(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は車両に搭載されるリヤワイパモータの斜視図を、
図2は
図1のリヤワイパモータの内部構造(ギヤカバー無し)を示す平面図を、
図3は
図2の固定部材およびモータケースに網掛けを施し、当該部分を拡大して示す部分拡大図を、
図4はギヤケース,軸受部材および固定部材を、
図3の矢印A方向から見た矢視図を、
図5(a),(b)は固定部材の詳細構造を示す斜視図を、
図6はリヤワイパモータの組み立て手順を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0017】
図1に示すように、モータ装置としてのリヤワイパモータ10は、車両のリヤハッチに搭載されるリヤワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるもので、モータ部20およびギヤ部30を備えている。モータ部20およびギヤ部30は、一対の固定ネジ11(図示では1つのみ示す)によりそれぞれ一体となるよう連結されている。
【0018】
図2に示すように、モータ部20は、ブラシ付きの4極モータとして構成され、その外郭を形成するモータケース21を備えている。モータケース21は、磁性体である鋼板をプレス加工することで有底筒状に形成され、その開口側には、一対の固定ネジ11が挿通されるフランジ部21aが一体に設けられている。
【0019】
モータケース21の内部には、断面が略円弧形状に形成された合計4つのマグネット22(図示では2つのみ示す)が固定されている。これらのマグネット22は、例えばフェライト磁石よりなり、モータケース21の周方向に沿ってそれぞれ等間隔(90度間隔)で設けられ、各マグネット22の内側には、所定の隙間を介してアーマチュア23が回転自在に収容されている。アーマチュア23の回転中心には、回転軸としてのアーマチュア軸24の基端側が貫通して固定されている。
【0020】
アーマチュア軸24の軸方向に沿う略中央部分には、コンミテータ25が固定されており、コンミテータ25は、例えば10個のセグメント(図示せず)をモールド成型することにより、略円柱形状に形成されている。また、アーマチュア軸24の基端側には、アーマチュア23を形成するアーマチュアコア26が固定されており、アーマチュアコア26は、例えば10個のスロット(図示せず)を備えている。アーマチュアコア26の各スロットには、所定の巻き方および所定の巻数でアーマチュアコイル26aが巻装されている。アーマチュアコイル26aのコイル端は、各セグメントにそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
ただし、モータ部20のセグメント数やスロット数は、上述のような10個に限らず、リヤワイパモータ10に必要とされるトルク特性等(仕様等)に応じて、任意に変更することができる。
【0022】
コンミテータ25の各セグメントには、複数のブラシ25a(図示では2つのみ示す)が摺接するようになっている。これらのブラシ25aは、ブラシホルダ33に移動自在に設けられ、各ブラシ25aには、コネクタユニット34からの駆動電流が供給されるようになっている。このように、モータ部20とコネクタユニット34とは、各ブラシ25a,コンミテータ25およびアーマチュアコイル26aを介して電気的に接続され、これによりアーマチュアコイル26aに電磁力が発生し、アーマチュア23およびアーマチュア軸24が回転するようになっている。
【0023】
アーマチュア軸24の基端側は、モータケース21の底部に設けられたラジアル軸受27のみによって回転自在に支持されており、アーマチュア軸24の基端側とモータケース21の底部との間には、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受が設けられていない。ここで、ラジアル軸受27は、例えば、焼結材により略円筒形状に形成され、これにより、低騒音かつ耐衝撃性および自己潤滑性を備え、さらには摩耗粉が発生し難くなっている。ただし、ラジアル軸受27は、焼結材に換えて耐熱性に優れたプラスチック材料等により形成しても良い。
【0024】
アーマチュア軸24の長手方向に沿う略中央部分から先端側は、モータケース21の外部に突出されており、このアーマチュア軸24のモータケース21から突出された部分は、ギヤケース31内で回転するようになっている。アーマチュア軸24の先端側には、ギヤとしてのウォームギヤ24a(詳細図示せず)が一体に設けられ、当該ウォームギヤ24aは、アーマチュア軸24の回転に伴いギヤケース31内で回転するようになっている。ウォームギヤ24aは螺旋状に形成され、ウォームホイール37のギヤ歯37aに噛み合うようになっている。ここで、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール37は減速機構を構成している。ウォームホイール37は、アーマチュア軸24およびウォームギヤ24aの回転に伴い、ウォームギヤ24aよりも減速状態で回転し、減速して高トルク化された回転が出力軸38に伝達されるようになっている。
【0025】
アーマチュア軸24のモータケース21から突出された部分で、コンミテータ25とウォームギヤ24aとの間には、アーマチュア軸24の径方向に向けて凹凸形状、つまりセレーション形状となったベアリング固定部24bが形成されている。ベアリング固定部24bには、軸受部材としてのボールベアリング(転がり軸受)28が圧入により固定されている。ただし、ベアリング固定部24bに凹凸形状を形成せずに、単にアーマチュア軸24にボールベアリング28を圧入した際の緊迫力のみで、ベアリング固定部24bにボールベアリング28を固定しても良い。
【0026】
図3に示すように、ボールベアリング28は、内輪28aと外輪28bとを備え、内輪28aと外輪28bとの間には複数の鋼球28c(図示では2つのみ示す)が設けられている。そして、内輪28aはアーマチュア軸24のベアリング固定部24bに固定され、外輪28bはギヤケース31のベアリング装着部36に装着されている。ここで、外輪28bは、ストッパプレート60によってベアリング装着部36、つまりギヤケース31に向けて押圧されている。これにより、ボールベアリング28は、ベアリング装着部36の内部でがたつくこと無く保持されている。
【0027】
このように、ボールベアリング28を、アーマチュア軸24のベアリング固定部24bに固定しつつ、ギヤケース31のベアリング装着部36に装着することで、アーマチュア軸24は回転自在に支持されるとともに、ギヤケース31に対して軸方向および径方向への移動が規制されている。すなわち、ボールベアリング28は、ラジアル軸受けおよびスラスト軸受としての機能を備えている。したがって、アーマチュア軸24の先端側とギヤケース31との間においても、アーマチュア軸24をその軸方向から支持するスラスト軸受が設けられていない。
【0028】
ここで、リヤワイパモータ10は、小型の4極モータとして形成されるため、例えば同じ出力の大型の2極モータに比して発熱量が多くなる。そこで、本実施の形態に係るリヤワイパモータ10では、アーマチュア軸24の軸方向両端側のスラスト軸受を廃止している。これにより、アーマチュア軸24の摺動ロス、つまりアーマチュア軸と各々のスラスト軸受との摩擦抵抗を無くして、余計な発熱量の増大が抑えられている。
【0029】
図2および
図3に示すように、ギヤ部30はギヤケース31を備えており、当該ギヤケース31は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより、底壁部31aおよび側壁部31bを備えた略バスタブ形状に形成されている。ギヤケース31には開口部31cが形成されており、当該開口部31cは、
図1に示すギヤカバー40によって閉塞されるようになっている。
【0030】
ギヤケース31のモータケース21側(図中右側)には、ブラシホルダ収容部32が一体に設けられている。ブラシホルダ収容部32は、アーマチュア軸24の軸方向に沿って略筒状に形成され、その横断面形状は、モータケース21とともに略小判形状に形成されている(
図4参照)。そして、ブラシホルダ収容部32には、ブラシホルダ33が収容されるようになっている。また、ギヤケース31におけるブラシホルダ収容部32のモータケース21側とは反対側には、ブラシホルダ収容部32に隣接して、コネクタユニット34を収容するコネクタユニット収容部35が一体に設けられている。
【0031】
ギヤケース31におけるコネクタユニット収容部35のブラシホルダ収容部32側とは反対側には、コネクタユニット収容部35に隣接して、ボールベアリング28が装着されるベアリング装着部36が一体に設けられている。ここで、ベアリング装着部36は、本発明における軸受部材装着部を構成している。
【0032】
ベアリング装着部36のモータケース21側には、装着開口部36aが設けられており、当該装着開口部36aの内径寸法は、ボールベアリング28の外径寸法よりも大きい寸法に設定されている。これにより、装着開口部36aを介して、モータケース21側からベアリング装着部36にボールベアリング28を装着できるようになっている。また、ベアリング装着部36には貫通孔36bが一体に設けられ、当該貫通孔36bには、リヤワイパモータ10の組み立て時において、アーマチュア軸24のウォームギヤ24aが貫通するようになっている。
【0033】
ギヤケース31の内部には、ギヤとしてのウォームホイール37が回転自在に収容されており、当該ウォームホイール37は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで略円盤形状に形成されている。ウォームホイール37の外周部分にはギヤ歯37aが一体に設けられ、当該ギヤ歯37aには、ウォームギヤ24aが噛み合わされている。ウォームホイール37の回転中心には、鋼棒よりなるホイール軸37bの軸方向一端側が回動自在に設けられ、ホイール軸37bの軸方向他端側は、底壁部31aに固定されている。
【0034】
ギヤケース31のモータケース21側とは反対側(図中左側)には、鋼棒よりなる出力軸38が配置されており、当該出力軸38は、ギヤケース31の底壁部31aに設けられたボス部31d(
図1参照)に回動自在に支持されている。出力軸38の基端側はギヤケース31内に設けられ、出力軸38の先端側はギヤケース31の外部に延出されている。そして、出力軸38の外部に延出された延出部分(図示せず)には、ワイパアーム(図示せず)の基端部が固定されるようになっている。
【0035】
ギヤケース31の内部で、ウォームホイール37と出力軸38との間には、ウォームホイール37の回転運動を出力軸38の揺動運動に変換する運動変換機構50が設けられている。運動変換機構50は、揺動リンク51および連結板52を備えている。揺動リンク51の長手方向一端側は、出力軸38の基端側に固定され、揺動リンク51の長手方向他端側は、連結板52の長手方向一端側に、連結ピンP1を介して回動自在に連結されている。また、連結板52の長手方向他端側は、連結ピンP2を介してウォームホイール37の回転中心から偏心した位置に回動自在に連結されている。
【0036】
このように、ウォームホイール37と出力軸38との間に運動変換機構50を設けることで、ウォームホイール37の一方向への回転に伴い出力軸38を所定角度範囲で揺動できるようにしている。具体的には、ウォームギヤ24aおよびウォームホイール37の回転により、減速して高トルク化された回転が連結ピンP2に伝達され、連結ピンP2がホイール軸37bを中心に回転する。すると、連結板52の長手方向他端側もホイール軸37bを中心に回転し、これにより連結板52の長手方向一端側が、連結ピンP1を介して揺動リンク51に規制された状態で、出力軸38を中心に揺動する。
【0037】
図3ないし
図5に示すように、ギヤケース31のベアリング装着部36と、モータケース21のフランジ部21aとの間には、固定部材としてのストッパプレート60が設けられている。ストッパプレート60は、鋼板をプレス加工することにより略U字形状に屈曲成形されてブラシホルダ33を跨いでおり、これにより、ブラシホルダ33から外部に放射されるブラシノイズを吸収し易くしている。つまり、ストッパプレート60は、外部へのブラシノイズの放射を抑制する機能を備えている。
【0038】
ストッパプレート60は、ベアリング装着部36とモータケース21との間で突っ張れるようバネ性を持っている。具体的には、
図3に示すように、ボールベアリング28とフランジ部21aとの間の距離をL1とした時に、ストッパプレート60のアーマチュア軸24の軸方向に沿う長さ寸法(ここでは自然長)は、L1よりも長いL2に設定されている(L2>L1)。これにより、ストッパプレート60の弾性力はボールベアリング28をギヤケース31に向けて押圧し、ボールベアリング28のアーマチュア軸24の軸方向への移動が阻止される。
【0039】
ストッパプレート60は、その屈曲部分を境界として、当接部61,押圧部62および橋渡し部63を備えている。当接部61は、ギヤケース31のブラシホルダ収容部32と、モータケース21のフランジ部21aとの間に挟持され、これによりモータケース21に当接するようになっている。当接部61は、
図4に示すように、略L字形状に形成されており、当接部61の両端側には、固定ネジ11が貫通するネジ孔61aがそれぞれ設けられている。つまり、当接部61は、一対の固定ネジ11によってフランジ部21aとともにギヤケース31に固定されるようになっている。ここで、当接部61は略L字形状に形成されているが、これは当接部61の内側でアーマチュア軸24等が接触すること無く回転できるようにするためである。
【0040】
ストッパプレート60の押圧部62は、
図3に示すように、ベアリング装着部36の装着開口部36aと貫通孔36bとの間に配置されるようになっている。押圧部62には、
図4および
図5に示すように、一対の突起62aが設けられており、これらの突起62aは、押圧部62をベアリング装着部36の内側に配置した状態のもとで、ボールベアリング28側に突出されている。各突起62aは、ボールベアリング28の外輪28bに当接し、外輪28bをベアリング装着部36、つまりギヤケース31に向けて押圧するようになっている。このように、各突起62aにより外輪28bをベアリング装着部36に向けて押圧することで、外輪28bはギヤケース31と押圧部62との間に挟持されることになる。ここで、押圧部62は、ベアリング装着部36内に配置された状態のもとで、ボールベアリング28の外輪28bにのみ、各突起62aを介して当接するようになっている。
【0041】
押圧部62には、さらに凹部62bが設けられている。この凹部62bは、押圧部62の先端側から基端側に向けて所定の深さで設けられ、アーマチュア軸24を接触すること無く跨ぐようになっている。つまり、凹部62bは、ストッパプレート60をギヤケース31に組み付ける際に、アーマチュア軸24の逃げとして機能するようになっている。
【0042】
ストッパプレート60の橋渡し部63は、当接部61と押圧部62との間に設けられ、当接部61および押圧部62を接続している。橋渡し部63は、ストッパプレート60をギヤケース31に組み付けた状態のもとで、ギヤケース31とギヤカバー40との間に挟持されるようになっている。つまり、橋渡し部63はギヤカバー40によって押さえられている。このように、橋渡し部63をギヤケース31とギヤカバー40との間に挟持することで、ストッパプレート60組み付け時に、押圧部62がベアリング装着部36内の規定の位置に配置されるようにしている。さらには、リヤワイパモータ10の作動時等において、ストッパプレート60ががたついたりするのを効果的に抑制するようにしている。
【0043】
ギヤカバー40は、
図1に示すように、鋼板をプレス加工することにより所定形状に形成され、本体部41とその周囲に3箇所の固定部42とを備えている。本体部41は、ギヤケース31の開口部31c(
図2参照)を閉塞するとともに、上述のようにギヤケース31との間でストッパプレート60の橋渡し部63を挟持するようになっている。なお、ギヤカバー40は、4つの固定ネジ43によってギヤケース31に固定されている。
【0044】
固定部42の各々には、一部を切り欠いて略C字形状に形成されたボルト装着部42aが設けられている。各ボルト装着部42aには、リヤワイパモータ10をリヤハッチ等の固定対象物に固定するための図示しない固定ボルトが、ゴムブッシュ(図示せず)を介して装着されるようになっている。これにより、リヤワイパモータ10の振動が車両に伝わり難くなり静粛性の向上が図られている。
【0045】
次に、以上のように形成したリヤワイパモータ10の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
【0046】
まず、
図6に示すように、コネクタユニット34をコネクタユニット収容部35に、ブラシホルダ33(
図2参照)をブラシホルダ収容部32に、それぞれその順番で組み付けたギヤケース31を準備する。また、アーマチュア23(
図2参照)を収容したモータケース21を準備するとともに、ストッパプレート60およびギヤカバー40(
図1参照)を準備しておく。
【0047】
次に、モータケース21のアーマチュア軸24が突出した側、つまりウォームギヤ24a側(
図2参照)を、図中矢印(1)に示すようにギヤケース31に臨ませて、アーマチュア軸24に固定されたボールベアリング28を、ギヤケース31のベアリング装着部36に装着する。
【0048】
次いで、図中矢印(2)に示すように、ストッパプレート60をギヤケース31の開口部31cに臨ませて、当接部61をギヤケース31とフランジ部21aとの間に配置するともに、押圧部62をベアリング装着部36の装着開口部36aと貫通孔36b(
図3参照)との間に配置する。
【0049】
その後、図中矢印(3)に示すように、固定ネジ11をギヤケース31にネジ固定することにより、ギヤケース31とフランジ部21aとの間に当接部61が挟持される。これにより、ギヤケース31とモータケース21との接続が完了し、ストッパプレート60の押圧部62が、ボールベアリング28の外輪28bを押圧するようになる。
【0050】
その後さらに、ギヤケース31の内部に、ウォームホイール37や運動変換機構50等(
図2参照)を組み付けて、ギヤカバー40をギヤケース31の開口部31cに臨ませる。そして、
図1に示すように、各固定ネジ43を介してギヤカバー40をギヤケース31に固定する。これにより、ギヤケース31とギヤカバー40との間に、ストッパプレート60の橋渡し部63が挟持されて、ストッパプレート60は、がたつくことなくボールベアリング28を支持する。
【0051】
次いで、ストッパプレート60を設けたことによる隙間、つまり、ギヤケース31とフランジ部21aとの間の微小隙間およびギヤケース31とギヤカバー40との間の微小隙間(何れも詳細は図示せず)に、ブチルゴム等よりなるシール剤を充填して、耐候性が得られるよう密封処理を施す。ただし、これらの微小隙間を無くすために、ギヤケース31側に窪み部を予め形成しておき、当該窪み部にストッパプレート60を段差無く装着するようにしても良い。この場合、シール構造を簡素化することが可能となる。
【0052】
以上詳述したように、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、モータケース21とボールベアリング28との間に、ボールベアリング28をギヤケース31に押圧するストッパプレート60を設けたので、ストッパプレート60をギヤケース31に差し込み固定せずに済み、ストッパプレート60の押圧力がギヤケース31に直に作用することを防止できる。したがって、樹脂製のギヤケース31を採用したとしても、当該ギヤケース31がクリープ変形するのを抑制することができる。よって、ギヤケース31の樹脂化に対応し得る構造を確立し、さらなる軽量化を図ることが可能となる。
【0053】
また、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、橋渡し部63は、ギヤケース31の開口部31cを閉塞するギヤカバー40により押さえられるので、ストッパプレート60組み付け時において、押圧部62をベアリング装着部36内の規定の位置に配置することができる。また、リヤワイパモータ10の作動時等において、ストッパプレート60ががたつくのを抑制できる。
【0054】
さらに、第1実施の形態に係るリヤワイパモータ10によれば、押圧部62に外輪28bを押圧する突起62aを設けたので、押圧部62の外輪28bに対する装着抵抗を軽減して、リヤワイパモータ10の組み立て作業性を向上することができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図7(a),(b),(c)は、第2実施の形態に係る固定部材(3種類)を示す斜視図を表している。
【0057】
図7(a),(b),(c)に示すように、第2実施の形態に係るストッパプレート(固定部材)70は、上述した第1実施の形態に比して、当接部71a,71b,71cの形状のみが異なっている。つまり、第2実施の形態においては、当接部61に設けたネジ孔61a(
図5参照)を省略して、当接部71a,71b,71cをギヤケース31とフランジ部21aとの間に挟持するようにしている。
【0058】
図7(a)においては、当接部71aの幅寸法W1を橋渡し部63の幅寸法と同じ寸法としつつ、当接部71aの挟持される部分の高さ寸法をH1としている。
図7(b)においては、
図7(a)の当接部71aに比して、当接部71bの幅寸法W2を大きい寸法にしている(W2>W1)。当接部71bの幅寸法をW2とするために、当接部71bの幅方向に沿う一方側(図中左側)を延ばすようにしている。
図7(c)においては、
図7(b)の当接部71bに比して、当接部71cの高さ寸法を、H1よりも大きいH2としつつ(H2>H1)、当接部71cの幅方向に沿う他方側(図中右側)を延ばすようにしている。
【0059】
以上のように形成した第2実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、第2実施の形態によれば、当接部71a,71b,71cの形状を簡素化して、ストッパプレート70を容易に製造することが可能となる。
【0060】
次に、本発明の第3実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
図8は第3実施の形態の固定部材を示す
図3に対応する部分拡大図を表している。ここで、第1実施の形態と第3実施の形態との差異を明確にするために、
図3および
図8のストッパプレート60,80については淡色の網掛けを施し、モータケース21については濃色の網掛けを施している。
【0062】
図8に示すように、第3実施の形態に係るストッパプレート(固定部材)80は、第1実施の形態に比して、その長さ寸法を若干長い寸法に設定するとともに、当接部61をギヤケース31とフランジ部21aとの間に挟持させずに、当接部61をフランジ部21aの外側から、各固定ネジ11でフランジ部21aとともに共締めするようにした点が異なっている。
【0063】
以上のように形成した第3実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、第3実施の形態によれば、ギヤケース31とフランジ部21aとの間に微小隙間が生じないので、当該微小隙間へのシール剤の充填作業が不要となる。
【0064】
次に、本発明の第4実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図9(a),(b)は第4実施の形態の固定部材の詳細構造を示す図を表している。
【0066】
図9(a),(b)に示すように、第4実施の形態に係るストッパプレート(固定部材)90は、上述した第1実施の形態に比して、押圧部62に支持爪91を追加した点のみが異なっている。支持爪91は、押圧部62の当接部61側とは反対側に突出するよう一体に設けられ、略L字形状に形成されている。支持爪91の先端部92は、押圧部62の各突起62a側に向けられており、ボールベアリング28を形成する外輪28bの上方側、つまりアーマチュア軸24の中心線Cよりも図中上方側を支持している。なお、各突起62aは、外輪28bの下方側、つまりアーマチュア軸24の中心線Cよりも図中下方側をベアリング装着部36に向けて押圧している。
【0067】
以上のように形成した第4実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、第4実施の形態によれば、例えば、高温雰囲気に長時間曝される等して、樹脂材料よりなるベアリング装着部36の変形が大きくなるような場合に、支持爪91によりボールベアリング28の軸方向へのズレを抑制することができる。したがって、リヤワイパモータ10の信頼性を向上することができる。
【0068】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、モータ装置として、リヤワイパモータ10であるものを示したが、本発明はこれに限らず、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置,電動サンルーフ装置,電動シート装置等の駆動源として用いられるモータ装置にも適用することができる。