【実施例】
【0022】
つぎに本発明の実施例による携帯式プリンター1を
図1ないし
図8にもとづき説明する。
図1は、携帯式プリンター1の斜視図、
図2は、携帯式プリンター1の分解斜視図であって、携帯式プリンター1は、サーマルプリンターとしてこれを構成してあり、プリンターハウジング2(第1のハウジング2A、第2のハウジング2B)と、開閉カバー3と、印字部4を備えた印字ユニット5(
図2)と、プラテンローラー6と、充電バッテリー7と、ラベル連続体8(印字用紙、
図2、
図3)の供給部9と、入力部10と、表示部11と、電源スイッチ12と、開放用押しボタン13と、制御基板14と、を有する。
【0023】
プリンターハウジング2は、第1のハウジング2Aおよび第2のハウジング2Bを組み合わせており、作業者が携帯可能な大きさを有し、
図1中、上方にベルト掛け部15を設けて、肩掛けベルト(図示せず)により携帯式プリンター1全体を作業者の肩から吊り下げ可能としている。もちろん、作業者の腰に装着可能とする構成とすることもできる。
さらにプリンターハウジング2には、
図2中、下方隅部に位置したカバー軸16のまわりに開閉カバー3を開閉可能に設けて、供給部9へのラベル連続体4の収納および携帯式プリンター1への装填を可能としている。
【0024】
ラベル連続体4は、帯状の台紙上に複数枚のラベル片を仮着した構成である。ラベル片は、いわゆるサーマルラベルであって、その表面に感熱発色層を塗工して、印字可能としてある。
【0025】
印字部4は、プリンターハウジング2(印字ユニット5)側に取り付けたサーマルヘッド17(印字ヘッド)と、開閉カバー3の一端に位置するカバー軸16とは反対側端部に回転可能に取り付けた上記プラテンローラー6と、プラテンローラー6を回転駆動する駆動モーター18と、を有する。
サーマルヘッド17は、制御基板14からの印字データを受けてラベル連続体8に印字する。
プラテンローラー6は、そのプラテンローラー軸19を中心に回転可能に取り付けてあり、
図1に示すようにプリンターハウジング2に対して開閉カバー3が閉鎖された状態で、プラテンローラー6が対向するサーマルヘッド17との間にラベル連続体8を挟持して移送する。
【0026】
図3は、携帯式プリンター1の開閉カバー3をプリンターハウジング2に対して開放した状態の平面図、
図4は、携帯式プリンター1の開閉カバー3をプリンターハウジング2に対して開放した状態の斜視図である。ただし
図4においては、開放用押しボタン13を取り除いた状態で図示している。
とくに
図2に示すように、印字ユニット5は、ユニット本体20上に、印字部4のサーマルヘッド17と、カバーロック21と、駆動モーター18からの駆動ギア22(
図2には、そのギア列最終段の連結ギアを描いている)と、を設けている。
【0027】
プラテンローラー6は、プラテンローラー軸19の一方の端部(
図2中、右端部)に、プラテンローラー6を回転駆動するためのプラテンローラーギア23を設けている。
プラテンローラー6が対向するプリンターハウジング2に設けた駆動ギア21との係合によりプラテンローラーギア23を回転駆動可能である。すなわち、開閉カバー3のプリンターハウジング2への閉鎖により、プラテンローラーギア23と駆動ギア21とを係合させて、駆動モーター18によりプラテンローラー6を回転駆動可能としている。
サーマルヘッド17およびプラテンローラー6の間にラベル連続体4を挟持して、駆動モーター18によりプラテンローラー6を回転駆動するとともに、制御基板14からサーマルヘッド17に供給した印字データに応じてサーマルヘッド17の発熱素子17A(
図4)を発熱させ、ラベル連続体4(ラベル片)にサーマル印字を行う。
さらに、プラテンローラー軸19の両端部には、プラテンローラー6をサーマルヘッド17に対して押圧するように開閉カバー3を係脱可能にロックするための左右一対のロックピン24を設ける。すなわち、プラテンローラー6が対向するプリンターハウジング2におけるカバーロック21の左右一対のプラテンローラーロック係合部25がこの左右一対のロックピン24に係脱する。
【0028】
開放用押しボタン13をプリンターハウジング2の内方に押し込むように操作することにより、ヘッド付勢スプリング(図示せず)の付勢力に抗して、上記カバーロック21(プラテンローラーロック係合部25)とロックピン24との係合を解除し、ユニット本体20においてカバーロック21(サーマルヘッド17)をプラテンローラー6から離反するように回動させ、開閉カバー3をプリンターハウジング2に対して開放して、サーマルヘッド17およびプラテンローラー6の間にラベル連続体4を挿通装填可能とする。
【0029】
充電バッテリー7は、バッテリーカバー26を開けてプリンターハウジング2(第1のハウジング2A)内にこれを収脱可能であって、上述の印字部4(サーマルヘッド17および駆動モーター18など)はもちろん、携帯式プリンター1全体に電力を供給する。
【0030】
入力部10は、携帯式プリンター1に必要なデータないしコマンドを入力可能とする。
表示部11は、入力部10により入力された情報およびその他必要な情報を表示可能とする。
【0031】
制御基板14は、上述の印字部4、充電バッテリー7、入力部10、表示部11および電源スイッチ12との間でデータおよびコマンドの授受を行うとともに、これらを適宜制御する。
【0032】
さらに、本発明による携帯式プリンター1においては、とくに
図1および
図4などに示すように、印字部4をその内方部分に配置したプリンターハウジング2における印字部配置領域面27に隣り合わせて、ゴム材などのエラストマーその他の衝撃吸収性材料によるクッション材28を配置し、少なくともこれをプリンターハウジング2の隣接するクッション材28から相対的に凹ませることにより、落下などによる衝撃に対する耐性を確保している。
各図において、クッション材28には点を描き加えてあり、プリンターハウジング2のそれぞれの領域面におけるクッション材28を他の部品から識別可能としている。
【0033】
また、印字部4を作動させるための入力部10および表示部11を配置したプリンターハウジング2における入力部表示部配置領域面29に隣り合わせて同じくクッション材28を配置し、この入力部表示部配置領域面29を、印字部配置領域面27とともに、プリンターハウジング2の隣接するクッション材28から相対的に凹ませている。
図示の例では、クッション材28は、これを印字部配置領域面27の左右両側、および入力部表示部配置領域面29の左右両側に配置している。
すなわち、クッション材28は、少なくともこれをプリンターハウジング2の左右両側に配置して、その間に印字部配置領域面27および入力部表示部配置領域面29を凹ませた状態で設けている。
【0034】
なお、とくに
図1に示すように、入力部表示部配置領域面29は、携帯式プリンター1の上方側(ベルト掛け部15を配置している側)に向かって印字部配置領域面27に対して、背面側にこれをやや傾斜して設けることにより、携帯式プリンター1を使用する使用者が入力部表示部配置領域面29における入力部10、表示部11および電源スイッチ12を上方から見やすくしている。
【0035】
さらに、印字部配置領域面27および入力部表示部配置領域面29をプリンターハウジング2のそれぞれ隣接する隣接領域面(印字部隣接領域面、入力部表示部隣接領域面、ともに図示せず)から相対的に凹ませた上で、当該隣接領域面にクッション材28を配置することにより、印字部配置領域面27および入力部表示部配置領域面29をこれらの隣接領域面からさらに凹ませる構成を採用することもできる。
【0036】
図5は、携帯式プリンター1を上方部から見たその平面図、
図6は、携帯式プリンター1の側面図、
図7は、携帯式プリンター1の背面図、
図8は、携帯式プリンター1を下方部から見たその底面図であって、プリンターハウジング2は、ほぼ直方体形状を呈しており、少なくともひとつの稜縁部にクッション材28を配置することにより、その稜縁部ないしその内部を外部からの衝撃に対して保護可能である。
図示の例では、プリンターハウジング2のそれぞれの稜縁部にクッション材28を配置しており、携帯式プリンターがどのような姿勢で落下あるいは衝突したとしても、いずれかの稜縁部におけるクッション材28により衝撃を吸収可能として、携帯式プリンター1全体としての耐衝撃性を確保している。
【0037】
とくにプリンターハウジング2の表面側に位置している、印字部4、入力部10、表示部11、電源スイッチ12および開放用押しボタン13などを配置している領域面(印字部配置領域面27、入力部表示部配置領域面29)および開閉カバー3をプリンターハウジング2の他の領域面(図示の例では、プリンターハウジング2の稜縁部)から凹ませるように、当該稜縁部にクッション材28を設けている。
また、直方体形状のプリンターハウジング2における他の稜縁部にも同様に、クッション材28を設けて携帯式プリンター1全体の耐衝撃性を確保している。なお、とくに
図1および
図6に示すように、バッテリーカバー26がプリンターハウジング2の稜縁部にかかる領域面にもクッション材28を配置している。
【0038】
さらに、とくに
図4および
図5に示すように、印字部配置領域面27に隣り合わせているクッション材28は、印字部配置領域面27との間の境界部から上方空間方向に延びる印字部衝撃吸収突出部30を有する。印字部衝撃吸収突出部30は、印字部配置領域面27から高さH分(
図5)だけ上方空間方向に延びており、他の部分のクッション材28より衝撃を吸収しやすくしているとともに、印字部配置領域面27の内部に位置する印字部4、さらには表面側の開閉用押しボタン13およびその内部機構をより確実に保護可能としている。
また、入力部表示部配置領域面29に隣り合わせているクッション材28は、入力部表示部配置領域面29との間の境界部から上方空間方向に延びる入力部表示部衝撃吸収突出部31を有する。入力部表示部衝撃吸収突出部31も、印字部衝撃吸収突出部30と同様に、入力部表示部配置領域面29から高さH分だけ上方空間方向に延びており、他の部分のクッション材28より衝撃を吸収しやすくしているとともに、入力部表示部衝撃吸収突出部31に位置する入力部10、表示部11さらには電源スイッチ12をより確実に保護可能としている。
【0039】
なお、印字部配置領域面27に隣り合わせているクッション材28に高さHの印字部衝撃吸収突出部30を形成するとともに、入力部表示部配置領域面29に隣り合わせているクッション材28に高さHの入力部表示部衝撃吸収突出部31を形成していることにより、必要最小限のクッション性は確保しつつ、それぞれの稜縁部に設ける必要があるクッション材28自体の容量を減量して、その分だけ携帯式プリンター1全体としての重量を軽減化可能である。
【0040】
ただし、当該クッション材28は、ある稜縁部に連続してこれを設ける必要はなく、たとえば、
図1に示すように、ベルト掛け部15を設けた稜縁部には、その隅部のみにクッション材28を設けている。
また、同じく
図1に示すように、入力部表示部配置領域面29の上方部分がかかる稜縁部にもその中間領域にはクッション材28を設けてはいないが、その隅部に位置する部分には、クッション材28とくに入力部表示部衝撃吸収突出部31を形成してあり、耐衝撃性を向上させている。
さらに、とくに
図8に示すように、開閉カバー3の軸着部(カバー軸16に装着されている部分)が位置する稜縁部にもクッション材28がないが、後述するように、開閉カバー3は、印字部配置領域面27よりこれを相対的に凹ませており、すなわち、クッション材28よりはさらに相対的に凹んだ位置に配置されており、外部からの衝撃からの保護を確実にしている。
【0041】
また、とくに
図4および
図8に示すように、プリンターハウジング2の底面におけるクッション材28には、所定の高さで複数本のクッションリブ28Aを設けるとともに、とくに
図7に示すように、プリンターハウジング2の背面におけるクッション材28にも所定の高さで複数本のクッションリブ28Aを設けることにより、とくに落下などにより衝撃を受けやすいプリンターハウジングの底面部および背面底部を保護可能としている。
【0042】
また、とくに
図1、
図5および
図6に示すように、プリンターハウジング2の上面から背面にかけての稜縁部におけるクッション材28は、その背面部を平坦に形成した直角支持クッション部28Bとして形成し、プリンターハウジング2の背面を下にして携帯式プリンター1を卓上に載置して使用する際に、入力部10への押圧操作にあたって携帯式プリンター1の体勢の安定性を確保可能としている。
さらに、とくに
図7に示すように、プリンターハウジング2の背面上部には、直角支持クッション部28Bの近傍にわずかな高さで滑止めクッション部28Cを形成し、同じく、携帯式プリンター1を卓上に載置して使用する際に、携帯式プリンター1が不用意に滑らないようにして、全体の安定性を確保可能としている。
【0043】
なお、開閉カバー3は、印字部配置領域面27に対して、
図1中その下方側に隣接しているとともに、プリンターハウジング2に対してカバー軸16のまわりに回動可能に設けられていて、他の部品とは異なり、ネジ止めなどにより固定されていないため、外部からの衝撃に対してずれが生じやすい。
そこで、開閉カバー3は、印字部配置領域面27よりこれを相対的に凹ませるとともに、開閉カバー3の両側に隣り合わせて配置しているクッション材28よりはさらに相対的に凹ませることにより、外部からの衝撃をより受けにくくしている。
【0044】
要するに、開閉カバー3が位置するプリンターハウジング2の表面側において、一番突出量が大きい部分は、印字部配置領域面27との間の境界部から上方空間方向に延びるクッション材28による印字部衝撃吸収突出部30、さらに入力部表示部配置領域面29との間の境界部から上方空間方向に延びるクッション材28による入力部表示部衝撃吸収突出部31であって、つぎに、クッション材28、印字部配置領域面27および入力部表示部配置領域面29であり、開閉カバー3が一番凹んだ領域に位置している。
【0045】
なお、既述の印字部配置領域面27および入力部表示部配置領域面29の場合と同様に、開閉カバー3が隣接する隣接領域面(カバー隣接領域面)からこれを相対的に凹ませるとともに、このカバー隣接領域面にクッション材を配置することにより、開閉カバー3をその隣接領域面からさらに凹ませる構成を採用することもできる。
【0046】
さらに開閉カバー3の表面には、そのカバー軸16に直交する方向に複数本の補強用リブ32を突出形成して、開閉カバー3の機械的強度を高めている。
【0047】
かくして、携帯式プリンター1の使用上、とくに重要な印字部4、入力部10、表示部11、電源スイッチ12、開放用押しボタン13および開閉カバー3、さらには制御基板14などの各種部品を保護可能であるとともに、外部からの衝撃を受けた各領域面あるいは稜縁部におけるクッション材28は、これを容易に交換可能である。
すなわち、衝撃を受けた部品と、衝撃を受けなかった部品との識別が可能となって、交換すべき部品を明確化することができる。
【0048】
つぎに、ほぼ直方体形状を呈しているプリンターハウジング2には、たとえば、
図1、
図3および
図4などに示すように、プリンターハウジング2のそれぞれの隅部(計、八ヶ所)を曲面形状に形成することにより、外力ないし落下などによるこれら隅部における応力集中を回避して、衝撃に対する機械的強度ないし耐性を確保している。
したがって、とくに
図3に示すように、プリンターハウジング2の下方部における左右一対の隅部の内方側(隅部を角形とした場合よりプリンターハウジング2の内方側)に開閉カバー3のカバー軸16を設けることになる。
すなわち、開閉カバー3のカバー軸16の長さL1は、上記角形隅部にカバー軸16を設ける場合よりも短くなるが、プラテンローラー6のプラテンローラー軸19については、その長さL2をカバー軸16の長さL1より長く形成している(L1<L2)。
【0049】
とくに
図2ないし
図4に示すように、入力部10、表示部11、電源スイッチ12および開放用押しボタン13を設けているプリンターハウジング2(第1のハウジング2A)の表面側において、第1のハウジング2Aおよびその上層側のクッション材28の開放用押しボタン13の左右方向における左右両端部を切り欠くことにより連結用空間部33を形成し、この連結用空間部33にカバーロック21のプラテンローラーロック係合部25、および駆動ギア22を臨ませることができる。
【0050】
また、開閉カバー3の上部左右端には押込み片34を形成し、開閉カバー3のプリンターハウジング2への閉鎖にともなって、この押込み片34が連結用空間部33を閉鎖可能とするとともに、連結用空間部33に臨んでいるプラテンローラーロック係合部25にはプラテンローラー6のロックピン24が係合し、駆動ギア22にはプラテンローラー6のプラテンローラーギア23が係合可能となる。
【0051】
したがって、この連結用空間部33に開閉カバー3の開閉ロックのための機構(カバーロック21のプラテンローラーロック係合部25およびプラテンローラー6のロックピン24)、ならびにプラテンローラー6の駆動力伝達のための機構(駆動モーター18からの駆動ギア22およびプラテンローラー6のプラテンローラーギア23)を配置することが可能となり、携帯式プリンター1の構成を簡略化し、その軽量小型化を実現することができる。