する熱応力を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、実施例1の構成によれば、厚肉部56は、第1分割バッフル部材51の第1連結部51bを挟んで第2分割バッフル部材52の第2連結部52bの反対側(出力タービン32側)に設けることができるため、厚肉部56と第2連結部52bとの物理的な干渉を抑制することができる。
【0057】
また、実施例1の構成によれば、厚肉部56における第1連結部51bの厚さD1は、重複部分E1における第1連結部51bの厚さD2の1.5倍以上3.5倍以下とすることができる。このため、厚肉部56の厚さD1を、最適な厚さ、つまり質量の増大と熱応力の抑制とがバランスする厚さにすることができる。
【実施例2】
【0058】
次に、
図5を参照して、実施例2に係るタービン100について説明する。
図5は、実施例2に係るタービンのバッフルを示す断面図である。なお、実施例2では、実施例1と重複する記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。実施例1の内筒バッフル部材42は、第1分割バッフル部材51の第1連結部51bの基端部に厚肉部56を設けた。これに対し、実施例2の内筒バッフル部材101は、第1分割バッフル部材51の第1連結部51bと突起部51cとの間に厚肉部105を設けている。以下、実施例2に係るタービン100の内筒バッフル部材101の厚肉部105について説明する。
【0059】
図5に示すように、厚肉部105は、第1連結部51bと突起部51cとの間に設けられ、所定の隙間を空けて第2分割バッフル部材52の第2連結部52bに対向して設けられている。具体的に、厚肉部105は、径方向において、連結部材53よりもガス流路45側に設けられている。このため、第1連結部51bは、その基端側に厚肉部105が設けられ、その先端側に第2連結部52bとの重複部分E1が設けられる。また、厚肉部105は、第1連結部51bの第2連結部52b側となる面、つまり、第1連結部51bの高圧タービン31側の面と、突起部51cの径方向内側の面との間に設けられている。そして、厚肉部105は、第1連結部51bと突起部51cと一体に設けられている。このように、厚肉部105は、第1連結部51bと第2連結部52bとの重複部分E1に対してガス流路45側に設けられることから、重複部分E1への熱応答を遅くすることができる。
【0060】
ここで、厚肉部105と第2連結部52bとが対向する径方向において、厚肉部105が設けられる部位の厚さD3は、厚肉部105と第2連結部52bとの隙間の長さL1に比して厚くなっている。また、隙間の長さL1は、内筒バッフル部材101の外周における半径の0.02倍以上0.07倍以下となっていることが好ましい。このとき、内筒バッフル部材101の外周の半径は、径方向において、厚肉部105と第2連結部52bとが対向している方向を基準としている。また、隙間の長さL1は、内筒バッフル部材101の外周における半径の0.025倍であることがより好ましい。この厚肉部105は、径方向内側の面の一部が、軸方向に平らな平坦面となっている。
【0061】
以上のように、実施例2の構成によれば、第1連結部51bと突起部51cとの間に厚肉部105を設けることができる。このため、連結部材53よりもガス流路45側(基端側)に厚肉部105を設けることができるため、厚肉部105よりも先端側の重複部分E1に発生する熱応力を抑制することができる。
【0062】
また、実施例2の構成によれば、厚肉部105の厚さD3を、隙間の長さL1に比して厚くすることができるため、厚肉部105の熱容量を大きくしつつ、厚肉部105と第2分割バッフル部材52の第2連結部52bとの物理的な干渉を抑制することができる。
【0063】
また、実施例2の構成によれば、隙間の長さL1を、内筒バッフル部材42の外周における半径の0.02倍以上0.07倍以下とすることができる。このため、隙間の長さL1よりも厚くなる厚肉部105の厚さを、最適な厚さ、つまり質量の増大と熱応力の抑制とがバランスする厚さにすることができる。
【実施例3】
【0064】
次に、
図6及び
図7を参照して、実施例3に係るタービン110について説明する。
図6は、実施例3に係るタービンのバッフルにおける一対の突起部を軸方向から見たときの正面図である。
図7は、実施例3のバッフルの一対の突起部における曲率半径に応じて変化する熱応力のグラフである。なお、実施例3でも、実施例1及び2と重複する記載を避けるべく、実施例1及び2と異なる部分についてのみ説明する。実施例1及び2では、厚肉部56,105を設けることで、熱応力を抑制したが、実施例3では、一対の突出部61の形状を、熱応力を抑制可能な形状としている。
【0065】
図6に示すように、一対の突出部61は、第1連結部51bの径方向内側に設けられており、連結部材53を挟んで両側に設けられている。各突出部61は、連結部材53側(内側)の基端部が曲面(以下、内側曲面P1という)に形成されている。また、各突出部61は、連結部材53とは反対側(外側)の基端部が曲面(以下、外側曲面P2という)に形成されている。ここで、軸方向から見たときの内側曲面P1の曲線における曲率半径(第1の曲率半径)をrとし、軸方向から見たときの外側曲面P2の曲線における曲率半径(第2の曲率半径)をRとする。
【0066】
図7に示すグラフは、その横軸が、曲率半径Rと曲率半径rとの半径比率(R/r)であり、その縦軸が、突出部61の基端部における内側と外側とに加わる応力比率である。また、応力σ1は、半径比率に応じて変化する、突出部61の基端部の外側に加わる応力であり、応力σ2は、半径比率に応じて変化する、突出部61の基端部の内側に加わる応力である。応力比率は、内側に加わる応力と、外側に加わる応力とが同じ応力である場合に1となる。なお、応力σ1及び応力σ2は、プロットした計測点に基づいて、線形で求めたものである。
【0067】
図7のグラフに示すように、半径比率が、応力比率が1となる所定の半径比率よりも小さくなると、つまり、曲率半径Rが小さくなったり、曲率半径rが大きくなったりすると、突出部61の基端部の外側に加わる応力σ1は大きくなる一方で、突出部61の基端部の内側に加わる応力σ2は小さくなる。また、半径比率が、応力比率が1となる所定の半径比率よりも大きくなると、つまり、曲率半径Rが大きくなったり、曲率半径rが小さくなったりすると、突出部61の基端部の外側に加わる応力σ1は小さくなる一方で、突出部61の基端部の内側に加わる応力σ2は大きくなる。
【0068】
ここで、曲率半径Rは、曲率半径rの3.5倍以上5.5倍以下であることが好ましい。つまり、半径比率は、3.5以上5.5以下であることが好ましい。このとき、半径比率は、4.4となることがより好ましい。
【0069】
以上のように、実施例3の構成によれば、突出部61の基端部における外側の曲率半径Rと、突出部61の基端部における内側の曲率半径rとを、所定の半径比率とすることができる。このため、一対の突出部61の基端部に加えられる応力をバランスさせることができるため、応力を抑制することができる。
【0070】
なお、実施例3では、一対の突出部61の半径比率を所定の半径比率としたが、この所定の半径比率を、実施例1または2に適宜組み合わせてもよい。