(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の充電回路では、充電電流検出回路が検出した電流値に基づいて、スイッチ素子を満充電検出回路でオフ状態に切換え、非水電解質2次電池に対する充電を停止するので過充電を防止することができる。しかし、PHS電話機が長期間放置されるなどにより、非水電解質2次電池が無電圧状態、もしくは過放電状態などの低電圧状態になった場合に、充電回路を構成する各回路を作動させるだけの電力が得られないため、PHS電話機を充電器に装着したとしても2次電池を直ちに充電できるわけではない。その場合には、電話機から取外した2次電池の接続端子に充電電流を供給して接触充電方式で充電するしかないが、電話機に付属している充電器では充電できないためユーザーの混乱を招いてしまう。
【0008】
本発明の目的は、2次電池を非接触状態で適切に充電しながら、2次電池が満充電された後は、充電器と非接触充電装置との間の電力伝送を著しく低下させて、2次電池が過充電状態に陥るのを防止できる非接触充電装置を備えている小形電気機器、および非接触式の充電システムを提供することにある。
本発明の目的は、2次電池が空状態になった場合でも、非接触充電装置の充電機能を復旧させて確実に2次電池を充電できる非接触充電装置を備えている小形電気機器、および非接触式の充電システムを提供することにある。
本発明の目的は、充電時に2次電池が異常な高温状態になった場合に、直ちに充電器と非接触充電装置との間の電力伝送を著しく低下させて、2次電池が損傷するのを未然に防止し、あるいは電力が無駄に消費されるのを防止できる小形電気機器、および非接触式の充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る非接触充電装置を備える小形電気機器は、機器本体12に2次電池11と、非接触式の充電器2に対応する非接触充電装置3とが設けてある。
図1に示すように、非接触充電装置3は、充電器2の1次コイル7に対応して設けられる2次コイル13と、2次コイル13と並列に接続される共振コンデンサー14を含む共振回路15と、共振回路15と2次電池11との間に配置される整流回路16とを備えている。整流回路16と2次電池11との間に、充放電制御回路19と、充電電流の電圧値および/または電流値を監視する充電電力監視回路20・21を設ける。共振回路15には、共振コンデンサー14および/または2次コイル13の接続状態を切換えて、共振回路15のインピーダンスを大小に切換える切換えスイッチ25を設ける。充電電力監視回路20・21が、2次電池11の電圧値および/または電流値が所定値に達したことを検知した満充電状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、共振回路15を受電状態が最適な第1受電状態から、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更す
る。充電器2の1次コイル7と非接触充電装置3の2次コイル13とが正対している状態では、満充電状態に至った場合でも、充電器2からの共振回路15に対する第2受電状態による電力伝送が継続される。さらに共振回路15に伝送された第2受電状態における受電電力が、機器本体12に供給されて、該機器本体12の内部に設けた負荷回路或いは負荷機器で消費されるように構成する。
【0010】
充電電力監視回路は、電圧監視回路20と電流監視回路21の少なくともいずれか一方で構成する。切換えスイッチ25は、共振コンデンサー14と直列に接続する(
図1および3参照)。
【0011】
充電電力監視回路は、電圧監視回路20と電流監視回路21の少なくともいずれか一方で構成する。切換えスイッチ25は、共振コンデンサー14と並列に接続して、その一端を2次コイル13の中途部27に接続する(
図2および
図4参照)。
【0012】
充電器2と非接触充電装置3との少なくともいずれか一方に、2次電池11が満充電されたことを表示する表示構造を設ける。表示構造は、発光表示具、発音表示具、発振表示具、映像表示具のいずれかひとつで構成する。
【0014】
図10に示すように、非接触充電装置3に2次電池11の温度を検知する温度センサー45を設ける。温度センサー45が2次電池11の温度が所定値に達したことを検知した状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、2次電池11の充電度合とは無関係に、共振回路15を受電状態が最適な第1受電状態から、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更する。
【0015】
本発明に係る非接触式の充電システムは、小形電気機器の機器本体12に設けた2次電池11を、非接触式の充電器2で機器本体12に設けた非接触充電装置3を介して充電する。充電器2は、充電器本体4の内部に、整流回路および電圧調整回路を含む制御回路5と、制御回路5から出力された電流を高周波電流に調整して1次コイル7に出力する発振回路6と、1次側の共振コンデンサー8を備えている。非接触充電装置3は、充電器2の1次コイル7に対応して設けられる2次コイル13と、2次コイル13と並列に接続される共振コンデンサー14を含む共振回路15と、共振回路15と2次電池11との間に配置される整流回路16とを備えている。整流回路16と2次電池11との間に、充放電制御回路19と、充電電流の電圧値および/または電流値を監視する充電電力監視回路20・21を設ける。共振回路15には、共振コンデンサー14および/または2次コイル13の接続状態を切換えて、共振回路15のインピーダンスを大小に切換える切換えスイッチ25を設ける。充電電力監視回路20・21が、2次電池11の電圧値および/または電流値が所定値に達したことを検知した満充電状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、共振回路15を受電状態が最適な第1受電状態から、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更す
る。充電器2の1次コイル7と非接触充電装置3の2次コイル13とが正対している状態では、満充電状態に至った場合でも、充電器2からの共振回路15に対する第2受電状態による電力伝送が継続される。さらに共振回路15に伝送された第2受電状態における受電電力が、機器本体12に供給されて、該機器本体12の内部に設けた負荷回路或いは負荷機器で消費されるように構成する。
【0017】
非接触充電装置3に2次電池11の温度を検知する温度センサー45を設ける。温度センサー45が2次電池11の温度が所定値に達したことを検知した状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、2次電池11の充電度合とは無関係に、共振回路15を受電状態が最適な第1受電状態から、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る小形電気機器においては、充電器2と非接触充電装置3との間の電磁誘導作用で充電電力を伝送して、小形電気機器に設けた2次電池11を非接触状態のままで充電できるようにした。また、2次コイル13、共振コンデンサー14、および切換えスイッチ25などで共振回路15を構成して、切換えスイッチ25を切換えることにより、2次コイル13のインダクタンスと、共振コンデンサー14のキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変更できるようにした。このようにインダクタンスまたはキャパシタンスを変更すると、共振回路15側のインピーダンスを大小に切換えて、共振回路15の受電状態を最適な受電状態である第1受電状態と、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更することができる。
【0019】
以上のように、本発明の非接触充電装置3によれば、2次電池11が満充電された状態において、共振回路15の受電状態を第2受電状態に切換えるので、過剰な充電電力が供給されるのを防止して、2次電池11が直ちに過充電状態に陥るのを防止できる。また、小形電気機器1を充電器2に装着した状態における非接触充電装置3は、同装置3を構成する各回路の状態とは無関係に、充電器2の1次コイル7と2次コイル13間の電磁誘導作用によって僅かな電力が共振回路15へ伝送される構造になっている。そのため、共振回路15へ伝送される僅かな電力を利用して、空状態(無電圧状態)になった2次電池11を徐々に充電することができる。
【0020】
詳しくは、自己放電作用によって空状態になった2次電池11を充電器2で充電しようとしても、非接触充電装置3を構成する各回路を作動させるだけの電力が得られないため、2次電池11を直ちに充電することはできない。しかし、小形電気機器1を充電器2に装着すると、1次コイル7と2次コイル13間の電磁誘導作用によって僅かな電力が共振回路15へ伝送され、2次電池11に対して低電力の充電電流を供給できる。このように、供給される電力が僅かであるとしても、時間の経過とともに2次電池11は徐々に充電されるので、やがて2次電池11の電圧を充放電制御回路19および電圧監視回路20などが機能できる状態にまで復旧することができる。また、充放電制御回路19や電圧監視回路20などが機能し始めた時点で、切換えスイッチ25がオン側へ切換えられて共振回路15を第1受電状態に復旧でき、以後は最適の状態で2次電池11を充電することができる。従って、本発明の非接触充電装置3によれば、2次電池11が空状態になっていたとしても、非接触充電装置3の充電機能を復旧させて、2次電池11を的確に満充電状態に充電することができる。
【0021】
充電電力監視回路が電圧監視回路20で構成してある場合には、充電電圧の変化に従って2次電池11が満充電状態になったか否かを判定する。同様に、充電電力監視回路が電流監視回路21で構成してある場合には、充電電流の変化に従って2次電池11が満充電状態になったか否かを判定する。いずれの場合にも、2次電池11が満充電状態になったことを明確に知ることができる。さらに、充電電力監視回路が、電圧監視回路20および電流監視回路21の両者で構成してある場合には、充電電圧の変化と充電電流の変化に従って2次電池11が満充電状態になったか否かを二重に判定できるので、2次電池11が満充電状態になったことをさらに的確に知ることができる。切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と直列に接続する共振回路15においては、切換えスイッチ25をオン・オフして、共振コンデンサー14を機能させる状態と、共振コンデンサー14の機能を停止させる状態との違いで共振回路15のインピーダンスを変更できる。また、共振回路15のインピーダンスを変更することによって、共振回路15の受電状態を、最適な受電状態である第1受電状態と、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更することができる。
【0022】
切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と並列に接続して、その一端を2次コイル13の中途部27に接続する共振回路15においては、切換えスイッチ25をオン・オフすることによって、2次コイル13のインダクタンスを大小に切換えて共振回路15のインピーダンスを変更できる。また、共振回路15のインピーダンスを変更することによって、共振回路15の受電状態を、最適な受電状態である第1受電状態と、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更することができる。
【0023】
充電器2と非接触充電装置3との少なくともいずれか一方に表示構造を設け、2次電池11が満充電された状態において表示構造を作動させると、ユーザーに対して2次電池11の充電が完了したことを明確に知らせることができる。従って、表示構造が作動した後は、ユーザーに対して小形電気機器1を充電器2から分離し、あるいは充電器2の電源スイッチをオフ操作するなどの後処理を促して、2次電池11に対して不必要に充電電流が供給されるのを解消できる。発光表示具、発音表示具、発振表示具、および映像表示具の具体例としては、発光ダイオード、スピーカ、振動モータ、および液晶表示具などがある。
【0024】
2次電池11が満充電された後に、整流回路16から供給される僅かな電力を、充放電制御回路19で機器本体12へ供給すると、供給された電力を機器本体12の内部に設けた負荷回路あるいは負荷機器で消費することができる。従って、2次電池11が満充電された後に、小形電気機器1が充電状態のままで長時間にわたって放置されるような場合であっても、僅かな電力が非接触充電装置3に供給されて蓄積されるのを防止でき、非接触充電装置3が発熱し、あるいは過熱状態に陥るのを解消できる。
【0025】
非接触充電装置3に温度センサー45を設ける小形電気機器では、同センサー45が2次電池11の温度が所定値に達したことを検知した状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、共振回路15を第1受電状態から第2受電状態に切換える。このように、2次電池11の温度状態に対応して、共振回路15を受電電力が著しく低下する第2受電状態に切換えると、2次電池11の温度が所定値に達した時点で、充電器2と非接触充電装置3との間の電力伝送を著しく低下させ、さらに、2次電池11に対する充電電流の供給を停止する。従って、2次電池11が過熱し、あるいは焼損するなど損傷するのを未然に防止できる。また、充放電制御回路19のスイッチ25の切換えは、2次電池11の充電度合とは無関係に行われるので、2次電池11が充電途中状態であっても、その温度が異常な高温状態になった時点で直ちに充電を停止することができる。因みに、2次電池11が満充電された後に、小形電気機器1が充電状態のままで長時間にわたって放置されるような場合には、非接触充電装置3での電力消費が小さくなるため、2次コイル13のコイル電圧が高くなる。その結果、2次コイル13に流れる電流が増加し、やがて2次コイル13の発熱温度が上昇し、2次電池11が損傷するおそれがある。しかし、上記のように2次電池11の温度状態を温度センサー45で監視し、充電制御回路19で2次電池11に対する充電電流の供給を停止することにより、2次電池11を確実に保護することができる。
【0026】
本発明に係る非接触式の充電システムにおいては、充電器2と非接触充電装置3との間の電磁誘導作用で充電電力を伝送して、小形電気機器に設けた2次電池11を非接触状態のままで充電できるようにした。また、2次コイル13、共振コンデンサー14、および切換えスイッチ25などで共振回路15を構成して、切換えスイッチ25を切換えることにより、2次コイル13のインダクタンスと、共振コンデンサー14のキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変更できるようにした。このようにインダクタンスまたはキャパシタンスを変更すると、共振回路15側のインピーダンスを大小に切換えて、共振回路15の受電状態を最適な受電状態である第1受電状態と、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更することができる。
【0027】
以上のように、本発明の充電システムによれば、2次電池11が満充電された状態において、共振回路15の受電状態を第2受電状態に切換えるので、過剰な充電電力が供給されるのを防止して、2次電池11が直ちに過充電状態に陥るのを防止できる。また、小形電気機器1を充電器2に装着した状態における非接触充電装置3は、同装置3を構成する各回路の状態とは無関係に、充電器2の1次コイル7と2次コイル13間の電磁誘導作用によって僅かな電力が共振回路15へ伝送される構造になっている。そのため、共振回路15へ伝送される僅かな電力を利用して、空状態(無電圧状態)になった2次電池11を徐々に充電することができる。
【0028】
詳しくは、自己放電作用によって空状態になった2次電池11を充電器2で充電しようとしても、非接触充電装置3を構成する各回路を作動させるだけの電力が得られないため、2次電池11を直ちに充電することはできない。しかし、小形電気機器1を充電器2に装着すると、1次コイル7と2次コイル13間の電磁誘導作用によって僅かな電力が共振回路15へ伝送され、2次電池11に対して低電力の充電電流を供給できる。このように、供給される電力が僅かであるとしても、時間の経過とともに2次電池11は徐々に充電されるので、やがて2次電池11の電圧を充放電制御回路19および電圧監視回路20などが機能できる状態にまで復旧することができる。また、充放電制御回路19や電圧監視回路20などが機能し始めた時点で、切換えスイッチ25がオン側へ切換えられて共振回路15を第1受電状態に復旧でき、以後は最適の状態で2次電池11を充電することができる。従って、本発明の充電システムによれば、2次電池11が空状態になっていたとしても、非接触充電装置3の充電機能を復旧させて、2次電池11を的確に満充電状態に充電することができる。
【0030】
非接触充電装置3に温度センサー45を設ける充電システムでは、同センサー45が2次電池11の温度が所定値に達したことを検知した状態において、充放電制御回路19で切換えスイッチ25を切換えて、共振回路15を第1受電状態から第2受電状態に切換える。このように、2次電池11の温度状態に対応して、共振回路15を受電電力が著しく低下する第2受電状態に切換えると、2次電池11の温度が所定値に達した時点で、充電器2と非接触充電装置3との間の電力伝送を著しく低下させ、さらに、2次電池11に対する充電電流の供給を停止する。従って、2次電池11が過熱し、あるいは焼損するなど損傷するのを未然に防止できる。また、充放電制御回路19のスイッチ25の切換えは、2次電池11の充電度合とは無関係に行われるので、2次電池が充電途中状態であっても、その温度が異常な高温状態になった時点で直ちに充電を停止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施例1)
図1は本発明に係る小形電気機器と充電器とからなる充電システムの概略を示しており、符号1は小形電気機器、符号2は充電器、符号3は小形電気機器1の一部に設けた非接触充電装置である。充電システムは、小形電気機器の機器本体12に設けた2次電池11を、非接触式の充電器2で機器本体12に設けた非接触充電装置3を介して充電する。充電器2は、充電器本体4の内部に、制御回路5および発振回路6と、発振回路6で調整された高周波電流を受けて誘導磁界を生成する1次コイル7と、1次側の共振コンデンサー8などを配置して構成してある。制御回路5には、商用電源9から供給される交流電流を全波整流する整流回路と、整流された電流を所定の電圧に調整する電圧調整回路などが設けてある。発振回路6は、制御回路5から出力された電流を高周波電流に調整して1次コイル7に出力する。図示していないが、制御回路5と商用電源9との間には、給電状態をオン・オフする電源スイッチが設けてある。なお、1次コイル7は充電器本体4の内部に組込んであるので、充電器本体4の外部から視認することはできない。
【0033】
非接触充電装置3は、小形電気機器1の機器本体12に設けたリチウムイオン2次電池(以下、単に2次電池と言う。)11を充電するために設けてあり、2次電池11とともに機器本体12の内部に組込んである。非接触充電装置3は、充電器2の1次コイル7に対応して設けられる2次コイル13と、2次コイル13と並列に接続される共振コンデンサー14を含む共振回路15と、共振回路15と2次電池11との間に配置される整流回路16などを備えている。さらに、非接触充電装置3は、共振回路15と2次電池11との間に、レギュレータ回路18と、充放電制御回路19と、充電電流の電圧値を監視する電圧監視回路(充電電力監視回路)20を備えている。符号22は2次電池11の電力を供給する給電路であり、この給電路22を介して供給される電力で、小形電気機器1を構成する負荷回路あるいは負荷機器を駆動する。
【0034】
小形電気機器1を、電源がオンされた充電器2に装着し、あるいは充電器2の近傍に配置して、2次コイル13を1次コイル7に正対させた状態では、両コイル7・13間の電磁誘導作用で充電器2から非接触充電装置3へと充電電力が伝送される。このときの電磁誘導作用を最適な状態(以下、この状態を第1受電状態と言う。)にするために、第2コイル13のインダクタンスと、2次側の共振コンデンサー14のキャパシタンスとが、1次コイル7の共振周波数と適合できるように設定してある。第1受電状態における共振回路15は充電器2からの受電電力が最大で最適な状態になっている。
【0035】
共振回路15から送給される高周波電流は、整流回路16で整流され、さらにレギュレータ回路18で充電に適した電圧に調整されたのち、充放電制御回路19と電圧監視回路20を介して2次電池11へ供給される。充放電制御回路19は、電圧監視回路20からの監視信号を受けて、2次電池11が所定の電圧に達して満充電状態になるまでの間第1受電状態を保持して、レギュレータ回路18から供給される最適な充電電流を2次電池11に供給する。
【0036】
非接触充電装置3の基本構造は以上のとおりであるが、本発明においては、2次電池11が満充電された後に2次電池11が過充電されるのを防ぐために、共振回路15に過充電防止のための構造を付加する点に特徴がある。具体的には、共振コンデンサー14と直列に切換えスイッチ25を設け、2次電池11を充電する過程と、2次電池11が満充電された後の状態とで切換えスイッチ25を切換えて、共振回路15の受電状態を第1受電状態から第2受電状態へ切換えるようにした。
【0037】
具体的には、第1受電状態においては、切換えスイッチ25がオン側に切換えられていて、2次コイル13と共振コンデンサー14の並列接続を維持しており、1次コイル7から伝送される電力を共振回路15が最適な状態で受電できるようにしている。また、第2受電状態においては、切換えスイッチ25をオフ状態に切換えて、共振コンデンサー14の2次コイル13に対する並列接続を遮断して、共振回路15のインピーダンスを大きく変化させ、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせる。これに伴い、第2受電状態においては、1次コイル7から共振回路15へ伝送される電力の伝送効率が著しく低下する。しかし、第2受電状態において共振回路15へ伝送される電力がゼロになることはなく、僅かな電力が共振回路15へ伝送される。
【0038】
上記のように、共振コンデンサー14の接続を遮断し、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせると、共振回路15の受電電力が著しく低下するので、非接触充電装置3が充電器2から無駄に受電するのを解消して、2次電池11が過充電状態に陥るのを解消できる。また、2次コイル13の共振周波数が非同調側へシフトするのに伴って1次コイル7の共振点がずれ、発振回路6側のインピーダンスが高くなるため、充電器2の消費電力を減少することができる。以上のように、この実施例では、2次電池11の充電状態に対応して切換えスイッチ25を切換えて、共振コンデンサー14の接続状態を変更することにより、共振回路15のインピーダンスを大小に変更できるようにした。
【0039】
共振回路15が、最適な電力伝送状態である第1受電状態から、2次電池11が満充電されて第2受電状態に切換えられたことを表示するために、充電器本体4の外面に発光ダイオード(発光表示具)26を設けている。発光ダイオード26は、第1受電状態が開始されるのと同時に点灯して、2次電池11が充電途中状態であることを表示する。また、2次電池11が満充電された状態では、1次コイル7の共振点がずれて充電器2の消費電力が減少するので、そのことを制御回路5で検知して、発光ダイオード26を一定間隔おきに明滅させる。このように、発光ダイオード26が連続点灯状態から明滅状態へ切換わることで、ユーザーは2次電池11の充電が完了したことを知ることができる。
【0040】
多くの場合には、発光ダイオード26の明滅状態を確認した後は、ユーザーが小形電気機器1を充電器2から分離し、あるいは充電器2の電源スイッチをオフ操作して充電作業を終了する。しかし、2次電池11が満充電された後にも、小形電気機器1が充電器2に対して充電可能な状態のままで放置されることがある。その場合の共振回路15は、第2受電状態に切換わっており、受電効率が著しく低い状態ではあるものの、僅かな電力が共振回路15へ伝送され続ける。そのため、放置時間が長引くと非接触充電装置3が発熱して過熱状態に陥るおそれがある。こうした非接触充電装置3の発熱や過熱等を防ぐために、2次電池11が満充電された後には、充放電制御回路19の内部回路を切換えて、整流回路16から供給される微小電力を機器本体12へ供給できるようにしている。機器本体12へ供給された電力は、その内部に設けた負荷回路あるいは負荷機器に供給されて消費される。
【0041】
小形電気機器1の使用に伴って2次電池11の電圧が所定値以下になると、充放電制御回路19は電圧監視回路20からの監視信号を受けて、2次電池11の充電が必要であることを機器本体12側の表示具で表示したのち、2次電池11から機器本体12への電力の供給を停止する。なお、図示していない機器本体12側の表示具としては、発光表示具、発音表示具、発振表示具、映像表示具のいずれかを適用することができる。
【0042】
小形電気機器1が不使用状態のままで長期にわたって放置されることがあり、その場合には、自己放電作用によって2次電池11が空状態になることがある。この状態の小形電気機器1を充電器2で充電しようとしても、非接触充電装置3を構成する各回路を作動させるだけの電力が得られないため、2次電池11を適正な状態で直ちに充電することはできない。しかし、小形電気機器1を充電器2に装着すると、非接触充電装置3を構成する各回路の状態とは無関係に、1次コイル7と2次コイル13間の電磁誘導作用によって僅かな電力が共振回路15へ伝送され、2次電池11に対して低電力を供給することができる。
【0043】
上記のように僅かな電力であっても、時間の経過とともに2次電池11は供給された電力で徐々に充電されるため、やがて2次電池11の電圧を充放電制御回路19および電圧監視回路20などが機能できる状態にまで復旧することができる。また、充放電制御回路19や電圧監視回路20などが機能し始めた時点では、2次電池11の電圧が低いため、切換えスイッチ25はオン側へ切換えられて共振回路15を第1受電状態に保持する。従って、以後は最適の状態で2次電池11を充電することができ、たとえ2次電池11が空状態になっていたとしても、2次電池11を的確に満充電状態に充電することができる。なお、充放電制御回路19および電圧監視回路20が機能し始めるときの2次電池11の電圧は、充放電制御回路19がユーザーに対して2次電池11の充電を促すときの電圧より充分に低い。
【0044】
(実施例2)
図2は非接触充電装置3の一部を変更した実施例2に係る小形電気機器1を示している。そこでは、実施例1の非接触充電装置3と同様に、電圧監視回路20から送られた監視信号を充放電制御回路19で受けて、2次電池11が満充電状態になったことを判定して共振回路15のインピーダンスを変更する。この実施例では、切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と並列に接続し、切換えスイッチ25の一方の端子を2次コイル13の中途部27に接続する点が実施例1と異なる。
【0045】
この実施例における第1受電状態では、切換えスイッチ25が充放電制御回路19でオフ位置に切換えられており、切換えスイッチ25が充放電制御回路19でオン位置へ切換えられた状態のとき第2受電状態となる。第2受電状態においては、2次コイル13の中途部が切換えスイッチ25を介して短絡されるので、その有効巻数およびインダクタンスが第1受電状態とは大きく異なることとなり、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせて共振回路15のインピーダンスを変更できる。その結果、共振回路15の受電電力を著しく低下させて、2次電池11が過充電状態に陥るのを解消でき、さらに、無駄な受電を解消できる。また、2次コイル13の共振周波数が非同調側へシフトするのに伴って、1次コイル7の共振点がずれて発振回路6側のインピーダンスが高くなるため、充電器2の消費電力を減少することができる。
【0046】
以上のように、実施例2の非接触充電装置3では、2次電池11の充電状態に対応して切換えスイッチ25をオン・オフすることにより、2次コイル13の接続状態を変更して共振回路15のインピーダンスを変更できる。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下に説明する実施例においても同じとする。
【0047】
(実施例3)
図3は非接触充電装置3の一部を変更した実施例3に係る小形電気機器1を示している。そこでは、実施例1の非接触充電装置3と同様に、切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と直列に接続するが、充放電制御回路19と電圧監視回路20との間に電流監視回路(充電電力監視回路)21を配置する点が実施例1と異なる。この実施例では、電流監視回路21から送られた監視信号にもとづき、2次電池11が満充電状態になったことを充放電制御回路19で判定して、共振回路15のインピーダンスを変更する。2次電池11を充電する過程では、2次電池11の電圧が徐々に増加するのに伴って、電流監視回路21を流れる電流値が変化するので、この電流変化を監視することにより、2次電池11が満充電状態になったことを充放電制御回路19で判定できる。
【0048】
(実施例4)
図4は非接触充電装置3の一部を変更した実施例4に係る小形電気機器1を示している。そこでは、実施例2の非接触充電装置3と同様に、切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と並列に接続し、切換えスイッチ25の一方の端子を2次コイル13の中途部27に接続する。また、実施例3と同様に、充放電制御回路19と電圧監視回路20との間に電流監視回路21を配置して、電流監視回路21から送られた監視信号にもとづき、2次電池11が満充電状態になったことを充放電制御回路19で判定している。
【0049】
実施例3および実施例4の非接触充電装置3は、電圧監視回路20と電流監視回路21とを備えているので、必要があれば、電圧監視回路20と電流監視回路21から送られた各監視信号にもとづき、2次電池11が満充電状態になったか否かを充放電制御回路19で判定することができる。
【0050】
(
参考例1)
図5は充電器2の一部を変更した
参考例1を示している。そこでは、充電器本体4の内部にセンシングコイル28を設けて、1次コイル7と2次コイル13との間の電力伝送時に、センシングコイル28で漏れ磁束を捕捉できるようにした。先に説明したように、非接触充電装置3が第2受電状態に切換わると、2次コイル13の共振周波数が非同調側へシフトされ、同時に1次コイル7の共振点がずれて発振回路6側のインピーダンスが高くなる。この1次コイル7の共振状態の変化に伴って、センシングコイル28の起電力が変化する。従って、センシングコイル28の捕捉信号に基づき制御回路5を作動させて、商用電源9に連なる電源回路を遮断することにより、充電器2の充電動作を自動的に停止することができる。
【0051】
(実施例6)
図6(a)〜(c)は非接触充電装置3のさらに別の実施例を示す。
図6(a)では、実施例1で説明した共振コンデンサー14とは別に補助コンデンサー31を設けて、両コンデンサー14・31を並列に接続して、いずれか一方のコンデンサー14・31を切換えスイッチ25を介して2次コイル13と導通できるようにした。共振コンデンサー14のキャパシタンスは1次コイル7の共振周波数と適合する値に設定しておく。これに対して補助コンデンサー31のキャパシタンスは、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトできる値に設定する。
【0052】
常態における切換えスイッチ25は、共振コンデンサー14のみを2次コイル13と導通させている。2次電池11の充電が完了した状態では、切換えスイッチ25を切換えて共振コンデンサー14の導通状態を遮断し、補助コンデンサー31を2次コイル13と導通させる。これにより共振回路15のインピーダンスが変化するので、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせて、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少できる。このように、第2受電状態において補助コンデンサー31を2次コイル13と導通させる非接触充電装置3によれば、補助コンデンサー31のキャパシタンスを厳密に設定することができるので、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせるときのシフト量を厳密に規定できる。
【0053】
図6(b)に示す非接触充電装置3においては、共振コンデンサー14とは別に、補助コンデンサー31と導通路32を設けて、切換えスイッチ25を共振コンデンサー14と直列に接続した。この非接触充電装置3では、第1受電状態のとき共振コンデンサー14と導通路32とを切換えスイッチ25を介して導通させる。また、第2受電状態では、共振コンデンサー14と補助コンデンサー31とが直列状態で導通するように切換えスイッチ25を切換えて、2次コイル13の共振周波数を非同調側へシフトさせて、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少させる。
【0054】
図6(c)に示す非接触充電装置3においては、2次コイル13とは別に補助コイル33を設けて、補助コイル33を2次コイル13と並列に配置し、いずれか一方のコイル13・33を切換えスイッチ25を介して共振コンデンサー14と導通できるようにした。2次コイル13のインダクタンスは1次コイル7の共振周波数と適合する値に設定しておく。補助コイル33のインダクタンスは、1次コイル7の共振周波数に対して非同調側へシフトした値に設定する。
【0055】
常態における切換えスイッチ25は、2次コイル13を共振コンデンサー14に対して並列する状態で導通させる。2次電池11の充電が完了した後には、切換えスイッチ25を切換えて2次コイル13の導通状態を遮断し、補助コイル33を共振コンデンサー14に対して並列する状態で導通させて共振回路15を第2受電状態にする。この受電状態では、補助コイル33の共振周波数が、1次コイル7に対して非同調側へシフトされた状態となるため、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少できる。このように、第2受電状態において補助コイル33を共振コンデンサー14と導通させる非接触充電装置3によれば、補助コイル33を1次コイル7に対して非同調側へシフトさせるときのシフト量を厳密に規定できる。この実施例における補助コイル33は省略することができ、その場合には、補助コイル33側のスイッチ接点を、
図2と同様に2次コイル13の中途部27に接続しておけばよい。
【0056】
図6(a)から(c)で説明した非接触充電装置3は以下の形態で実施することができる。
図6(a)の非接触充電装置3は、共振回路15に、共振コンデンサー14および補助コンデンサー31と、いずれか一方のコンデンサー14・31を2次コイル13と導通する切換えスイッチ25とが設けられており、満充電状態において、切換えスイッチ25を充放電制御回路19で切換えることにより、補助コンデンサー31を2次コイル13と導通させて共振回路15を第2受電状態にする。
図6(b)の非接触充電装置3は、共振回路15に、共振コンデンサー14と、補助コンデンサー31と、導通路32と、これら3者の導通状態を切換える切換えスイッチ25とが設けられており、満充電状態において、切換えスイッチ25を充放電制御回路19で切換えることにより、共振コンデンサー14を補助コンデンサー31を介して2次コイル13と導通させて共振回路15を第2受電状態にする。
図6(c)の非接触充電装置3は、共振回路15に、2次コイル13と補助コイル33とが並列に配置されており、満充電状態において、補助コイル33を切換えスイッチ25を介して共振コンデンサー14と導通させて共振回路15を第2受電状態にする。
【0057】
(実施例7)
図7(a)・(b)は非接触充電装置3のさらに別の実施例を示す。
図7(a)では、
図6(a)の共振回路15と同様に、共振コンデンサー14とは別に補助コンデンサー31を設けて、両コンデンサー14・31を並列に接続して、いずれか一方のコンデンサー14・31を切換えスイッチ25を介して2次コイル13と導通できるようにした。また、切換えスイッチ25と2次コイル13との間に別の切換えスイッチ35を設けて、その一方の端子を導通路36を介して2次コイル13に接続し、その他方の端子を導通路37を介して2次コイル13の中途部27に接続するようにした。
【0058】
この非接触充電装置3では、第1受電状態のとき共振コンデンサー14を切換えスイッチ25を介して導通させ、さらに2次コイル13を導通路36と切換えスイッチ35を介して導通させる。また、第2受電状態では、切換えスイッチ25を切換えて補助コンデンサー31を導通させるか、切換えスイッチ35を切換えて導通路37を導通させて、共振回路15の共振周波数を非同調側へシフトさせて、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少させる。
【0059】
上記のように、2個の切換えスイッチ25・35で、共振コンデンサー14と補助コンデンサー31を切換え、あるいは2次コイル13の巻数を切換える共振回路15によれば、両スイッチ25・35の切換え状態を異ならせることにより、共振回路15の共振周波数を大きく変化させ、あるいは小さく変化させることができる。また、同じ共振周波数でも、キャパシタンスとインダクタンスの割合を変化させて、共振回路15のインピーダンスを変更することができる。
【0060】
図7(b)では、
図6(b)の共振回路15と同様に、共振コンデンサー14とは別に補助コンデンサー31を設けて、両コンデンサー14・31を直列に接続して、いずれか一方のコンデンサー14・31を切換えスイッチ25を介して2次コイル13と導通できるようにした。また、切換えスイッチ25と2次コイル13との間に別の切換えスイッチ35を設けて、その一方の端子を導通路36を介して2次コイル13に接続し、その他方の端子を導通路37を介して2次コイル13の中途部27に接続するようにした。
【0061】
この非接触充電装置3では、第1受電状態のとき共振コンデンサー14を切換えスイッチ25を介して導通させ、さらに2次コイル13を導通路36と切換えスイッチ35を介して導通させる。また、第2受電状態では、切換えスイッチ25を切換えて補助コンデンサー31を導通させるか、切換えスイッチ35を切換えて導通路37を導通させて、共振回路15の共振周波数を非同調側へシフトさせて、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少させる。この実施例の共振回路15においても、
図7(a)の共振回路15と同様に、共振回路15の共振周波数を大きく変化させ、あるいは小さく変化させることができる。また、同じ共振周波数でも、キャパシタンスとインダクタンスの割合を変化させて、共振回路15のインピーダンスを変更することができる。
【0062】
図7で説明した非接触充電装置3は以下の形態で実施することができる。
図7(a)の非接触充電装置3は、共振回路15に、並列に配置される共振コンデンサー14および補助コンデンサー31と、いずれか一方のコンデンサー14・31を導通する切換えスイッチ25と、2次コイル13の端部に接続される導通路36と、2次コイル13の中途部27に接続される導通路37と、いずれか一方の導通路36・37を導通する切換えスイッチ35とが設けられており、
満充電状態において、切換えスイッチ25を充放電制御回路19で切換えることにより、補助コンデンサー31を2次コイル13と導通させて共振回路15を第2受電状態にし、
あるいは、切換えスイッチ35を充放電制御回路19で切換えることにより、導通路37を導通させて共振回路15を第2受電状態にする。
図7(b)の非接触充電装置3は、共振回路15に、共振コンデンサー14および補助コンデンサー31と、両コンデンサー14・31を導通し、あるいは共振コンデンサー14のみを2次コイル13と導通させる切換えスイッチ25と、2次コイル13の端部に接続される導通路36と、2次コイル13の中途部27に接続される導通路37と、いずれか一方の導通路36・37を導通する切換えスイッチ35とが設けられており、
満充電状態において、切換えスイッチ25を充放電制御回路19で切換えることにより、共振コンデンサー14と補助コンデンサー31を導通させて共振回路15を第2受電状態にし、
あるいは、切換えスイッチ35を充放電制御回路19で切換えることにより、導通路37を導通させて共振回路15を第2受電状態にする。
【0063】
(実施例8)
図8は非接触充電装置3のさらに別の実施例を示す。2次電池11の保護のために、共振回路15を第2受電状態に切換えて共振周波数を非同調側へシフトさせた状態では、非接触充電装置3は充電器2に対して無応答状態となる。こうした場合でも、充電器2と非接触充電装置3との間の通信を確立するために、充電器2の側に1次コイル7とは別に通信コイル39を設けておき、第2受電状態に切換わった2次コイル13と通信コイル39との間で通信を行なえるようにしている。これにより、第2受電状態に切換わった後に、2次電池11の電力状態を充電器2の側で確認することができる。なお、
図8における充電器2の詳細構造は、
図1で説明した充電器と同じであるので、共振コンデンサー8などの詳細構造は図示省略した。
【0064】
以上のように構成した非接触充電装置3は、2次電池11が満充電された状態で出荷するが、出荷後、長期にわたって保管されるような場合に、2次電池11の自己放電作用で電力が消耗する。さらに、僅かではあっても充放電制御回路19によって2次電池11の電力が消費され続ける。そのため、充放電制御回路19が消費した電力の分だけ、未使用状態のまま保管した場合の2次電池11の保証期間が短くなる。こうした、長期保管時の充放電制御回路19による電力の消費を防ぐために、ユーザーが初めて小型電気機器1を使用するまでの間、充放電制御回路19による電力の消費を強制的に停止するようにした。
【0065】
(実施例9) 具体的には、
図9に示すように、充放電制御回路19に受信コントローラ40を設け、2次電池11と充放電制御回路19とを導通する出力リードの中途部に給電スイッチ41を配置して、工場出荷状態において給電スイッチ41をオフ状態に保持できるようにした。これにより、小形電気機器1が長期にわたって保管された場合でも、充放電制御回路19による電力の消費を防止して、2次電池11の電力が、保証期間に達する前に保証値以下になるのを確実に防止できる。符号42は2次電池11の保護回路である。
【0066】
給電スイッチ41は、小形電気機器1を購入したユーザーが始めて2次電池11の充電を行う際に、オン状態に切換えられる。詳しくは、共振回路15が作動したことを受信コントローラ40で検知して、給電スイッチ41をオン状態に切換える。あるいは、充電器2の側から共振回路15を介して受信コントローラ40にコマンドを与えて、給電スイッチ41をオン状態に切換える。一旦オン状態に切換えられた給電スイッチ41は、オフ状態に復帰することはなく、従って、初回に充電した後は、非接触充電装置3を適正に使用することができる。なお、小形電気機器の取扱説明書に、初回使用時にまず充電を行う必要があることを記載しておくことにより、給電スイッチ41の切換えをさらに確実に行うことができる。
【0067】
非接触充電装置3が組込まれた小形電気機器1は、検査工程で動作テストを行う必要があるが、その際に給電スイッチ41がオン状態に切換えられてしまうと、出荷後の充放電制御回路19による電力の消費を防ぐことができなくなる。こうした、不具合を解消するために、給電スイッチ41をオフ状態に復帰させる端子を充放電制御回路19に設けておくことにより、検査工程で動作テストを行ったのちに、オン状態に切換わった給電スイッチ41をオフ状態に復帰することができる。また、2次電池11を電池ホルダーから取外すことにより、給電スイッチ41をオフ状態に復帰させるようにしてもよい。
【0068】
図9で説明した非接触充電装置3は以下の形態で実施することができる。
機器本体12に2次電池11と、非接触式の充電器2に対応する非接触充電装置3とが設けられており、
非接触充電装置3は、充電器2の1次コイル7に対応して設けられる共振回路15と、共振回路15と2次電池11との間に配置される充放電制御回路19とを備えており、
2次電池11が満充電された状態において、充放電制御回路19で共振回路15を受電状態が最適な第1受電状態から、受電電力が著しく低下する第2受電状態に変更する小形電気機器であって、
2次電池11と充放電制御回路19を導通する導通リードに、充放電制御回路19への給電状態をオン状態とオフ状態に切換える給電スイッチ41が設けられており、
給電スイッチ41は、小形電気機器の出荷時にはオフ状態に切換えられており、ユーザーの初回充電動作に伴って、充放電制御回路19で給電スイッチ41をオン状態に切換えることを特徴とする小形電気機器。
【0069】
上記の各実施例では、満充電された2次電池11が過充電されるのを防ぐために、共振回路15の共振周波数を非同調側へシフトさせて、共振回路15へ伝送される電力を著しく減少させる。このように、2次電池11が満充電されて、非接触充電装置3の作動が実質的に停止された時点で、通常は、充電器2の電源をオフして小形電気機器を使用する。しかし、非接触充電装置3の作動が実質的に停止された状態のままで、長時間にわたって放置された場合には、次のような問題を生じる。2次電池11が満充電されて非接触充電装置3の作動が実質的に停止された状態では、非接触充電装置3での電力消費が小さくなるため、2次コイル13のコイル電圧が高くなる。その結果、2次コイル13に流れる電流が増加し、やがて2次コイル13の発熱温度が上昇し、2次電池11が損傷するおそれがある。このように、ユーザーの使用形態が不適切であった場合にも、2次側の発熱による2次電池11の損傷を確実に防ぐ必要がある。そのために充電システムを改良して、以下に説明する実施例10の充電システムとした。
【0070】
(
参考例2)
図10の充電システムは、実施例1の充電システムと同じ基本構造を採るが、非接触充電装置3に2次電池11の温度を検知する温度センサー45を設ける点と、
図5の参考例1と同様に充電器本体4の内部にセンシングコイル28を設ける点とが異なる。温度センサー45は、主に充電時の2次電池11の温度を検知するために設けるが、放電時の2次電池11の温度異常を監視するために利用することができる。充電時の2次電池11の温度が所定値に達した状態(異常な高温状態になった状態)においては、温度センサー45からの検知信号を受けた充放電制御回路19は、切換えスイッチ25をオフ状態に切換えて、共振回路15を受電電力が著しく低下する第2受電状態に切換える。このスイッチ切換えは、2次電池11の充電度合とは無関係に行われる。従って、2次電池が充電途中状態であっても、その温度が異常な高温状態になった場合に、直ちに充電器2と非接触充電装置3との間の電力伝送を著しく低下させて、2次電池11が損傷するのを未然に防止できる。
【0071】
共振回路15が第2受電状態に切換えられた状態では、2次コイル13の共振周波数が非同調側へシフトされ、同時に1次コイル7の共振状態が変化する。この1次コイル7の共振状態の変化に伴って、漏れ磁束を捕捉するセンシングコイル28の起電力が、第1受電状態のときの起電力から変化する。つまり、共振回路15の受電状態が第2受電状態に変化したことをセンシングコイル28で検知することができる。従って、センシングコイル28の捕捉信号の変化に基づき制御回路5を作動させて、商用電源9に連なる電源回路を遮断することにより、充電器2の充電動作を自動的に停止して、電力が無駄に消費されるのを防止できる。
【0072】
上記の実施例では、2次電池11がリチウムイオン2次電池である場合について説明したが、充電対象の2次電池はニッケルカドミウム電池、ニッケル水素2次電池などであってもよい。表示構造は、発光ダイオードに代表される発光表示具、スピーカに代表される発音表示具、振動モータに代表される発振表示具、液晶に代表される映像表示具のいずれかひとつ、あるいはこれらの組み合わせで構成することができる。本発明は、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットなどの携帯機器、あるいは歯ブラシ、シェーバー、キーレスエントリーキー、補聴器などの小形電気機器に適用できる。また、本発明の非接触充電装置3は、出力端子を備えた1個の電源モジュールとして使用することができ、その場合には電源モジュールを単体で販売することができる。